トップ :: B 処理操作 運輸 :: B28 セメント,粘土,または石材の加工

【発明の名称】 PC部材の製造装置および製造方法
【発明者】 【氏名】横井 謙二

【氏名】牧本 有功

【氏名】大竹 明朗

【要約】 【課題】一度に多数の高品質なPC部材(プレストレストコンクリート部材)を製造することのできるPC部材の製造装置および製造方法を提供する。

【構成】緊張側アバット51,51と、反力受け側アバット54とからなるアバットユニットと、アバットユニット間に配設された1以上の型枠ユニット10,…とから製造装置100が構成される。型枠ユニット10は、底枠43と、PC用鋼材7,…が貫通するとともに対向する側枠1,2、側枠42,42から構成されており、側枠1,2の対応する位置にはそれぞれ縦スリット11,21が形成されている。一方の縦スリットには、複数の凹溝12,…と、各凹溝12に収容されたPC用鋼材7をロックするロック機構が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレテンション方式によってプレストレスが導入されるPC用鋼材を備えたPC部材を製造するPC部材の製造装置であって、
前記PC部材の製造装置は、緊張側アバットと、緊張力導入時の反力を受ける反力受け側アバットと、からなるアバットユニットと、
前記アバットユニット間に配設された1以上の型枠ユニットと、を具備しており、
前記型枠ユニットは、底枠と、前記PC用鋼材が貫通するとともに対向する第1の側枠と第2の側枠を少なくとも具備しており、
前記第1の側枠と前記第2の側枠の対応する位置にはそれぞれ縦スリットが形成されており、
いずれか一方の縦スリットには、PC用鋼材を位置決め固定する位置決め固定手段が設けられていることを特徴とするPC部材の製造装置。
【請求項2】
前記位置決め固定手段は、縦スリットに連通するとともに該縦スリットの側方に形成された凹溝からなることを特徴とする請求項1に記載のPC部材の製造装置。
【請求項3】
前記位置決め固定手段は、縦スリットに連通するとともに該縦スリットの側方に形成された凹溝と、
前記凹溝に収容されたPC用鋼材をロックするロック機構と、からなることを特徴とする請求項1に記載のPC部材の製造装置。
【請求項4】
前記縦スリットにPC用鋼材が配設された姿勢において、前記第1の側枠と前記第2の側枠には、それぞれの縦スリットを塞ぐ閉塞部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のPC部材の製造装置。
【請求項5】
前記閉塞部材は側枠の内側に取り付けられるようになっており、該側枠の閉塞部材が取り付けられる箇所には、閉塞部材の厚みに応じた窪み部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のPC部材の製造装置。
【請求項6】
プレテンション方式によってプレストレスが導入されるPC用鋼材を備えた2以上のPC部材を一度に製造するPC部材の製造方法であって、
底枠と、PC用鋼材が貫通する縦スリットを備えるとともに対向する第1の側枠と第2の側枠と、から少なくとも構成される型枠ユニットを複数用意し、緊張側アバットと緊張力導入時の反力を受ける反力受け側アバットとの間に複数の前記型枠ユニットを設置する第1の工程と、
それぞれの型枠ユニットの側枠の縦スリットに所定本数のPC用鋼材を貫通させ、かつ、それぞれの型枠ユニットの一方の側枠にPC用鋼材を位置決め固定してPC用鋼材をアバットユニット間に掛け渡す第2の工程と、
それぞれのPC用鋼材に緊張力を導入し、それぞれの型枠ユニット内にコンクリートを打設し、コンクリートが所定の強度を発現した段階で緊張力を解放してコンクリート内にプレストレスを導入する第3の工程と、からなることを特徴とするPC部材の製造方法。
【請求項7】
前記PC用鋼材の位置決め固定方法は、縦スリットに連通するとともに該縦スリットの側方に形成された凹溝にPC用鋼材を収容し、凹溝に収容されたPC用鋼材をロックする方法であることを特徴とする請求項6に記載のPC部材の製造方法。
【請求項8】
