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【発明の名称】 セラミックハニカム成形体の栓詰め方法
【発明者】 【氏名】石田 修一

【要約】 【課題】少なくとも一方の端面において、栓部が端面から突出することを抑制でき、且つ、栓詰め密度が高く、隙間ない栓詰めが可能なセラミックハニカム成形体の栓詰め方法を提供すること。

【構成】セラミックハニカム成形体1の一方の端面11を栓詰め用スラリー2に浸漬する第1栓詰め工程と、他方の端面12を栓詰め用スラリー2に浸漬する第2栓詰め工程とを有する。第2栓詰め工程では、セラミックハニカム成形体1の側面12を把持するためのチャック部31と、端面11を押圧するための面押部32とを有する把持装置3を用いる。セラミックハニカム成形体1をチャック部31により把持し、面押部32とセラミックハニカム成形体1との間に弾性部材4を設け、面押部32によってセラミックハニカム成形体1の端面11を押圧することにより、第1栓詰め工程により配設した栓詰め用スラリーを弾性部材4によって内方に圧縮する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のセルを多孔質のセル壁により区画すると共にセル端部を栓詰材によって栓詰めしたセラミックハニカム成形体を製造するに当り、セラミックハニカム成形体の端面において上記栓詰材を設けないセル端部をマスキング材により被覆した状態で、上記セラミックハニカム成形体の端面を栓詰め用スラリーに浸漬して、上記セラミックハニカム成形体の上記セル端部を栓詰めする方法であって、
上記セラミックハニカム成形体の一方の端面を栓詰め用スラリーに浸漬する第1栓詰め工程と、
上記セラミックハニカム成形体の他方の端面を栓詰め用スラリーに浸漬する第2栓詰め工程とを有し、
上記第2栓詰め工程では、上記セラミックハニカム成形体の側面を把持するためのチャック部と、上記セラミックハニカム成形体の端面を押圧するための面押部とを有する把持装置を用いて、上記セラミックハニカム成形体を上記チャック部により把持し、上記面押部とセラミックハニカム成形体との間に弾性部材を設け、上記面押部によって上記セラミックハニカム成形体の端面を押圧することにより、上記第1栓詰め工程により配設した栓詰め用スラリーを上記弾性部材によって内方に圧縮することを特徴とするセラミックハニカム成形体の栓詰め方法。
【請求項2】
請求項1において、上記弾性部材は、ゴムシートであることを特徴とするセラミックハニカム成形体の栓詰め詰め方法。
【請求項3】
請求項1または2において、上記セラミックハニカム成形体は、コーディエライトからなることを特徴とするセラミックハニカム成形体の栓詰め方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記第1栓詰め工程では、上記把持装置を用いて上記セラミックハニカム成形体を把持し、上記面押部とセラミックハニカム成形体との間に弾性部材を設け、面押部を用いて上記セラミックハニカム成形体の端面を押圧することを特徴とするセラミックハニカム成形体の栓詰め方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のセルを多孔質のセル壁により区画されたセラミックハニカム成形体のセル端部を栓詰めする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック製のハニカム成形体は、自動車の排ガス浄化用触媒の担体等として広く用いられている。ハニカム成形体は、外皮と、該外皮内にハニカム状に配設されたセル壁と、該セル壁内に区画され軸方向に沿って形成された多数のセルとを有する。ハニカム成形体を形成する方法としては、一般的に、押出成形もしくはプランジャー成形が用いられる。
【0003】
また、上記ハニカム成形体には、上記セルの開口端部を栓詰めした栓詰めハニカム成形体がある。この栓詰めハニカム成形体の製造方法としては、例えば、混練した原料を押出し型を用いて押出成形した後、乾燥、仮焼成、マスキング、栓詰め、焼成することにより製造することができる。
【0004】
従来、栓詰めハニカム成形体は、上記栓詰め直後では、ハニカム成形体の端面から、栓詰材が飛び出していた。具体的には、栓詰めの前の工程のマスキング時にハニカム成形体の端面にマスキング材を形成する。栓詰めの際には、マスキング材の周囲にスラリーが付着する。そのため、後工程の焼成の際にマスキング材のみが消失し、栓詰めの際にマスキング材の周りに付着したスラリーは、ハニカム成形体の端面から飛び出した状態で残ってしまう。
