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【発明の名称】 ステアリング用突板化粧シートの製造方法、および、ステアリング用グリップパーツの製造方法、ならびに、自動車用ステアリングの製造方法
【発明者】 【氏名】本間 良二

【要約】 【課題】製造工数を増加せず、突板化粧シートの皺や亀裂を防止すると共に、耐久テストに耐えるグリップパーツを製造可能とする自動車用ステアリングを提供可能とする。

【解決手段】剛性に秀れた合成樹脂から半裁型グリップ材部21を成型Bする一方、突板4表裏面42,43を繊維シート補強層5と弾性樹脂補強層6とによってサンドイッチ構造とし、円弧帯状の突板化粧シート3を製作Cすると共に、半裁型グリップ材部21表面22に、突板化粧シート3裏面42の繊維シート補強層5を、接着剤を介して真空成型によって密着状Dとした上、突板化粧シート3の半裁型グリップ材部21,21表面22,22から食み出した余剰縁部を除去Eしてグリップパーツ2,2を得た後、ステアリング芯金11の所定範囲を、当該接着剤を介して前後一対のグリップパーツ2,2で挟み込み、一体化Fするようにした自動車用ステアリングの製造方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然木をスライスした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板裏面に不織布等の繊維シート補強層を積層状に圧着、一体化した後、同突板表面に天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料からなる弾性樹脂補強層を積層状に一体化し、該突板の表裏面を繊維シート補強層と弾性樹脂補強層とによって挟み込むサンドイッチ構造としてから、半裁型グリップ材部表面の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とする如く突板厚み方向に打ち抜き加工するようにしたことを特徴とするステアリング用突板化粧シートの製造方法。
【請求項2】
天然木をスライスした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板裏面に、不織布等の繊維シート補強層を積層状に熱熔着、一体化した後、同突板表面に天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料からなる弾性樹脂補強層を、積層状に一体化、乾燥し、該突板の表裏面を繊維シート補強層と弾性樹脂補強層とによって挟み込むサンドイッチ構造としてから、半裁型グリップ材部表面の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とする如く突板厚み方向に打ち抜き加工するようにしたことを特徴とするステアリング用突板化粧シートの製造方法。
【請求項3】
剛性に秀れたPU,PA,PC,PBT,変性PPE,GF・PET等合成樹脂素材の何れかから半裁型グリップ材部を成型する一方、天然木をスライスした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板裏面に不織布等の繊維シート補強層を積層状に圧着、一体化した後、同突板表面に天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料からなる弾性樹脂補強層を積層状に一体化し、該突板の表裏面を繊維シート補強層と弾性樹脂補強層とによって挟み込むサンドイッチ構造としてから、当該半裁型グリップ材部表面の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とする如く突板厚み方向に打ち抜き加工して突板化粧シートを製作すると共に、該半裁型グリップ材部表面に、当該突板化粧シート裏面の繊維シート補強層を、シアノアクリレート系、水性高分子・イソシアネート系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系の何れかの接着剤を介して接合、プレス成型、真空成型または圧空成型の何れかによって密着状に一体化した上、突板化粧シートの半裁型グリップ材部表面から食み出した余剰縁部を除去するようにしたことを特徴とするステアリング用グリップパーツの製造方法。
【請求項4】