前記第2の工程において縦スリットにPC用鋼材が位置決め固定された後、前記第1の側枠と前記第2の側枠には、それぞれの縦スリットを塞ぐ閉塞部材が取り付けられることを特徴とする請求項6または7に記載のPC部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プレテンション方式によってPC部材を製造する際に使用される製造装置と製造方法に係り、特に、その製造効率の向上を図ることのできるPC部材の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に引張力に弱いコンクリートに対して、予め、ないしはコンクリートの硬化後に緊張力(圧縮力)を付与することにより、引張力やひび割れ等に対する強度が高められたプレストレストコンクリート部材(以下、PC部材という。)が建設分野では多用されている。このプレストレスは、PC鋼線やPC鋼より線、PC鋼棒といったPC用鋼材に緊張力が導入され、PC用鋼材とコンクリートとの付着力を介して、コンクリートにプレストレスとして導入されるものである。プレストレスの導入方式としては、PC用鋼材に予め緊張力を導入しておき、コンクリート硬化後に緊張力を解放するプレテンション方式と、コンクリートの硬化後に、該コンクリート内に(シース管等を介して)埋設されたPC用鋼材に緊張力を導入するポストテンション方式とがある。
【0003】
ところで、上記プレテンション方式によってPC部材を製造する場合には、緊張ジャッキを備えた緊張側アバットと、緊張力に抗する反力受け側アバットとを所定の間隔を置いて対向配置させ、その間にPC部材製造用の型枠を設置し、型枠の側壁を貫通させたPC用鋼材の両端部を緊張側アバット(の緊張ジャッキ)と反力受け側アバットに固定する。型枠内にフレッシュなコンクリートを打設する前に、ジャッキにてPC用鋼材に緊張力を導入しておき、コンクリートを打設し、その硬化を待って緊張力を解放することにより、コンクリート内に所定のプレストレスが導入される。かかるPC部材(PC構造体またはPC版)の製造装置にかかる従来技術として、例えば特許文献1,2に開示の装置を挙げることができる。
【0004】
プレテンション方式によってPC部材を製造する従来の製造設備(型枠ユニット)では、PC鋼線等のPC用鋼材を型枠内に設置するに際し、その側枠に鋼線本数分の貫通孔を設けて1本ずつ貫通させる方法や、側枠に縦方向の長孔を設けて複数本の鋼線を通す方法などが一般的であり、製造ライン上で複数のPC部材を一気に製造するには多大な手間と製造時間を要し、結果として製造コストの高騰に直結していた。この問題は、上記する特許文献1,2に開示の装置によっても解決することはできない。
【特許文献1】特開2004−346630号公報
【特許文献2】特開2003−266422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、プレテンション方式によってPC部材を製造するに際し、複数のPC部材を一度に効率的に製造することのできるPC部材の製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成すべく、本発明によるPC部材の製造装置は、プレテンション方式によってプレストレスが導入されるPC用鋼材を備えたPC部材を製造するPC部材の製造装置であって、前記PC部材の製造装置は、緊張側アバットと、緊張力導入時の反力を受ける反力受け側アバットと、からなるアバットユニットと、前記アバットユニット間に配設された1以上の型枠ユニットと、を具備しており、前記型枠ユニットは、底枠と、前記PC用鋼材が貫通するとともに対向する第1の側枠と第2の側枠を少なくとも具備しており、前記第1の側枠と前記第2の側枠の対応する位置にはそれぞれ縦スリットが形成されており、いずれか一方の縦スリットには、PC用鋼材を位置決め固定する位置決め固定手段が設けられていることを特徴とする。
【0007】
ここで、PC用鋼材は、任意仕様のPC鋼線、PC鋼棒、PC鋼より線などを含むものである。また、製造されるPC部材としては、PC桁、PC柱やPC床版など、プレキャスト製のPC部材全般を包含するものである。
【0008】
