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トラックアジテータ車 - 特開2008−155459 | j-tokkyo
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【発明の名称】 トラックアジテータ車
【発明者】 【氏名】村下 剛

【氏名】佐藤 智

【要約】 【課題】回転ドラム本体の外周構造を断熱層と遮熱層で構成することによって、直射日光等による熱を遮り、収納される生コンクリートの温度変化を抑制し、適正な状態の生コンクリートを打設工事現場までに移送を可能とするトラックアジテータ車を提供する。

【解決手段】回転ドラム本体3の外周に、断熱性塗料を塗装してなる断熱層13と、遮熱性塗料を塗装してなる遮熱層14が形成されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリートを収納するトラックアジテータ車の回転ドラム本体の外壁表層部に、遮熱性塗料を塗装してなる遮熱層を形成して、生コンクリートの温度変化を抑制することを特徴とするトラックアジテータ車。
【請求項2】
前記遮熱性塗料は、遮熱性顔料からなり、当該遮熱性顔料が金属酸化物である微粒子複合酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載のトラックアジテータ車。
【請求項3】
前記遮熱層と、前記トラックアジテータ車の回転ドラム本体の外壁表層部との間に、断熱性塗料を塗装してなる断熱層を形成して、生コンクリートの温度変化を抑制することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトラックアジテータ車。
【請求項4】
前記遮熱性塗料または前記断熱性塗料は、中空状のバルーンを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトラックアジテータ車。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、生コンクリートの運搬に使用されるトラックアジテータ車に関する。さらに詳しくは、生コンクリートを混練して移送するトラックアジテータ車において、トラックアジテータ車の回転ドラム内に収納された生コンクリートの温度変化を抑止する機能を備えたトラックアジテータ車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメントと骨材、砂等に水を加えて混練した生コンクリートをコンクリート打設工事現場までに運搬する方法として、トラックアジテータ車が一般的に使用されている。前記トラックアジテータ車は生コンクリートを収納する回転ドラムが備えられており、この回転ドラム内に生コンクリートを収容させ、これを所定のコンクリート打設工事現場まで運搬する。
【0003】
この回転ドラムには、厚さ数ミリ程度の鋼板等が用いられ、ドラム型に成型したものが、自走可能な車輌の荷台に搭載されるほか、ドラム内部には生コンクリートを混練するためのスクリュー板が具備されている。また、ドラムには回転を与えて生コンクリート混練状態が維持できる機構が具備されている。
【0004】
生コンクリートは混練開始後、凝固硬化反応特性(水和反応特性)の影響を考慮し、適正な生コンクリートの品質を保持させるために、コンクリート打設工事現場までの運搬時間は、最大90分と定められている。しかしながら、ドラム内の生コンクリートは移送中の季節的影響を強く受ける。例えば、夏季の気温が高く太陽日射量が大きい時期などは、回転ドラムの表面及び回転ドラム内は非常に高温な状態となり、生コンクリートの温度を上昇させ、生コンクリートの水和反応を進行させてしまう場合があった。生コンクリートの凝固硬化反応が促進されてしまうことは、生コンクリートの打設作業の大きな妨げになるほか、場合によっては全量を廃棄しなければならない問題を引き起こした。
【0005】
このような問題を解決するため、例えば、生コンクリートの温度上昇に伴う反応を制御するための反応遅延剤を混練時に配合させる方法や、予め低温の水を配合させて生コンクリートの温度上昇を抑制し、生コンクリートの品質劣化を防止する方法がある。しかし、これら方法は生コンクリートのコストアップとなるほか、気象条件に応じた配合量や冷水温度調整などの作業の煩雑さなどの欠点を有している。
