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【発明の名称】 ドリル工具
【発明者】 【氏名】野中 琢磨

【氏名】村上 直英

【要約】 【課題】使い始めから使い終わりまでほぼ一定の穿孔性能を保持することができ、軽い力でも所定の穿孔性能を出す。

【構成】工具本体2の前方側に突出して設けられたビット駆動軸3と、該ビット駆動軸3の先端に取り付けられたダイヤモンドビット4を回転させることによりコンクリート等を穿孔するドリル工具であって、工具本体2は、大きさが脈動して上記ビット駆動軸3に沿って変化する加振力を上記工具本体2に発生させる加振装置を備え、上記ダイヤモンドビット4は、上記ビット駆動軸3の先端に取り付けられたベース24と、該ベースに固定されて一側に開口する凹欠部31を有する略環状又は円柱状の第1のダイヤモンド砥石体25と、上記凹欠部31内に設けられた第2のダイヤモンド砥石体26とを有し、第2のダイヤモンド砥石26体は、第1のダイヤモンド砥石体25よりも低く形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具本体に収容した駆動源と、該駆動源によって回転駆動されるとともに上記工具本体の前方側に突出して設けられたビット駆動軸とを備え、該ビット駆動軸の先端に取り付けられたダイヤモンドビットを回転させることによりコンクリート等を穿孔するドリル工具であって、
上記工具本体は、大きさが脈動して上記ビット駆動軸に沿って変化する加振力を上記工具本体に発生させる加振装置が設けられて、
上記ダイヤモンドビットは、上記ビット駆動軸の先端に取り付けられたベースと、該ベースに固定されて一側に開口する凹欠部を有する略環状又は円柱状の第1のダイヤモンド砥石体と、上記凹欠部内に設けられた第2のダイヤモンド砥石体とを有し、上記第2のダイヤモンド砥石体は、上記第1のダイヤモンド砥石体よりも低く形成されている
ことを特徴とするドリル工具。
【請求項2】
上記第1のダイヤモンド砥石体の先端面の内側は略すり鉢状の凹形状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のドリル工具。
【請求項3】
上記第2のダイヤモンド砥石体の高さを、上記第1のダイヤモンド砥石体の外周面が穿孔の直進性をガイドできる最低の高さと略等しくしたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のドリル工具。
【請求項4】
穿孔作業により孔の中央に円錐形状に削り残された突起部の頂部が上記ベースに接触したときに残った第1のダイヤモンド砥石体の外周面の高さは、穿孔の直進性をガイドできる最低の高さとすることを特徴とする、請求項1又は2に記載のドリル工具。
【請求項5】
上記第1のダイヤモンド砥石体と第2のダイヤモンド砥石体とは別部材として設けられて一体化されものであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のドリル工具。
【請求項6】
上記加振装置は、上記ビット駆動軸の回転方向に沿って作用して大きさが脈動する加振モーメントを発生させることを特徴とする、請求項1に記載のドリル工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート、モルタル、ブロック等に穿孔するためのドリル工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エアコンの屋外装置をコンクリートの壁に取り付ける場合、まずコンクリート壁に穿孔し、この下孔にアンカーを取り付け、アンカーに上記屋外装置をネジ止め固定することが行われる。
【0003】
このような下孔を形成するための穿孔用ドリル工具として、ハンマードリルやダイヤモンドドリルが知られている。ハンマードリルは、コンクリート壁に打撃を加え、ビットの先端の超硬チップを突き刺して砕きながら穿孔するものである。しかし、この工具は打撃音がうるさい。これに対し、ダイヤモンドドリルは特許文献3に示すように、台座を構成するベースの先端にダイヤモンド砥石体を固定したドリル工具で、コンクリートの壁にビットを回転させながら擦り付けて表面を削りつつ孔を穿つので、作業音が静かである点において優れている。
【0004】
なお、ダイヤモンドドリルは、略円筒状或は略円柱状のビットの先端に、メタルボンドと呼ばれる焼結金属の中にダイヤモンド粒が埋め込まれたダイヤチップが取付けられたダイヤビットが用いられており、このダイヤビットに押し付け力と回転を加えることにより、ビット先端のダイヤチップのダイヤモンドをコンクリートに食い込ませ、コンクリートを研削して穿孔する。ダイヤチップのダイヤモンドの一粒の大きさは400ミクロン程度で、1個のビットには1500粒ほどのダイヤモンド粒が入っており、この細かいダイヤモンドの粒がコンクリートを削って穿孔する。
【0005】
