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【発明の名称】 加湿粉体生成装置
【発明者】 【氏名】堀 浩司

【要約】 【課題】所望の温度に調整された加湿粉体を生成することが可能な加湿粉体生成装置を提供すること。

【解決手段】セラミック製のハニカム成形体80を製造する際に用いられ、貯留されたセラミック粉体を定量供給可能な粉体定量供給機20と、貯留された液体を定量供給可能な液体定量供給機30とを備え、加湿混合機50により粉体定量供給機20から供給されたセラミック粉体と液体定量供給機30から供給された液体とを混合して加湿材を生成するハニカム成形体製造装置10に関するものである。そして、加湿材の温度を検出する第4温度センサ52と、このセンサの検出結果に基づいて液体定量供給機30に貯留されている液体の温度を調整する液体温度調整機40とを備えることを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック成形体を製造する際に用いられ、貯留されたセラミック粉体を設定された分量ずつ供給可能な粉体供給部と、貯留された液体を設定された分量ずつ供給可能な液体供給部とを備え、加湿混合部により前記粉体供給部から供給されたセラミック粉体と前記液体供給部から供給された液体とを混合して加湿粉体を生成する加湿粉体生成装置において、
前記加湿粉体の温度を検出する加湿粉体温度検出手段と、
前記加湿粉体温度検出手段の検出結果に基づいて、前記粉体供給部に貯留されているセラミック粉体の温度及び前記液体供給部に貯留されている液体の温度の少なくとも一方を調整する温度調整手段と
を備えることを特徴とする加湿粉体生成装置。
【請求項2】
前記温度調整手段は、前記加湿粉体温度検出手段の検出結果に基づいて、前記液体供給部に貯留されている液体の温度を調整するものであり、
前記加湿粉体について予め設定された目標温度と前記加湿粉体温度検出手段により検出した前記加湿粉体の実温度との偏差に応じて前記液体供給部に貯留されている液体の目標温度を算出し、その目標温度となるように前記液体の温度を調整することを特徴とする請求項1に記載の加湿粉体生成装置。
【請求項3】
前記粉体供給部から供給されるセラミック粉体の供給量及び前記液体供給部から供給される液体の供給量を設定する供給量設定手段を備え、
前記供給量設定手段は、前記偏差が所定値より大きい場合に前記セラミック粉体及び前記液体の各供給量を制限することを特徴とする請求項2に記載の加湿粉体生成装置。
【請求項4】
セラミック成形体を製造する際に用いられ、貯留されたセラミック粉体を設定された分量ずつ供給可能な粉体供給部と、貯留された液体を設定された分量ずつ供給可能な液体供給部とを備え、加湿混合部により前記粉体供給部から供給されたセラミック粉体と前記液体供給部から供給された液体とを混合して加湿粉体を生成する加湿粉体生成装置において、
前記セラミック粉体の温度を検出するセラミック粉体温度検出手段と、
前記セラミック粉体温度検出手段の検出結果に基づいて、前記液体供給部に貯留されている液体の温度を調整する温度調整手段と
を備えることを特徴とする加湿粉体生成装置。
【請求項5】
前記温度調整手段は、前記セラミック粉体温度検出手段による検出結果に基づいて、前記液体供給部に貯留されている液体の目標温度を算出し、その目標温度となるように前記液体の温度を調整することを特徴とする請求項4に記載の加湿粉体生成装置。
【請求項6】
前記液体供給部が有する液体貯留タンクの近傍に温調用媒体を循環させる媒体循環径路を設け、
前記温度調整手段は、前記媒体循環径路における媒体の循環状態を調整することにより、前記液体貯留タンクに貯留されている液体の温度を調整することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の加湿粉体生成装置。
【請求項7】
前記温度調整手段は、前記温調用媒体の温度を変更する媒体温度変更手段を有することを特徴とする請求項6に記載の加湿粉体生成装置。
【請求項8】
前記液体供給部は、第1液体貯留タンクと、前記第1液体貯留タンクよりも容量が大きく且つ前記加湿混合部を基準として前記第1液体貯留タンクよりも上流側に設けられた第2液体貯留タンクとを有し、
前記温度調整手段は、前記第1及び第2の液体貯留タンク部に貯留されている液体の温度をそれぞれ調整することを特徴とする請求項2から請求項7のいずれかに記載の加湿粉体生成装置。
【請求項9】
前記第1液体貯留部に貯留されている液体の温度を検出する第1液体温度検出手段及び前記第2液体貯留部に貯留されている液体の温度を検出する第2液体温度検出手段を備え、