【0006】
その他、回転ドラムの外側に日除けや断熱層を設けて生コンクリートの温度上昇を防止する方法として、回転ドラム壁の外側にカバー材を設け、発泡樹脂を流し込み加熱発泡させて断熱層を具備させる方法(例えば、特許文献1)や、断熱材を回転ドラム壁の外側に形成させ、この外側に鉄板やステンレスで覆い、また、これらをバンド等で固定して断熱層を具備する方法(例えば、特許文献2)などが提案されている。さらには、回転ドラム本体の外面を二重構造とし、内部に断熱材を入れて断熱層を備える方法が提案されている(例えば、特許文献3)。
【0007】
積極的に回転ドラムを冷却する手段としては、回転ドラム外周に吸水性高分子繊維を主体とする吸収体を保持させた冷却用被覆帯からなる方法(例えば、特許文献4)が提案されている。
【0008】
また、トラックアジテータ車に加熱装置を搭載させ、回転ドラム外部を加熱する方法が提案されている(例えば、特許文献5)。
【0009】
【特許文献1】実開平07−027946号公報
【特許文献2】実開平07−027947号公報
【特許文献3】特開平09−277245号公報
【特許文献4】特開2001−009826号公報
【特許文献5】特開昭59−038014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1〜3の方法は、断熱層を具備させるために非常に大掛かりな構成となるほか、回転ドラムの直径や重量が大きくなることによりトラックアジテータ車の燃費が悪くなる欠点を有しているほか、回転ドラムを含んだトラックアジテータ車の仕様を変更する必要があった。また、外部からの熱による生コンクリートの温度上昇に対しては、防ぎがたい難点があった。
【0011】
特許文献4の方法は、外部からの熱により含水されている水の気化熱を利用した回転ドラム内の冷却を行うものであるが、この方法も装置としては大掛かりな構成となるほか、水を含水しているため、重量が大きくなり車輌の燃費が悪くなる。さらに、保水による吸水性高分子繊維の腐食劣化や、冷却用被覆帯には定期的に水を補充しなければならない作業煩雑さなどの欠点があった。
【0012】
その他、冬季などの寒冷季節には、逆に外部からの冷気の影響により、回転ドラム内の生コンクリート温度の低下を誘引し、生コンクリートの性状を変化させる問題がある。これらの現象は、生コンクリートの硬化時間を遅くさせるため、凍害や初期硬化のための養生期間が長くなるなどの問題があった。
【0013】
この問題を解決するためには、反応促進剤などが混練時に配合されるが、生コンクリートのコストアップにつながる欠点を有している。
【0014】
また、特許文献5の方法も、生コンクリートの過度な温度上昇を防止するための検出器や制御器等が必要であり、高価な構成となるほか、トラックアジテータ車の仕様を変更する必要があり実用的でなかった。
【0015】
本発明は、新しいトラックアジテータ車のみだけでなく、既存のトラックアジテータ車にも容易に適用可能とし、回転ドラム部を含むトラックアジテータ車自体の構成仕様などを変更せずに適用できる方法を提供し、かつ、通年を通して、季節外的条件により回転ドラム内の生コンクリートの温度変化を抑制できるトラックアジテータ車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、回転ドラム外装部に断熱性塗料からなる断熱層及び遮熱性塗料からなる遮熱層を備えることにより、生コンクリート混練開始から所定のコンクリート打設工事現場までの移送の間、回転ドラム内に収納される生コンクリートの温度変化が抑制できる。すなわち、生コンクリートの品質劣化抑制に優れたトラックアジテータ車を提供できることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、下記の通りである。
【0017】
1.生コンクリートを収納するトラックアジテータ車の回転ドラム本体の外壁表層部に、遮熱性塗料を塗装してなる遮熱層を形成して、生コンクリートの温度変化を抑制することを特徴とするトラックアジテータ車。
【0018】
2.前記遮熱性塗料は、遮熱性顔料からなり、当該遮熱性顔料が金属酸化物である微粒子複合酸化物からなることを特徴とする1.に記載のトラックアジテータ車。
