トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 複合ボードおよびそれを用いた家具ならびに複合ボードの製造方法
【発明者】 【氏名】中原 誠

【氏名】笠坊 美紀

【氏名】田上 貴士

【要約】 【課題】

【解決手段】基材ボードの少なくとも片面にシート状物が積層されてなる複合ボードであって、前記シート状物が導電性繊維および非導電性繊維を含むことを特徴とする複合ボード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材ボードの少なくとも片面にシート状物が積層されてなる複合ボードであって、前記シート状物が導電性繊維を含むことを特徴とする複合ボード。
【請求項2】
前記基材ボードが天然繊維およびポリ乳酸樹脂からなる、請求項1記載の複合ボード。
【請求項3】
さらに反射層を配してなる、請求項1または2記載の複合ボード。
【請求項4】
前記導電性繊維が炭素系繊維である、請求項1〜3のいずれか記載の複合ボード。
【請求項5】
前記シート状物が木質パルプまたはガラスファイバーをさらに含む、請求項1〜4のいずれか記載の複合ボード。
【請求項6】
前記シート状物が混抄紙または不織布である、請求項1〜5のいずれか記載の複合ボード。
【請求項7】
前記基材と前記シート状物との接着面積比率が35%以下である、請求項1〜6のいずれか記載の複合ボード。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載の複合ボードを用いたことを特徴とする家具。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか記載の複合ボードを用いたことを特徴とする電波吸収体。
【請求項10】
熱可塑性樹脂からなる短繊維および天然繊維を含んでなるウェブまたはその積層体の少なくとも片面に、導電性繊維を含むシート状物を積層し、これらを積層したものを圧縮して一体に成形することを特徴とする複合ボードの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築資材や家具などに用いられる複合ボードおよびその製造方法に関する。詳しくは、電磁波吸収性能又は電磁波遮蔽性能に代表される電磁波防護性能と、吸音性能の双方を有し、かつ適度な曲げ強さを有する複合ボードおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユビキタスネットワーク社会を目指したワイヤレス化の進展により、住宅、オフィス、医療施設、公共交通施設などにおいて様々な電波が利用され始めている。しかしながら、それらの電波が原因で装置や設備に誤作動が発生したり、情報の漏洩、人体への悪影響などの電波障害が懸念されている。このような電磁波環境を改善するための手段の一つとして、電磁波遮蔽材や電磁波吸収材が開発され、具体的には20dB以上(10GHz)程度の電磁波遮蔽材や、−10dB以下の電波吸収材が求められている。
【0003】
また、音響機器や映像機器の発達にともない、一般家庭や公共施設においても音楽や映画を鑑賞する、いわゆるルームシアターなどが普及し始めている。これら娯楽設備の発展とともに、近年では上述の機器のみならず、これらの周辺材料である内装材などの建築材料においても優れた音響性能、すなわち吸音性能が求められ、具体的には20%以上(100〜2000Hzの平均値)程度の吸音性能が求められている。
【0004】
このように、建築材料や家具等の用途においても、上記電磁波遮蔽・吸収性能や吸音性能を有する新規材料が求められているが、これらの両機能を併せ持つ材料は未だ開発されていないのが現状である。
【0005】
従来の電波吸収材や吸音材は、これらの単独の機能を向上すべく開発がなされており、電波吸収材の一例としては、導電性繊維と非導電性繊維を含む混抄紙からなる電波吸収体が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、このような電波吸収体は、優れた電波吸収性能を有するものの、実体は紙状体であることから、建築資材や家具等に用いるに当たっては曲げ強さ等の強度が低く、幅広い用途での適用が困難であるという問題があった。また、紙状体のみでは吸音性能を向上することは困難である。
【0006】
また、電波遮蔽、或いは吸収性能と、適度な強度を併せ持つ材料として、パーティクルボードや繊維板の表層、または中間層に金属箔や磁性材料からなる電波遮蔽層を設けた電波遮蔽または吸収板が提案されている(特許文献2、3、4参照)。しかしながら、このような電波遮蔽、吸収材料は一定の電波防護機能を有するもののその性能は近年求められている電波防護性能にはほど遠く、かつ、吸音性能との両立を達成できるものではない。また、金属や磁性体を材料中に多量に含むこと、及び使用後の分別が困難であることから、再生や廃棄が困難であるという問題があった。
【0007】
同様に、電波遮蔽性能と、適度な強度を有する材料として、ヤシ繊維と金属長繊維とを分散させた繊維利用資材が提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、このような電波遮蔽材料は一定の電波防護機能を有するもののその性能は近年求められている電波防護性能にはほど遠く、かつ、吸音性能との両立を達成できるものではない。また、金属繊維を材料中に含むことにより使用後の分別が困難であることから、再生や廃棄が困難であるという問題があった。
【0008】
