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積層材の製造方法 - 特開2008−296437 | j-tokkyo
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【発明の名称】 積層材の製造方法
【発明者】 【氏名】田中 束

【氏名】杉山 崇

【氏名】中鉢 薫

【要約】 【課題】複数本のキク科植物茎を用いて、茎の脱脂処理を要することなく、低密度で高い強度を有し、変色や反りやねじれのない、表面平滑性の良好な積層材を製造する。

【解決手段】複数本の乾燥したキク科植物茎の含水率を調整する。それぞれ繊維方向に切開して2つに分割することにより複数本の半割茎を得る。これらの半割茎を各髄部が同一面になるようにかつそれぞれ繊維方向に配列し半割茎を糸又はテープで結合して第1及び第2シート状物を形成する。これらのシート状物に接着剤をそれぞれ付着させ、それぞれ接着剤が付着した第1シート状物と第2シート状物とを各髄部が外側になるように重ね合わせて接着剤付き積層体を得る。この接着剤付き積層体を厚さが5〜20%減少するように圧締成形して積層材を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の乾燥したキク科植物茎の含水率を10〜50%に調整する工程と、
前記含水率を調整した複数本の植物茎をそれぞれ繊維方向に切開して2つに分割することにより複数本の半割茎を得る工程と、
前記複数本の半割茎を各髄部が同一面になるようにかつそれぞれ繊維方向に配列し半割茎を糸又はテープで結合して第1及び第2シート状物を形成する工程と、
前記第1及び第2シート状物に接着剤をそれぞれ付着させる工程と、
それぞれ接着剤が付着した前記第1シート状物と前記第2シート状物とを各髄部が外側になるように重ね合わせて接着剤付き積層体を得る工程と、
前記接着剤付き積層体を厚さが5〜20%減少するように圧締成形して積層材を得る工程と
を含む積層材の製造方法。
【請求項2】
第1シート状物を構成する半割茎の各表皮頂部を第2シート状物を構成する半割茎の各表皮頂部とずらして重ね合わせる請求項1記載の積層材の製造方法。
【請求項3】
接着剤付き積層体の片面又は両面に更に表面材を重ね合わせた後、圧締成形する請求項1又は2記載の積層材の製造方法。
【請求項4】
表面材が熱硬化性樹脂シート、熱可塑性樹脂シート、単板、合板、布帛、紙、板紙、段ボール紙又は表面コート紙である請求項3記載の積層材の製造方法。
【請求項5】
接着剤が水性高分子−イソシアネート系接着剤であって、接着剤付き積層体を5〜80℃の温度で圧締成形する請求項1ないし3いずれか1項に記載の積層材の製造方法。
【請求項6】
キク科植物茎がヒマワリ、ヒメヒマワリ、ノコギリソウ、ヨモギ、ヒナギク、エゾギク、ベニバナ、キク、コスモス、ダリア、タンポポ又はフキである請求項1ないし5いずれか1項に記載の積層材の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか1項の方法により製造された積層材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、植物茎を主原料とする積層材の製造方法に関する。更に詳しくは襖や間仕切り又はこれらの芯材に適する積層材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、この種の積層材の製造方法として、コウリャン茎に代表されるリグノセルロース茎を繊維方向に切開き、このリグノセルロース茎を圧延して片面が茎の表皮からなる圧延茎を形成し、複数の圧延茎を互いに平行に配列してシート状物を形成し、このシート状物に高分子樹脂接着剤を塗工し、この接着剤を塗工した複数のシート状物を重ね合せて熱圧成形する積層材の製造方法を特許出願した(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、市販合板及び従来の加工木材に比較して同等もしくはそれ以上の強度を有し、高い吸音性及び断熱性があって、低密度から高密度の積層材が得られる。
【0003】
しかし、上記積層材はコウリャン茎を繊維方向に切開いた後、圧延して製造されるものであるため、より低い密度でより高い吸音性及び断熱性を具備させることが困難で、製造工数を比較的多く費やす。このため、本出願人は、コウリャン茎を繊維方向に切開かずに表皮、芯及び節を有したまま圧延し、圧延面が層表面及び層裏面となるように複数のコウリャン茎を互いに平行にかつ密接に配列してコウリャン茎層を形成し、このコウリャン茎層に接着剤を塗布し、接着剤を塗布した複数のコウリャン茎層を積層して加圧成形する積層材の製造方法を特許出願した(例えば、特許文献2参照。)。この方法によれば、軽量で強度が高く簡単な工程で効率よく積層材を製造でき、また少量の原料で厚板を構成でき、更に圧延度が大きい場合には高密度化も可能となる。