【0019】
3.前記遮熱層と、前記トラックアジテータ車の回転ドラム本体の外壁表層部との間に、断熱性塗料を塗装してなる断熱層を形成して、生コンクリートの温度変化を抑制することを特徴とする1.または2.に記載のトラックアジテータ車。
【0020】
4.前記遮熱性塗料または前記断熱性塗料は、中空状のバルーンを含むことを特徴とする1.から3.のいずれか1つに記載のトラックアジテータ車。
【発明の効果】
【0021】
本発明のトラックアジテータ車は、回転ドラムの外面表層部に遮熱性塗料を塗布してなる遮熱層が形成されているため、夏季の太陽日射による表層の温度上昇を抑制することが可能となり、回転ドラム内に収納された生コンクリートの温度変化を最小限にすることができる。また、冬季においては、回転ドラムの外装面と前記遮熱層との間に具備される断熱性塗料を塗布してなる断熱層が、回転ドラム内の保温性を高めるため、前記同様に生コンクリートの温度変化を抑制することが可能となる。従って、混練開始からコンクリート打設工事現場までの移送の間、生コンクリートの温度変化を抑制しながら、運搬することが可能となる。
【0022】
また、新設のトラックアジテータ車だけでなく、既存のトラックアジテータ車本体への適用も可能であり、かつ、従来の車輌及び回転ドラムなどの仕様を変えずに遮熱性塗料並びに断熱性塗料を塗布するだけで非常に容易かつ安価に実現することができる。また、塗膜は非常に薄く構成することが出来るため、車体重量も殆ど変わらず、燃費が悪くなることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本願発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る一般的なトラックアジテータ車の外観側面と断熱層13及び遮熱層14の積層断面を示した図である。トラックアジテータ車は前部に運転席1が設けられ、その後方部に回転ドラム本体3が配置された車体構造をとる。
【0024】
生コンクリートはホッパ6を介して当該回転ドラム本体3内に投入して収納され、コンクリートを打設する工事現場に移送される。回転ドラム本体3は、前側部分が低く、後側の開口部が高くなるように傾斜をつけて車輌2に前部支持装置4及び後部支持装置5によって取り付けられる。
【0025】
また、回転ドラム本体3には回転駆動装置9が連結されている。生コンクリートの排出時等には、回転ドラム本体3を回転させながら内部に具備されているスクリュー板10により内部の生コンクリートを回転ドラム本体3の排出口11に対して押し出す。押出される生コンクリートはスクープ7からシュート8へ案内され、指定の場所へ排出される。
【0026】
本発明に係る断熱層13及び遮熱層14は、当該回転ドラム本体3の外面に設けられるものである。その積層構造は、回転ドラム本体3の外壁表層部となる回転ドラム壁12の外周を覆うように断熱層13が設けられ、さらに、その外周を覆うように遮熱層14が設けられる。
【0027】
ここで、断熱層13ならびに遮熱層14は、おのおの断熱性塗料及び遮熱性塗料を塗装してなる積層構造により構成される。
【0028】
断熱層13の塗膜厚は薄すぎると、断熱性能を発現しないため、塗膜厚が350μm以上となるように構成すると良い。好ましくは500μ以上、より好ましくは1000μm以上の断熱層13の厚みが好ましい。また、断熱性能を表す熱的特性として熱伝導率があるが、当該断熱層(塗膜層)の熱伝導率は断熱性能を発現させるため、0.20W/m・K以下で構成される。熱伝導率が大きいと、目的とする断熱性能が得られない。前記熱伝導率は、好ましくは、0.15W/m・K以下、より好ましくは0.09W/m・K以下が好ましい。
【0029】
ここで、断熱性塗料の色は特にこだわらないが、より好ましくは白もしくは薄い色からなる塗料であることが好ましい。
【0030】
一方、遮熱層14の塗膜厚は太陽日射反射率の機能を保持させるため、50μm以上となるようにする。あまり薄いと隠蔽度が無くなり、太陽光が透過してしまい、十分な日射反射率を得ることができない。従って、遮熱層14の塗膜厚は好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上である遮熱層14が好ましい。
【0031】
