| 【発明の名称】 |
無機質硬化体の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮崎 幸
【氏名】蔦尾 友重
【氏名】横山 祐三
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| 【要約】 |
【課題】十分な吸放湿性能を有するだけでなく、強度が高く、加工性に優れており、さらに製造に際しての反りや曲がり等が生じ難く、平面性に優れた成形体等を得ることを可能とする無機質硬化体材料の製造方法を提供する。
【構成】無水珪酸カルシウム化合物及び珪酸カルシウム水和物を含む無機質粉体100重量部と、珪酸塩化合物を主成分とする多孔質材料80〜500重量部と、無機質粉体と珪酸塩化合物の合計100重量部に対し、2〜20重量部の割合のパルプと、水とからなる混合物を抄造法により脱水しつつ、該混合物からなる複数の混合物層を積層する工程と、前記混合物からなる複数層が積層されてなる積層体を含水率が10〜30重量%となるように賦型し、板状の成形体を得る工程と、複数枚の前記板状の成形体を積層し、加圧された二酸化炭素で硬化処理する工程とを備える、無機質硬化体の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 無水珪酸カルシウム化合物及び珪酸カルシウム水和物を含む無機質粉体100重量部と、 珪酸塩化合物を主成分とする多孔質材料80〜500重量部と、 無機質粉体と珪酸塩化合物の合計100重量部に対し、2〜20重量部の割合のパルプと、 水とを含むスラリー状混合物を抄造法により脱水しつつ、該混合物からなる複数の混合物層を積層する工程と、 前記複数の混合物層が積層されてなる積層体を含水率が10〜30重量%となるように賦型し、板状の成形体を得る工程と、 複数枚の前記板状の成形体を積層し、加圧下の二酸化炭素で硬化処理する工程とを備えることを特徴とする、無機質硬化体の製造方法。 【請求項2】 前記無機質硬化体として、電子部品が取り付けられる基板が製造される、請求項1に記載の無機質硬化体の製造方法。 【請求項3】 前記基板が、電力・通信機器収納ボックス内に配置される基板である、請求項2に記載の無機質硬化体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、調湿作用を有する無機質硬化体の製造方法に関し、例えば、電力・通信機器の収納ボックス内に配置される調湿材であって、特に、電子部品を取り付けるための基板として用いるのに好適な無機質硬化体の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 発電所から供給される高電圧の電力を分電する分電盤が組み込まれているボックスや、電力機器を操作するための操作盤が収納されているボックス、あるいは通信機器を風雨から保護するために、通信機器を収納している小型のボックスなどでは、電力が供給されている状態では、ボックス内の温度は比較的高く、相対的湿度は比較的低い状態で保たれている。しかしながら、電力の供給が停止されると、ボックス内の温度は急激に低下する。そのため、ボックス内の相対的湿度が急激に上昇し、ボックス内の電子部品等に結露が生じたり、絶縁不良や漏電が生じたりすることがある。この傾向は、温度変化が激しい、屋外に設置されるボックスにおいて特に顕著であった。従って、従来、このような問題を解決するために、様々な方法が試みられている。 【0003】 例えば、大型のボックスの場合、内部に電気ヒーターを組み込み、ボックス内の温度低下を抑制し、結露を防止する対策が採用されている。この方法では、結露を確実に防止し得るものの、そのための電力を必要としていた。そのため、ランニングコストがかかるだけでなく、省エネルギーを進めることができなかった。また、電子部品類は、高温下に長時間曝されると、故障したり、誤作動を引き起こすおそれがあった。 【0004】 電気ヒーターを用いない方法として、乾燥剤をボックス内に配置し、ボックス内の余分な水分を吸湿させ、結露を防止する方法も試みられている。この方法では、電気ヒーターが設置できない小型のボックス内においても、乾燥剤を容易に配置することができ、結露防止対策を図ることができる。しかしながら、乾燥剤は、吸湿作用のみを有する材料である。従って、短期間に乾燥剤中の水分量が飽和状態に達すると、吸湿能力がなくなってしまう。そのため、頻繁に乾燥剤を交換しなければならなかった。また、吸湿能力が限界に達する時点を把握することが困難であるため、メンテナンスに多大の労力を必要とするという問題があった。 