その他、吸音材料としては、有機繊維の不織布の表面に、一定の通気量の紙が積層された吸音材(特許文献6参照)が開示されている。しかしながら、上記の材料は吸音性能には優れるが、電磁波防護材としての性能を得ることはできなかった。さらに、近年では天然繊維と植物由来のポリ乳酸が混在したボードが提案されているが(特許文献7参照)、環境負荷が少ないという効果を有するものの、電磁波防護性能や、吸音性は得られない。
【特許文献1】特開2004-247720号公報(請求項2)
【特許文献2】特開昭59−78598号公報(請求項1)
【特許文献3】特開昭61−293804号公報(請求項1)
【特許文献4】特開2001−118711号公報(請求項1)
【特許文献5】特開平6−257044号公報(請求項1、図2)
【特許文献6】特開2005−208599号公報(請求項1、請求項4)
【特許文献7】特開2004−130796号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術の欠点に鑑み、電波吸収性能や電波遮蔽性能等の電磁波防護性能、吸音性能、および適度な曲げ強さに優れ、これまでの電磁波防護材や吸音材が使用不可能であった曲げ強度が必要とされる用途、例えば建築材料や家具の最表材や芯材などの幅広い用途で用いることができる複合ボード及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、基材ボードの少なくとも片面にシート状物が積層されてなる複合ボードであって、前記シート状物が導電性繊維および非導電性繊維を含むことを特徴とする複合ボードである。
【0011】
また本発明は、本発明の複合ボードを用いたことを特徴とする家具である。
【0012】
また本発明は、本発明の複合ボードを用いたことを特徴とする電波吸収体である。
【0013】
また本発明は、熱可塑性樹脂からなる短繊維および天然繊維を含んでなるウェブまたはその積層体の少なくとも片面に、導電性繊維を含むシート状物を積層し、これらを積層したものを圧縮して一体に成形することを特徴とする複合ボードの製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の複合ボードは、電磁波吸収性能や電磁波遮蔽性能等の電磁波防護性能、吸音性能、および適度な曲げ強さに優れる。そのため、これまでの電磁波防護材や吸音材が使用不可能であった曲げ強度が必要とされる用途、例えば建築材料や家具等の表面材や芯材などの幅広い用途で用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の複合ボードは、基材ボードを有してなる。基材ボードは、従来の電磁波防護材や吸音材が使用不可能であった曲げ強度が必要とされる用途に用いるための、適度な曲げ強さを付与するものである。
【0016】
基材ボードとしては、原料の少なくとも一部が繊維の形状を留めてなる繊維系ボードとすることが好ましい。繊維系ボードとすることにより、入射した音波がボード内で乱反射し、吸音効率を高めることができるからである。
【0017】
また、石油由来原料の使用比率を低減させ環境負荷を低減するために、天然繊維およびバインダ(結合剤)としてポリ乳酸樹脂からなる繊維系ボードであることが好ましい。
【0018】
天然繊維としては、その中でもセルロース系繊維であることが好ましい。例えば、木質系や草本系のセルロース系繊維である。そして、強度の高い複合ボードを得るには、できるだけ繊維長の長いセルロース系繊維を用いることが好ましい。具体的には、木材パルプ、バガス、ムギワラ、アシ、パピルス、タケ類等のイネ科植物、パルプ、木綿、ケナフ、ローゼル、アサ、アマ、ラミー、ジュート、ヘンプ、まお等の靭皮繊維、サイザルアサおよびマニラアサ等の葉脈繊維等であり、これらの中から選ばれる1種以上の繊維が含まれていることが好ましい。これらのうちでも、比較的繊維長が長く、一年草であって熱帯地方及び温帯地方での成長が極めて早く容易に栽培できる草本類に属するケナフあるいはジュートから採取される繊維を採用することで、曲げ強度に優れた複合ボードを得ることができる。特に、ケナフの靭皮にはセルロースが60%以上と高い含有率で存在しており、かつ高い強度を有していることから、ケナフ靭皮から採取されるケナフ繊維を用いることが好ましい。
【0019】
天然繊維の平均繊維長としては、5〜100mmが好ましい。平均繊維長がこの範囲内の短繊維の天然繊維で繊維系ボードを構成することにより、優れた強度の繊維系ボード、ひいては複合ボードを得ることができる。5mm以上、より好ましくは20mm以上、さらに好ましくは50mm以上とすることにより、搬送・施工・使用に耐える強度を得ることができる。一方、100mm以下とすることで、繊維系ボードの製造において、短繊維とポリ乳酸樹脂とを均一に分散させることができ、生産性を維持し、また強度が不均一となるのを防ぐことができる。
【0020】
ポリ乳酸樹脂は、非石油系原料、すなわちトウモロコシなどの植物を原料とするものであり、製造工程においても石油系の溶剤をほとんど使用せず、また生分解性を有する。よって、複合ボードの製造・廃棄の各段階において、環境への負荷を少なくすることができる。また、ポリ乳酸樹脂は、生分解性プラスチックの中でも、またポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂に比べても強度が高く、融点が170℃程度と適度な耐熱性を有すると共に、成形性に優れ、他の天然繊維や木質系材料との接着性も優れている。
【0021】
ポリ乳酸樹脂としては、ポリ乳酸のホモポリマーでもよいし、ポリ乳酸同士の共重合体もしくはブレンドポリマーでもよい。ポリ乳酸樹脂におけるL−乳酸単位とD−乳酸単位との構成モル比(L/D)は、100/0〜0/100にわたり採用しうるが、高い融点を得るにはL−乳酸単位あるいはD−乳酸単位のいずれかを90モル%以上含むことが好ましい。