太陽光の反射性能を示す物性に日射反射率があるが、当該遮熱層14の持つ日射反射率は、780nm〜2100nmの波長領域において、40%以上の日射反射率を有する。日射反射率が低いと、十分な太陽光の反射性能を得られない。好ましくは55%以上、より好ましくは75%の日射反射率を有する遮熱層14が好ましい。
【0032】
断熱層13として用いられる断熱性塗料は、従来公知の断熱性を有する塗料ならどのようなものでも良いが、例えば、合成樹脂エマルジョン系に断熱性を具備させるために中空状のバルーンを配合した断熱性塗料を挙げることができる。水性樹脂エマルジョン系であれば、アクリル酸、酢酸ビニル、メタクリル酸、スチレン、エチレン、アクリル酸エチル、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル、アクリル酸イソプロピル、ブタジエンなどから選択された不飽和単量体の1種または2種以上を乳化重合して得られるホモ重合体または共重合体エマルジョン、ラテックス、さらには、これら重合体エマルジョンの2種類以上の混合物を用いることができる。また、ポリウレタンなどのエマルジョン水溶液ポリマー類を用いても良いし、シリコン系の水性樹脂組成物などを用いても良い。
【0033】
さらには、これらを混合、ブレンドさせた塗料組成物であっても差し支え無いし、溶剤系又は無溶剤系塗料に断熱性を具備させるために中空状のバルーンを配合させた断熱性塗料でもよい。
【0034】
中空状のバルーンは、断熱性を有するものであれば、バルーンを構成する組成を含めて特に限定されるものではないが、発泡樹脂バルーンやシラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーン、マイクロカプセル、ガラスバルーンなどを挙げることができる。バルーンの中空部は空気または別の気体で構成されていても良いし、真空に近い真空状の状態であっても良い。ここで言う真空とは、絶対真空の状態を指している訳ではなく、1気圧よりも気圧が小さい状態を指している。さらに、中空状であるバルーンの内側は、単室からなる中空部であってもよいし、複数の壁で仕切られた、または繋がってなる複数室からなる中空部であっても差し支えない。
【0035】
さらに、用いられる中空状のバルーンの粒度分布は均一なもので良いし、幅広い分布を有するものでもよい。幅広い粒度分布を持つバルーンのほうが、塗膜中に最密充填を可能とすることができるため、断熱性能を高めることができる。具体的には、中空状のバルーンの粒径が0.5μm〜200μmのものが良く、好ましくは1.0μm〜150μm、より好ましくは粒径が5μm〜100μmの範囲である中空状のバルーンを好適に利用することができる。
【0036】
あまり小さい粒径の中空状のバルーンを用いると塗料中で凝集を起こすほか、所望の断熱性能を得ることができない。一方、大きすぎる中空状のバルーンは、バルーンを構成する殻自体の強度が低下するため、塗料中にバルーンを混合する際、または、断熱性塗料として使用する際に、壊れてしまうので好ましくないし、塗料中に均一に分散させることが困難となる。
【0037】
また、中空状のバルーン粒径は、塗装時の作業性及び塗膜表面の仕上げ条件に応じて、前記範囲の中で最適な粒度分布特性のものを選ぶこともできる。
【0038】
バルーンの形状としては、特に限定はしないが、例えば、球状、棒状、板状、柱状、楕円状、針状などの形状を有するものを挙げることができる。好ましくは、塗料製造時の作業性や充填率性や断熱性に優れる球状のものが好ましい。
【0039】
また、塗料全体に対するこれら中空状のバルーンの含有量は、塗料の状態で重量比が5%〜40%程度になるように構成させることが好ましい。中空状のバルーンの重量比が小さいと、塗布後の断熱層13の断熱性能が小さくなり、大きすぎると塗膜性能を低下させる。
【0040】
前記中空状のバルーンを例えば、合成樹脂エマルジョン中に配合させてなる断熱性塗料の塗膜は断熱性能に優れ、一般的な塗膜の熱伝導率に比べ非常に小さくなる。具体的には、塗膜の熱伝導率が0.07W/m・K〜0.25W/m・Kとなり、一般的な塗膜と比べると1/10以下程度の熱伝導率を持った断熱性能を成し得ることができる。
【0041】
