トップ :: B 処理操作 運輸 :: B28 セメント,粘土,または石材の加工

【発明の名称】 成形体の把持装置およびこれを用いたセラミックハニカム構造体の栓詰め方法
【発明者】 【氏名】石田 修一

【氏名】奥富 範明

【要約】 【課題】成形体が比較的脆く、かつ体格ばらつきがあるにも係わらず、シール性を十分向上させて成形体を把持可能な成形体の把持装置およびこれを用いたセラミックハニカム構造体の栓詰め方法提供する。

【構成】成形体を把持する成形体の把持装置において、ハウジング63、64、65と、ハウジング内に設けられ、空気が供給されることによって膨張する膨張手段67、65、63bとを備え、膨張手段67、65、63bによって、成形体を把持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形体を把持する成形体の把持装置において、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、空気が供給されることによって膨張する膨張手段とを備え、
前記膨張手段によって、前記成形体を把持することを特徴とする成形体の把持装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、円環状体に形成され、
前記円環状体の内周は、把持対象である前記成形体を挿通可能に形成され、
前記内周面に、前記膨張手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の成形体の把持装置。
【請求項3】
前記膨張手段は、内部に空気を溜める環状の空気膨張部を有する弾性体を備え、
前記弾性体は、前記円環状体の内周に沿って同軸に配置された穴を有し、
前記空気膨張部に空気が供給されることにより前記弾性体が径方向に膨張し、膨張した前記穴内周面によって前記成形体の外周が把持されることを特徴とする請求項2に記載の成形体の把持装置。
【請求項4】
前記空気膨張部は、弾性体の壁によって区画され、
前記空気膨張部を区画する壁のうち、前記穴内周側の径方向壁の肉厚は、軸方向壁に比べて厚く形成されていることを特徴とする請求項3に記載の成形体の把持装置。
【請求項5】
前記膨張手段は、前記円環状体の内周に沿って同軸に配置された穴を有する弾性体を備え、
前記ハウジングは、空気が供給されることによって前記弾性体を軸方向に圧縮可能な圧縮手段を有し、
前記膨張手段は、空気が供給されると、前記圧縮手段によって前記弾性体を軸方向に圧縮するとともに、前記穴の内径が縮小し、当該縮小した前記穴内周面によって前記成形体の外周が把持されることを特徴とする請求項2に記載の成形体の把持装置。
【請求項6】
軸方向に貫通する多数のセルを隔壁により区画するとともに、前記多数のセルのうちの一部のセルにおいて第1セル端部を栓詰め材によって栓詰めしたセラミックハニカム構造体を製造するにあたり、
当該軸方向の端面において前記栓詰め材を設けない第2セル端部をマスキング材で閉塞した状態で、栓詰め材を有するスラリーの中に前記端面を浸漬することにより、前記第1セル端部を栓詰めするセラミックハニカム構造体の栓詰め方法において、
請求項1から請求項5に記載の成形体の把持装置によって、ハニカム成形体からなるセラミックハニカム構造体本体を把持し、
上端部に開口部を有する前記容器内に貯留する前記スラリーに、
前記成形体の把持装置によって把持した前記セラミックハニカム構造体本体の前記端面を浸漬させることを特徴とするセラミックハニカム構造体の栓詰め方法。
【請求項7】
前記容器内の前記スラリーに前記セラミックハニカム構造体本体を浸漬するにあたり、
前記成形体の把持装置は、前記容器の蓋部材をなし、
前記成形体の把持装置で前記容器の前記開口部を塞いだ後に、
前記スラリーを前記セラミックハニカム構造体本体の前記端面に押し込むことを特徴とする請求項6に記載のセラミックハニカム構造体の栓詰め方法。
【請求項8】
前記容器は、前記開口部を区画する側壁と、底部と、前記開口部側へ溜まっている前記スラリーを押し上げ可能に、前記容器の底部を、前記側壁に対して相対昇降動作する昇降駆動手段を備え、
前記昇降駆動手段は、
前記成形体の把持装置で前記開口部を塞ぐと、前記底部を相対上昇させて、
前記セラミックハニカム構造体本体の前記第1セル端部に、前記容器内の前記スラリーを強制的に押し込むことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のセラミックハニカム構造体の栓詰め方法。
【請求項9】
前記容器内の前記スラリーを、前記セラミックハニカム構造体本体の前記端面の前記第1セル端部に押し込むことで、圧入栓詰めが終了した後、
前記セラミックハニカム構造体本体の外周と、前記端面とに、前記第1セル端部に押し込められずに残った前記スラリーを拭き取る拭き取り手段を備えていることを特徴とする請求項8に記載のセラミックハニカム構造体の栓詰め方法。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記容器に当接する当接部を有しており、
前記当接部は、第2の弾性体で形成されていることを特徴する請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のセラミックハニカム構造体の栓詰め方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、成形体の把持装置およびこれを用いたセラミックハニカム構造体の栓詰め方法に関し、例えば内燃機関から排出される排気ガス中のパティキュレートを捕集するためのセラミックハニカム構造体において、その製造過程にある成形体を把持する把持装置およびこれを用いたセラミックハニカム構造体の栓詰め方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車の排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ構造体としては、多数のセルを隔壁により区画すると共に、その構造体の両端面でセルが交互に封止されたセラミックハニカム構造体が知られている(特許文献1参照)。このセラミックハニカム構造体を製造するにあたっては、ハニカム状に設けられた隔壁とこの隔壁により仕切られたセルが両端面に開口する貫通状態のセラミックハニカム構造体本体を形成し、封止すべきセル端部に栓詰め部材を詰めて閉塞する。
【0003】