ところで、ダイヤモンドドリルの穿孔速度を向上させるためには、ダイヤモンドがコンクリートを削る量を増やす必要がある。このための手段としては、ダイヤビットの回転数を増して単位時間に削る量を増やすことや、ダイヤビット、即ち工具本体をコンクリートへ押し付ける力を増大させてダイヤモンドのコンクリートへの食い込み量を増大させることで削る量を増やすことが考えられる。しかしながら、このダイヤビットの回転数と押し付け力とをバランスさせることが重要であり、押し付け力が不足している状態でダイヤビットの回転数を増大させても、ダイヤビットのビット先端が充分にコンクリートに食い込むことができない状態のままダイヤビットが回転してしまい、ダイヤビットが早期に磨耗して穿孔が困難となってしまう。また、一般的に、作業者が穿孔作業中に持続発揮できるダイヤビット(工具)の押し付け力は10〜15kgf程度といわれており、作業者が自身の体力だけに基づいてダイヤビット(工具)の押し付け力を増大させることには限度がある。この結果、ダイヤモンドドリルの穿孔速度を向上させようとしても限界がある。加えて、作業者が発揮できる押し付け力に限度がある状況下において、より大径の穿孔を行なおうとすると、穿孔径が大きくなるにつれてダイヤモンド一粒あたりの押し付け力が減少することになり、この点からも穿孔速度を向上させることが困難である。
【0006】
このような問題点を解決するため、ビット駆動軸の軸線方向に作用して大きさが脈動する加振力を付与する加振装置をコンクリートドリル装置本体に設けることで、コンクリートへの穿孔速度を向上させるコンクリートドリルが知られている。
【0007】
ところで、ダイヤモンドドリルは先端のビットを常に押し続けなければならないので摩擦熱が発生して高熱になる。このため、ビット内に水を通す湿式(特許文献1、2参照)が一般的であるが、中心に水を通すための孔を形成する必要があるため、ビットは中空にしなければならない。したがって、コアドリルビットでは冷却用の水を循環するための設備が必要となるほか、中空ビット内に残ったコンクリートの削りカス(研削粉)を除去する手段が必要となる。
【0008】
これに対し、水を通さない乾式のダイヤモンドドリルの先端のビットは、少なくとも一部分が中実に設けられて先端が平坦に形成され、鉄をベースとした台座の上にダイヤモンド砥石体を固定する構成であり、水循環設備やコンクリートの削りカス除去手段も不要である。一側に開口するすり割り状の凹欠部を備え、研削粉を凹欠部から外部に除去するようになっている。
【特許文献1】実公平5−30891号公報
【特許文献2】特開平5−245827号公報
【特許文献3】特開2003−211436公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の乾式のダイヤモンドビットを備えたドリル工具には次のような欠点があった。
(1)図12(a)においてビット40のベース41は中実である(42はダイヤモンド砥石体43の凹欠部)ため、ダイヤモンド砥石体43の外周側と中心側で削ることになるが、外周側43aの回転速度と中心側43bの回転速度は異なる。上記ビット40を回転させて穿孔すると、外周側43aの速度は速いのでコンクリートに対する加工能力は高いが、中心側43bの速度は遅いので加工能力も低くなる。穿孔速度は加工能力の低い中心側の加工能力で決まるため、ビット40が新しいうちは穿孔速度が遅い。穿孔作業を繰り返すうちにビット40の中心側が摺り減ってくるので、外周側で孔を削ることができるようになり、性能が向上するが、所定の性能が発揮できるようになるまでに時間がかかる。その間も作業者はドリル工具をコンクリートに押し続けなければならないので、所定の性能が出るまでの押し時間が長くなり、効率がよくない。
(2)ビットの中心側が減ると性能も向上するが、ビットの外周側と内周側の回転速度の違いにより孔44の先端の中心には削り残しの円錐形状の突起部ができてしまう。初めのうちはよいが、外周側が磨り減って高さが低くなっていき、同図(b)のような状態になると、ダイヤモンド砥石体43の先端中心側に円錐形に残った突起部46の頂部47がベース41に当たってしまう。ベース41にはダイヤモンドのような研磨材はなく、中心の回転速度は非常に遅いから、突起部46の削りはなかなか進まない。また、突起部ではなく、石などが中心に詰まってしまった場合も同様である。中心部分が削られないと穿孔も進まないから、いったんビット40を引き出して突起部46を除去して再び穿孔作業をするという煩瑣な作業を繰り返さなければならないので、穿孔速度は急速に落ちてしまう。穿孔速度が落ちたことは作業者には感覚的にわかるから、ドリル工具をさらに強い力でコンクリートに向けて押すように意識しがちになり余分な力が加わりやすい。
(3)(2)の状態からさらに穿孔を続けると、穿孔速度が低下するだけでなく、ダイヤモンド砥石体43の外周部分の高さが低くなるが、同時にベース41(鉄製でダイヤモンドの粒はない)の外周面はビット先端よりも摩耗しやすいので、同図(c)のように、この部分もテーパ状になってしまう。ビット40の外周面48は、穿孔が直進的に進むようにガイドするガイド部でもあるから、穿孔作業が繰り返されてガイド部分48が短くなってしまうと、直進性が悪くなる。直進のガイドが失われると、ビット40は矢印のように抵抗が小さい方に逃げたがる。コンクリートの成分は均一ではないから、ビット40が受ける抵抗も不規則であり、孔は曲がってしまいやすい。例えば前述のアンカーは真直状に形成されているので、曲がった孔には入りにくくなり、またアンカーを孔内に保持する保持力も落ちてしまう。このように、ダイヤモンド砥石体43が減ってくると孔が曲がりやすくなることを作業者は経験的に知っているから、ドリル工具を押す方向を直進方向だけでなくそれに直交する方向にも気を配らなければならないので、ますます操作が煩雑になり、取り扱いが面倒になる。
