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【発明の名称】 建築用板材
【発明者】 【氏名】丸山 宏

【要約】 【課題】中密度木質繊維板の膨張収縮を抑え、繋ぎ目が盛り上がったり、隙間が出来たりせず、作業性がよく、実加工部の強度を確保し、割れなどの生じない建築用板材を提供し、建物品質を維持することを目的とする。

【解決手段】幅方向一端側に上面延在部11aを備え、他端側に下面延在部11bを備えた長尺の中密度木質繊維板11を、その幅よりわずかに狭い矩形断面でほぼ同じ長さの長尺の石膏ボード12の上面に、上面延在部11aを石膏ボード12の幅方向一端部より後退させて石膏ボード12の上面との間に凹型実加工部15を形成するように、また下面延在部11bを石膏ボード12の幅方向他端部より突出させて凹型実加工部15に嵌合する凸型実加工部16を形成するように幅方向にずらして固着一体化させられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向一端側に上面延在部を備え、他端側に下面延在部を備えた長尺の中密度木質繊維板を、該中密度木質繊維板の幅よりわずかに狭い矩形断面でほぼ同じ長さの長尺の石膏ボードの上面に、前記上面延在部を前記石膏ボードの幅方向一端部より後退させて前記石膏ボードの上面との間に凹型実加工部を形成するように、また前記下面延在部を前記石膏ボードの幅方向他端部より突出させて前記凹型実加工部に嵌合する凸型実加工部を形成するように幅方向にずらして固着一体化させられていることを特徴とする建築用板材。
【請求項2】
請求項1において、前記中密度木質繊維板の前記上面延在部の先端上面側に面取りを施し、前記下面延在部の根本部に面取りを施したことを特徴とする建築用板材。
【請求項3】
請求項1において、前記中密度木質繊維板の上面に化粧被覆体が被覆形成されていることを特徴とする建築用板材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、熱圧成形木質繊維板の内、中密度木質繊維板(MDF)を用いた建築用板材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の建築用板材1としては、図4に示すようなものが床材として知られている。この建築用板材1は、熱圧成形による高密度、中密度、低密度の木質繊維板の内、中密度木質繊維板2を幅狭長尺に形成した、厚さ12mm程の基材3と、その一面に積層した
突板、合成樹脂の化粧薄板又は印刷紙の化粧シート等の化粧被覆体4とから構成され、基材3の短手方向両側のそれぞれに凸型実加工部5、凹型実加工部6が形成されている。
【0003】
この建築用板材1を図示しない根太や桟あるいはコンパネなどの下張り材7上に、凹型実加工部6の下張り材7に沿った延材部に釘8を打ち込み固定する。そして次の建築用床材1を凹凸に対応させながら、固定し終わった建築用床材1に寄せ付けて凹型実加工部6に釘8を打ち込み、下張り材7に固定して床張りを行っている。
【0004】
この様な木質繊維板は、解繊した植物繊維を接着剤の存在下で熱圧成形して作られるボードであり、成形上、熱盤に接する表面層が最も高い密度で、厚み方向中央部に向かって行くにしたがい密度が低下する比重傾斜を示している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許公開2001−207630号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のように中密度木質繊維板2は、上述のように、解繊した植物繊維を接着剤の存在下で熱圧成形して作られるため、膨張収縮が激しい。従って、床材自体が押し合って繋ぎ目が盛り上がったり、隙間が出来たりという問題が発生するおそれがあった。
【0006】
また、圧縮成型しても厚みがあるために表層に近いところから中央部に向かって密度が低くなっており、その密度が低く弱い部分に凸型あるいは凹型の実加工がなされている。したがって、凸型、凹型実加工部5,6の強度が弱く搬送中、作業中に割れたり、折れたり、釘8により割れたりする問題があった。
【0007】
さらには、凹型実加工部6のわずかに下側が出た部分に釘8を打つため、図のように斜めに打ち込むが作業性は悪く、また、凹型実加工部6の一部を壊してしまうという問題があった。
【0008】