特許文献1の開示する技術では、一方の端面のセルを閉塞するにあたり、セル端部を覆うようにフィルムなどのマスキング部材を貼り付ける。次いで、閉塞すべきセル端部に位置するフィルムを除去して貫通穴を形成する。他方の端面にもマスキング部材を貼り付け、一方端面で貫通穴を設けていないセル端面に、貫通穴を形成する。
【0004】
次いで、マスキング部材に貫通穴加工を施したセラミックハニカム構造体本体(以下、ワークと呼ぶ)の一方の端面を、栓詰め材を有するスラリー(以下、栓詰め用スラリーと呼ぶ)に浸漬いわゆるディップ処理する。容器内に栓詰め用スラリーを溜め、この栓詰め用スラリーに対して上記ワークを下降させることにより、当該栓詰め用スラリーを上記貫通穴を通じてセル端部に強制的に侵入させている。この加圧力を利用して栓詰め用スラリーを貫通穴を通じてセル端部に侵入させることで、栓詰め用スラリーを圧入栓詰めする。
【0005】
ここで、上記ワークの一方端面をディップ処理するとき、一方端面はマスキング部材で覆われ、一部のセル端部に貫通穴が設けられている状態であるので、一方端面には、ワークの下降動作状態に応じた圧力が加わる。この際、栓詰め用スラリーは、貫通穴を通じてセル端部に侵入するための加圧力が加わると共に、一方端面の外周側液面が上昇する。
【0006】
また、一般に、栓詰め用スラリーは、栓詰め材としてのセラミック粒子、水、およびバインダ等を含有して粘性が比較的高いため、容器に栓詰め用スラリーを入れる際、気泡が発生し易い。なお、その気泡は、主に栓詰め用スラリーの液面に存在している。
【特許文献1】特開2002−28915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、ディップ処理時に、ワークを栓詰め用スラリーに浸漬させる際に、上記外周側液面の上昇により、栓詰め用スラリーが容器からあふれてしまうおそれがある。
【0008】
栓詰め用スラリーが容器からあふれてしまうと、上記栓詰め用スラリーを圧入栓詰めする効果が小さくなるため、栓詰め深さが所定量に達せず浅くなったり、その深さがワークの浸漬(投入)ごとに変動するという問題がある。
【0009】
また、容器内に溜めた栓詰め用スラリーに気泡があると、栓詰め深さに影響するので、栓詰め深さの均一化の観点から、気抱を除去した上でディップ処理することが好ましい。そこで、出願人は、栓詰め用スラリーを容器に一杯に入れて、容器の開口部より盛り上がるスラリー液面を除去することにより、栓詰め用スラリーに存在する気抱を除去する方法を検討している。このような方法を用いたディップ処理に適用すると、栓詰め用スラリーが容器からあふれてしまい、狙いとする栓詰め深さの均一化を図ることが難しい。
【0010】
そこで、ワークを栓詰め用スラリー内に浸漬する際に、ワークを把持する把持部材で容器の開口部を塞ぐことで、容器から栓詰め用スラリーがあふれるのを防止することが考えられる。このような把持部材では、ワークの成形条件等により体格ばらつきがあるにも係わらず、ワークを栓詰め用スラリー内に浸漬する際に、比較的脆い成形体であるワークの外周とのシール性を十分向上させて把持する把持技術が要求される。しかしながら、これら相反する把持技術の要求を満足する把持方法は従来なかった。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、成形体が比較的脆く、かつ体格ばらつきがあるにも係わらず、シール性を十分向上させて成形体を把持可能な成形体の把持装置およびこれを用いたセラミックハニカム構造体の栓詰め方法提供することにある。
【0012】
また、別の目的は、成形体が比較的脆く、かつ体格ばらつきがあるにも係わらず、シール性を十分向上させて成形体を把持可能であるとともに、その成形体における閉塞すべきセル端部に栓詰め材で栓詰めする栓詰め深さが不均一となることを防止可能な成形体の把持装置およびこれを用いたセラミックハニカム構造体の栓詰め方法提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を備える。
【0014】
即ち、請求項1乃至10に記載の発明では、成形体を把持する成形体の把持装置において、ハウジングと、ハウジング内に設けられ、空気が供給されることによって膨張する膨張手段とを備え、膨張手段によって、成形体を把持することを特徴とする。
【0015】
これによると、空気が供給されることによって膨張する膨張手段によって、成形体を把持するので、例えば空気の供給量によって、成形体を把持する把持力の大きさを変えられるとともに、成形体の把持対象部位の体格に応じた把持面を形成することが可能である。
【0016】
これにより、成形体が比較的脆くかつ体格ばらつきがあるにも係わらず、シール性を十分向上させて成形体を把持することが可能である。
【0017】
また、請求項2乃至請求項5に記載の発明では、ハウジングは、円環状体に形成され、
円環状体の内周は、把持対象である成形体を挿通可能に形成され、
内周面に、膨張手段が設けられていることを特徴とする。
【0018】
これにより、円環状に形成されたハウジングの内周は、把持対象である成形体を挿通可能に形成されているので、把持対象である成形体の体格ばらつきに係わらず、例えばばらつきの最大体格であっても、成形体を上記内周に挿入可能である。さらに膨張手段は、ハウジングの内周面に設けられているので、膨張手段に空気が供給されるときには、膨張手段が内周面より内側に膨張させられ、この膨張手段の内周面の内側への膨張により成形体の外周を把持することができる。
【0019】
また、請求項3乃至請求項4に記載の発明では、膨張手段は、内部に空気を溜める環状の空気膨張部を有する弾性体を備え、弾性体は、円環状体の内周に沿って同軸に配置された穴を有し、空気膨張部に空気が供給されることにより弾性体が径方向に膨張し、膨張した穴内周面によって成形体の外周が把持されることを特徴とする。
【0020】
これによると、膨張手段は、弾性体の内部に配置された環状の空気膨張部に、空気が供給されることにより、弾性体自身を膨張させられる。さらに、弾性体は、円環状体の内周に沿って同軸に配置された穴を有しているので、当該径方向に膨張した穴内周面は円環状体の内周に対して均等にその内径が収縮する。これにより、空気膨張部に空気が供給されると、弾性体が径方向に膨張し、その内径が収縮した穴内周面によって成形体の外周が確実に把持される。
【0021】
なお、内径が収縮した穴内周面は、弾性体自身の膨張により軸方向に曲面状に形成されたものであっても、軸方向に曲面状に形成されていないものであってもいずれでもよい。