【0005】 上記のような現状に鑑み、下記の特許文献1には、吸水性ポリマーを利用した調湿材をボックス内の結露防止に用いることが開示されている。特許文献1に記載の調湿材は、吸放湿作用を有する吸水ポリマーを用いているので、周囲の相対的湿度が高くなると、吸水ポリマー中に水蒸気が吸収され、周囲の相対的湿度が低くなると、吸水ポリマーから水蒸気が放出される。従って、上記乾燥剤とは異なり、断続的に結露防止作用を発揮させることができる。 【0006】 しかしながら、電力・通信機器収納ボックス内では、温度の変動が大きいことが多い。そのため、相対湿度の変動も大きくなりがちであった。従って、電力・通信機器収納ボックス内において、基板に取り付けられている電子部品などを結露から守るには、電子部品の近傍に調湿材を配置することが望ましい。よって、電子部品が取り付けられる基板が調湿材により構成されていることがもっとも望ましいと考えられる。 【0007】 もっとも、このような基板では、強度が十分高く、かつ加工性に優れていることが求められる。特許文献1に記載の吸水ポリマーのような調湿材では、このような要求を満たすことは難しく、従って、電子部品が取り付けられる基板材料として用いることはできなかった。 【0008】 これに対して、下記の特許文献2は、抄造成形法により賦型された珪酸カルシウム化合物と、パルプと、吸放湿材との混合物を炭酸化硬化処理することにより得られた、無機質多孔質材料の製造方法が開示されている。 【0009】 特許文献2に記載の製造方法により得られた無機質多孔質材料は、十分な強度を有し、加工性においても優れている。従って、電子部品が取り付けられる上記基板としてこの無機質多孔質材料を用いることは可能である。しかしながら、炭酸化硬化処理の際に、材料中に水分を必要とするため、硬化過程において、成形体内部に比較的大きな含水率分布が生じがちであった。そのため、得られた成形体に反りや曲がりが生じやすかった。従って、この無機質多孔質材料は、十分な平面性が要求される上記基板として用いるには問題があった。 【特許文献1】特開2003−134618号公報 【特許文献2】特開2004−322546号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明の目的は、上述した従来の調湿材料の問題点に鑑み、十分な吸放湿性能を有するだけでなく、強度が高く、加工性に優れており、さらに製造に際しての反りや曲がり等が生じ難く、平面性に優れた成形体等を得ることを可能とする無機質硬化体材料の製造方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明の無機質硬化体は、無水珪酸カルシウム化合物及び珪酸カルシウム水和物を含む無機質粉体100重量部と、珪酸塩化合物を主成分とする多孔質材料80〜500重量部と、無機質粉体と珪酸塩化合物の合計100重量部に対し、2〜20重量部の割合のパルプと、水とを含むスラリー状混合物を抄造法により脱水しつつ、該混合物からなる複数の混合物層を積層する工程と、前記複数の混合物層が積層されてなる積層体を含水率が10〜30重量%、好ましくは、15〜25重量%となるように賦型し、板状の成形体を得る工程と、複数枚の前記板状の成形体を積層し、加圧下の二酸化炭素で硬化処理する工程とを備えることを特徴としている。 【0012】 本発明の製造方法では、好ましくは、上記無機質粉体として、無水珪酸カルシウム化合物と、珪酸カルシウム水和物とからなる無機質粉体が用いられ、それによって、十分な強度及び吸放湿性能を実現することができるとともに、珪酸カルシウム水和物の配合により、表面の平滑性を高めることができる。 【0013】 また、本発明では、好ましくは、上記無機質硬化体として、電力・通信機器収納ボックス内の調湿材が製造され、電力・通信機器収納ボックス内においては、温度変化及び湿度変化が大きいが、本発明による無機質硬化体によれば、十分な調湿作用が発揮され、電力・通信機器収納ボックス内の湿度の変化を抑制することができる。 【0014】 特に、電力・通信機器収納ボックス内において電子部品が取り付けられる基板として、本発明の製造方法による無機質硬化体が用いられる場合、十分な機械的強度を有し、平面性に優れているため、電子部品を取り付ける基板として適切であり、しかも調湿作用を発現するため、電子部品の結露を確実に防止することができる。 【0015】 以下、本発明の詳細を説明する。 【0016】 本発明において用いられる無水珪酸カルシウム化合物及び珪酸カルシウム水和物は、水分の存在下で加圧された二酸化炭素と反応することにより、炭酸カルシウムと非晶質シリカとを生じ、得られた硬化体において十分な強度及び吸放湿性能を発現させる。