前記温度調整手段は、前記第1液体貯留部に貯留されている液体の目標温度及び前記第2液体貯留部に貯留されている液体の目標温度を、前記第1液体貯留部に貯留されている液体の目標温度と実温度との偏差よりも前記第2液体貯留部に貯留されている液体の目標温度と実温度との偏差が大きくなるように設定することを特徴とする請求項8に記載の加湿粉体生成装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばセラミックハニカム構造体等の主原料となるセラミック加湿粉体を生成するための加湿粉体生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の排ガス浄化装置の触媒担体としてはセラミックハニカム構造体が用いられている。セラミックハニカム構造体は、図7に示すごとく、多数のセル81を隔壁82により設けてなるハニカム成形体80を乾燥、焼成して製造される。
【0003】
ハニカム成形体80の製造方法については例えば特許文献1に記載のものが知られている。この文献に記載のハニカム成形体の製造方法について簡単に説明する。まず、セラミック粉末材料と液体とが混合され、加湿された状態の粉末材料(以下、「加湿材」と呼ぶ)が生成される。次に、この加湿材が混練成形機に投入される。混練成形機に投入された加湿材は混練されて粘土質の成形材となる。そして、混練成形機の先端部の成形型から粘土質の成形材が押し出されてハニカム成形体80が製造される。
【特許文献1】特開2002−144313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、セラミック製品の品質を安定化するためには、押し出される成形材の粘度(すなわち、流動性や保形性)を一定にすることが重要である。
【0005】
一般に加湿材の原料であるセラミック粉末材料は倉庫等で保管されるため、季節による温度変化が大きい。また、セラミック粉末材料を加湿するための液体も季節による温度変化を受けやすい。この場合、成形材の粘度は温度による影響を受けるので、加湿材について季節による温度変化が大きくなると、その後工程で生成される成形材の粘度の変化も大きくなる。そこで従来は、温度コントロールされた保管庫で加湿材を所定期間保管して加湿材の温度を所定温度にした後、混練成形機への投入を行っていた。そのため、加湿工程と混練成形工程との間に加湿材の温度を調整する工程が必要であり、加湿工程と混練成形工程とを連続的に行うことが困難であった。例えば、加湿工程の後、数日をかけて加湿材の温度調整が行われ、ハニカム成形体の製造工程における生産効率が悪化する原因となっていた。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、所望の温度に調整された加湿粉体を生成することが可能な加湿粉体生成装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0008】
請求項1に記載の発明は、セラミック成形体を製造する際に用いられ、貯留されたセラミック粉体を設定された分量ずつ供給可能な粉体供給部と、貯留された液体を設定された分量ずつ供給可能な液体供給部とを備え、加湿混合部により前記粉体供給部から供給されたセラミック粉体と前記液体供給部から供給された液体とを混合して加湿粉体を生成する加湿粉体生成装置に関するものである。そして、前記加湿粉体の温度を検出する加湿粉体温度検出手段と、前記加湿粉体温度検出手段の検出結果に基づいて、前記粉体供給部に貯留されているセラミック粉体の温度及び前記液体供給部に貯留されている液体の温度の少なくとも一方を調整する温度調整手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
加湿混合部で生成される加湿粉体の温度は、混合されるセラミック粉体及び液体の温度に依存する。すなわち、セラミック粉体及び液体の温度の組み合わせを適切に調整することにより、生成される加湿粉体の温度を所望の温度に調整することができる。本発明では、加湿粉体の温度の検出結果に基づいてセラミック粉体及び液体の温度の少なくとも一方を調整する温度調整部を備えている。これにより、セラミック粉体及び液体の温度の組み合わせを適切に調整することができ、生成される加湿粉体の温度を所望の温度に調整することが可能となる。
【0010】
この結果、後工程である混錬及び成形の工程に所望の温度に調整された加湿粉体を供給することができるので、混錬工程で生成される成形材の粘度を一定にすることができ、セラミック製品の品質を安定化することが可能となる。この場合、加湿粉体の原料に対する直接的な温度調整が行われるため、結果としてセラミック成形体の温度調整を効率良くかつ精度良く行うことができる。例えば、後工程(混練・成形)において加熱及び冷却を行うことでセラミック成形体の温度調整を行う場合には、その温度調整が困難であって、かつ温度変化の応答性が低い。これに対し、本発明ではこうした不都合が解消される。また、加湿粉体の温度を調整するための別工程が不要であるので、加湿粉体の生成工程から混錬及び成形の工程まで連続して行うことが可能となり、セラミック成形体の製造工程の効率化を図ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、前記温度調整手段は、前記加湿粉体温度検出手段の検出結果に基づいて、前記液体供給部に貯留されている液体の温度を調整するものであり、前記加湿粉体について予め設定された目標温度と前記加湿粉体温度検出手段により検出した前記加湿粉体の実温度との偏差に応じて前記液体供給部に貯留されている液体の目標温度を算出し、その目標温度となるように前記液体の温度を調整することを特徴としている。