【特許文献1】特開昭63−107505(特許請求の範囲第4項)
【特許文献2】特開平1−280538(請求項5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、襖や間仕切り又はその芯材などは、低密度かつ高強度であって、表面平滑性が良好で、反りなどの変形が少なく変色が無いことが要求される。コウリャン茎に代表されるリグノセルロース茎を表面材のない芯材又は薄い表面材を有する芯材として使用する場合、コウリャン茎には節が膨出しているため、切開いた茎も切開かない茎もシート状物にしたときに、シート状物表面の凹凸度が大きい。そのため、複数のシート状物を重ね合わせて積層体にしたときに、シート状物同士の間に比較的大きな空隙を生じる。この積層体に接着剤を塗布し表面材なしで、或いは薄い表面材を積層して、低密度の積層材を得るために圧締度を低くして成形した場合には、茎の節付近に茎間の隙間が生じて積層材の表面平滑性が劣る不具合があった。
【0005】
一方、リグノセルロース茎は表皮にワックスが存在するため、接着剤として表皮にワックスが存在しても高温で接着力を発現する自己乳化型ポリイソシアネート樹脂接着剤を用いることが考えられる。しかし、表面材として薄い熱硬化性樹脂シート、熱可塑性樹脂シート、単板、合板、布帛、紙、板紙、段ボール紙又は表面コート紙を用いて、150℃程度の高温で圧締成形した場合には、低密度で高い強度の積層材が得られる反面、この表面材は熱により変色したり、積層材に反りが発生する不具合があった。他方、接着剤として低温で接着力を発現する水性高分子−イソシアネート系接着剤を用いて積層体に接着剤を塗布し、表面材を積層して40℃程度の低温で圧締成形した場合には、表面材の熱変色や積層材の反りが発生しない反面、この接着剤は茎表皮のワックスとの相溶性が悪いために積層体に対する接着性に劣り、低密度の積層材は得られるものの強度が低かった。
【0006】
このため、自己乳化型ポリイソシアネート樹脂接着剤を用いる場合には、熱硬化性樹脂シートや熱可塑性樹脂シートの表面材を設けずに高温で積層体を圧締成形してから、その後表面材を冷圧で貼り合わせる必要がある。また水性高分子−イソシアネート系接着剤を用いる場合には、リグノセルロース茎の表皮からワックスを除去する前処理を行う必要があった。
【0007】
本発明の目的は、複数本のキク科植物茎を用いて、茎の脱脂処理を要することなく、低密度で高い強度を有し、変色や反りやねじれのない、表面平滑性の良好な積層材を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に係る発明は、図1〜図3に示すように、複数本の乾燥したキク科植物茎11の含水率を10〜50%に調整する工程と、この含水率を調整した複数本の植物茎11をそれぞれ繊維方向に切開して2つに分割することにより複数本の半割茎12,12を得る工程と、これらの半割茎12を各髄部12aが同一面になるようにかつそれぞれ繊維方向に配列し半割茎12を糸13又はテープで結合して第1及び第2シート状物14,15を形成する工程と、これらのシート状物14,15に接着剤をそれぞれ付着させる工程と、それぞれ接着剤が付着した第1シート状物14と第2シート状物15とを各髄部12aが外側になるように重ね合わせて接着剤付き積層体16を得る工程と、この接着剤付き積層体16を厚さが5〜20%減少するように圧締成形して積層材20を得る工程とを含む積層材の製造方法である。
【0009】
本願請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、第1シート状物14を構成する半割茎12の各表皮12b頂部を第2シート状物15を構成する半割茎12の各表皮12b頂部とずらして重ね合わせる積層材の製造方法である。
【0010】
本願請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、接着剤付き積層体16の片面又は両面に更に表面材18を重ね合わせた後、圧締成形する積層材の製造方法である。
【0011】
本願請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明であって、表面材が熱硬化性樹脂シート、熱可塑性樹脂シート、単板、合板、布帛、紙、板紙、段ボール紙又は表面コート紙である積層材の製造方法である。
【0012】
本願請求項5に係る発明は、請求項1ないし3いずれか1項に係る発明であって、接着剤が水性高分子−イソシアネート系接着剤であって、接着剤付き積層体を5〜80℃の温度で圧締成形する積層材の製造方法である。
【0013】
