トップ :: B 処理操作 運輸 :: B28 セメント,粘土,または石材の加工

【発明の名称】 サファイア単結晶ブロックの製造方法及び装置
【発明者】 【氏名】正 義彦

【氏名】小島 政美

【氏名】飯野 貴幸

【氏名】浦本 幹雄

【氏名】沖野 寿史

【氏名】関 孝

【氏名】藤田 実

【要約】 【課題】所望の結晶方位を有するサファイア単結晶ブロックを、短時間、低コストで精度良く製造する方法及び装置を提供する。

【構成】サファイア単結晶ブロックの製造装置は、加工対象となるサファイア単結晶インゴット1を固定するテーブル2と、前記インゴット1を穿孔するコアビット4と、前記コアビットを回転させるモーターを内蔵したコアドリルユニット5と、前記モーターを上下動可能に支持する支柱6とを備えたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サファイア単結晶インゴットを、その結晶成長方向に対して所定の角度をなす方向へ穿孔することにより、前記インゴットと異なる結晶方位を有する単結晶ブロックを製造する方法であって、
前記穿孔をコアビットにより行うようにしたことを特徴とする円柱状のサファイア単結晶ブロックを製造する方法。
【請求項2】
前記穿孔方向を前記結晶成長方向に対して略垂直に行うようにした請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サファイア単結晶インゴットは、a軸配向である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の方法を実施するのに使用されるサファイア単結晶ブロックの製造装置であって、
加工対象となるサファイア単結晶インゴットを固定するテーブルと、
前記インゴットを穿孔するコアビットと、
前記コアビットを回転させるモーターと、
前記モーターを上下動可能に支持する支柱と、
を備えたことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、サファイア単結晶ブロックの製造方法及びその方法の実施に使用される製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単結晶サファイア(単結晶アルミナ)は、熱伝導率の大きい高絶縁体であり、各種電子デバイスの基板として有用である。とりわけ、次世代大容量光ディスクの統一規格(Blue-ray Disc)において使用される青紫レーザーの発光源であるGaN系半導体素子のエピタキシャル成長用基板として適用が検討されている。
【0003】
また、サファイア基板となるウェハーは、CZ法(チョクラルスキー法)またはEFG法(Edge-defined Film-feb Growth method)等の各種単結晶製造プロセスによって製造された単結晶インゴットを所定の厚さにスライスすることにより製造される(例えば、特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】特開平8−124815号公報
【特許文献2】特開2005−255463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、サファイアは、六方晶系の結晶であり、その光学的・物理的特性に関して異方性を示すことから、これを基板として成長させた半導体素子の特性も基板表面の光学軸の影響を受ける。そして、上記の如き方法で製造されるウェハーの結晶方位は、スライスする単結晶インゴットの方位に当然依存する。従って、所望の結晶方位を有するウェハーを製造するためには、単結晶インゴット製造の段階において方位の制御を行うことが好ましいといえる。
【0005】
しかしながら、上記の単結晶製造プロセスにおいては、成長させる単結晶について結晶方位によっては欠陥の少ない単結晶を製造することが必ずしも容易ではない。特に、サファイアにあっては、a軸配向の単結晶においては欠陥の少ない単結晶の製造は可能であるが、近年需要のあるc軸配向の単結晶において欠陥の少ない単結晶の製造は困難であった。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、所望の結晶方位を有するサファイア単結晶ブロックを、短時間、低コストで精度良く製造する方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による円柱状のサファイア単結晶ブロックを製造する方法は、サファイア単結晶インゴットを、その結晶成長方向に対して所定の角度をなす方向へ穿孔することにより、前記インゴットと異なる結晶方位を有する単結晶ブロックを製造する方法であって、前記穿孔をコアビットにより行うようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明方法によれば、前記穿孔は、好ましくは、前記結晶成長方向に対して略垂直に行われる。
【0009】
また、本発明方法によれば、前記サファイア単結晶インゴットは、好ましくは、a軸配向である。
【0010】