【0012】
セラミック粉体に比べて液体は流動性が高い。このため、セラミック粉体でなく液体の温度を調整することで全体を均一に且つ精度よく温度調整することが容易となる。この結果、生成される加湿粉体の温度の調整も精度よく行うことが可能となる。また、偏差に応じて液体の目標温度を算出することにより加湿混合部に供給される液体の温度の調整精度を高めることができる。その結果として、加湿混合部で生成される加湿粉体の調整温度の精度を高めることが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、前記粉体供給部から供給されるセラミック粉体の供給量及び前記液体供給部から供給される液体の供給量を設定する供給量設定手段を備え、前記供給量設定手段は、前記偏差が所定値より大きい場合に前記セラミック粉体及び前記液体の各供給量を制限することを特徴としている。制限としては、例えば供給量を減らすことは勿論、供給を停止することも可能である。加湿粉体温度の検出結果に基づいて液体の温度を調整した場合、その調整結果が反映されて加湿粉体の温度が所望の温度となるまでには所定の時間遅れが生じうる。この時間遅れは加湿粉体の目標温度と実温度との偏差が大きいほど大きくなりやすい。この点、本発明では、偏差が大きい場合には、セラミック粉体及び液体の供給量が制限されている。このため、加湿粉体の生成速度が小さくなる。この結果、所望の温度に調整されていない加湿粉体の生成量を抑制することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、セラミック成形体を製造する際に用いられ、貯留されたセラミック粉体を設定された分量ずつ供給可能な粉体供給部と、貯留された液体を設定された分量ずつ供給可能な液体供給部とを備え、加湿混合部により前記粉体供給部から供給されたセラミック粉体と前記液体供給部から供給された液体とを混合して加湿粉体を生成する加湿粉体生成装置に関するものである。そして、前記セラミック粉体の温度を検出するセラミック粉体温度検出手段と、前記セラミック粉体温度検出手段の検出結果に基づいて、前記液体供給部に貯留されている液体の温度を調整する温度調整手段とを備えることを特徴としている。
【0015】
本発明では、セラミック粉体の温度の検出結果に基づいて液体の温度を調整することにより混合されるセラミック粉体及び液体の温度の組み合わせを適切に調整することができる。この結果、生成される加湿粉体の温度を所望の温度に調整することが可能となる。
【0016】
この結果、後工程である混錬及び成形の工程に所望の温度に調整された加湿粉体を供給することができるので、混錬工程で生成される成形材の粘度を一定にすることができ、セラミック製品の品質を安定化することが可能となる。また、加湿粉体の温度を調整するための別工程が不要であるので、加湿粉体の生成工程から混錬及び成形の工程まで連続して行うことが可能となり、セラミック成形体の製造工程の効率化を図ることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、前記温度調整手段は、前記セラミック粉体温度検出手段による検出結果に基づいて、前記液体供給部に貯留されている液体の目標温度を算出し、その目標温度となるように前記液体の温度を調整することを特徴としている。セラミック粉体温度検出手段により検出したセラミック粉体の実温度に基づいて液体の目標温度を算出することにより、加湿混合部に供給される液体の温度の調整精度を高めることができる。その結果として、加湿混合部で生成される加湿粉体の調整温度の精度を高めることが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明では、前記液体供給部が有する液体貯留タンクの近傍に温調用媒体を循環させる媒体循環径路を設け、前記温度調整手段は前記媒体循環径路における媒体の循環状態を調整することにより、前記液体貯留タンクに貯留されている液体の温度を調整することを特徴としている。媒体を液体貯留タンクの近傍に循環させることにより媒体の熱を液体に伝達することができる。そして、媒体の温度や流量等の循環状態を調整することにより液体の温度を調整することが可能となる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、前記温度調整手段は、前記温調用媒体の温度を変更する媒体温度変更手段を有することを特徴としている。媒体の温度を変更することにより、媒体の熱による液体の温度調整を精度よく好適に行うことが可能となる。なお、媒体の温度を変更させるための手段としては、例えば、電流を流すことにより発熱するコイル等を用いることが可能である。