【0005】
この場合には、そのまま製品とした場合に、排ガスに晒される表面積が大きくなり、余分にパティキュレートが付着されやすくなるという問題があった。また、単に浸漬して栓詰めを行った場合には、十分な栓詰め密度が得られないという問題や、栓詰材とセル壁との間に隙間が形成されるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2002−37672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、少なくとも一方の端面において、栓部が端面から突出することを抑制でき、且つ、栓詰め密度が高く、隙間ない栓詰めが可能なセラミックハニカム成形体の栓詰め方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、多数のセルを多孔質のセル壁により区画すると共にセル端部を栓詰材によって栓詰めしたセラミックハニカム成形体を製造するに当り、セラミックハニカム成形体の端面において上記栓詰材を設けないセル端部をマスキング材により被覆した状態で、上記セラミックハニカム成形体の端面を栓詰め用スラリーに浸漬して、上記セラミックハニカム成形体の上記セル端部を栓詰めする方法であって、
上記セラミックハニカム成形体の一方の端面を栓詰め用スラリーに浸漬する第1栓詰め工程と、
上記セラミックハニカム成形体の他方の端面を栓詰め用スラリーに浸漬する第2栓詰め工程とを有し、
上記第2栓詰め工程では、上記セラミックハニカム成形体の側面を把持するためのチャック部と、上記セラミックハニカム成形体の端面を押圧するための面押部とを有する把持装置を用いて、上記セラミックハニカム成形体を上記チャック部により把持し、上記面押部とセラミックハニカム成形体との間に弾性部材を設け、上記面押部によって上記セラミックハニカム成形体の端面を押圧することにより、上記第1栓詰め工程により配設した栓詰め用スラリーを上記弾性部材によって内方に圧縮することを特徴とするセラミックハニカム成形体の栓詰め方法にある(請求項1)。
【0009】
本発明のセラミックハニカム成形体の栓詰め方法において、最も注目すべき点は、第2栓詰め工程において、上記把持装置を用い、上記面押部と上記セラミックハニカム成形体との間に弾性部材を設けた状態で、面押部を用いて上記セラミックハニカム成形体の端面を押圧することにある。これにより、少なくとも一方の端面(第1栓詰め工程において栓詰めした端面)において、栓部が端面から突出することを抑制でき、且つ、栓詰め密度が高く、隙間なく栓詰めすることができる。
【0010】
上記第2栓詰め工程は、栓詰め用スラリーに浸漬した端面に栓詰めを行うと共に、上記第1栓詰め工程により配設した栓詰め用スラリーの突出していた部分をセラミックハニカム成形体中(セル中)に圧縮するものである。
上記セラミックハニカム成形体との間に弾性部材を設けた状態で面押部を用いて上記セラミックハニカム成形体の端面を押圧することによって、上記マスキング材を押し潰すと共に、上記マスキング材の周囲に付着した栓詰め用スラリーをセラミックハニカム成形体の端面まで圧縮することができる。
【0011】
もともと、セラミックハニカム成形体の端面の全体形状は必ずしも平坦ではない。そのため、押圧により、セラミックハニカム成形体の端面における形状や硬さに合わせて変形する弾性部材を設けることが有効である。押圧時に弾性部材が変形することで、セラミックハニカム成形体の端面より突出する栓詰め用スラリーを、軟らかいセル中に押し込むように圧縮することができ、端面を整えることができる。
これにより、セラミックハニカム成形体の端面の全体形状が平坦でない場合であっても、端面において、栓部が突出することを抑制できる。
【0012】
さらに、上記セラミックハニカム成形体は、上述したように、多孔質のセル壁により、多数のセルを区画している。そのため、セラミックハニカム成形体の端面を栓詰め用スラリーに浸漬する際に、上記栓詰め用スラリー中の水分は上記セル壁に吸収される。セル中に配置された栓詰め用スラリーは、水分量が低下することにより流動性が低下する。それ故、第2栓詰め工程において、上記第1栓詰め工程により配設した栓詰め用スラリーを内方に圧縮する際は、栓部の内方側の栓形状を殆ど変化させることなく、栓部の端面側(セル開口端側)において、栓詰め用スラリーを圧縮することができる。これにより、栓部の端面側の部分がセル壁に密着するように横方向に拡がり、隙間なく、栓詰め密度の高い栓部を得ることができる。
