トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 木質繊維集積板及びパチンコ台のゲージ盤
【発明者】 【氏名】岩田 立男

【氏名】平野 善啓

【氏名】村上 裕茂

【氏名】大本 兼男

【氏名】鈴木 敏

【要約】 【課題】釘打ち性、釘保持力に優れた木質繊維集積板、及びパチンコ台のゲージ板を提供すること。

【解決手段】木質繊維がバインダーにより成形によって一体化され、密度分布が0.52g/cm〜1.00g/cmの範囲であって、密度が0.80g/cm以上の層が存在しないか、又は表面部に厚さ2mm未満に存在する木質繊維集積板である。該木質繊維集積板において、その全体密度が0.65g/cm〜0.85g/cmであること、長さが0.1mm〜10mmで、直径が2μm〜300μmの大きさの木質繊維が木質繊維の大半を占めること、バインダーがポリエーテル系ポリウレタンであること、が好ましい。バックシート貼り木質繊維集積板は、前記木質繊維集積板の少なくとも片面側にバックシートを一体化してなるものである。前記木質繊維集積板は、パチンコ台のゲージ盤として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さが0.1mm〜10.0mmで、直径が2μm〜300μmの大きさのものが大半を占めるアセチル化されていない木質繊維の含水率を15重量%以下に調整した後にバインダーを付着し、フォーミングによりマット状物とされ、前記マット状物を熱盤温度150〜230℃、プレス圧力20〜30kgf/cm熱盤間でプレス成形することによって得られる木質繊維集積板であって、
前記木質繊維集積板は、投入する木質繊維の量を調節することにより、全体密度が0.65g/cm〜0.85g/cmであって、密度分布が0.52/cm〜1.00g/cmの範囲とし、
密度が0.80g/cm以上の層が存在しないか、又は表層部に厚さ2mm未満に存在することを特徴とする木質繊維集積板。
【請求項2】
前記バインダーが、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテル系ポリウレタンであるポリウレタン樹脂、又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の木質繊維集積板。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の木質繊維集積板を用いてなる、釘保持力が40kgf以上のパチンコ台のゲージ盤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、木質繊維集積板及びパチンコ台のゲージ盤に関する。
【背景技術】
【0002】
木質繊維からなる木質繊維集積板は種々の用途に用いられており、その用途の一つにパチンコ台のゲージ盤がある。通常のMDF(中密度木材繊維集積板)等の木質繊維集積板においては、プレス成形方法の特性から、プレス成形品の表面部に密度が高い層、いわゆる岩盤層という層ができ易い。一方、パチンコ台のゲージ盤等に求められるパネルの性能として、釘が打ち易く、しかも釘の保持力があることが求められている。しかし、表面部に形成された岩盤層が硬いことから、釘が打てない、釘を打つと釘が曲がってしまう等の弊害があった。釘が打てるように、木質繊維集積板の全体の密度を下げると、木質繊維集積板の全体の強度や、釘の保持力も低下してしまう、という問題があり、通常の木質繊維集積板が使用できず、パチンコ台のゲージ盤はもっぱらラワンメランティー等の貴重な木材資源を使用した合板に頼っていた。
【0003】
特許文献1には、アセチル化した木質繊維および/または該アセチル化した木質繊維を粉砕して得られた木質粉末の大きさが選別され、この大きさが揃えられた木質繊維および/または木質粉末にバインダーが塗布され、成形一体化されてなる木質繊維集積板が開示されているが、該木質繊維集積板の場合、アセチル化処理に要する工程が必要であり、木質繊維集積板の製造コストが高いという問題があった。
