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【発明の名称】 目封止ハニカム構造体の製造方法
【発明者】 【氏名】市川 結輝人

【要約】 【課題】フィルタ等に用いた場合に、その端面への堆積物の堆積が低減された目封止ハニカム構造体を、目封止深さの均一化、特に、ハニカム構造体外周部でのスラリー状目封止部材による目封止深さを簡便に均一化する簡便かつ低コストで製造することが可能な目封止ハニカム構造体の製造方法を提供する。

【構成】多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセル16がハニカム状に区画形成された筒状ハニカム構造体15の所定のセルの一方の開口端部に目封止部が形成された目封止ハニカム構造体の製造方法において、目封止されるセル16通路内へ挿入される所定形状に形成された目封止部材12が粘性流動性を呈する可塑性材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルがハニカム状に区画形成された筒状ハニカム構造体の所定のセルの一方の開口端部に目封止部が形成された目封止ハニカム構造体の製造方法において、
目封止されるセル通路内へ挿入される所定形状に形成された目封止部材が粘性流動性を呈する可塑性材料を含むことを特徴とする目封止ハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
目封止部材が加熱発泡性樹脂及び/または吸水性樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
目封止部材が、ゲル状を呈する物質を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
目封止部材が、ゼラチン、寒天、豆腐、こんにゃく、デンプン、シリカゲルのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
目封止部材がセル通路内の所定の位置に到達した後に、目封止部材が加熱又は吸水によって膨張することにより、セル通路内に目封止部が固定形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【請求項6】
所定の目封止パターンに対応した保持部を有する固定型の該保持部に目封止部材を配置した後、ハニカム構造体の端面に固定型を押し当てることにより、目封止部材を目封止すべきセル通路端部へ挿入し、目封止部を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【請求項7】
目封止部材を目封止すべきセル通路内の途中に挿入して、目封止部を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、目封止ハニカム構造体の製造方法に関する。さらには、フィルタ等に用いた場合に、その端面への堆積物の堆積が低減された目封止ハニカム構造体を、簡便かつ低コストに製造することが可能な目封止ハニカム構造体の製造方法に関する。さらに詳しくは、ハニカム構造体の目封止深さを簡便に均一化することが可能な目封止ハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化学、電力、鉄鋼、産業廃棄物処理をはじめとする様々な分野において、公害防止等の環境対策、高温ガスからの製品回収等の用途で用いられる集塵用のフィルタとして、耐熱性、耐食性に優れるセラミックからなる目封止ハニカム構造体が用いられている。例えば、このような目封止ハニカム構造体は、ディーゼル機関から排出されるパティキュレートを捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)等の高温、腐食性ガス雰囲気下において使用される集塵用フィルタとして好適に用いられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記のような集塵用フィルタとして用いられる目封止ハニカム構造体は、図5に示すように、流体の流路となる複数のセル24を区画形成する多孔質の隔壁22を有する筒状のハニカム構造体23と、所定のセルの一方の開口部を目封止するとともに残余のセルの他方の開口部を目封止する目封止部材26とを備えたものである。図5に示す目封止ハニカム構造体21においては、目封止部材26が、複数のセル24の入口側端面Bと出口側端面Cとを互い違いに目封止している。
【0004】
上記のような目封止ハニカム構造体21は、押出し成形によって、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有する筒状の未焼成ハニカム構造体を得た後、得られた未焼成ハニカム構造体又はこの未焼成ハニカム構造体を焼成したハニカム構造体の所定のセルの一方の開口部と、残余のセルの他方の開口部とに、セラミックを含む目封止スラリーを充填した後に焼成することによって製造することができる。