【0020】
なお、液体の温度調整を好適に行うために、所定温度に設定された媒体の時間当たりの循環量を変更するという手段を採用することも可能である。時間当たりの媒体の循環量を変更することで時間当たりの伝熱量を変更することができる。これにより、例えば、液体温度の調整量が大きい場合には時間当たりの媒体の循環量を多くすることにより、液体温度が目標の温度に調整されるまでの時間を短縮することが可能となる。
【0021】
請求項8に記載の発明では、前記液体供給部は、第1液体貯留タンクと、前記第1液体貯留タンクよりも容量が大きく且つ前記加湿混合部を基準として前記第1液体貯留タンクよりも上流側に設けられた第2液体貯留タンクとを有し、前記温度調整手段は、前記第1及び第2の液体貯留タンク部に貯留されている液体の温度をそれぞれ調整することを特徴としている。第1液体貯留部の容量を比較的小さくしているので、第1液体貯留部内における液体の温度変化の応答性を高めることが可能である。
【0022】
請求項9に記載の発明では、前記第1液体貯留部に貯留されている液体の温度を検出する第1液体温度検出手段及び前記第2液体貯留部に貯留されている液体の温度を検出する第2液体温度検出手段を備え、前記温度調整手段は、前記第1液体貯留部に貯留されている液体の目標温度及び前記第2液体貯留部に貯留されている液体の目標温度を、前記第1液体貯留部に貯留されている液体の目標温度と実温度との偏差よりも前記第2液体貯留部に貯留されている液体の目標温度と実温度との偏差が大きくなるように設定するようにすることが好ましい。
【0023】
上述のように加湿混合部に近い第1液体貯留部の容量を比較的小さくしているので、加湿混合部に供給する液体の温度を調整する際の応答性を高めることが可能となる。すなわち、所望の温度に調整された加湿粉体を得るまでの時間を短縮することが可能となる。また、比較的容量が大きく前記加湿混合部に対して前記第1液体貯留部よりも上流側に設けられた第2液体貯留部の液体の温度を第1液体貯留部内の液体の温度よりも大きく変動させるようにすることで、大きな容量の第2貯留部内における液体の温度変化の応答性も高めることか可能となる。そしてこの結果として、第2貯留部から第1貯留部に供給される液体により、温度調整の応答性に悪影響が及ぶことを抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はハニカム成形体製造装置の全体構成図である。図1に示すように、ハニカム成形体製造装置10は、粉体定量供給機20、液体定量供給機30、液体温度調整機40、加湿混合機50及び混練成形機60を含んで構成されている。ハニカム成形体製造装置10は第1、第2及び第3の3つのフロア11〜13を有しており、上記各構成要素はいずれかのフロア11〜13に設置されている。
【0025】
第3フロア13には、粉体定量供給機20が設置されている。粉体定量供給機20には、その上部の投入管21から粉体としてのセラミック粉末材料が投入される。そして、投入された粉体は貯留部22に貯留されるとともに、排出管23から加湿混合機50に定量供給される。また、粉体定量供給機20には、第1温度センサ24が設けられている。第1温度センサ24は粉体定量供給機20に貯留されている粉体の温度T1を検出するものであり、その検出結果は液体温度調整機40の制御部41に入力される。
【0026】
第2フロア12には、液体定量供給機30、液体温度調整機40及び加湿混合機50が設置されている。なお便宜上、図1においては、液体定量供給機30の一部及び液体温度調整機40を第2フロア12の外に描いている。液体定量供給機30は、水とバインダ液との混合液を加湿混合機50に定量供給する。バインダ液とはセラミック成形体の成形時に滑らかに押出成形可能とするための潤滑油が含まれた液体である。
【0027】
液体定量供給機30について詳述する。水タンク31に貯留されている水及びバインダ液タンク32に貯留されているバインダ液が混合タンク33にて所定割合で混合され、混合液が生成される。混合タンク33は容量約1000m3であり、そこに貯留されている混合液は容量約250m3のレベルタンク34に供給される。レベルタンク34には常時250m3の混合液の貯留が維持されるよう、混合タンク33から混合液が供給される。レベルタンク34の混合液は計量タンク35に供給される。計量タンク35は設定された分量を計量できるようになっており、混合液を加湿混合機50に定量供給する。各タンク31〜35には攪拌羽根31a,32a,33a,34a,35aが設けられており、攪拌羽根31a〜35aを回転させることにより各タンク31〜35中の液体の温度が均一とされる。