【特許文献1】特開平10−128711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、釘打ち性、釘保持力に優れ、しかも湿度変化に起因する反りやねじれが低減され、且つ低コストで製造できる木質繊維集積板及びパチンコ台のゲージ盤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の木質繊維集積板は、木質繊維がバインダーにより成形によって一体化され、密度分布が0.52g/cm〜1.00g/cmの範囲であって、密度が0.80g/cm以上の層が存在しないか、又は表面部に厚さ2mm未満に存在する木質繊維集積板である。該木質繊維集積板において、その全体密度が0.65g/cm〜0.85g/cm3であることが好ましく、長さが0.1mm以上、10.0mm以下で、直径が2μm〜300μmの大きさの木質繊維が木質繊維の大半を占めることが好ましく、また、バインダーがユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂又はこれらの混合物であることが好ましく、特にバインダーがポリエーテル系ポリウレタンであることが好ましい。
バックシート貼り木質繊維集積板は、前記の木質繊維集積板の少なくとも片面側に、バックシートを一体化してなるものである。
本発明の木質繊維集積板の製造法は、木質繊維がバインダーにより成形によって一体化され、密度分布が0.52g/cm〜1.00g/cmの範囲であって、密度が0.80g/cm以上の層が存在しないか、又は表面部に厚さ2mm未満に存在する木質繊維集積板の製造法であって、前記木質繊維として含水率が15重量%以下の木質繊維にバインダーを付着させ、このバインダーが付着した木質繊維を成形して木質繊維をバインダーにより結合する木質繊維集積板の製造法である。
該製造法において、長さが0.1mm以上、10.0mm以下で、直径が2μm〜300μmの大きさの木質繊維が木質繊維の大半を占めることが好ましい。本発明のパチンコ台のゲージ盤は、前記の木質繊維集積板であって、釘保持力が40kgf以上の木質繊維集積板を用いたものである。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように、本発明の木質繊維集積板は、釘打性、釘保持力に優れ、また反りを生じ難く、パチンコ台のゲージ盤等として用いるに特に好適である。また、本発明によれば、このような木質繊維集積板を容易に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明の木質繊維集積板の例を示す断面図であって、該木質繊維集積板は木質繊維1aがバインダー1bにより成形によって一体化されてなる木質繊維集積板であって、該木質繊維集積板1の密度分布、即ち芯層1dと芯層1dの両面に形成された密度の大きい表面層1c、1cの密度分布が0.52〜1.00g/cmの範囲であって、密度が0.80g/cm以上の層が存在しないか、又は密度が0.80g/cm以上の層が存在しても表面部に表面層1cとして厚さ2mm未満に存在する木質繊維集積板である。
前記木質繊維集積板は、長さが0.1〜10.0mmで、直径が2〜300μmの大きさが大半を占め、かつ含水率が15重量%以下の木質繊維にバインダーを付着させ、次いで、バインダーが付着した前記の木質繊維を加圧成形して木質繊維を前記バインダーにより結合することで製造できる。従って、本発明の木質繊維集積板は製造が容易で、また低コストに製造できる。
【0008】
木質繊維集積板を製造するために用いる木質繊維は以下のように製造される。即ち、木質繊維としては、広葉樹又は針葉樹の木材をチッパーでチップ化し、得られたチップを解繊したものが用いられる。解繊には、150゜C程度の高圧蒸気により蒸煮した後、ディスクリファイナーによって解繊する方法等が用いられる。解繊によって得られた木質繊維はアセチル化して用いることもできるが、アセチル化しないで用いてもよい。本発明によれば、岩盤層を少なくする等により、木質繊維がアセチル化されていなくとも、釘打ち性、釘保持力等に優れた木質繊維集積板を得ることができる。
木質繊維集積板の総重量中、木質繊維(但し、絶乾重量)が約70重量%、好ましくは85重量%以上であれば、釘打ち性、釘保持力に優れた木質繊維集積板が得られ易い。
【0009】
本発明においては、木質繊維として、長さが0.1〜10mm、直径(太さ)が2〜300μmの大きさの木質繊維が大半を占めるものが用いられる。ここで、大半を占めるとは、木質繊維集積板の製造のために用いる木質繊維の総量中、長さが0.1〜10mmで、且つ直径2〜300μmの大きさの木質繊維が約70重量%、好ましくは約85重量%以上であることを意味する。
木質繊維の長さが10mmを越えると、木質繊維集積板に釘を真直ぐに打ち難い。木質繊維の長さが0.1〜10mmであれば、木質繊維集積板に釘を真直ぐに打ち易い。
なお、木質繊維の長さ、直径は、顕微鏡観察によって求めることができる。