【0022】
また、ポリ乳酸の重量平均分子量としては5万〜50万が好ましい。
【0023】
また、ポリ乳酸樹脂には、カルボジイミド化合物を添加することが好ましい。ポリ乳酸またはこれに含まれるオリゴマーの反応活性末端を不活性化し、ポリ乳酸の加水分解を抑制するものである。加水分解を抑制することにより、高温・高湿環境下での使用による劣化を防ぐことができる。カルボジイミド化合物としては例えば、ジイソシアネート化合物を重合したものを好適に用いることができ、中でも、4,4−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドの重合体やテトラメチルキシリレンカルボジイミドの重合体やその末端をポリエチレングリコールなどで封鎖したものを好ましく用いることができる。
【0024】
また、ポリ乳酸樹脂は結晶核剤を含有することも好ましい。結晶核剤により、ポリ乳酸の結晶核の形成を促進させ、複合ボードの曲げ強度を向上することができる。結晶核剤としては、ポリ乳酸樹脂中に均一に分散し効率良く結晶核を形成できる点でタルクが特に好ましい。タルクの組成としては、燃焼時の損失分を除いた成分中のSiOおよびMgOの割合が93質量%以上であることが好ましい。タルクの平均粒径としては分散性の点から0.5〜7μmが好ましい。結晶核剤は1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。結晶核剤の含有量としては、ポリ乳酸のバインダとしての働きを阻害することなく結晶核形成の促進効果を得る上で、ポリ乳酸樹脂の全質量に対して0.1〜20質量%が好ましい。
【0025】
本発明の複合ボードは、基材ボードの少なくとも片面にシート状物が積層されてなる。シート状物を積層することにより、吸音性を向上させることができる。
シート状物と基材ボードとの間で音波の共鳴作用が得られ、音波を熱エネルギーに変換することができるからと考えられる。また、表面にシート状物を設けることにより、吸引搬送性、及び化粧板や化粧紙等への接着性に優れた複合ボードを得ることができる。
【0026】
また本発明の複合ボードは、シート状物が導電性繊維を含むことが重要である。シート状物が含む導電性繊維の共鳴・共振作用により電磁波エネルギーを熱エネルギーに変換することで電磁波を吸収したり、導電性繊維によりシート全体の比抵抗値を低く保つことで電磁波を遮蔽することが可能となる。また、吸音性能も向上させることができ、そのメカニズムとしては、導電性繊維の振動による共鳴作用によるものと考える。
【0027】
導電性繊維の比抵抗としては1×10Ω・cm以下が好ましく、より好ましくは、1×10−1Ω・cm以下である。1×10Ω・cm以下とすることにより、少量の導電性繊維でも良好な電磁波遮蔽性能又は電磁波吸収性能を得ることができる。
【0028】
導電性繊維としては例えば、炭素繊維、カーボンマイクロコイル、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系繊維、金属繊維、金属メッキした繊維、金属酸化物薄膜で被覆した繊維、カーボン粉や金属粉を付着させた繊維、或いは炭素繊維や炭化ケイ素繊維を製造する際の焼成温度を制御することによって得られる半導体繊維などを用いることができる。中でも、錆びず、軽く、金属メッキ等も必要でない炭素系繊維が特に好ましい。また炭素系繊維は軽いため、シート化における繊維の分散性の面でも好ましい。
【0029】
また、導電性繊維の平均繊維長としては1〜10mmが好ましい。1mm以上とすることで、少量の導電性繊維でも良好な電磁波遮蔽性能又は電磁波吸収性能を得ることができ、また、繊維同士が凝集してシート状物における分散性が悪くなるのを防ぐことができる。一方、10mm以下とすることで、繊維同士で絡み合って分散性が低下するのを防ぐことができる。
【0030】
また、導電性繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)としては、5以上であることが好ましい。アスペクト比を5以上とすることで、少量の導電性繊維でも良好な電磁波遮蔽性能又は電磁波吸収性能を得ることができ、また、繊維同士が凝集して分散性が低下するのを防ぐことができる。
【0031】
シート状物には、その形状を形成するために、導電性繊維以外の繊維(以下、「非導電性繊維」という。)を含むことが好ましい。
【0032】
天然繊維の非導電性繊維としては、木材から得られる木質パルプの他、バガス、ムギワラ、アシ、パピルス、タケ類等のイネ科植物、木綿、ケナフ、ローゼル、アサ、アマ、ラミー、ジュート、ヘンプ、まお等の靭皮繊維、サイザルアサおよびマニラアサ等の葉脈繊維等を用いることができる。
【0033】
無機繊維の非導電性繊維としては、ガラスファイバーや各種の鉱物繊維を用いることができる。
【0034】
合成繊維の非導電性繊維としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキザゾール繊維、ポリ乳酸繊維、耐炎化繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維等を用いることができる。熱により軟化または溶融して熱融着性を発現するものであればなお好ましい。
【0035】
上記の中でも、使用後の廃棄、或いは再生の容易性を向上させるためには木質パルプが好ましく使用され、用途によっては防炎性を向上させるためにガラスファイバーや鉱物繊維が好ましく用いられる。
【0036】