【0010】
以上のように、穿孔作業時には作業者はドリル工具をコンクリートに向けて押し続けなければならないため疲労しやすい。また、所定の穿孔性能が出ないとどうしても押し付け力を大きくしようと意識しがちになるので、性能にムラがある場合は作業者は穿孔速度が遅くなるたびに押し付け力をさらに大きくしようとするので、疲労しやすく、穿孔効率も低下する。
【0011】
また、ビットを常に押し続けると摩擦熱により発熱するため、ダイヤモンドが摩耗して減りやすく、寿命も短くなるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題点を解消し、主に使い始めから使い終わりまでほぼ一定の穿孔性能を保持することができるとともに、軽い力でも所定の穿孔性能を出すことができ、さらに寿命も延ばすことができるドリル工具を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、工具本体に収容した駆動源と、該駆動源によって回転駆動されるとともに上記工具本体の前方側に突出して設けられたビット駆動軸とを備え、該ビット駆動軸の先端に取り付けられたダイヤモンドビットを回転させることによりコンクリート等を穿孔するドリル工具であって、上記工具本体は、大きさが脈動して上記ビット駆動軸に沿って変化する加振力を上記工具本体に発生させる加振装置が設けられて、上記ダイヤモンドビットは、上記ビット駆動軸の先端に取り付けられたベースと、該ベースに固定されて一側に開口する凹欠部を有する略環状又は円柱状の第1のダイヤモンド砥石体と、上記凹欠部内に設けられた第2のダイヤモンド砥石体とを有し、上記第2のダイヤモンド砥石体は、上記第1のダイヤモンド砥石体よりも低く形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記第1のダイヤモンド砥石体の先端面の内側は略すり鉢状の凹形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、上記第2のダイヤモンド砥石体の高さを、上記第1のダイヤモンド砥石体の外周面が穿孔の直進性をガイドできる最低の高さと略等しくしたことを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2において、穿孔作業により孔の中央に円錐形状に削り残された突起部の頂部が上記ベースに接触したときに残った第1のダイヤモンド砥石体の外周面の高さは、穿孔の直進性をガイドできる最低の高さとすることを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、上記第1のダイヤモンド砥石体と第2のダイヤモンド砥石体とは別部材として設けられて一体化されものであることを特徴とする。
【0018】
請求項6に係る発明は、上記加振装置は、上記ビット駆動軸の回転方向に沿って作用して大きさが脈動する加振モーメントを発生させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、ドリル工具には、大きさが脈動して上記ビット駆動軸に沿って変化する加振力を上記工具本体に発生させる加振装置が設けられているから、ドリル工具の押圧作業を補助するため、ダイヤモンドビットをコンクリート等に食い込ませる押し方向とその逆方向とに加振し、この脈動によって軽い力でも大きな食い込み力が得られ、所定の穿孔性能を出すことができる。
【0020】
また、穿孔作業を繰り返して第1のダイヤモンド砥石体が磨り減り、やがて孔の先端中央に削り残された円錐状の突起部の頂部が第2のダイヤモンド砥石体に接触するようになる。ところが、第2のダイヤモンド砥石体は凹欠部内に設けられているので、回転速度は遅いが、突起部の頂部も小さいほか、第2のダイヤモンド砥石体にも加振力が伝わって短時間で削り落とされる。このように、第2のダイヤモンド砥石体で突起部を積極的に削り落とすことができるので、穿孔速度は落ちない。
【0021】
このように、上記ドリル工具によれば、使い始めから使い終わりまでほぼ一定の穿孔性能を保持することができるとともに、押圧作業を補助するため、ダイヤモンドビットをコンクリート等に食い込ませる押し方向とその逆方向とに加振し、この脈動によって軽い力でも大きな食い込み力が得られて効率的に穿孔できる。
【0022】
しかも、加振によりダイヤモンドビットに対して押し引きするように力が加えられるから、引いて力を抜いたときに摩擦熱を逃がすことになり、ダイヤモンドビットの寿命を長くすることができる。
【0023】