本発明の製造装置は、PC部材に緊張力を付与するための緊張側アバットおよび反力受け側アバットからなるアバットユニットと、アバットユニット間に配設される1以上(一般には2以上で、PC部材の大量生産に際しては多数)の型枠ユニットとから大略構成されている。
【0009】
ここで、各型枠ユニットは、例えば鋼製の底枠および側枠から形成されており、かつ、アバットユニット間に張設されるPC用鋼材が貫通する対向した側枠(第1の側枠と第2の側枠)の対応する位置には、それぞれに縦スリットが形成されている。この縦スリットは、各側枠に1本ないしは所定の間隔を置いて2以上設けられている。
【0010】
本発明の製造装置は、上記する縦スリットが、その内部に収容されるPC用鋼材の横方向の位置決めと縦方向の位置決めの双方を容易におこなうことをその大きな目的としている。まず、横方向の位置決め(または横方向の拘束)は、縦スリットのスリット幅をPC用鋼材と同程度の幅に設定することで実現できる。一方、PC用鋼材の縦方向の位置決め(例えば複数のPC用鋼材が一つの縦スリット内に収容される場合に、各PC用鋼材が縦方向の所定レベル位置に位置決めされる)は、縦スリットに設けられた適宜の位置決め固定手段によっておこなわれる。
【0011】
例えば、第1の側枠に形成される縦スリットに上記する位置決め固定手段を設けるとともに該縦スリットの幅をPC用鋼材の幅よりも余裕を持たせた形態とし、第2の側枠に形成される縦スリットはその幅をPC用鋼材と同程度の幅に設定することにより、所定本数のPC用鋼材を第1の側枠と第2の側枠によって効果的に位置決めすることが可能となる。
【0012】
上記構成の型枠ユニットが複数設けられ、例えば、任意の型枠ユニットの第1の側枠と隣接する型枠ユニットの第2の側枠が対向するように各型枠ユニットを配設し、すべての型枠ユニットの第1、第2の側枠の縦スリットにPC用鋼材を貫通できるように製造装置を構成することによって、アバットユニット間に掛け渡されるPC用鋼材の延長が長くなった場合でも、各型枠ユニットの第1、第2の側枠間においてPC用鋼材を所定の位置に位置決めすることができる。
【0013】
また、本発明によるPC部材の製造装置の他の実施の形態において、前記位置決め固定手段は、縦スリットに連通するとともに該縦スリットの側方に形成された凹溝からなることを特徴とする。
【0014】
この位置決め固定手段の実施の形態は極めて簡易な構成であるが、縦スリットの側方にPC用鋼材の本数分の凹溝が設けられたものである。例えば、この縦スリットの幅をPC用鋼材の幅と同程度に設定しておき、縦スリットに各PC用鋼材を通して各凹溝に嵌め込むだけでPC用鋼材の縦方向の位置決め固定が実現できる。
【0015】
また,本発明によるPC部材の製造装置の他の実施の形態において、前記位置決め固定手段は、縦スリットに連通するとともに該縦スリットの側方に形成された凹溝と、前記凹溝に収容されたPC用鋼材をロックするロック機構と、からなることを特徴とする。
【0016】
この位置決め固定手段の実施の形態は、既述する縦スリットに形成された凹溝に加えて、凹溝に収容されたPC用鋼材をロックするロック機構を備えたものである。位置決め固定手段を具備する縦スリットにおいては、その幅をPC用鋼材の幅よりも相対的に大きな幅に設定することが、他方の側枠の縦スリットの幅がPC用鋼材の幅程度に設定されている場合に、PC用鋼材の設置作業が容易となる。この場合、縦スリットの凹溝にPC用鋼材を嵌め込んでも、該縦スリットの幅が大きめに設定されていることで、PC用鋼材が凹溝から縦スリット側へ外れ易くなるという問題が生じ得る。
【0017】
そこで、縦スリットに所定数の凹溝を設けるとともに、PC用鋼材が凹溝に収容された段階で、縦スリットの一部の幅を閉塞してPC用鋼材が凹溝から縦スリット側へ落ち込むことを防止する適宜のロック機構を設けるものである。
【0018】
また、本発明によるPC部材の製造装置の好ましい実施の形態は、前記縦スリットにPC用鋼材が配設された姿勢において、前記第1の側枠と前記第2の側枠には、それぞれの縦スリットを塞ぐ閉塞部材が取り付けられていることを特徴とする。
【0019】
