トップ :: B 処理操作 運輸 :: B28 セメント,粘土,または石材の加工

【発明の名称】 盤上に垂直軸と係止機構を備え、垂直軸に浮動コテを取り付けたろくろ回転盤と、該回転盤による石膏型および実作品の制作方法
【発明者】 【氏名】山田 明

【要約】 【課題】誰にでも機械ろくろに使用できる中心軸穴を備えた石膏型、および石膏型を作るための原型を成形でき、前記石膏型を用いて実作品を制作できるろくろの回転盤およびろくろ装置。

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏型の原型を制作する際には浮動コテの中心軸となり、
石膏を鋳込む際には石膏型の中心軸穴を形成し、
出来上がった石膏型を配置する際にはその中心固定軸となる垂直軸を、
軸固定機構によって回転盤中央に、着脱自由に固定し、
該垂直軸に回転自由、かつ軸上下方向の摺動自由に取り付けられた浮動コテを備えたろくろ回転盤。
【請求項2】
前記軸固定機構が、垂直軸下端を回転盤にネジにより片持ちで取り付けるものであり、垂直軸の根本には、ネジの直径より大きな張りだし部を備えることを特徴とする、
請求項1記載のろくろ回転盤。
【請求項3】
前記軸固定機構が、垂直軸下端と回転盤をダブルナットにより締め付けるものであることを特徴とする、
請求項1記載のろくろ回転盤。
【請求項4】
前記軸固定機構が、垂直軸下端を、垂直軸に直交するネジによって締め付けるものであることを特長とする、
請求項1記載のろくろ回転盤。
【請求項5】
前記軸固定機構が、締め付け部材によって垂直軸を側面から締め付けるものであることを特長とする、
請求項1記載のろくろ回転盤。
【請求項6】
前記浮動コテが、垂直軸の入る穴を持ち、作品の外形形状や、内形形状、または蓋ものの凹部や凸部を作り出す形状の型板部分を一体に備える、もしくは調整可能に固定できる構造であることを特徴とする、
請求項1記載のろくろ回転盤。
【請求項7】
前記浮動コテが、垂直軸の入る穴を持ち、型板を取り付けた部分が、垂直軸から拡張および縮小する方向にスライドする機能を持つ浮動コテであることを特徴とする、
請求項1記載のろくろ回転盤。
【請求項8】
前記浮動コテが、垂直軸の入る穴を持ち、型板取り付け部を回転させる軸を備え、型板取り付け部が前記軸中心に回転することで、垂直軸からの距離を拡張、縮小する機能を持つことを特徴とする、
請求項1記載のろくろ回転盤。
【請求項9】
前記回転盤の上部に、石膏型の自由回転を制止する係止機構を備えたことを特徴とする、請求項1記載のろくろ回転盤。
【請求項10】
前記係止機構が、ろくろ回転盤の中心から離れた位置に、係止軸を備えたものであることを特徴とする、
請求項1記載のろくろ回転盤。
【請求項11】
垂直軸に取り付けたとき、回転盤の係止軸に対応する位置に、係止軸穴成形軸を備えた係止軸成型部材を備え、
石膏を流し込むとき、石膏液上部から突き出した垂直軸に前記係止軸成型部材を取り付け、石膏液(スラリー)中に埋め込むことで、係止軸穴を成形することを特徴とする、
請求項1記載のろくろ回転盤。
【請求項12】
垂直軸、および係止軸の入る穴を備え、回転軸の同心円上に型枠を支えるための溝を備えた溝付き板を備え、前記溝にはまる型枠板を取り外し自由に備えたことを特徴とする、
請求項1記載のろくろ回転盤。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれかを備えたろくろ装置。
【請求項14】
前記回転盤の垂直軸に、中心に穴の開いた石膏盤をとりつけ、垂直軸に切削用型板を備えた浮動コテをとりつけて、石膏盤を切削することで、中心軸穴を備えた石膏型を制作することを特徴とする石膏型の制作方法。
【請求項15】
前記回転盤の垂直軸の根元に、粘土塊を押しつけ、原型の断面形状の浮動コテによって粘土原型を作り、
前記粘土原型の周囲を型枠で囲って、石膏を流し込み、前記粘土原型が埋まって、石膏表面から前記垂直軸が頭を出すように構成した状態で、
一定時間経過後、前記粘土原型を取り去ることによって石膏型を作ることを特徴とする、石膏型の制作方法。
【請求項16】
前記回転盤において、前記石膏型を上下を反転させ、型部分が上向きになる状態で垂直軸にはめ、
石膏型の内側に粘土塊を押しつけ、垂直軸に浮動コテを取り付け、
回転盤を回転させながらコテを降ろすことによって制作物を成形し、
一定時間経過後、制作物の収縮によって型抜きすることを特徴とする、
実作品の制作方法。
【請求項17】
前記回転盤において、コテ処理が終了し、型抜きする用意の出来た型と型内部に成形された成型物を、電子レンジによって短時間加熱し、成型物の収縮を速めることを特長とする、
請求項16記載の実作品の制作方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、趣味の陶芸用のろくろの回転盤と、該回転盤による石膏型の制作および実作品の制作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
まず手びねり成形の限界について述べる。
【0003】
趣味の陶芸は、桃山〜江戸時代に、大名家およびお茶好きの豪商などのもとに設けられたお庭窯に端を発するもので、主に茶陶、すなわち茶の湯で使う楽焼茶碗などを作ることから始まり、大正時代に簡易な楽焼窯を備えて行うことから広く一般化したものである。
【0004】
一方、工業的と呼べる焼きものは、手工業としては古くは縄文時代からあったものの、産業としては主に江戸初期、中国や朝鮮からの技術を導入したことにより高度に発展したもので、焼きものの製造工程を細かく分業化し、それぞれを専門職に任せることによって品物の品質を高度に上げることに成功したものである。
【0005】
この流れは明治以降、欧米からもたらされた大量生産方式をとりいれ、成形方法だけをとりあげてみても、型鋳込み、機械ろくろ、圧力鋳込み、ローリングプレス、粉体成形など、いくつもの技術革新によって、趣味の陶芸とはまったく別の発展をとげている。
【0006】
さて、趣味の陶芸では、歪んだ形を作るのに適した紐づくりからはじめるので、一般家庭で普段使いするような小皿や碗などは一応制作できるものの、茶陶的な、歪んだものしか制作できなかった。
【0007】
電動ろくろを使用すれば歪まないものができるのではあるが、よほどの訓練を積まないと、形状や大きさが揃わないという問題があった。
【0008】
技法の点においても、白化粧、粉引、三島手、掻落し、印花、陽刻、陰刻、象嵌、彫り文様、いっちん、飛びカンナをはじめとして、上絵、下絵、釉の掛け分け、下絵、上絵など様々な装飾技法を楽しむことができるとされてはいるが、実はこれらの装飾は、その下地である器の造形がしっかりしていないと、その技法としての魅力を十分に発揮することはできない。
【0009】
すなわち、器の成形は器装飾の大元となるキャンバスづくりにあたる工程であり、大元となる器の成形がしっかりできていないと、それらの上にたとえどんな技法による装飾を施しても作品としては稚拙なものにしか見えないという欠点があった。
【0010】
また、一品制作的な壷や花瓶、抹茶茶碗などの場合は、形やサイズが揃う必要はまったくないが、日常使いの皿やご飯茶碗、向付などはサイズが揃っており、きれいに積み重ねられる方が好ましいのは言うまでもない。
【0011】
また、一般の家庭の食卓では、磁器の器が6割以上を占めているが、磁土は扱いが難しく、特にろくろによる薄づくりは極めて困難であるため、陶芸教室やアマチュア陶芸では形の揃った磁器作品を作ることは、ほぼ不可能とされてきた。
【0012】
結果的に、陶芸を習っていながら、実生活では工業的に作られた、形が整い、サイズも揃った製品を使うという現象がごく普通であるという、一種のねじれた現状がある。
【0013】
ここで、陶芸教室などにおける、ろくろ成形の課題について述べる。
【0014】
粘土や磁土で歪みの少ない回転体を作るのに最も適した手法である電動ろくろは、陶芸教室などに、ひろく普及しているが、形が揃ったものを挽くには長年の熟練が必要なため、なかなか満足が得られるものはできなかった。
【0015】
