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【発明の名称】 セラミックハニカム構造体の製造方法
【発明者】 【氏名】宮村 康史

【氏名】南 貴雄

【要約】 【課題】閉塞材を確実に配設することができると共に生産性に優れたセラミックハニカム構造体の製造方法を提供すること。

【構成】ハニカム構造体本体の端面にフィルムを貼り付け、フィルムに貫通穴を明け、貫通穴を明けたセル端部に閉塞材を配置し、セラミックハニカム構造体1を製造する。外周領域におけるフィルムの穴明けは、画像判定手段による判定結果に基づいて行う。画像判定手段は、仮想マトリックス4にワーク画像3を重ね、ワーク画像3の外から内方へ向かって、各グリッド41に対応するセル画像31が存在するかを順に判定する。最初にセル画像31が存在すると判定したグリッド41を最外周判定グリッド、その一つ手前を架空グリッドとする。各最外周判定グリッドに対応するセル画像31が完全セルであると判定した場合には、その手前の架空グリッドに対応する位置にレーザ光を照射する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル端部を端面において開口させたセラミック製のハニカム構造体本体を作製した後、少なくとも一部の上記セル端部を覆うように上記ハニカム構造体本体の上記端面にフィルムを貼り付け、次いで、閉塞すべきセル端部に位置する上記フィルムに貫通穴を明け、次いで、上記端面を閉塞材を含有するスラリーに浸漬させ、該スラリーを上記貫通穴を通じてセル端部に浸入させ、その後、上記スラリーを硬化させると共に残りの上記フィルムを除去することにより、上記セル端部の一部を閉塞してなるセラミックハニカム構造体を製造する方法であって、
上記セラミックハニカム構造体の外周領域におけるセル端部のフィルムの穴明けは、下記の画像判定手段による判定結果に基づいて、高密度エネルギービームを照射することにより行い、
上記画像判定手段は、上記ハニカム構造体本体の上記端面のワーク画像を得ると共に、該ワーク画像のセル画像に対応するグリッドを上記ワーク画像よりも広い範囲にて整列させてなる仮想マトリックスを用意し、
該仮想マトリックスに上記ワーク画像を重ね合せ、上記仮想マトリックスの上記グリッドの行列に沿って、上記ワーク画像の外から内方へ向かって、上記仮想マトリックスの各グリッドに対応する上記セル画像が存在するか否かを順に判定し、
最初に上記セル画像が存在すると判定した上記グリッドを最外周判定グリッドとし、
上記最外周判定グリッドの一つ手前のグリッドを架空グリッドとし、
上記ワーク画像の全周に渡って上記最外周判定グリッドと上記架空グリッドとを求め、
各最外周判定グリッドについては、これに対応するセル画像が所定の面積以上を有する完全セルであるか否かを判定し、完全セルであると判定した場合には、その手前の上記架空グリッドに対応する位置のフィルムに上記高密度エネルギービームを照射し、完全セルでないと判定した場合には、その手前の上記架空グリッドに対応する位置のフィルムに上記高密度エネルギービームを照射しないようにすることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、焼成前におけるセルの開口面積の設計値に対して80%以上の開口面積を有するセルを、上記完全セルとすることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記画像判定手段は、上記セル画像の重心の座標が上記仮想マトリックス上の各グリッドの内側に存在する場合に、該グリッドに上記セル画像が存在していると判定することを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化フィルタ等に用いられるハニカム構造体であって、一部のセル端部を閉塞したセラミックハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の排ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ構造体としては、図11(a)(b)に示すごとく、多数のセル88を隔壁81により設けてなり、さらに一部のセル88のセル端部を交互に閉塞材83によって閉塞したセラミックハニカム構造体8がある。