シート状物中における導電性繊維の配合比率としては、0.08〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。0.08質量%以上、好ましくは0.5質量%以上とすることで、電気的損失による電磁波吸収性能および電磁波遮蔽性能の実効を得ることができる。一方、15質量%以下とすることで、導電性繊維の分散性を維持することができ、シートの形態保持の点からは10質量%以下がより好ましい。また、特に電磁波遮蔽性能を得る上では、1.6質量%以上とすることが好ましい。一方、特に電波吸収性能を得る上では、1.5質量%以下とすることが好ましい。1.5質量%以下とすることで、電磁波の反射を抑えつつ電磁波を吸収することができる。
【0037】
シート状物の形態としては、導電性繊維と非導電性繊維とを均一に分散せしめるために、混抄紙または不織布形態であることが好ましい。前記形態とすることにより、導電性繊維をシート状物の面方向及び厚さ方向の3次元方向に均一に分散させることができるため、導電性繊維同士の接触点を増加させシート全体の比抵抗値を低く保つことができ、導電性繊維の共鳴・共振作用が促進され、優れた電磁波防護性能が得られると共に、全面に渡って均一な電磁波防護性能を有する複合ボードを得ることができる。また、上記の形態とすることで導電性繊維の方向性が少なくなるため、電磁波遮蔽性能や電磁波吸収性能の異方性を抑えることができる。また、優れた吸音性能を得るためには、混抄紙が特に好ましい。紙状体とすることにより、音波の共振を促進し、特に優れた吸音性能を得ることができる。
【0038】
これに対し、例えばシート状物の形態が樹脂フィルムであった場合、導電性繊維がフィルム樹脂により拘束され、電磁波の共振作用が低下するため好ましくない。また、シート状物が織物、編物等であった場合、電磁波防護性能に方向性が生じるため好ましくない。
【0039】
また、特に優れた吸音性能を得るために、シート状物の通気度は0.01〜5mL/cm2・secであることが好ましく、より好ましくは0.05〜2mL/cm2・secである。0.01mL/cm2・sec以上とすることで、シート状物内の空隙の振動による吸音効果の実効を得ることができる。一方、5mL/cm2・sec以下とすることで、空気の振動を効率良く捉えることによる吸音効果の実効を得ることができる。
【0040】
また、上述のシート状物の目付としては、30〜400g/mが、優れた吸音性能を得るために好ましい。30g/m以上とすることで、シート状物事体の振動による吸音効果の実効を得ることができる。一方、400g/m以下とすることで、シート状物における繊維の振動の自由度を維持できる。
【0041】
更に優れた吸音性を得る場合には、基材とシート状物層間での接着面積比率を35%以下、より好ましくは20%以下にすることで、音波によるシート状物の振動面積を増加することができ、その結果、シート状物そのものの共振作用により吸音性能が向上し、厳しい吸音性が要求される例えば壁材や、天井材などの建築材料に適用することが可能となる。一方、基材ボードとシート状物との接着を確保し剥離を防ぐ上で、接着面積比率は5%以上とすることが好ましい。
【0042】
上記の接着面積比率を得るための手段としては例えば、基材ボードを成形後、基材ボードの表面に接着剤をドット状、縞状、枠状等に塗布し、その塗布面積により接着面積比率を調節する方法が挙げられる。また、接着面積比率を低く抑えるべく接着剤を基材ボードの端部に偏らせて塗布してもよい。
【0043】
接着剤としては樹脂溶液や加熱溶融した樹脂が好ましく、樹脂溶液としてはポリ乳酸が好ましい。
【0044】
本発明の複合ボードにおいて、シート状物はボードの少なくとも片面に配するものであるが、ボードの両面に配してもよい。そうすることで、両面側の吸音性等を向上させることができ、また、ボードの両面の吸湿量の差による反りの発生を防ぐこともできる。
【0045】
また本発明の複合ボードは、さらに反射層を配してなることも好ましい。反射層は、電磁波を反射する層であり、導電性繊維を含むシート状物で反射する電磁波と、反射層で反射する電磁波とが干渉相殺することにより、優れた電磁波吸収性能を発現することができる。
【0046】
反射層としては、チタン、アルミニウム、ニッケル、金、銀、銅、鉄、ステンレス等の金属板もしくは箔、またはフィルム、織物、紙、不織布等に前記のような金属をメッキもしくは蒸着したものなどが挙げられる。
【0047】
本発明の複合ボードが反射層を配してなる場合、その層構成としては例えば、電磁波入射側から、導電性繊維を含むシート状物/基材ボード/反射層の順が好ましい。基材ボードをスペーサーとすることで、導電性繊維を含むシート状物で反射する電磁波と反射層で反射する電磁波とを効率良く干渉相殺させることができる。また、導電性繊維を含むシート状物/基材ボード/反射層/基材ボード/導電性繊維を含むシート状物の順も好ましい。かかる層構成とすることで、さらに、複合ボードの両面から入射する電波に対する電波吸収性を発現させることができる。
【0048】
前述のとおり、本発明の複合ボードは、植物由来のポリ乳酸樹脂や、セルロース系繊維などの天然繊維を含むことが好ましいが、環境負荷低減の観点から、前記の天然由来原料を複合ボードの全重量に対して95質量%以上含むことが好ましい。
【0049】
また、本発明の複合ボードの見かけ密度としては、0.1〜0.95g/cmが、目標とする強度および吸音性能を得る点で好ましい。0.95g/cm以下にすることで多孔質性のボードが形成され、音波が孔を通り抜ける際に孔壁付近で空気の乱流が発生する。この乱流が音波を摩擦エネルギーに変化させることで吸音作用が行われ、吸音材として必要な吸音率が得られる。また、軽量な複合ボードを得ることができる。0.1g/cm以上、好ましくは0.2g/cm以上とすることで、強度を維持することができる。
