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【発明の名称】 ドリルビット
【発明者】 【氏名】西河 智雅

【氏名】吉田 憲一郎

【氏名】小堀 賢志

【要約】 【課題】ドリルビットにおいては、穿孔を行っているときには、螺旋部を通過して穿孔粉が送られる。しかし、穿孔粉とドリルビットとの摩擦係数が大きく、スムーズに移動することが出来ないため、穿孔穴内部に穿孔粉が残留し、穿孔速度が遅くなってしまうといった問題が発生していた。

【構成】ドリルビットの一部を摩擦抵抗の低い樹脂にてコーティングすることで、穿孔粉とドリルビットとの摩擦係数を小さくし、穿孔粉をスムーズに移動させることで、穿孔速度を早くすることが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート等に穴を開ける作業を行うハンマドリルの先端工具等として使用され、先端にドリルヘッドを有し軸芯を中心に回転するドリルシャフトと、前記ドリルヘッドの先端に設けられたチップとを備え、前記ドリルシャフトの側面には、前記ドリルシャフトの軸方向に向かって少なくとも一本の螺旋溝が形成されたドリルビットであって、
前記ドリルシャフトの少なくとも一部に摩擦抵抗の低い樹脂を含有したコーティング材を塗布したことを特徴とするドリルビット。
【請求項2】
請求項1記載のドリルビットであって、
前記樹脂はフッ素を含有した樹脂であることを特徴とするドリルビット。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のドリルビットであって、
前記螺旋溝に前記コーティング材を塗布したことを特徴とするドリルビット。
【請求項4】
コンクリート等に穴を開ける作業を行うハンマドリルの先端工具等として使用され、先端にドリルヘッドを有し軸芯を中心に回転するドリルシャフトと、 該ドリルヘッドの先端に設けられたチップとを備え、該ドリルシャフトの側面には、該ドリルシャフトの軸方向に向かって少なくとも一本の螺旋溝が形成され、前記チップの最大幅よりもドリルシャフトの螺旋溝部の直径が小さく構成されたドリルビットであって、
前記ドリルシャフトの少なくとも一部に摩擦抵抗の低い樹脂を含有したコーティング材を塗布したことを特徴とするドリルビット。
【請求項5】
請求項4記載のドリルビットであって、
前記樹脂はフッ素を含有した樹脂であることを特徴とするドリルビット。
【請求項6】
請求項4または請求項5記載のドリルビットであって、
前記螺旋溝に前記コーティング材を塗布したことを特徴とするドリルビット。
【請求項7】
コンクリート等に穴を開ける作業を行うハンマドリルの先端工具等として使用され、先端にドリルヘッドを有し軸芯を中心に回転するドリルシャフトと、前記ドリルヘッドの先端に設けられたチップとを備え、前記ドリルシャフトの側面には、前記ドリルシャフトの軸方向に向かって少なくとも一本の螺旋溝が形成されたドリルビットの製造方法であって、
前記ドリルシャフト及び前記チップを別々に加工し、前記ドリルシャフトと前記チップを接合した後に、前記ドリルシャフトの少なくとも一部に摩擦抵抗の低い樹脂を含有したコーティング材を塗布したことを特徴とするドリルビットの製造方法。
【請求項8】
請求項7記載のドリルビットの製造方法であって、
前記樹脂はフッ素を含有した樹脂であることを特徴としたドリルビットの製造方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8記載のドリルビットの製造方法であって、
前記螺旋溝に前記コーティング材を塗布することを特徴としたドリルビットの製造方法。
【請求項10】
請求項9記載のドリルビットの製造方法であって、
前記接合はロウ付により行われることを特徴としたドリルビットの製造方法。
【請求項11】
請求項10記載のドリルビットの製造方法であって、
前記コーティング材の塗布は、焼付け塗装により行われることを特徴としたドリルビットの製造方法。
【請求項12】
請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載のドリルビットの製造方法であって、
前記接合はロウ付温度500℃以上のロウ付により行われ、前記コーティング材の塗布は焼付け温度300℃以下の焼付け塗装により行われることを特徴としたドリルビットの製造方法。
【請求項13】
請求項12記載のドリルビットの製造方法において、