次に、遮熱性塗料について説明する。本発明に係る遮熱性塗料は、前記断熱性塗料と同様に、従来公知の合成樹脂などをビヒクルとする遮熱塗料ならば、特に限定されるものではない。例えば、水性エマルジョン系塗料に日射反射率に優れる遮熱性顔料と、断熱性能や反射性能、長波放射性能を高めることができる中空状のバルーンを配合させた塗料組成物を挙げることができる。
【0042】
中空状バルーンは断熱性塗料に用いられるものと同一のものを用いても良いが、透明または半透明であることが好ましい。これは、透明または半透明であるほうが、バルーン中に入射する太陽光を効率良く反射することが分かっているためである。
【0043】
透明もしくは半透明であれば、色の有無については特に限定されない。色がついていても、透明または半透明であれば差し支えない。前述した中空状のバルーンのなかで、ホウ化ケイ素系のセラミックバルーンは高い透明性を有するため、好適に用いることができる。
【0044】
さらに中空状のバルーンを配合させた遮熱性塗料は高い長波放射性能を有している。長波放射性能とは、自身が持つ熱エネルギーを赤外線として外部に放射する現象を言い、一般的には放射率(輻射率)がその性能を示す特性値として取り扱われる。具体的に、中空状のバルーンを配合させた遮熱層(塗膜)では、0.94〜0.99相当の放射率を得ることができる。よって、太陽光を吸収し表面温度の上昇があるような場合でも、長波放射性能により、温度上昇をさらに低減させることができる。
【0045】
遮熱性顔料は、従来公知で知られる酸化チタン、酸化クロムなどの金属酸化物系の顔料に加え、黒度、着色力及び発色性に優れたブラック系の微粒子複合金属酸化物が利用できる。有機化合物系のブラック顔料も知られているが、紫外線による耐候性が劣るため、好ましくは無機系の微粒子複合金属酸化物である遮熱性顔料を用いることが好ましい。
【0046】
より具体的には、コバルト、マンガン及び鉄の酸化物からなる微粒子複合酸化物を挙げることができる。これら遮熱性顔料を配合させた遮熱性塗料は優れた日射反射率を有している。また、酸化チタン系白色顔料としては、ルチル型及びアナターゼ型のどちらでも使用可能であるが、アナターゼ型は長期屋外暴露条件下ではチョーキングを起こしやすいことが分かっているので、屋外での使用が主であるトラックアジテータ車の場合は、ルチル型の酸化チタンの使用が好ましい。
【0047】
断熱性塗料及び遮熱性塗料への添加剤としては、本願発明の目的を損なわない範囲で、可塑剤、硬化促進剤、レベリング剤、分散剤、乳化剤、防腐剤、乾燥剤、凍結防止剤、顔料分散剤、防カビ剤などを配合しても差し支えない。
【0048】
さらに、塗料が水系塗料である場合、自己造膜性、配向性、隠蔽性などの特性に優れ、しかも、表面に化学修飾が可能な反応性の高いシラノール基を有する低結晶性の極薄状のシリカ水分散スラリーを添加配合させることもできる。前記シリカ水分散スラリーは塗料中において、シラノール基が遮熱性顔料を捕捉し、シリカどうしの親和力によって中空状のバルーンを均一分散保持させる機能を有している。
【0049】
トラックアジテータ車の回転ドラム本体3の表層部に、前記断熱性塗料及び遮熱性塗料を塗装する方法としては、従来から用いられる塗装方法を用いることができる。例えば、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー拭き付け塗装方法などが利用可能である。
【0050】
本発明に係る遮熱層14及び/または断熱層13は回転ドラム本体3のみならず、熱輻射(熱放射)による影響で生コンクリートの温度変化に影響を与える可能性がある運転席1の外装部及び車輌2の各架台表面部に具備させても良い。運転席1側の外装部に断熱層13及び遮熱層14を設けることは、夏場の車内冷房化にも有効でもあり、燃費向上にも有効である。
【0051】
なお、回転ドラム本体3の表層部に、断熱材シートを最初に固定させ、その上部に遮熱性塗料を塗装して遮熱層を具備させても良いし、断熱性機能と遮熱性機能をあわせ持つ塗料を塗布してなる遮熱断熱層で構成させても良い。また、断熱層13のみを回転ドラム本体3の外装部に具備させても良いし、断熱層13を省略して遮熱層14のみを回転ドラム本体3の外装表層部となる回転ドラム壁12に遮熱性塗料を塗装してなる遮熱層14を形成して生コンクリートの温度変化を抑制することでも良い。
【0052】
さらに、本発明で形成される塗膜は、塗膜の温度上昇が抑制されるため、塗膜の剥れ、劣化などを防ぐことができるほか、耐久性、耐候性、防音性に優れた塗膜性能を示す。
