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【発明の名称】 防塵カバー
【発明者】 【氏名】江面 剛

【氏名】堀口 弘行

【氏名】藍郷 一博

【要約】 【課題】高所作業車等を用いて行うハツリ作業であっても、ハツリ作業による粉塵の飛散を防止し、作業環境を向上させると共に、清掃作業を軽減することができる防塵カバーを提供する。

【構成】防塵カバー本体9に、削岩及び粉塵を吸引する集塵機を接続するための吸引口11を設けると共に、防塵カバー本体9の先端に、接地面に対応して変形するフィッティング部10を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩機の削岩部に設けられ、削岩及び粉塵の飛散を防止しつつ集塵を行う防塵カバーであって、防塵カバー本体に、削岩及び粉塵を吸引する集塵機を接続するための吸引口を設けると共に、前記防塵カバー本体の先端に、接地面に対応して変形するフィッティング部を設けたことを特徴とする防塵カバー。
【請求項2】
前記フィッティング部又は前記防塵カバー本体の少なくとも何れか一方が伸縮自在な蛇腹状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防塵カバー。
【請求項3】
前記吸引口に、前記集塵機への削岩の侵入を規制するフィルターを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防塵カバー。
【請求項4】
前記吸引口が前記防塵カバー本体を把持するための取手部として構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の防塵カバー。
【請求項5】
前記防塵カバー本体の先端と前記吸引口との間又は前記フィッティング部の少なくとも何れか一方に削岩を落下させるための落下部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の防塵カバー。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、トンネル等で行われる削岩作業に用いられる防塵カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、線路のトンネル特別検査(剥離剥落対策を含む)においては、至近距離からの目視検査及び打音検査が行われている。このトンネル特別検査の結果に基づき、トンネル内壁面の剥落の虞がある箇所については点検ハンマー等を用いて叩落とす対策を行うことが一般的である。一方、トンネル内壁面の変状箇所によっては、点検ハンマーのみで叩落とすことが困難であるため、電動ハンマー等を用いたハツリ作業を行う場合がある。
このハツリ作業の際には、多量の粉塵や細かいコンクリート片が舞うため、防護メガネや防護マスクを付けて作業を行うが、作業終了後にも線路内の清掃、高所作業車の作業床内の清掃を行わなくてはならず、検査時に持ち込む機器類にも悪影響を及ぼす虞がある。そこで、電動ハンマー等によって発生する粉塵の飛散を防止し、作業環境を向上させると共に、清掃作業を軽減させるためのさまざまな技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−224631号公報
【特許文献2】実開平5−85577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示された技術では、大型の削岩機(電動ハンマー)においては、粉塵の飛散を防止できる点で優れているが、例えば、トンネル内でのハツリ作業のように高所作業車等を用いて行うハツリ作業においては、粉塵の飛散を防止するための装置を携帯することが困難であるという課題がある。
また、特許文献2に開示された技術では、高所作業車等を用いたハツリ作業であっても携帯することが可能であるものの、電動ハンマーと一体化した集塵機のホースだけでは飛散する粉塵を吸引するには限界がある。このため、ハツリ作業による粉塵の飛散を防止し、作業環境の向上、清掃作業の軽減のための効果的な解決手段とはなり得ないという課題がある。
【0004】
そこで、この発明は、高所作業車等を用いて行うハツリ作業であっても、ハツリ作業による粉塵の飛散を防止し、作業環境を向上させると共に、清掃作業を軽減することができる防塵カバーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、削岩機の削岩部に設けられ、削岩及び粉塵の飛散を防止しつつ集塵を行う防塵カバーであって、防塵カバー本体に、削岩及び粉塵を吸引する集塵機を接続するための吸引口を設けると共に、前記防塵カバー本体の先端に、接地面に対応して変形するフィッティング部を設けたことを特徴とする。