側枠に縦スリットを設けたことにより、この縦スリットにPC用鋼材を貫通させた状態において、この縦スリットにはコンクリート充填時のコンクリート漏洩部が形成される。そこで、かかるコンクリート漏洩部を閉塞することを目的として、この縦スリットに適宜の閉塞部材を取り付けるものである。この閉塞部材としては、例えば側壁に接着可能な粘着面を有し、PC用鋼材を容易に通すことのできる切欠き部を備えたシート材ないしは面材を適用することができる。
【0020】
また、上記する閉塞部材が側枠の内側に取り付けられる場合には、該側枠の閉塞部材が取り付けられる箇所において、閉塞部材の厚みに応じた窪み部を設けることもできる。閉塞部材が側枠の窪み部に取り付けられることで、製造されるPC部材に該閉塞部材による段差部が生じないようにすることができる。また、プレキャスト部材の端部に塩害対策処理を施す場合には、成形されたプレキャスト部材の端面に積極的に窪みを形成するために、側枠の内側に上記する窪み部を設ける必要はない(この場合、閉塞部材の厚み分の窪みが形成される)。プレキャスト部材の端面に形成された窪みに適宜の端部処理材を塗布し、表面仕上げをすることによってプレキャスト部材が製造される。
【0021】
本発明のPC部材の製造装置によれば、上記する型枠ユニットを複数使用することで、PC用鋼材の縦方向および横方向の位置決めを効率的かつ精度よくおこなうことが可能となる。したがって、製造されるPC部材の品質の確保(所望の内部位置にPC用鋼材が配設されたPC部材)と、製造歩留まりの向上を実現することができる。
【0022】
また、本発明によるPC部材の製造方法は、プレテンション方式によってプレストレスが導入されるPC用鋼材を備えた2以上のPC部材を一度に製造するPC部材の製造方法であって、底枠と、PC用鋼材が貫通する縦スリットを備えるとともに対向する第1の側枠と第2の側枠と、から少なくとも構成される型枠ユニットを複数用意し、緊張側アバットと緊張力導入時の反力を受ける反力受け側アバットとの間に複数の前記型枠ユニットを設置する第1の工程と、それぞれの型枠ユニットの側枠の縦スリットに所定本数のPC用鋼材を貫通させ、かつ、それぞれの型枠ユニットの一方の側枠にPC用鋼材を位置決め固定してPC用鋼材をアバットユニット間に掛け渡す第2の工程と、それぞれのPC用鋼材に緊張力を導入し、それぞれの型枠ユニット内にコンクリートを打設し、コンクリートが所定の強度を発現した段階で緊張力を解放してコンクリート内にプレストレスを導入する第3の工程と、からなることを特徴とするものである。
【0023】
ここで、PC用鋼材の位置決め固定方法は、縦スリットに連通するとともに該縦スリットの側方に形成された凹溝にPC用鋼材を収容し、凹溝に収容されたPC用鋼材をロックする方法を適用することができる。
【0024】
また、上記する第2の工程において、縦スリットにPC用鋼材が位置決め固定された後、前記第1の側枠と前記第2の側枠には、それぞれの縦スリットを塞ぐ閉塞部材が取り付けられることが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明から理解できるように、本発明のPC部材の製造装置および製造方法によれば、製造装置を構成する型枠ユニットの側枠にPC用鋼材の横方向の位置決めと縦方向の位置決めをおこなう手段が講じられていることにより、PC用鋼材をすべての型枠ユニット間に効率的かつ高い精度で掛け渡すことができるため、一度に多数の高品質なPC部材を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の製造装置の一実施の形態の平面図を、図2は、図1のII−II矢視図を、図3は、製造装置の一部を拡大した斜視図をそれぞれ示している。図4は、ロック機構の斜視図であり、図4aはPC用鋼材をロックする前の状況を説明した図を、図4bはPC用鋼材をロックした状況を説明した図である。図5は、PC用鋼材を型枠ユニットに配設するフローを説明した模式図であって、図5aはその側面図、図5bは図5aのb−b矢視図、図5cは図5aのc−c矢視図である。図6〜8は順に、図5に続くPC用鋼材を型枠ユニットに配設するフローを説明した図である。図9は、閉塞部材を設置する状況を説明した図である。
【0027】
