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【発明の名称】 ソーイングストリップの使用下に円筒状のワークから多数のウェーハを同時にスライス切断するためのソーイングストリップならびに方法
【発明者】 【氏名】ペーター ヴィースナー

【要約】 【課題】切り口の終端範囲で生じる局所的なうねりを一層著しく減少させる。

【構成】ソーイングストリップ1が、その長手方向に対して直角に凹面状に湾曲させられた、ワーク2との結合のために設けられた第1の面4と、該第1の面に背中合わせで位置する、マウントプレートとの結合のために設けられた第2の面5と、第1の面と第2の面とを結ぶ2つの側面6,7とを有しており、当該ソーイングストリップの両縁辺8,9が、互いに所定の間隔aを有しており、仮想の直線10が、第1の面4に沿って第2の面5に対する第1の面の最小間隔dを特徴付けており、側面6,7が、仮想の直線10の高さで間隔dに対して直角に測定された間隔bを有しており、間隔bが間隔aよりも小さく形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ円筒状のワーク(2)からワイヤソーによって複数のウェーハをスライス切断する際にワーク(2)を位置固定するためのソーイングストリップ(1)であって、該ソーイングストリップ(1)が、その長手方向に対して直角に凹面状に湾曲させられた、ワーク(2)との結合のために設けられた第1の面(4)と、該第1の面(4)に背中合わせで位置する、マウントプレートとの結合のために設けられた第2の面(5)と、第1の面(4)と第2の面(5)とを結ぶ2つの側面(6,7)とを有しており、当該ソーイングストリップ(1)の、前記側面(6,7)と第1の面(4)とが突き合わされている両縁辺(8,9)が、互いに所定の間隔aを有しており、仮想の直線(10)が、第1の面(4)に沿って第2の面(5)に対する第1の面(4)の最小間隔dを特徴付けており、前記側面(6,7)が、前記仮想の直線(10)の高さで前記間隔dに対して直角に測定された間隔bを有している形式のものにおいて、前記間隔bが前記間隔aよりも小さく形成されていることを特徴とするソ―イングストリップ。
【請求項2】
0.5・a<b<0.96・aの関係が成立する、請求項1記載のソーイングストリップ。
【請求項3】
0.6・a<b<0.75・aの関係が成立する、請求項1記載のソーイングストリップ。
【請求項4】
ほぼ円筒状のワークから多数のウェーハを同時にスライス切断するための方法であって、ソーイングストリップに結合されたワークと、ワイヤソーのワイヤ格子体とが、送り装置によって、ワークの長手方向に対して直角に向けられた相対運動を実施し、該相対運動によってワークをワイヤ格子体に通して案内する形式の方法において、請求項1から3までのいずれか1項記載のソーイングストリップを使用することを特徴とする、ほぼ円筒状のワークから多数のウェーハを同時にスライス切断するための方法。
【請求項5】
ワークをスライス切断の開始前にパテまたは接着剤による接合によってソーイングストリップに結合する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
切断時に少なくとも1つのノズルユニットを用いてワイヤ格子体に、液体中に懸濁された硬質物粒子を含有しているソーイング懸濁液を噴霧する、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
ソーイング懸濁液の温度を切削距離の最後の10%で高める、請求項4から6までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーイングストリップ(Saegeleiste)ならびに該ソーイングストリップの使用下に実施される、円筒状のワーク、特に半導体材料から成るワークから多数の円盤もしくはウェーハを同時にスライス切断するための方法であって、ワークと、ワイヤソーのワイヤ格子体とが、送り装置によって、ワークの長手方向に対して直角に向けられた相対運動を実施し、該相対運動によってワークをワイヤ格子体に通して案内する形式の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハは一般に、半導体材料から成る円筒状の単結晶性または多結晶性のワークをワイヤソーによって1回の作業工程で多数の半導体ウェーハに同時にスライス切断することにより製造される。
【0003】