【0010】
木質繊維として、含水率が15重量%以下のものが用いられる。前記の含水率を有する木質繊維は、木質繊維の乾燥条件を選択することで得られる。木質繊維として、含水率が15重量%を越えるものを用いると、木質繊維集積板の表面部に、密度が0.8g/cm3以上で厚さが2mm以上の層が出来やすくなる。
なお、木質繊維の含水率は、日本工業規格、JIS A5905−1994で求めることができる。即ち、含水率(重量%)は(m1−m0)×100/m0である。ここで、m1は乾燥前の木質繊維試料の質量(g)であり、m0は該木質繊維試料を103゜Cの空気乾燥器に入れ、恒量になったときの質量(g)である。
【0011】
木質繊維を結合するためのバインダーとして、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等及びこれらの混合物を用いることができる。用いるに好ましいバインダーはポリウレタン樹脂である。特に、イソシアネート基を一分子中に2個以上有するイソシアネート化合物と、水酸基を一分子中に2個以上有すると共にエーテル結合を一分子中に多数有するポリエーテルポリオールとを反応させることで得られるポリエーテル系ポリウレタン樹脂は軟質の硬化物を与えるので好ましい。ポリエーテルポリオールは、数平均分子量が200〜4000であることが好ましい。数平均分子量が200〜4000であると、釘の打ち込み性、釘保持力に優れた木質繊維集積板が得られ易い。
イソシアネート化合物の例は粗ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート等であり、ポリエーテルポリオールの例はポリグリコール類である。
【0012】
バインダーの使用量は、木質繊維の絶乾重量100重量部に対して、固形分で4〜15重量部であることが好ましい。バインダー量が4重量部未満では製板し難いし、釘保持力が弱く、曲げ強度が弱い。15重量部を越える量では、厚さ2mm以上の岩盤層ができ易くなり、また過剰で経済的に不利である。
イソシアネート化合物とポリエーテルポリオールとを反応させて得られるポリエーテル系ポリウレタン樹脂をバインダーとして用いる場合、イソシアネート化合物100重量部に対して、ポリエーテルポリオールを15〜150重量部、好ましくは30〜100重量部の割合で用いることが好ましい。15重量部以下では、木質繊維集積板1が硬すぎて釘が打ち込み難いし、150重量部以上では釘は打ち込み易いが、柔らか過ぎて釘保持力が十分でなくなる。
【0013】
木質繊維にイソシアネート化合物、ポリエーテルポリオールを別々に塗布する場合、木質繊維の絶乾重量100重量部に対して、イソシアネート化合物は4〜20重量部、好ましくは7〜15重量部の割合であり、ポリエーテルポリオールは3〜15重量部の割合であることが好ましい。この場合、イソシアネート化合物を木質繊維に塗布した後に、その上にポリエーテルポリオールを塗布できる。
イソシアネート化合物とポリエーテルポリオールとを予め混合して木質繊維に塗布する場合、木質繊維の絶乾重量100重量部に対して、イソシアネート化合物とポリエーテルポリオールとの総量は4〜15重量部の割合であることが好ましい。また、この場合、イソシアネート化合物100重量部に対して、ポリエーテルポリオールが15〜150重量部、特に30〜100重量部の割合であることが好ましい。
ポリエーテルポリオールの割合が15重量部未満では、木質繊維集積板が硬くなり過ぎて釘打ち性がよくない。ポリエーテルポリオールの配合割合が150重量部を越える配合割合であると、木質繊維集積板は柔らかいので釘打ち性は良好であるが、釘保持力が不十分となる。
【0014】
長さ0.1〜10mmで、直径2〜300μmの大きさが大半を占め、かつ含水率15重量%以下の木質繊維と、バインダー等とを混合して、前記の木質繊維の表面上にバインダーを付着させることで木質繊維集積板を形成するための木質繊維材が準備される。木質繊維とバインダーとの混合は、スプレー方式で塗布する方法でもよい。例えば、低速で回転する回転ドラム内に、大きさと含水率が調整された木質繊維を入れ、前記回転ドラム内で木質繊維が自然落下する際にバインダーを木質繊維にスプレー塗布する方法が好適である。バインダーがポリエーテル系ポリウレタン樹脂である場合、イソシアネート化合物とポリエーテルポリオールとを予め溶剤に溶解して混合液とし、該混合液を木質繊維にスプレー方式で塗布してもよいし、イソシアネート化合物とポリエーテルポリオールとを別々に溶剤に溶解した混合液を木質繊維に別々にスプレー方式で塗布してもよい。尚、均一分散良好なスプレー装置を使用する場合は、溶剤での希釈は不要である。