剛性に秀れたPU,PA,PC,PBT,変性PPE,GF・PET等合成樹脂素材の何れかから、ステアリング芯金に装着可能な周方向断面概略U字型の円弧状とした半裁型グリップ材部を複数、成型する一方、天然木をスライスした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板裏面に不織布等の繊維シート補強層を積層状に圧着、一体化した後、同突板表面に天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料からなる弾性樹脂補強層を積層状に一体化し、該突板の表裏面を繊維シート補強層と弾性樹脂補強層とによって挟み込むサンドイッチ構造としてから、当該半裁型グリップ材部表面の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とする如く突板厚み方向に打ち抜き加工して複数枚の突板化粧シートを製作すると共に、各半裁型グリップ材部表面に、当該突板化粧シート裏面の繊維シート補強層を、シアノアクリレート系、水性高分子・イソシアネート系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系の何れかの接着剤を介して接合、プレス成型、真空成型または圧空成型の何れかによって密着状に一体化した上、突板化粧シートの半裁型グリップ材部表面から食み出した余剰縁部を除去して複数個のグリップパーツを得た後、ステアリング芯金の一または複数の所定範囲を、当該接着剤を介して前後一対のグリップパーツで挟み込み、互いに周方向断面概略U字型の端縁同士を接合、プレスして一体化するようにしたことを特徴とする自動車用ステアリングの製造方法。
【請求項5】
半裁型グリップ材部の成型は、その後に行う、前後一対のグリップパーツでステアリング芯金を挟み込み、プレスして接着するときに、グリップパーツ夫々の互いに接着する周方向断面概略U字型の端縁に、芋、斜め、相欠き、いすか、本実、雇実、蟻実などの何れか一つの組み合わせとなる嵌合用歯合部を一体成型するようにした、前記請求項4記載の自動車用ステアリングの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車や船舶等の運転、操縦機構であるステアリング装置、あるいは、これらの運転や操縦を疑似的に体験するシミュレーション装置等に組み込まれるステアリング装置等における天然木の外観を持つステアリングホイールに関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであり、特に天然木を薄くスライスした突板を、ステアリンホイールの表面に練り付ける技術に関するものであり、ステアリングの曲面に適応する突板の製造技術、および、その突板を練り付けたステアリング用グリップパーツの製造技術、ならびに、それらの技術を導入したステアリングの製造技術、さらに、夫々の製造に必要となる材料、工具、施設等に及ぶ各分野は勿論のこと、その製造および設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
我が国における自動車市場は、モータリゼーションの時代を経て最早、十分に成熟したものとなり、国内各自動車メーカーは、自然環境に優しいハイブリッドカーや燃料電池車の開発に力を入れる一方、国内市場での新たな需要の開拓を目指し、これまで欧州高級車に流れていた富裕層ならびに新興富裕層を満足させる新たな高級車の製造、販売が試みられるようになり、内装に天然木仕上げのパネルや、素材を厳選した皮革シートなどを装備した新型車両の生産が進められている。
【0003】
このようにインスツルメントパネルやコンソールボックス、ドアパネルなどのインナーパネルに天然木素材を使用する車両には、ステアリングホイールやシフトノブ、サイドブレーキレバー、スイッチノブ等といったドライバーが日常的に手で触れて感じ、見た目からも豪華さが感じ取れる操作入力用部品類についても同等の外観および質感が求められ、その多くは、高度な職人の技を必要とする多数の工程から成り立っており、元々高度な仕上げ技術を有していた国内の木工加工業界においても、異業種である自動車業界の天然木仕上げによる高級化仕様のステアリングホイールは、付加価値が高く新たな商品分野として見逃すことはできず、従前から蓄積された技術によって品質上、国内従来品に比べて各段に秀れた製品を提供可能とする木工メーカーにとって、高い品質とデザインとを融合した高付加価値の加工技術を確保していくことは、新たな展開を始めた自動車市場に参入する絶好のチャンスに結び付くことになる。
【0004】
天然木仕上げで最も高級なステアリングホイールとしては、材質の吟味された無垢の天然木材を削り出し、巧みな技によって全てが手作りされ、美術工芸品の域に達するようにして作り上げられたものとなるが、こうした極端な高級品は大量生産が不可能であり、従前のように、数の限定された特注ステアリングホイールだけに対応すれば足りていた時代とは様子が変わり、かなりのまとまった数量を必要とする最近の傾向に対応しようとした場合、その需要に見合うだけの優良天然資材の確保が難しくなるという資材調達の問題に止まるだけではなく、少資源保護の観点からしても決して望ましい姿という訳にはいかなくなる。
【0005】
そのため、ステアリングホイール用のグリップ材部を、入手し易い天然木、あるいは集成木材や合成樹脂材といった比較的安価な素材で形成した上、その表面に、木目の美しい天然木を極めて薄く削り取って作り出される多数枚の突板の中の一枚を被覆、接着し、表面塗装仕上げして保護膜とすることにより、外観上では無垢の天然木素材からなるものと何等区別の付かない高級木目仕様のステアリングホイールを、木目が美しく、貴重な一本の天然木から多数製造できるようにしようとする技術も提案されている。