この特殊な形状のセラミックハニカム構造体8を製造するにあたっては、セル88の両端のセル端部82を開口させた貫通状態のハニカム構造体本体80を作製し、その端面に開口したセル端部82に閉塞材83(図11)を詰めて閉塞する。
【0003】
閉塞材83を詰める方法として、特許文献1に示す方法がある。即ち、まず、ハニカム構造体本体80の端面にフィルムを貼り付ける。次いで、閉塞すべきセル端部82に位置する上記フィルムに貫通穴を明ける。次いで、上記端面を閉塞材を含有するスラリーに浸漬させ、該スラリーを上記貫通穴を通じてセル端部82に浸入させる。その後、上記スラリーを硬化させて閉塞材83となすと共に残りの上記フィルムを除去する。
これにより、上記セル端部82の一部を閉塞してなるセラミックハニカム構造体8を製造する。
【0004】
上記フィルムに貫通穴を明けるに当っては、フィルムの所定個所にレーザ光を照射することにより行う。このとき、画像処理手段によってハニカム構造体本体80の端面におけるセル端部82の位置情報を得て、これを基にレーザ光の照射位置を決定して穴明けを行う。
【0005】
しかしながら、図11(b)に示すごとく、ハニカム構造体本体80の端面において、その外周領域には、不完全な形状、大きさになっているセル端部821が存在する。それ故、セル端部82の画像認識を行う際、外周領域に実際に存在しているセル端部821が認識されず、セル端部が存在しないものとして判定されることがある。この場合、当該セル端部821を塞ぐフィルムには、レーザ光の照射が行われないこととなってしまい、フィルムが残ることとなる。その結果、当該セル端部821には閉塞材83が形成されない。
それ故、最終的には、ハニカム構造体本体80の端面を検査した上で、外周領域のセル端部821には、手作業で閉塞材83を詰めていく必要があり、生産性の向上を阻害する要因となっていた。
【0006】
【特許文献1】特開2002−28915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、閉塞材を確実に配設することができると共に生産性に優れたセラミックハニカム構造体の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、セル端部を端面において開口させたセラミック製のハニカム構造体本体を作製した後、少なくとも一部の上記セル端部を覆うように上記ハニカム構造体本体の上記端面にフィルムを貼り付け、次いで、閉塞すべきセル端部に位置する上記フィルムに貫通穴を明け、次いで、上記端面を閉塞材を含有するスラリーに浸漬させ、該スラリーを上記貫通穴を通じてセル端部に浸入させ、その後、上記スラリーを硬化させると共に残りの上記フィルムを除去することにより、上記セル端部の一部を閉塞してなるセラミックハニカム構造体を製造する方法であって、
上記セラミックハニカム構造体の外周領域におけるセル端部のフィルムの穴明けは、下記の画像判定手段による判定結果に基づいて、高密度エネルギービームを照射することにより行い、
上記画像判定手段は、上記ハニカム構造体本体の上記端面のワーク画像を得ると共に、該ワーク画像のセル画像に対応するグリッドを上記ワーク画像よりも広い範囲にて整列させてなる仮想マトリックスを用意し、
該仮想マトリックスに上記ワーク画像を重ね合せ、上記仮想マトリックスの上記グリッドの行列に沿って、上記ワーク画像の外から内方へ向かって、上記仮想マトリックスの各グリッドに対応する上記セル画像が存在するか否かを順に判定し、
最初に上記セル画像が存在すると判定した上記グリッドを最外周判定グリッドとし、
上記最外周判定グリッドの一つ手前のグリッドを架空グリッドとし、
上記ワーク画像の全周に渡って上記最外周判定グリッドと上記架空グリッドとを求め、
各最外周判定グリッドについては、これに対応するセル画像が所定の面積以上を有する完全セルであるか否かを判定し、完全セルであると判定した場合には、その手前の上記架空グリッドに対応する位置のフィルムに上記高密度エネルギービームを照射し、完全セルでないと判定した場合には、その手前の上記架空グリッドに対応する位置のフィルムに上記高密度エネルギービームを照射しないようにすることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法にある(請求項1)。