【0053】
このようにして、トラックアジテータ車の回転ドラム本体3の外装部に形成された断熱層13及び遮熱層14からなる塗膜層は遮熱性能及び断熱性能を有し、太陽日射などの熱エネルギーに対して優れた反射性能及び長波放射性能を持つため、塗膜の温度上昇を抑えることが可能となると同時に寒冷期には、回転ドラム本体3内部の保温機能を有する。そのため、前記断熱層13及び遮熱層14を介して回転ドラム本体3の内部雰囲気温度及び生コンクリートの温度変化を抑えることができる。
【0054】
以下、本発明の実施例を挙げ、より具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0055】
図1に示すトラックアジテータ車の回転ドラム本体3の外周面に、中空状のシラスバルーンを配合させた断熱性塗料を塗装して断熱層13を形成させた。断熱層13の塗膜の厚みは1000μmであった。次に、断熱層13の上層に中空状のシラスバルーンを配合させた遮熱性塗料を塗装して遮熱層14を形成させた。遮熱層14の塗膜の厚さは、220μmであった。
【0056】
比較のため、同じ型のトラックアジテータ車(一般車輌)を準備した。尚、回転ドラム本体3の外壁表面に一般的なシルバー系塗料を塗装させた同型の一般車輌を選択した。尚、実施例中における遮熱性能及び断熱性能は、次のようにして測定評価した。
【0057】
生コンクリートの練り上がり出荷時から、コンクリートを打設する工事現場(荷卸時)までの時間と、それぞれにおける生コンクリートの温度を測定した。生コンクリートの温度は、汎用の接触温度計を(誤差:±0.1度以内)を用いて測定した。出荷時及び荷卸時の外気温度は、評価測定を行った地区を管轄する気象庁発表の統計データを用いた。
【0058】
評価は1年間を通して長期的に実施し、評価測定期間を3つのブロックに分けて、得られたデータの集計を行った。
【0059】
尚、集計処理に関して、生コンクリートの運搬時間及び評価測定を実施した日時がそれぞれに異なるため、遮熱性能及び断熱性能を表す生コンクリートの温度変化を以下の数1式〜数3式にて求め、各評価測定期間毎に平均値を算出した。評価測定期間毎に得られた平均値を以下の表1に示す。
【0060】
【数1】


【0061】
【数2】


【0062】
【数3】


【0063】
【表1】


【産業上の利用可能性】
【0064】
本願発明のトラックアジテータ車は、回転ドラム本体の外装表面温度並びに回転ドラム本体内の温度、そして、収納される生コンクリートの温度変化を抑制することができるため、夏季の熱暑時期や冬季の寒冷時期において、通年を通して問題なく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明のトラックアジテータ車の一例を示す側面図及び部分断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1…運転席
2…車輌
3…回転ドラム本体
4…前部支持装置
5…後部支持装置
6…ホッパ
7…スクープ
8…シュート
9…回転駆動装置
10…スクリュー板
11…排出口
12…回転ドラム壁
13…断熱層
14…遮熱層
【出願人】 【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
【識別番号】501165628
【氏名又は名称】株式会社ティ・エス・プランニング
【出願日】 平成18年12月22日(2006.12.22)
【代理人】 【識別番号】100095315
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕幸

【識別番号】100134717
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 裕司

【識別番号】100142158
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 啓


【公開番号】 特開2008−155459(P2008−155459A)
【公開日】 平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願番号】 特願2006−345860(P2006−345860)