無水珪酸カルシウム化合物としては、ワラストナイトやセメントなどの適宜の無水珪酸カルシウム化合物を用いることができる。中でも、反応速度が速く、硬化体物性の化学的安定性が優れているので、ワラストナイトを用いることが好ましい。 【0017】 ワラストナイトとはCaSi03で示される珪酸カルシウムからなる珪酸塩鉱物であり、白色の繊維状又は塊状物として天然に産出される。一般にその繊維状の形状を利用して、アスベスト代替等の補強部材として利用されている。 【0018】 上記ワラストナイトとしては、微粉砕処理を行い比表面積を増加させたワラストナイトが好ましく、粒子の大きさは平均粒径で10μm以下が好適である。平均粒径が10μmより大きい場合、粒子の内部まで炭酸化反応が進行しにくくなることがある。 【0019】 また、上記ワラストナイトの粉体粒度の体積分布において、累積10%径が1μm以下であるものが好ましい。上記粉体粒度の体積分布とは、粉体の粒度分布を粒子の体積によって表した値であり、その累積10%径とは、粒径の小さいものから粒子全体積の10%に相当する粒子の粒子径である。累積10%径が1μmを越える場合は炭酸化処理における反応性が小さくなり、炭酸化硬化体を形成するために長時間もしくは高い圧力を必要とすることがある。 【0020】 上記の、微粉砕処理により比表面積を増加させたワラストナイト以外のワラストナイトを使用する場合は、アスペクト比が5〜25であるものが好ましく、アスペクト比が10〜23であるものがより好ましい。 【0021】 アスペクト比が5未満であると、炭酸化処理前の賦形工程で、ワラストナイトの配向が効率的に起こらず賦形体の緻密化が不十分で、炭酸化硬化後の機械的強度が小さくなる傾向があり、アスペクト比が25を超えると、ワラストナイト繊維同士の絡み合いが大きく、嵩密度が大きくなり、賦形に高圧かつ、長時間のプレス成形が必要となる傾向がある。 【0022】 なお、上記のようなアスペクト比を有するワラストナイトは、特に限定されないが、たとえば、ジェットミルなどによる粉砕と分級処理により得ることができる。 【0023】 また、上記ワラストナイトは、高いエネルギーを与える処理を行うことなどにより活性化されたものであることが好ましい。活性化することで、ワラストナイトの連鎖珪酸塩構造を変化させることができ、ワラストナイトの反応性を高めることができる。 【0024】 上記活性化は、例えば、ワラストナイト粉体に粉砕媒体などを用いて機械的エネルギーを与えることにより果たされる。上記機械的エネルギーとしては特に限定されず、例えば、圧縮力、剪断力、衝撃力、摩擦力等によるエネルギーが挙げられる。 【0025】 また、本発明では、上記無水珪酸カルシウム化合物に加えて、上記珪酸カルシウム水和物が用いられる。無水珪酸カルシウム化合物のみを用いた場合、得られた硬化体表面に、未反応物質による凹凸が生じやすいという問題がある。珪酸カルシウム水和物を用いることにより、このような凹凸の発生を抑制することができ、得られる硬化体の表面の平滑性を高めることができる。 【0026】 上記無水珪酸カルシウム化合物と、珪酸カルシウム水和物との配合割合は特に限定されないが、好ましくは、強度を高くでき、かつ加工性が優れているため、無水珪酸カルシウム化合物及び珪酸カルシウム水和物の合計の内、珪酸カルシウム水和物の割合を5〜30重量%とすることが望ましい。 【0027】 上記珪酸カルシウム水和物としては、特に限定されないが、例えば、セメント水和物などが挙げられる。 【0028】 本発明では、無水珪酸カルシウム化合物及び珪酸カルシウム水和物の合計100重量部に対し、珪酸塩化合物を主成分とする多孔質材料が80〜500重量部の割合で配合される。珪酸塩化合物を主成分とする多孔質材料の配合割合を上記範囲内とすることにより、十分な調湿性能を得ることができ、かつ得られた無機質硬化体の機械的強度を十分高くすることができる。上記多孔質材料の配合割合が80重量部未満の場合には、十分な調湿性能が得られず、結露防止効果が得られないおそれがある。また、上記珪酸塩化合物を主成分とする多孔質材料の配合割合が500重量部を超えると、得られた無機質硬化体の機械的強度が十分高くならない。 【0029】 上記珪酸塩化合物としては、アロフェン、イモゴライト、バーミキュライト、パリゴルスカイト、珪藻土等の多孔質粘土鉱物がある。これらの粘土鉱物は自然界に存在し、吸放湿性能を有するが、先に記載するような電力・通信用ボックス内に結露防止材として適用するためには、細孔径の制御と結晶水の制御し、広い相対湿度範囲で、素早く吸湿可能な多孔質材料とする事が必要である。