専門の窯元では、ろくろ挽きの後、一定時間放置した後、型打ちを行うことで、サイズを揃え、このとき同時に高台を削るのが従来の流れであったが、水挽き後数時間放置して、型打ちに適した硬さに揃える、あるいは湿度の安定したムロなどに入れて乾燥度合いを調節するという工程は、普通、流れ作業のもとで行われるものであり、とぎれとぎれの作業ではなかなか難しく、週1回、1日2〜3時間という陶芸教室の時間枠内で型打ちはまったく不可能であるため、ほとんど行われていない。
【0016】
特にろくろ成形の中でも蓋ものの成形はさらに習熟を要する作業であった。
というのは、ろくろの水挽き作業では精度の高い成形は困難で、蓋ものなどは、蓋と、蓋受け部を備えた本体を水挽き作業でひとまず成形した後、ある程度の時間経過を待ち、削れる状態になったところで、カンナなどによって凹凸部を削る作業によって、蓋部と蓋受け部が一定の遊びをもって噛み合わさるように成形するのが通常である。
【0017】
ここで困難なことは、同じ乾燥度合いで合わせ目の双方を削って合わせなければならないことである。
つまり、乾燥が進みすぎると削れなくなるため、半乾燥中の粘土を削るため、その乾燥の度合いによって、仕上がり時の大きさに違いが出てしまうことである。
【0018】
一般的には挽いてから一定時間、例えば10時間ほど経ったところで、双方を削って整えるが、この作業には高度な熟練が必要であり、さらに時間の管理が非常に厄介であった。
【0019】
従って、手作業で行う工房では、蓋と本体を20から30個ほども作り、一応、規定のサイズに削った後、乾燥による収縮変化がなくなった素焼きの後に、それぞれがうまく合致するものをひとつひとつ合わせていくのが通例であり、互換性をとることはほとんど不可能であった。
陶芸教室で一つの器を作る場合、困難さはさらに増すことはいうまでもない。
【0020】
さらに、半乾燥時点での削り工程における芯出しにはかなりの熟練を要するという点も難問であった。
【0021】
この芯出しは、主に削りの工程、あるいは型打ちのための湿台(シッタ)をろくろ回転盤に固定する時に必要となるもので、芯が出ていないと、品物の中心が合わないため、正しい成形が出来ないという、非常に重要な工程であり、なかなか慣れるまでに時間がかかる点が今までの障害になっていた。
【0022】
単純に検索しただけで、ろくろの芯出しを自動化する方法について数多くの出願が見受けられるのもその困難さと必要性の高さを示している。
【0023】
機械ろくろの使用法について述べる。
【0024】
器形を均一に揃えるための方法には参考図100に示すような機械ろくろがある。機械ろくろとは、ハンドル106を備えた支柱107と、専用の湿台101を備えた特殊なろくろである。
【0025】
回転盤の上の湿台(シッタ)101に、ゴムなどで作られた輪湿台(ワシッタ)102を置き、その上に実際の成形に用いられる石膏型103を設置する。
【0026】
ハンドル106には、コテ105を取り付けて、実作品の厚みとなる石膏型との隙間を固定装置108によって調節固定しておく。
【0027】
この状態で、石膏型に粘土塊をとりつけ、ろくろを回転させ、コテによって粘土を石膏型に押しつけて作品104を成形する。
【0028】
成形が終了したら作品ごと石膏型を取り外し、湿台には新しい石膏型を取り付け、次の粘土を置いて、前述のごとく成形を繰り返す。
【0029】
なお、石膏型から作品を型抜きするまでには一定の時間を要し、1個の石膏型からは1日に4個から6個ほどしか成形(型抜き)できないので、石膏型は同じものを通常10個程度は揃える必要があり、型の置き場所も多く取られるという問題があった。
【0030】
なお、この機械ろくろに使用できる石膏型103を制作するには特殊な機材が必要であり、制作には高度な熟練を要するため、自分で石膏型を作ろうとする人は極めて限られており、一般的には出来合いの型を買う、もしくは非常に高価ではあるが業者に注文するのが通例であった。
【0031】
ここでは、従来技術として、石膏型の制作方法を簡単に紹介しておく。
【0032】
従来、原型を作るには、木工ろくろで木型を作るほか、鳥目箱によって成形するなどの方法があるが、石膏ろくろを使用するものが多い。
【0033】
石膏ろくろとは電動ろくろの回転盤(参考図101A,B)を主に石膏で作り、その上部にAにおいては半球形のくぼみを、Bにおいては溝を彫ったようなろくろである。
【0034】
実作業をしている参考図102と、型の説明のための参考図103に基づき、その制作方法を説明する。
【0035】
参考図102において、カンナ110を支えるのにヤリ111を用いるので、ろくろの向こう側にヤリの先端部を押しつけて固定するためのヤリ板118を立てて作業を行う。
【0036】
まず石膏ろくろの回転盤の上に円筒状の枠を置いて石膏を直接流し込んで固め、回転盤と一体化した石膏109をヤリ板に押しつけられたヤリとヤリに添えられたカンナ110などを用いて削り出す(参考図102)。
【0037】
最初に、まず制作したいものの外形を備えた型(原型)112(参考図103)が作られる。石膏が柔らかいうちにざっと荒削りをし、石膏が硬くなってきたら、型紙を当てながら、少しずつ慎重に削って行き、型紙に合うように成形する。
【0038】
続いて、出来上がった型112に石鹸液を塗り、その周囲を枠で囲い、その上部に再び石膏を流し込む。
【0039】
流し込まれた石膏が硬化したら、湿台にはめられる部分を湿台や輪湿台の形状に合わせて削り、原型から取り外すことによって、機械ろくろの湿台に取り付けられる石膏型の原型(俗に捨て型とも呼ばれる)113が作られる。
【0040】
この捨て型を元に、合わせ型114、115が作られ、続いて合わせ型の隙間に、石膏を流し込むことによって、捨て型と全く同じ形状の石膏型116が複数個作られるという手順が一般的である。
【0041】
最近では、型や捨て型を作るのにCADシステムやNC機器が使われることもあるが、続く工程で、合わせ型を造り、複数個の石膏型が作られていくという事後の流れはまったく同様である。
【0042】
以上、陶芸の領域における従来技術を紹介した。
【0043】
なお機械ろくろは、均一な作品が作れるという長所はあるものの、作業の上でも粘土を型に押しつける作業はハンドルを介して遠隔操作で行うものであり、粘土に直接触れているという感覚ではなくなってしまうという欠点が残る。
【0044】
さらに、機械ろくろは、その装置自体が特殊かつ高価であること。
また、使用する石膏型は、前述したような特殊な機器を使用して捨て型を作り、さらに合わせ型を作って多数複製する必要があるため、一般的には自作は困難であり、購入するか注文するかしか方法がないこと。
【0045】
また、たった一つの器形に対しても数多くの石膏型を必要とすることなど、多くの問題点を抱えていることから、一般の陶芸教室などにはまったく普及していない。
【0046】
従って、陶芸教室などでは何年通っても、普段、日常的に 使っているような焼きものが焼けないという問題が未だに残されている。
【0047】
次に、本発明に関する公知技術として次の特許文献1〜2をあげることができる。
【0048】
【特許文献1】公開実用新案 昭和56-71704
【特許文献2】公開実用新案 昭和57-65806
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0049】
公開実用新案昭和57-65806は、ろくろ回転盤の脇に支柱を立て、ろくろの中心にはアームで支えたセンター棒を立てて、その周囲に粘土および石膏で縦長の型を作るものであるが、支柱など大がかりな設備が必要であるという欠点がある。
【0050】
また、型を製造するためだけの専用機となっており、実作品の制作には向かない。
【0051】
さらに、機構的にもセンター棒は、片持ちではなく、アームによって上部を固定し、両持ちにしなければ安定しないという欠点があった。
【0052】
公開実用新案昭和56-71704は、ろくろの中心に盲穴を設け、その穴に軸体をさし込み、軸体に作品の断面に相当するへら状板を固定することで、同一の形態の製品を量産しようとしたものであるが、いくつかの問題点があった。
【0053】
以下その問題点を列記する。
【0054】