【0022】
なお、ここで、内径が収縮した穴内周面が軸方向に曲面状に形成される場合において、このような成形体の把持装置で容器の開口部を塞ぐと、上記曲面状に形成された分、容器内に溜められたスラリーの容積とは別に、無駄容積にばらつきが生じ易い。容器に充填するスラリーの量でスラリーの圧入栓詰め深さを管理したい場合、圧入栓詰めしようとするスラリーが無駄容積内へ逃げることによってスラリーの圧入栓詰め深さの精度が低下するおそれがある。
【0023】
これに対して、請求項4に記載の発明の如く、空気膨張部は、弾性体の壁によって区画され、空気膨張部を区画する壁のうち、穴内周側の径方向壁の肉厚は、軸方向壁に比べて厚く形成されていることが好ましい。
【0024】
これによると、空気膨張部に空気が供給されたとき、空気膨張部の内部の拡大により軸方向壁および穴内周側の径方向壁のいずれも膨張による引張り力が作用するが、その引張り力によって、肉厚の薄い軸方向壁が延び易く、肉厚の厚い穴内周側の径方向壁は延びにくくなるので、肉厚の厚い穴内周面が軸方向に曲面状になりにくい。
【0025】
また、請求項5に記載の発明では、膨張手段は、円環状体の内周に沿って同軸に配置された穴を有する弾性体を備え、
ハウジングは、空気が供給されることによって弾性体を軸方向に圧縮可能な圧縮手段を有し、
膨張手段は、空気が供給されると、圧縮手段によって弾性体を軸方向に圧縮するとともに、穴の内径が縮小し、当該縮小した穴内周面によって成形体の外周が把持されることを特徴とする。
【0026】
これによると、膨張手段は、空気が供給されると、圧縮手段によって弾性体を軸方向に圧縮するので、弾性体を軸方向に圧縮変形した分だけ、径方向に弾性変形し膨張するため、弾性体の形状が、扁平するが、穴内面が軸方向に曲面状になりにくい。
【0027】
また、請求項6乃至10に記載の発明では、軸方向に貫通する多数のセルを隔壁により区画するとともに、多数のセルのうちの一部のセルにおいて第1セル端部を栓詰め材によって栓詰めしたセラミックハニカム構造体を製造するにあたり、
当該軸方向の端面において栓詰め材を設けない第2セル端部をマスキング材で閉塞した状態で、栓詰め材を有するスラリーの中に端面を浸漬することにより、第1セル端部を栓詰めするセラミックハニカム構造体の栓詰め方法において、
請求項1から請求項5に記載の成形体の把持装置によって、ハニカム成形体からなるセラミックハニカム構造体本体を把持し、
上端部に開口部を有する容器内に貯留するスラリーに、成形体の把持装置によって把持したセラミックハニカム構造体本体の端面を浸漬させることを特徴とする。
【0028】
これにより、容器内のスラリーにセラミックハニカム構造体本体の端面を浸漬する際に、成形体の把持装置で把持されるセラミックハニカム構造体本体と、成形体の把持装置との間は、シール性向上が十分図られているので、その間からスラリーがあふれてくることはない。
【0029】
また、請求項7乃至10に記載の発明では、容器内のスラリーにセラミックハニカム構造体本体を浸漬するにあたり、
成形体の把持装置は、容器の蓋部材をなし、成形体の把持装置で容器の開口部を塞いだ後に、
スラリーをセラミックハニカム構造体本体の端面に押し込むことを特徴とする。
【0030】
これによると、成形体の把持装置は容器の蓋部材をなし、成形体の把持装置で容器の開口部を塞いだ後に、スラリーをセラミックハニカム構造体本体の端面に押し込むので、成形体の把持装置で把持されたセラミックハニカム構造体本体の端面をスラリーに浸漬する際に、容器内のスラリーは、開口部、および上記セラミックハニカム構造体本体と、成形体の把持装置との間のいずれからもあふれることはなく、容器からスラリーがあふれることは全くない。
【0031】
したがって、例えばスラリーに対してセラミックハニカム構造体本体を相対下降させることによりいわゆるスラリーを圧入栓詰めする際に、栓詰め深さの不均一となることを防止しつつ、スラリーをセラミックハニカム構造体本体の端面の第1セル端部に押し込むことができる。
【0032】
また、請求項8に記載の発明では、容器は、開口部を区画する側壁と、底部と、開口部側へ溜まっているスラリーを押し上げ可能に、容器の底部を、側壁に対して相対昇降動作する昇降駆動手段を備え、
昇降駆動手段は、成形体の把持装置で開口部を塞ぐと、底部を相対上昇させて、セラミックハニカム構造体本体の第1セル端部に、容器内のスラリーを強制的に押し込むことを特徴とする。
【0033】
これによると、シール性低下のおそれのある成形体の把持装置とセラミックハニカム構造体本体とを相対移動させることなく、スラリーに対してセラミックハニカム構造体本体を相対下降させられる。したがって、スラリーを圧入栓詰めする際に、栓詰め深さの不均一となることを防止しつつ、スラリーをセラミックハニカム構造体本体の端面の第1セル端部に押し込むことができる。
【0034】
また、請求項9に記載の発明では、容器内のスラリーを、セラミックハニカム構造体本体の端面の前記第1セル端部に押し込むことで、圧入栓詰めが終了した後、
セラミックハニカム構造体本体の外周と、端面とに、第1セル端部に押し込められずに残ったスラリーを拭き取る拭き取り手段を備えていることを特徴とする。
【0035】
また、請求項10に記載の発明では、ハウジングは、容器に当接する当接部を有しており、当接部は、第2の弾性体で形成されていることを特徴する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の成形体の把持装置およびこれを用いたセラミックハニカム構造体の栓詰め方法を、ハニカム構造体の製造方法に適用して具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、ハニカム構造体の端面をスラリーへ浸漬する浸漬工程で使用する把持装置を示す模式図であって、図1(a)は平面図、図1(b)は断面図である。図2は、図1(b)中の把持装置と、ハニカム構造体と、スラリーを貯留している容器との関係を示す模式的断面図である。図3は、本実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、ハニカム構造体本体にマスクテープを貼り付けるマスキング行程を示す説明図である。図4は、本実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、栓詰めする第1セル端部を開口するための貫通穴形成工程を示す説明図である。図5は、図4中の貫通穴形成工程において、貫通穴形成のためのセル情報を、画像処理により認識する範囲を分割するブロックの分割状態の一例を示す模式図である。