【0015】
マット状物を熱圧成形することで木質繊維をバインダーにより結合した木質繊維集積板が得られる。この熱圧成形により、マット状物中のバインダーは反応して硬化し、木質繊維はバインダーの硬化物により結合される。熱圧成形温度はバインダーの種類にも依るが、約150〜230゜Cである。
木質繊維として含水率が15重量%以下のものを用い、且つ熱圧成形によって得られる木質繊維集積板の厚さが約10〜30mmであれば、密度が0.80g/cm以上の層が存在しないと共に表面より2mmを越える内部の密度が約0.52g/cm以上で0.8g/cm未満である木質繊維集積板、若しくは、密度が0.80g/cm以上の層が表面部に存在しても該層の厚さは2mm未満となり易く、且つ、表面部より内部の部分(即ち、芯層1d)の密度が約0.52g/cm以上で0.8g/cm未満である木質繊維集積板、が得られ易い。このような木質繊維集積板は、釘打性、釘保持力に優れる。
【0016】
木質繊維集積板の片面に、例えば厚さ0.3〜0.7mmのセル化粧シート(不図示)を貼った場合、表面と裏面とでは非対称となり、湿度変化等によってセル化粧シート貼り木質繊維集積板に反り、ネジレが生じ易い。この反り、ネジレは、木質繊維をバインダーにより結合した層の少なくとも片面側に、好ましくは両面側に、バックシートを一体化することで防止できる。バックシートは、セル化粧シートが貼られる木質繊維集積板の面の反対側の面上に、少なくとも一体化される。接着剤を予めバックシートに塗布し、このバックシートを予め成形された木質繊維集積板に貼り合わせてバックシートを木質繊維集積板に一体化することもできるが、バインダーが付着した木質繊維にバックシートを重ね合わせて熱圧成形することでバインダーにより結合された木質繊維の層にバックシートを一体化することが好ましい。
図2に示すバックシート貼り木質繊維集積板3は、木質繊維集積板1の表面層1c、1cの両面上にバックシート2、2を積層により一体化した例である。なお、セル化粧シートとは、例えばセルロイドフィルムの片面に紙をラミネートしたものである。
【0017】
バックシート2として、和紙等の紙或いはビニロン不織布、ガラス不織布等の不織布が挙げられる。バックシートとして和紙を用いると、和紙にバインダーが熱圧成形時に含浸し易いので木質繊維集積板とバックシート(和紙)とが強固に接着されるし、和紙は強度が大きい点でも好ましい。好ましい和紙は、コウゾ、ミツマタ、ガンビ等のジン皮繊維を原料とし、抄紙のときにネリを用いたものである。バックシートとして目付が、約20〜200g/mであるものが好ましく、目付が20g/m未満では反りを抑え難いし、200g/mを越えることは経済的に不利である。
【0018】
以下に、バックシート貼り木質繊維集積板の製造方法について説明する。
図2に示すバックシート貼り木質繊維集積板3は、長さ0.1〜10mm、直径2〜300μの大きさが大半を占め、かつ含水率15重量%以下の木質繊維にバインダーを付着させ、該バインダーが付着した木質繊維をマット状物とし、該マット状物の両面にバックシート2、2を重ねて積層物とし、次いで、該積層物を熱圧成形してバインダーを硬化させることで得られる。
【0019】
密度分布が0.52g/cm〜1.00g/cmの範囲であって、しかも、密度が0.8g/cm以上である層が存在しないか、存在しても厚さ2mm未満に表面部にのみ存在する木質繊維集積板を、パチンコ台の釘を打つ必要のあるゲージ盤等として用いた場合、釘保持力が大きし、しかも自動釘打ち機でまっすぐ平均に釘を打つことができる。密度が0.8g/cm以上で厚さが2mmを越える層が表面部に存在すると、釘が打ち難いし、釘を打っても釘が曲がり易い。尚、2mmを越える層が表面に存在した場合、表面の岩盤層をサンダー等により切削削除することによっても、本発明は目的を達成する。
また、木質繊維集積板の全体の密度(全体密度)が0.65g/cm以上であると、釘の保持力が40kgf以上となり易く、釘が木質繊維集積板から抜け難い。従って、このような木質繊維集積板であって、厚さtが15〜25mmのものは、パチンコ台のゲージ盤を製造するために有用である。パチンコ台のゲージ盤とは、パチンコ球の流れを案内するための前面板である。ゲージ盤は、本発明の木質繊維集積板に透孔を設け、釘打ちすることで製造できる。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施例および比較例により、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