【0009】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記製造方法によれば、上記ハニカム構造体本体の外周領域のセル端部にも、確実かつ効率的に閉塞材を配設することができる。
【0010】
即ち、上記画像判定手段は、上記仮想マトリックスを用いて、上記最外周判定グリッドと上記架空グリッドとを求め、最外周判定グリッドに対応するセル画像が完全セルであるか否かを判定して、完全セルであると判断された場合に、その手前の架空グリッドに対応する位置のフィルムを穴明けする。完全セルの手前の架空グリッドに対応する位置には不完全セルが存在する可能性があり、この不完全セルが画像認識されていないことも考えられる。それ故、上記架空グリッドに対応する位置に高密度エネルギービームを照射することにより、画像認識されない不完全セルのセル端部におけるフィルムにも穴明けすることができ、当該セル端部に閉塞材を配置することができる。
そのため、セラミックハニカム構造体の外周領域のセル端部にも確実に閉塞材を配置することができる。また、これにより、手作業による閉塞材の配置を行う必要がなくなるため、生産性の向上を図ることができる。
【0011】
また、上記最外周判定グリッドに対応するセル画像が不完全セルである場合、その手前の架空グリッドに対応する位置のフィルムには高密度エネルギービームを照射しない。不完全セルの外側にはセルは存在しないため、この架空グリッドにはセルは存在しないこととなる。それ故、かかる架空グリッドに対応する位置のフィルムに穴明けを行わないようにすることにより、余計な穴明け作業を省き、生産性を向上させることができる。
【0012】
また、上記画像判定手段は、仮想マトリックス上のグリッドの行列に沿って、上記ワーク画像の外から内方へ向かって順に、各グリッドにセル画像が存在するか否かを判定する。それ故、最外周判定グリッド及び架空グリッドを、早い段階で探索することが可能となり、必ずしもワーク画像の全体について画像探索を行う必要がない。それ故、より生産性の向上を図ることができる。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、閉塞材を確実に配設することができると共に生産性に優れたセラミックハニカム構造体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明(請求項1)において、上記フィルムは、例えば、セロハン等のような天然素材や、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、ポリエステル等のような合成素材であってもよい。
また、上記セラミックハニカム構造体は、コージェライトからなることが好ましい。
また、上記高密度エネルギービームは、レーザ光であることが好ましい。
また、本発明の製造方法により得られるセラミックハニカム構造体は、例えば自動車の排ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ構造体として用いることができる。
【0015】
上記完全セルは、セルの開口面積の設計値に対して80%以上の開口面積を有するセルであることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記完全セルと不完全セルとを正確に判別することができ、生産効率を向上させることができる。即ち、最外周に存在しないセルまで不完全セルであると判断されることが少なく、逆に、最外周に存在して形状の欠けているセルが完全セルであると判断されることも少なくすることができる。その結果、外周のセル端部への閉塞材の配置をより確実に行うと共に、生産性を向上させることができる。
【0016】
また、上記画像判定手段は、上記セル画像の重心の座標が上記仮想マトリックス上の各グリッドの内側に存在する場合に、該グリッドに上記セル画像が存在していると判定することが好ましい(請求項3)。
この場合には、容易に各グリッドにおけるセル画像の存在を判定することができる。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるセラミックハニカム構造体の製造方法につき、図1〜図9を用いて説明する。