【0038】
図6は、本実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、栓詰め行程前であって、貫通穴形成工程での貫通穴を形成した状態を示す説明図である。図7は、本実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、ハニカム構造体の端面をスラリーへ浸漬する浸漬工程を示す説明図である。図8は、本実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、貫通穴形成工程での貫通穴を形成した状態を部分的に拡大した模式図である。図9は、本実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、浸漬工程でスラリーを浸漬した端面の状態を部分的に拡大した模式図である。図10は、本実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、ハニカム構造体の栓詰めした状態を部分的に拡大した模式図である。図11は、本実施形態によるハニカム構造体の栓詰め深さの測定結果を示すグラフである。なお、図11では、本実施形態による栓詰め深さの中央値とばらつき幅を示しており、これに対する比較例が示されている。
【0039】
本実施例では、自動車の排ガス浄化装置の担体用のセラミック製のハニカム構造体であって、軸方向に貫通する多数のセルを隔壁により区画するとともに、軸方向の両端面においてその端面に位置するセル端部の一部を閉塞してなるセラミックハニカム構造体8を製造する方法である。
【0040】
図3に示すように、すべてのセル端部82を端面861、862において開口させたハニカム構造体本体86を作製した後、このハニカム構造体本体86の端面861、862における一部のセル端部82を、後述の栓詰め材830により閉塞するにあたり、セル端部82を覆うように上記ハニカム構造体本体86の上記端面861に透明又は半透明の樹脂フィルム(以下、マスクテープ)2を貼り付ける。
【0041】
なお、両端面のうち、端面(以下、一方端面)861および端面(以下、他方端面)862にそれぞれマスクテープを貼り付ける。以下、一方端面861で製造方法を説明し、他方端面での説明は省略する。
【0042】
次いで、図4に示す如く、栓詰めするセル端部(以下、第1セル端部)82aを開口するための貫通穴形成工程において、第1セル端部82aに位置するマスクテープ2を、熱により溶融あるいは焼却除去して貫通穴20を形成する。次いで、図7に示す如く、一方端面861を栓詰め材を含有するスラリー60に浸漬させ、このスラリー60を上記貫通穴20を通じて第1セル端部82aに侵入させて、スラリー60で第1セル端部82aを閉塞する。
【0043】
次いで、他方端面862をスラリー60に浸漬させ、その他方端面862の第1セル端部82aをスラリー60で閉塞する。その後、上記スラリー60を硬化させる。
【0044】
以下、上述の製造方法の詳細を説明する。本実施例では、上記ハニカム構造体本体86を押出し成形により作製した。具体的には、コーディエライトを形成するセラミック材料を用いて、四角い多数のセルを有する筒状の長尺のハニカム構造体を作製し、それを所定長さに切断することにより上記ハニカム構造体本体86を形成した。このハニカム構造体本体86のセル端部82はその両方の端面861、862においてすべて開口している。
【0045】
次に、図3に示すように、一方の端面861の全面にマスクテープ2を貼り付ける。本実例では、端面861、862をホットプレート等の加熱装置により加熱して、端面861、862にマスクテープ2を貼り付けた。なお、マスクテープ2は、これに限らず、一方の面に接着剤を塗布した熱可塑性樹脂製フィルムを用いてもよい。
【0046】
次に、本実施例では、図4に示すように、貫通穴形成装置5を用いて、第1セル端部82aに位置するマスクテープ2を熱により溶融あるいは焼却除去して貫通穴20を形成した。貫通穴形成装置5は、端面861に貼り付けたマスクテープ2を透過して視覚的にセル端部82a、82bの位置を認識して位置情報を得る画像処理手段51と、マスクテープ2に高密度エネルギービーム(以下、レーザ光)520を照射する熱照射手段52と、画像処理手段51からの位置情報に基づいてレーザ光520の照射位置を決定して熱照射手段52を操作する制御手段53とを備えている。
【0047】
画像処理手段51は、図4に示すように、端面861の画像を取り込むカメラ部511と、画像データを形成する画像処理部512とを有する。カメラ部511は、端面の広さに応じて複数設置することが好ましいが、本実施例では1つのカメラ部511を適宜移動させて複数の領域を順次撮影するよう構成してある。具体的には、図5の画像データの処理方法に示すように、画像処理手段51においてセル端部82a、82bの位置情報を作成するに当たり、ハニカム構造体本体86の端面861を含む領域を9つのブロックS1〜S9に分割した。各ブロックごとに、当該ブロックとこれに隣接するブロックの少なくとも一部と重なる重複部を含む領域の画像データを採取した。
【0048】
熱照射手段52は、CO2レーザ光を発するレーザ発射装置521とその制御部を内蔵した移動装置522とを有している。
【0049】
また、制御手段53は、上述のように画像処理手段51から受け取った画像データを基に各セル端部82a、86bの位置及び開口面積を演算し、閉塞(栓詰め)すべきセル端部82の位置を求めて貫通穴20の形成位置を決定する。また、図6に示すように、不要な周囲のマスクテープ2を切除するための輪郭位置22を決定する。そして、この貫通穴20の形成位置及び輪郭位置の情報を熱照射手段52に指示してレーザ発射手段521の移動及び照射制御を行なわせるよう構成されている。
【0050】
上記構成の貫通穴形成装置5を用いることにより、図4に示す如く、まず、ハニカム構造体本体86の端面861をカメラ部511により撮影して画像データを作成する。次いで、制御手段53において貫通穴20の形成位置及び輪郭位置を算出する。本実施例では、貫通穴20形成位置は隣接するセルが交互に開口と閉塞を繰返す市松模様状に閉塞部(以下、栓詰め部)を形成するよう貫通穴形成位置を決定した。
【0051】
