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【発明の名称】 セラミック成形体の切断装置及び切断方法
【発明者】 【氏名】原田 暁生

【要約】 【課題】セラミック成形体に切断粉が付着することを抑制可能なセラミック成形体の切断装置を提供すること。

【解決手段】ハニカム状の乾燥成形体44を回転切断刃26により切断するハニカム成形体切断装置10において、イオンを発生させるイオン発生器30と、イオン発生器30で発生したイオンを含む空気を乾燥成形体44に向けて送風可能な送風機33とを備えたことを特徴としている。イオン発生器30で発生したイオンを乾燥成形体44に向けて送ることにより、回転切断刃26で乾燥成形体44を切断する際に乾燥成形体44及び切断粉が帯電した場合でも、その帯電をイオンで中和して乾燥成形体44を除電することが可能となる。このため、静電気のために切断粉が乾燥成形体44に付着することを抑制することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状をなし且つその長手方向に複数のセル孔を有するセラミック成形体を切断刃により切断するセラミック成形体切断装置において、
イオンを発生させるイオン発生器と、
前記イオン発生器で発生したイオンを含む空気を前記セラミック成形体に向けて送風可能な送風機と
を備えたことを特徴とするセラミック成形体切断装置。
【請求項2】
前記セラミック成形体の帯電状態を検出する帯電状態検出手段と、
前記イオン発生器で発生させる正負のイオンの割合を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記帯電状態検出手段の検出結果に基づき前記セラミック成形体の帯電を中和するイオンを発生させるよう正負のイオンの割合を制御することを特徴とする請求項1に記載のセラミック成形体切断装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記帯電状態検出手段により前記セラミック成形体が所定の基準値よりも正側に帯電していることが検出された場合には負のイオン割合を多くするようイオンの割合を制御するとともに、前記帯電状態検出手段により前記セラミック成形体が前記所定の基準値よりも負側に帯電していることが検出された場合には正のイオン割合を多くするようイオンの割合を制御することを特徴とする請求項2に記載のセラミック成形体切断装置。
【請求項4】
前記送風機は、前記切断刃による前記セラミック成形体の切断箇所に向けて送風することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセラミック成形体の切断装置。
【請求項5】
前記送風機は所定の広がりを持った範囲に送風可能であり、その送風範囲内に前記セラミック成形体が収まる位置に前記送風機を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のセラミック成形体の切断装置。
【請求項6】
前記セラミック成形体は、隔壁により仕切られた複数のセルを有する断面ハニカム状をなし、その切断後に焼成されて排気浄化用ハニカム成形体が作製されるものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のセラミック成形体切断装置。
【請求項7】
長尺状をなし且つその長手方向に複数のセル孔を有するセラミック成形体を切断刃により切断するセラミック成形体切断方法において、
前記セラミック成形体に、イオンを含む空気を供給しながら切断を行うことを特徴とするセラミック成形体切断方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁により仕切られた複数のセルを有するセラミック成形体の切断装置及び切断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ディーゼルエンジンでは排ガス中のPM(パティキュレートマター)を捕集するフィルタ(DPF)が採用されており、そのDPFを構成するセラミックハニカム成形体としては、図6(a),(b)に示すものが知られている。このセラミックハニカム成形体40には、隔壁41により区画された多数のセル42が設けられるとともに、各セル42の開口端部を閉塞する閉塞部43が設けられている。ここで、閉塞部43は、セラミックハニカム成形体40の端面において隣接するセル42が開口と閉塞を交互に繰り返す市松模様状となるように設けられる。また、各セル42の一方の端部は閉塞され、他方の端部は開口が形成されるようになっている。これにより、排ガスは一方の端面側の開口からセル42内に入り、隔壁41を通過して隣接するセル42に入り、その後他方の端面側の開口からセル42外に出る。そして、隔壁41を通過する際に、PMが捕集される。
【0003】
セラミックハニカム成形体40の製造方法について簡単に説明すると、まず、粘土質の成形材により長尺の円柱状のハニカム成形体を押出成形し、押出成形されたハニカム成形体を乾燥させる。次に、乾燥させたハニカム成形体を切断し、ハニカム成形体を所定の長さとする。その後、所定の長さに切断されたハニカム成形体を焼成する。そして、両端面の所定の位置に閉塞部43を設けて、セラミックハニカム成形体40を形成する。