1.回転盤の盲穴に着脱自由な軸体を差し込むだけなので、必然的に多少の遊びが生じているため軸体は安定せず、へら状板も安定しない欠点がある。
【0055】
軸体が、回転盤と一緒に回転せず、回転に対して静止しているため、もし軸体に傾きがあっても作業者は気づかず、軸体と粘土の接触する部分が拡張され、同時に成形にはムラが出てしまう。
【0056】
また、軸体を垂直に保持しにくいため、僅かの傾きが生じやすく、粘土の盛りつけの厚さや、硬さの不均一によって軸体に微振動などが発生したとき、結果的には作品の形が揃わないばかりか、仕上がった時、器体の厚みが不均一になり、特に口縁部の厚みが揃わないものができてしまうという欠点があった。
【0057】
特に口縁部の厚さの偏りは、例えば2ミリの厚みのつもりが、わずか0.5ミリずれただけで、片方は1.5ミリ、もう一方は2.5ミリとなり、不良品となってしまうという欠点があった。
【0058】
2.成形時、軸体に固定されたへら状板を、軸体と共に垂直に降ろすことで粘土を成形するのであるが、そのストロークの最大長は回転盤に穿設された盲穴の深さに限定されてしまい、深い形状のものは成形できないという欠点があった。
【0059】
また、筒茶碗などのように、器壁が垂直なものは、へら状板を上下に動かしても、横方向の変異がほとんどないので成形がうまく出来ないという欠点があった。
【0060】
3.軸体とへら状板が一体化しているため、型1個に対して、1個のへら状板が固定された1本の軸体が最低必要であるという欠点があった。
【0061】
4.型体は、外面が成形対象物の内面形状と合致する形状である、すなわち雄型であるため、成形完了後、作品が収縮硬化するとうまく型抜きができないという欠点があった。
【0062】
すなわち、粘土はやわらかいうちに形を整え、ある程度の時間、乾燥による硬化を待って型抜きしないと、形崩れを起こすものであるが、この粘土の硬化は乾燥の状態と関連しており、乾燥は同時に収縮をも意味している。
【0063】
形崩れしないまでに硬化した粘土は収縮しており、周囲から型体を締めつけているため、型抜きは極めて困難である。
【0064】
5.成形後には軸体が填まっていた部分には穴があくと考えられるが、その穴を塞ぐ際に、器の底の側から塞ぐことになり、成形物の内面にしわ傷が残るという欠点があった。
【0065】
以上、総合してみると、公開実用新案昭和57-65806は、もっぱら石膏原型をつくるためのものであって、石膏型を用いての実作品の成形を目指してはいない。
【0066】
また、公開実用新案昭和56-71704は、型を用いて成形することを中心としてはいるが、石膏型の成形を行うことには不適当であり、かつ前述したように、実作品は型抜きがうまく出来ない、均一な厚みのものが出来ないなど数多くの問題がある。
【0067】
本発明は、上記従来技術、公知技術の問題点を解決し、さらに、誰もが手軽に精密な石膏型を制作でき、その型を使用することによって均一で正確な粘土成形を行うことの出来るろくろ回転盤、およびろくろ装置の提供と、その制作方法の確立を課題とする。
【0068】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、以下の説明を添付図面と照らし合わせて読むことにより明らかとなるであろう。
【0069】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の記述的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0070】
まず、陶芸用のろくろについて述べる。
【0071】
粘土成形を行うろくろは、突き詰めるところ、ろくろ回転盤の上部に粘土によって回転体を形成するだけの道具である。ここでいう回転体とは、その回転中心軸からの放射状距離が常に等しいものである。
【0072】
従来、この粘土成形を行うろくろにおいては、その回転中心軸が成形物を突き抜けてしまう構造になるため、中心軸は常に架空の存在であるべきであるという抜きがたい偏見があった。
【0073】
本発明は直接触ることの出来ない架空の中心軸ではなく、直接手で触ることの出来る実体である中心軸をろくろの回転盤の延長部分として設けることにより、ろくろ上の作業を、常に実体である中心軸を中心とした操作にすることを可能にした。
【0074】
最初に、全体の構成概念を説明する。
【0075】
本発明では、ろくろの回転盤上部の回転中心に垂直に自立し、回転盤と一体に回転する片持ち垂直軸を、垂直軸固定機構によって固定することで、回転中心の実体を作り出す。
【0076】
また、この垂直軸に、回転自由、かつ軸上下方向の摺動自由な浮動コテを取り付け、ろくろ回転盤を回転させながら、浮動コテを回転に対して静止状態で上下摺動させることによって、さまざまな形状の回転体を成形できる。
【0077】
さらに、中心に軸穴を備えた石膏盤、もしくは石膏型を固定するために、中心軸から離れた位置に、係止機構もしくは係止軸を備える。
【0078】
以上の構成により、この回転盤はいくつかの用途に使用できる。以下にその主立った用途を列記する。
【0079】
1.浮動コテに切削用の金属製型板を取り付けることにより、中心軸穴を備えた石膏盤を研削し、石膏型を直接制作できる。
【0080】
なお、この中心軸穴は、必要に応じて全部、あるいは一部を残して石膏で埋めることが出来る。
【0081】
2.また、垂直軸の根元に粘土塊を置いて、回転盤を回転させ、型枠を取り付けた浮動コテを回転に対して静止させ、上下に摺動させることによって、石膏型を作るための粘土原型を成形できる。
【0082】
3.成形された前記粘土原型の周囲に枠を取り付けて、垂直軸を立てたまま石膏液を流し込むことによって、正確な中心軸穴を備え、正確に軸対称である石膏型を作ることができる。
【0083】
なお、この中心軸穴は、必要に応じて全部、あるいは一部を残して石膏で埋めることが出来る。
【0084】
4.次に、前記石膏型を裏返して垂直軸にはめ、作品制作用の粘土塊を置き、垂直軸に浮動コテを取り付けて上下に摺動させることで、実作品の成形を行うことができる。
【0085】
また、垂直軸を短いものとし、一部を石膏で埋めた石膏型を用い、手などでコテを操作すれば、中心軸穴のない作品を成形できる。
【0086】
次に、具体的な構成について述べることとする。
まず、垂直軸について述べる。
【0087】
前記の用途を達成するために、垂直軸は回転盤中心に片持ち状態で正確に直立する必要があり、そのため垂直軸下端は、回転盤にしっかりとネジ止めされ、ネジの直径より大きな、より適切には、垂直軸の直径より大きな径の張り出し部分を備える。
【0088】
もしくは、垂直軸下端は、回転盤に対してダブルナットによって締め付けられるものである。
【0089】
もしくは、垂直軸下端は、垂直軸に直交するネジによって締め付けられるものである。
【0090】
もしくは、垂直軸下端は、ドリルチャックや旋盤のチャックのように一つ以上の締め付け部材によって側面から締め付けられるものである。
【0091】
なお、垂直軸の盤上部分の直径は2mm以上20mm以下、より適切には4mm以上10mm以下であり、最適は5mm〜7mm程度である。
【0092】
また、垂直軸が、石膏型の中心を決めるための短く構成された垂直軸と、浮動コテを使用するときの回転軸となる長い垂直軸からなり、使用目的によって両者を差し替える構造である。
【0093】
また、垂直軸が、石膏型の中心を決めるための、短く構成された垂直軸と、同軸の上部に着脱自由にネジ止めされる垂直軸延長部からなる構成も可能である。
【0094】
雄ネジが切ってある垂直軸に、ネジにはまる雌ネジを備えた浮動コテと、型板取り付け部にネジ切り部材を備えることで、成形物もしくは石膏盤などにネジをきることができる。
【0095】
次に浮動コテについて述べる。
【0096】
浮動コテは、垂直軸の入る穴を持ち、作品の外形形状や、内形形状、および蓋ものの凹部や凸部を作り出す形状の型板を一体成型したもの、あるいは調整可能に固定できる構造である。
【0097】
浮動コテに、切削用カンナ、溝彫り用のタガネ、研磨棒などを取り付けることにより、中心軸穴を備えた石膏型、石膏盤などを研削加工することも可能である。
【0098】