次に、ハニカム構造体本体86をレーザ発射手段521下まで移動させ又はレーザ発射手段521を移動させると共にカメラ部511直下に位置するときの座標上の原点を合わす。そして、制御手段53の指示に基づいて、レーザ発射手段521からレーザ光520を順次照射してマスクテープ2を溶融または焼却除去して、貫通穴20及び輪郭位置22を形成する。図6に示すように、ハニカム構造体本体86の端面861には、輪郭位置22よりも外周の不要部分を切除し、かつ、栓詰め(閉塞)予定位置の第1セル端部82aに位置する部分に、隔壁81内周等に沿った形状の貫通穴20を設けた樹脂フィルム2が配設された状態となる。
【0052】
なお、貫通穴20を形成するに当たっては、形成しようとする貫通穴20の中心に対して最初にレーザ光520を照射し、次いで、徐々に径が大きくなるように螺旋状に照射位置を相対的にずらしながら貫通穴20を所望の大きさまで広げた(例えば、図8参照)。
【0053】
このようなマスクテープ2の貼り付けから貫通穴20形成までの作業を、ハニカム構造体本体86の他方端面862に対しても同様に行なう。このとき、各セルは、一方のセル端部82がマスクテープ2により閉止され、他方のセル端部82に貫通穴20を形成した状態とする。なお、図6および図8に示す輪郭位置22の外周側のセルの如く、周辺の一部が欠けた正方形のセルに対しては、市松模様状とせず、栓詰め部材830をすべて詰めるように、マスクテープ2が除去されて開口している。
【0054】
次に、浸漬工程(図7参照)において、一方の端面861を、栓詰め材830を含有するスラリー60に浸漬させ、このスラリー60を貫通穴20を通じて第1セル端部82aに浸入させて、スラリー60で第1セル端部82aを閉塞する。本実施例では、図7(c)に示すような浸漬装置(以下、ディップ装置)6を用いて行った。スラリー60に含有する栓詰め材830は、焼成後コーディエライトとなる材料を主体としている。
【0055】
ディップ装置6は、図7(c)に示すように、ワークであるハニカム構造体本体86を把持して移動させる把持装置61と、スラリー60を毎回入れ、貯留する容器62と、把持装置61を制御する制御部(図示せず)とを有する。なお、把持装置61は、ハニカム構造体本体86を把持する把持機能と、ハニカム構造体本体86を移動させる位置駆動機能とを有するものであっても、把持機能と位置駆動機能とを別部材で構成するものであってもよい。
【0056】
なお、以下、本実施形態では、把持機能と位置駆動機能とは別部材で構成するものとし、把持装置61は、把持機能を有するチャック部材61と、位置駆動機能を有するワーク位置駆動部材(図示せず)を備えている。
【0057】
チャック部材61は、図1および図2に示すように、主要な構成を機能で表すと、ハウジングとしてのチャック本体63、64、65と、このチャック本体63、64、65内に設けられ、空気(図中の加圧エア、以下、加圧エア)が供給されることによって膨張する膨張手段67、65、63bとを備えている。
【0058】
膨張手段67、65、63bは、図2に示すように、弾性体67と、弾性体67を空気圧により圧縮する圧縮部63b、65とを有している。膨張手段67、65、63bは、加圧エアが供給されることによって弾性体67が膨張(図2中の一点鎖線参照)し、弾性体67の内周面でハニカム構造体本体86の外周を把持する。
【0059】
弾性体67は、円環状に形成されており、弾性を有する円環状体である。弾性体67の断面は、中実の、略四角状に形成されている。弾性体67の内周面は、後述するチャック本体63、64、65の挿通穴61a内周に沿って同軸に配置されている。
【0060】
チャック本体63、64、65は、円環状体に形成されており、弾性体67を収容する第1ハウジング(以下、上型ハウジング)63、第2ハウジング(以下、下型ハウジング)64と、両ハウジング63、64内に設けられ、加圧エアの供給により弾性体67を押圧する第3ハウジング(可動部ハウジング)65とを有している。
【0061】
円環状のチャック本体63、64、65は、ハニカム構造体本体86を挿通可能な穴(挿通穴)61aを有しており、この挿通穴61a内周は、ハニカム構造体本体86の体格ばらつきの上限の外周の大きさであっても、その上限外周を挿入可能な大きさに設定されている。なお、弾性体67の内周面は、加圧エアの供給が停止されているとき、挿通穴61a内周とほぼ面一に配置されている。
【0062】
具体的には、上型ハウジング63は、外部から加圧エアを導入する導入部63aと、導入部63aに連通し、加圧エアを溜める円環溝状の空気膨張部63bを有している。また、上型ハウジング63は、可動部ハウジング65を、弾性体67を押圧する方向に移動可能にする内壁面を有している。この内壁面と可動部ハウジング65の間には、角リング等の第1シール部材91が配置されている。
【0063】
下型ハウジング64は、上型ハウジング63と共に、弾性体67と、これと一体成形された可動部ハウジング65とを内部に収容している。この下型ハウジング64は、第1下型ハウジング64aと、第2下型ハウジング64bとを有し、両下型ハウジング64a、64bは、ボルトなどの螺合部材64cによる螺合により一体に組付けられている。第1下型ハウジング64aは、可動部ハウジング65を、弾性体67を押圧する方向に移動可能にする内壁面を有している。この内壁面と可動部ハウジング65の間には、Oリング等の第2シール部材92が配置されている。また、下型ハウジング64と上型ハウジング63との間には、Oリング等の第3シール部材93が配置されている。
【0064】
可動部ハウジング65は、下端部側に弾性体67が一体成形されており、可動部ハウジング65と弾性体67は第2下型ハウジング64bによって図中下方向への移動が規制されている。また、可動部ハウジング65と第1下型ハウジング64aとの間には、可動部ハウジング65を付勢するバネ等の付勢部材67が配置されており、この付勢部材67は、加圧エアが印加される方向とは反対方向(図中上方向)に向けて可動部ハウジング65を付勢している。
【0065】
また、上記チャック本体63、64、65の下端部側には、円環状の第2の弾性体66を有しており、この第2の弾性体66は、チャック本体63、64、65が容器62に当接するための当接部を構成している。
【0066】
チャック本体63、64、65は、容器62の開口部62cを塞ぐように、チャック本体63、64、65の外形が開口部62cより大きく形成されており、当接部66を介して、容器62の開口部62cを塞ぐことにより容器62内のスラリー60を気密に保持可能である。