さらに、突起部を第2のダイヤモンド砥石体で削っているので、第2のダイヤモンド砥石体で削った研削粉は第1のダイヤモンド砥石体で削った研削粉と同様な状態を呈しており、特別な手順を必要とせずに両研削粉の排出を併せて行うことができる。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、さらに、ダイヤモンドビットにおいては、第1のダイヤモンド砥石体の先端面の内側は略すり鉢状に形成されているので、上記先端面の外周縁はコンクリート等の被穿孔材に対する食い込みがよく、また、ビットの外周側の回転速度は速く、回転速度が遅い内側に比べて加工能力は高い。したがって、ドリル工具をコンクリートに押し付け始めたとき、上記外周縁から削りが始まり、加工能力の低い内周側部分はコンクリート面には当たらない。このため、使いはじめから速い速度で穿孔することができる。
【0025】
請求項3に係る発明によれば、さらに、上記第2のダイヤモンド砥石体の高さを、上記第1のダイヤモンド砥石体の外周面が穿孔の直進性をガイドできる最低の高さと略等しくしたので、穿孔作業において第2のダイヤモンド砥石体の磨り減り具合によって使い終わりを知ることができるとともに、使い終わり時でも穿孔直進性を良好にガイドすることもできる。
【0026】
請求項4に係る発明によれば、さらに、穿孔作業により第2のダイヤモンド砥石体が摩耗して孔の中央に円錐形状に削り残された突起部の頂部が上記ベースに接触したときに残った第1のダイヤモンド砥石体の外周面の高さは、直進性をガイドできる最低の高さに設定されているから、上記突起部がベースに接触すると、ベースには穿孔性能はないから、穿孔速度が著しく遅くなる。また、ベースの露出面ははっきりと視認できる。したがって、ドリル工具の使い終わりの時期を確実に知ることができる。また、使い終わったときでも第1のダイヤモンド砥石体の外周面により直進性のガイドが確保され、使い終るまで穿たれた孔は曲がることがないので、アンカー等の部材を正しく保持することができる。さらに、第2のダイヤモンド砥石体の量も最小限に抑えることができる。
【0027】
請求項5に係る発明によれば、さらに、第1のダイヤモンド砥石体と第2のダイヤモンド砥石体が別体であると、被穿孔材がコンクリートやモルタルや軽量ブロックのように石が混入しているものであるか、混入していないものであるか等によって削り残しの突起部の形状が変わり、ビットの使い勝手が変わってくるので、被穿孔材に対応して第2のダイヤモンド砥石体の組成を変えることによって最適なものにすることができる。
【0028】
また、被穿孔材に応じて第1のダイヤモンド砥石体と第2のダイヤモンド砥石体との双方の組成を変えることにより、穿孔に最適なものにすることができる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、ビット駆動軸の回転トルクを駆動源の出力と加振モーメントとを足し合わせたものとすることができ、駆動源の出力だけによる回転トルクよりも増加させた状態を得られる。したがって、小さな押付力での穿孔が可能となって穿孔速度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図面によって本発明に係るドリル工具の実施形態について説明する。図1において符号1はドリル工具を示す。このドリル工具1は、工具本体2に収容した駆動源によりビット駆動軸3を回転駆動して、前記工具本体2の前方に突出させたビット駆動軸3の先端に取り付けたダイヤモンドビット4を回転させることによりコンクリートに穿孔させるようにしたものである。以下、工具本体とビットについて順次説明する。
【0031】
工具本体2には図2に示されるように、駆動源として電力で作動する加振装置用モータ5とビット駆動軸用モータ6とが設けられている。加振装置用モータ5は加振装置7に作動連結されている。すなわち、図3に示されるように、加振装置用モータ5の出力軸8にはベベルギア9が固定され、このベベルギア9の左右両側には互いに対向する2つのベベルギア10、11が噛合している。対向する各ベベルギア10、11の回転軸13、14にはそれぞれ偏心ウエイト15、16が一体的に固定されている。偏心ウエイト15、16は半円状に形成され、中心には軸孔が形成されている。偏心ウエイト15、16はそれぞれベベルギア10、11と一体に回転する。
【0032】
上記構成によれば、加振装置用モータ5を作動させることにより、その回転力はベベルギア9、10、11を介して偏心ウエイト15、16に伝達され、対向する2つの偏心ウエイト15、16は互いに逆方向に回転する。
【0033】
次に、図2に示されるように、ビット駆動軸用モータ6の出力軸17には歯車18が形成され、この歯車は中間の減速歯車19を介してビット駆動軸3の歯車20に噛合している。ビット駆動軸3は工具本体2の前方に突出している。ビット駆動軸3の先端にはダイヤモンドビット4が設けられている。
【0034】
ところで、図3に示されるように、加振装置用モータ5の出力軸8とビット駆動軸3は同一軸線P上にあり、また上記2つの偏心ウエイト15、16は、ビット駆動軸3の軸線Pの互いに反対側でかつ上記軸線Pに直交する同一軸線Q上に、軸線P、Qの交点から等距離の位置に対向するように配置されている。また、2つの偏心ウエイト15、16は工具本体2をア側からみたときと反対のイ側からみたときとで、一方が前方又は後方を向いているときは、他方も同じ側を向くように配置されている。