【0004】
ここで、ハニカム成形体の切断については、回転刃を用いて切断する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−53723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転刃を用いてハニカム成形体を切断する方法では、回転刃とハニカム成形体との擦れ合いによって静電気が発生し、ハニカム成形体及び切断の際に生じた切断粉が帯電する。そして、帯電したハニカム成形体に切断粉が付着することがある。切断粉はハニカム成形体の外側だけでなく、セル42内部の隔壁41に付着することもある。静電気のために付着した切断粉は送風機等で送風してもハニカム成形体に付着したまま離れないことが多く、特にセル42内部の隔壁41に付着した切断紛を外部からの送風で吹き飛ばすことは容易ではない。そして、隔壁41等に切断紛が付着したままハニカム成形体を焼成すると、焼成された完成品としてのセラミックハニカム成形体40における隔壁41の通気抵抗が高くなる。その結果、隔壁41でPMを捕集するDPFの性質に悪影響が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、セラミック成形体に切断粉が付着することを抑制可能なセラミック成形体の切断装置及び切断方法を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0008】
請求項1に記載の発明では、長尺状をなし且つその長手方向に複数のセル孔を有するセラミック成形体を切断刃により切断するセラミック成形体切断装置において、イオンを発生させるイオン発生器と、前記イオン発生器で発生したイオンを含む空気を前記セラミック成形体に向けて送風可能な送風機とを備えたことを特徴としている。
【0009】
セラミック成形体を切断刃で切断する際には、切断刃とセラミック成形体との擦れ合いによって静電気が発生する。そのため、切断によって生じた切断粉及びセラミック成形体が帯電し、静電気で引き寄せられた切断粉がセラミック成形体に付着する場合がある。そして、切断粉がセル内部の隔壁等に付着すると、製品として不具合を生じるおそれがある。
【0010】
この点、本発明のセラミック成形体切断装置では、イオン発生器で発生したイオンをセラミック成形体に向けて送ることが可能となっている。このため、切断刃で切断する際にセラミック成形体及び切断粉が帯電した場合でも、その帯電をイオンで中和してセラミック成形体を除電することが可能となる。このため、静電気のために切断粉がセラミック成形体に付着することを抑制することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、前記セラミック成形体の帯電状態を検出する帯電状態検出手段と、前記イオン発生器で発生させる正負のイオンの割合を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記帯電状態検出手段の検出結果に基づき前記セラミック成形体の帯電を中和するイオンを発生させるよう正負のイオンの割合を制御することを特徴としている。切断の際に発生するイオンは、セラミック成形体の材質を変更することによりその極性が変化する可能性がある。また、温度、湿度等の周囲の環境により帯電の強さが変化する可能性がある。このような場合であっても、検出した帯電状態に応じて適切なバランスのイオンを発生させ、結果としてセラミック成形体の帯電を好適に中和することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、前記制御手段は、前記帯電状態検出手段により前記セラミック成形体が所定の基準値よりも正側に帯電していることが検出された場合には負のイオン割合を多くするようイオンの割合を制御するとともに、前記帯電状態検出手段により前記セラミック成形体が前記所定の基準値よりも負側に帯電していることが検出された場合には正のイオン割合を多くするようイオンの割合を制御することを特徴としている。所定の基準値よりも正側に帯電しているか負側に帯電しているかに応じて、負又は正のイオン割合を多くするようにイオンの割合を制御することで、セラミック成形体の切断時にセラミック成形体が正負のいずれに帯電してもセラミック成形体の帯電を好適に中和することが可能となる。なお、所定の基準値としては、例えば0Vを採用するとよい。
【0013】
請求項4に記載の発明では、前記送風機は、前記切断刃による前記セラミック成形体の切断箇所に向けて送風することを特徴としている。これにより、切断箇所における静電気の発生を抑止することができるとともに、仮に静電気が発生した場合でも速やかにセラミック成形体を除電することが可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、前記送風機は所定の広がりを持った範囲に送風可能であり、その送風範囲内に前記セラミック成形体が収まる位置に前記送風機を設けたことを特徴としている。これにより、イオンを含む空気をセラミック成形体の全体に向けて送ることができ、セラミック成形体にイオンを効率的に当てることが可能となる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、前記セラミック成形体は、隔壁により仕切られた複数のセルを有する断面ハニカム状をなし、その切断後に焼成されて排気浄化用ハニカム成形体が作製されるものであることを特徴としている。本発明のセラミック構造体切断装置で切断することにより、セラミック構造体が断面ハニカム状をなす場合であっても、切断粉がセル内部の隔壁等に付着することが抑制される。これにより、断面ハニカム状のセラミック構造体を焼成後排気浄化用ハニカム成形体として用いる場合であっても、隔壁の通気抵抗が増加する等、製品としての不具合を抑制することが可能となる。