【0028】
レベルタンク34及び混合タンク33には、第2及び第3の温度センサ36,37が設けられている。各温度センサ36,37はレベルタンク34及び混合タンク33内の混合液の温度T2,T3をそれぞれ検出するものであり、それらの検出結果は液体温度調整機40の制御部41に入力される。また、混合タンク33及びレベルタンク34の外周部には温調用溶媒槽33b,34bがそれぞれ設けられており、その内部に温調用溶媒が循環するようになっている。
【0029】
液体温度調整機40は、温調用溶媒槽33b,34bに温調用溶媒を循環させることにより混合タンク33及びレベルタンク34内の混合液の温度を調整するためのものである。温調用溶媒は溶媒タンク42内で一定温度(例えば5℃)に温度制御されており、溶媒タンク42から所定の流速で排出されるようになっている。溶媒タンク42とレベルタンク34との間及び溶媒タンク42と混合タンク33との間の溶媒流路にはそれぞれ第1温調機43及び第2温調機44が設けられている。第1温調機43及び第2温調機44はコイルにより構成される発熱体を有している。そして、制御部41によりコイルの通電量が制御され、各温調機43,44を通過する溶媒の温度を所望の温度に調整することが可能となっている。すなわち、溶媒タンク42から一定温度(5℃)の流体が排出され、その流体が第1及び第2の温調機43,44にて目標温度に適宜調整される。
【0030】
制御部41はCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御部41はROMに記憶された制御プログラムを実行することで、入力された第1から第4の温度センサ24,36,37,52による温度情報に基づいて第1及び第2の温調機43,44の通電量を算出する。そして、その算出結果に基づいて通電量を制御することで温調用溶媒の温度を調整し、混合液の温度を所望の温度に調整する。なお、第4温度センサ52については後述する。
【0031】
加湿混合機50には粉体定量供給機20から粉体が供給されるとともに液体定量供給機30から混合液が供給される。そして、加湿混合機50において粉体と混合液とが混ぜ合わされることにより、加湿された状態の粉体(以下「加湿材」という)が生成される。加湿混合機50の内部には羽根車51が設けられており、羽根車51が回転することにより粉体と混合液とが均一に混ぜ合わせられる。なお、供給される粉体と混合液との重量割合は予め設定されており、本実施形態では3:1の重量割合となっている。また、加湿混合機50には第4温度センサ52が設けられている。第4温度センサ52は生成された加湿材の温度T4を検出するものであり、その検出結果は液体温度調整機40の制御部41に入力される。加湿混合機50にて生成された加湿材は、排出管53から混練成形機60に供給される。
【0032】
第1フロア11には、混練成形機60が設けられている。混練成形機60は、押出スクリュー61及び成形型62を含んで構成されている。加湿材は加湿混合機50から材料導入部63に導入され、押出スクリュー61により混練されつつ前進する。そして、混練された加湿材が成形型62から押し出されてハニカム成形体80が生成される。
【0033】
次に、制御部41により実行される第1及び第2の温調機43,44の通電量を算出する処理手順について説明する。本実施形態では、ハニカム成形体製造装置10の始動運転時と定常運転時とで異なる通電量算出処理手順を実行している。
【0034】
図2はハニカム成形体製造装置10の始業運転時における通電量算出処理手順を示すフローチャートである。ここで、始業運転時とはハニカム成形体製造装置10の電源がONされた後、加湿混合機50から混練成形機60への加湿材の供給が開始されるまでの期間をいう。
【0035】
ステップS101では、第1温度センサ24で検出された粉体の温度T1、第2温度センサ36で検出されたレベルタンク34内の混合液の温度(第1混合液温度)T2、第3の温度センサで検出された混合タンク33内の混合液の温度(第2混合液温度)T3の読み込みを行う。ステップS102では、粉体温度T1に基づいてレベルタンク34内の混合液の目標温度(第1目標混合液温度)T2tgを算出する。第1目標混合液温度T2tgは、生成される加湿材の温度T4が所望温度になるように、粉体温度T1に応じて予め設定されている。具体的には図4に示すように、粉体温度T1が低い場合には第1目標混合液温度T2tgを高く、粉体温度T1が高い場合には第1目標混合液温度T2tgを低く設定することにより、所望の加湿材温度T4が得られるように設定されている。図4に示す関係は予め制御部41内部にマップとして記憶されている。そして、ステップS102では、このマップを用いて第1目標混合液温度T2tgを算出する。
【0036】