このようなワイヤソーの重要なコンポーネントには、機械フレームと送り装置とソーイング工具とが所属している。このソーイング工具は複数の平行なワイヤ区分から成る格子体(ワイヤ列)から成っている。ワークは、一般にパテまたは接着剤による接合によって、いわゆるソーイングストリップ(Saegeleiste)上に位置固定される。ソーイングストリップはマウントプレートに固定され、これによりワークはワイヤソーに緊締される。ソーイングストリップの種々の形式は米国特許第6035845号明細書に開示されている。公知先行技術によるソーイングストリップは、ほぼ方形の横断面により特徴付けられる。この場合、ソーイングストリップの片側の面は凹面状の湾曲により、ワークの円筒状の形状に適合される。
【0004】
一般に、ワイヤソーのワイヤ格子体は互いに平行な多数のワイヤ列もしくはワイヤ区分により形成される。これらのワイヤ区分は少なくとも2つのワイヤガイドローラの間に張設される。この場合、ワイヤガイドローラは回転可能に支承されており、これらのワイヤガイドローラのうちの少なくとも1つが駆動される。これらのワイヤ区分は一般に唯1本の有限のワイヤに所属している。このワイヤは螺旋状にローラシステムを巡って案内されていて、貯えローラから収容ローラへ繰り出される。
【0005】
ソーイング過程の間、送り装置はワイヤ区分とワークとの互いに向けられた相対運動を生ぜしめる。この送り運動の結果として、ソーイング懸濁液で負荷されたワイヤは平行な複数のソーイングギャップを形成しながらワークを貫通する。「スラリ」とも呼ばれるソーイング懸濁液は硬質物粒子、たとえば炭化ケイ素から成る硬質物粒子を含有しており、これらの硬質物粒子が液体中に懸濁されている。強固に結合された硬質物粒子を有するソーイングワイヤを使用することもできる。この場合には、ソーイング懸濁液による負荷は必要とならない。液状の冷却潤滑剤を添加して、ワイヤとワークとを過熱に対して保護すると同時に切削ギャップからワークチップを搬出するだけでよい。
【0006】
円筒状の半導体材料、たとえば単結晶インゴットからの半導体ウェーハの製造はソーイング法に対して高い要求を課している。ソーイング法は一般に、ソーイングされた各半導体ウェーハが、できるだけ平坦であってかつ互いに平行に向かい合って位置する2つの面を有することを目標としている。
【0007】
厚さ変動の他に、半導体ウェーハの両面の平坦度が極めて重要となる。ワイヤソーを用いた半導体単結晶、たとえばシリコン単結晶のスライス切断後に、これにより形成されたウェーハは波状のうねりを有する表面を有している。逐次ステップ、たとえば研削またはラッピングにおいて、このうねり(Welligkeit)は、うねりの波長さおよび振幅ならびに材料除去の深さに関連して部分的にまたは完全に除去され得る。最も不都合な場合には、このうねりの残分が研磨の後でもまだ、完成した半導体ウェーハにおいて検出されてしまう。完成した半導体ウェーハにおいて、このようなうねりの残分は局所的なジオメトリ(幾何学的形状)に不都合に作用する。付与されたこれらのうねりの程度は、ソーイングされたウェーハにおける種々の個所毎に互いに異なっている。特に問題となるのは、切り口の終端範囲である。切り口の終端範囲では、特に強力に付与されたうねりが出現する恐れがあり、このようなうねりは逐次ステップのタイプに応じて、最終製品においても検出可能となる。
【0008】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005007312号明細書に基づき、公知先行技術によるソーイングプロセスの際に生じる、切り口の終端範囲における波状隆起部もしくはうねりが、円筒状のワークの軸方向端部で切断されたウェーハにおいて特に強力に付与されていることが知られている。それに対して、ワークの中央部(軸方向で見て)では、切断されたウェーハは切り口の終端範囲にほとんどうねりを有しない。さらに、ソーイング懸濁液により形成された軸方向の動圧勾配が、ソーイングプロセスの終了時に生じるうねりの原因であることが確認された。それにゆえに、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005007312号明細書に記載の方法では、ワイヤ格子体を負荷するソーイング懸濁液の量が減じられ、これにより、ソーイングされた半導体ウェーハの切り口の終端範囲におけるうねりが減じられる。しかし、このような手段は、局所的なジオメトリに課せられる、増大する要求に応えるためには不十分であることが判った。
【特許文献1】米国特許第6035845号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005007312号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、切り口の終端範囲で生じる局所的なうねりを一層著しく減少させることのできるソーイングストリップを提供することである。
【0010】