まず、図4に示すごとく、セル端部111を端面において開口させたセラミック製のハニカム構造体本体10を作製する。その後、少なくとも一部の上記セル端部111を覆うように上記ハニカム構造体本体10の端面101にフィルム2を貼り付ける。
【0018】
次いで、図5に示すごとく、閉塞すべきセル端部111に位置するフィルム2に貫通穴20を明ける。
次いで、図6、図7に示すごとく、上記端面101を閉塞材13を含有するスラリー130に浸漬させ、該スラリー130を貫通穴20を通じてセル端部111に浸入させる。
その後、上記スラリー130を硬化させると共に残りのフィルム2を除去する。
これにより、図8に示すごとく、セル端部111の一部を閉塞してなるセラミックハニカム構造体1を製造する。
【0019】
そして、セラミックハニカム構造体1の外周領域におけるセル端部111のフィルム2の穴明けは、下記の画像判定手段による判定結果に基づいて、高密度エネルギービームとしてのレーザ光520を照射することにより行う(図5)。
該画像判定手段は、以下の処理を行う。
【0020】
まず、図1(B)に示すごとく、ハニカム構造体本体10の端面101のワーク画像3を得る。一方、図1(A)に示すごとく、ワーク画像3のセル画像31に対応するグリッド41をワーク画像3よりも広い範囲にて整列させてなる仮想マトリックス4を用意する。
【0021】
次いで、図1(C)に示すごとく、仮想マトリックス4にワーク画像3を重ね合せ、図2の矢印Tに示すごとく、仮想マトリックス4のグリッド41の行列に沿って、ワーク画像3の外から内方へ向かって、仮想マトリックス4の各グリッド41に対応するセル画像31が存在するか否かを順に判定する。
そして、図2に示すごとく、最初にセル画像31が存在すると判定したグリッド41を最外周判定グリッド411とする。
また、最外周判定グリッド411の一つ手前のグリッド41を架空グリッド412とする。
【0022】
この作業を繰り返すことにより、ワーク画像3の全周に渡って最外周判定グリッド411と架空グリッド412とを求める。
各最外周判定グリッド411については、これに対応するセル画像31が所定の面積以上を有する完全セルであるか否かを判定する。完全セルであると判定した場合には、その手前の架空グリッド412に対応する位置のフィルム2にレーザ光520を照射する。一方、完全セルでないと判定した場合には、その手前の架空グリッド412に対応する位置のフィルム2にレーザ光520を照射しないようにする。
【0023】
以下、本例のセラミックハニカム構造体の製造方法の一例につき詳述する。
本例では、まず、上記ハニカム構造体本体10を押出し成形により作製する。具体的には、コーディエライトを形成するセラミック材料を用いて、四角形の多数のセル11を有する筒状の長尺のハニカム構造体を作製し、それを所定長さに切断することにより上記ハニカム構造体本体10を形成する。このハニカム構造体本体10のセル端部111はその両方の端面101においてすべて開口している。
【0024】
次に、図4に示すごとく、一方の端面101の全面に樹脂製のフィルム2を貼り付ける。フィルム2としては、例えば、一方の面に接着剤を塗布した総厚み110μmの熱可塑性樹脂製のフィルムを用いる。
次に、本例では、図5に示すごとく、貫通穴形成装置5を用いて、閉塞すべきセル端部111に位置するフィルム2を除去して貫通穴20を形成した。
【0025】
同図に示すごとく、貫通穴形成装置5は、上記端面101に貼り付けたフィルム2を透過して視覚的にセル端部111の位置を認識して位置情報を得る画像処理手段51と、フィルム2にレーザ光520を照射するレーザ照射手段52と、画像処理手段51からの位置情報に基づいてレーザ光520の照射位置を決定してレーザ照射手段52を操作する制御手段53とを有する。
【0026】
画像処理手段51は、上記端面101の画像であるワーク画像3を取り込むカメラ部511と、画像データを形成する画像処理部512とを有する。カメラ部511は、端面101の広さに応じて複数設置することもできる。
上記レーザ照射手段52は、CO2レーザ発射装置521とそのその制御部を内蔵した移動装置522とを有している。CO2レーザ発射装置521は、複数設置してもよい。
【0027】