【0016】
請求項7に記載の発明では、長尺状をなし且つその長手方向に複数のセル孔を有するセラミック成形体を切断刃により切断するセラミック成形体切断方法において、前記セラミック成形体に、イオンを含む空気を供給しながら切断を行うことを特徴としている。これにより、切断刃による切断の際にセラミック成形体及び切断粉が帯電した場合でも、その帯電をイオンで中和してセラミック成形体を除電することが可能となる。このため、静電気のために切断粉がセラミック成形体に付着することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明にかかるハニカム成形体の切断装置を具体化した一実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係るセラミックハニカム成形体40は、ディーゼルエンジンの排ガス中のPM(パティキュレートマター)を捕集するフィルタ(DPF)等に用いられるものである。図6(a),(b)に示すように、セラミックハニカム成形体40は、隔壁41により区画された多数のセル42が設けられて略円柱状に形成される。そして、各セル42の開口端部を閉塞する閉塞部43が設けられている。ここで、閉塞部43は、セラミックハニカム成形体40の端面において隣接するセル42が開口と閉塞を交互に繰り返す市松模様状となるように設けられる。また、各セル42の一方の端部は閉塞され、他方の端部は開口が形成されるようになっている。
【0018】
セラミックハニカム成形体40を製造するにあたっては、まず、粘土質の成形材により長尺の略円柱状のハニカム成形体を押出成形する。この粘土質の成形材には、カーボン粒子や樹脂製のマイクロカプセルが混入されている。次に、押出成形されたハニカム成形体を乾燥させる。そして、乾燥させたハニカム成形体(以下、「乾燥成形体」と呼ぶ)を所定の長さとなるように切断し、切断された乾燥成形体を焼成する。その後、両端面の所定の位置に閉塞部を設けて、DPFに用いられるセラミックハニカム成形体40が製造される。なお、上述のカーボン粒子やマイクロカプセルは焼成時に燃焼し、隔壁41内に微小な空間を形成する。これにより、排ガス等が隔壁41を通過する際の通気抵抗を小さくしている。
【0019】
以下、乾燥成形体を切断する工程について詳述する。
【0020】
図1はハニカム成形体切断装置を側方から見た内部構成図、図2はハニカム成形体切断装置を上方から見た内部構成図、図3は図1におけるA−A断面図である。また、図4はハニカム成形体切断装置の制御ブロック図である。
【0021】
ハニカム成形体切断装置10には、乾燥されたセラミック成形体の投入及び取り出しが行われる第1空間11と、乾燥成形体44の切断が行われる第2空間12とが形成されている。第1空間11は、テーブル13、左右の側部板14、上部板15、前部板18及び装置内隔板17とで囲まれている。第2空間12は、テーブル13、左右の側部板14、上部板15、後部板16及び装置内隔板17とで囲まれている。前部板18にはスイッチ21が設けられており、スイッチ21をONすることによりコントローラ22に制御開始信号が入力されるようになっている。前部板18及び装置内隔板17には、前部扉19及び装置内扉20がそれぞれ設けられており、それらはコントローラ22からの信号により上下に移動して自動開閉可能となっている。なお、ハニカム成形体切断装置10の停止時においては、前部扉19は開状態となっている。また、前部扉19と装置内扉20とは同時には開状態とならないように開閉制御される。
【0022】
第1空間11におけるテーブル13上には、乾燥成形体44を載置可能な載置部23が設けられている。載置部23には、略円柱状の乾燥成形体44が、その軸線方向が装置左右方向(図1における紙面に垂直な方向)となるようにして載置される。載置部23にはチャック部24が設けられている。チャック部24はコントローラ22からの信号を受けて作動するように構成されており、乾燥成形体44をその中央部及び両端部の3箇所で装置前後方向から挟持し、載置部23上の所定位置に固定することが可能となっている。テーブル13には装置前後方向に平行に延びる2本のレール25が設けられている。そして、載置部23はコントローラ22からの信号を受けてレール25上を移動することにより、第1空間11と第2空間12との間を往来可能となっている。
【0023】
第2空間12には、円形の回転切断刃26が2枚設けられている。両回転切断刃26は、両回転切断刃26の軸心が装置左右方向に延びるように所定の距離を隔てて平行に配設されている。両回転切断刃26の間隔は、切断後の乾燥成形体44の長さに対応して設定されている。各回転切断刃26の中心にはモータ27の回転軸28がそれぞれ接続されており、モータ27の回転により回転切断刃26が回転駆動されるようになっている。