浮動コテが木製であると、型板などを取り付けるのに便利であるが、成形時に水を使用するので、水濡れ時の膨張によって、垂直軸との摩擦が増えないように、軸穴に真鍮などの金属パイプを打ち込む、あるいは油脂やウレタンなどの耐水性剤を含浸注入して防水処理を施してある。
【0099】
もしくは、軸に対して回転する部分は水濡れで膨潤しない素材であり、型板などを保持する部分は木など別素材で作られ、組み合わされている。
【0100】
また、円筒状の作品に対して、横方向からの成形を可能とするためには、浮動コテの型板取り付け部分が、垂直軸を中心とした放射方向にスライドする機能を持ち、型板部分が拡張および縮小する構造とする。
【0101】
同じく、円筒状の作品に対して、横方向からの成形を可能とするために、浮動コテが、垂直軸の入る穴を持ち、さらに型板取り付け部を回転させる軸を備え、型板取り付け部が前記軸中心に回転することで、垂直軸からの距離を拡張、縮小する機能を持つ構造とする。
【0102】
胴の膨らんだ作品を成形するため、分割された石膏型と、上部に着座部を備えた垂直軸と、着座部を中心に傾けることのできる軸にとりつけたコテを備え、着座部を中心として軸を傾けることで、作品を成形する構造も可能である。
【0103】
胴の膨らんだ作品を成形するため、長い垂直軸と、垂直軸にかぶさる筒、さらにその筒にかぶさる筒、およびリンク部でコテを支えるように構成することで、コテを平行移動させる構造も可能である。
【0104】
また、荒削り用の型板と仕上げ用の型板などの型板を取り付けた複数の浮動コテを用いることで、作業を容易にできる。
【0105】
さらに浮動コテは上下を反転して装着できるので、二つの型板を一つの浮動コテに同時に取り付けることも可能である。
【0106】
同じように、蓋ものの合わせ目となる凹部、凸部を成形する型板を、一つの浮動コテに固定することも可能である。
【0107】
回転盤上に配置した石膏型から突き出した垂直軸に浮動コテをとりつけて、碗や皿などを成形したとき、垂直軸によってできる中心軸穴を埋めるための粘土を穴の周囲に盛り上げ状に残すために、垂直軸に最も近い下端に切り欠きを設けた型板、あるいは回転軸から偏心した位置に型板を配置した浮動コテを備えることが可能である。
【0108】
石膏型を制作する場合、垂直軸に、石膏型の底部をテーパ状などに成形するコテを取りつけることで、石膏型の底部を機械ろくろに用いる湿台に合う形状に成形することができる。
【0109】
また、垂直軸に対して直角である形状のコテを取り付けることで、底部を完全に水平に成形することも可能である。
【0110】
次に、中心軸穴のない作品を作るための、垂直軸の使用について述べる。
【0111】
垂直軸の入るだけの部分を残して中心軸穴の上端部を石膏で埋めた石膏型を、短い垂直軸にはめ、その上部に粘土塊をのせ、手でコテをあやつれば、中心軸穴のない作品を成形することが出来る。
【0112】
その際、浮動コテが、その一端に二つの突起部を備え、突起部相互の中心線付近に型板を備えたものであり、円柱形をした石膏型の縁または同心円上に切られた溝に、突起部が二つの接点で接触することで型板の位置を特定するコテを使用することもできる。
【0113】
さらに、ろくろ本体にスタンドとアームを取り付け、ろくろ中心軸と同軸である中空上に、上下移動できる中心軸を備えたろくろを用い、前記中空上にある中心軸に浮動コテを取り付けることで、中心軸穴のない作品を作ることも可能である。
【0114】
その他の構成について述べる。
【0115】
前記、係止機構が、ろくろ回転盤の中心から離れた位置に、係止軸を備えるものであることにより、石膏型をしっかりと固定することが可能である。
【0116】
石膏を鋳込む際には、垂直軸、および係止軸の入る穴を備え、回転軸の同心円上に型枠を支えるための溝を備えた型枠板を取り外し自由に備え、前記溝にはまる型枠板を備えることが可能である。
【0117】
石膏を流し込むとき、石膏液上部から突き出した垂直軸に取り付けて、石膏液中に埋め込むことで、回転盤の係止軸に対応する係止軸穴を作り出すことを特徴とする、係止軸穴成形軸を備えた係止軸穴成形部材を備えることが可能である。
【0118】
また、このとき、プラスチックなどで成形され、垂直軸の入る穴、係止軸の入る穴を備え、石膏と直接触れあう部分には凹凸を備えた、係止軸穴埋込部材を石膏中に埋め込んで一体鋳込みとしてしまうことも可能である。
【0119】
垂直軸と係止軸の入る穴を備え、表面をヤスリ状にした、あるいは表面に耐水のサンドペーパーを貼り付けた研磨板を、短い垂直軸に取り付け、研磨盤として使用することができる。
【0120】
以上のいずれかを備えたろくろ装置。
【0121】
最後に制作方法について述べる。
【0122】
前記回転盤において、中心に穴の開いた石膏盤をとりつけ、垂直軸に金属製型板を備えた浮動コテをとりつけて、石膏盤を切削することで、中心軸穴を備えた石膏型を制作することを特徴とする石膏型の制作方法が可能である。
【0123】
前記回転盤の垂直軸の根元に、型成形用粘土塊を押しつけ、原型の断面形状の型板を備えた浮動コテによって粘土原型を作り、
原型の周囲を型枠で囲って、石膏を流し込み、前記原型が埋まって、石膏表面から前記垂直軸が頭を出すように構成した状態で、
回転盤をゆっくりと回転させながら石膏を固め、
一定時間経過後、粘土原型を取り去ることによって石膏型を作る制作方法が可能である。
【0124】
前記回転盤において、前記石膏型を上下を反転させ、成形部分が上向きになる状態で垂直軸にはめ、
石膏型の内側に作品用粘土塊を押しつけ、型板を備えたコテを垂直軸に取り付け、
回転盤を回転させながらコテを降ろすことによって制作物を成形し、
一定時間経過後、制作物の収縮によって型抜きすることを特徴とする、実作品の制作方法が可能である。
【0125】
前記回転盤において、コテ処理が終了し、型抜きする用意の出来た型と型内部に成形された粘土を、電子レンジによって短時間加熱し、収縮を速めることを特長とする、実作品の制作方法が可能である。
【発明の効果】
【0126】
本発明の実施による、顕著な効果を以下に列挙する。
【0127】
まず、垂直軸の効果について述べる。
【0128】
本発明において、垂直軸は片持ちであるため、ろくろ回転盤と一体回転しているので、浮動コテに予期せぬ力がかかって、一時的な歪みが発生しても、軸が回転することによって、すぐに復元する中心復元機能があり、正確な作業が可能である。
【0129】
このとき、両持ちで全く歪まない垂直軸であると、作品の破断が起こりやすいが、片持ち垂直軸であれば若干の歪みは軸がクッションとなって吸収でき、破断は起こりにくくなる。
【0130】
垂直軸が回転盤と一体回転する構造なので、もし垂直軸が歪んだり曲がったりしたときには、回転させたとき垂直軸の先端にぶれが発生するため、一目で軸の傾きが判明するという効果がある。
【0131】
石膏型を固定するための短い垂直軸と、浮動コテを取り付ける長い垂直軸を使い分ける、あるいは短い垂直軸とそれに取り付けられた垂直軸延長部を目的に応じて使い分けることでさまざまな作業が行える効果がある。
【0132】
さらに、垂直軸を立ち上がり部分のない、表面が平らなものに変えれば、一般的な水挽きの電動ろくろとして使用できる効果がある。
【0133】
浮動コテの効果について述べる。
浮動コテに取り付ける型板は、そのまま作品の断面形状を示したものが使用可能なので、設計図どおりの型が作成できるという効果がある。
【0134】
また、浮動コテおよび型板は、ろくろ回転盤が回転していても、見かけ上、静止しており、作業中に手によって型板等を微調整することも可能である。
【0135】
浮動コテは、木片に穴を開けただけという、非常に単純な構造であっても、垂直軸の入る穴、すなわち回転中心と型板との関係が完全に固定されており、垂直軸にはめるだけで、調整はまったく不要であるという効果がある。
【0136】
先行技術のろくろ装置では、垂直軸とコテが一体化しているので、コテの数(型の数)だけ垂直軸が必要、もしくはいちいちコテを付け替える手間が必要であったが、本発明では回転盤に固定された一本の垂直軸だけで、数多くの型およびそれに合う浮動コテを付け替えて用いることができるという効果がある。