【0035】
次に、上記工具本体2の作動態様について説明する。まずメインスイッチ22を入れると、ビット駆動軸用モータ6が作動し、続いて加振装置用モータ5が作動する。
【0036】
このように、ビット駆動軸用モータ6が作動すると、出力軸17の回転は歯車18、19、20を介してビット駆動軸3に伝達され、先端のダイヤモンドビット4も回転するから、ダイヤモンドビット4をコンクリートに押し付けることによりコンクリート12を穿孔することができる。
【0037】
次に、ビット駆動軸用モータ6の回転作動に遅れて加振装置用モータ5が作動する。このモータの出力軸8の回転はベベルギア9を介して対向するベベルギア10、11に伝達されるから、対向する2つの偏心ウエイト15、16は同時に逆方向に回転作動する。
【0038】
ところで、偏心ウエイト15、16が互いに逆回転することにより、1回転の位相を90°ずつずらしてみると、図3のように、ドリル工具には次のような力が加えられる。
(1)のときは偏心ウエイト15は上方、偏心ウエイト16は下方に回転し、工具本体2に捩り力を加える。
(2)のときは偏心ウエイト15は前方(ダイヤモンドビット4側)、偏心ウエイト16も前方に回転し、工具本体2に加振力を加える。
(3)のときは偏心ウエイト15は下方、偏心ウエイト16は上方に回転し、工具本体2に捩り力を加える。
(4)のときは、偏心ウエイト15は後方、偏心ウエイト16も後方に回転し、工具本体2に加振力を加える。
【0039】
このように、工具本体2には、ビット駆動軸3の回転に対して、大きさが脈動して変化し、上記(2)(4)のときは、図3の矢印Aに示されるように、ビット駆動軸3に沿った同位相の加振力、(1)(3)のときには、同図の矢印Bに示されるように、ビット駆動軸3の回転方向へ捩り力に基づく逆位相の加振モーメントがそれぞれ付与されることになる。
【0040】
上述のように、上記工具本体によれば、ビット駆動軸3の軸線方向に作用して大きさが脈動する加振力と、ビット駆動軸の回転方向に作用して大きさが脈動する加振モーメントとをビット駆動軸に発生させるので、ドリル工具の押付力を作業者の押付力と加振力との総和とすることができ、加振力によって駆動源の出力だけによる回転トルクよりも増加させて作業者の押付力を補うことができる。したがって、小さな押付力での穿孔が可能となり、穿孔速度の向上を図ることができる。
【0041】
次に、ビット駆動軸3の先端に取り付けられたダイヤモンドビット4について説明する。図4はダイヤモンドビット4の斜視図、図5(a)はその平面図、同図(b)は同図(a)の正面図であり、同図(c)はその底面図である。
【0042】
上図において、ダイヤモンドビット4は、ベース24と、該ベース24に設けられた第1のダイヤモンド砥石体25と、第1のダイヤモンド砥石体25の内側に設けられた第2のダイヤモンド砥石体26とから構成されている。
【0043】
ベース24は鉄製で、一辺に欠円部を有する略長方形の台座部24aの一側に雄ネジ部27を、他側に凸部28を形成したもので、雄ネジ部27は図5(b)に示すように、上記工具本体2のビット駆動軸3の先端の雌ネジ部29に螺合可能に形成されている。また、凸部28は第1のダイヤモンド砥石体25の底部に形成された凹部30に嵌合可能に形成されている。
【0044】
第1のダイヤモンド砥石体25は、一側に開口する凹欠部31を有する円柱状をなし、銅すず合金の粒とダイヤモンド粒とを混合して焼結した焼結体であるが、第1のダイヤモンド砥石体25の基部の層25aはダイヤモンド粒のないダイヤ無層となっている。そして、上記凹部30はこのダイヤ無層25aの中心部に形成され、この凹部30にベース24の凸部28を嵌合してロウ付け固定されている。ダイヤ無層25aに穿孔能力はないので、この部分は機能的にはベース24の一部を構成するものである。
【0045】
なお、第1のダイヤモンド砥石体25のダイヤ無層25aは、その中心部にベース24の凸部28に嵌合するための凹部30を形成してベース24とダイヤモンド砥石体との接触面積を大きくしてベース24から第1のダイヤモンド砥石体25が剥がれにくくするためのものであるから、必ずしも必要ではない。ダイヤ無層のない第1のダイヤモンド砥石体を直接にベースに固定してもよい。さらに、第1のダイヤモンド砥石体25の外周面32は穿孔が真直に進むようにガイドする機能を有するが、ダイヤ無層25aとベースはダイヤモンド粒を含まないので、その外周面32は徐々に磨り減ってしまうから、直進のガイドはできない。
【0046】
また、上記凹欠部31は平面視扇形に形成され、その基部31aはダイヤモンドビット4の中心Oを越えるように形成されている。さらに、第1のダイヤモンド砥石体25の先端面のリング状外周縁33の内側の内周面34は略すり鉢状の凹形状に形成されている。この略すり鉢状の内周面34の傾斜角度は、従来のダイヤモンドビット4を使ったときにできる円錐状の削り残しによる突起部(図9に符号35で示す)の斜面の傾斜角度と略等しくなるように形成されている。