【0050】
本発明の複合ボードの厚さとしては、勿論用途にもよるが、厳しい電磁波吸収性や吸音性が要求される建築材料、自動車内装材用電磁波防護材や吸音材などに適用する場合、10mm以上であることが好ましい。
【0051】
また、前述のように反射層をさらに配してなる場合は、吸収を望む波長λの電磁波に対し、λ/4以下の厚さの基材ボードを用いることが好ましい。例えば、無線LANでは周波数2.4GHz、5.2GHzの電磁波が使用されるが、2.4GHzにおいては10〜20mm、5.2GHzにおいては3〜8mmが好ましい。
【0052】
本発明の複合ボードは、JIS A 5905:2003に準拠して測定される曲げ強さが80N/cm以上であることが好ましく、より好ましくは100N/cm以上、さらに好ましくは500N/cm以上である。80N/cm以上とすることで、施工時の搬送性、使用時の耐久性を満足することができる。一方、曲げ強さの上限値としては、8000N/cmもあれば十分である。このような曲げ強さは、例えば基材の密度を0.1〜0.95g/cmとすることで得ることができる。
【0053】
本発明の複合ボードの電波遮蔽性能は、要求される性能に応じて適宜設定することができるが、周波数10GHzにおける電磁波遮蔽率が20dB以上であることが好ましい。また、電磁波吸収性能についても要求される性能に応じて適宜設定することができるが、吸収したい周波数において電磁波吸収量が−10dB以下であることが好ましい。
【0054】
次に、本発明に係る複合ボードを効率的に得るための製造方法の例を説明する。
【0055】
(基材ボードの原料)
基材ボードの原料としては、前述のとおり天然繊維およびバインダとしてポリ乳酸樹脂等の熱可塑性樹脂を好ましく採用できる。
【0056】
熱可塑性樹脂としては、短繊維の形態のものを用いるのが好ましい。そうすることで、カーディング工程等により天然繊維と短繊維同士で均一に分散させることができる。天然繊維の平均繊維長としては前述のとおり5〜100mmが好ましいので、熱可塑性樹脂繊維も平均繊維長20〜100mmが好ましい。この範囲内とすることで、分散斑を防ぐことができる。
【0057】
基材ボードの原料における天然繊維および熱可塑性樹脂の配合量としては、天然繊維を基材ボードに対して90〜30質量%、熱可塑性樹脂を基材ボードに対して10〜70質量%とすることが好ましい。熱可塑性樹脂の比率が10質量%未満であると、後述する圧縮成形により基材ボードとシート状物とを一体化させることが困難となる。一方、熱可塑性樹脂の比率が70重量%を超えると、圧縮成形時の加熱により成形機から熱可塑性樹脂が流出して成形が困難となる。
【0058】
(ウェブ)
基材ボードの原料である天然繊維および熱可塑性樹脂繊維はローラカードによるカーディング法にて均一に混合させることができる。
【0059】
そして、前記混合物からウェブを形成する。ウェブの態様としては、不織布でもよい。かかる不織布は、前記混合物をニードルパンチ処理することにより得ることができる。
【0060】
不織布の目付としては、50〜2000g/mが好ましい。
【0061】
(シート状物)
シート状物の原料となる平均繊維長1〜10mmの導電性繊維および非導電性繊維は、水中で混合し、分散させると良い。導電繊維の分散性が良好であると、均一な電磁波防護性能のシート状物を得ることができる。
【0062】
導電性繊維および非導電性繊維を水中で分散させる際、浴液に分散剤を添加すると、分散性が向上するので好ましい。添加する分散剤としては、界面活性剤などを用いることができる。
【0063】
水中に分散させた繊維を、メッシュドラムを用いて漉きあげる。
【0064】
漉きあげた繊維混合物を、ローラ間で搾水し、次いでドラムドライヤーの表面で乾燥を行う。ドラムドライヤーの表面温度としては、80〜150℃が効率良く乾燥させる上で好ましい。
【0065】
さらに、カレンダーロールを用いて熱プレスを行い、繊維同士を結合させ、シート状物を得る。
【0066】
(積層・成形)
本発明の複合ボードの製造方法においては、前記ウェブまたはその積層体の少なくとも片面に、前記シート状物を積層し、これらを積層したものを圧縮して一体に成形することが重要である。そうすることで、ウェブに含まれ天然繊維とともに基材ボードを形成する熱可塑性樹脂が、圧縮成形においてシート状物との接着剤の役目を担うので、接着剤の塗布工程を別途設ける必要が無く、簡略な工程で本発明の複合ボードを効率良く製造することができる。
【0067】
ウェブの積層枚数としては、用途にもよるが2〜60枚程度が好ましい。
【0068】
圧縮成形工程においては、ウェブおよびシート状物を積層したものを圧縮前に加熱するか、または圧縮と同時に加熱することが好ましい。加熱を行うことで、熱可塑性樹脂を溶融させ、極端に大きな圧力で圧縮を行わなくても強固な成形が可能となるので、全体的なエネルギーコストとしても好ましく、また、ボードの密度の調節も容易に行うことができる。均質なボードを成形する上では、圧縮と同時に加熱することが好ましい。
【0069】
加熱温度としては、熱可塑性樹脂を溶融して均一に分散させる上で180〜220℃が好ましい。また、加熱時間としては3〜20分が好ましい。
【0070】
圧縮の圧力としては、繊維材料や加熱温度にもよるが0.5〜12MPaが好ましい。
【0071】
圧縮成形に用いる加熱・加圧装置としては、上下2枚の加熱平板を用いるいわゆる平板加熱プレス装置を採用することができる。
【0072】