さらに本発明の課題は、このようなソーイングストリップを用いて実施される、円筒状のワークから多数の円盤もしくはウェーハを同時にスライス切断するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するために本発明のソーイングストリップの構成では、ほぼ円筒状のワークからワイヤソーによって複数のウェーハをスライス切断する際にワークを位置固定するためのソーイングストリップであって、該ソーイングストリップが、その長手方向に対して直角に凹面状に湾曲させられた、ワークとの結合のために設けられた第1の面と、該第1の面に背中合わせで位置する、マウントプレートとの結合のために設けられた第2の面と、第1の面と第2の面とを結ぶ2つの側面とを有しており、当該ソーイングストリップの、前記側面と第1の面とが突き合わされている両縁辺が、互いに所定の間隔aを有しており、仮想の直線が、第1の面に沿って第2の面に対する第1の面の最小間隔dを特徴付けており、前記側面が、前記仮想の直線の高さで前記間隔dに対して直角に測定された間隔bを有している形式のものにおいて、前記間隔bが前記間隔aよりも小さく形成されている、つまり第1の面に沿って第2の面に対する第1の面の最小間隔dに対して直角に測定された間隔bが、前記両縁辺の相互間隔aよりも小さく形成されているようにした。
【0012】
さらに上記課題を解決するために本発明の方法では、ほぼ円筒状のワークから多数のウェーハを同時にスライス切断するための方法であって、ソーイングストリップに結合されたワークと、ワイヤソーのワイヤ格子体とが、送り装置によって、ワークの長手方向に対して直角に向けられた相対運動を実施し、該相対運動によってワークをワイヤ格子体に通して案内する形式の方法において、本発明によるソーイングストリップを使用するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、切り口の終端範囲で生じる局所的なうねりを一層著しく減少させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。
【0015】
ソーイングストリップは長細いストリップ(条片)である。このストリップは適当な材料、たとえばグラファイト、ガラス、プラスチック等から製作されている。ソーイングストリップはワイヤソーイングプロセスの間、ワークを位置固定するために設けられている。公知先行技術によるソーイングストリップは、ほぼ方形の横断面により特徴付けられている。ただし、円筒状のワークを位置固定するために設けられた面は、ワークに対応する凹面状の湾曲を有しているので、ソーイングストリップの形状はワークの形状に適合される。本発明によれば、公知先行技術の場合と同様に、ソーイングストリップにおけるワークの位置固定は有利にはパテ(Aufkitten)または接着剤による接合により行われる。ワークの形状への適合により、できるだけ大きな接着面が達成され、したがってワークとソーイングストリップとの間のできるだけ大きな結合力が達成される。ソーイングストリップの形状は一般に以下のように記述され得る:
まず規定されるのは、「ソーイングストリップ1の長手方向」とは、ソーイングストリップに結合されたワーク2の長手方向軸線3に対して平行な方向を意味することである。前で述べたように、ソーイングストリップ1はその長手方向に対して垂直な方向で凹面状に湾曲させられた第1の面4を有しており、この第1の面4はワーク2との結合のために設けられている。第1の面4に背中合わせで第2の面5が位置している。第2の面5はマウントプレート(図示しない)との結合のために設けられている。第1第2の面4,5は2つの側面6,7によって互いに結合される。側面6,7と第1の面4とが突き合わされている両縁辺8,9は相互間隔aを有している。第1の面4の真ん中の範囲では、直線10を規定することができる。この直線10は長手方向で第1の面4に沿って、第2の面5に対して最小間隔dを有する全ての点を通って延びている。言い換えれば、この直線10は長手方向(つまりソーイングストリップに結合されたワークの長手方向3に対して平行な方向)において、ソーイングストリップ1が最小厚さを有している個所に沿って延びている。この場合、この最小厚さは間隔dと同義である。直線10は、ワイヤ格子体がソーイングプロセスの終了時にワーク2から進出する個所に位置している。ソーイングストリップを特徴付ける別の寸法は、直線10に直角に交差し、間隔dに対して直角に位置しかつ側面6,7に終点を有する区間の長さbである。言い換えれば、長さbは直線10の高さで測定した、両側面6,7の間の間隔である。
【0016】
本発明によるソーイングストリップ1(図2)は、間隔bが間隔aよりも小さく形成されていることにより特徴付けられる。0.5・a<b<0.96・aの関係が成立すると有利である。0.6・a<b<0.75・aの関係が成立すると特に有利である。