この場合、請求項2に記載した発明のように、前記フィッティング部又は前記防塵カバー本体の少なくとも何れか一方が伸縮自在な蛇腹状に形成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載した発明は、前記吸引口に、集塵機への削岩の侵入を規制するフィルターを設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載した発明は、前記吸引口が防塵カバー本体を把持するための取手部として構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載した発明は、前記防塵カバー本体の先端と前記吸引口との間又は前記フィッティング部の少なくとも何れか一方に削岩を落下させるための落下部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、削岩機の少なくとも削岩部を防塵カバー本体で覆うため、削岩機による削岩及び粉塵の飛散を防止することができる。
また、吸引口に集塵機を接続することで削岩機と集塵機を一体化することができ、防塵カバー本体内の削岩及び粉塵を吸引することができるため、高所作業車等を用いて行うハツリ作業であっても、作業環境を向上させると共に、清掃作業を軽減することができる。
さらに、本発明によれば、防塵カバー本体の先端に設けたフィッティング部が接地面に密着するため、防塵カバーと接地面との隙間を最小限にすることができる。よって、確実に削岩及び粉塵の飛散を防止することができるだけでなく、防塵カバー本体内の削岩や粉塵を吸引することが容易になるため、小型の集塵機を使用することが可能になる。
【0010】
また、本発明によれば、吸引口に集塵機への削岩の侵入を規制するフィルターを設けるため、吸引口及び集塵機のホースの目詰まりを防止することができると共に、集塵機の故障を回避することが可能になる。よって、ハツリ作業の作業効率を向上させることができる。
【0011】
さらに、本発明によれば、吸引口を取手部として構成するため、作業者への負担を低減することが可能になる。また、取手部としての機能を別個に設ける必要がなく、部品点数を減少させることができるため、防塵カバーの軽量化を図ることができる。
【0012】
また、本発明によれば、防塵カバー本体の先端と吸引口との間、及びフィッティング部の少なくとも何れか一方に削岩を落下させるための落下部を設けることで空気中に舞う虞が低い削岩を防塵カバー本体から落下させ、空気中に舞う虞が高い粉塵のみ集塵機に吸引させることができる。このため、作業効率をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、この発明の第一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る防塵カバー1を適用した電動ハンマー2及び集塵機3の平面図である。
同図に示すように、トンネル等のハツリ作業に用いられる電動ハンマー2の先端には、ハツリ部4が着脱自在に設けられ、このハツリ部4の周囲を覆うように防塵カバー1が電動ハンマー2に対して着脱自在に取付けられている。防塵カバー1には集塵機3がホース5を介して取付けられている。集塵機3にはコンセント6が設けられ、このコンセント6が電源7に電気的に接続されることによって、集塵機3が駆動するようになっている。また、電動ハンマー2にもコンセント8が設けられている。電気ハンマー2は、このコンセント8が他の電源(不図示)に電気的に接続されることで駆動するようになっている。尚、集塵機3が出力電源(不図示)を備えている場合には、電動ハンマー2のコンセント8をこの集塵機3の出力電源に電気的に接続してもよい。
【0014】
図2、図3に示すように、防塵カバー1は、円筒状の防塵カバー本体9の先端に筒型で蛇腹状のフィッティング部10が一体形成され、防塵カバー本体9の基端側に円筒状の吸引口11が下方に向かって設けられたものである。
防塵カバー本体9は、基端側に設けられた金属部12と先端側に設けられたビニール部13とが一体形成されたものであって、電動ハンマー2の打撃方向に沿うように配置している。また、金属部12の基端開口部18には防塵カバー本体9周縁と電動ハンマー2との間を閉塞する蓋17が設けられている。
