【発明の名称】 |
合成板 |
【発明者】 |
【氏名】寺沢 勇
【氏名】常岡 和記
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【要約】 |
【課題】地球環境に悪影響を与えにくい植物由来材料を用いながら軽量化を図った合成板を提供する。
【構成】平均繊維長が0.05mm以上300mm以下で且つ平均繊維幅が0.05mm以上2mm以下の繊維状のリグノセルロース系材料と、ポリブチレンサクシネート系樹脂材料およびポリ乳酸系樹脂材料の少なくとも一方を含む樹脂材料と、平均粒径1μm以上3000μm以下の微小中空体材料とを含有するように構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平均繊維長が0.05mm以上300mm以下で且つ平均繊維幅が0.05mm以上2mm以下の繊維状のリグノセルロース系材料と、 ポリブチレンサクシネート系樹脂材料およびポリ乳酸系樹脂材料の少なくとも一方を含む樹脂材料と、 平均粒径1μm以上3000μm以下の微小中空体材料とを含有する ことを特徴とする合成板。 【請求項2】 該リグノセルロース系材料が、平均繊維長10mm以上90mm以下の繊維状の竹である ことを特徴とする、請求項1に記載の合成板。 【請求項3】 該樹脂材料および該微小中空体材料の合計重量に対する該微小中空体材料の重量比が1重量%以上50重量%以下である ことを特徴とする、請求項1または2に記載の合成板。 【請求項4】 該樹脂材料および該リグノセルロース系材料の合計重量に対する該リグノセルロース系材料の重量比が20重量%以上80重量%以下である ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成板。 【請求項5】 該微小中空体の殻が無機物で形成されている ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成板。 【請求項6】 該微小中空体の殻が熱可塑性樹脂で形成され且つ該殻内に低沸点炭化水素が内包されている ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成板。 【請求項7】 該樹脂材料が、 平均繊維長5mm以上102mm以下で且つ平均繊維径2dtex以上100dtex以下の繊維状樹脂である ことを特徴とする、請求項1〜6いずれか1項に記載の合成板。 【請求項8】 該樹脂材料が、 平均粒径1μm以上3000μm以下の粉末状樹脂である ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の合成板。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、車両の内装用板材として好適な、植物由来材料を用いた合成板に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来より、車両の内装部材や建築部材として用いられる一般的な合成板は、木材チップに対して接着剤としてのフェノール樹脂を混合することで形成されている。 しかしながら、近年は地球環境への悪影響が少ない材料を使用することが強く求められているところ、フェノール樹脂のような石油に由来する材料(石油由来材料)を用いずに、合成板を作る技術が開発されている。なお、石油由来材料を用いずに合成板を作る技術の1つとしては、以下の特許文献1が挙げられる。 【特許文献1】特開平9−39127号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、植物に由来する材料(植物由来材料)により形成された合成板はその比重が高いという課題がある。 合成板の比重が高くなることのデメリットは様々であるが、例えば、車両の天井の内装を形成する部材であるヘッドライニングにこのような比重の高い合成板を用いると、その自重でヘッドライニングが撓んでしまうという事態が生じる。 【0004】 また、車両のドアの内装に用いられるパネル(ドアパネル)に、このような比重の高い合成板を用いた場合でも、自重による撓みという課題は生じにくいものの、車両重量を増大させることとなるため、車両の燃費が低下してしまう。 また、合成板の比重が高くなると運搬に要する労力が増大するため、車両の組み立て現場のみならず建築現場など種々の現場において、地球環境に悪影響を与えにくい材料で形成された合成板であって、且つ、比重の低いものの開発が待たれている。 【0005】 本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、地球環境に悪影響を与えにくい植物性由来材料を用いながら軽量化を図った合成板を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記目的を達成するため、本発明の合成板(請求項1)は、平均繊維長が0.05mm以上300mm以下で且つ平均繊維幅が0.05mm以上2mm以下の繊維状のリグノセルロース系材料と、ポリブチレンサクシネート系樹脂材料およびポリ乳酸系樹脂材料の少なくとも一方を含む樹脂材料と、平均粒径1μm以上3000μm以下の微小中空体材料とを含有することを特徴としている。 【0007】 また、請求項2記載の本発明の合成板は、請求項1記載の内容において、該リグノセルロース系材料が、平均繊維長10mm以上90mm以下の繊維状の竹であることを特徴としている。 