また、厚みが10mm以上の比較的厚い複合ボードを成形する場合には、高周波誘導加熱装置を用いるのが好ましい。当該装置は、ウェブの積層体の内部まで均一に加熱することができるため、曲げ強さ、針やネジなどに対する突き刺し性、その保持性等、均一な特性のボードが得られる。
【実施例】
【0073】

[測定方法]
(1)平均繊維長
JIS A 1015:1999 8.4.1に準じて測定した。
試料を800mg量り取り、ステープルダイヤグラムを作成し、図記したステープルダイヤグラムを50の繊維長群に等分し、各区分の境界及び両端の繊維長を測定し、両端繊維長の平均に49の境界繊維長を加えて50で除し、平均繊維長(mm)を算出し、2回の平均値をとった。
【0074】
(2)シート状物の通気度
JIS L 1096:1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて測定した。試料の異なる5か所から約20cm×20cmの試験片を採取し、フラジール形試験機を用い、円筒の一端(吸気側)に試験片を取り付けた。試験片の取り付けに際し、円筒の上に試験片を置き、試験片上から吸気部分を塞がないように均等に約98N(10kgf)の荷重を加え試験片の取り付け部におけるエアーの漏れを防止した。試験片を取り付けた後、加減抵抗器によって傾斜形気圧計が125Paの圧力を示すように吸込みファンを調整し、そのときの垂直形気圧計の示す圧力と、使用した空気孔の種類とから、試験機に付属の表によって試験片を通過する空気量を求め、5枚の試験片についての平均値を算出した。
【0075】
(3)複合ボードの見かけ密度
JIS A 5905:2003 6.3に準じて測定した。
複合ボードを温度20℃、湿度65%RHの標準状態にて24hr放置後、10cm×10cmの試験片を3枚切り出した。1枚の試験片について、上記規定中図5に示す測定箇所の幅、長さ及び厚さを測定し、それぞれについての平均値を求め試験片の幅、長さ及び厚さとし、体積(v)を求めた。次に、質量(m)を測定し、次式によって算出した。厚さは0.05mm、幅及び長さは0.1mm、質量は0.1gの精度まで測定し、密度は0.01g/cm単位まで算出した。1枚の試験片ごとに密度を求めた上で、3枚の試験片の平均値を求めた。
密度(g/cm)=m/v
ここに、m:質量(g)
v:体積(cm)。
【0076】
(4)基材とシート状物との接着面積比率
基材とシート状物との接着面積比率を次の方法で求めた。
シート状物を基材から全て剥離した後、前記シート状物に付着した接着剤より、mm単位の透明な方眼フィルムを用いて接着面積を測定した。まず、透明なフィルムに1mmの距離を置いて直角に交わる縦線と横線を引き、多数の1mm角の正方形が描いた透明な方眼フィルムを作成した。線の太さは0.28mmとした。次に前記方眼フィルムを前記シート状物に当て、接着部分の1mm角正方形の数を測定し、正方形の合計より接着面積を算定した。この場合、1mmに満たない接着剤部分は接着していないものとみなした。なお、シート状物に接着剤が付着しない場合は、シート状物を剥離した後の基材表面より前記方眼シートを用いて同様の方法で求める。また、基材表面とシート状物とにそれぞれ接着剤が残った場合は、基材及びシート状物の両方より前期方眼シートを用いて同様の方法で接着面積を求める。以上より、接着面積比率を下記の式より求めた。
接着面積比率(%)=接着面積(m)/基材の全表面積(m)×100。
【0077】
(5)複合ボードの曲げ強さ
JIS A 5905:2003 6.6に準じて測定した。複合ボードから、縦方向および横方向のそれぞれについて、幅50mm、長さ150mmの試験片を3枚ずつ採取した。上記規定に準じた曲げ強さ試験装置(支点及び荷重作用点の曲率半径はそれぞれ5.0mm)に、スパン(L)100mmとして試験片を設置し、スパンの中間位置にて試験片の表面から平均変形速度50mm/分の荷重を加え、その最大荷重(P)を測定し、次式によって曲げ強さを求め、6枚の平均値を算出した。
曲げ強さ(MPa)=3PL/2bt
ここに、P:最大荷重(N)
L:スパン(mm)
b:試験片の幅(mm)
t:試験片の厚さ(mm)。
【0078】
(6)複合ボードの電磁波遮断率
試料の異なる3か所から約100mm×100mmの試験片を採取し、30mm×15mmの方形導波管を用い試料を挿入したときの透過波電力と挿入していないときの透過波電力との差をとり、電磁波遮蔽率とした。電磁波周波数は10GHzとし、測定器はアジレントテクノロジー社製(HP8719ES)のネットワークアナライザーを用いて測定し、3枚の試験片についての平均値を算出した。
【0079】
(7)複合ボードの電磁波吸収性能
ブランクとして、縦30cm×横30cm×厚さ5mmのアルミニウム板に、1.5m離れたアンテナから、垂直に2〜6GHzの電波を入射し、その内2.4GHz、5.2GHzの反射レベルを、アジレントテクノロジー社製(HP8719ES)のネットワークアナライザを用いて測定した。
また、縦30cm×横30cmの複合ボードを前記アルミニウム板に重ねて置いて電波の入射に対する反射レベルをブランクと同様にして測定した。
両者の反射レベルから次式により電波吸収量を求めた。
電波吸収量(dB)=電波吸収体の反射レベル(dB)−アルミニウム板の反射レベル(dB) 。
【0080】
(8)複合ボードの垂直入射吸音率
JIS A 1405:1998に拠って垂直入射吸音率を測定した。
試料から直径90mmの円形の試験片を3枚採取した。試験装置としては、電子測器株式会社製の自動垂直入射吸音率測定器(型式10041A)を用いた。この試験装置におけるインピーダンス管は、外径101.6mm、内径91.6mm、全長2160mmであった。