ステップS103では、第1目標混合液温度T2tgと実第1混合液温度T2との偏差ΔT2を、
ΔT2=T2tg−T2
により算出する。
【0037】
ステップS104では、混合タンク33内の混合液の目標温度(第2目標混合液温度)T3tgを、
T3tg=T2tg+α1*ΔT2=T3+(1+α1)*ΔT2
(α1は予め設定された係数)
に基づいて算出する。すなわち、第2目標混合液温度T3tgと実第2混合液温度T3(=T2)との偏差ΔT3が偏差ΔT2よりも所定割合だけ増大するように第2目標混合液温度T3tgが設定される。
【0038】
ステップS105では、第2目標混合液温度T3tgと実第2混合液温度T3との偏差ΔT3を、
ΔT3=T3tg−T3
により算出する。
【0039】
ステップS106では、偏差ΔT2の絶対値が所定値β1以下であり、且つ、偏差ΔT3の絶対値が所定値β2以下であるか否かを判定する。本判定結果がYESの場合には、第1及び第2の実混合液温度T2,T3がともに第1目標混合液温度T2tg及び第2目標混合液温度T3tgの近傍値であると判断できる。そのため、この場合には、第1及び第2の混合液温度T2,T3の調整は必要ないと判断し、第1及び第2の温調機43,44の通電量I1,I2を算出することなく本ルーチンを終了する。一方、ステップS106の判定結果がNOの場合には、ステップS107に進む。
【0040】
ステップS107では、第1及び第2温調機43,44を通過した後の目標溶媒温度Tm2tg,Tm3tgを、
Tm2tg=T2tg+α2*ΔT2=T2+(1+α2)*ΔT2
Tm3tg=T3tg+α2*ΔT3=T3+(1+α2)*ΔT3
(α2は予め設定された係数)
に基づいて算出する。すなわち、目標溶媒温度Tm2tg,Tm3tgと実混合液温度T2,T3との偏差が偏差ΔT2,ΔT3よりも所定割合だけ増大するように第1及び第2の目標溶媒温度Tm2tg,Tm3tgが設定される。
【0041】
ステップS108では、ステップS107で算出した第1及び第2の目標溶媒温度Tm2tg,Tm3tgに基づいて、第1及び第2の温調機43,44の通電量I1,I2を算出する。温調用溶媒は一定温度に温度制御された溶媒タンク42から所定の流速で循環するようになっている。したがって、第1及び第2の温調機43,44の通電量I1,I2を制御することにより、レベルタンク34及び混合タンク33の外周部に設けられた温調用溶媒槽33b,34bに供給される温調用溶媒の温度を所望の温度に制御することができる。温調用溶媒を第1及び第2の目標溶媒温度Tm2tg,Tm3tgにするために必要な第1及び第2の温調機43,44の通電量I1,I2は、図5に示すような関係にある。そしてこの関係は予め制御部41内部にマップとして記憶されている。ステップS108では、このマップを用いて第1及び第2の温調機43,44の通電量I1,I2を算出する。
【0042】
制御部41は、上記通電量算出処理手順により算出した第1及び第2の温調機43,44の通電量I1,I2に基づいて、第1及び第2の温調機43,44の通電制御を行う。これにより、レベルタンク34及び混合タンク33内の混合液が所望の温度に調整される。
【0043】
図3はハニカム成形体製造装置10の定常運転時における通電量算出処理手順を示すフローチャートである。本ルーチンは所定周期ごとに制御部41により実行される。ここで、定常運転時とは加湿混合機50から混練成形機60への加湿材の供給が行われている期間をいう。
【0044】
ステップS201では、第2温度センサ36で検出されたレベルタンク34内の混合液の温度(第1混合液温度)T2、第3温度センサ37で検出された混合タンク33内の混合液の温度(第2混合液温度)T3及び第4温度センサ52で検出された加湿材の温度T4の読み込みを行う。ステップS202では、目標加湿材温度T4tgと実加湿材温度T4との偏差ΔT4を、
ΔT4=T4tg−T4
により算出する。ここで、目標加湿材温度T4tgは、混練成形機60に供給される所望の加湿材温度として予め設定されているものである。
【0045】
ステップS203では、偏差ΔT4の絶対値が所定値β3以下であるか否かを判定する。本判定結果がYESの場合には、実加湿材温度T4が目標加湿材温度T4tgの近傍値であると判断できる。そして、この場合には、現状において所望温度の加湿材が生成されていると判断できる。したがってこの場合には、第1及び第2の混合液温度T2,T3の調整は必要ないと判断し、第1及び第2の温調機43,44の通電量を算出することなく本ルーチンを終了する。一方、ステップS203の判定結果がNOの場合には、ステップS203に進む。
【0046】