また上記制御手段53は、上記画像処理手段51から受け取った画像データを基に各セル端部111の位置及び開口面積を演算し、閉塞すべきセル端部111の位置を求めて貫通穴20の形成位置を決定する。そして、この貫通穴形成位置の情報をレーザ照射手段52に指示してCO2レーザ発射手段521の移動及び照射制御を行わせるよう構成されている。
【0028】
このような構成の貫通穴形成装置5を用いることにより、まず、ハニカム構造体本体10の端面101を上記カメラ部511により撮影してワーク画像3(図1(B))の画像データを作成する。次いで、制御手段53において上記貫通穴形成位置を算出する。本例では、図8に示すごとく、外周領域以外については、隣接するセル11が交互に開口と閉塞を繰り返す市松模様状に閉塞材13を配設するよう貫通穴形成位置を決定する。また、外周領域については、全てのセル11に閉塞材13を形成するよう貫通穴形成位置を決定する。
【0029】
ここで、外周領域については、上述した画像判定手段による判定結果に基づき、レーザ光520の照射位置を決定することにより行う。画像判定手段は、上記制御手段53の一部に組み込まれている。
画像判定手段において用いる仮想マトリックス4(図1(A))は、ワーク画像3におけるセル画像31と同程度の大きさ及び形状を有する四角形のグリッド41を多数整列させてなる。
【0030】
図1(C)に示すごとく、この仮想マトリックス4にワーク画像3を重ね合せる。
ただし、ワーク画像3は、実際のハニカム構造体本体10の端面101の画像であるため、そのセル画像31は、正確な四角形ではなく多少の歪みや寸法のばらつき等を有する。これに対して、仮想マトリックス4は、同形状、同寸法の正確な四角形のグリッド41を有する。それ故、仮想マトリックス4にワーク画像3を重ね合せたとき、仮想マトリックス4のグリッド41とワーク画像3のセル画像31とは、完全に一致するわけではなく、おおよそ一致した状態となる。
【0031】
また、セル画像31の重心311についても座標データとして算出しておく。
そして、図2に示すごとく、仮想マトリックス4のグリッド41の行列に沿って、ワーク画像3の外から内方へ向かって、仮想マトリックス4の各グリッド41に対応するセル画像31が存在するか否かを順に判定する。セル画像31が存在するか否かについては、当該グリッド41の中に、上記セル画像31の重心311が存在するか否かによって判断する。
【0032】
このセル画像31の探索は、仮想マトリックス4において、ワーク画像3に対して、互いに対向あるいは直交する4方向、即ち、図3における矢印A、矢印B、矢印C、矢印Dの方向から行う。また、仮想マトリックス4における一行又は一列ごとに探索を行う。
そして、一行又は一列ごとの各探索において、図2に示すごとく、最初にセル画像31(の重心311)が存在すると判定したグリッド41を最外周判定グリッド411とする。
また、最外周判定グリッド411の一つ手前のグリッド41を架空グリッド412とする。また、最外周判定グリッド411を探り当てた時点で、その行又は列の探索を終了し、次の行又は列のグリッド41の探索に移る。
【0033】
この作業を繰り返すことにより、ワーク画像3の全周に渡って最外周判定グリッド411と架空グリッド412とを求める。
また、各最外周判定グリッド411については、これに対応するセル画像31が完全セルであるか否かを判定する。図9に示すごとく、完全セル11aは、セル11の開口面積の設計値に対して80%以上の開口面積を有するセルである。セル11の開口面積の設計値については、焼成前の段階における設計値として、予め設定しておく。
基本的には、最外周のセル以外のセル11は、完全セル11aとなっており、最外周のセル11の一部が不完全セル11bとなる。
【0034】
そして、ある最外周判定グリッド411における上記セル画像31が完全セル11aであると判定した場合には、その手前の架空グリッド412に対応する位置のフィルム2にレーザ光520を照射するよう設定する。一方、完全セル11aでない(不完全セル11bである)と判定した場合には、その手前の架空グリッド412に対応する位置のフィルム2にレーザ光520を照射しないように設定する。また、不完全セル11bであると判定された最外周判定グリッド411に対応する位置のフィルム2には、レーザ光520を照射するよう設定する。
【0035】