【0067】
なお、ハニカム構造体本体86とチャック部材61の把持状態は、ハニカム構造体本体86とチャック部材61が相対移動不能となっている。
【0068】
容器62は、図7(c)および図2に示すように、開口部62cを区画する容器62の側壁62aと、底部62bとを有しており、底部62bは側壁62aの端面に対して相対移動可能である。具体的には、図7(c)に示すように、底部62bの上端面(以下、底面)62b1は、側壁62aに対して昇降が可能である。
【0069】
また、この底部62bは、ハニカム構造体本体86の端面861に対向し、かつその端面861に沿って回転が可能であることが好ましい。これにより、ハニカム構造体本体86の端面861にスラリー60を押し込んだ後に、容器60内60ハニカム構造体本体86の端面861を引き離すとき、ハニカム構造体本体86に押し込んだスラリー60が容器60内に引き戻されるのを防止することが可能である。
【0070】
また、容器62内には、スラリー60が開口部の上端面までほぼ一杯に充填されるようになっている。容器62の側壁62aの上端面にて、開口部62cより盛り上がったスラリー60の液面を容易に摺り切るようにすることが好ましい。これにより、スラリー60の液面に存在するおそれがある気泡を効率的に除去できる。
【0071】
このディップ装置6を用いて作業を行なうにあたっては、まず図7(a)に示すように、ハニカム構造体本体86が、処理すべき一方端面861を下端にして基準台69上に載置する。
【0072】
次いで、図7(b)に示すように、把持装置の把持動作およびワーク位置駆動動作によってハニカム構造体本体86を掴んで所定量持ち上げ、処理すべき端面861を、容器62上に向けて移動する。
【0073】
次いで、図7(c)に示すように、チャック部材61を下方に移動させて、当接部(第2弾性体)66を介して容器62の開口部62cを気密に塞ぐ。このとき、スラリー60液面の上方にハニカム構造体本体86の一方端面861が配置される。次いで、容器62の底部62bの底面62b1を上昇させることにより、ハニカム構造体本体86の一方端面861をスラリー60に対して相対下降させて、ハニカム構造体本体86の端面861をスラリー60内に浸漬する。このとき、上記制御部は、底部62bの上方向への移動量からディップ深さを算出し、所望の栓詰め深さ(浸漬深さ)となるように底部62bの移動動作を制御する。
【0074】
このようなディップ装置6により、ハニカム構造体本体86の端面861においては、貫通穴20を設けた第1セル端部82aにおいて、貫通穴20からスラリー60が第1セル端部82aに浸入する。また、ハニカム構造体本体86を把持するチャック部材61と容器62とが気密に保持された状態で、ハニカム構造体本体86の端面861をスラリー60内に浸漬するので、加圧されたスラリー60が端面861に加わっている。これにより、貫通穴20を通じて第1セル端部82a内にスラリー60が強制的に押し込められる(図9参照)。なお、以下、第1セル端部82a内にスラリー60を強制的に押し込めることを、スラリー60を圧入栓詰めするという。
【0075】
次に、図示しない焼結工程において、上記両端面861、862においてスラリー60を第1セル端部82aに浸入させたハニカム構造体本体86を乾燥させた後、焼成する。これにより、スラリー60が焼成して固化して栓詰め材830となって栓詰め部(閉塞部)83を形成すると共に、端面861、862に貼り付けられていたマスクテープ2が焼却除去される。これにより、一部の第1セル端部82aを閉塞したハニカム構造体8(図10参照)が得られる。
【0076】
以上説明した本実施形態では、把持装置すなわちチャック部材61は、チャック本体63、64、65と、チャック本体63、64、65内に設けられ、加圧エアが供給されることによって弾性体67の内周面側が膨張する膨張手段67、65、63bとを備えており、膨張手段67、65、63bによってハニカム構造体本体86の外周を把持する。
【0077】
これによると、加圧エアが供給されることによって膨張する膨張手段67、65、63bによって、ハニカム成形体であるハニカム構造体本体86を把持するので、例えば加圧エアの供給量によって、ハニカム構造体本体86を把持する把持力の大きさを変えられるとともに、ハニカム構造体本体86の把持対象部位の外周等の体格に応じた把持面を形成することが可能である。
【0078】
これにより、ハニカム構造体本体86等の成形体が比較的脆くかつ体格ばらつきがあるにも係わらず、シール性を十分向上させて成形体を把持することが可能である。
【0079】
また、以上説明した本実施形態では、チャック本体63、64、65は、円環状体に形成され、チャック本体63、64、65の挿入穴61aの内周は、把持対象のハニカム構造体本体86の外周を挿通可能に形成されている。さらに、その挿入穴61aの内周に、膨張手段67、65、63bが設けられ、加圧エア供給停止時には、挿入穴61aの内周面と、膨張手段67、65、63bの弾性体67の内周面がほぼ面一に配置されている。
【0080】
これにより、チャック本体63、64、65の挿入穴61aの内周は、ハニカム構造体本体86の体格ばらつきの上限の外周の大きさであっても、その上限外周を挿入可能な大きさに設定されている。さらに膨張手段67、65、63bは、挿入穴61aの内周面に設けられているので、膨張手段67、65、63bに加圧エアが供給されるときには、膨張手段67、65、63bの弾性体67が、挿入穴61a内周面より内側に膨張させられ、この挿入穴61a内周面の内側への膨張によりハニカム構造体本体86の外周を把持することができる。
【0081】
また、以上説明した本実施形態では、膨張手段67、65、63bは、円環状の弾性体67を有し、この円環状の弾性体67の内周面は、チャック本体63、64、65の挿通穴61a内周に沿って同軸に配置されている。さらに、チャック本体63、64、65は、加圧エアが供給されることによって弾性体67を軸方向に圧縮可能な圧縮部63b、65を有している。膨張手段67、65、63bは、加圧エアが供給されると、弾性体67を軸方向に圧縮するとともに、弾性体67の内周面の内径が収縮し、この収縮した弾性体67の内周面によってハニカム構造体本体86の外周を把持する。
【0082】