尚、金属部12には防錆効果の高いステンレス等やアルミニウム等を用いることが望ましい。また、ビニール部13には内部を確認できる透過性の透明なビニール又は、樹脂等を用いることが望ましい。
【0015】
防塵カバー本体9の先端に設けられたフィッティング部10は、防塵カバー1をハツリ作業が行われる接地面14に密着させるためのものである。フィッティング部10は、軟質性の樹脂によって形成され、フィッティング部10先端の周縁が接地面14に密着するように伸縮自在な蛇腹状に形成されている。また、フィッティング部10の外径は防塵カバー本体9の外径と比較して大きく設定されている。
【0016】
防塵カバー本体9の基端側に設けられた吸引口11は筒状の金属製で、その長さLは、作業者が把持するのに十分な長さを有し、作業者の取手部11aとして構成されている。この吸引口11(取手部11a)の防塵カバー本体9との接続部分には開口部15が形成されている。そして、吸引口11にはホース5の一端がホースバンド等(不図示)を用いて接続されている一方、ホース5の他端には集塵機3が接続され(図1参照)ている。すなわち、集塵機3は、開口部15から防塵カバー1の内部空間Kを吸引するようになっている。
尚、吸引口11は、防錆効果の高いステンレス等やアルミニウム等を用いることが望ましい。
【0017】
また、開口部15にはクロス状のフィルター16が設けられている(図2参照)。このフィルター16は、電動ハンマー2によって粉砕された削岩が集塵機3へ吸引されてしまうことを防止するためのものである。尚、この第一実施形態においてはフィルター16がクロス状である場合について説明したが、クロス状に限らず削岩の集塵機3への吸引を規制できる形状であればよい。具体的には、1〜3cm程度の削岩が吸引されてしまうことを防止できることが望ましい。
【0018】
次に、防塵カバー1を取付けた電動ハンマー2を用いたハツリ作業の手順について図4に基づいて説明する。
まず、作業者Uは防塵カバー1の吸引口11を把持しつつ、電動ハンマー2のハツリ部4先端を接地面14に向かって突き当てる。すると、防塵カバー1のフィッティング部10が伸縮自在な蛇腹状に形成されているため、接地面14に対応するように変形し、フィッティング部10の先端周縁が接地面14に密着する。
【0019】
次に、電動ハンマー2を駆動させると共に、集塵機3を駆動させる。このとき、フィッティング部10と防塵カバー本体9、さらに、防塵カバー本体9の基端に設けられた蓋17によって、電動ハンマー2のハツリ部4周辺がほぼ密閉されているため、粉塵や削岩が作業場周辺に飛散することなく、防塵カバー1の開口部15から集塵機3へと吸引される。尚、開口部15に設けられているフィルター16によって、比較的大きな削岩は集塵機3へと吸引されないため、この削岩は、防塵カバー1の空間K内に溜まるようになっている。
【0020】
したがって、上述の第一実施形態によれば、防塵カバー本体9とフィッティング部10によって、ハツリ部4周囲を閉塞することができるため、電動ハンマー2による粉塵や削岩の飛散を防止することができる。
また、防塵カバー本体9に設けられた吸引口11を集塵機3のホース5と接続することで、防塵カバー1と集塵機3を一体化することができるため、集塵機3によって容易に粉塵を吸引することができる。
【0021】
さらに、電動ハンマー2に防塵カバー1を取付け、その防塵カバー1と集塵機3を接続するだけで容易に粉塵や削岩の飛散を防止することができる。このため、容易に携帯することが可能で、高所作業車等を用いて行うハツリ作業であっても、作業環境を向上させると共に、清掃作業を軽減することができる。具体的には、これまで防護メガネや防護マスク等を着けて行っていた作業を軽減することができると共に、トンネル特別検査時に持参していた機器類への粉塵による悪影響の虞が解消され、また、高所作業車の作業床の清掃業務も軽減することができる。さらに、さまざまな電動ハンマー機器に防塵カバー1を取付けることが可能であるため、汎用性が高い。
そして、フィッティング部10によって、防塵カバー1と接地面14との間の隙間を最小限にすることができるため、粉塵を確実に吸引することが可能になると共に、小型の集塵機を使用することが可能になる。
【0022】
また、開口部15にフィルター16を設けることで、削岩の集塵機3への吸引を規制することができるため、吸引口11及びホース5の目詰まりを防止することができると共に、集塵機3の故障を回避することが可能になる。よって、ハツリ作業の作業効率を向上させることができる。