以上のごとく、外周領域以外についても、外周領域についても、フィルム2への貫通穴形成位置を決定する。
そして、決定された貫通穴形成位置に対して、上記制御手段53の指示に基づいて、上記CO2レーザ発射手段521からレーザ光520を順次照射してフィルム2を溶融または焼却除去して、貫通穴20を形成する。
【0036】
これにより、ハニカム構造体本体10の端面には、閉塞予定位置のセル端部111に位置する部分に貫通穴20を設けたフィルム2が配設された状態となる。
このようなフィルム2の貼り付けから貫通穴形成までの作業を、ハニカム構造体本体10の両方の端面101に対して同様に行う。このとき、図6に示すごとく、各セル11は、一方のセル端部111がフィルム2により閉止され、他方のセル端部111に貫通穴20を形成した状態とする。
【0037】
次に、図6、図7に示すごとく、一方の端面101を閉塞材13を含有するスラリー130に浸漬させ、該スラリー130を、貫通穴20を通じてセル端部111に浸入させる。
これにより、ハニカム構造体本体10の端面101においては、貫通穴20を設けたセル端部111からスラリー130が浸入し、付着する。
次に、同様の作業を、ハニカム構造体本体10の他方の端面101に対しても行い、スラリー130を所定のセル端部111に付着させる。
【0038】
次に、上記スラリー130をセル端部111に浸入させたハニカム構造体本体10を乾燥させた後、焼成する。
これにより、上記スラリー130が焼成して固化して閉塞材13となると共に、端面101に貼り付けられていたフィルム2が焼却除去される。これにより、一部のセル端部111を閉塞したセラミックハニカム構造体1が得られる。
【0039】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記製造方法によれば、上記ハニカム構造体本体10の外周領域のセル端部111にも、確実かつ効率的に閉塞材13を配設することができる。
【0040】
即ち、上記画像判定手段は、上記仮想マトリックス4を用いて、上記最外周判定グリッド411と上記架空グリッド412とを求め、最外周判定グリッド411に対応するセル画像31が完全セル11aであるか否かを判定して、完全セル11aであると判断された場合に、その手前の架空グリッド412に対応する位置のフィルム2を穴明けする。完全セル11aの手前の架空グリッド412に対応する位置には不完全セル11bが存在する可能性があり、この不完全セル11bが画像認識されていないことも考えられる。それ故、上記架空グリッド412に対応する位置にレーザ光520を照射することにより、画像認識されない不完全セル11bのセル端部111におけるフィルム2にも穴明けすることができ、当該セル端部111に閉塞材13を配置することができる。
そのため、セラミックハニカム構造体1の外周領域のセル端部111にも確実に閉塞材13を配置することができる。また、これにより、手作業による閉塞材13の配置を行う必要がなくなるため、生産性の向上を図ることができる。
【0041】
また、上記最外周判定グリッド411に対応するセル画像31が不完全セル11bである場合、その手前の架空グリッド412に対応する位置のフィルム2にはレーザ光520を照射しない。不完全セル11bの外側にはセル11は存在しないため、この架空グリッド412にはセル11は存在しないこととなる。それ故、かかる架空グリッド412に対応する位置のフィルム2に穴明けを行わないようにすることにより、余計な穴明け作業を省き、生産性を向上させることができる。
【0042】
また、上記画像判定手段は、仮想マトリックス4上のグリッド41の行列に沿って、上記ワーク画像31の外から内方へ向かって順に、各グリッド41にセル画像31が存在するか否かを判定する。それ故、最外周判定グリッド411及び架空グリッド412を、早い段階で探索することが可能となり、必ずしもワーク画像31の全体について画像探索を行う必要がない。それ故、より生産性の向上を図ることができる。
【0043】
また、完全セル11aは、セル11の開口面積の設計値に対して80%以上の開口面積を有するセルとしたことにより、完全セル11aと不完全セル11bとを正確に判別することができ、生産効率を向上させることができる。即ち、最外周に存在しないセル11まで不完全セル11bであると判断されることが少なく、逆に、最外周に存在して形状の欠けているセル11が完全セル11aであると判断されることも少なくすることができる。その結果、外周のセル端部111への閉塞材13の配置をより確実に行うと共に、生産性を向上させることができる。