図1はPC部材の製造装置の一実施の形態の平面図を、図2はその一部の正面図をそれぞれ示している。製造装置100は、PC用鋼材7(PC鋼線、PC鋼棒等)の一端が固定される緊張梁53と、この緊張梁53を押出し移動する油圧ジャッキ52,52および該油圧ジャッキ52の反力台であるアバット51から構成される緊張側アバットと、PC用鋼材7の他端が固定される反力受け側アバット54と、双方のアバット間に設置された所定数の型枠ユニット10,10,…とから大略構成されている。
【0028】
型枠ユニット10は、鋼製の底枠4と、該底枠4の上面で立設して四方を包囲する鋼製の側枠とから構成される。この側枠は、2つのアバット間に掛け渡されたPC用鋼材7が貫通する縦スリットを備えた側枠1,2と、側枠1,2に直交する側枠31,32とから構成される。図示する実施例では、1つの型枠ユニット10内に平面視で1方向に16本のPC用鋼材7,7,…が配設され(図1参照)、側面視で3本のPC用鋼材7,7,7が配設されている(図2参照)。
【0029】
図1に示すように、多数の型枠ユニット10,10,…に共通するPC用鋼材7が配設され、両サイドのアバット51,54で固定されて緊張される。すべてのPC用鋼材7を緊張させた後に、各型枠ユニット10,10,…内にコンクリートが充填され、所要の強度発現を待ってコンクリート内へプレストレスを導入し、脱型作業がおこなわれることによって一度に大量のPC部材が製造される。
【0030】
図3は、型枠ユニット10の一部を拡大した図であって、PC用鋼材7の位置決め手段の一実施の形態を説明した図である。
【0031】
側枠1には、所定数の縦スリット11が設けられており、各縦スリット11には、その側方に所定数の凹溝12,12,…が設けられている。一方、他方の側枠2にも縦スリット21が対応する縦スリット11の対向位置に設けられており、対応する縦スリット11,21間に所定本数のPC用鋼材7,7,…が配設される。
【0032】
対応する縦スリット11,21内にPC用鋼材7を遊嵌させることにより、まず、PC用鋼材7の横方向の位置決めがおこなわれる。特に、側枠2の縦スリット21の縦スリット幅をPC用鋼材7の幅程度に設定しておくことで、横方向の位置決め精度を高めることができる。
【0033】
一方、側枠1の縦スリット11の幅はPC用鋼材7よりも相対的に大きな幅に設定しておき、PC用鋼材7を遊嵌する際の作業効率に支障のないようにしておくのがよい。
【0034】
この側枠1の裏面側(コンクリートが充填される内側と反対の外側)には、例えば図示する鋼管13が軸部材14周りで水平移動および回動自在に取り付けられており(鋼管の内径が軸部材の寸法よりも大きいことで、鋼管の水平移動と回動が実現できる)、鋼管13に固定されたグリップ15を最終的にロックする回動片16とともにロック機構を構成している。
【0035】
図4は、このロック機構の作動態様を説明した図であり、図4aはロックする前の状況を、図4bはロックされた状況を説明している。まず、図4aより、縦スリット11にPC用鋼材7,7,…を挿入し、各凹溝12,12,…にPC用鋼材7,7,…を嵌め込む。この段階では、鋼管13に固設されたグリップは、その側方の平鋼17の水平溝17a内に係合されている。
【0036】
PC用鋼材7が凹溝12に嵌め込まれた段階で、図4bに示すように、鋼管13に固設されたグリップ15を把持して鋼管13を回動させるとともに(X1方向)、凹溝12側へ若干水平移動させ(X2方向)、グリップ15を他方の平鋼18の水平溝18a内に係合させ、回動片16を回動することによって(X3方向)グリップ15がロックされ、鋼管13の回動および水平移動が規制される。鋼管13の水平移動によって凹溝12の開口は閉塞され、PC用鋼材7の縦スリット側への落ち込みが防止される。
【0037】
上記するロック機構と縦スリットを備えた側枠を具備する多数の型枠ユニットをアバットユニット間に配設し、アバットユニット間にPC用鋼材を掛け渡して各型枠ユニット内に配設するとともに位置決め固定することで、PC用鋼材の延長が長くなった場合でも、各型枠ユニットの所望の位置にPC用鋼材の位置決めをおこなうことが可能となる。したがって、多数のPC部材を一度に製造できることに加えて、品質の高いPC部材を製造することが可能となる。
【0038】