ステップS204では、第1及び第2の混合液の目標温度変化量ΔT2tg,ΔT3tgを算出する。第1及び第2の混合液目標温度変化量ΔT2tg,ΔT3tgは、偏差ΔT4に応じて予め設定されている。具体的には図6に示すように、偏差ΔT4が小さい場合には混合液目標温度変化量ΔT2tg,ΔT3tgを小さく、偏差ΔT4が大きい場合には混合液目標温度変化量ΔT2tg,ΔT3tgを大きく設定する。これにより、所望の加湿材温度T4が得られるように設定されている。なお、図6に示すように、第2混合液目標温度変化量ΔT3tgは第1混合液目標温度変化量ΔT2tgよりも変化量が大きくなるように設定される。図6に示す関係は予め制御部41内部にマップとして記憶されている。そして、ステップS204では、このマップを用いて第1及び第2の混合液目標温度変化量ΔT2tg,ΔT3tgを算出する。
【0047】
ステップS205では、第1及び第2の目標混合液温度T2tg,T3tgを、
T2tg=T2+ΔT2tg
T3tg=T3+ΔT3tg
に基づいて算出する。
【0048】
ステップS206では、第1及び第2の目標溶媒温度Tm2tg,Tm3tgを、
Tm2tg=T2tg+α3*ΔT2tg=T2+(1+α3)*ΔT2tg
Tm3tg=T3tg+α3*ΔT3tg=T3+(1+α3)*ΔT3tg
(α3は予め設定された係数)
に基づいて算出する。すなわち、目標溶媒温度Tm2tg,Tm3tgと実混合液温度T2,T3との偏差が偏差ΔT2tg,ΔT3tgよりも所定割合だけ増大するように第1及び第2の目標溶媒温度Tm2tg,Tm3tgが設定される。
【0049】
ステップS207では、ステップS206で算出した第1及び第2の目標溶媒温度Tm2tg,Tm3tgに基づいて、第1及び第2の温調機43,44の通電量I1,I2を算出する。本ステップにおいても、ステップS108と同様、予め制御部41内部にマップとして記憶されている図5に示す関係に基づいて通電量I1,I2を算出する。
【0050】
制御部41は、ステップS207で算出した第1及び第2の温調機43,44の通電量I1,I2に基づいて、第1及び第2の温調機43,44の通電制御を行う。これにより、レベルタンク34及び混合タンク33内の混合液が所望の温度に調整される。
【0051】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0052】
加湿混合機50で生成される加湿材の温度は、混合される粉体及び混合液の温度に依存する。すなわち、粉体及び混合液の温度の組み合わせを適切に設定することで、生成される加湿材の温度を所望の温度に調整することができる。そして本実施形態では、ハニカム成形体製造装置10の始業運転時においては、粉体温度T1に基づいて第1目標混合液温度T2tgの算出を行い、第1目標混合液温度T2tgとなるようにレベルタンク34内の混合液の温度調整を行っている。これにより、粉体及び混合液の混合後の温度を適切に管理することができ、ハニカム成形体製造装置10の始業運転時において生成される加湿材の温度T4を所望の目標温度T4tgにすることが可能となる。
【0053】
また、ハニカム成形体製造装置10の定常運転時においては、目標加湿材温度T4tgと実加湿材温度T4との偏差ΔT4に基づいて、第1混合液目標温度変化量ΔT2tg及び第1目標混合液温度T2tgを算出している。そして、第1目標混合液温度T2tgとなるようにレベルタンク34内の混合液の温度調整を行っている。これにより、ハニカム成形体製造装置10の定常運転時においても、生成される加湿材の温度T4を所望の目標温度T4tgにすることが可能となる。
【0054】
ハニカム成形体製造装置10の始業運転時、及び定常運転時のいずれにおいても、加湿材の原料に対する直接的な温度調整が行われるため、結果としてハニカム成形体の温度調整を効率良くかつ精度良く行うことができる。
【0055】
本実施形態では、生成される加湿材の温度を調整するために、液体定量供給機から供給される混合液の温度を調整している。ここで、一般に粉体に比べて液体は流動性が高い。このため、粉体でなく混合液の温度を調整することで全体を均一に且つ精度よく温度調整することが容易となる。この結果、生成される加湿材の温度の調整も精度よく行うことが可能となる。
【0056】
本実施形態では、混合タンク33及びレベルタンク34の外周部の温調用溶媒槽33b,34bに温調された溶媒を循環させることで、混合液の温度の調整を行っている。これにより、簡易な構成で混合液の温度調整が可能となる。また、第1及び第2の温調機43,44による溶媒の温調は、コイルの通電量I1,I2を変更することで行っている。このため、比較的簡易な構成で精度よく溶媒の温調を行うことができる。この結果、溶媒からの熱伝達による混合液の温調も精度よく行うことが可能となる。
【0057】