そこで、この発明は、中密度木質繊維板の膨張収縮を抑え、繋ぎ目が盛り上がったり、隙間が出来たりせず、作業性がよく、実加工部の強度を確保し、割れなどの生じない建築用板材を提供し、建物品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、請求項1の発明は、幅方向一端側に上面延在部を備え、他端側に下面延在部を備えた長尺の中密度木質繊維板を、該中密度木質繊維板の幅よりわずかに狭い矩形断面でほぼ同じ長さの長尺の石膏ボードの上面に、前記上面延在部を前記石膏ボードの幅方向一端部より後退させて前記石膏ボードの上面との間に凹型実加工部を形成するように、また前記下面延在部を前記石膏ボードの幅方向他端部より突出させて前記凹型実加工部に嵌合する凸型実加工部を形成するように幅方向にずらして固着一体化させられていることを特徴とする建築用板材としている。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1において、前記中密度木質繊維板の前記上面延在部の先端上面側に面取りを施し、前記下面延在部の根本部に面取りを施したことを特徴とする建築用板材としている。
【0011】
さらに、請求項3の発明は、請求項1において、前記中密度木質繊維板の上面に化粧被覆体が被覆形成されていることを特徴とする建築用板材としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を示す図面に基づいて発明を説明する。
【0013】
この発明の建築用板材は、床材、壁材、天井材に適用可能であるが、ここでは床材に適用した事例について説明する。
【0014】
図1〜図3は、この発明の建築用床材及びこれを床に敷き詰めた状態の図であり、図1は後者の部分斜視図である。従来と同一ないし均等な部位部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0015】
図中10は、建築用床材であり、熱圧成形による長尺の中密度木質繊維板11を、中密度木質繊維板11の幅よりわずかに狭い矩形断面でほぼ同じ長さの長尺の石膏ボード12の上面に幅方向にずらして、例えば酢酸ビニル系の耐水性接着剤によって固着一体化させられている。
【0016】
長尺の中密度木質繊維板11は、幅方向一端側に上面延在部11aを備え、他端側に下面延在部11bを備えており、さらに上面延在部11aの先端上面側に面取り11cを施し、下面延在部11bの根本部に面取り11cを施している。大きさの具体的一例としては、厚さ2.7mm、幅303mm、長さ1818mmである。そして、同じく上面延在部11
a は、厚み1.35mm、延在量3.5mmで、下面延在部11bは、厚み1.35mm、延
在量2.5mmである。
【0017】
この中密度木質繊維板11を貼り付けている石膏ボード12は、中密度木質繊維板11の幅よりわずかに狭い矩形断面を有し、中密度木質繊維板11とほぼ同じ長さである。この長尺の石膏ボード12の上面に、上面延在部11aを石膏ボード12の幅方向端部より後退(一例として約15〜20mm)させて石膏ボード12の上面との間に凹型実加工部1
5を形成するように、また下面延在部11bを石膏ボード12の幅方向端部より突出(一例として約20mm)させて凹型実加工部15に嵌合する凸型実加工部16を形成するよう
に中密度木質繊維板11を幅方向にずらして固着一体化させられている。この石膏ボード12の大きさの一例は、厚み9.5mm、幅300mm、長さ1818mmである。したがって
、中密度木質繊維板11を敷き詰めていくと、石膏ボード12間に3〜5mmの隙が出来る
ようにして隣接する石膏ボード12同士の接触を防止している。
【0018】
図2を参照すると、中密度木質繊維板11の上面に、高級木材を薄く削いだ突板、合成樹脂の化粧薄板又は印刷紙等の化粧シート等の化粧被覆体(例えば厚さ0.3mm)4が接
着などにより被覆形成されている。したがって、中密度木質繊維板11は、その美的感覚に乏しい表面に高級木材、各種模様がプリントされた化粧シート等の化粧被覆体4で被覆が施され高級感を呈することが出来る。
【0019】
そしてさらには、この化粧被覆体4の表面にアクリル樹脂系塗料等で塗装することにより、表面の保護、透明性、光沢性を付与することが出来る。
【0020】
この熱圧成形で熱圧縮された中密度木質繊維板11は、木材を細かく繊維状にして、接着剤を含ませ、それを中密度に加熱圧縮した材料であり、MDFと略称され、均質で加工がしやすい。厚さが6mm程度に圧縮された中密度木質繊維板(平均比重0.75〜0.8