【0005】
さらに、上記のような集塵用フィルタとして用いられる目封止ハニカム構造体の製造方法として、例えば、未焼成のセラミック乾燥体であるハニカム成形体の一方の端面に、粘着シート等を貼着し、画像処理を利用したレーザ加工等によりその粘着シート等の目封止すべきセル(目封止セル)に対応する部分にのみ孔開けをしてマスクとし、そのマスクが貼着されたハニカム成形体の端面をスラリー(セラミックスラリー)中に浸漬し、ハニカム成形体の目封止セルにスラリーを充填して目封止部を形成し、これと同様の工程をハニカム成形体の他方の端面についても行った後、乾燥し、焼成することにより目封止ハニカム構造体を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−300922号公報
【特許文献2】特開2005−270755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような目封止ハニカム構造体の製造方法は、目封止部の深さを均一化するために、セラミックスラリーを含むスラリー状目封止部材で均一に目封止することが求められている。そのため、セラミックスラリーを含むスラリー状目封止部材を含有する容器内でスラリー状目封止部材の液面を平準化する必要がある。しかし、スラリー状目封止部材の液面を平準化する工程によっても、ハニカム構造体外周部でスラリー状目封止部材がハニカム構造体側面へ逃げるため、ハニカム構造体外周部でのスラリー状目封止部材による目封止部の深さが浅くなり易いという問題が未解決であった。
【0008】
本発明者は、ハニカム構造体の目封止部材の組成に着目し鋭意研究の結果、ハニカム構造体での目封止部の深さを簡便に均一化する方法であって、スラリー状目封止部材を含有する容器内でスラリー状目封止部材の液面を平準化する必要がなく、なおかつ、目封止部の深さを簡便に均一化及び調整できる簡単な目封止方法の提供することを解決課題として、本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するため、本発明は、以下の目封止ハニカム構造体の製造方法を提供するものである。
【0010】
[1]多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルがハニカム状に区画形成された筒状ハニカム構造体の所定のセルの一方の開口端部に目封止部が形成された目封止ハニカム構造体の製造方法において、目封止されるセル通路内へ挿入される所定形状に形成された目封止部材が粘性流動性を呈する可塑性材料を含むことを特徴とする目封止ハニカム構造体の製造方法。
【0011】
[2]目封止部材が加熱発泡性樹脂及び/または吸水性樹脂を含むことを特徴とする前記[1]記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【0012】
[3]目封止部材が、ゲル状を呈する物質を含むことを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【0013】
[4]目封止部材が、ゼラチン、寒天、豆腐、こんにゃく、デンプン、及びシリカゲルのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【0014】
[5]目封止部材がセル通路内の所定の位置に到達した後に、目封止部材が加熱又は吸水によって膨張することにより、セル通路内に目封止部が固定形成されることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【0015】
[6]所定の目封止パターンに対応した保持部を有する固定型の該保持部に目封止部材を配置した後、ハニカム構造体の端面に固定型を押し当てることにより、目封止部材を目封止すべきセル通路端部へ挿入し、目封止部を形成することを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【0016】
[7]目封止部材を目封止すべきセル通路内の途中に挿入して、目封止部を形成することを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の製造方法によると、以下の効果を有する。
すなわち、目封止部材に、粘性流動性を呈する可塑性材料、加熱および/または加水によって、体積の増える高分子材料、ゲル状を呈する物質を含むことによって目封止部材のハニカム構造体のセル通路内への挿入が容易となり、挿入後に、加熱加水することで目封止部材が膨張しハニカムセル通路内に目封止部材が固定されやすくなる。これらの作用によって、簡便に目封止部の深さを均一化できると同時に、ハニカム構造体外周部でのスラリー状目封止部材による目封止部の深さが浅くなり易いという未解決の問題を解決できる。なおかつ、目封止部の深さを簡便に調整できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1(a)(b)(c)から図4(a)(b)に示す本発明の具体的形態を参照して、本発明の目封止ハニカム構造体の製造方法の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