本願請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれか1項に係る発明であって、キク科植物茎がヒマワリ、ヒメヒマワリ、ノコギリソウ、ヨモギ、ヒナギク、エゾギク、ベニバナ、キク、コスモス、ダリア、タンポポ又はフキである積層材の製造方法である。
【0014】
本願請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれか1項の方法により製造された積層材である。
【発明の効果】
【0015】
本願請求項1に係る製造方法では、半割茎にする前にキク科植物茎の含水率を調整することにより、茎の分割切断が容易にかつ正確になり切断面が平滑になる。またその半割茎を繊維方向に配列してなる2つのシート状物を半割茎の各髄部が外側になるように重ね合わせて接着することにより積層体を作り、これを積層体厚さの5〜20%になるように圧締成形するため、低密度で強度が高くかつ表面が平滑で反りやねじれのない積層材が得られる。
【0016】
本願請求項2に係る製造方法では、2つのシート状物を重ね合わせるときに半割茎の各表皮頂部をずらすため、茎間の空隙の少ない積層体となり、より強度の高い積層材が得られる。
【0017】
本願請求項3及び4に係る製造方法では、接着剤付き積層体の片面又は両面に表面材を設けることにより、例えば表面材に厚さ0.01〜1mmの樹脂シート、板、布、紙を用いることにより、表面がより平滑になって強度がより向上するとともに表面材によって積層材の装飾性が高まりかつその用途が拡大する。
【0018】
本願請求項5に係る製造方法では、イソシアネート系化合物を架橋剤として含む水溶性高分子又は高分子水性分散体からなる水性高分子−イソシアネート系接着剤を用いることにより、キク科植物茎を脱脂しなくても、5〜80℃の低温で積層体を接着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の最良の実施の形態について説明する。本発明のキク科植物茎としては、ヒマワリ、ヒメヒマワリ、ノコギリソウ、ヨモギ、ヒナギク、エゾギク、ベニバナ、キク、コスモス、ダリア、タンポポ又はフキが例示される。この植物茎は植生地から刈り取られた後、積層材の原料として保管する間、含有する水分により腐食するのを防止するために、天日などで含水率4〜8%の範囲に乾燥される。次いで、乾燥した植物茎は所望の積層材の長さに合わせて一定の長さに切断された後、或いは切断される前に、茎の含水率が10〜50%、好ましくは20〜40%に調整される。これは次の茎を2つに分割するときに、分割が容易になるとともに切断面を平滑かつきれいにするためである。含水率が10%未満の乾燥したままであると、茎が硬くて分割しにくく分割茎のサイズが不揃いになるうえ、切断面がささくれ立ってきれいになりにくい。また含水率が50%を超えると水分過多となり、最終製品である積層材が低密度にならない。含水率を調整する方法としては、乾燥した植物茎を温度5〜100℃、相対湿度80〜100%の雰囲気に所定時間維持する方法や乾燥した植物茎を水に所定時間浸漬する方法が挙げられる。熱した蒸気中に植物茎を暴露する方法が短時間に茎の含水率を調整でき好ましい。
【0020】
次に、図1(a)及び(b)に示すように、一定の長さに切断され含水率が調整された植物茎11は繊維方向に切開して2つに分割され半割茎12,12にする。12aは髄部であり、12bは表皮である。所望の積層材の幅に合わせて複数本の半割茎12が集められる。図2に示すように複数本の半割茎12は各髄部12aが同一面になるようにかつそれぞれ繊維方向に配列された後、半割茎同士が結合される。結合方法としては、図示するように糸13で縫合するか、又は図示しないが、粘着テープを貼着することにより複数本の半割茎が仮止めされる。これによりシート状物14又は15が形成される。
【0021】
次に、2つのシート状物14,15に接着剤をそれぞれ付着させる。付着方法としては、接着剤をシート状物にスプレーコーティング、カーテンフローコーティング、ローラコーティングするか、刷毛塗りするか、又は接着剤にディッピングする。後述する表面材を設けないときには、接着剤はシート状物を構成する各表皮部分にのみ付着される。接着剤としては、水溶性高分子又は高分子水性分散体のいずれか一方又は双方を主成分とする主剤80〜95質量%と、イソシアネート系化合物を主成分とする架橋剤20〜5質量%とからなる水性高分子−イソシアネート系接着剤が好ましい。
【0022】
水性高分子―イソシアネート系接着剤と自己乳化型ポリイソシアネート樹脂接着剤は、異なる接着剤である。水性高分子-イソシアネート系接着剤は主剤に高分子成分を含み、それが架橋剤であるイソシアネート化合物と反応することによって、更に高分子化するため、接着力が発現しやすい。従って室温でも容易に硬化する。自己乳化型ポリイソシアネート樹脂接着剤はモノマーやオリゴマーの反応により主として反応が進むため、熱圧で反応を促進しないと高分子化しにくく接着力が出にくい。また室温では硬化に時間がかかる。