また、請求項3記載の本発明の合成板は、請求項1または2に記載の内容において、該樹脂材料および該微小中空体材料の合計重量に対する該微小中空体材料の重量比が1重量%以上50重量%以下であることを特徴としている。 【0008】 また、請求項4記載の本発明の合成板は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内容において、該樹脂材料および該リグノセルロース系材料の合計重量に対する該リグノセルロース系材料の重量比が20重量%以上80重量%以下であることを特徴としている。 また、請求項5記載の本発明の合成板は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の内容において、該微小中空体の殻が無機物で形成されていることを特徴としている。 【0009】 また、請求項6記載の本発明の合成板は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の内容において、該微小中空体の殻が熱可塑性樹脂で形成され且つ該殻内に低沸点炭化水素が内包されていることを特徴としている。 また、請求項7記載の本発明の合成板は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の内容において、該樹脂材料が、平均繊維長5mm以上102mm以下で且つ平均繊維径2dtex以上100dtex以下の繊維状樹脂であることを特徴としている。 【0010】 また、請求項8記載の本発明の合成板は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の内容において、該樹脂材料が、平均粒径1μm以上3000μm以下の粉末状樹脂であることを特徴としている。 【発明の効果】 【0011】 本発明の合成板によれば、地球環境に悪影響を与えにくい植物由来材料を用いながら軽量化を図り且つ必要な剛性を確保できその汎用性を高めることができる。(請求項1) また、成長が早く種々の産地から入手しやすい竹を用いることで、コストの抑制を図りながら、環境保護に寄与することが可能となる。また、比強度が極めて高い竹を使用することで、合成板の剛性を大幅に高めることができる。さらに、竹は高い抗菌性を有しており雑菌の繁殖を防ぐこともできる。(請求項2) また、樹脂材料および微小中空体材料の合計重量に対する微小中空体材料の重量比を1重量%以上50重量%以下とすることで、一般的に必要とされる剛性や強度を確保しながら十分な軽量化を図ることができる。(請求項3) また、樹脂材料およびリグノセルロース系材料の合計重量に対するリグノセルロース系材料の重量比を20重量%以上80重量%以下とすることで、一般的に必要とされる剛性や強度を確保しながら十分な軽量化を図ることができる。(請求項4) また、微小中空体材料の殻を無機物で形成することで、加熱プレス加工された場合であっても微小中空体材料が潰れることを防ぎ、確実に軽量化を図ることができる。(請求項5) また、微小中空体材料の殻を熱可塑性樹脂で形成し且つ殻内に低沸点炭化水素を内包することで、加熱プレス加工された場合に殻が潰れて炭化水素ガスを放出させて発泡させ、確実に軽量化を図ることができる。(請求項6) また、樹脂材料を平均繊維長5mm以上102mm以下で且つ平均繊維径2dtex以上100dtex以下の樹脂繊維とすることで、樹脂材料とリグノセルロース系材料とを効率よく混ぜ合わせることができる。(請求項7) また、樹脂材料を平均粒径1μm以上3000μm以下の樹脂粉末とすることで、樹脂材料とリグノセルロース系材料とを効率よく混ぜ合わせることができる。(請求項8) 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されるものではない。 なお、以下の説明において、ある原料モノマーに由来するポリマーの繰り返し単位を表わす場合に、その原料モノマーの化合物名に「成分」という言葉を付して表わす場合がある。例えば、コハク酸に由来する繰り返し単位は「コハク酸成分」という。 【0013】 また、“平均”という文言により規定される値は、特に説明がない限り、算術平均値を意味するものとする。 〔I 樹脂材料〕 〔IA ポリブチレンサクシネート系樹脂(ポリコハク酸樹脂)材料〕 本発明の合成板に使用されるポリブチレンサクシネート系樹脂としては、特に制限されるものではないが、通常は以下に規定するものを用いる。 〔IA−a 構造〕 ポリブチレンサクシネート系樹脂は、1,4−ブタンジオールとコハク酸とがエステル結合により交互に結合した構造を有する。なお、1,4−ブタンジオール及びコハク酸以外の原料モノマーが共重合したものであってもよい。なお、1,4−ブタンジオール及びコハク酸以外の原料モノマーとしては、乳酸やイソシアネートが挙げられる。 〔IA−b 入手法〕 本発明で使用するポリブチレンサクシネート系樹脂は、市販のものであってもよく、合成したものでもよい。 【0014】 市販のポリブチレンサクシネート系樹脂の例としては、三菱化学株式会社製のGS Pla(商品名)、昭和高分子株式会社製のビオノーレ1000シリーズ(商品名)等が挙げられる。 なお、これらのいずれを用いてもよいが、植物由来のコハク酸から製造されているという理由から、三菱化学株式会社製のGS Pla(商品名)を用いることが好ましい。 【0015】 また、ポリブチレンサクシネート系樹脂を合成する場合、その手法は特に制限されないが、通常は1,4−ブタンジオール及びコハク酸、並びに必要に応じて使用されるその他のモノマー成分をエステル重合反応させることにより、合成することが可能である。 