本実施形態では、レベルタンク34及び混合タンク33内の混合液のそれぞれについて温調を行っている。レベルタンク34の容量は比較的小さく設定されているので、温度調整の際における温度変化の応答性を高くすることができる。すなわち、所望の温度に調整された加湿材を得るまでの時間を短縮することが可能となる。また、偏差ΔT3及びΔT3tgを偏差ΔT2及びΔT2tgよりも大きく設定している。これにより、容量の大きい混合タンク33内の混合液における温度変化の応答性も高くすることができる。そしてこの結果として、混合タンク33からレベルタンク34に供給される混合液により、温度調整の応答性に悪影響が及ぶことを抑制することが可能となる。
【0058】
本実施形態では、加湿混合機50で生成される加湿材の温度を所望の温度に調整することができる。すなわち、混練及び成形の工程を行う混練成形機60に供給される加湿材の温度を安定化させることができる。このため、安定した温度の加湿材を混練成形機60に供給するために、温度コントロールされた保管庫で加湿材を所定期間保存しておく必要がない。この結果、加湿材を生成する工程と混練及び成形の工程とを連続的に行うことができ、ハニカム成形体の製造時間を短縮することが可能となる。また、加湿材の温度を安定化させるための保管場所も不要となるので、製造のためのスペースも低減することが可能となる。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
【0060】
上記実施形態では、生成される加湿材の温度を所望の温度に調整するために混合液の温度を調整した。しかし、混合液の温度を調整する代わりに粉体の温度を調整し、これにより加湿材の温度を調整するようにしてもよい。また、混合液の温度調整に加えて粉体の温度も調整するようにしてもよい。
【0061】
上記実施形態では、粉体温度T1に基づく混合液の温度制御をハニカム成形体製造装置10の始業運転時にのみ行った。しかし、この温度制御は始業運転時に限らず定常運転時にも行うことが可能である。この場合においても、粉体温度T1に応じて適切に混合液の温度を調整することで、生成される加湿材の温度を所望の温度とすることが可能である。
【0062】
上記実施形態では、循環する溶媒の温度を変更することにより混合液の温度調整を行った。しかし、溶媒を用いた混合液の温度調整の手段はこれに限るものではない。例えば、バルブ開度を調整することにより、所定温度に調整された溶媒の時間当たりの循環量を変更するという手段を採用することも可能である。溶媒の時間当たりの循環量を変更することで時間当たりの伝熱量を変更することができる。これにより、例えば、混合液の温度調整量が大きい場合には時間当たりの溶媒の循環量を多くすることにより、混合液の温度が目標の温度に調整されるまでの時間を短縮することが可能となる。
【0063】
粉体定量供給機20及び液体定量供給機30からの供給量を変更する手段を設け、目標加湿材温度T4tgと実加湿材温度T4との偏差ΔT4が所定値より大きい場合に、供給量を制限するようにしてもよい。加湿材温度T4の検出結果に基づいて混合液の温度を調整した場合、その調整結果が反映されて加湿材温度T4が所望の温度となるまでには所定の時間遅れが生じうる。この時間遅れは偏差ΔT4が大きいほど大きくなりやすい。この点、偏差ΔT4が所定値より大きい場合に供給量を制限するようにすれば、偏差ΔT4が大きい場合には加湿粉体の生成速度が小さくなる。この結果、所望の温度に調整されていない加湿材の生成量を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】ハニカム成形体製造装置の全体構成図。
【図2】始業運転時における通電量算出処理手順を示すフローチャート。
【図3】定常運転時における通電量算出処理手順を示すフローチャート。
【図4】粉体温度と第1目標混合液温度との関係を示す図。
【図5】目標溶媒温度と温調機の通電量との関係を示す図。
【図6】加湿材温度の目標に対する偏差と混合液目標温度変化量との関係を示す図。
【図7】ハニカム構造体の斜視図。
【符号の説明】
【0065】
10…ハニカム成形体製造装置、20…粉体定量供給機、24…第1温度センサ、30…液体定量供給機、31…水タンク、32…バインダ液タンク、33…混合タンク、33b…混合タンク、34…レベルタンク、33b,34b…温調用溶媒槽、35…計量タンク、36…第2温度センサ、37…第3温度センサ、40…液体温度調整機、41…制御部、42…溶媒タンク、43…第1温調機、44…第2温調機、50…加湿混合機、52…第4温度センサ、60…混練成形機、80…ハニカム成形体。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成18年11月30日(2006.11.30)
【代理人】 【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強


【公開番号】 特開2008−137173(P2008−137173A)
【公開日】 平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願番号】 特願2006−323074(P2006−323074)