本発明に用いる目封止部材は、スラリー用のセラミックの粉末に粘性流動性を呈する可塑性材料を加えることで生成される。粘性流動性を呈する可塑性材料とは、合成樹脂、プラスチック、合成高分子、天然高分子、無機高分子のうち可塑性を有し、そのままあるいは加熱又は加水することによって粘性流動性を呈するようになる物質をいう。例えば、熱可塑性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂とは、一般に、ガラス転移温度または融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる樹脂のことをいい、加熱によって流動化しやすくなるという特徴を有している。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂等を挙げることができる。
【0020】
更に、本発明に用いる目封止部材は、加熱発泡性樹脂及び/または吸水性樹脂を含むことが好ましい。加熱発泡性樹脂及び/または吸水性樹脂とは、加熱膨潤、加熱発泡、吸水膨潤等によって体積が膨張する高分子材料をいう。例えば、吸水性高分子材料、加熱発泡性高分子材料、湿潤性高分子材料等を挙げることができる。
【0021】
吸水性高分子とは、一般には、液体の水に接すると短時間で吸収して膨張する性質を有する高分子をいい、自重に対して百倍から千倍もの水を吸収することができるものも存在する。自重の特に、1gの粉末が、1リットルもの水を瞬時に吸収してゲル化して流動性及び可塑性を呈するような高分子を特に高吸水性樹脂と呼ぶ場合がある。
【0022】
吸水性高分子は、水を吸収して膨潤、ヒドロゲル化する性質がある。膨潤とは、一般には、ゲルが液体を吸収して体積を増加する現象をいい、例えば、水で膨潤する場合、水分子が高分子の間に入り込み、分子間を広げようとする力と、架橋された網目の弾性とが釣り合った状態をいうと解されている。
【0023】
吸水性高分子としては、デンプン−アクリロニトリル共重合体のアルカリ加水分解物、アクリル酸ナトリウム−官能性モノマー共重合体、デンプン−アクリル酸ナトリウム共重合体、カルボキシメチルセルロース、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体のアルカリケン化物、ポリアクリル酸のアルカリケン化物等が挙げられる。
【0024】
加熱発泡性高分子は、薄い中空の樹脂製球殻で中にガスを含んでおり、100〜200℃の加熱によりガスの膨張により樹脂球殻が膨張する性質を有する。加熱によって発泡性を増して体積が増える高分子材料で、例えば、ポリスチレン、スチレン-エチレン共重合体、ポリウレタン、ウレタン-エチレン共重合体を挙げることができる。
【0025】
更に、本発明に用いる目封止部材は、ゲル状を呈する物質を加えることで生成される。ゲルとは、一般に、コロイド粒子が独立した運動性を持って集合固化した状態をいう。ゲル状を呈する物質として、好ましくは、ゼラチン、寒天、豆腐、こんにゃく、デンプン、シリカゲルを挙げることができる。本発明は、これらの物質を単独で目封止部材に用いることもできるし、組み合わせて用いることもできる。これらの物質のうち一定の品質のものが工業的に得られることで、ゼラチン、寒天、デンプン、シリカゲルが好ましい。例えば、ゼラチンは、水によって膨潤し、加温または温水に溶かせばすることでゲル状態から分散してゾルとなる。ゼラチンのゾルは粘性流動するが冷却すると固化してゲルとなる。
【0026】
本発明では、所定の目封止パターンに対応した保持部を有する固定型が形成される。固定型11は、図1(a)(b)(c)のように、一枚の板状体に窪み14が形成されたものでもよいし、図2(a)(b)(c)のように二枚の板状体2,3の間に空洞4が形成されたものでもよい。固定型に目封止部材を固定するときには目封止部材に含まれるゲル状を呈する物質によって、固化した状態で固定することができるので、所望のセルに押し入れしやすくなる。ハニカム構造体のセルに目封止部材を圧入れするときには加熱することによって、例えば、目封止部材に含まれるゲル状を呈する物質に流動性を持たせることできるので、目封止部材をハニカム構造体のセルの所定の位置に圧入れして、所定の目封止部が容易に形成される。
【0027】
本発明では、目封止部材は、セル通路入り口での固定のみならずセル通路内の所定の位置でも固定される。例えば、加熱による目封止部材の流動により、例えば、押上げ棒による機械的押し入れにより、例えば、目封止部材を体積の増加する高分子樹脂の圧迫により、目封止部材はセルの入り口またはセル内部の所定の位置で固定される。これによって、目封止部の深さを簡便に均一化できると同時に、目封止部の深さを簡便に調整できる。
