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【発明の名称】 金型
【発明者】 【氏名】河辺 昌也

【要約】 【課題】モルタル脱水成形プレス機に用いる金型に於いて、意匠型の成形面を焼入れによって硬化させることで磨耗を軽減させる。

【構成】モルタル脱水成形プレス機に用いる金型Aであって、上型1(意匠型)の成形面6を焼入れによって硬化させる。上型1(意匠型)の幅寸法と長さ寸法との比率が大きい場合、前記比率が1:1.3以下となるように分割して分割型1a〜1cを形成し、この分割型1a〜1cを焼入れした後、組み立てる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モルタル脱水成形プレス機に用いる金型であって、焼入れによって意匠型の成形面を硬化させたことを特徴とする金型。
【請求項2】
請求項1に記載した金型であって、意匠型の幅寸法と長さ寸法との比率が大きい場合、意匠型を分割して分割型を形成し、前記分割型を焼入れした後、組み立てて構成したことを特徴とする金型。
【請求項3】
前記分割型に於ける幅寸法と長さ寸法の比率は、1:1.3以下であることを特徴とする請求項2に記載した金型。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、モルタル脱水成形プレスに用いる金型であって、意匠型の成形面を焼入れによって硬化させた金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モルタル成形品を製造する方法の一つに、例えば上型と下型のように対となる金型の一方に意匠型の成形面を形成し、これらの金型を圧接させたときに形成される成形空間に充填したモルタルをポンプ或いはブロワによって吸引して脱水することで成形するモルタル脱水成形法がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この技術では、微細な意匠を実現したモルタル成形品を製造することができる。このため、高度な意匠性を有する屋根材等を製造するのに採用されることが多い。例えば、屋根材では、幅寸法に対し長さ寸法が2倍〜3倍程度になる製品も存在するが、モルタル脱水成形法を採用した場合、このような寸法比を有するものであっても精度良く成形することができる。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−69603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したモルタル脱水成形法では、対となる金型を圧接させる際に、或いは成形空間に充填されているモルタルから脱水する際に、モルタルが金型内部で流動して、セメントや骨材が意匠金型面に擦り付けられて磨耗が発生する。特に、モルタル成形品に繊細な意匠を施すような場合、意匠金型には約0.5mm以下の微細な凹凸模様が形成されるため、磨耗によって意匠が大きく変化してしまうという問題が生じている。このように、モルタル脱水成形法では金型の消耗が激しいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、意匠型の成形面を焼入れによって硬化させることで磨耗を軽減させたモルタル脱水成形プレス機に用いる金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る金型は、モルタル脱水成形プレス機に用いる金型であって、焼入れによって意匠型の成形面を硬化させたものである。
【0008】
上記金型に於いて、意匠型の幅寸法と長さ寸法との比率が大きい場合、前記比率が1:1.3以下となるように意匠型を分割して分割型を形成し、前記分割型を焼入れした後、組み立てて構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の金型では、意匠型が成形面を焼入れによって硬化しているので磨耗性が向上し、プレスされた金型の成形空間でモルタルが移動してセメントや骨材が成形面と擦れるような場合でも磨耗を軽減することができる。このため、金型の消耗を軽減することができる。
【0010】
また、幅寸法と長さ寸法の比率が1:1.3以下となる分割型を形成して焼入れし、この分割型を再度組み立てて構成した金型では、焼入れに伴って生じる変形の影響を排除して意匠の形成精度の良い金型とすることができる。
【0011】
例えば、成形面の大きさが幅と長さの比が1:3のように大きい場合、焼入れの際に金型を均熱炉に入れて加熱したとき、該金型の温度分布が不均一になり易く、この結果、反り等の歪が生じ易くなる。この歪が発生すると意匠型とライナーの摺動面に大きな摩擦力が働き、プレス運転が不能になったり運転効率の低下をまねいたり、成形不良の虞があるという問題が生じるため、使用に適さない。
【0012】
しかし、金型を分割して幅と長さの比を1:1.3以下とすることで、分割型に於ける温度分布を略均一にすることができ、歪が生じ難くなる。従って、焼入れ後の分割型を組み立てることで、組み立て後に於ける幅と長さの比が大きい金型であっても、所定の精度を維持して、製品に必要な精度を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明に係る金型の好ましい実施形態について図を用いて説明する。図1はモルタル脱水成形法を実施する金型の全体構成を説明する図である。図2は意匠型の構成を説明する図である。図3は意匠型の成形面の例を説明する図である。
【実施例】
【0014】
先ず、金型Aの全体構成と、該金型Aによる成形方法について簡単に説明する。金型Aは、意匠型としての上型1と、上型1の周囲に配置され該上型1と摺動するライナー2と、上型1を嵌め込みライナー2を固定する外枠3と、上型1を固定する取付ベース4と、上型1を取り付けた取付ベース4及び外枠3を取り付けた上型台5と、からなる上型ブロックと、図示しないブロワ或いはポンプが接続された脱水型としての下型11と、下型台12と、からなる下型ブロックと、を有して構成されている。
【0015】