次に、各縦スリットに3段のPC用鋼材を各型枠ユニット間に配設する製作工程の概要を図5〜8に基づいて説明する。なお、各図ともに、a図は側面図を、b図は側枠1側から見た正面図を、c図は側枠2側から見た正面図をそれぞれ示している。
【0039】
まず、側枠1,2の縦スリット11,21に最下段のPC用鋼材7を挿入し、最下段の凹溝12に嵌め込む(図5参照)。次いで、順次、2断面、最上段のPC用鋼材7,7を縦スリット11,21に挿入し、2断面、最上段の凹溝12,12に嵌め込む(図6,7参照)。
【0040】
上記の作業がすべての型枠ユニット10,10,…にておこなわれ、鋼管13によるロックがおこなわれ、すべてのPC用鋼材7,7,…をアバットユニットに固定した後に油圧ジャッキ52,52を作動させ、PC用鋼材7,7,…に緊張力が導入される(図8参照)。
【0041】
ところで、PC用鋼材7,7,…に緊張力が導入された後、型枠ユニット内にコンクリートを充填する前に、縦スリットにて形成されたコンクリート漏洩部を閉塞する必要がある。図9は、この閉塞部材の設置の状況を説明した図である。
【0042】
閉塞部材6は、所定の強度と柔軟性のある板材、シート材からなり、PC用鋼材7が入り込むための孔62,…と、該孔62にPC用鋼材7を導くための切り欠き61,…が形成されている。また、閉塞部材6の一方面は粘着面となっており、閉塞部材6が側枠1,2に容易に取り付けできるように構成されている。
【0043】
同図において、側枠1の閉塞部材6の取り付け箇所には、該閉塞部材6の厚みと同程度の窪み部19が形成されている。この窪み部19に閉塞部材6が取り付けられることで、閉塞部材によってPC部材に凹凸ができることを防止することができる。なお、この閉塞部材6が他方の側枠2の縦スリット部にも取り付けられることは勿論のことである。なお、図3には、側枠2に閉塞部材6が設置された状態が図示されている。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の製造装置の一実施の形態の平面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】製造装置の一部を拡大した斜視図である。
【図4】ロック機構の斜視図であり、(a)はPC用鋼材をロックする前の状況を説明した図、(b)はPC用鋼材をロックした状況を説明した図である。
【図5】PC用鋼材を型枠ユニットに配設するフローを説明した模式図であって、(a)はその側面図、(b)は(a)のb−b矢視図、(c)は(a)のc−c矢視図である。
【図6】図4に続くフローを説明した模式図であって、(a)はその側面図、(b)は(a)のb−b矢視図、(c)は(a)のc−c矢視図である。
【図7】図5に続くフローを説明した模式図であって、(a)はその側面図、(b)は(a)のb−b矢視図、(c)は(a)のc−c矢視図である。
【図8】図6に続くフローを説明した模式図であって、(a)はその側面図、(b)は(a)のb−b矢視図、(c)は(a)のc−c矢視図である。
【図9】閉塞部材を設置する状況を説明した図である。
【符号の説明】
【0046】
1…側枠(第1の側枠)、11…縦スリット、12…凹溝、13…ロック機構、2…側枠(第2の側枠)、21…縦スリット、31…側枠(第3の側枠)、32…側枠(第4の側枠)、4…底枠、51…緊張側アバット、52…油圧ジャッキ、53…緊張梁、54…反力受け側アバット、6…閉塞部材、7…PC用鋼材、10…型枠ユニット、100…製造装置
【出願人】 【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔

【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男

【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康

【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治


【公開番号】 特開2008−6641(P2008−6641A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178109(P2006−178109)