なお、本発明では、以上説明したポリブチレンサクシネート系樹脂を、一種類のみ単独で用いてもよく、二種類以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。 〔IB ポリ乳酸系樹脂材料〕 本発明の合成板に使用されるポリ乳酸系樹脂としては、特に制限されるものではないが、通常は以下に規定するものを用いる。 〔IB−a 入手法〕 本発明で使用するポリ乳酸系樹脂は、市販のものであってもよく、合成したものでもよい。 【0016】 市販のポリ乳酸系樹脂の例としては、Nature Works社製のNature Works(商品名)、三井化学株式会社製のレイシア(商品名)等が挙げられる。 なお、本発明では、以上説明したポリ乳酸系樹脂を、一種類のみ単独で用いてもよく、二種類以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。 〔II 樹脂材料〕 本発明の合成板に使用される樹脂材料は、上述のポリブチレンサクシネートおよびポリ乳酸系樹脂の少なくとも一方を含むものである。この場合、ポリブチレンサクシネートとポリ乳酸系樹脂のいずれか一方のみを用いてもよいし、双方を配合して用いても良い。なお、配合量を変更することで形成する合成板の剛性を調整することも可能である。 〔II−a 性状〕 本発明の合成板に使用される樹脂材料は、固体および液体のいずれでもよい。また、溶媒で溶解または分散するようにしてもよい。このとき、エマルジョン,溶液,繊維,粉末のいずれの性状で用いるようにしても良い。 【0017】 なお、樹脂材料をエマルジョンまたは溶液として用いた場合には、後述するスプレー式ブレンド手法によりブレンド材を形成することが可能であるという利点がある。また、樹脂材料を繊維または粉末として用いた場合には、後述する機械式ブレンド手法によりブレンド材を形成することが可能であるという利点がある。 また、繊維状の樹脂を用いる場合には、平均繊維長を、通常5mm以上とするとともに、通常102mm以下とすることが好ましい。 【0018】 より詳細には、機械式ブレンド手法(後述する)においてエアー式の混合機を用いてブレンド材を形成する場合、樹脂の平均繊維長を、5mm以上とするとともに、15mm以下とすることが好ましい。 また、機械式ブレンド手法において反毛機等を用いてブレンド材を形成する場合、樹脂の平均繊維長を、15mm以上とするとともに、102mm以下とすることが好ましい。 【0019】 また、樹脂の平均繊維径が、通常2dtex以上、中でも5dtex以上、さらに10dtex以上とするとともに、通常100dtex以下、中でも80dtex以下、さらに50dtex以下とすることが好ましい。 このような繊維状の樹脂を用いることで、後述するリグノセルロース系材料と効率よく混ぜ合わせることができるというメリットがある。 【0020】 また、粉末状の樹脂を用いる場合には、平均粒径を、1μm以上、3000μm以下とすることが好ましい。 このような粉末状の樹脂材料を用いることで、後述するリグノセルロース系材料と効率よく混ぜ合わせることができるというメリットがある。 〔II−b その他の物性〕 この樹脂に対して末端封鎖等の処理を行ない、加水分解性および生分解性を抑制しておくことが好ましい。より具体的には、50℃,90%RHの環境下に480時間置かれた際に、引張り破断伸びが初期値の80%以上であれば、十分な耐加水分解性および耐生分解性を備えているものといえる。 〔III リグノセルロース系材料〕 本発明の合成板に使用されるリグノセルロース系材料の種類は特に制限されるものではないが、通常は以下に規定するものを用いる。なお、リグノセルロース系材料は、主に、リグニン、セルロース、ヘミセルロースから構成される樹木や草木類をいう。 〔III−a 性状〕 本発明の合成板に用いられるリグノセルロース系材料としては、通常、竹,ケナフ,麻などの植物性材料を繊維化したものを用いる。また、リグノセルロース系材料を、一種類のみ単独で用いてもよく、二種類以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい また、リグノセルロース系材料の繊維化の手法はどのような手法でも良く、例えば、反毛機等を用いた機械的手法,リグノセルロース系材料をアルカリ水溶液に漬すアルカリ処理手法をはじめ、蒸煮や,爆砕といった種々の手法を用いることができる。 【0021】 また、この一種類または二種類以上の繊維化されたリグノセルロース系材料は、平均繊維長が、通常0.05mm以上、好ましくは1mm以上、さらに好ましくは10mm以上とするとともに、通常300mm以下、好ましくは200mm以下、さらに好ましくは90mm以下とする。 また、この繊維化したリグノセルロース系材料は、平均繊維径が、通常0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上とするとともに、通常2mm以下、好ましくは1.6mm以下とする。 〔IV 微小中空体材料〕 本発明の合成板に使用される微小中空体材料の種類は特に制限されるものではないが、通常は以下に規定するものを用いる。 〔IV−A 構造および入手法〕 本発明で用いられる微小中空体材料は、その殻が無機物で形成されているものか、或いは、その殻が熱可塑性樹脂で形成され且つ殻内に低沸点炭化水素を含むものを用いる。 【0022】 無機物製の微小中空体材料は、加熱プレス加工時に潰れにくく、中空形状を確実に維持することが可能となるので、確実に軽量化を図れるという利点がある。 