【0017】
それに比べて、公知先行技術(図1)によるソーイングストリップでは、間隔aと間隔bとが等しい大きさに形成されている。
【0018】
本発明によるソーイングストリップの使用は意想外にも、切り終わり範囲(Aussaegebereich)において著しく減じられたうねりをもたらす。この作用がどのような効果に基づいているのかは明らかでない。しかし、本発明と関連して実施された実験の経過中に、以下の観察が行われた:
ソーイング過程の間、ワイヤ格子体はソーイング懸濁液で負荷される。ワイヤ区分はソーイング懸濁液をワークに向かって高い速度で搬送して、切削ギャップ内へ導入する。これらの切削ギャップ内では、ソーイング懸濁液がその研削作用(abrasiv. Wirkung)を発揮する。ワイヤ格子体が、ほぼ方形の横断面を有する公知先行技術によるソーイングストリップ内へ侵入するやいなや、ソーイング懸濁液の一部が、ソーイングストリップの真っ直ぐな側面への衝突によってワイヤ運動とは逆向きの方向へ大きく跳ね返され、この場合、跳ね返されたソーイング懸濁液の一部が再び、ワイヤ格子体の、ワークの方向に走行するワイヤ区分に衝突することが観察され得る。それに対して、本発明によるソーイングストリップへの切り込みの際には、ソーイング懸濁液の一部が、ソーイングストリップの斜めの側面への衝突によってほぼ鉛直上方へ向かって跳ね返され、ワイヤ運動とは逆向きの方向には跳ね返されないことが観察される。場合によっては、ワイヤ格子体へ跳ね返されたソーイング懸濁液はソーイング懸濁液によるワイヤ区分の不均一な負荷またはワークの長手方向におけるワイヤ区分の、コントロールされていない側方変位を生ぜしめる原因となる。切り終わり範囲におけるうねりの減少が、この効果を十分に取り除くことに帰因していることが考えられる。しかし別の説明も考えられる。
【0019】
本発明によるソーイングストリップは、ワーク2の長手方向軸線3と直線10をと通って延びる1つの平面に対して対称的に形成されていると有利である。同じく、側面6,7が平坦な面であることが有利である。また、第2の面5が平坦な面であることも有利である。
【0020】
本発明によるソーイングストリップの使用は、ワークからの多数のウェーハのスライス切断時に少なくとも1つのノズルユニットを用いてワイヤ格子体へ噴霧される、硬質物粒子(砥粒)を含有するソーイング懸濁液(スラリ)を用いて作業が行われる場合に特に有利となる。しかし、本発明によるソーイングストリップは、少なくとも1つのノズルユニットを用いて液状の冷却潤滑剤で負荷される、結合された硬質物粒子を有するソーイングワイヤが使用される場合にも使用され得る。
【0021】
ノズルユニットと呼ばれるものは、ワークの片側でワイヤ格子体をソーイング懸濁液または冷却潤滑剤で負荷する(つまりワークの片側でワイヤ格子体にソーイング懸濁液または冷却潤滑剤を供給する)全てのノズルの集合体である。1つのノズルユニットは、たとえばワイヤガイドローラの軸線とワークの軸線とに対して平行に延びる長細いスリット状の1つのノズルであってよい。このことは有利である。ワークの片側で複数のこのようなノズルがワイヤ格子体上に取り付けられていると、これらのノズルは一緒になって1つのノズルユニットを形成する。1つのノズルユニットは、個々のノズルの、有利には線状に配置されたノズル列から成っていてもよい。この場合、これらのノズル列はワイヤガイドローラの軸線とワークの軸線とに対して平行に延びており、そして各ノズルはたとえば円形の横断面を有していて、ワイヤ格子体のそれぞれ1つのワイヤ区分をソーイング懸濁液または冷却潤滑剤で負荷する。
【0022】
ソーイング懸濁液が使用される場合、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005007312号明細書に開示されているように切り口の終端部でソーイング懸濁液の流れを減少させることが有利である。
【0023】
ソーイング懸濁液の温度を切削距離の最後の10%で高め、これによりソーイング懸濁液の粘度を減少させ、ひいては動圧勾配を減少させることが有利である。ソーイング懸濁液の温度は切削距離の最後の10%で最大20Kだけ高められると有利である。
【0024】
「切削距離」とは、ワークにおける全ソーイング過程の間、ワイヤ格子体が進む全区間、つまりワーク内での全送り行程である。切削距離は、円筒体の形状を有するワークの場合にはワークの直径に相当する。
【0025】
最良の作用は、本発明によるソーイングストリップの使用を、ソーイング懸濁液の温度の増大およびそれと同時に行われる、切り口の終端部でのソーイング懸濁液の流れを減少と組み合わせることにより得られる。
【0026】