細孔径、結晶水を制御する方法としては、熱処理や、粉砕機による機械的エネルギーを付与などが考えられる。比較的低いエネルギーで、細孔径が制御可能な事、また加えるエネルギーの量により高度に結晶水量を制御できる点では、パリゴルスカイトが好ましい。 【0030】 なお、上記珪酸塩化合物を主成分とする多孔質材料は、上記珪酸塩化合物のみから構成されることが好ましいが、珪酸塩化合物をもっとも多い成分として、すなわち主成分として含有する限り、珪酸塩化合物以外の他の多孔質材料を含んでいてもよい。 【0031】 本発明では、上記無水珪酸カルシウム化合物及び珪酸カルシウム水和物と、上記珪酸塩化合物との合計100重量部に対し、パルプが2〜20重量部の割合で配合される。パルプの配合割合がこの範囲内とされることにより、得られる無機質硬化体の加工性が高められ、かつ耐熱性も十分となる。パルプの配合割合が少な過ぎると、得られる無機質硬化体の加工性が低下し、多過ぎると、耐熱性が低下する。 【0032】 また、本発明では、上記無水珪酸カルシウム、珪酸カルシウム水和物、珪酸塩化合物及びパルプからなる混合物に、さらに水が配合される。この水は、混合物に流動性を与え、抄造法により賦型することを可能とするために用いられる。 【0033】 抄造法については、その方式は特に限定されず、例えば、丸網や長網などを用いたハチェック方式として知られている公知の方法を好適に用いることができる。 【0034】 図1は、周知のハチェック式抄造法による製造方法の概略構成を示す模式図である。 【0035】 図1に示すように、ハチェック式抄造法では、例えば、搬送部材としての長尺状のフェルト1が図示の矢印方向に搬送される。そして、フェルト1の長手方向に沿って、複数のタンク2〜6が配置されている。タンク2〜6内には、それぞれ、スラリーAが収納されている。このスラリーAは、上述した無水珪酸カルシウム、珪酸カルシウム水和物、珪酸塩化合物、パルプ及び水からなる混合物である。 【0036】 そして、フェルト1は、シャワー7,8から水を供給され、フェルト1に水が含浸される。そして、フェルト1は、タンク2の上方に移動され、丸網9とローラー10との間に供給される。丸網9により、タンク2内のスラリーがフェルト1の片面に塗布される。この場合、丸網9において、脱水されつつ、スラリーがフェルト1の片面に転写されることになる。すなわち、脱水された混合物層がフェルト1の片面に形成されることになる。 【0037】 しかる後、同様にして、丸網11〜14と、ローラー15〜18間を通過することにより、5層の混合物層がフェルト1の片面に積層されることになる。そして、ローラー19〜21を通過する際に、真空吸引装置22,23により吸引されさらに脱水される。次に、巻き取りロール24の外表面に、上記フェルト1に支持された5層の混合物層が供給される。巻き取りロール24の表面において、上記5層の混合物層が巻き取られつつ、さらに巻き取りロール24の外表面でより多くの層数の積層体となるように巻き取られていく。 【0038】 このようにして、巻き取りロール24の外表面に、複数の混合物層がさらに積み重ねられていき、例えば20層〜50層の混合物層からなる積層体が巻き取りロール24の外周面に形成されることになる。 【0039】 そして、このような多層の積層体を、次に、巻き取りロール24から取り出し、切断し、板状の積層体を得る。この板状の積層体を、さらにプレス等により加圧し、もしくは乾燥等により脱水することにより、含水率が10〜30重量%、好ましくは、15〜25重量%となるように賦型された板状の成形体を得る。 【0040】 なお、図1では、上記ハチェック式抄造法により、複数の混合物層からなる積層体を得る工程を示したが、ハチェック式抄造法以外に、例えば、フローオン抄造法として知られている単層のシートを得る方法を用いてもよく、その場合には、得られた単層のシートを複数枚積層し、高圧プレスし、含水率が10〜30重量%とされた板状の成形体を得ればよい。 【0041】 すなわち、本発明において、抄造法により、混合物層を複数層積層し、含水率が10〜30重量%となるように賦型された板状の成形体を得る工程自体については、従来より公知の様々な成形方法により行うことができる。 【0042】 なお、成形体中の水分量は、炭酸化反応を促進する上で重要制御因子となり得るが、含水率が10重量%より低いと、無水珪酸カルシウム、及び珪酸カルシウム水和物中から生成されるカルシウムイオンの量が少なく、炭酸化反応が充分に進まず、強度が得られない。