【0137】
また、浮動コテは垂直移動する構造なので、石膏型の厚みの違いに影響されない、さらに、石膏型が摩耗し、研削し直してその厚みが変化してもなんら影響されないという効果がある。
【0138】
さらに、従来の機械ろくろでは、アームの角度の影響で、制作物の垂直部分や、立ち上がり部分の成形が困難であったが、本発明では浮動コテが垂直軸に沿って上下摺動する構造なので、アームの角度などの影響を受けないという効果がある。
【0139】
さらに、従来の機械ろくろでは、リンク部に発生するガタやアームの歪み、曲がりなどが積み重なって、スタンド部から成形部に到るまでの距離が長くなるにつれ、精度は次第に落ちていく傾向があったが、本発明では、成形が進み、浮動コテが回転盤の中心基部に近づくにつれ精度が上がってゆくという効果がある。
【0140】
また、この回転コテは、垂直軸にはまっているだけなので、簡単に差し替えが可能であり、荒削り用と仕上げ用、装飾用など、複数の浮動コテを用意し、用途に応じて使い分けることもできる。
【0141】
また、浮動コテは上下反転使用が可能なので、一つの回転コテに、二つの型板を取り付けることができる効果がある。
【0142】
さらに浮動コテを軸中心に向かう方向にも可動するものにする、あるいは、コテを備え傾斜する軸を、短い垂直軸の上部に立てることで、筒茶碗やビアマグ的な縦に長い形状、あるいは胴部が膨らんだ形状の作品の制作も可能である。
【0143】
垂直軸が回転盤と一体回転するので、垂直軸にネジを刻んだものを使い、それに適合する浮動コテを使用すれば、回転に応じて上下の正確な位置移動が可能となり、ネジを削り出すことも可能である。
【0144】
次に石膏型制作時の効果について述べる。
【0145】
回転盤に、中心に穴の開いた石膏盤をとりつけ、垂直軸に金属製型板を備えた浮動コテをとりつけて、石膏盤を切削することで、中心軸穴を備えた石膏型を制作することが可能であり。この石膏型は、正確に中心軸に対する回転対称になっており、しかもそのまま実成形に使用できるという効果がある。
【0146】
垂直軸下部に粘土によって型原型を作成後、周囲に型枠を立てて石膏を流し込み、回転盤を回転させながら固めることで、垂直な中心軸穴を備え、確実に垂直軸に直交する石膏型を制作できるという効果がある。
【0147】
また、このとき、回転盤の回転によって、中央部がやや窪んだ底面を備えた石膏型を制作することができる。この石膏型は中央部が窪んでいるため回転盤に取り付けても、周辺部分で接地するため、型が安定するという効果がある。
【0148】
また、この型は中心軸穴があるので、芯出しが極めて容易かつ確実である。しかも、従来の機械ろくろのようなシッタや輪シッタなどの大がかりな設備を必要としない効果がある。
【0149】
この石膏型を雌型にしておくことによって、制作時に雌型の中で粘土は収縮するので型抜きしやすいという効果がある。
【0150】
また、型に使う石膏の量が多いので、水分吸収力に余裕があり、一つの型から短時間で型抜きでき、繰り返し使えるという効果がある。
【0151】
垂直軸に浮動コテをはめて実作品を成形すると、成形物に中心軸穴が残るが、例えば蓋ものにおいて、蓋受け部は、はじめから中心部が空洞であるべきであり、また蓋部には、その中心にツマミがつくのがおおむねの約束であるので、共に中心軸穴があって当然の形状であり、何の不足もない。
【0152】
また碗や皿などを作る場合、垂直軸に浮動コテを取り付けて成形したのち、垂直軸を型を中心に据えるためだけの短いものに交換した状態で回転させ、中心軸穴を上から粘土で埋めれば中心軸穴は簡単にかつ美しく埋まってしまい、型抜き後に底部の高台を削れば穴の痕跡は跡形なく消えてしまう効果がある。
【0153】
さらに、この石膏型の中心軸穴の一端を石膏で塞いだものを、短い垂直軸を使用して固定し、成形時には垂直軸を用いない別の手段によってコテを支えることで、中心軸穴のない作品の成形が可能である。
【0154】
型成形のための石膏鋳込みの際、垂直軸に金属製型板を取り付けた浮動コテを取り付けて、石膏型の底部を一般の機械ろくろの湿台に適合する形に削り、その後、中心軸穴を石膏で埋めれば、石膏型あるいは捨て型を容易に作ることが出来る効果がある。
【0155】
従来の機械ろくろでは、型を交換するたびに、型に合わせてコテを微調整する必要があるため、頻繁に型を取り替えることは出来なく、一度調整をしたら同じ型をいくつも用意して成形するのが一般的であった。
【0156】
本発明においては、回転盤に石膏型はワンタッチで設置でき、石膏型に適合する型板を備えた浮動コテもまた垂直軸にはめるだけで、一切微調整は必要がないので、様々な石膏型とそれに合う浮動コテを用意し、複数の異なった形状の作品を順番に制作することができるため、多種類の形状の作品を少量ずつ作ることができるという効果がある。
【0157】
従来、高度なろくろ技術を要するため、一般の陶芸教室では不可能とされてきた、薄づくりの磁器の揃いものも、この石膏型を用いれば容易に成形でき、しかも、自分の設計した作品を作ることが可能になるという効果がある。
【0158】
また、従来の手ろくろの水挽き作業では、蓋ものなどの合わせものは乾燥後に、合わせ目の凸凹部分を削って双方を合わせることが必要であったが、浮動コテで成形した凹凸部は削りが終了したものと同等の仕上がり状態にまで精密に成形が可能なので、生土の状態で双方がきっちりと適切な間隔で合うように成形でき、この関係は、乾燥、素焼き、本焼までも維持され、しかも互換性が高いという効果がある。
【0159】
この石膏型制作方法は、使用する石膏で捨て去る部分はまったくなく、今までのような捨て型、合わせ型が一切必要なく経済的である。
【0160】
この垂直軸に、中心穴の開いた石膏盤を取り付け、浮動コテにカンナを取り付ければ、中心から正確な位置にさまざまな切削加工が可能であり、実用範囲は極めて広いものとなる。
【0161】
型枠に石膏を流し込む際に、垂直軸に係止軸穴成形軸を取り付け、石膏の表面に上から押し込んで硬化させることで、正確な位置に係止軸穴が鋳込まれ、後処理がまったく不要であるという効果がある。
また、この時、係止軸穴埋込部材を石膏中に埋め込んでしまえば、軸穴が摩耗することのない安定した石膏型が形成できる。
【0162】
また、中心軸穴はいつでも石膏で埋めることが出来るという効果がある。
【0163】
本発明により、従来は専門の機械を熟練工が操作し、数多くの工程を要して作られた機械ろくろに用いられる石膏型を容易に制作できるようになるという効果がある。
【0164】
また、本発明により、従来は専門の熟練工のろくろ水挽きおよび型打ち工程を経て、あるいは特殊な機械ろくろと数多くの石膏型を用いることによってしか制作できなかった、形と大きさのそろった作品が誰にでも容易に制作できるようになるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0165】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、一部断面図または斜視図に基づいて詳細に説明する。
説明にあたって、同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0166】
ここではまず、全体の構成を説明する。
【0167】
図1は、電動ろくろの天板1の上にろくろ回転盤2を固定した一部断面図である。実際にはろくろの天板と一体成形することも可能である。
ろくろ回転盤2の中心には、垂直軸8が着脱自由に固定されている。
【0168】
図2は、垂直軸の図である。
Aが型や粘土を成形したり、石膏型の鋳込み、石膏型の研削加工、さらに実作品の成形に用いるもの。
【0169】
Bは石膏型を固定する際の中心軸となる短い垂直軸。
【0170】
また、Cは短い垂直軸8の上部に垂直軸延長部7を脱着自由にネジ止めしたものであり、作業の変化に応じて、垂直軸8で石膏型を固定したまま、延長部7だけを取り外すことが出来るものである。
【0171】
また、Dは、垂直軸部分の立ち上がりがない垂直軸であり、この軸を取り付ければ、一般の電動ろくろと同様の使用が出来るものである。
【0172】