さらに、吸引口11を取手部11aとして構成するため、作業者Uへの負担を低減することが可能になる。また、取手部としての機能を別個に設ける必要がなく、部品点数を減少させることができるため、防塵カバー1の軽量化を図ることができる。
【0023】
そして、防塵カバー本体9が金属部12と透過性のビニール部13とで構成されているため、ハツリ作業の際のハツリポイントの視認性が向上し、作業効率を向上させることができる。
また、フィッティング部10の外径が防塵カバー本体9の外径と比較して大きく設定されているため、ハツリポイントの視認性をさらに向上させることができる。
【0024】
次に、この発明の第二実施形態を図5に基づいて説明する。
この第二実施形態においては、上述の第一実施形態のフィッティング部10が蛇腹状に形成されているのに対し、フィッティング部20に複数の舌片19が防塵カバー本体9の周方向に沿うように、且つ径方向外側に向かうように設けられている。
尚、その他の基本的構成は上述の第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0025】
フィッティング部20に設けられた複数の舌片19間には各々隙間Sが形成されている。この隙間Sは、電動ハンマー2よって粉砕された削岩を防塵カバー1の外部に落下させるための落下部21として機能するものである。つまり、ハツリ作業による粉塵は防塵カバー1の開口部15から集塵機3に吸引させるが、削岩はフィッティング部20の隙間S(落下部21)から防塵カバー1の外部に落下させることで、削岩を防塵カバー1内部に溜まらないようになっている。
【0026】
したがって、上述の第二実施形態によれば、第一実施形態の効果に加え、より効率的に粉塵のみを集塵機3に吸引させることができる。
また、削岩が多く発生する場合のハツリ作業にあっては、防塵カバー1外部に削岩を落下させることで、防塵カバー1内部に削岩が溜まることによってハツリ作業が中断されてしまうことを防止することができ、より作業効率を向上させることができる。
さらに、フィッティング部20の複数の舌片19が各々別個に接地面14にフィットするため、接地面14の凹凸形状にも柔軟に対応することができる。
【0027】
尚、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
また、上述の第一実施形態では、防塵カバー本体9の先端に蛇腹状のフィッティング部10を設けた場合について説明したが、防塵カバー本体9自体を蛇腹状に形成してもよい。
【0028】
さらに、上述の第二実施形態では、フィッティング部20に隙間Sを形成し、その隙間Sを落下部21として機能させる場合について説明したが、防塵カバー本体9の先端と吸引口11との間に落下部21としての孔を形成してもよい。
そして、上述の第二実施形態では、フィッティング部20に複数の舌片19が防塵カバー本体9の周方向に沿うように、且つ径方向外側に向かうように設けられている場合について説明したが、防塵カバー本体9の先端に切込みを入れることで複数の舌片19を形成してもよい。
【0029】
そして、上述の実施形態では、蛇腹状のフィッティング部10及び舌片19を複数設けたフィッティング部20を設けた場合について説明したが、フィッティング部の形状はこれらに限らず、接地面14に対応して変形し、防塵カバー本体9と接地面14との間の隙間を最小限にすることができるものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第一実施形態における防塵カバーを取付けた電動ハンマー及び集塵機を示す平面図である。
【図2】本発明の第一実施形態における防塵カバーの側面図である。
【図3】本発明の第一実施形態における防塵カバーの斜視図である。
【図4】本発明の第一実施形態における防塵カバーを用いたハツリ作業を示す説明図である。
【図5】本発明の第二実施形態における防塵カバーの側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1…防塵カバー、2…電動ハンマー(削岩機)、3…集塵機、4…ハツリ部(削岩部)、9…防塵カバー本体、10…フィッティング部、11…吸引口、11a…取手部、16…フィルター、20…フィッティング部、21…落下部

【出願人】 【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦


【公開番号】 特開2008−12686(P2008−12686A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183142(P2006−183142)