前記ロウ付温度は750℃以上であり、前記焼付け温度は250℃以下であることを特徴とするドリルビットの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマドリルのドリルビットに関し、特に、コンクリート等に穴をあけるための電動式のハンマドリルに装着されるハンマドリルのドリルビットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートや岩石に穴をあけるための電動式のハンマドリルには、従来よりドリルビットが設けられている。ドリルビットは、その先端にドリルヘッドを有するドリルシャフトを備える。ドリルヘッドの先端には、穴をあけるためのチップが設けられている。チップは超硬合金からなり、ロウ付によりドリルヘッドの先端に接合されている。ドリルビットは、電動式のハンマドリル本体に取付けられる。ハンマドリル本体から伝達される回転力と打撃力によって、ドリルビットがその軸芯を中心として回転運動すると同時にドリルシャフトの軸芯方向に往復運動して穿孔を行うことができるように構成されている。
【0003】
ドリルビットには、穴をあける際の穿孔速度の向上、穿孔時の振動の抑制、穿孔により形成される穴の真円度向上などが要求される。穿孔速度を向上させるためには、穿孔している穴から迅速に穿孔粉を排出し、これから穿孔していく部分をなすコンクリートとチップとの接触を妨げることのないようにする必要がある。
【0004】
特許文献1には、かかる要求に対応するハンマドリルのドリルビットが記載されている。図3に示されるように、ドリルビット102は、一端をなす先端にドリルヘッド122を有するドリルシャフト121を備え、その軸芯を中心に回転可能である。ドリルシャフト121の図示せぬ他端は、図示せぬハンマドリル本体に取付けられる。ドリルヘッド122の先端には、コンクリート等に孔をあけるための刃部をなすチップ123、124が設けられている。ドリルシャフト121の側面には、ドリルヘッド122からドリルシャフト121の軸方向に向かって2本の螺旋溝121a、121bが形成されている。作業時ドリルビットの旋回力と螺旋溝121a、121bがあいまって、穿孔粉は矢印Cで示されるように移動し外部へ排出されていく。
【0005】
【特許文献1】英国特許出願公開第2075409号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のドリルビットにおいては、穿孔を行っているときには、ドリルビットの旋回力と螺旋溝121a、121bがあいまって、図3の矢印Cで示されるように、これら2つの排出溝122e、122fから螺旋溝121aへと穿孔粉が送られる。しかし、穿孔粉とドリルビットとの摩擦係数が大きく、穿孔粉はスムーズに移動することが出来ないため、穿孔穴内部に穿孔粉が残留し、穿孔速度が遅くなってしまうといった問題が発生していた。
【0007】
本発明の目的は、穿孔粉とドリルビットとの摩擦係数を小さくし、穿孔粉を穿孔穴からスムーズに排出させることができるドリルビットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、ドリルシャフトの少なくとも一部に摩擦抵抗の低い樹脂を含有したコーティング材を塗布することで達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、穿孔粉とドリルビットとの摩擦係数を小さくし、穿孔粉を穿孔穴からスムーズに排出させることができるドリルビットを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態によるハンマドリルのドリルビットについて図1乃び図2に基づき説明する。ハンマドリルのドリルビットは、図1に示されるように、電動式のハンマドリル本体1の先端、即ち、電動式のハンマドリル本体1の図1に示される下端の位置に取付けられる。ドリルビット2は、その一端をなす先端にドリルヘッド22が一体に設けられたドリルシャフト21を有しており、他端は電動式ハンマドリル本体1に設けられた図示せぬモータに駆動連結されている。図示せぬモータから伝達される回転力と打撃力によって、ドリルビット2がドリルシャフト21の軸芯を中心として回転運動すると同時にドリルシャフト21の軸芯方向に往復打撃運動して穿孔を行うことができるように構成されている。ドリルヘッド22及びドリルシャフト21は、JIS:SNCM630からなる構造用合金鋼により構成されている。
【0011】