図3は、垂直軸固定機構の拡大一部断面図である。
垂直軸8は回転盤2に垂直軸固定ネジ9’’によってネジ止めされ、拡大図Aに見るように張り出し部9を備えた構造によって、もしくはBに見るようにダブルナット9’によって、回転盤上に垂直に配置されている。またCに見るように横からネジ45で固定されている。
【0173】
もしくは、ドリルチャックや旋盤のチャックのように、単数または複数の締め付け部材を介在して周囲から挟み込む構造により回転盤にしっかりと固定されている。
【0174】
図2の垂直軸固定用切り欠き部6、および図3A’の締め付け用の穴6’は垂直軸を固定するとき、工具で挟んだり、締め付け用レンチ6’’などによって締め付ける際に用いられる。
【0175】
図3のAの垂直軸下部の張り出し部9は、垂直軸固定ネジ9’’の直径より大きい、さらに適切には垂直軸の直径より大きいことにより、回転盤上に垂直に立つようになっている。
【0176】
さらに、垂直軸固定ネジ9’’の直径は垂直軸の直径より大きいことがより好ましい。
【0177】
垂直軸はステンレスで作られており、その盤上部分の直径は2mm以上20mm以下、より適切には4mm以上10mm以下であり、最適は5mm〜7mm程度である。
【0178】
図1の浮動コテ11は、垂直軸上部7に、回転自由に、かつ上下方向の摺動自由に取りつけられている。垂直軸と接触する部分には耐水性の溶剤が含浸され、もしくは真鍮、またはプラスチックの筒11’が埋め込まれて、コテが木製であって、水濡れで膨張しても垂直軸を締め付けず、常に安定した緊密な回転が保てるようになっている。
【0179】
まず、発明を実施するための最良の形態として、今までの機械ろくろでは出来なかった、蓋ものの合わせ部を制作する工程から説明する。
【0180】
一部断面図4は、回転盤に垂直軸8と係止軸10とで固定された石膏盤30を蓋部の外側形状をした金属製型板33を取り付けた浮動コテ11で削って石膏型を成形した後、型の上に粘土塊を取り付けて、蓋の内側形状の蓋部制作用型板32を取り付けた浮動コテ11で粘土塊を成形し、その後型抜きを行った図である。
【0181】
蓋部制作用型板32は、厚さが約1mm程度の塩化ビニールなどの板に断面図を貼り付けてカッターナイフで切り取ったもので十分である。
作業中の斜視図を図5に示す。
【0182】
図6は同様にして蓋受け部を成形し、型抜きした図である。水挽きろくろでは不可能な微細な凹凸まで成形することが出来、削りの工程は必要がない。
【0183】
図4のAと図6のBは正確に対応しており、この部分の距離と形状が正しく合うように作られていれば、粘土成形時にぴったり合うように成形でき、成形時に同一であれば、乾燥、素焼き、本焼のあらゆる状態で、この関係は保証され、互換性の高い蓋と蓋受け部が制作できる。
【0184】
図7は、型抜きした蓋部31、蓋受け部38、そして別に作ったツマミ部37、本体39の断面図である。
【0185】
蓋部には垂直軸の抜けた穴が残るが、そのまま別に制作したツマミ37を取り付ける穴になる。
【0186】
蓋受け部38は、ある程度の乾燥を待って、別に作られた本体39に接着される。蓋受け部は中央に穴があいているのが当然なので、何の問題もない。
【0187】
図8は浮動コテの正面図および斜視図であり、同じ浮動コテに、蓋部と蓋受け部の型板を取り付けたものである。
【0188】
図中のA、Bは、図4のAと図6のBに対応しており、この部分が垂直軸8から見て揃った位置にあれば、成形した蓋と蓋受け部はぴったりと合う。
【0189】
次に、発明を実施するための異なる形態について、以下記載する。
まず、蓋もの成形の例を示す。
【0190】
図9は、平坦な石膏盤の上部に蓋ものの型を研削している図である。石膏盤を垂直軸と係止軸によって回転盤に固定し、金属製型板33を取り付けた浮動コテ11によって研削する。
【0191】
石膏ろくろなどで型などを作る場合は常にサイズを測り、厚紙などで作った型紙をあてて微調整しながら成形することが通例であるが、本発明の場合は、型板が垂直軸によって常に中心に保持されているので、そのまま下に降ろして行くだけで正確な型が制作できる。
【0192】
図10は、垂直軸を中空に配置するためのスタンド40とアーム41を取り付けた機械ろくろである。一般の機械ろくろでも、これに準じた成形は可能であるが調整箇所が多くなり、またハンドルが回転してコテを降ろすことにより成形することになるので、垂直方向の成形時に仰角による傾斜が必要になるため若干おとる。
【0193】
図10では、スタンドとアームによって、垂直軸42はろくろ回転盤の回転軸と同軸上の中空位置に配置されており、浮動コテは中空配置の垂直軸42によって、常に中心軸中央を上下摺動するように構成されている。
なお、スタンドの位置は、作業者から向かって左手側、もしくは右手側に立て、アームが成型時の浮動コテ、もしくは型板と平行となるような位置に配置することで、もし、アームが振られ、アーム先端部にわずかな振動が出ても、浮動コテの回転角に対する変異が少ない配置となるため、スタンド及びアームはより軽量で簡易な構造で済み、着脱自由にすることも可能である。
【0194】
図11は、図10の部分拡大図にあたるもので、石膏型は図9で制作した石膏型の軸穴の一端17’を石膏で穴埋めしたもので、その上に粘土塊を置き、中空配置の垂直軸42に浮動コテを取り付けて、蓋ものの蓋部を成形している図である。
【0195】
図12は、蓋ものの下部分成形の図である。図11のCと図12のD部分が正確に合致していれば、図13のように正確に噛み合うように成形される。
浮動コテ11が垂直に移動するため、機械ろくろとは異なり、蓋部の合わせ目の凸凹は機構的に必要な傾斜がなく成形される。
【0196】
また、この応用として、図13の24’のように接合部を接着することで、中央部が膨らんでいるさまざまな形状のものが作成できる。
【0197】
次に、粘土によって原型を作り、石膏を鋳込んで石膏型を作成する方法を説明する。
【0198】
ここでは垂直軸8と、その上部に固定された垂直軸延長部7を使用した例によって説明するが、一体成形された長い垂直軸と短い垂直軸を付け替えて加工することも可能である。
【0199】
図14は溝付き板5の上に型成形用粘土14をしっかりと密着させ、垂直軸延長部7には、石膏型制作用の型板12を固定した浮動コテ11を配置した図であり、図15はその斜視図である。
【0200】
ろくろを回転させると、ろくろ天板上のすべてが回転することになるが、浮動コテ11の回転を手で制止し、コテを下方向に摺動させることによって、型成形用の粘土14は石膏型制作用の型板12によってならされ削り取られ、回転体に成形される。
【0201】
石膏型制作用の型板12の端部が溝付き板5に接触するまでこの作業を続けると、図16に見る型成形用粘土原型15が出来上がる。
【0202】
次に溝付き板5の溝に合成樹脂などで出来た型枠板16をはめることで、石膏鋳込みのための枠組みが出来上がる。図16がその一部断面図、図17Bがその斜視図である。
図17Aは原型15を除いた斜視構成図である。
【0203】
型枠板16と型成形用粘土原形15の間の空間に溶かした石膏16’を流し込んだ状態を図18に示す。
【0204】
なお、このとき、ろくろを微速度で回転させたまま石膏が硬化するのを待てば、例えろくろ自体に傾きが多少あっても、石膏型の底部、すなわち図15においては石膏の表面部分16’は全体的に見て垂直軸に対して垂直、したがって回転盤に対して平行であり、しかも中央部分は少し窪んだ形となる。
【0205】
このとき、垂直軸に係止軸穴成形部材16’’を取り付け、石膏の中に押し込むと、正確な位置に係止軸が入る係止軸穴22ができる。
【0206】
石膏が硬化した状態で、取り外し、上下を反転し、型成形用粘土原型15を排除すれば、石膏型17が出来上がる。図19はできあがった石膏型の断面図。
【0207】
図20Aは係止軸穴成形部材16’’の斜視図である。係止軸穴にあたる部分に係止軸穴成形軸26が取り外し自由に取り付けられており、正確な位置に係止軸穴22を鋳込むことができる。
【0208】
図20Bは、プラスチックなどの合成樹脂で成形された係止軸穴埋込部材36であり、中心軸穴、係止軸穴があらかじめ形成されているものである。