【0023】
ここで水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましい。また高分子水性分散体としては、酢酸ビニル、スチレン−アクリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましい。
【0024】
イソシアネート化合物としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート系化合物が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト等が挙げられる。
【0025】
また脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。また芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,4−ジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネ−ト、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネ−ト、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネ−ト等が挙げられる。
【0026】
更に芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等が挙げられる。なお、この実施の形態では、イソシアネート系化合物としては、上記例示の脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環式ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トによる二量体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなど)等も用いることができる。なお、これら化合物を単独で用いてもよいが、複数選択して使用してもよい。
【0027】
図3(a)に示すように、それぞれ接着剤が付着した第1シート状物14と第2シート状物15は各髄部12aが外側になるように、即ち各表皮同士が接触するように、重ね合わせる。これにより接着剤付き積層体16が得られる。重ね合わせる方法としては、第1シート状物の各表皮頂部と第2シート状物の各表皮頂部とを突き合わせてもよいが、図3(a)に示すように第1シート状物14を構成する半割茎の各表皮頂部を第2シート状物15を構成する半割茎の各表皮頂部とずらすことが、積層体の空隙が少なくなり、高い強度の積層材が得られる。次にこの接着剤付き積層体16はプレスにより厚さが5〜20%、好ましくは10〜15%減少するように圧締成形され、図3(b)に示される積層材20が得られる。即ち、圧締成形後の積層材20は、積層体16の厚さを5〜20%圧縮した厚さになる。厚さが5%未満では、積層材の曲げ強度や剥離強度が低下する不具合があり、20%を超えると低密度の積層材が得難い。上記圧締度により表面材のない積層材の密度は0.1〜0.3g/cm3の範囲になる。プレスの温度は接着剤の種類により調整される。上述した水性高分子−イソシアネート系接着剤を用いた場合には、プレス温度5〜80℃、好ましくは15〜40℃で所望の強度の積層材が得られる。プレス温度が5℃未満では接着剤の硬化時間が長くなり、80℃を超えると積層材表面が変色するおそれがある。この積層材20は、表装材と下地材との間に介在する中間材としての利用が見込まれる。
【0028】
更に、図3(c)に示すように、プレス前に接着剤付き積層体の片面又は両面に表面材18を重ね合わせて圧締成形してもよい。このときのプレス温度及び積層体の厚さ減少割合は表面材のない積層体を圧締するときと同じである。これにより表面材付き積層材30が得られる。この表面材としては、厚さ0.01〜1mmの熱硬化性樹脂シート、熱可塑性樹脂シート、単板、合板、布帛、紙、板紙、段ボール紙又は表面コート紙である。布帛には織物地、編物地、不織布、フェルトを含み、板紙にはボール紙を含む。この積層材30の密度は表面材の種類に応じて0.1〜0.3g/cm3の範囲になる。これらの表面材は積層材としての密度を増大させず、積層材が補強効果及び装飾効果を有するようになる。
【実施例】
【0029】
次に本発明の実施例を比較例とともに説明する。
【0030】
<実施例1>