また、熱可塑性樹脂で形成され且つ殻内に低沸点炭化水素を含む微小中空体材料は、加熱プレス加工時に殻が潰れることで炭化水素ガスが殻内から放出され発泡することで効率よく軽量化を図れるという利点がある。 【0023】 なお、ここで、熱可塑性樹脂の具体例としては、塩化ビニリデンアクリル共重合物やアクリル系共重合物などが挙げられる。また、微小中空体材料に内包されるガスは、例えば、炭化水素であって、代表例としてはイソブタンなどが挙げられる。 具体的には、 (a)ガラス原料の微小中空体材料(ガラスバルーン), (b)火山灰原料の微小中空体材料(シラスバルーン), (c)アルミナ珪酸原料の微小中空体材料(アルミナ珪酸質バルーン), (d)高分子原料の微小中空体材料(高分子中空微小球) のうちのいずれかを用いる。 【0024】 ここで、市販されているもので、本発明に適用できるものの具体例を以下に挙げる。 (a)ガラスバルーン ・住友スリーエム株式会社製 [商品名]スコッチライトグラスバブルズ [タイプ]K37 [真密度]0.37g/cm3 [かさ密度]0.23g/cm3 [充填率](かさ密度/真密度) 62% [平均粒径]40μm (b)シラスバルーン ・浅間軽石株式会社製 [商品名]サイラックスバルーン [タイプ]PB−05 [真密度]0.9〜1.1g/cm3 [かさ密度]0.32〜0.35g/cm3 [充填率](かさ密度/真密度) 29〜38% [平均粒径]40μm (c)アルミナ珪酸質バルーン ・東海工業株式会社製 [商品名]フライアッシュバルーン [タイプ]TF50 [真密度]0.7〜0.9g/cm3 [平均粒径]150μm (d)高分子中空微小球 ・松本油脂製薬株式会社製 [商品名]マツモトマイクロスフェア [タイプ]F36−D [平均粒径]5〜15μm 〔IV−b 粒径〕 本発明で用いられる微小中空体材料の平均粒径は、通常1μm以上、好ましくは5μm以上とするとともに、通常3000μm以下とする。 【0025】 ここで、微小中空体材料の平均粒径が小さすぎると、リグノセルロース系材料の繊維集合体であるクッション状の繊維網目からこぼれ落ち、うまく混合ができず分離してしまうという事態が生じ、他方、微小中空体材料の平均粒径が大きすぎると、発泡状態が荒すぎて合成板の強度が低下するという事態が生じる。 〔IV−c 殻形状〕 本発明で用いられる微小中空体材料の粒形状は特に限定されない。例えば、上述のスコッチライトグラスバブルズ(商品名),フライアッシュバルーン(商品名)およびマツモトマイクロスフェア(商品名)は略真円の球形の殻であり、他方、サイラックスバルーン(商品名)は表面に凹凸を有する殻である。 〔V 合成板〕 本発明の合成板は、上述のリグノセルロース系材料と、樹脂材料と、微小中空体材料を含有していれば、その他に特に制限はないが、好ましくは以下の特徴を有するものである。 〔V−a 樹脂材料とリグノセルロース系材料との割合〕 樹脂材料の合計重量に対し、リグノセルロース系材料の重量比を、通常20重量%以上、中でも30重量%以上とするとともに、通常80重量%以下、中でも70重量%以下が好ましい。 【0026】 ここで、リグノセルロース系材料の重量比が低過ぎると、合成板に必要な剛性や強度を確保することができないという事態が生じ、また、リグノセルロース系材料の重量比が高過ぎても、バインダーとしてのポリブチレンサクシネート系樹脂材料やポリ乳酸系樹脂材料の重量比が相対的に低くなり、リグノセルロース系材料に対する接着性が低下し、やはり、合成板に必要な剛性や強度を確保することができないという事態が生じる。 〔V−b リグノセルロース系材料および樹脂材料と微小中空体材料との割合〕 リグノセルロース系材料および樹脂材料と微小中空体材料との合計重量に対する微小中空体材料の重量比を、通常1重量%以上、中でも5重量%以上、さらには10重量%以上とするとともに、通常50重量%以下、中でも45重量%以下、さらには40重量%以下とすることが好ましい。 〔V−c その他の成分〕 本発明の合成板は、リグノセルロース系材料、樹脂材料、および、微小中空体材料以外に、その他の成分を含有していてもよい。 【0027】 その他の成分の例としては、着色剤、加水分解防止剤(末端封止剤)、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤等が挙げられる。これらは何れも、一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。 〔V−d 物性〕 本発明の合成板の厚さは、特に制限されるものではないが、通常0.5mm以上、中でも1mm以上、また、通常20mm以下、中でも10mm以下、であることが好ましい。 【0028】 厚みが大き過ぎると、重量および体積が増え過ぎてしまい、特に、自動車用内装材としては不適当となる場合があり、厚みが小さ過ぎると、強度不足や剛性不足となる場合がある。 また、本発明の合成板の密度は、特に制限されるものではないが、通常0.3g/cm3以上、中でも0.4g/cm3以上、更には0.5g/cm3以上、また、通常1.2g/cm3以下、中でも1.0g/cm3以下、更には0.8g/cm3以下であることが好ましい。 【0029】 密度が大き過ぎると、合成板の軽量化を図ることができず、特に自動車用内装座としては不適当となる場合があり、密度が小さ過ぎると、強度不足や剛性不足となる場合がある。 