【0209】
使用するには、図で上側に開放されている係止軸穴部を粘土やセロハンテープなどで塞ぎ、図で上下を反転し、中央の穴を垂直軸延長部7または垂直軸8にはめて、石膏液の中に埋め込んで一体に鋳込む。
【0210】
実制作の時、垂直軸の入る穴および係止軸穴は使用により損耗することがあるが、係止軸穴埋込部材36が石膏型の中に埋め込まれていると摩耗や破損に強い。
【0211】
また、係止軸穴は石膏硬化後、図20Cに見る係止軸穴成形用治具13の位置決め用軸55を石膏型の中心軸穴にはめ、軸穴56に合わせてドリルで穴を開けることでも制作できる。
【0212】
また、型を取り外す前に、図21のように垂直軸に機械ろくろの湿台に合う形の金属製型板33のついた浮動コテ11を取り付けて、石膏型の底部をテーパ状に研削し、その後、底部の穴を石膏で埋めれば、図103の113、116のような、機械ろくろの湿台や輪湿台に適合する形状の底部形状を備えた石膏型や捨て型を制作できる。
【0213】
なお、この底部がテーパ状になった型を、中心軸穴と、係止軸穴を備え中央部が凹んだ形の湿台に固定して使用することで、石膏型に使用する石膏の量を節約できる。
このとき、複数個作った場合、石膏型の厚みが不統一であっても、浮動コテは垂直移動するので使用にはまったく問題がない。
【0214】
続いて、以上で成形した石膏型とコテを使用した実作品の制作工程を説明する。
【0215】
図22は、石膏型を垂直軸8にはめ、係止軸穴22には係止軸10がはまり、垂直軸延長部7には、作品用型板19を固定した浮動コテ11がはめられ、石膏型17の内側の粘土を成形した状態の一部断面図、図23はその斜視図である。
【0216】
このとき、作品用型板19にある穴埋用の切り欠き23によって、型板成形後の作品24の内側中心底部には、切り欠き部によるでっぱり25が残っている。
【0217】
型板取り付け部が偏心して配置されていても、同じように内側中心底部にでっぱりを残すことが出来る。
【0218】
図24は、垂直軸延長部7を垂直軸8から取り外した状態で、ろくろを回転させ、指などによってでっぱり25を押しつぶし、穴を埋めた状態の一部断面図であり、穴埋めされた部分27の底部には、でっぱりやしわが残ることになるが、作品内面はきれいにならされている。
【0219】
数分待つと、成形後の作品24の水分は、石膏型17に吸収されたり、大気中に蒸発したりして、作品の外周は収縮するので、型抜きは容易である。
【0220】
なお、この時、型に貼り付いている作品を型ごと、電子レンジに入れ、500Wで20秒ほど加熱する、もしくは解凍モードなどを使用して加熱すると、型抜きに要する時間は大幅に短縮できる。
【0221】
型抜き後、作品の高台部を削ることで、中央の27のしわ傷も見えなくなり作品は完成する。
【0222】
図25は、高台部をカンナ18によって削っている一部断面一部斜視図であるが、ここでは、作品の内側にぴったり合う形状の湿台20が使用されている。
これは、図22において、切り欠きによる出っ張り部分を取り去り、周囲を囲った状態で石膏を流し込み、その後、中央の穴の一端を埋めることで作成できる湿台である。
【0223】
なお、ここでは湿台として使用しているが、この湿台20の形状のものと、石膏型17に高台部が形成され、中心軸穴を埋めた形状のものとを耐火石膏で作り、組み合わせることで、隙間が実作品の形状をした合わせ型を作成することもできる。この耐火石膏の合わせ型の内部にガラス粒を挟んで焼成することで、パートドヴェールの碗などを作ることも可能である。
【0224】
次に、筒状あるいは口の小さい袋物作品の成形について解説する。
【0225】
器形が筒状である、あるいは口部が小さい袋物を成形する場合、垂直軸に沿って上下に摺動する浮動コテの動きだけでは成形が不可能である。
【0226】
図26では、浮動コテ11には、作品制作用型板19を取り付けたスライドする型板取り付け部28があり、放射方向にスライドすることにより作品を求められるサイズにまで成形するように設定されており、器壁が垂直に立ち上がっていても精密な成形が可能である。図27は同斜視図。
【0227】
胴部が口より広がった袋物でも、口部のサイズより型板部のサイズが小さければ石膏型を上下に二つの割り型にすれば成形が出来る。
【0228】
図28は、スライドではなく、浮動コテに軸54を設け、その軸を中心に回転する型板取り付け部29を備えた浮動コテによる作業の平面図であり、図29は同斜視図である。
【0229】
型板取り付け部29が、前記軸54を中心に回転することで、型板外部を求められるサイズにまで拡張するように設定されており、器壁が垂直に立ち上がっていても成形が可能である。
【0230】
次に、中心軸穴のない作品を制作する異なる実施形態について述べる。
【0231】
中心軸穴のない作品を作るのには、中空配置の中心軸を持ったろくろ図10を使うことで可能であるが、より手軽には二つの突起を備えたコテを使うこともできる。
【0232】
図30はその平面図、図31はその一部断面図、図32はその斜視図である。
【0233】
ここでコテ57は、その一端に二つの突起部29’を備え、突起部を結ぶ中心線付近に型板19を備えたものであり、円柱形をした石膏型の縁または同心円上に切られた溝に二つの接点で接触することにより、型板の位置を特定している。
【0234】
この他にも、コテを、石膏ろくろの成形のようなヤリ板とヤリで支えることもできるし、さらに手だけで支えることによっても、成形は出来る。
【0235】
次に、ネジを切ることのできる実施形態やさらに異なる実施形態について述べる。
図33、図34は、ネジを切っている図である。
【0236】
雄ネジが切ってある垂直軸延長部7に、ネジにはまる雌ネジを備えた浮動コテ11と、スライドする型板取り付け部分28にネジ切り部材43を取り付けることで、成形物24もしくは石膏盤などにネジをきることができる。
【0237】
また、このときスライド式ではなく回転軸を備えた取り付け部分であると、ネジの切削幅が設定しやすい。
【0238】
なおこの作業は、電動ではなく、手によってろくろを少しずつ回転させることにより成形した方がよい。
【0239】
図35Aは、上部に着座部47を備えた垂直軸46と、着座部を中心に傾けることのできる軸48にとりつけたコテを、着座部を中心として傾けることで、作品24を成形しているところである。石膏型17は、上下に分割され、合わせ用軸50で固定されている。
【0240】
図35Bは、着座部との接続部にユニバーサルジョイント58を用いたものである。その他の等速ジョイントを用いても同様に作動する。
【0241】
図36は長い垂直軸と、垂直軸にかぶさる筒51、さらにその筒にかぶさる筒52、およびリンク部53によってコテ19が放射方向に拡張収縮できるようにしたものである。
【0242】
筒51には、軸51’がはまっており、筒52の溝52’と噛み合って、二つの筒が平行にスライドするようになっており、リンク部53の各軸が常に平行であるように構成されており、ハンドル49を下に降ろすことで、型板19は拡張する方向に移動するので、胴が膨らんだ形状でも一体成形が可能である。
筒51と筒51’は、平行にスライドできる形状であれば、円筒である必要はない。
【0243】
図37は、板用の回転軸35を固定した回転盤に、表面にサンドペーパー34を貼り付けた板21を取りつけた一部断面図である。
【0244】
ろくろを回転させると簡易の研磨盤として使用出来、サンドペーパーの番手を変えれば様々な目的に使用が可能である。
【0245】
最良の形態、および異なる形態の使用方法について述べたが、本発明は以上のさまざまな手法において実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0246】
本発明の実施により、今まで専門機器を使用し、高度な熟練がなければできなかった石膏型の設計や成形が、誰にでも実施可能なものとなる。
【0247】
さらに、回転盤に取り付けた垂直軸に石膏型を取り付けて、浮動コテを用いることで、今まで長く苦しい訓練によってしか実現可能でなかった高度なろくろ成形が、簡単な設備によって実施でき、サイズの揃った薄づくりの作品の成形を誰にも可能とすることが出来る。