重量約18g、長さ35cm、直径約22mmの乾燥した含水率7%のヒマワリ茎15本を用意した。これらのヒマワリ茎の表皮には元来ワックスが存在していない。15本のヒマワリ茎を温度80℃、相対湿度100%に維持された小型チャンバ(図示せず)に入れ、含水率が30%になるまで維持した。これらのヒマワリ茎をチャンバから取り出し、それぞれ切断機により繊維方向に切開して2つに分割した。茎の含水率を調整したことにより、容易に茎を2分割できた。ヒマワリ茎は正確に二分割され、かつ茎髄部の切断面が平滑であった。得られた半割茎を2つの群に分け、各群の半割茎を各髄部が同一面になるようにかつそれぞれ繊維方向に配列した後、全ての半割茎の各端部を糸で結合して幅約34cm、長さ35cm、厚さ約11mmの2つのシート状物を形成した。
【0031】
水性高分子−イソシアネート系接着剤を刷毛塗りにより2つのシート状物のそれぞれの両面に均一に塗布した。この水性高分子−イソシアネート系接着剤は商品名KR−120(光洋産業製)の主剤(90質量%)と商品名AP(光洋産業製)の架橋剤(10質量%)とからなる。塗布量は、シート状物の片面当り20g、両面合計で40gであった。図3(a)及び(c)に示すように、それぞれ接着剤を塗布した2つのシート状物を各髄部が外側になるように重ね合わせて、積層体16を製造した後、この積層体の両面に厚さ0.2mmの紙18を重ね合わせて、厚さ20mmの単一の接着剤付き積層体を得た。この積層体を厚さ17mmのスペーサを設置した温度40℃に維持したホットプレスに入れ、約1MPa(約10kg/cm2)の圧力で45分間圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ17mmの板状積層材を得た。得られた積層材の密度は0.2g/cm3であり、圧締成形により厚さが約15%減少した。
【0032】
<実施例2>
実施例1とそれぞれ同じヒマワリ茎及び接着剤を用いて、実施例1と同様に積層体を製造した後、厚さ19mmのスペーサを設置した以外は実施例1と同様に積層体を圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ19mmの板状積層材を得た。
【0033】
<比較例1>
実施例1とそれぞれ同じヒマワリ茎及び接着剤を用いて、実施例1と同様に積層体を製造した後、厚さ14mmのスペーサを設置した以外は実施例1と同様に積層体を圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ14mmの板状積層材を得た。
【0034】
<比較例2>
実施例1とそれぞれ同じヒマワリ茎及び接着剤を用いて、実施例1と同様に積層体を製造した後、厚さ19.4mmのスペーサを設置した以外は実施例1と同様に積層体を圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ19.4mmの板状積層材を得た。
【0035】
<実施例3>
実施例1とそれぞれ同じヒマワリ茎及び接着剤を用いて、実施例1と同様に積層体を製造した後、圧締成形時の温度を5℃にした以外は実施例1と同様に積層体を圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ17mmの板状積層材を得た。
【0036】
<実施例4>
実施例1とそれぞれ同じヒマワリ茎及び接着剤を用いて、実施例1と同様に積層体を製造した後、圧締成形時の温度を80℃にした以外は実施例1と同様に積層体を圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ17mmの板状積層材を得た。
【0037】
<比較例3>
実施例1とそれぞれ同じヒマワリ茎及び接着剤を用いて、実施例1と同様に積層体を製造した後、圧締成形時の温度を0℃にした以外は実施例1と同様に積層体を圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ17mmの板状積層材を得た。
【0038】
<比較例4>
実施例1とそれぞれ同じヒマワリ茎及び接着剤を用いて、実施例1と同様に積層体を製造した後、圧締成形時の温度を100℃にした以外は実施例1と同様に積層体を圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ17mmの板状積層材を得た。
【0039】
<実施例5>
実施例1とそれぞれ同じヒマワリ茎及び接着剤を用いて、実施例1と同じ2つのシート状物のそれぞれの茎表皮側の面のみに接着剤を均一に塗布した。それ以外は実施例1と同様に積層体を製造した後、積層体の両面に表面材を設けることなく実施例1と同様に積層体を圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ17mmの板状積層材を得た。
【0040】
<比較例5>