【0047】
第1のダイヤモンド砥石体25の凹欠部31は、主に穿孔時に削り取られたコンクリートの研削粉を外部に排除するための部分であるから、必ずしも平面視扇形に形成されている必要はない。
【0048】
次に、第2のダイヤモンド砥石体26も第1のダイヤモンド砥石体25と同じ構成の焼結体で、第1のダイヤモンド砥石体25の凹欠部31の、内側形状と同じ外側形状を有するとともに、凹欠部31よりも小さく形成され、第1のダイヤモンド砥石体25の凹欠部31に露出したダイヤ無層25aの先端面にロウ付け固定されている。したがって、第2のダイヤモンド砥石体26は第1のダイヤモンド砥石体25の凹欠部31の外側の端部よりも内側にセットバックするように配置されている。
【0049】
また、第2のダイヤモンド砥石体26の第1のダイヤモンド砥石体25よりも低く形成されている。その高さは、第1のダイヤモンド砥石体25の外周面32(ダイヤ無層25aを除く。以下同じ)が穿孔の直進性をガイドできる最低の高さhと略等しくなるように設定され、第1のダイヤモンド砥石体25の直径が16mm程度であれば、直進をガイドできる高さは最低6mm前後である。
【0050】
次に、上記構成のダイヤモンドビット4を工具本体2に取り付けるときは、図6のように工具本体2のビット駆動軸3の先端にねじ込みによって固定すればよい。そこで、上記構成のドリル工具の作動態様について説明する。
【0051】
コンクリートに穿孔するにあたっては、上記ダイヤモンドビット4を回転させて図7のように第1のダイヤモンド砥石体25の先端をコンクリート12に押し付けると、コンクリート12はダイヤモンドビット4との接触部分から削られて孔開け加工がなされていく。36はその孔を示す。この場合、ドリル工具の工具本体2は、大きさが脈動して上記ビット駆動軸3に沿って変化する加振力を上記工具本体2に発生させる加振装置が設けられているから、これにより、ビット駆動軸3に沿って大きさが脈動する加振力とビット駆動軸3の回転方向に大きさが脈動する加振モーメントとを効率よく発生させることができる。また、押圧作業を補助するため、ダイヤモンドビットをコンクリート等に食い込ませる押し方向と逆方向に加振し、この脈動によって軽い力でも大きな食い込み力が得られて効率的に穿孔できる。軽い力でも所定の穿孔性能を出すことができる。
【0052】
ところで、ダイヤモンドビット4の外周縁33の内周面34はすり鉢状に形成されているので、まずダイヤモンドビット4の外周縁33がコンクリート12に接触する。図8に示すように、ダイヤモンドビット4の外周側の回転速度v1は速く、内周側の回転速度v2は遅いから、外周側の方が内側に比べて加工能力は高い。したがって、ダイヤモンドビット4をコンクリート12に押し付け始めたとき、食いこみのよい外周縁33から削りが始まり、加工能力の低い内側部分はコンクリート12面には当たらない。このため、使いはじめから速い速度で穿孔することができる。
【0053】
やがてダイヤモンドビット4の内周面34もコンクリート12に接触し、ダイヤモンドビット4の先端全面で削りが進むことになる。ダイヤモンドビット4の中心側では円錐形の削り残し突起部35ができ、これが成長していくが、コンクリート12には石粉などが含まれているので、成長すると回転による振動などで割れたり砕けたりして自然に凹欠部31から排出されるので、中心側の能力は小さくてもよく、穿孔速度への影響は小さい。削られた研削粉は凹欠部31からベース24の側部を経てビット駆動軸側に排出される。凹欠部31はダイヤモンドビット4の中心を含むように形成されているから、図8のように、1回転したときにダイヤモンドビット4の全周面をカバーできるので、削られた研削粉はすべて凹欠部31から排出される。
【0054】
穿孔作業を繰り返すうちに第1のダイヤモンド砥石体25が磨り減っていき、やがて図9のようにコンクリート12の突起部35の頂部38が第2のダイヤモンド砥石体26に接触するようになる。第2のダイヤモンド砥石体26は第1のダイヤモンド砥石体25の中心を含むように形成されているので、回転速度は遅いが、突起部35の頂部38は小さいほか、
第2のダイヤモンド砥石体26にも加振力が加わるので、その衝撃により短時間で削り落とされる。このように、第2のダイヤモンド砥石体26で突起部35を積極的に削ることができるので、穿孔速度は落ちない。また、突起部35を第2のダイヤモンド砥石体26で削っているので、その研削粉は第1のダイヤモンド砥石体25で削った研削粉と同様な状態を呈しており、特別な手順を必要とせずに両研削粉の排出を併せて行うことができる。このように、第2のダイヤモンド砥石体26で突起部35を積極的に削ることができるので、コンクリート12のダイヤモンドビット4に当たる外側部分は第1のダイヤモンド砥石体25によって削られ、内側部分は第2のダイヤモンド砥石体26によって補助的に削られていく。
【0055】