【0028】
多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルがハニカム状に区画形成された筒状ハニカム構造体は、例えば、特許文献2記載の方法で製造される。例えば、セラミックを含む成形原料を押出し成形して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有する筒状の未焼成ハニカム構造体を得ることができる。セラミックを含む成形原料は、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素、窒化珪素、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム等のセラミックの粉末に、バインダーや分散媒等を加えて混練したものを好適に用いることができる。押出し成形の方法として特に制限はないが、例えば、真空押出成形機を用いた押出成形等の従来公知の方法を用いることができる。
【0029】
以下、本発明の工程について、図1(a)(b)(c)から図4(a)(b)によって、固定型上への目封止部材の形成とハニカム構造体のセル内への圧入について説明する。
【0030】
図1(a)(b)(c)は、固定型へ目封止部材が配置された後、ハニカムセル内に圧入される工程を示す模式図である。図1(a)(b)において、11は固定型である。固定型11に目封止部材12(12a,12b)が固定されるが、その形状は、図1(a)のような先端の尖った形状の目封止部材12a、球のような形状の目封止部材12bというように、先端が細くなった方がセル内に圧入しやすいので特に望ましい。固定型11に固定された目封止部材12は、図1(c)のように、ハニカム構造体15の端面を押し付けることにより、目封止部材12がセル16内に圧入れされる。
【0031】
図2(a)(b)(c)は、固定型1が下型2と上型3とからなり、空洞4が形成されている例を示している。図2(a)(b)に示すように、この空洞4は、固定型1が下型2内に設けた管状部5により目封止部材貯留部6と連結されている。そして、図2(a)のように、固定型1内の空洞4に、加圧により目封止部材貯留部6から目封止部材7が管状部5を通り、固定型1内の空洞4に目封止部材7が形成される。次いで、図2(b)のように、固定型1の上型3をはずすことにより、目封止部材7は、固定型1の下型2上に固定される。次に、図2(c)のように、固定型1に固定された目封止部材7はハニカム構造体8の端面を押し付けることにより、目封止部材7はセル9内に圧入され、端面部で目封止される。
【0032】
図3(a)(b)は、固定型34上に配置された目封止部材35がハニカム構造体36のセル37内に圧入され、セル37内部で目封止される一実施形態を示している。この実施形態では、機械的に押上棒保持板32を押し上げることにより、押上棒33によって目封止部材35がセル37通路内の所定位置まで押し込まれる。そして、目封止部材35がセル37通路内の所定位置まで到達した時点で、押上棒33を通して目封止部材35へ供給された水を目封止部材35に添加された吸水性高分子樹脂が吸収して膨潤し、目封止部材35を膨張させることにより、目封止部材35はセル37内部で固定され、目封止される。また、加熱発泡性樹脂を目封止部材35に添加した場合には、目封止部材35がセル37通路内の所定位置まで到達した時点で、目封止部材35を所定温度以上に加熱することにより膨張させ、その結果、目封止部材35はセル37内部に固定され、目封止されることになる。
【0033】
また、図4(a)(b)は、図3(a)(b)と同様に、ハニカム構造体44のセル内部で目封止される別の実施形態である。この実施形態では、目封止押し込み手段が、加圧空気などの加圧流体により押し込む例を示している。固定型42上に配置された目封止部材43は、流体貯留部41に貯留されている加圧流体46により、ハニカム構造体44のセル通路内の所定位置まで押し込まれる。この場合も、目封止部材43がセル47通路内の所定位置まで到達した時点で、加圧流体46に水を供給して目封止部材43に添加された吸水性高分子樹脂を膨潤させ、目封止部材43を膨張させることにより、目封止部材43はセル47内部で固定され、目封止される。また、加熱発泡性樹脂を目封止部材43に添加した場合には、目封止部材43がセル47通路内の所定位置まで到達した時点で、目封止部材43を所定温度以上に加熱することにより膨張させ、その結果、目封止部材43はセル47内部に固定され、目封止されることになる。
【0034】
機械的に押上棒を用いて目封止部材を押し込む方法、又は加圧空気などの加圧流体により押し込む方法は、セル内部への圧入のみならず、セル通路入口での固定にも適用することができる。押上棒の圧力、吸水性高分子樹脂への追加の加水、加熱発泡性樹脂に対する加熱を調整することでセルの所定の位置に目封止部材を固定できる。
【0035】