直径が0.l〜1.0mm程度、長さが0.2〜50mm程度の木質繊維をパワーミル(P−5)(ダルトン株式会社製)を用いて粉砕して、長さが0.1mm以上で10mm以下の範囲にあり、直径2〜300μの大きさの木質繊維を得た。この木質繊維の含水率は12重量%であった。
【0021】
次いで、得られた木質繊維を低速で回転する回転ドラム内に入れ、ドラム内で木質繊維が自然落下する際にバインダーをスプレー塗布した。
バインダーとして、粗ポリメチレン・ジフエニル・ジイソシアネート(住友バイエルウレタン社製、商品名;スミジュール44V20)30重量%と、ポリエーテルポリオール20重量%をアセトン50重量%に溶解した混合液を用いた。バインダーの塗布量は、粉末状木質繊維の絶乾重量100重量部に対して約15重量部の割合とした。
【0022】
次いで、バインダーが塗布された木質繊維をフォーミングマシンを用いてフォーミシグしてマット状物(厚さ約400mm)を得た。このマット状物の両面に和紙(この和紙の目付は30g/mであった。)を位置させた。マット状物と和紙とを重ね合わせたものをプレス機の熱盤間でプレス成形することで、図2に示すバックシート貼り木質繊維集積板3を得た。熱圧条件は、熱盤温度150℃、プレス圧力20〜30kgf/cm、圧締時間20分であった。
該バックシート貼り木質繊維集積板3は、図2に示すように、木質繊維1aをバインダー1bにより結合することで得られた木質繊維集積板1の両面に和紙(バックシート2)が熱圧成形時に一体化されたものであった。バックシート貼り木質繊維集積板3の木質繊維集積板1の部分の全体密度は0.76g/cmで、大きさは幅500mm×長さ450mm×厚さ20mmであった。
【0023】
得られたバックシート貼り木質繊維集積板3に自動釘打機で釘を打ったところ、釘はまっすぐに打てた。また、引き抜き試験により、打った釘の釘保持力を測定したところ、平均値は51.6kgfであった。なお、釘保持力の最小値は45kgf、最大値は55.2kgf、測定個数は10であった。
厚み方向の密度分布(デンシィティープロファィル、Density Profile)を測定する密度分布測定器を用いて、木質繊維集積板1の部分の厚み方向の密度分布を測定した。その測定結果を図4に示す。図4から判るように、表面の最大密度は約0.91g/cm(910kg/m)であり、密度0.80g/cm以上の岩盤層の厚みは1.20mmであった。尚、厚み方向の密度分布測定器として、ATR社(ドイツ)製のstandard ATR Density Profilometer Type DPM201を用いた。
【0024】
また、得られたバックシート貼り木質繊維集積板3を幅460mm×長さ410mmに切断し、該切断品を、雰囲気温度35℃、相対湿度95%中に2日間、次いで雰囲気温度35℃、相対湿度20%中に5日間置いた。そして、この耐湿試験後の切断品を、図3に示すように水平面に置き、端部の浮きcを測定した。端部の浮きcは1mm以下であった。即ち、バックシート貼り木質繊維集積板3は、湿度変化によっても、反り、ネジレが発生し難いものであった。
【0025】
比較例1
厚さ1.5mmのブナの単板を13枚、繊維方向が直交するように積層、接着して厚さ19.0mmのブナ合板を得た。そして、このブナ合板について実施例1と同様に、釘保持カを測定したところ、平均値は42.6kgfであった。なお、釘保持力の最小値は37.0kgf、最大値は47.3kgf、測定個数は10であった。
【0026】
比較例2
実施例1における木質繊維の代わりに含水率18重量%の木質繊維を用い、且つ実施例1における粗ポリメチレン・ジフエニル・ジイソシアネート30重量%/ポリエーテルポリオール20重量%/アセトン50重量%の混合液の代わりに、粗ポリメチレン・ジフエニル・ジイソシアネート50重量%/アセトン50重量%の混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして木質繊維集積板を得た。該木質繊維集積板に、自動釘打機で釘を打ったところ、釘がまっすぐに打てなかった。該木質繊維集積板の厚み方向の密度分布を実施例1と同様に測定した。測定結果を図8に示す。該木質繊維集積板には、図8に示すように、密度0.80g/cm以上の岩盤層が木質繊維集積板1の両面に2mm以上の厚さで存在し、このため釘がまっすぐに打てなかったものと推定される。
【0027】