【0024】
ハニカム成形体切断装置10には、イオン発生器30が設けられている。イオン発生器30は、高電圧のパルスが印加されることによりイオンを発生可能な電極31と、電極31へ印加される高電圧パルスを制御するイオン制御部32とを含んで構成されている。電極31は2枚の回転切断刃26における乾燥成形体44の切断箇所の上方にそれぞれ設けられている。イオン制御部32はコントローラ22からの信号を受けて作動を開始し、電極31に印加する高電圧パルス時間(パルス幅)を制御することにより、電極31で発生するイオンの正負バランスを制御している。具体的には、1本の電極針31aに「+」、「−」の高電圧パルスを交互に印加し、両方の極性のイオンを生成させる。例えば、「+」と、「−」の高電圧パルス幅を2:1に制御することにより、電極針31aで発生する正負のイオン割合を2:1に制御している。また、イオン制御部32は、電極31と対象物(乾燥成形体44)との間の電位差によって生じるイオン電流をセンシングして対象物の帯電状態を検出可能となっている。そして、対象物の帯電状態に基づいて電極31に印加する高電圧パルス時間(パルス幅)を制御することで、対象物の帯電を中和するよう適切な正負バランスのイオンを発生させることが可能となっている。具体的には、イオン制御部32でセンシングした対象物の帯電状態が所定の基準電圧(例えば0V)よりも正側に帯電している場合には、イオン制御部32は負のイオンを多く発生させるようイオンの正負バランスを制御する。また、イオン制御部32でセンシングした対象物の帯電状態が基準電圧よりも負側に帯電している場合には、イオン制御部32は正のイオンを多く発生させるようイオンの正負バランスを制御する。
【0025】
ハニカム成形体切断装置10には、送風機33が設けられている。送風機33は、気流を発生させる気流発生器34と、発生した気流を送出するためのエアノズル35を含んで構成されている。気流発生器34はコントローラ22からの信号を受けて作動するようになっている。
【0026】
図5は、電極31及びエアノズル35近傍の模式的な拡大図である。図5に示すように、電極31は金属の電極針31a及びその先端部以外を包囲する絶縁部31bとから形成されている。エアノズル35は絶縁部31bの側部に固定されている。すなわち、エアノズル35も電極31とともに回転切断刃26の上方に設けられている。エアノズル35からは、所定の角度の広がりを持って空気が送出されるようになっている。そして、本実施形態では、上記所定の角度の範囲内に乾燥成形体44が収まるような位置にエアノズル35が設けられる。これにより、電極31で発生したイオンをエアノズル35から送出される空気とともに回転切断刃26による切断箇所を含む乾燥成形体44の全体に向けて送ることが可能となっている。
【0027】
次に、ハニカム成形体切断装置10による乾燥成形体44の切断工程について説明する。
【0028】
まず、ハニカム成形体切断装置10の電源(図示せず)がONされる。これにより、モータ27が回転して回転切断刃26が回転駆動される。次に、作業者によって乾燥成形体44が載置部23上に載置される。そして、作業者によりスイッチ21がONされる。これにより、ハニカム成形体切断装置10の自動運転が開始される。
【0029】
自動運転が開始されると、コントローラ22は前部扉19を閉鎖するとともに、チャック部24により乾燥成形体44を載置部23上に固定する。次に、装置内扉20を開放するとともに、イオン発生器30及び送風機33の作動を開始させる。これにより、電極31に高電圧が印加されて電極31からイオンが発生するとともに、エアノズル35からの送風が開始される。
【0030】
その後、コントローラ22は、乾燥成形体44が載置された載置部23を第2空間12に移動することにより、乾燥成形体44の両端を回転切断刃26で切断する。この際、コントローラ22は、電極31と乾燥成形体44との間の電位差によって生じるイオン電流をセンシングして乾燥成形体44の帯電状態を検出する。そして、乾燥成形体44の帯電状態に基づき、乾燥成形体44の帯電を中和するようなイオンを電極31から発生させるように高電圧パルスを電極31に印加する。これにより、回転切断刃26で乾燥成形体44が切断されている間、乾燥成形体44の帯電を中和するようなイオンを含む風が乾燥成形体44に向けて送られる。
【0031】
乾燥成形体44の切断が完了すると、載置部23を第1空間11の原位置に戻す。そして、コントローラ22はイオン発生器30及び送風機33の作動を停止するとともに、装置内扉20を閉鎖する。
【0032】
その後、チャック部24による乾燥成形体44の固定を解除するとともに、前部扉19を開放する。そして、切断された乾燥成形体44及び切断によって生じた端材が作業者によって取り出されることにより乾燥成形体44の切断工程が終了する。
【0033】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0034】