目封止部材は、薄い樹脂に覆われた状態で使用することもできる。この場合、目封止部材はセル通路内の所定の位置まで到達した時点で、加熱により覆われていた樹脂を溶出させることによりセル内部で目封止部が形成される。
【0036】
本発明においては、目封止部材に用いられるスラリー用のセラミックの粉末の種類については特に制限はなく、例えば、ハニカム構造体を押出し成形する成形原料に含まれるセラミックの粉末と同様のものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
【0037】
本発明の実施において、セラミックの粉末、例えば、コージェライトの粉末に、バインダーや分散媒等を加えて混練したものをスラリー状目封止部材として好適に用いることができる。例えば、コージェライト粉末に水、バインダー、グリセリンを入れて目封止部材を調製することができる。
【0038】
また、本発明の実施形態のハニカム構造体は、多孔質の隔壁を有し、隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された筒状のものである。本発明のハニカム構造体の材質については、強度、耐熱性等の観点から、コージェライト、炭化珪素、アルミナ、ムライト、アルミニウムチタネイト及びLAS(リチウムアルミニウムシリケート)からなる群より選ばれたいずれか1種を主結晶相とすることが好ましい。なお、スラリー状目封止部材のスラリーを、ハニカム構造体と同一にすると、両者の熱膨張率が一致するという効果がある。ハニカム構造体は、中心軸に垂直な断面形状(底面の形状)が円形のものであるが、例えば、楕円形、長円形、四角形等の多角形、異形等であってもよい。また、セルの断面(ハニカム構造体の軸方向に垂直な断面)形状も特に限定されるものではなく、四角形であることが好ましいが、三角形、六角形等の多角形等でもよい。また、隔壁の気孔率や平均細孔径も特に限定されるものではなく、排ガス処理等に使用することが可能なセラミックにおける気孔率や平均細孔径であればよい。隔壁の厚さについては特に限定されるものではないが、この隔壁の厚さが厚過ぎると、流体が透過する際の圧力損失が大きくなることがあり、薄過ぎると機械的強度が不足することがある。隔壁の厚さは、100〜1000μmであることが好ましく、200〜800μmであることが更に好ましい。セル密度は特に限定されるものではないが、5〜300セル/cmであることが好ましく、10〜100セル/cmであることが更に好ましく、15〜50セル/cmであることが特に好ましい。
【0039】
目封止部材を乾燥する方法としては特に制限はないが、例えば、ホットプレート等の上に載置して乾燥する方法や、熱風を吹きつけて乾燥する熱風乾燥等を挙げることができる。また、マイクロ波乾燥、遠赤外線乾燥、電気ヒータ乾燥等を用いることもできる。
【0040】
得られた目封止ハニカム構造前駆体を焼成して目封止ハニカム構造体を得る。目封止ハニカム構造前駆体を焼成する方法については特に制限はなく、従来公知の目封止ハニカム構造体の製造方法における焼成工程に準じて行うことができる。このような目封止ハニカム構造体の製造方法によれば、例えば、集塵フィルタ等に用いた場合に、その端面への堆積物の堆積が低減された目封止ハニカム構造体を、簡便かつ低コストに製造することができる。
【0041】
また、本実施の形態の目封止ハニカム構造体の製造方法においては、可燃性物質から構成された端面シール部材を用いることも可能である。この場合は、目封止ハニカム構造前駆体を焼成する際に、端面シール部材を消失させるようにしてもよい。このように構成することにより、端面シール部材を取り除く必要がないため、製造工程を簡略化することができる。特に、焼成により端面シール部材を消失させる場合には、端面シール部材としては、乾燥時には消失や変形することがなく、焼成の時点で消失する可燃性物質から構成されたものであることが好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル等から構成された端面シール部材を好適例として挙げることができる。
【0042】
また、本実施の形態の目封止ハニカム構造体の製造方法においては、マスクを使用することも可能である。この場合は、目封止ハニカム構造前駆体を焼成する際に、所定のセル以外のセルの開口部を覆うマスクも消失させてもよい。このようにすると、端面シール部材とマスクとを焼成時に同時に消失させることにより、マスクを取り除く工程も省略することができ、製造工程を簡便にすることができる。
【0043】
なお、本実施の形態の目封止ハニカム構造体の製造方法においては、上述した方法によって得られた、目封止ハニカム構造体に対して、その隔壁の内表面及び/又はその内部に触媒を担持させてもよい。例えば、目封止ハニカム構造体をDPFとして用いる場合は、隔壁に捕捉された堆積物(粒子状物質)の燃焼を促進させるような機能を有する触媒を担持させることが好ましい。このような触媒としては、例えば、貴金属系のPt、Pd、Rh等や、非金属系のペロブスカイト型触媒等を好適例として挙げることができる。触媒を担持させる方法については、従来のDPF等のフィルタに触媒を担持させる方法に準じて行うことができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