試験片を、インピーダンス管の一端に金属反射板との間に空気層がないように設置した。そして、100〜2000Hzの周波数域の音波を段階的に試験片に垂直に入射させ、その周波数の平面波について入射音響パワーに対して試験体表面に入る(戻ってこない)音響パワーの比を測定し、3枚の試験片についての平均値を算出した。
【0081】
[実施例1]
(不織布)
ポリ乳酸樹脂を溶融紡糸法により紡糸し、捲縮付与し、カットして、繊度6.6dtex、平均繊維長51mmのポリ乳酸短繊維を得た。このポリ乳酸短繊維と平均繊維長75mmのケナフ靭皮繊維とを30:70の質量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊して目付100g/mの不織布を得た。
【0082】
(シート状物)
平均繊維長3mmの炭素繊維と、平均繊維長7mmのガラスチョップドファイバーと、平均繊維長2mmの木質パルプとを、それぞれ1.6質量%、78.4質量%、20.0質量%秤量して湿式抄紙し、厚み0.25mm、目付152g/m2、通気度0.12mL/cm2・secのシート状物を得た。
【0083】
(積層・成形)
上記の不織布を35枚積層し、次いで、この積層体の両外側面に上記シート状物を積層し、この積層体を平板加熱プレス装置の2枚の鉄板の間に5mmのスペーサーと共に挟み、温度200℃、圧力2.4MPaで7分間、加熱加圧成形を行い、複合ボードを得た。
【0084】
得られた複合ボードは、優れた曲げ強さを有しており、電磁波遮蔽率は20dB以上、また吸音率については20%以上と電磁波遮蔽性能、及び吸音性能を併せ持つものであった。
【0085】
[実施例2]
(不織布)
実施例1で得たのと同様の不織布を用いた。
【0086】
(シート状物)
実施例1で得たのと同様のシート状物を用いた。
【0087】
(積層・成形)
上記の不織布を35枚積層し、この段階でシート状物を積層しなかった以外は実施例1と同様にして加熱加圧成形を行い、基材ボードを得た。
【0088】
(シート状物と基材ボードとの接着)
この基材ボードの両外側面に、接着剤となる熱可塑性の樹脂溶液を大きさ15mm×15mm、間隔60mmで点状に置き、その上から上記シート状物を接着し、複合ボードを得た。
【0089】
得られた複合ボードは、優れた曲げ強さを有しており、電磁波遮蔽率は20dB以上、また吸音率については20%以上と、電磁波遮蔽性能、及び吸音性能を併せ持つものであった。
【0090】
[実施例3]
(不織布)
実施例1で得たのと同様の不織布を用いた。
【0091】
(シート状物)
平均繊維長3mmの炭素繊維と、平均繊維長7mmのガラスチョップドファイバーと、平均繊維長2mmの木質パルプとを、それぞれ10.0質量%、70.0質量%、20.0質量%秤量して湿式抄紙し、厚み0.27mm、目付148g/m2、通気度0.16mL/cm2・secのシート状物を得た。
【0092】
(積層・成形)
上記不織布及び上記シート状物を用いて、実施例1と同様にして加熱加圧成形を行い、複合ボードを得た。
【0093】
得られた複合ボードは、優れた曲げ強さを有しており、電磁波遮蔽率は50dB以上、また吸音率については20%に若干満たないものの電磁波遮蔽性能、及び吸音性能を併せ持つものであった。
【0094】
[実施例4]
(不織布)
実施例1で得たのと同様の不織布を用いた。
【0095】
(シート状物)
平均繊維長3mmの炭素繊維と、平均繊維長7mmのガラスチョップドファイバーと、平均繊維長2mmの木質パルプとを、それぞれ10.0質量%、70.0質量%、20.0質量%秤量して湿式抄紙し、厚み0.27mm、目付148g/m2、通気度0.16mL/cm2・secのシート状物を得た。
(実施例3で得たシート状物と同様である)。
【0096】
(積層・成形)
上記の不織布を35枚積層し、この段階でシート状物を積層しなかった以外は実施例1と同様にして加熱加圧成形を行い、基材ボードを得た。
【0097】
(シート状物と基材ボードとの接着)
この繊維系ボードの両外側面に、接着剤となる熱可塑性の樹脂溶液を大きさ15mm×15mm、間隔60mmで点状に置き、その上から上記シート状物を接着し、複合ボードを得た。
【0098】
得られた複合ボードは、優れた曲げ強さを有しており、電磁波遮蔽率は50dB以上、また吸音率については20%以上と、優れた電磁波遮蔽性能、及び吸音性能を併せ持つものであった。
【0099】
[実施例5]
(不織布)
繊度6.6dtex、平均繊維長51mmのポリプロピレン短繊維(チッソ(株)製)と平均繊維長75mmのケナフ靭皮繊維とを30:70の質量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊して目付100g/mの不織布を得た。
【0100】
(シート状物)
実施例1で得たのと同様のシート状物を用いた。
【0101】
(積層・成形)
上記不織布及び上記シート状物を用いて、実施例1と同様にして加熱加圧成形を行い、複合ボードを得た。
【0102】
得られた複合ボードは、曲げ強さにやや劣るが、電磁波遮蔽率は20dB以上、また吸音率については20%以上と電磁波遮蔽性能、及び吸音性能を併せ持つものであった。
【0103】
[実施例6]
(不織布)
実施例1で得たのと同様の不織布を用いた。
【0104】
(シート状物)
平均繊維長3mmの炭素繊維と、平均繊維長7mmのガラスチョップドファイバーと、平均繊維長2mmの木質パルプとを、それぞれ1.0質量%、79.0質量%、20.0質量%秤量して湿式抄紙し、厚み0.13mm、目付100g/m2、通気度0.08mL/cm2・secのシート状物を得た。
【0105】
(反射層)