乾燥成形体44を回転切断刃26で切断する際には、回転切断刃26と乾燥成形体44との擦れ合いによって静電気が発生する。特に本実施形態では、粘土質の成形材にカーボン粒子や樹脂製のマイクロカプセルが混入されているので、静電気が発生し易い。そのため、切断によって生じた切断粉及び乾燥成形体44が静電気を帯び、静電気で引き寄せられた切断粉が乾燥成形体44に付着するおそれがある。この点本実施形態では、イオン発生器30の電極31で発生させたイオンを乾燥成形体44に向けて送っている。このため、回転切断刃26で切断する際に乾燥成形体44及び切断粉が帯電した場合でも、その帯電をイオンで中和することが可能となる。このため、静電気のために切断粉が乾燥成形体44に付着することを抑制することができる。そして、その結果として、乾燥成形体44を焼成したセラミックハニカム成形体40の隔壁41の通気抵抗が増大することにより隔壁41でPMを捕集するDPFの性質に悪影響が生じるおそれを抑制することが可能となる。
【0035】
本実施形態では、発生したイオンをエアノズル35から送出された空気により乾燥成形体44に向けて送っている。これにより、イオンを乾燥成形体44に向けて送って帯電を中和することが容易となる。特に本実施形態では、イオンを含む空気を乾燥成形体44の全体に向けて送っているので、乾燥成形体44の全体の帯電を効率的に中和することが可能となる。また、エアノズル35から乾燥成形体44に向けて空気を送ることにより、切断粉を吹き飛ばすことが可能となる。
【0036】
本実施形態では、イオンを含む空気は乾燥成形体44における回転切断刃26による切断箇所に向けて送られる。これにより、切断箇所における静電気の発生を抑止することができるとともに、仮に静電気が発生した場合でも速やかに乾燥成形体44の帯電を中和することが可能となる。
【0037】
本実施形態では、エアノズル35からの空気の送出角度範囲内に乾燥成形体44が収まる位置となるようにエアノズル35の設置位置が規定されている。これにより、イオンを含む空気を乾燥成形体44の全体に向けて送ることができ、乾燥成形体44にイオンを効率的に当てることが可能となる。
【0038】
切断の際に発生するイオンは、乾燥成形体44の成形材の材質を変更することにより極性が変化する可能性がある。また、温度、湿度等の周囲の環境により帯電の強さが変化する可能性がある。この点、本実施形態では、検出した乾燥成形体44の帯電状態に基づいてイオンを発生させることにより、帯電を中和するために適切なバランスのイオンを発生させることが可能となる。具体的には、乾燥成形体44が基準電圧よりも正側に帯電している場合には負のイオンを多く発生させ、乾燥成形体44が基準電圧よりも負側に帯電している場合には正のイオンを多く発生させるようにしている。これにより、乾燥成形体44の帯電状態を好適に中和することが可能となる。
【0039】
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
【0040】
上記実施形態では、エアノズル35及び電極31を乾燥成形体44の上方に設け、上方からイオンを含む空気を乾燥成形体44に当てた。しかし、イオンを含む空気を乾燥成形体44に当てる向きはこれに限定されるものではなく、他の方向から当てるようにしてもよい。また、イオンを含む空気を複数の方向から乾燥成形体44に当てるようにしてもよい。これにより、乾燥成形体44に対して多方向からイオンを当てることが可能となり、効率的に乾燥成形体44の帯電を中和することが可能となる。
【0041】
上記実施形態では、電極31で発生したイオンをエアノズル35から送出される空気とともに回転切断刃26による切断箇所を含む乾燥成形体44の全体に向けて送った。しかし、イオンを含む空気を乾燥成形体44の一部にのみ送るようにしてもよい。これによっても、イオンを含む空気が当てられた箇所において乾燥成形体44の帯電を中和することができ、乾燥成形体44全体の帯電を弱めることが可能となる。これにより、静電気のために切断粉が乾燥成形体44に付着することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】ハニカム成形体切断装置を側方から見た内部構成図。
【図2】ハニカム成形体切断装置を上方から見た内部構成図。
【図3】図1におけるA−A断面図。
【図4】ハニカム成形体切断装置の制御ブロック図。
【図5】電極及びエアノズル近傍の模式的な拡大図。
【図6】(a)はハニカム成形体の断面図、(b)はハニカム成形体を端面側から見た図。
【符号の説明】
【0043】
10…ハニカム成形体切断装置、26…回転切断刃、27…モータ、30…イオン発生器、31…電極、32…イオン制御部、33…送風機、34…気流発生器、35…エアノズル、40…セラミックハニカム成形体、41…隔壁、42…セル、43…閉塞部、44…乾燥成形体。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成18年10月19日(2006.10.19)
【代理人】 【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強


【公開番号】 特開2008−100423(P2008−100423A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−284639(P2006−284639)