成形原料としてタルク、カオリン、アルミナを主原料とするコージェライト化原料を使用し、水とバインダーを調合し、分散混合、混練した成形原料を、土練機により円柱状に押出して、それを押出成形機により押出成形して、セル構造が四角形セル12mil/300cpsi(0.30mm/46.5(セル/cm))、セルピッチ1.47mmとなるような口金を用いて押出成形して成形体を得た。次に、得られた成形体の両端面を交互に目封止し、乾燥・焼成して外壁付きハニカム構造体を得た。その後、得られた外壁付きハニカム構造体を用いて、図1(a)(b)(c)に示す方法で目封止を行った。
【0046】
この目封止材料としては、ハニカム構造体と同じタルク、カオリン、アルミナを主原料とするコージェライト化原料を使用し、水とポリエチレン、加熱発泡性樹脂、吸水性樹脂を、原料100重量部に対して、水20重量部、加熱発泡樹脂10重量部、吸水性樹脂0.5重量部、ポリエチレン0.5重量部の割合とし、ここに微量のメチルセルロース、グリセリン、界面活性剤を添加して調合し目封止材料を得た。
【0047】
この可塑性を有する目封止材料を、多数の丸い窪みを有する固定型と同じ丸い窪みを有する成型用板で挟まれた間に圧入充填することで多数の丸い目封止部材12が成型される成型用板を外して、固定型に目封止部材が嵌め込まれた状態で、そこにハニカム構造体を押し付けることにより、目封止部材がセル内に挿入されて、目封止部がセル内に形成される。この後、目封止部を乾燥することで、目封止材料が可塑性を有している間に発泡性樹脂が発泡膨張し目封止部材が強固にセル内に固着されつつ水分が蒸発する。乾燥後に目封止部を伴ったハニカム構造体を再度、焼成することで目封止部が焼成され、ハニカム構造体と同じコージェライト質の目封止部が形成された。ハニカム構造体を焼成する前に目封止を行い、ハニカム構造体と目封止部とを同時に焼成することでもハニカム構造体と同じコージェライト質の目封止部が形成された。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る製造方法より得られた目封止ハニカム構造体は、化学、電力、鉄鋼、産業廃棄物処理をはじめとする様々な分野において、公害防止等の環境対策、高温ガスからの製品回収等の用途で用いられる集塵用のフィルタ、特に、ディーゼル機関から排出されるパティキュレートを捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)等の高温、腐食性ガス雰囲気下において使用される集塵用フィルタとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)(b)(c)は、本発明の一実施形態であり、固定型へ目封止部材が配置された後、ハニカムセル内に圧入される工程を示す模式図である。
【図2】(a)(b)(c)は、本発明の別の実施形態であり、下型と上型からなる固定型へ目封止部材が配置された後、ハニカムセル内に圧入される工程を示す模式図である。
【図3】(a)(b)は、本発明の別の実施形態であり、固定型上に配置された目封止部材がハニカム構造体のセル内に圧入され、セル内部で目封止される工程を示す模式図である。
【図4】(a)(b)は、本発明の別の実施形態であり、ハニカム構造体のセル内部で目封止される工程を示す模式図である。
【図5】目封止ハニカム構造体の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
2:下型、3:上型、4:空洞、5:管状部、6:目封止部材貯留部、7:目封止部材、8:ハニカム構造体、9:セル、10:固定型、11:固定型、12(12a,12b):目封止部材、14:窪み、15:ハニカム構造体、16:セル、21:目封止ハニカム構造体、22:多孔質の隔壁、23:ハニカム構造体、24:セル、26:目封止部材、B:セルの入口側端面、C:セルの出口側端面、32:押上棒保持板、33:押上棒、34:固定型、35:目封止部材、36:ハニカム構造体、37:セル、41:流体貯留部、42:固定型、43:目封止部材、44:ハニカム構造体、46:加圧流体、47:セル。
【出願人】 【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【出願日】 平成19年6月26日(2007.6.26)
【代理人】 【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平


【公開番号】 特開2008−30469(P2008−30469A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−167267(P2007−167267)