これによると、膨張手段67、65、63bは、空気が供給されると、チャック本体内の圧縮部63b、65によって弾性体67を軸方向に圧縮するので、弾性体67を軸方向に圧縮変形した分だけ、径方向に弾性変形し膨張するため、弾性体67の形状が、扁平するが、弾性体67の内周面が軸方向に曲面状になりにくい。
【0083】
さらに、上記弾性体67の内周面は、チャック本体63、64、65の挿通穴61a内周に沿って同軸に配置されているので、加圧エアが供給されると、チャック本体63、64、65の挿通穴61a内周に対して弾性体67の内周面の内径が均等に収縮する。その内径が均等に収縮した弾性体67の内周面によってハニカム構造体本体86の外周が確実に把持される。
【0084】
また、以上説明した本実施形態では、浸漬工程では、上述した把持装置すなわちチャック部材61によってハニカム構造体本体86の外周を把持し、次いで容器62内のスラリー60に、チャック部材61で把持されたハニカム構造体本体86の端面861を浸漬させる。
【0085】
これにより、容器62内のスラリー60にセラミックハニカム構造体本体86の端面861を浸漬する際に、チャック部材61で把持されるセラミックハニカム構造体本体86と、チャック部材61との間は、シール性向上が十分図られているので、その間からスラリー60があふれてくることはない。
【0086】
さらに、上記容器62内のスラリー60にセラミックハニカム構造体本体86の端面861を浸漬するにあたり、チャック部材61は容器62の蓋部材をなし、チャック部材61は、当接部(第2の弾性体)66を介して容器62の開口部62cを塞いだ後に、スラリー60をセラミックハニカム構造体本体86の端面861の第1セル端部82aに押し込む。
【0087】
これにより、チャック部材61で把持されたハニカム構造体本体86の端面861を浸漬させる際には、容器62内のスラリー60は、開口部62c、および上記セラミックハニカム構造体本体86とチャック部材61との間のいずれからもあふれることはなく、容器62からスラリー60があふれることは全くない。
【0088】
したがって、例えばスラリー60に対してセラミックハニカム構造体本体86を相対下降させることによりいわゆるスラリー60を圧入栓詰めする際に、栓詰め深さの不均一となることを防止し(図11参照)つつ、スラリー60をセラミックハニカム構造体本体86の端面861の第1セル端部82aに押し込むことができる。
【0089】
また、以上説明した本実施形態では、容器62は、開口部62cを区画する側壁62aと、底部62bと、開口部62c側へ溜まっているスラリー60を押し上げ可能に、底部62bを側壁62aに対して相対昇降動作する昇降駆動手段を備えている。昇降駆動手段は、チャック部材61で開口部62cを塞ぐと、底部62bを相対上昇させて、セラミックハニカム構造体本体86の第1セル端部82aに、容器62内のスラリー60を強制的に押し込む。
【0090】
これによると、シール性低下のおそれのあるチャック部材61とセラミックハニカム構造体本体86とを相対移動させることなく、スラリー60に対してセラミックハニカム構造体本体86を相対下降させられる。したがって、スラリー60を圧入栓詰めする際に、栓詰め深さの不均一となることを防止しつつ、スラリー60をセラミックハニカム構造体本体86の端面861の第1セル端部82aに押し込むことができる。
【0091】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用可能である。
【0092】
(1)例えば上述の実施形態では、セル端部82bへのマスキングを施す手段として、樹脂フィルムからなるマスクテープ2、102で説明した。これに限らず、ワックスからなるシート材などを、第2セル端部を区画する隔壁に熱や接着材により貼り付けるものや、ワックスなどを第2セル端部内に埋め込むものなど、いずれのマスキング材であってもよい。
【0093】
(2)以上説明した本実施形態では、チャック部材61でセラミックハニカム構造体本体86の外周を把持する把持方法として、膨張手段67、65、63bは、加圧エアを圧縮部65、63bに供給することによって、弾性体67を圧縮部65、63bで軸方向に圧縮させた。この弾性体を軸方向に圧縮することにより弾性体67の内周面の内径を収縮させて、当該内径が収縮した弾性体67の内周面でセラミックハニカム構造体本体86の外周を把持した。
【0094】
上記把持方法は、このような方法に限らず、図15に示すように弾性体167の内部に加圧エアを溜める環状の空気膨張部167bを有し、加圧エアを空気膨張部167bに供給することによって弾性体167自体を膨張させるチャック部材161を用いる方法であってもよい。
【0095】
図15に示す一例では、弾性体167は、チャック本体163内に設けられ、円環状体からなるチャック本体163の挿通穴161a内周に沿って同軸に配置されている。空気膨張部167bに加圧エアを供給することにより弾性体167を径方向に膨張させ、膨張によりその内径が収縮した弾性体167の内周面でセラミックハニカム構造体本体86の外周が把持される。
【0096】
(3)上記内部に空気膨張部167bを有する弾性体167を備えるチャック部材161の場合において、内径が収縮した弾性体167の内周面は、弾性体167自身の膨張により軸方向に曲面状に形成されたものであっても、軸方向に曲面状に形成されていないものであってもいずれでもよい。
【0097】
(4)なお、ここで、上記内径が収縮した弾性体167の内周面が軸方向に曲面状に形成される場合において、このようなチャック部材で容器62の開口部62cを塞ぐと、曲面状に形成された分、容器62内に溜められたスラリー60の容積とは別に、無駄容積にばらつきが生じ易い。容器62に充填するスラリー60の量でスラリー60の圧入栓詰め深さを管理したい場合、圧入栓詰めしようとするスラリー60が無駄容積内へ逃げることによってスラリー60の圧入栓詰め深さの精度が低下するおそれがある。
【0098】
これに対して、図15に示す如く、空気膨張部167bは、弾性体167の壁によって区画され、空気膨張部167bを区画する壁のうち、内周側の径方向壁の肉厚は、軸方向壁に比べて厚く形成されていることが好ましい。
【0099】
これによると、空気膨張部167bに空気が供給されたとき、空気膨張部167bの内部の拡大により軸方向壁および内周側の径方向壁のいずれも膨張による引張り力が作用するが、その引張り力によって、肉厚の薄い軸方向壁が延び易く、肉厚の厚い内周側の径方向壁は延びにくくなるので、弾性体167の内周面が軸方向に曲面状になりにくい。