さらに、穿孔が進み、第1のダイヤモンド砥石体25が磨り減って図10のように第2のダイヤモンド砥石体26の表面に平らな部分がなくなり、ここもすり鉢状になってくると、第1のダイヤモンド砥石体25の外周面の高さは第2のダイヤモンド砥石体26の各外周面32の高さにだんだん近づく。図5(b)に示されるように、第2のダイヤモンド砥石体26の高さhは、第1のダイヤモンド砥石体25の外周面32が穿孔の直進性をガイドできる最低の高さと略等しくなるように設定されているから、それ以上使い続けると、第1のダイヤモンド砥石体25自体が穿孔直進性をガイドすることができなくなる。また、使い終わったときでも第1のダイヤモンド砥石体25の外周面32により直進性のガイドが確保され、使い終るまで穿たれた孔は曲がることがないので、アンカー等の部材を正しく保持することができる。
【0056】
なお、上述のように、ベース24(ダイヤ無層25aを含む)はダイヤモンド粒を含まないので、その外周面は徐々に磨り減ってしまい、直進のガイドはできない。
【0057】
上述の構成のダイヤモンドビット4によれば、次のような効果が期待できる。すなわち、第1のダイヤモンド砥石体25の先端面の内側には略すり鉢状の内周面34が形成されている。しかも、図9に示されるように、上記内周面34の傾斜は、従来のダイヤモンドビット4を使ったときにできる円錐状の突起部35の斜面の角度と略等しくなるように形成されているから、ダイヤモンドビット4の先端ははじめから理想的な形状となっている。したがって、使い初めから所定の性能を発揮して速い速度で穿孔することができる。
【0058】
また、孔開け作業に伴い、穿たれた孔36の先端の中心には円錐状突起部35ができるが、その頂部38が第2のダイヤモンド砥石体26に当たると、コンクリート12のダイヤモンドビット4に当たる外側部分は第1のダイヤモンド砥石体25によって削られ、内側部分は第2のダイヤモンド砥石体26によって補助的に削られるので、穿孔速度は落ちることがない。
【0059】
さらに、第2のダイヤモンド砥石体26の表面が磨り減ってすり鉢形になってしまうと、その高さは第1のダイヤモンド砥石体25の外周面32が穿孔の直進性をガイドできる最低の高さとほぼ等しくなるから、それ以上の穿孔は直進のガイドを担保できないということになる。したがって、第2のダイヤモンド砥石体26の減り具合をみて、そのダイヤモンドビット4の使用限度とダイヤモンドビット4の交換の時期を知ることができる。また、使い終わるまで穿たれた孔36は曲がることがないので、アンカー等の部材を正しく保持することができる。
【0060】
なお、穿孔時に孔36の中央に発生した突起部35の頂部38がベース24に接触したときに第1のダイヤモンド砥石体25の外周面32の高さが直進性をガイドできる最低の高さhとなるように調整してもよい。例えば、図11(a)に示したように、突起部35の頂部38がベース24に接触したときの第1のダイヤモンド砥石体25の外周面32の高さがガイド可能な最低の高さhとなるように調整するのが最も望ましい。このときに第1のダイヤモンド砥石体25の外周面32の高さが上記高さhよりも低くなってしまうときは、同図(b)のように、ベース24に不足分の段部39aを継ぎ足して第2のダイヤモンド砥石体26を固定し、また、このときに第1のダイヤモンド砥石体25の外周面32の高さが上記高さhよりも高くなってしまうときは、同図(c)のように、ベース24に凹部39bを形成してそこに第2のダイヤモンド砥石体26を固定するようにすればよい。
【0061】
上記構成によれば、穿孔作業により第2のダイヤモンド砥石体26が摩耗して孔の中央に円錐形状に削り残された突起部35の頂部38が上記ベース24に接触したときに残った第1のダイヤモンド砥石体25の外周面32の高さは、直進性をガイドできる最低の高さhに設定されているから、使い終わったときにも直進性のガイドが確保される。また、上記突起部35がベース24に接触すると、ベース24には穿孔性能はないから、穿孔速度が著しく遅くなる。また、ベース24の露出面ははっきりと視認できる。したがって、ダイヤモンドビット4の使用限度と使い終わりの時期を確実に知ることができる。また、第2のダイヤモンド砥石体26の量も最小限に抑えることができる。
【0062】
以上詳しく説明したように、ドリル工具の工具本体2は、大きさが脈動して上記ビット駆動軸3に沿って変化する加振力を上記工具本体2に発生させる加振装置が設けられているから、これにより、ビット駆動軸3に沿って大きさが脈動する加振力とビット駆動軸3の回転方向に大きさが脈動する加振モーメントとを効率よく発生させることができる。
【0063】
これに加え、上記ビット駆動軸に取り付けられるダイヤモンドビット4は、第1のダイヤモンド砥石体25の先端面の内周面34が略すり鉢状に形成されているので、上記先端面の外周縁はコンクリートに対する食い込みがよく、また、ダイヤモンドビット4の外周側の回転速度は速く、回転速度が遅い内側に比べて加工能力は高い。したがって、ドリル工具をコンクリートに押し付け始めたとき、上記外周縁から削りが始まり、加工能力の低い内周側部分はコンクリート面には当たらない。このため、使いはじめから速い速度で穿孔することができる。
【0064】