【0044】
また、画像判定手段は、セル画像31の重心311の座標が仮想マトリックス4上の各グリッド41の内側に存在する場合に、該グリッド41にセル画像31が存在していると判定することにより、容易に各グリッド41におけるセル画像31の存在を判定することができる。
【0045】
以上のごとく、本例によれば、閉塞材を確実に配設することができると共に生産性に優れたセラミックハニカム構造体の製造方法を提供することができる。
【0046】
(実施例2)
本例は、図10に示すごとく、ワーク画像3(図1(B))が仮想マトリックス4(図1(A))に正確に対応していない場合の例である。
上述したごとく、ワーク画像3は、実際のハニカム構造体本体10の端面101の画像であるため、歪みや寸法のばらつき等を有する。この歪みや寸法ばらつきが比較的大きい場合には、仮想マトリックス4のグリッド41とワーク画像3のセル画像31とが一致しない部分も存在することとなる。
【0047】
そこで、例えば、図10に示すごとく、画像探索を行うにあたり、グリッド41に対応するセル画像31の重心311が存在しない場合、その行(列)における画像探索は、矢印T1に示すごとく、ワーク画像3の内方にまで進み、実際に最外周のセルよりも内側に位置するグリッド419を最外周グリッドとして判定してしまうこととなる。
【0048】
このようにして求められた最外周判定グリッドは消去する必要がある。そこで、両隣の行(列)におけるグリッド41に存在するセル画像31の重心311の間隔が、諸低値以下である場合には、その行(列)において求められた最外周判定グリッド411を消去する補正を行う。
その他は、実施例1と同様である。
【0049】
本例によれば、ハニカム構造体本体10のセル11に歪みや寸法ばらつきが生じていても、最外周判定グリッド411及び架空グリッド412を正確に求めることができ、より正確なフィルムの穴明けを行うことができる。その結果、閉塞材13をより確実に配設することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1における、(A)仮想マトリックスと、(B)ワーク画像と、(C)両者を重ね合わせた状態の説明図。
【図2】実施例1における、最外周判定グリッド及び架空グリッドの求め方の説明図。
【図3】実施例1における、画像探索の方向の説明図。
【図4】実施例1における、ハニカム構造体本体とフィルムの斜視図。
【図5】実施例1における、貫通穴形成装置を用いた貫通穴形成方法の説明図。
【図6】実施例1における、閉塞材のスラリーへのディッピングの説明図。
【図7】実施例1における、セル端部に閉塞材のスラリーを付着させた状態の説明図。
【図8】実施例1における、セラミックハニカム構造体の斜視説明図。
【図9】実施例1における、完全セル及び不完全セルの説明図。
【図10】実施例2における、最外周判定グリッド及び架空グリッドの求め方の説明図。
【図11】従来例における、セラミックハニカムの縦断面図及び端面正面図。
【符号の説明】
【0051】
1 セラミックハニカム構造体
10 ハニカム構造体本体
101 端面
11 セル
111 セル端部
13 閉塞材
2 フィルム
3 ワーク画像
31 セル画像
311 重心
4 仮想マトリックス
41 グリッド
411 最外周グリッド
412 架空グリッド
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100079142
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥泰

【識別番号】100110700
【弁理士】
【氏名又は名称】岩倉 民芳

【識別番号】100130155
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥起


【公開番号】 特開2008−55736(P2008−55736A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−234705(P2006−234705)