【0100】
なお、第1の実施形態によるチャック部材61では、弾性体67に加圧エア供給によって圧縮力は作用するが、引張り力が作用することはないため、加圧エア供給時に弾性体61の内周面は軸方向に曲面状になることはない。
【0101】
(5)以上説明した本実施形態において、スラリー60の圧入栓詰めが終了した後に、図12に示す如く、セラミックハニカム構造体本体86の外周863と、端面861とに、第1セル端部82aに押し込められずに残ったスラリー60を拭き取る拭き取り手段(以下、拭き取り装置)7を備えていることが好ましい。この拭き取り装置7は、手作業による従来の拭き取り作業に対して自動化を図っている。拭き取り装置7は、セラミックハニカム構造体本体86の外周をローラ71aで支持する支持台71と、このローラ71aで回転可能に支持されたセラミックハニカム構造体本体86の外周863に当てて拭き取る拭き取り用回転体(以下、第1拭き取り部)73を有する第1ロボットハンド72と、端面861に当てて拭き取る第2拭き取り部75を有する第2ロボットハンド74とを備えている。
【0102】
第1拭き取り部73は、第1ロボットハンド72の図示しない電動装置の駆動力により回転する。第1拭き取り部73と第2拭き取り部75は、常に一定の拭き取り押圧力によって外周863、端面861を拭き取る。また、図12中のイメージセンサ79により、第1拭き取り部73、および第2拭き取り部75による拭き取り状態を確認しながら、拭き取り自動化を図っている。
【0103】
また、セラミックハニカム構造体本体86の外周863および端面861の拭き取り終了すると、第1ロボットハンド72および第2ロボットハンド74を駆動動作させて、外周面863、端面861から、第1拭き取り部73、第2拭き取り部75を引き離し(図13参照)、第1拭き取り部73、第2拭き取り部75を洗浄槽78に投入して洗浄を行なう(図14参照)。これにより、第1拭き取り部73、第2拭き取り部75の拭き取り面が再使用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1の実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、ハニカム構造体の端面をスラリーへ浸漬する浸漬工程で使用する把持装置を示す模式図であって、図1(a)は平面図、図1(b)は断面図である。
【図2】図1(b)中の把持装置と、ハニカム構造体と、スラリーを貯留している容器との関係を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、ハニカム構造体本体にマスクテープを貼り付けるマスキング行程を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、栓詰めする第1セル端部を開口するための貫通穴形成工程を示す説明図である。
【図5】図4中の貫通穴形成工程において、貫通穴形成のためのセル情報を、画像処理により認識する範囲を分割するブロックの分割状態の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、栓詰め行程前であって、貫通穴形成工程での貫通穴を形成した状態を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、ハニカム構造体の端面をスラリーへ浸漬する浸漬工程を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、貫通穴形成工程での貫通穴を形成した状態を部分的に拡大した模式図である。
【図9】本発明の第1の実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、浸漬工程でスラリーを浸漬した端面の状態を部分的に拡大した模式図である。
【図10】本発明の第1の実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、ハニカム構造体の栓詰めした状態を部分的に拡大した模式図である。
【図11】本発明の第1の実施形態によるハニカム構造体の栓詰め深さの測定結果を示すグラフである。
【図12】他の実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、ハニカム構造体の端面をスラリーに対して相対下降(浸漬)した後に、ハニカム構造体の外周および端面での、不要なスラリーを拭き取る拭き取り工程を示す模式図である。
【図13】図12中の拭き取り工程の一過程であって、拭き取りが終了した状態を示す説明図である。
【図14】図12中の拭き取り工程の一過程であって、拭き取りが終了した拭き取り治具を洗浄している状態を示す説明図である。
【図15】他の実施形態によるハニカム構造体の製造方法であって、ハニカム構造体の端面をスラリーへ浸漬する浸漬工程で使用する把持装置と、ハニカム構造体と、スラリーを貯留している容器との関係を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0105】
2 マスクテープ
20 貫通穴
22 輪郭位置
5 貫通穴形成装置
51 画像処理手段
511 カメラ部
512 画像処理部
52 熱照射手段
520 レーザ光(高密度エネルギービーム)
521 レーザ発射手段
522 移動装置
53 制御手段
6 ディップ装置(浸漬装置、栓詰め装置)
60 スラリー
61 チャック部材(把持装置)
62 容器
62a 側壁
62b 底部
62c 開口部
63 上型ハウジング(チャック本体、ハウジング)
64 下型ハウジング(チャック本体、ハウジング)
65 可動部ハウジング(チャック本体、ハウジング)
66 第2の弾性体(当接部)
67 弾性体
8 ハニカム構造体
81 隔壁
82 セル端部
82a 第1セル端部
82b 第2セル端部
83 栓詰め部
830 栓詰め材
86 ハニカム構造体本体
861、862 端面
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行

【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平


【公開番号】 特開2008−55796(P2008−55796A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−236581(P2006−236581)