含水率が30重量%より高いと、二酸化炭素の拡散が阻害され、炭酸化反応が充分に進まず、強度が得られない。 【0043】 本発明では、上記のようにして得られた板状の成形体を複数枚積層し、二酸化炭素で硬化処理が行われる。この場合、上記複数の混合物層を積層して得られた板状の成形体をさらに複数積層した後に、炭酸化硬化処理が行われているため、反りや曲がりが生じ難い、板状の無機質炭酸化硬化体を得ることができる。 【0044】 すなわち、複数枚の板状の成形体を積層した後に炭酸化硬化処理を施すことにより、反りを低減することができる。この場合、炭酸化硬化処理に際し、中央に挟まれた板状の成形体の内部に硬化処理に必要な十分な二酸化炭素を供給するには、板状の成形体自体に一定の隙間が必要である。本発明では、各板状の成形体が、複数の上記混合物層を積層することにより形成されているので、この層間に隙間が生じ、それによって、中央に位置されている板状の成形体においても、内部に十分な量の二酸化炭素が供給される。従って、反りが生じないように複数枚の板状の成形体を積層し、炭酸化硬化処理を行った場合でも、中央に挟まれている板状の成形体にも、十分な量の二酸化炭素が供給され、硬化が確実に進行する。 【0045】 なお、上記板状の成形体を構成するために積層される上記混合物層の厚みと特に限定されないが、炭酸化反応を十分に進行させるには、0.3〜2.0mm程度であることが好ましい。 【0046】 また、本発明では、上記板状の成形体が複数枚積層された状態で、炭酸化硬化処理が行われるが、この場合の成形体の枚数は特に限定されず、例えば、2〜10枚程度が好ましく、特に3〜5枚程度がより好ましい。板状の成形体の枚数が多くなり過ぎると、中央に挟まれた成形体の炭酸化硬化反応が十分に進行しない可能性があり、少な過ぎると、無機質硬化体の平面性が損なわれるおそれがある。 【0047】 炭酸化処理の温度としては、特に限定されないが、反応量と工業生産性の観点から、室温〜200℃の範囲が好ましく、40℃〜120℃がより好ましい。処理温度が低すぎると、炭酸化の反応量が減少するため炭酸化硬化体の強度が低下する傾向があり、処理温度が高すぎると炭酸化の反応量が少なからず増加するものの、大きなエネルギーが必要となるため工業生産性の観点から好ましくない。 【0048】 炭酸化処理の圧力としては、特に限定されないが、反応量と工業生産性の観点から、0.2MPa〜20MPaの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1MPaである。すなわち、0.2MPaより低い場合、炭酸化反応量が低下し、強度が低下する傾向があり、20MPaより高い場合、炭酸化反応量はほとんど変化せず、大きなエネルギーが必要となるため工業生産性の観点から好ましくない。 【0049】 また、炭酸化処理時間は、特に限定されないが、反応量と工業生産性の観点から、5分〜300分の範囲内であることが好ましい。すなわち、処理時間が5分に満たない場合、炭酸化反応量が低下し強度が低下する傾向があり、300分を越える場合、炭酸化反応量はほとんど変化しないが、生産性が低くなる。 【発明の効果】 【0050】 本発明に係る無機質硬化体の製造方法では、無水珪酸カルシウム化合物及び珪酸カルシウム水和物を含む無機質粉体100重量部と、珪酸塩化合物を主成分とする多孔質材料80〜500重量部と、これらの合計100重量部に対し、2〜20重量部のパルプと水からなる混合物を抄造法により抄造し、複数の混合物層を積層した後に、含水率が10〜30重量%となるように賦型することにより、板状の成形体が得られ、この場合、板状の成形体中には、上記混合物層間に層間間隙が形成されることとなる。そして、このようにして得られた板状の成形体を複数枚積層し、加圧下の二酸化炭素で硬化処理が行われる。この場合、各成形体に上記層間間隙が生じるため、中央に配置されている板状の成形体にも十分な量の二酸化炭素が供給され、従って、炭酸化硬化処理が確実に行われ、しかも、複数枚の板状の成形体が積層された状態で炭酸化硬化処理が行われるため、平面性に優れた板状の無機質硬化体を得ることができる。 【0051】 よって、本発明によれば、上記のようにして得られた調湿作用を有する無機質硬化体であって、平面性に優れ、しかも加工性に優れているため、例えば、電力・通信機器収納ボックス内の調湿材、特に電子部品が取り付けられる基板であって、調湿作用を有する基板に好適な無機質硬化体を提供することが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0052】 以下、本発明の実施例及び比較例を示すことにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されものではない。 