〔V−e 製造方法〕 本発明の合成板の製造方法は特に制限されず、任意の方法で製造することが可能であるが、主な方法としては、以下のような方法がある。 (a)クッション状のブレンド材(プリフォーム)の成形 反毛機や混合機(例えばエアー式)を用いて、リグノセルロース系材料と、ポリブチレンサクシネート系樹脂材料またはポリ乳酸系樹脂材料と、微小中空体材料とを混ぜ合わせることで、クッション状のブレンド材を形成する(機械式ブレンド手法)。 【0030】 または、反毛機や混合機を用いて、リグノセルロース系材料と微小中空体材料とを混ぜ合わせることで、クッション状の中間生成物であるクッション材を形成し、その後、このクッション材に対してポリブチレンサクシネート系樹脂材料またはポリ乳酸系樹脂材料をスプレーにより吹き付けた後で乾燥させることで、クッション状のブレンド材を形成する(スプレー式ブレンド手法)。 【0031】 または、反毛機または混合機を用いて、リグノセルロース系材料からクッション材を形成し、その後、このクッション材に対してポリブチレンサクシネート系樹脂材料またはポリ乳酸系樹脂材料と微小中空体材料とをスプレーにより吹き付けた後で乾燥させることで、クッション状のブレンド材を形成する(スプレー式ブレンド手法)。 なお、このブレンド材は、プリフォームともいう。 【0032】 また、このブレンド材をどのような厚みにするかは、諸般の条件によって異なるが、例えば、合成板の目標目付を4000g/m2とし且つ目標高さを4mmにする場合、ブレンド材の厚みは70〜90mmとすることが好ましい。 (b)加熱加圧成形 形成する合成板に対応する形状の金型内に上記のブレンド材を載置し、その後、この金型内のブレンド材を加熱プレス成形すると、ブレンド材のポリブチレンサクシネート系樹脂材料またはポリ乳酸系樹脂材料が溶融し、リグノセルロース系材料とポリブチレンサクシネート系樹脂材料またはポリ乳酸系樹脂材料とが強固に接着され、金型形状の合成板が成形される。 【0033】 または、形成する合成板に対応する形状の口金を有する射出圧縮成形機に上記のブレンド材を投入し、加熱加圧されたブレンド材を口金から押し出すことにより、合成板が成形される。 このとき、ブレンド材には微小中空材が含有されているため、合成板の比重が適切に低減され、合成板の軽量化を図ることができる。 【0034】 ここで、金型を用いた加熱プレス成形(金型成形)においては、シンプルな設備で安価に合成板を作ることができるというメリットがある。 他方、射出圧縮成形機を用いた方法においては、押出し機で事前にリグノセルロース系材料と樹脂材料と微小中空体を混練りする必要がある。その混合した材料をペレット状にして射出圧縮成形機に投入するだけで連続的に合成板を作ることができるので、大量の合成板を作ることができるというメリットがある。 【0035】 (c)布の貼付 ブレンド材の表面に不織布または織布を載せ金型成形することで、ブレンド材に含まれるポリブチレンサクシネート系樹脂材料またはポリ乳酸系樹脂材料を溶融させ、不織布または織布とブレンド材とを接着させ、その結果、不織布または織布が接着された意匠性の高い合成板を作ることもできる。 【0036】 或いは、ブレンド材を金型成形する際に、まず、高圧でブレンド材を加熱プレス成形し、その後、加熱プレス成形されたブレンド材に対して不織布または織布を載置し、そして、今度は低圧で不織布または織布が載置されたブレンド材を加熱プレス成形することで、不織布または織布が接着された意匠性の高い合成板を作ることもできる。 ここで、低圧で加熱プレス成形するのは、不織布または織布が潰れすぎることを防ぐことで、意匠性を向上させるためである。 【0037】 このようにして意匠性の高い合成板を作る際にも、石油由来材料である接着剤を用いることなく、ブレンド材に含まれる植物由来成分であるポリブチレンサクシネート系樹脂材料またはポリ乳酸系樹脂材料を用いることで、作業性を向上しながら地球環境保護に寄与することができる。 なお、目付量は、不織布の場合は100g/m2以上200g/m2以下とすることが好ましく、織布の場合は約300g/m2とすることが好ましい。また、不織布としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)製のものを用いることが好ましい。なお、合成板に意匠性が求められない場合、このような不織布または織布の貼付作業は不要である。 〔VI 具体的な適用例〕 上述のようにして形成された本発明の合成板が適用されるものは、何ら制限がないが、ここで、その一例を挙げる。 【0038】 図1に示すように、車両10における車室11の天井には内装材であるヘッドライニング12が設けられている。 そして、このヘッドライニング12は、植物由来材料によって形成されているため、地球環境保護に寄与することもできる。 また、このヘッドライニング12を、軽量化が図られた本発明の合成板により形成することで、車両10の重量低減による燃費の向上を図ることができるし、ヘッドライニング12が自重で垂れ下がるような事態を回避することができる。 【0039】 また、このヘッドライニング12を、軽量化が図られた本発明の合成板により形成することで、車両10の重心を低くすることが可能となり、ドライバビリティの向上を図ることもできるというメリットもある。 【実施例】 【0040】 次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。 別添の図2に示す表は、後述する実施例1〜4および比較例1〜4の合成板の物性を示すものである。 