ドリルヘッド22の先端には、図2に示されるように、コンクリート等に孔をあけるための刃部をなすチップ23、24が設けられている。チップ23、24は、WC(タングステンカーバイド)とCo(コバルト)とからなる超硬合金により構成され、ロウ付によりドリルヘッド22の先端に接合されている。ドリルシャフト21の側面には、ドリルシャフト21(図1)の軸方向に向かって2本の螺旋溝21a、21bが形成されている。2本の螺旋溝21a、21bは、それぞれドリルヘッド22の一端をなす先端から所定の距離だけ他端寄りの位置を出発点21cとして、ドリルシャフト21の他端の方向へ向かって所定の位置に至るまで形成されており、2本の螺旋溝21a、21bの2つの出発点である出発点21cと図示せぬ出発点とは、ドリルヘッド22の直径の両端の位置にある。従って、2本の螺旋溝21a、21bは、位相が180°ずれた二重螺旋となっており、図1〜図2に示されるように、2本の螺旋溝21a、21bはドリルシャフト21の軸方向に交互に現れている。
【0012】
ドリルビット2にはドリルビットの少なくとも一部を摩擦抵抗の低い樹脂を含有したコーティング材が塗布されている。これにより、コーティング材が施されている部分での穿孔粉とドリルビットとの摩擦係数が小さくなり、穿孔粉をスムーズに移動させることで、穿孔速度を早くすることが可能となる。さらに、コーティング材にフッ素を含有した樹脂とすることで、穿孔粉とドリルビットとの摩擦係数を小さくすることが出来、穿孔粉をスムーズに移動させることで、穿孔速度を早くすることが可能となる。
【0013】
また、ドリルビット2の旋回力と螺旋溝21a、21bの形状があいまって、穿孔粉を穴外部へ排出するため、摩擦抵抗の低い樹脂のコーティング材を施す箇所を螺旋溝部10とすることで、穿孔粉をスムーズに効率よく排出することが可能となり、穿孔速度を早くすることが可能となる。
【0014】
さらに、摩擦抵抗の低い樹脂のコーティング材をドリルビット2すべてにおいて施すことで、いずれの場所においても穿孔粉とドリルビットとの摩擦係数を容易に小さくすることが出来、穿孔粉をスムーズに移動させることで、穿孔速度を早くすることが可能となる。
【0015】
図1で示すように、ドリルビット2をチップ最大幅11が螺旋部の径12より大きく設定することで、穿孔作業時にはチップのみが穿孔穴と接触し、螺旋部10は穿孔穴と接触しづらい。そのため、樹脂のコーティング材が穿孔穴との摩擦により剥離しづらくなり、ドリルビットを長寿命化することが可能となる。特に、ドリルビットの旋回力と螺旋溝21a、21bがあいまって穿孔粉を運搬するため、螺旋部10で樹脂のコーティングが剥離しないことがドリルビットの長寿命化には重要である。
【0016】
なお、コーティング材の塗布は先端部、特にチップ以外の箇所に施した構成とすることが有用である。すなわち、チップにコーティング材を施した場合、穿孔及び旋回による摩擦によりチップのコーティング材が剥離しやすく、また、剥離した箇所から剥離が他の部分へ広がるがちであるが、上述のようにコーティング材の塗布は先端部、特にチップ以外の箇所に施した構成とすることにより、コーティング材の長寿命化を図ることができるようになる。
【0017】
ドリルビットを製造するにあたっては、ドリルシャフト21とチップ23,24を別々に加工し、ドリルシャフト21とチップ23,24をロウ付けにより接合する。ドリルシャフト21とチップ23,24を接合した後に摩擦抵抗の低い樹脂をドリルビットに塗装する。この手順により行うことで、コーティング材が接合中に融解するなどして、コーティング材が弱くなったり、塗装した樹脂が剥離することがない。
【0018】
また、ロウ付け温度を500℃以上に設定することで、確実にドリルシャフト21とチップ23,24を接合することが出来、樹脂の焼付け塗装温度を300℃以下にすることで確実に塗装することが可能となる。さらに、ロウ付け温度を750℃以上に設定することで、最も高強度にドリルシャフト21とチップ23,24を接合することが出来、樹脂の焼付け塗装温度を250℃以下、200℃以上とすることで、最も安定して塗装することが可能となる。
【0019】
以上、本発明によれば、ドリルビットの一部を摩擦抵抗の低い樹脂にてコーティングすることで、穿孔粉とドリルビットとの摩擦係数を小さくし、穿孔粉をスムーズに移動させることで、穿孔速度を早くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ドリルビットがハンマドリル本体に取付けられた状態を示す一実施形態の斜視図。
【図2】ドリルビットのドリルヘッドを示す一実施形態の斜視図。
【図3】ドリルビットのドリルヘッドを示す一実施形態の斜視図。
【符号の説明】
【0021】
1はハンマドリル,2はドリルビット,21はドリルシャフト,21a,21bは螺旋溝,10は螺旋部である。
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−12767(P2008−12767A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185729(P2006−185729)