【0013】
このように、本発明によれば、少なくとも一方の端面において、栓部が端面から突出することが抑制され、且つ、栓詰め密度が高く、隙間なく栓詰めされたセラミックハニカム成形体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のセラミックハニカム成形体の栓詰め方法は、上述したように、上記第2栓詰め工程において、上記面押部とセラミックハニカム成形体との間に弾性部材を設ける。
上記弾性部材としては、例えば、ゴムシート、スポンジシート、ウレタンフォームシート等が挙げられる。
特に、上記弾性部材は、ゴムシートであることが好ましい(請求項2)。
この場合には、特に、良好にセラミックハニカム成形体の栓詰めを行うことができる。
上記ゴムシートを構成する素材としては、例えば、CR、NR、NBR、ウレタン、シリコーン等が挙げられる。
【0015】
また、上記セラミックハニカム成形体は、コーディエライトからなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、特に、熱膨張が小さく、熱衝撃に強いセラミックハニカム成形体を得ることができる。
【0016】
また、上記第1栓詰め工程では、上記把持装置を用いて上記セラミックハニカム成形体を把持し、上記面押部とセラミックハニカム成形体との間に弾性部材を設け、面押部を用いて上記セラミックハニカム成形体の端面を押圧することが好ましい(請求項4)。
【0017】
この場合には、上記面押部と対面する端面に形成されたマスキング材を潰すことができる。これにより、第2栓詰め工程において栓詰めされる端面において、栓詰材が端面から飛び出す量を予め少なくすることができる。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
本例は、本発明のセラミックハニカム成形体の栓詰め方法にかかる実施例について、図1〜図3を用いて説明する。
図1に示すごとく、本例は、把持装置3を用いて行った。把持装置3は、チャック部31と該チャック部31に当接する面押部32とを有する。
上記チャック部31は、セラミックハニカム成形体の側面を把持するためのものであり、上記面押部32は、セラミックハニカム成形体の端面を押圧するためのものである。
また、上記面押部32には、弾性部材4を設けてある。弾性部材4としては、NBRゴムシートを用いた。
【0019】
本例において栓詰めを行ったセラミックハニカム成形体1は、コーディエライトよりなり、サイズは、直径Wがφ160mm、高さHが100mmである。
また、上記セラミックハニカム成形体1は、端面において栓詰材を設けないセル端部をマスキング材5により被覆してある。
【0020】
次に、本例の栓詰め方法について説明する。
本例の栓詰め方法は、第1栓詰め工程(図示略)を行い、その後、図1に示す、第2栓詰め工程を行った。
上記第1栓詰工程は、上記把持装置3を用いて上記セラミックハニカム成形体1の一方の端面11を栓詰め用スラリーに浸漬するものである。
【0021】
まず、セラミックハニカム成形体1の一方の端面11を下端にし、セラミックハニカム成形体1の側面をチャック部31により把持し、上記面押部32とセラミックハニカム成形体1との間に弾性部材4を設けた状態とした。その後、面押部32を用いて上記セラミックハニカム成形体1の他方の端面12を押圧すると共に、セラミックハニカム成形体1の一方の端面11を、栓詰め用スラリー1を入れた液層22に浸漬して30秒保持することにより栓詰めを行った。
【0022】
その後、セラミックハニカム成形体1を反転させ、第2栓詰め工程を行った。
上記第2栓詰め工程は、図1及び図2に示すごとく、上記把持装置3を用いて上記セラミックハニカム成形体1の一方の端面11を押圧すると共に、他方の端面12を栓詰め用スラリーに浸漬するものである。
【0023】
まず、セラミックハニカム成形体1の側面をチャック部31により把持し、上記面押部32とセラミックハニカム成形体1との間に弾性部材4を設けた状態とした。その後、面押部32を用いて上記セラミックハニカム成形体1の一方の端面11を押圧すると共に、セラミックハニカム成形体1の他方の端面12を、栓詰め用スラリー2を入れた液層22に浸漬し、30秒保持することにより、栓詰めを行った。
【0024】