上型ブロックと下型ブロックは相対的に移動して離隔或いは接近し得るように構成されており、互いに接近したときに上型1と下型11との間に成形空間が形成される。また互いに離隔したときに成形品を脱型し得るように構成されている。
【0016】
また上型1とライナー2も互いに接触した状態で相対的に移動し得るように構成される。このため、互いの摺動面では磨耗が生じるため、ライナー2は焼入れ硬化させることで耐磨耗性を発揮し得るように構成(特許文献1参照)されているのが一般的である。
【0017】
そして下型11に設けた水切板13にモルタル15を載置して上型ブロックを接近させると、ライナー2が水切板13に当接して該水切板13上を区画する。その後、上型1を
接近させて型締めを行うと共に下型11からモルタル15の水分を吸引することで、モルタル15を上型1の成形面6によって成形し、同時に該成形面6に形成されている意匠を転写することが可能である。
【0018】
所定時間の型締めを行い、成形されたモルタルから十分な脱水を行った後、上型ブロックを下型ブロックから離隔させて脱型し、モルタル成形品を取り出すことで一連の成形が終了する。
【0019】
次に、意匠型としての上型1の構成について説明する。本実施例に於いて、上型1には屋根材としての意匠を持った幅が約300mm、長さが約1000mmの成形面6が形成されている。この成形面6は、厚さが約25mmの3枚の瓦を成形し得るように構成されている。そして、上型1の下型11と対向する成形面6には、例えば図3に示すような玄昌石風(細かい波目)の意匠が形成されている。しかし、形成面6に形成される意匠が前記意匠に限定されるべきものではないことは当然である。
【0020】
上記したように上型1は幅対長さの比が約3:10に設定されている。このため、本実施例では、上型1を長さ方向に3等分することで、幅と長さの比が略1:1.11の3つの分割型1a〜1cを形成している。即ち、予め分割型1a〜1cに対応する寸法を持った鋼材を形成しておき、これらの鋼材を互いに密接させて固定した後、表面を機械加工して目的の意匠を有する成形面6を形成し、その後、分解することで、3つの分割型1a〜1cを形成している。
【0021】
上記の如くして表面に夫々成形面6が形成された各分割型1a〜1cを均熱炉に挿入し、焼入れ温度まで上昇させて所定時間維持した後、急冷して焼入れを行っている。このため、各分割型1a〜1cは成形面6のみならず側面も硬化することとなる。そして側面が硬化することは、上型1のライナー2との摺動面が各分割型1a〜1cの硬化した側面によって構成されることとなり、モルタル成形時に上型1がライナー2との間で摺動する際の耐磨耗性を向上させるという効果をも導いている。
【0022】
上記の如くして焼入れされた3つの分割型1a〜1cは、互いに密接した状態で取付ベース4にボルト4aを利用して固定され、上型1としての機能を発揮することになる。
【0023】
このように、各分割型1a〜1cを幅と長さの比が1:1.11となる本実施例では、焼入れに伴って個々の分割型1a〜1cに発生する歪を0.1mmよりも小さく抑えることが可能となる。例えば、分割することなく焼入れした場合、歪を0.1mm以下に抑えることは全く困難である。
【0024】
更に、各分割型1a〜1cを取付ベース4に固定して組み立てた後、所要部位を研磨することによって最終的な精度(本実施例では、0.1mm単位の精度)を確保している。従って、各分割型1a〜1cを組み立てて構成した上型1は、十分に高い寸法精度を確保することが可能であり、精度の良い成形品を製造することが可能である。
【0025】
本発明に於いて、上型1(分割型1a〜1c)の材質を特に限定するものではなく、焼入れが可能な材料であれば良い。このような材質として本実施例ではダクタイル鋳鉄を用いている。
【0026】
また上型1の厚さの幅及び長さに対する比率は特に限定するものではなく、焼入れに際し、分割型1a〜1cの幅と長さを1:1.3以下の略正方形に近い形状とすることで、厚さの如何に関わらず加熱時に於ける温度分布が一様になって好ましい。
【0027】
本実施例では、分割した分割型1a〜1cを焼入れする際に、これらの分割型1a〜1cを均熱炉によって加熱したが、必ずしも均熱炉で加熱する必要はなく、ガス火炎によって加熱し、或いは高周波加熱して焼入れしても良いことは当然である。ガス加熱或いは高周波加熱する場合、加熱中に分割型に可及的に歪が発生することのないように拘束しておくことも必要である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の金型は、幅と長さとの比が大きいモルタル成形品を成形する金型の寿命を延長することが可能となるため、このような金型に適用して有利である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】モルタル脱水成形法を実施する金型の全体構成を説明する図である。
【図2】意匠型の構成を説明する図である。
【図3】意匠型の成形面の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0030】
A 金型
1 上型
1a〜1c 分割型
2 ライナー
3 外枠
4 取付ベース
5 上型台
6 成形面
11 下型
12 下型台
13 水切板
15 モルタル
【出願人】 【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
【出願日】 平成18年8月28日(2006.8.28)
【代理人】 【識別番号】100095315
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕幸

【識別番号】100134717
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 裕司

【識別番号】100142158
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 啓


【公開番号】 特開2008−49651(P2008−49651A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−230397(P2006−230397)