重量約18g、長さ35cm、直径約22mmの含水率7%のコウリャン茎15本を用意した。これらのコウリャン茎の表皮には元来ワックスが存在している。15本のコウリャン茎を実施例1と同じように温度80℃、相対湿度100%に維持された小型チャンバ(図示せず)に入れ、含水率が30%になるまで維持した。これらのコウリャン茎をチャンバから取り出し、それぞれ切断機により繊維方向に切開して2つに分割した。茎の含水率を調整したことにより、容易に茎を2分割できたが、節の箇所は硬いままであった。コウリャン茎は正確に二分割しにくく、かつ茎髄部の切断面が平滑でなかった。これにより得られた半割茎を2つの群に分け、各群の半割茎を各髄部が同一面になるようにかつそれぞれ繊維方向に配列した後、全ての半割茎を糸で結合して幅約34cm、長さ35cm、厚さ約11mmの2つのシート状物を形成した。
【0041】
水で2倍に希釈した自己乳化型ポリイソシアネート樹脂接着剤をスプレイコーティングすることにより2つのシート状物のそれぞれの両面に均一に塗布した。塗布量は、シート状物の片面当り20g、両面合計で40gであった。接着剤以外は実施例1と同様に積層体を製造した後、この積層体の両面に厚さ0.2mmの紙を重ね合わせて、厚さ20mmの単一の接着剤付き積層体を得た。この積層体を厚さ17mmのスペーサを設置した温度40℃に維持したホットプレスに入れ、約1MPa(約10kg/cm2)の圧力で45分間圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ17mmの板状積層材を得た。得られた積層材の密度は0.21g/cm3であり、圧締成形により厚さが約15%減少した。
【0042】
<比較例6>
比較例5とそれぞれ同じコウリャン茎及び接着剤を用いて、比較例5と同様に積層体を製造した後、厚さ19mmのスペーサを設置した以外は比較例5と同様に積層体を圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ19mmの板状積層材を得た。
【0043】
<比較例7>
図4に示すように、重量約18g、長さ35cm、直径約22mmの含水率7%のコウリャン茎15本を用意した。これらのコウリャン茎2の表皮2aには元来ワックスが存在している。15本のコウリャン茎を含水率を調整することなく、また繊維方向に切開することもなくそれぞれ繊維方向に配列した後、全てのコウリャン茎を糸で結合して幅約34cm、長さ35cm、厚さ22mmの単一のシート状物を形成した。水で2倍に希釈した自己乳化型ポリイソシアネート樹脂接着剤をスプレイコーティングすることによりシート状物の両面に均一に塗布した。塗布量は、シート状物の片面当り20g、両面合計で40gであった。このシート状物の両面に厚さ0.2mmの紙3を重ね合わせた後、この積層体を厚さ19mmのスペーサを設置した温度150℃に維持したホットプレスに入れ、約1MPa(約10kg/cm2)の圧力で8分間圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ19mmの板状積層材5を得た。得られた積層材の密度は0.18g/cm3であり、圧締成形により厚さが約15%減少した。
【0044】
<比較例8>
実施例1と同じ含水率7%の乾燥したヒマワリ茎を用いた。このヒマワリ茎の含水率を調整することなく、実施例1と同じ接着剤を用いて、実施例1と同様に積層体を製造した後、この積層体を圧締成形して幅約34cm、長さ35cm、厚さ17mmの板状積層材を得た。
【0045】
<比較試験と評価>
実施例1〜5及び比較例1〜8の各積層材について、密度、剥離強度、曲げ強度、形状安定性、表面の変色度、表面の平滑度、反りやねじれの有無、耐衝撃性を調べた。剥離試験はJIS A 5908 パーティクルボードの剥離強さ試験に準拠して行った。即ち寸法50mm×50mmの試験片の両面に、引っ張り試験機にセットするためのジグであるアルミニウムブロックを接着し、引っ張り荷重速度2mm/minで試験片の表面に垂直に引っ張り、剥離破壊時の最大荷重を測定した。最大荷重を2500mm2で除算して剥離強度とした。曲げ試験はJIS A 5908 パーティクルボードの曲げ強さ試験に準拠して行った。即ち支点間の距離L(スパン)を試験体の厚さtの15倍とし、試験体の茎の方向をスパンの方向にして支点間に幅50mm、長さ(L+50)mmの試験体を配置した後、支点間の中心となる位置に平均速度10mm/minで荷重をかけ、最大荷重Pを測定して、次式により曲げ強さを算出した。
【0046】
曲げ強さ=(3PL)/(100t2
形状安定性試験は、次の2つの方法で試験した。形状安定性試験(1);20cm×20cmの試験体の対角線の中央の変位を反り測定器(JIS A 1437 建築用内装ボード類の耐湿性試験方法の反り測定に使用するもの)を用いて、試験開始時、終了時、及び温度湿度の条件を変える毎に測定し、その最大変位の絶対値を反り量とした。温度湿度条件は、10℃・15%RH・1日間→40℃・80%RH・1日間→10℃・15%RH・1日間 を3サイクル繰り返した。