【0248】
以上の点から、本発明は一般の陶芸教室ならびに、陶芸の施設を持つ養護施設をはじめ、各種美術陶芸の分野で利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0249】
【図1】電動ろくろの天板に回転盤を取り付け、回転盤に垂直軸を取り付け、垂直軸に浮動コテをはめた一部断面図。
【図2】垂直軸Aと、短い垂直軸Bの斜視図。および、短い垂直軸と、前記垂直軸に固定可能な垂直軸延長部の正面図C。および、立ち上がり部分のない垂直軸の平面図、および正面図D。
【図3】垂直軸取り付け部分の拡大図。Aは、張り出し部を備えた垂直軸と、その上部に取り付けられた垂直軸延長部の一部断面図。A’は、張り出し部を備えた垂直軸と、その上部に取り付けられた垂直軸延長部の平面図。Bは、ダブルナットで固定された垂直軸と、その上部に取り付けられた垂直軸延長部7の一部断面図。Cは、横から止める垂直軸固定ネジで固定された垂直軸の一部断面図。Dは、締め付け工具の斜視図。
【図4】金属製型板のついた浮動コテと、それによって研削された石膏盤の上に粘土塊を取り付け、蓋成形用型板をとりつけた浮動コテによって蓋部の成形を行い、型抜きしている一部断面図。
【図5】石膏盤と浮動コテによる蓋部成形の斜視図。
【図6】石膏盤と浮動コテによる蓋受け部成形の一部断面図。
【図7】ツマミ、蓋部、蓋受け部、および本体と蓋受け部接着の断面図。
【図8】2枚の型板を取り付けた浮動コテの立面図と斜視図。
【図9】石膏盤の上部に蓋ものの石膏型を研削する断面図。
【図10】中空配置の中心軸を配置するためのスタンドとアームを取り付けたろくろの斜視図。
【図11】中心軸穴の一端を埋めた石膏型を、短い垂直軸に配置し、中空配置の垂直軸に取り付けた浮動コテで蓋ものの蓋部を成形している一部断面図。
【図12】中心軸穴の一端を埋めた石膏型を配置し、中空配置の垂直軸に取り付けた浮動コテで蓋ものの下部分を成形している一部断面図。
【図13】出来上がった蓋ものの断面図。および、上下を接合した応用例の断面図。
【図14】溝付き板の上に粘土を置き、垂直軸に石膏型成型用型板を取り付けた浮動コテを取り付け、型成形用粘土原型を成形しようとしている一部断面図。
【図15】溝付き板の上に粘土を置き、垂直軸に石膏型成型用型板を取り付けた浮動コテを取り付け、型成形用粘土原型を成形しようとしている斜視図。
【図16】型成形が終了し、溝付き板に型枠板をはめた一部断面図。
【図17】Aは溝付き板と型枠板の構成を示す斜視図。Bは、溝付き板の上に型成形用粘土原型を構成し、周囲に型枠板を立てた斜視図。
【図18】型枠内部に溶かした石膏を流し込み、垂直軸に係止軸穴成形部材をとりつけた状態の一部断面図。
【図19】できあがった石膏型の断面図。
【図20】Aは係止軸穴成形部材の斜視図。Bは係止軸穴埋込部材の斜視図。Cは係止軸穴成形用治具の斜視図。
【図21】金属製型板のついた浮動コテで、石膏型の底部を研削している一部断面図。
【図22】石膏型を垂直軸にはめ、作品用型板を固定した浮動コテ11で成形している状態の一部断面図。
【図23】石膏型を垂直軸にはめ、作品用型板を固定した浮動コテ11で成形している状態の斜視図。
【図24】垂直軸延長部を取り外した状態で、でっぱりを押しつぶし、穴を埋めた状態の一部断面図。
【図25】高台部をカンナによって削っている一部断面一部斜視図。
【図26】筒状作品を、スライドする型板取り付け部を備えた浮動コテで成形している一部断面図。
【図27】筒状作品を、スライドする型板取り付け部を備えた浮動コテ11で成形している斜視図。
【図28】筒状作品を、回転する型板取り付け部を備えた浮動コテ11で成形している平面図。
【図29】筒状作品を、回転する型板取り付け部を備えた浮動コテで11成形している斜視図。
【図30】二つの突起部を備えたコテで作品を成形している平面図。
【図31】二つの突起部を備えたコテで作品を成形している一部断面図。
【図32】二つの突起部を備えたコテで作品を成形している斜視図。
【図33】雄ネジが切ってある垂直軸に、ネジにはまる雌ネジを備えた浮動コテと、スライドする型板取り付け部にネジ切り部材を取り付け、ネジを切っている一部断面図。
【図34】雄ネジが切ってある垂直軸に、ネジにはまる雌ネジを備えた浮動コテと、スライドする型板取り付け部にネジ切り部材を取り付け、ネジを切っている一部断面図。および成形後の作品の断面図。
【図35】Aは、合わせ用の軸で上下に合わせる構造の分割された型をとりつけ、上部に着座部を備えた垂直軸と、着座部を中心に傾けることのできる軸にとりつけたコテを、着座部を中心として傾けることで、作品を成形している一部断面図。Bは、着座部にユニバーサルジョイントを備えたものである。
【図36】長い垂直軸と、垂直軸にかぶさる筒、さらにその筒にかぶさる筒、およびリンク部によってコテを平行移動して作品を成形している一部断面図。
【図37】サンドペーパーを貼り付けた板を、板用の垂直軸と係止軸で固定した簡易の研磨盤の一部断面図。
【図100】参考図。機械ろくろに、湿台(シッタ)、輪湿台(ワシッタ)と石膏型をセットして、コテで作品を成形しているところの一部断面図。
【図101】参考図。石膏ろくろの回転盤 Aは半球形のくぼみがあるもの。Bは溝を備えているものの斜視図。
【図102】参考図。石膏ろくろで石膏を削り、型を制作する図。
【図103】参考図。原型(型原型)、石膏型(捨て型)、合わせ型の断面図、および機械ろくろ用石膏型の斜視図。
【符号の説明】
【0250】
1 ろくろ天板
2 ろくろ回転盤
3 回転盤固定用ボルト
4 回転板固定用つば付きナット
5 石膏型製作用の溝付き板
6 垂直軸固定用切り欠き
6’ 締め付け用穴
6’’締め付け用レンチ
7 垂直軸延長部
8 垂直軸
9 垂直軸下部の張り出し部
9’ 垂直軸下部固定用ダブルナット
9’’ 垂直軸固定ネジ
10 係止軸
11 浮動コテ
11’ 筒
12 石膏型制作用の型板
13 係止軸穴成形用治具
14 型成形用粘土
15 型成形用粘土原型
16 型枠板
16’ 溶かした石膏
16’’ 係止軸穴成形部材
17 石膏型
17’ 石膏型の穴埋めされた部分
18 カンナ
19 作品用型板
20 湿台(シッタ)
21 板
22 係止軸穴
23 穴埋用の切り欠き
24 作品
24’ 接合して一体化する作品
25 切り欠き部によるでっぱり
26 係止軸穴成形軸
27 穴埋めされた部分
28 スライドする型板取り付け部
29 回転する型板取り付け部
29’ 浮動コテの突起部
30 蓋部制作用石膏型
31 蓋部
32 蓋部制作用型板
32’ 蓋受け部制作用型板
33 金属製型板
34 サンドペーパー
35 板用の垂直軸
36 係止軸穴埋込部材
37 ツマミ
38 蓋受け部
38’ 蓋受け部制作用石膏型
39 本体
40 スタンド
41 アーム
42 中空配置の垂直軸
43 ネジ切り部材
44 ストッパー
45 横から止める垂直軸固定ネジ
46 着座部を備えた垂直軸
47 着座部
48 軸
49 軸に取り付けたハンドル
50 合わせ用軸
51 下筒
51’ 固定軸
52 上筒
52’ 上筒の溝
53 リンク部
54 浮動コテ上の軸
55 位置決め用軸
56 軸穴
57 コテ
58 ユニバーサルジョイント
100 回転軸
101 湿台(シッタ)
102 輪シッタ(ワシッタ)
103 石膏型
104 作品
105 コテ
106 ハンドル
107 支柱
108 コテ固定装置
109 石膏素材
110 カンナ(三角)
111 ヤリ(支え棒)
112 型(原型)
113 石膏型(捨て型)
114 合わせ型(1)
115 合わせ型(2)
116 機械ろくろ用石膏型
117 石膏ろくろ回転盤
118 ヤリ板
【出願人】 【識別番号】305037318
【氏名又は名称】山田 明
【出願日】 平成18年7月25日(2006.7.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−23925(P2008−23925A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201442(P2006−201442)