本発明によるソーイングストリップの使用の作用を検査するために、300mmの直径と80mm〜355mmの長さとを有する多数の円筒状の単結晶性シリコンインゴット片を、商業的に入手可能な4ローラ型ワイヤソーによって約930μmの厚さを有するウェーハの形にスライス切断した。ジプロピレングリコール中に懸濁された炭化ケイ素から成る硬質物粒子を含有したソーイング懸濁液でソーイングワイヤを負荷した。切り口の終端部でソーイング懸濁液の量を、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005007312号明細書に記載されている通りに減少させた。ソーイング過程の1/2において、公知先行技術によるソーイングストリップ(比較例)を使用し、残りの1/2において本発明によるソーイングストリップ(例)を使用した。
【0027】
こうして製造された各シリコンウェーハにつき、切り終わり範囲におけるうねりを測定した。厚さ変動分なしの2〜10mmの空間波長レンジにおける形状偏差(Peak to Valley)が「うねり」とみなされる。「切り終わり範囲」としては、切削距離の最後の50mmが規定される。
【0028】
切り終わり範囲におけるうねりは次のようにして求められる:
測定器具の、一対の容量型の間隔測定センサ(シリコンウェーハの表面および裏面のためにそれぞれ1つ)を備えた測定ヘッドが、切削方向でウェーハ中心を通って延びる直線に沿ってシリコンウェーハの表面および裏面にわたり案内される。ワイヤソーイング過程時のワークとワイヤ格子体との間の相対運動の方向が「切削方向」とみなされる。この場合、0.2mm毎にセンサとシリコンウェーハの表面もしくは裏面との間の間隔が測定され、かつ記録される。低域フィルタ(ガウスフィルタ)によって、<2mmの空間波長レンジ内の表面粗さが除去される。これらのステップの後に、シリコンウェーハの表面および裏面のための評価曲線が提供される。
【0029】
切り終わり範囲におけるうねりを測定するためには、表面および裏面のための各評価曲線の、切削方向で見て最後の50mmにわたって、10mmの長さの窓が走行させられる(rolling boxcar filtering)。窓内の最大偏差(Peak to Valley)は窓中心の個所における「うねり」とみなされる。表面および裏面において評価曲線の最後の50mmで測定された全てのうねりの最大値が、以下の比較例および例において切り終わり範囲のうねりとしてみなされる。
【0030】
比較例
公知先行技術による対称的なソーイングストリップを使用した。この場合、間隔aおよび間隔b(図1参照)はそれぞれ170mmであり、厚さdは14.5mmであった。こうして全体的に、約1000枚のシリコンウェーハを製造し、そして前で説明した規定に基づいて、切り終わり範囲のうねりを測定した。
【0031】