【0047】
形状安定性試験(2);30cm×30cmの試験体を20℃・50%RHに2日間置いた後、20℃の雰囲気下で30cmの間隔をあけて互いに平行に配置した上枠と下枠の間に茎が鉛直になるように試験体を差し込み、試験体を鉛直状態にする。次いで鉛直の試験体の片面の表面が50℃になるように、片側から3時間赤外線ランプをあてる。試験体の対角線の中央の変位をダイヤルゲージで測定し、照射開始から終了までの間の最大変位の絶対値を反り量とした。
【0048】
表面の変色度は、圧締成形後の積層材表面における変色の有無を目視により調べた。表面の平滑度は、圧締成形後の積層材表面における平滑性を指触により調べた。更に反りやねじれは、圧締成形後の積層材における反り・ねじれの有無を目視により調べた。耐衝撃性試験は、JIS A 1408「建築用ボード類の曲げ及び衝撃試験方法」の衝撃試験に従って行った。試験片(寸法300mm×300mm)を砂上全面支持によって水平に置き、球形おもり(直径約41mm、質量286g)を50cmの高さから試験片表面の中央部に自然落下させ、試験片の表面状態を目視により観察した。これらの結果を表1及び表2に示す。
【0049】
【表1】


【0050】
【表2】


表1及び表2から明らかなように、比較例1のヒマワリ茎を用いた積層材は、茎にひびが多く入るため剥離強度及び曲げ強度が低かった。また比較例2のヒマワリ茎を用いた積層材は、圧締の程度が小さく2つのシート状物同士の接着面積が小さいため比較例1のものよりも剥離強度及び曲げ強度が低く、耐衝撃性試験で表面材が剥離した。比較例3のヒマワリ茎を用いた積層材は、圧締温度が0℃で圧締時間が45分と短かったため、接着剤が硬化しにくく、形状安定性(1)試験と耐衝撃性試験でそれぞれ表面材が剥離した。また比較例4のヒマワリ茎を用いた積層材は、圧締温度が100℃であったため、積層材表面が変色するとともに積層材に反りが発生した。比較例5及び6のコウリャン茎を用いた積層材は、それぞれ、表皮のワックス成分が存在するにもかかわらず圧締温度を40℃と低くしたため、接着力に劣り、比較例1のものよりも剥離強度及び曲げ強度が低く、形状安定性試験(1)及び(2)で表面材が剥離した。またこれらの積層材は、それぞれ、節の付近に茎間に隙間があり表面平滑性に劣り、耐衝撃性試験で表面材が剥離した。比較例7の積層材は、圧締温度が150℃と高かったため、剥離強度及び曲げ強度が高かったものの、積層材表面が変色するとともに積層材自体が繊維方向に直交する方向で緩やかに湾曲し反りが発生し、かつ茎の凹凸が積層材表面にそのまま出現した。比較例8の積層材は、含水率を調整しなかったため分割時に繊維方向に茎にひびが入り、正確に2つに分割できなかった。また髄部の切断面が平滑にならず凹凸が生じた。これらのため積層材の表面平滑性はやや不良であった。これに対して、実施例1〜5の積層材はその密度が0.15〜0.20と低いにもかかわらず、剥離強度及び曲げ強度が高く、形状安定性試験(1)及び(2)で表面材が剥離せず、積層材表面の変色はなく、平滑性も良好で、反りやねじれも無く、かつ耐衝撃性試験で表面材の剥離は見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明で得られた積層材は、低密度かつ高強度であって、表面性が良好であり、反りなどの変形が少ないため、襖、間仕切り、蓋として、又はこれらの芯材として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1(a)は本発明の植物茎の斜視図であり、図1(b)はその植物茎を2つに切開した半割茎の斜視図である。
【図2】図2は本発明のシート状物の斜視図である。
【図3】図3(a)は本発明の積層体の横断面図であり、図3(b)は本発明の積層材の横断面図であり、図3(c)は本発明の表面材付き積層材の横断面図である。
【図4】図4は比較例のコウリャン茎からなる積層材の横断面図である。
【符号の説明】
【0053】
11 植物茎
12 半割茎
12a 髄部
12b 表皮
13 糸
14,15 シート状物
16 積層体
18 表面材
20,30 積層材
【出願人】 【識別番号】390001339
【氏名又は名称】光洋産業株式会社
【出願日】 平成19年5月31日(2007.5.31)
【代理人】 【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義


【公開番号】 特開2008−296437(P2008−296437A)
【公開日】 平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願番号】 特願2007−144344(P2007−144344)