実施例2〜4、比較例3〜5
実施例1と同様にして得た木質繊維の含水率を12重量%に調整した。この含水率12重量%の木質繊維とバインダーとを混合した混合物を熱圧成形することで、厚み約20mmの図1に示す木質繊維集積板1を得た。
尚、バインダーの組成を表1に示すように変え、且つ木質繊維の投入量を変えることで、実施例2〜4、比較例3〜5の、全体密度が異なる木質繊維集積板1を得た。該木質繊維集積板1の釘打性、釘保持力を測定した。また、木質繊維集積板1の厚み方向の密度分布を実施例1と同様に、密度分布測定器を用いて、表面から裏面迄の約20mmにわたって測定した。密度分布の測定結果を、図5〜7、図9〜11に示す。
【0028】
木質繊維の含水率、バインダーの組成と共に、釘打性、釘保持力の実施例1〜4、比較例2〜5についての測定結果を表1にまとめて示す。また、図4〜図11に示すグラフから求めた、木質繊維集積板1の最大密度、最小密度、全体密度、密度0.8g/cm3以上の表面層の厚さについての解析結果を表1に示す。
表1において、MDI/ポリは粗ポリメチレン・ジフエニル・ジイソシアネートとポリエーテルポリオールとの混合物を、MDI/メ/ポリは粗ポリメチレン・ジフエニル・ジイソシアネートとメラミン樹脂とポリエーテルポリオールとの混合物を、メラミンはメラミン樹脂を、バインダーとして用いて木質繊維集積板を作製したことを意味する。
【0029】
表1において、釘打性はパチンコ釘を金属ハンマーにて、約150〜200mmの高さからハンドで釘を打ち込み、打ち込んだ釘に曲がりがない場合を合格(表1において○印)とし、打ち込んだ釘に曲がりが認められた場合を不合格(表1において×印)とした。
また、釘保持力は、パチンコ釘を50×50mm角の台板に打ち込んだ後、釘の引き抜き強度を測定した。この強度測定は、JIS A5905−1994、5.13の木ネジ保持力試験法、5.14のくぎ逆引抜抵抗試験法に準じて行った。耐久性を要求されるパチンコ台のゲージ盤としては、釘保持力が約40kgf、好ましくは50kgfが合格品とされる。
【0030】
【表1】


【0031】
表1の最小密度、最大密度の欄から判るように、密度分布が0.52〜1.00g/cmの範囲であって、図4〜7に示すように密度が0.80g/cm以上の層を表裏両面に表面層として有しても該表面層のそれぞれの厚さが2mm未満であり、且つ、図4〜7から判るように上記表面層より内部部分の密度分布が約0.52g/cm以上、0.8g/cm未満の範囲である実施例1〜4の木質繊維集積板は、釘打ち性、釘保持力に優れた。また、バインダーがポリエーテル系ポリウレタンであると、釘打ち性、釘保持力に優れ易いことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】木質繊維集積板の例を示す断面図である。
【図2】バックシート貼り木質繊維集積板の例を示す断面図である。
【図3】木質繊維集積板の反り量の測定法を示す断面図である。
【図4】実施例1の木質繊維集積板の厚み方向の密度分布を示すグラフである。
【図5】実施例2の木質繊維集積板の厚み方向の密度分布を示すグラフである。
【図6】実施例3の木質繊維集積板の厚み方向の密度分布を示すグラフである。
【図7】実施例4の木質繊維集積板の厚み方向の密度分布を示すグラフである。
【図8】比較例2で得た木質繊維集積板の厚み方向の密度分布を示すグラフである。
【図9】比較例3の木質繊維集積板の厚み方向の密度分布を示すグラフである。
【図10】比較例4の木質繊維集積板の厚み方向の密度分布を示すグラフである。
【図11】比較例5の木質繊維集積板の厚み方向の密度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0033】
1・・木質繊維集積板、1a・・木質繊維、1b・・バインダー、1c・・表面層、1d・・芯層、2・・バックシート、3・・バックシート貼り木質繊維集積板。
【出願人】 【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【出願日】 平成19年12月3日(2007.12.3)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆


【公開番号】 特開2008−110611(P2008−110611A)
【公開日】 平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願番号】 特願2007−312859(P2007−312859)