間隔a=170mm、間隔b=114mmおよび厚さd=14.5mmを有する、本発明による対称的なソーイングストリップを使用した。こうして、全体的に同じく約1000枚のシリコンウェーハを製造し、そして前で説明した規定に基づいて、切り終わり範囲のうねりを測定した。
【0032】
これらの測定の結果を統計学的に評価した。統計学的な評価は図3に示されている。横座標軸には、切り終わり範囲のうねりW(μm)が示されている。縦座標軸には、0〜1の累積された出現頻度Pが示されている。曲線11は比較例の結果を示しており、曲線12は例の結果を示している。曲線はそれぞれ、横座標軸に記載された切り終わり範囲のうねりWを最大値として有しているシリコンウェーハの割合を示している。すなわち、図3からは、たとえば比較例により形成されたシリコンウェーハ(曲線11)のうち、最大でも10μmの切り終わり範囲のうねりしか有していないウェーハは約35%しか存在しないことが判る。それに対して、例(曲線12)により形成されたシリコンウェーハの場合には、その少なくとも約80%が最大でも10μmの切り終わり範囲のうねりしか有していない。全体的には、曲線11に比べて著しく左側へ向かってずらされた曲線12から、本発明により形成されたシリコンウェーハのうねりが、公知先行技術により形成されたシリコンウェーハのうねりよりも著しく小さいことが判る。さらに、曲線11よりも急峻な曲線12の経過から、公知先行技術に比べて切り終わり範囲のうねりのばらつきを減少させることができたことが判る。
【0033】
本発明の適用範囲は、円筒状のワークがワイヤソーによってソーイング懸濁液の供給下に多数のウェーハにスライス切断されかつ製品の高い平坦度および小さなうねりが重要となるような全てのソーイング法に及ぶ。本発明は、半導体ウェーハ、特にシリコンウェーハの製造において使用されると有利である。「円筒状」とは、ワークがほぼ円形の横断面を有していることを意味する。ただし、ある程度の偏差、たとえば周面に設けられた方向オリエンテーションノッチ(notch)またはオリエンテーションフラット(flat)は問題にならない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】公知先行技術によるソーイングストリップと、その上に位置固定された円筒状のワークとを示す横断面図である。
【図2】本発明によるソーイングストリップと、その上に位置固定された円筒状のワークとを示す横断面図である。
【図3】公知先行技術によるソーイングストリップの使用時と、本発明によるソーイングストリップの使用時とにおける、切り終わり範囲のうねりに関する結果の統計学的な比較を示す線図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ソーイングストリップ
2 ワーク
3 長手方向軸線
4 第1の面
5 第2の面
6,7 側面
8,9 縁辺
10 直線
【出願人】 【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【出願日】 平成19年7月11日(2007.7.11)
【代理人】 【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄

【識別番号】100094798
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 利臣

【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也

【識別番号】100110593
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 博司

【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘

【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康

【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト

【識別番号】230100044
【弁護士】
【氏名又は名称】ラインハルト・アインゼル


【公開番号】 特開2008−18724(P2008−18724A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2007−182472(P2007−182472)