また、穿孔作業を繰り返すうちに第1のダイヤモンド砥石体25が磨り減っていき、やがて孔36の先端中央に削り残された円錐状の突起部35の頂部38が第2のダイヤモンド砥石体26に接触するようになる。ところが、第2のダイヤモンド砥石体は凹欠部31内に設けられているので、回転速度は遅いが、突起部35の頂部38は小さいほか、第2のダイヤモンド砥石体にも加振力が加わるので、その衝撃により短時間で削り落とされる。このように、第2のダイヤモンド砥石体26で突起部35を積極的に削ることができるので、穿孔速度は落ちない。また、突起部35を第2のダイヤモンド砥石体26で削っているので、第2のダイヤモンド砥石体26で削った研削粉は第1のダイヤモンド砥石体25で削った研削粉と同様な状態を呈しており、特別な手順を必要とせずに両研削粉の排出を併せて行うことができる。
【0065】
以上のように、上記ドリル工具によれば、使い始めから使い終わりまでほぼ一定の穿孔性能を保持することができる。
【0066】
また、押圧作業を補助するため、ダイヤモンドビット4をコンクリート等に食い込ませる押し方向とその逆方向とに加振し、この脈動によって軽い力でも大きな食い込み力が得られて効率的に穿孔できる。軽い力でも所定の穿孔性能を出すことができる。
【0067】
さらに、加振によりダイヤモンドビット4を押し引きするように力を加えることになるので、引いて力を抜いたときに摩擦熱を逃がすことになるので、ダイヤモンドビット4の寿命を長くすることができる。
【0068】
さらにまた、第2のダイヤモンド砥石体26の高さを、上記第1のダイヤモンド砥石体25の外周面が穿孔の直進性をガイドできる最低の高さと略等しくしたので、穿孔作業において第2のダイヤモンド砥石体の磨り減り具合によって使い終わりを知ることができるとともに、使い終わり時でも穿孔直進性を良好にガイドすることもできる。
【0069】
加えて、穿孔作業により第2のダイヤモンド砥石体26が摩耗して孔の中央に円錐形状に削り残された突起部35の頂部38が上記ベース24に接触したときに残った第1のダイヤモンド砥石体25の外周面の高さは、直進性をガイドできる最低の高さに設定されているから、上記突起部35がベース24に接触すると、ベース24には穿孔性能はないから、穿孔速度が著しく遅くなる。また、ベース24の露出面ははっきりと視認できる。したがって、ドリル工具の使い終わりの時期を確実に知ることができる。また、使い終わったときでも第1のダイヤモンド砥石体25の外周面により直進性のガイドが確保され、使い終るまで穿たれた孔は曲がることがないので、アンカー等の部材を正しく保持することができる。さらに、第2のダイヤモンド砥石体26の量も最小限に抑えることができる。
【0070】
なお、第1のダイヤモンド砥石体と第2のダイヤモンド砥石体が別体であると、被穿孔材がコンクリートやモルタルや軽量ブロックのように石が混入しているものであるか、混入していないものであるか等によって削り残しの突起部の形状が変わり、ビットの使い勝手が変わってくるので、被穿孔材に対応して第2のダイヤモンド砥石体26の組成を変えることによって最適なものにすることができる。
【0071】
また、被穿孔材に応じて第1のダイヤモンド砥石体25と第2のダイヤモンド砥石体26との双方の組成を変えることにより、穿孔に最適なものにすることができる。
【0072】
さらに、ビット駆動軸に沿った大きさが脈動する加振力とビット駆動軸の回転方向へ大きさが脈動する加振モーメントとを効率よく発生させることができる。
【0073】
なお、上述した実施例において、加振装置用モータ5の出力軸8と、ビット駆動軸3とを同一軸線P上に配置した例を示したが、必ずしもこの構成に限定されず、出力軸8とビット駆動軸3とを偏倚させて設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】コンクリート用ドリル工具の斜視図である。
【図2】上記ドリル工具の縦断面図である。
【図3】上記ドリル工具の平面の要部断面図と偏心ウエイトと力の関係図
【図4】上記ドリル工具に用いられたダイヤモンドビットの斜視図
【図5】(a)(b)(c)はそれぞれ上記ダイヤモンドビットの平面図、正面図及び底面図
【図6】上記ダイヤモンドビットの使い始めの正面図
【図7】上記ダイヤモンドビットの使い途中の正面図
【図8】突起部の削り態様を平面から示した説明図
【図9】上記ダイヤモンドビットの使い終りちかくの正面図
【図10】上記ダイヤモンドビットの使い終り時の正面図
【図11】(a)(b)(c)はそれぞれ第2のダイヤモンド砥石体の取付態様を示す断面図
【図12】(a)(b)(c)は従来のドリル工具の使用による摩耗状態の説明図
【符号の説明】
【0075】
1 ドリル工具
2 工具本体
3 ビット駆動軸
4 ダイヤモンドビット
24 ベース
25 第1のダイヤモンド砥石体
26 第2のダイヤモンド砥石体
31 凹欠部
【出願人】 【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】 【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫


【公開番号】 特開2008−37059(P2008−37059A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−217771(P2006−217771)