ここで、「外観・意匠」については、発明者らが視認することにより判別したものであり、より具体的には、合成板に不自然な色が現れていないか、或いは、表面に不自然な気泡や凹凸が生じていないかという観点に重点を置いて判別したものである。 【0041】 また、「平均比重」については、合成板の数箇所をサンプリングし、化学製品の密度及び比重測定法[JIS K 0061]天びん法により計測したものである。 なお、石油由来材料であるフェノール樹脂と木材チップとから主に構成されている一般的な合成板の比重は約1.20である。したがって、以下の実施例における合成板の比重が1.20を下回ると、軽量化が成功したといえる。 【0042】 また、「発泡状態の安定性」については各箇所の比重を測定することにより計測した。ここで比重のばらつきが大きければ、“不良”と判定し、他方、比重のばらつきが少なければ“良好”と判定した。より具体的には、測定した比重の最小値および最大値の0.15以内(±0.15)の範囲であれば“良好”と判定し、この範囲を超えると“不良”と判定した。 〔実施例1〕 以下の手順により、合成板を作製し、その物性を測定した。 ・リグノセルロース系材料について 竹を機械的に粉砕解繊し、その平均繊維長が10〜90mmであり且つその平均繊維幅が0.1〜1.6mmであるものをリグノセルロース系材料として用いた。 ・樹脂材料について 三菱化学株式会社製のGS Pla(商品名)をポリブチレンサクシネート系樹脂材料を繊維化した樹脂材料とした。また、平均繊維長が51mmであり且つ平均繊維径が13dtexであるものを用いた。 ・微小中空体材料について 住友スリーエム株式会社製のスコッチライトグラスバブルズ(商品名),K37(タイプ名)を微小中空体材料とした。また、平均粒径が40μmであるスコッチライトグラスバブルズを用いた。 ・ブレンド剤について 上記のリグノセルロース系材料としての竹繊維と、ポリブチレンサクシネート系樹脂材料としてのGS Pla繊維と、微小中空体材料としてのスコッチライトグラスバブルズとを、反毛機により混ぜ合わせ、厚み約50mmのクッション状のブレンド材を形成した。 【0043】 このとき、竹繊維およびポリブチレンサクシネート系樹脂繊維の合計重量に対して、ポリブチレンサクシネート系樹脂繊維の重量比が40重量%となるように配合した。 また、竹繊維,ポリブチレンサクシネート系樹脂繊維およびガラスバルーンの合計重量に対して、ガラスバルーンの重量比が10重量%となるように配合した。 ・加熱加圧成形について 上記のブレンド材を金型に入れ加熱プレス成形をした。 【0044】 このときの加熱温度は約140℃、圧力は約50kgf/cm2、加圧時間は約7分とした。 ・合成板の評価 本実施例における合成板は、外観・意匠については良好であり、また、平均比重は0.92であって軽量化に成功している。また、合成板における比重のばらつきも少なく、成形安定性についても良好であると判断された。 〔実施例2〕 以下の手順により、合成板を作製し、その物性を測定した。 ・リグノセルロース系材料について ケナフを機械的に解繊し、その平均繊維長が30mm以上50mm以下であり且つその平均繊維幅が0.1〜1・5mmであるものをリグノセルロース系材料として用いた。 ・樹脂材料について Nature Works社製のNature Works(商品名)を繊維としたポリ乳酸系樹脂を樹脂材料とした。また、平均繊維長が51mmであり且つ平均繊維径が11dtexであるものを用いた。 ・微小中空体材料について 浅間軽石株式会社製のサイラックスバルーン(商品名),PB−05(タイプ名)を微小中空体材料とした。また、平均粒径が40μmであるこのサイラックスバルーンを用いた。 ・ブレンド剤について 上記のリグノセルロース系材料としてのケナフと、ポリ乳酸系樹脂材料としてのNature Worksと、微小中空体材料としてのサイラックスバルーンとを、反毛機により混ぜ合わせ、厚み約50mmのクッション状のブレンド材を形成した。 【0045】 このとき、ケナフおよびNature Works(ポリ乳酸系樹脂材料)の合計重量に対して、Nature Worksの重量比が30重量%となるように配合した。 また、ケナフ繊維、Nature Worksおよびサイラックスバルーンの合計重量に対して、サイラックスバルーンの重量比が15%となるように配合した。 ・加熱加圧成形について 上記のブレンド材を金型に入れ加熱プレス成形をした。 【0046】 このときの加熱温度、加熱温度および圧力は、それぞれ、実施例1と同様の条件とした。 ・合成板の評価 本実施例における合成板は、外観・意匠について良好であり、また、平均比重は0.84であって軽量化に成功している。また、合成板における比重のばらつきも少なく、成形安定性についても良好であると判断された。 〔実施例3〕 以下の手順により、合成板を作製し、その物性を測定した。 ・リグノセルロース系材料について ケナフを機械的に解繊することで繊維化し、その平均繊維長が25mm以上70mm以下であり且つその平均繊維幅が0.1〜1.5mmであるケナフ繊維をリグノセルロース系材料として用いた。 ・ポリブチレンサクシネート系樹脂材料について 三菱化学株式会社製のGS Pla(商品名)をポリブチレンサクシネート材料の繊維化した樹脂材料とした。また、平均繊維長が51mmであり且つ平均繊維径が13dtexであるものを用いた。 ・微小中空体材料について 東海工業株式会社製のフライアッシュバルーン(商品名),TF−50(タイプ名)を微小中空体材料とした。また、平均粒径が150μmであるフライアッシュバルーンを用いた。 ・ブレンド剤について 上記のリグノセルロース系材料としてのケナフと、ポリブチレンサクシネート系樹脂材料としてのGS Plaと、微小中空体材料としてのフライアッシュバルーンとを、反毛機により混ぜ合わせ、厚み約50mmのクッション状のブレンド材を形成した。 【0047】 このとき、竹およびGS Pla(ポリブチレンサクシネート系樹脂材料)の合計重量に対して、GS Plaの重量比が40重量%となるように配合した。 また、竹繊維,GS Plaおよびフライアッシュバルーンの合計重量に対して、フライアッシュバルーンの重量比が10重量%となるように配合した。 ・加熱加圧成形について 上記のブレンド材を金型に入れ加熱プレス成形をした。 【0048】 このときの加熱温度、加熱温度および圧力は、それぞれ、実施例1および実施例2と同様の条件とした。 ・合成板の評価 本実施例における合成板は、外観・意匠が良好であり、また、平均比重が0.80であって軽量化に成功している。また、合成板における比重のばらつきも少なく、成形安定性についても良好であると判断された。 〔実施例4〕 以下の手順により、合成板を作製し、その物性を測定した。 ・リグノセルロース系材料について 竹を機械的に粉砕解維し、その平均繊維長が25〜70mmであり且つその平均繊維幅が0.1〜1.6mmであるものをリグノセルロース系材料として用いた。 ・樹脂材料について ・ポリブチレンサクシネート系樹脂材料について 三菱化学株式会社製のGS Pla(商品名)をポリブチレンサクシネート系樹脂材料の繊維化した樹脂材料とした。また、平均繊維長が51mmであり且つ平均繊維径が13dtexであるものを用いた。 ・微小中空体材料について 松本油脂製薬株式会社製のマツモトマイクロスフェア(商品名),F36−D(タイプ名)を微小中空体材料とした。また、平均粒径が5〜15μmであるマツモトマイクロスフェアを用いた。 ・ブレンド剤について 上記のリグノセルロース系材料としての竹と、ポリブチレンサクシネート系樹脂材料としてのGS Plaと、微小中空体材料としてのマツモトマイクロスフェアとを、反毛機により混ぜ合わせ、厚み約50mmのクッション状のブレンド材を形成した。 【0049】 このとき、竹およびGS Pla(ポリブチレンサクシネート系樹脂材料)の合計重量に対して、GS Plaの重量比が40重量%となるように配合した。 また、竹繊維、GS Plaおよびマツモトマイクロスフェアの合計重量に対して、マツモトマイクロスフェアの重量比が10重量%となるように配合した。 ・加熱加圧成形について 上記のブレンド材を金型に入れ加熱プレス成形をした。 【0050】 このときの加熱温度、加熱温度および圧力は、それぞれ、上述の実施例1〜3と同様の条件とした。 ・合成板の評価 本実施例における合成板は、外観・意匠が良好であり、また、平均比重が0.40であって大幅な軽量化に成功している。また、合成板における比重のばらつきも少なく、成形安定性についても良好であると判断された。 〔比較例1〕 以下の手順により、合成板を作製し、その物性を測定した。 ・リグノセルロース系材料について 竹を機械的に粉砕解繊し、その平均繊維長が25〜70mmであり且つその平均繊維幅が0.1〜1.6mmであるものをリグノセルロース系材料として用いた。 ・樹脂材料について 三菱化学株式会社製のGS Pla(商品名)を繊維化したポリブチレンサクシネート系樹脂材料を樹脂材料とした。また、平均繊維長が51mmであり且つ平均繊維径が13dtexであるものを用いた。 ・発泡剤について アゾジカーボンアミド系の化学発泡剤として、三協化成株式会社製のセルマイクCAP(商品名)を用いた。 ・ブレンド剤について 上記のリグノセルロース系材料としての竹と、ポリブチレンサクシネート系樹脂材料としてのGS Plaと、アゾジカーボンアミド系の化学発泡剤としてのセルマイクCAPとを、反毛機により混ぜ合わせ、厚み約50mmのクッション状のブレンド材を形成した。 【0051】 このとき、竹およびGS Pla(ポリブチレンサクシネート系樹脂材料)の合計重量に対して、GS Plaの重量比が40重量%となるように配合した。 また、竹繊維,GS PlaおよびセルマイクCAPの合計重量に対して、セルマイクCAPの重量比が3重量%となるように配合した。 ・加熱加圧成形について 上記のブレンド材を金型に入れ加熱プレス成形をした。 【0052】 このときの加熱温度、加熱温度および圧力は、それぞれ、上述の実施例1〜4と同様の条件とした。 ・合成板の評価 アゾジカーボンアミドであるセルマイクCAPが、竹繊維およびポリブチレンサクシネート系樹脂繊維に対して微細に均一に混ざらず、発泡が局所的に生じてしまった。 【0053】 このため、外観・意匠については“不良”という評価判定となった。 また、この局所的な発泡により、平均比重を計測することができなかった。 さらに、成形安定性(発泡状態)についても、局部的に大きな発泡が生じていたため”不良”と判断するに至った。 〔比較例2〕 以下の手順により、合成板を作製し、その物性を測定した。 ・リグノセルロース系材料について 竹を機械的に粉砕解繊し、その平均繊維長が25〜70mmであり且つその平均繊維径が0.1〜1.6mmであるものをリグノセルロース系材料として用いた。 ・樹脂材料について 三菱化学株式会社製のGS Pla(商品名)を繊維化したポリブチレンサクシネート系樹脂材料を樹脂材料とした。また、平均繊維長が51mmであり且つ平均繊維径が13dtexであるものを用いた。 ・微小中空体材料および発泡剤について 微小中空体材料や発泡剤を用いなかった。 ・ブレンド剤について 上記のリグノセルロース系材料としての竹と、ポリブチレンサクシネート系樹脂材料としてのGS Plaとを、反毛機により混ぜ合わせ、厚み約50mmのクッション状のブレンド材を形成した。 【0054】 このとき、竹および(ポリブチレンサクシネート系樹脂材料)の合計重量に対して、GS Pla重量比が40重量%となるように配合した。 ・加熱加圧成形について 上記のブレンド材を金型に入れ加熱プレス成形をした。このときプレス圧を比較的低い30kgf/cm2に設定した。 【0055】 このときの加熱温度および加熱温度は、それぞれ、上述の実施例1〜4および比較例1と同様の条件とした。 ・合成板の評価 上記の条件を変えていないにも関わらず、加熱プレス成形のたびに合成板の比重が変化した。つまり、合成板の比重がばらついてしまうという現象が生じた。 〔比較例3〕 以下の手順により、合成板を作製し、その物性を測定した。 ・リグノセルロース系材料について 竹を機械的に粉砕解繊し、その平均繊維長が25〜70mmであり且つその平均繊維径が0.1〜1.6mmであるものをリグノセルロース系材料として用いた。 ・樹脂材料について 三菱化学株式会社製のGS Pla(商品名)を繊維化したポリブチレンサクシネート系樹脂材料を樹脂材料とした。また、平均繊維長が51mmであり且つ平均繊維径が13dtexであるものを用いた。 ・微小中空体材料および発泡剤について 微小中空体材料や発泡剤を用いなかった。 ・ブレンド材について 上記のリグノセルロース系材料としての竹と、ポリブチレンサクシネート系樹脂材料としてのGS Plaとを、反毛機により混ぜ合わせ、厚み約50mmのクッション状のブレンド材を形成した。 【0056】 このとき、竹およびGS Plaの合計重量に対して、GS Plaの重量比が40重量%となるように配合した。 ・加熱加圧成形について 上記のブレンド材を金型に入れ加熱プレス成形をした。このときプレス圧を、比較例2と同様、比較的低い30kgf/cm2に設定した。 【0057】 また、このときの加熱温度および加熱温度は、それぞれ、上述の実施例1〜4および比較例1〜2と同様の条件とした。 ・合成板の評価 上記の条件を変えていないにも関わらず、加熱プレス成形のたびに合成板の比重が変化した。つまり、合成板の比重がばらついてしまうという現象が生じた。 【0058】 なお、本実施例の合成板は、外観・意匠については問題ないものの、比重の軽量化を図ることはできなかった。 また、成形安定性(発泡状態)についても、比重のばらつきが大きいため、”不良”と判断するに至った。 したがって、この実施例3および上述の実施例2に示すように、単にプレス圧を低減したとしても、実施例1〜4に示す本発明のように、軽量化を図りながら必要な剛性や強度を得ることはできないのである。 〔比較例4〕 従来の合成板の一例を示したものである。この合成板は、石油由来材料であるフェノール樹脂と木材チップとから主に構成されている。 【0059】 この合成板は、外観・意匠および比重のいずれにおいても特に問題は無いが、上述のように、石油由来材料を用いているという点で、地球環境保護の観点からは好ましいものとはいえない。また、微小中空材料を混入させても適切に軽量化を図ることができない。 つまり、フェノール樹脂と木材チップとからなる合成板では、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂から縮合時(硬化時)に発生する水蒸気の気泡が合成板表面に生じることを防ぐため、成形時の圧力を高く設定する。 【0060】 このため、仮にフェノール樹脂と木材チップに対して微小中空材料を混ぜ合わせると、この微小中空材料の殻が破損してしまう事態が生じるのである。 また、殻の硬い微小中空材料を用いるという手法も理論上は可能であるものの、実際には、合成板の強度を維持するためバインダー(接着剤)としてのフェノール樹脂の量を増大させざるを得ず、このような石油由来材料の配合量を増大させることは、地球環境保護の観点から避けるべきである。 【図面の簡単な説明】 【0061】 【図1】本発明の一実施形態に係る合成板を車両の内装材であるヘッドライニングに適用した場合を示す模式的な斜視図である。 【図2】実施例1〜4および比較例1〜4に係る合成板の物性を示す表である。 【符号の説明】 【0062】 10 車両 11 車内 12 ヘッドライニング
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【出願人】 |
【識別番号】000006286 【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
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【出願日】 |
平成18年7月31日(2006.7.31) |
【代理人】 |
【識別番号】100092978 【弁理士】 【氏名又は名称】真田 有
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【公開番号】 |
特開2008−30380(P2008−30380A) |
【公開日】 |
平成20年2月14日(2008.2.14) |
【出願番号】 |
特願2006−208267(P2006−208267) |
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