本発明によるサファイア単結晶ブロックの製造装置は、上記いずれかに記載の方法を実施するのに使用される製造装置であって、加工対象となるサファイア単結晶インゴットを固定するテーブルと、前記インゴットを穿孔するコアビットと、前記コアビットを回転させるモーターと、前記モーターを上下動可能に支持する支柱と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所望の結晶方位を有するサファイア単結晶を容易に製造することが出来るという利点がある。また、本発明によれば、回転するコアビットで穿孔する関係上、断面が真円に近い円柱状単結晶ブロックが1回の穿孔作業で得られるので、作業時間、コスト、労力の面で有利であり、クラック等の発生する懸念がなく、加工精度も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図示した実施例に基づき本発明の実施の形態を説明するが、それに先立ち、本願発明者らが本発明に際して考察した諸観点について説明する。
本願発明者らは、前記課題を解決するにあたり、一般的な単結晶製造プロセスによる単結晶インゴットを更に加工することで、所望の結晶方位を有する単結晶ブロックとする方法について検討を行った。
【0013】
ここで、サファイア単結晶インゴットをくり抜くための加工方法としては、打ち抜き加工も考えられるが、サファイアは硬度が高い上に靭性が低いため、加工時に加工対象であるインゴットに割れやクラックが生じ易く、また、製造される単結晶ブロックのサイズ及び加工精度に限界があることを考慮した。
【0014】
そこで、本願発明者等は、単結晶インゴットのくり抜き加工の手法として、コアビットによる穿孔を適用することに想到した。ここで、コアビットとは、円筒形の形状を有する中空の回転体工具であって、その先端にダイヤモンド等の砥粒が結合されたものである。
【0015】
即ち、本発明は、サファイア単結晶インゴットを、その結晶成長方向に対して所定の角度をなす方向へ穿孔することにより、前記サファイア単結晶インゴットと異なる結晶方位を有する単結晶ブロックを製造する方法であって、前記穿孔をコアビットにより行うことを特徴とする円柱状サファイア単結晶ブロックの製造方法である。
【0016】
コアビットによる穿孔においては、先端部の砥粒と被加工物との摩擦により加工が進行するものであり、打ち抜き加工のような衝撃が生じるものではないので、本発明方法によれば、クラックを生じさせることなく、被加工物であるサファイア単結晶インゴットを得ることができる。
【0017】
本発明においては、穿孔方向を、加工対象となる単結晶インゴットの成長方向(結晶方位)に対して所定の角度をなすように設定する。この穿孔の方向については、加工前の単結晶インゴットの方位と加工後の単結晶ブロックの目的とする方位との関係により定められる。例えば、a軸配向の単結晶インゴットからc軸配向の単結晶ブロックを製造する場合には、単結晶インゴットの成長方向に対して垂直となるように穿孔する。なお、加工時の被加工物の安定性を考慮すると、穿孔方向は、その成長方向に対して垂直となるようにするのが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る製造方法を実施するための製造装置としては、加工対象となるサファイア単結晶インゴットを所望の位置に固定することのできるテーブルと、サファイア単結晶インゴットを穿孔するためのコアビットと、そのコアビットを回転させるためのモーターと、該モーターを上下動可能に支持する支柱とを備えるものが適用できる。
【0019】
本発明に係る製造装置によれば、前記コアビットでサファイア単結晶インゴットを穿孔する際に、該インゴットを前記テーブル上で穿孔方向に対して所定の角度をなすように固定することができ、これにより穿孔の方向を設定することができる。
【0020】
また、この製造装置においては、テーブルに、加工されるサファイア単結晶インゴットに切削水を供給する給水手段を備えるものが好ましい。これは、加工時のコアビット及びサファイア単結晶インゴットの摩擦熱による過熱防止と、加工に伴って生じる切削粉の排出のために有用である。給水手段としては、被加工物に向けられたホース及び給水ポンプが用いられる。なお、給水手段を設ける場合は、これにより洗い流される切削粉を、切削水と共に吸引する排水手段も設けることが好ましい。
【0021】
更に、この製造装置においては、装置全体または少なくとも装置の所要範囲を開閉可能なカバーで覆うようにすることが好ましい。これは、穿孔作業時に切削粉を含んだ切削水の周囲への飛散を防止するのに役立つ。このカバーは、外部から穿孔作業が観察できるように、透明素材で構成されるのが好ましい。
【0022】
次に、本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明に係る製造装置の一実施例の全体斜視図である。図中、1は製品素材となるサファイア単結晶インゴット、2はサファイア単結晶インゴット1を挟持するサファイア固定プレート、3は周知のレベル調整手段を介して固定プレート2を担持し、周知のボールネジハンドル装置3a、3b等を介して架台Bの表面上をXY方向(矢印方向)へ摺動せしめられ、且つサファイア単結晶インゴット1を所望の位置に固定し得るように架台B上に装架されたスライドテーブル、4はサファイア単結晶インゴット1から円柱状ブロックを切り出すため、内外部共に高い真円度を有し先端縁にバインダーを用いてダイヤモンド砥粒を固着して成る円筒状のコアビット、5はコアビット4をその中心軸線の周りに回転させるモーターを備えたコアドリルユニット、6はコアドリルユニット5を担持したスライドブロック7を上下摺動可能に支持する支柱、8は内蔵したコントロールモーターの駆動軸に取り付けられたピニオンが支柱6に設けられたラックと噛合することにより構成されるラック−ピニオン機構を介してスライドブロック7の上下動を制御し得るコアドリルユニットの送り装置、9は支柱6を固定支持するフレームである。