厚さ0.05mmのアルミ蒸着フィルムを用意した。
【0106】
(積層・成形)
上記の不織布を30枚積層し、次いで、この積層体の片面に上記シート状物を積層し、この積層体を平板加熱プレス装置の2枚の鉄板の間に13mmのスペーサーと共に挟み、温度200℃、圧力2.4MPaで7分間、加熱加圧成形を行い、成形体を得た。
次に、上記成形体のシート状物が積層されていない側の面に上記反射層を接着剤(コニシ(株)製 ボンドスプレーのり Z2)を用いて接着させ、複合ボードを得た。
【0107】
得られた複合ボードは、曲げ強さにやや劣るが、2.4GHzにおける電磁吸収量が−20dB以下、また吸音率については20%以上と、電波吸収性能、及び吸音性能を併せ持つものであった。
【0108】
[実施例7]
(不織布)
実施例1で得たのと同様の不織布を用いた。
【0109】
(シート状物)
平均繊維長3mmの炭素繊維と、平均繊維長7mmのガラスチョップドファイバーと、平均繊維長2mmの木質パルプとを、それぞれ1.0質量%、79.0質量%、20.0質量%秤量して湿式抄紙し、厚み0.13mm、目付100g/m2、通気度0.08mL/cm2・secのシート状物を得た。
(実施例6で得たシート状物と同様である)。
【0110】
(反射層)
厚さ0.05mmのアルミ蒸着フィルムを用意した。
【0111】
(積層・成形)
上記の不織布を14枚積層し、次いで、この積層体の片面に上記シート状物を積層し、この積層体を平板加熱プレス装置の2枚の鉄板の間に5mmのスペーサーと共に挟み、温度200℃、圧力2.4MPaで7分間、加熱加圧成形を行い、成形体を得た。
次に、上記成形体のシート状物が積層されていない側の面に上記反射層を接着剤(コニシ(株)製 ボンドスプレーのり Z2)を用いて接着させ、複合ボードを得た。
【0112】
得られた複合ボードは、曲げ強さにやや劣るが、5.2GHzにおける電磁吸収量が−20dB以下、また吸音率については20%以上と、電波吸収性能、及び吸音性能を併せ持つものであった。
【0113】
[比較例1]
(不織布)
実施例1で得たのと同様の不織布を用いた。
【0114】
(シート状物)
シート状物は、用いなかった。
【0115】
(積層・成形)
上記の不織布を35枚積層し、シート状物を積層しなかった以外は実施例1と同様にして加熱加圧成形を行い、繊維系ボードを得た。
【0116】
得られた複合ボードは、優れた曲げ強さには優れるが、電磁波遮蔽性能、及び吸音性能に劣るものであった。
【0117】
[比較例2]
(不織布)
実施例1で得たのと同様の不織布を用いた。
【0118】
(シート状物)
平均繊維長7mmのガラスチョップドファイバーと、平均繊維長2mmの木質パルプとを、それぞれ80.0質量%、20.0質量%秤量して湿式抄紙し、厚み0.23mm、目付155g/m2、通気度0.10mL/cm2・secのシート状物を得た。
【0119】
(積層・成形)
上記不織布及び上記シート状物を用いて、実施例1と同様にして加熱加圧成形を行い、複合ボードを得た。
【0120】
得られた複合ボードは、曲げ強さに優れるものの、電磁波遮蔽性能、及び吸音性能に劣るものであった。
【0121】
[比較例3]
(不織布)
実施例1で得たのと同様の不織布を用いた。
【0122】
(シート状物)
平均繊維長7mmのガラスチョップドファイバーと、平均繊維長2mmの木質パルプとを、それぞれ80.0質量%、20.0質量%秤量して湿式抄紙し、厚み0.23mm、目付155g/m2、通気度0.10mL/cm2・secのシート状物を得た。
(比較例2で得たシート状物と同様である)。
【0123】
(積層・成形)
上記の不織布を35枚積層し、この段階でシート状物を積層しなかった以外は実施例1と同様にして加熱加圧成形を行い、基材ボードを得た。
【0124】
(シート状物と基材ボードとの接着)
この基材ボードの両外側面に、接着剤となる熱可塑性の樹脂溶液を大きさ15mm×15mm、間隔60mmで点状に置き、その上から上記シート状物を接着し、複合ボードを得た。
【0125】
得られた複合ボードは、曲げ強さと吸音性能に優れるものの、電磁波遮蔽性能に劣るものであった。
【0126】
【表1】


【0127】
【表2】


【0128】
【表3】


【0129】
【表4】


【0130】
表より、実施例については一定の電磁波遮蔽性能または電磁波吸収性能と吸音性能の双方を有しているが、比較例については電磁波遮蔽性能または電磁波吸収性能が著しく劣るか、電磁波遮蔽性能または電磁波吸収性能と吸音性能の双方が劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明の複合ボードは、優れた電磁波防護性能と、吸音性能とを併せ持つため、電波暗室、船舶や航空機等の移動体、橋梁、鉄塔等の構造物、無線通信のための装置・設備、住宅、医療施設、オフィスビル等の建築物、オフィス用品等として貼り付けたり装着したりして電波障害を防止するのに使用することができる。特に従来曲げ強度が低いがために今まで電磁波防護材や吸音材が使用不可能であった、例えば壁材、床材などの建築材料、パーテーション等の家具の表層材や内面材などにも好適に用いることができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成19年9月26日(2007.9.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−105412(P2008−105412A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2007−248753(P2007−248753)