)の場合には、先述したように厚み方向の中央部の比重が小さく(例えば0.4)、表面層の比重が大きい(例えば0.9)という比重傾斜があるが、本発明のように厚さ2.5〜3.0mmに圧縮された中密度木質繊維板11は表面層の比重が0.9、中央部もさほど
下がらずほぼ全体で均一であり、しかもこの比重は、足裏で感じる程度の弾力性を備えている。
【0021】
これに対して、この比重よりより大きく、高圧縮により高密度又は超高密度に仕上げられたものは、高密度木質繊維板(HDFと略称)と称され、通常より硬い床として採用される。
【0022】
このように製造された沢山の建築用床材10を図示しない根太、桟あるいはコンパネ(12mm程の厚さ)等の下張り材7上に凹型実加工部15、凸型実加工部16を対応させ差し込みながら端から順に並べていく。そして、各建築用床材10毎に、上述した接着剤を塗布するとともに、建築用床材10の凹型実加工部15の前に広がる石膏ボード12の面に、図1,図3に示す門型のタッカー芯14を打ち込み、下張り材7に固定して図1のように床張りを行っている。このタッカー芯14は、ステープルのような片手で操作するハンディな工具である図示しないタッカーを用いて広くされた面に押しつけて打ち込まれる。ここではタッカーを用いた固定方法を示しているが、釘、ビスなどの他の固定方法を採用しうることは勿論である。
【0023】
なお、以上の説明では、建築用床材10を幅方向に敷き詰めていく場合であるが、建築用床材10の長手方向に敷き詰めていく場合もある。したがって、長手方向にも上面延在部及び下面延在部を中密度木質繊維板11に形成し、中密度木質繊維板11と石膏ボード12とを長手方向に同様にずらす必要もある。
【0024】
この建築用床材10で床張りされると、隣接する建築用床材10間に面取り11cでV字型溝を呈した繋ぎ目13が形成される。この繋ぎ目13は、アクセントになるとともに、多少の膨張収縮に対応する。
【0025】
上述のように中密度木質繊維板11は、上面延在部11a及び下面延在部11bが、薄くに迄圧延されているため、比重が大きく、したがって、厚み方向のいずれにおいても比重が平均的に大きく丈夫なため、搬送中や作業中は勿論、タッカー作業等の固定作業でも折れたりひび割れたりすることがない丈夫な建築用板材を提供することが出来る。
【0026】
また、膨張係数の小さな、そして耐火性のある石膏ボード12が裏打ちされているため、中密度木質繊維板11の膨張収縮を抑え、繋ぎ目13が盛り上がったり、隙間が出来たりせず、見栄え品質の良い建築用板材10を提供することが出来、さらに耐火性を増した建築用板材を提供することが出来る。また、粘りけがあり、硬い中密度木質繊維板11は脆く、柔らかい石膏ボード12の欠点を補完し、両者相まって優れた性質の建築用板材10を提供することが出来る。
【0027】
さらに、適切な化粧シート4を中密度木質繊維板11の表面に張ることにより、中密度木質繊維板11の見栄えの悪さ、吸湿性等を改善して平滑で美的で耐水性のある建築用板材を提供することが出来る。
【0028】
したがって、この様な建築用板材を、床、壁、天井に使用することにより、作業性が良く、剛性もあり、防音性、耐火性に優れた建築物を提供することも出来る。特に、上下階の間の天井や床に使用するとき、遮音性に優れているため、上下階に抜ける音を防止することが出来る点で大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願発明の建築用板材の一実施例である建築用床材の床張り状態の部分斜視図である。
【図2】図1の建築用床材の端面図である。
【図3】図1に示すAーA断面図である。
【図4】従来の図3と同様な断面図である。
【符号の説明】
【0030】
4・・・化粧被覆体
7・・・下張り材
10・・・建築用床材
11・・・中密度木質繊維板
11a・・・上面延在部
11b・・・下面延在部
11c・・・面取り
12・・・石膏ボード
13・・・繋ぎ目
14・・・タッカー芯
15・・・凹型実加工部
16・・・凸型実加工部
【出願人】 【識別番号】591059685
【氏名又は名称】南海プライウッド株式会社
【出願日】 平成19年3月26日(2007.3.26)
【代理人】 【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄


【公開番号】 特開2008−238421(P2008−238421A)
【公開日】 平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願番号】 特願2007−78167(P2007−78167)