【0053】 (実施例1) <サンプルの準備> 無水珪酸カルシウム化合物としてワラストナイト鉱物(関西マテック(株)製、KGP−H65)、珪酸カルシウム水和物として普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)、多孔質の珪酸塩化合物としてパリゴルスカイト(オーストラリア、ハドソン社製、200メッシュ品、250℃焼成品)及びパルプ繊維(ALABAMA Liver 叩解品)を73:27:110:8(重量比)で混合した組成物100重量部と、水400重量部とを市販のミキサーで混合し、混合物を得た。このスラリー状混合物を丸網式抄造機を用いた抄造法により脱水しつつ成形し、約0.9mmの厚みの混合物層を積層し、板状の成形体を得た。得られた成形体を面圧15.0Mpaで100秒間加圧プレスし、含水率を20%に調整した。得られた板状の成形体を5枚積載し、温度100℃1時間、圧力0.9MPaの二酸化炭素環境下に放置し、厚さ5.5mmの板状の炭酸化硬化体を5枚得た。得られた炭酸化硬化体のうち、中央に積載した、すなわち上から3枚目の板状の炭酸化硬化体にて下記の評価1〜評価3の評価を行った。 【0054】 (比較例1) 加圧プレスの条件を10.0MPa、10秒とし、含水率を32重量%としたことを除いては、実施例1と同様として炭酸化硬化体を得た。 【0055】 (比較例2) 炭酸化硬化処理の際、板状の成形体を複数枚積載せず、1枚ずつ処理した。 【0056】 (比較例3) 実施例1において、ワラストナイト、普通ポルトランドセメント、パリゴルスカイト、パルプの配合を、73:27:600:35(重量比)にしたこと以外は同様として炭酸化硬化体を得た。 【0057】 下記の評価1〜3に際して、実施例1では、上記のように中央に積載されていた板状の炭酸化硬化体をサンプルとし、比較例1及び3においても、同様に、中央に積載されていた炭酸化硬化体をサンプルとした。また、比較例2では、炭酸化硬化処理が、板状の成形体1枚毎に行われているので、いずれかの炭酸化硬化体をサンプルとした。 【0058】 <評価1>:吸放湿性能の評価 得られたサンプルの片面、小口を市販のアルミ箔でシールした後、温度25℃、相対湿度53%の環境下に含水平衡に到達するまで放置し、次に25℃相対湿度75%に24時間放置し、試験前後の重量差より吸湿量を算出した。 【0059】 <評価2>:加工性の評価 得られたサンプルを300mm×200mmに切断し、更に、図2に丸孔で示す位置に鉄鋼用ドリル10mmにて穴あけ加工を行った。ひび割れや、加工面を外観で評価した。 【0060】 <評価3>:反りの評価 得られたサンプルを320mm×150mmに切断し、JIS A 5422に基づく反り試験によりたわみ量を測定した。 【0061】 【表1】
【図面の簡単な説明】 【0062】 【図1】本発明の無機質硬化体の製造方法に利用されるハチェック式抄造法を説明するための概略構成図。 【図2】実施例1で製造された板状の炭酸化硬化体サンプルを説明するための平面図。 【符号の説明】 【0063】 1…フェルト 2〜6…タンク 7,8…シャワー 9…丸網 10…ローラー 11〜14…丸網 15〜18…ローラー 19〜21…ローラー 22,23…真空吸引装置 24…巻き取りロール 31…炭酸化硬化体
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002174 【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月13日(2006.7.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086597 【弁理士】 【氏名又は名称】宮▲崎▼主税
【識別番号】100095382 【弁理士】 【氏名又は名称】目次 誠
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| 【公開番号】 |
特開2008−18634(P2008−18634A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−192838(P2006−192838) |
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