図1(a)は、第2栓詰め工程において、把持装置3を用いてセラミックハニカム成形体を把持している状態を示し、図1(b)は、第2栓詰め工程において、セラミックハニカム成形体1の一方の端面11を押圧すると共に、他方の端面12を栓詰め用スラリー2に浸漬している状態を示す。
上記図1(b)より知られるごとく、本例において、セラミックハニカム成形体1は、他方の端面12が液層22の底に押し付けられた状態で、一方の端面11が押圧されている。
【0025】
また、図2(a)は、第2栓詰め工程における、押圧前の一方の端面11の栓詰め部分を示し、図2(b)は、押圧後の一方の端面11の栓詰め部分を示す。
同図より知られるごとく、押圧前の栓詰め部分は、上記第1栓詰め工程により配設された栓詰材21(栓詰め用スラリー)が、マスキング材5の端面まで存在している。その後、弾性部材を介して押圧することにより、マスキング材5が潰され、また、マスキング材5の周囲に付着していた栓詰め用スラリーが、内方に圧縮され、栓詰材21の端面側の部分23がセル壁に密着するように横方向に拡がり、隙間なく、栓詰め密度の高い栓部となっていることが分かる。
【0026】
これにより、本例において、図3に示すように、多数のセルを多孔質のセル壁14により区画すると共にセル端部を栓詰材21によって栓詰めしたセラミックハニカム成形体1を製造することができた。
【0027】
(比較例1)
本比較例は、従来の栓詰め方法を行った例である。
具体的には、図4に示すように、把持装置9を用いて行った。この把持装置9は、セラミックハニカム成形体8の側面を把持するハンドリング部91を有する。
本比較例において栓詰めを行ったセラミックハニカム成形体8は、実施例1において栓詰めを行ったものと同様のものを用いた。
また、栓詰め用スラリー2は、実施例1と同様のものを用いた。
【0028】
本比較例の栓詰め方法は、セラミックハニカム成形体8の側面83のみを把持し、スラリー2を入れた液層22に浸漬して行うものである。
まず、セラミックハニカム成形体8を、一方の端面81を下端にして、ハンドリング部91よってセラミックハニカム成形体1を把持し、下降させることにより、セラミックハニカム成形体8の端面81をスラリー2に浸漬し、栓詰めを行った。
次に、他方の端面82に対しても同様の作業を行い、栓詰めを行った。
【0029】
次に、実施例1と比較例1において栓詰めしたセラミックハニカム成形体について、焼成を行い、マスキング材5を消失した状態とした。
その後、セラミックハニカム成形体について、以下の評価試験を行った。
【0030】
<隙間評価試験>
隙間の評価は、光透過試験を行い、隙間の有無を確認することで行った。
<断面栓形状評価試験>
断面栓形状は、CTを用いて、栓部材の断面形状の撮影観察を行うことで評価した。
<栓詰め密度評価試験>
栓詰め密度は、SEMを用いて栓部材の断面形状の撮影観察を行うことで評価した。
【0031】
実施例1のセラミックハニカム成形体は、少なくとも第1栓詰め工程で栓詰めした端面において、隙間は確認されず、断面栓形状も良好であり、且つ、十分な栓詰め密度を示した。
比較例1のセラミックハニカム成形体は、隙間が確認され、栓詰めの際にマスキング材の周りに付着したスラリーは、ハニカム成形体の端面から飛び出した状態で残っており、また、十分な栓詰め密度が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例1における、第2栓詰め工程を示す説明図。
【図2】実施例1における、栓詰め部分を示す拡大図。
【図3】実施例1における、セラミックハニカム成形体を示す説明図。
【図4】比較例1における、栓詰め工程を示す説明図。
【符号の説明】
【0033】
1 セラミックハニカム成形体
11 一方の端面
12 他方の端面
13 側面
2 栓詰め用スラリー
3 把持装置
31 チャック部
32 面押部
4 弾性部材
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100079142
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥泰

【識別番号】100110700
【弁理士】
【氏名又は名称】岩倉 民芳

【識別番号】100130155
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥起


【公開番号】 特開2008−55738(P2008−55738A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−234709(P2006−234709)