【0023】
なお、上記のレベル調整手段は、図2に示したように、例えば、サファイア固定プレート2に進退可能に螺合されていて先端がスライドテーブル3の表面に当接するレベル調整ボルト2aと、サファイア固定プレート2に設けられたスロットに挿通されてスライドテーブル3に螺合された固定ボルト2bからなる。また、上記のコアビット4、コアドリルユニット5、支柱6、スライドブロック7、送り装置8及びフレーム9は穿孔ユニット10を構成し、この穿孔ユニット10は、フレーム9が架台B上に植立された一対のガイドレール12により上下動可能に支持されると共に、架台B上に設けられた本体フレームFに回転可能に軸受けされたボールねじ13に螺合せしめられ、このボールねじ13が本体フレームFに取り付けられたモーター11の出力軸に螺合せしめられることにより、モーター11の回転で上下動せしめられるようになっている。
【0024】
更に、14はインゴット1の穿孔部に切削水を供給するため給水ポンプを介して切削水源に接続された給水管、15は切削中インゴット1の穿孔部から飛散する切粉を含む切削水の所定範囲外への飛散を防止するため、固定プレート2及びスライドテーブル3を含む所定領域を好ましくは開閉可能なように覆うため架台B上に設けられた透明素材で構成された囲い又はカバー、16は囲い又はカバー15内の切粉を含む切削水を排出するため、バキュームポンプに接続された排水管である。
【0025】
本発明装置は、上記のように構成されているから、サファイア単結晶ブロックを切り出すに当たり、予め用意されたサファイア単結晶インゴット1を固定プレート2上に固定し、ボールネジハンドル装置3a、3bを適宜操作してスライドテーブル3を移動させ、サファイア単結晶インゴット1の所定部位がコアビット4の直下に来るように調整する。そして、固定ボルト2bを緩めた状態でレベル調整ボルト2aを適宜進退させ、コアビット4による穿孔の方向が、サファイア単結晶インゴット1の結晶成長方向(結晶方位)に対して所定の角度をなすように調整した後固定ボルト2bを締め付けて、サファイア単結晶インゴット1の取り付けを完了する。この穿孔の方向については、サファイア単結晶インゴット1の結晶方位と加工後の単結晶ブロックの目的とする方位との関係により定められる。例えば、a軸配向のサファイア単結晶インゴット1からc軸配向の単結晶ブロックを切り出す場合には、サファイア単結晶インゴット1の結晶成長方向に対して穿孔方向が垂直となるように設定する。
【0026】
かくして、スライドテーブル3上にサファイア単結晶インゴット1を固定した後、モーター11を回転制御し、ボールねじ13及びフレーム9を介して穿孔ユニット10を上下動させ、コアビット4の先端がサファイア単結晶インゴット1の頂面に隣接するよう位置決めする。このようにしてコアビット4を位置決めした後、送り装置8を操作し、コアビット4を所定の速度で下降せしめることにより、所望の結晶方位を有するサファイア単結晶ブロックを容易に切り出すことができる。加工中、コアビット4及びサファイア単結晶インゴット1の穿孔部分には、給水管14より切削水が噴射されるから、これの部分の加熱は防止されると共に切粉は排除され、従って、クラック発生等の懸念がなく良好な加工精度が維持される。
【0027】
実施例
直径約100mmのサファイア単結晶インゴットを準備し、厚み3.2mm内径83.6mmのコアビットを用いて穿孔して、直径83.6mmの円柱状サファイア単結晶ブロックを作製した。コアビットの回転速度は300rpm、コアドリルユニットの送りは2〜10mm/分とした。モーターの過負荷状態やコアビットの破損等もなく、上記サファイア単結晶ブロックを約20分で切り出すことができた。穿孔作業後、コアビット内部から抜き出したサファイア単結晶ブロックの真円度は25μm、面粗度はRa<5μmで、加工精度が十分に高いことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るサファイア単結晶ブロックの製造装置の一実施例の全体斜視図である。
【図2】レベル調整手段の要部拡大平面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 サファイア単結晶インゴット
2 サファイア固定プレート
2a レベル調整ボルト
2b 固定ボルト
3 スライドテーブル
3a、3b ボールネジハンドル装置
4 コアビット
5 コアドリルユニット
6 支柱
7 スライドブロック
8 送り装置
9 フレーム
10 削孔ユニット
11 モーター
12 ガイドレール
13 ボールねじ
14 給水管
15 カバー
16 排水管
B 架台
F 本体フレーム
【出願人】 【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
【識別番号】593110580
【氏名又は名称】株式会社シブヤ
【識別番号】592202088
【氏名又は名称】山勝工業株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司

【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之


【公開番号】 特開2008−971(P2008−971A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172174(P2006−172174)