【0006】
(従来の技術)
しかしながら、従来の技術では、柔軟性に乏しい平坦状の突き板を、ステアリングホイール外表面の曲面に添わせて皺や亀裂などが生じないよう接着し、強固に一体化することが非常に困難であったため、本願出願人は、こうした技術的課題を打開しようとして、例えば特開2000−127982号公報に開示された「ステアリング用グリップ部材」発明のように、ステアリングホイールの骨格芯金を収容可能な芯金嵌合用溝部を有すると共に、ステアリングホイール断面全周の略30ないし40パーセント前後の範囲に相当する裏側外周面から、先の芯金嵌合用溝部に向けて窄まる断面略鳩尾状切り欠きとなるようにした芯金装着用開口部を設けた円弧状グリップ本体を形成する一方、該円弧状グリップ本体の芯金装着用開口部全長を隠蔽可能とする円弧状グリップ補助体を設けた上、円弧状グリップ本体外周面に天然木突き板を被覆、接着し、円弧状グリップ補助体には本革製シートを被覆、接着してなるステアリング用グリップ部材としたことにより、車両装着時には、運転姿勢にあるドライバーからは視認できない範囲に接合部分が配置され、外的美観を良好に確保することができると共に、円弧状グリップ本体と円弧状グリップ補助体との接合部間に、天然木突き板または補強突き板の縁部を挟み込み状として隠蔽するので、触感を悪化させてしまうことを防止して高品質を確保できるようにしたものや、特開2001−30915号公報「ステアリング用グリップ部材の突板貼り合わせ方法」発明として提案されているもののように、突板の裏面に補強層を積層、一体化してなる突板化粧シートから効率良く型取りした多数の円弧状帯体を、平板状のままグリップ材部に貼り付けるのではなく、載置台上に支持したグリップ材部表面への位置決めをできるだけ安定させ、しかも押圧過程で割れや皺を発生させることがないよう、当該貼り付け加工に先んじて、薄平板の円弧状帯体を、予め円弧状のグリップ材部表面に概略嵌合状となる略U字断面のものにプレス成形加工し、湾曲断面円弧状表面材として取り扱うようにすると共に、必要に応じて当該湾曲断面円弧状表面材にソフト剤を混入した水を塗布し、より一層馴染み度が改善されるようにして貼り付け工程を実施するものとしたことから、グリップ材部に対する湾曲断面円弧状表面材の組合せ作業効率を大幅に改善し得る上、極めて仕上り精度の高い貼り付け作業の実施を可能とした技術などを、既に開発済みとしている。
【0007】
これら開発済みの「ステアリング用グリップ部材」発明や「ステアリング用グリップ部材の突板貼り合わせ方法」発明は、ステアリングホイールの複雑な曲面形状に沿って、柔軟性に乏しい突板シートを、その表面に皺や亀裂などを生じさせることなく、滑らかに練り付けることを実現可能とし、満足できる美しい木目の外観を得ることに成功したものの、過酷な環境下で使用される自動車用ステアリングホイールとして実用化するため、各種の耐久テストを試してみると、集成材から製造したグリップ材部それ自体に伸縮や捩れなどの変形を生じてしまうという致命的な欠陥のあることが判明したことから、この欠点を解決するために集成材の製造工数に比べ、遙かに簡単、迅速に製造することができ、より均質な部品を得るのに有利であるという特徴を持つABS系樹脂製グリップ材部の表面に突板シートを練り付けたものの試作をし、各種耐久テストを試みたところ、突板シートの伸縮、変形に引きずられてグリップ材部自体にも伸縮、捩れといった変形を生じ、これによって貼着されている突板シートに皺や亀裂、一部の浮き上がりや剥がれなどが発生してしまい、天然杢突板を用いたステアリングの実用化を阻み、また、後者の「ステアリング用グリップ部材の突板貼り合わせ方法」発明では、突板化粧シートによって円弧状で所定巾の円弧状帯体を形成した後、予め、該円弧状帯体全体を略U字状断面のものに型押し仮曲げ加工を施して湾曲断面円弧状表面材に形成してから、グリップ材部表面に接着しなければならず、突板化粧シートを滑らかに練り付けるための前処理を必要とする上、それに伴う仮曲げ加工用の雄雌金型が不可欠となり、製造コストを高騰化する原因ともなっていた。
【特許文献1】(1)特開2000−127982号公報 (2)特開2001−30915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(問題意識)
上述したとおり、本願出願人自らにおいて従前までに開発済みとなっている「ステアリング用グリップ部材」発明や「ステアリング用グリップ部材の突板貼り合わせ方法」発明は、何れも複雑な曲面をもつステアリングホイール用グリップ材部の表面に突板シートを、皺や亀裂などを生じさせることなく滑らかに練り付け可能とする新たな技術を提供するのに役立つものであったが、各種の耐久テストに耐えるものとするよう、グリップ材部を集成材製のものから合成樹脂製のものに変更する必要が生じ、過酷な環境下における伸縮や捩れといった様々な変形を防止できる合成樹脂の選択、および、そうした合成樹脂成型品の表面に突板化粧シートを滑らかに、且つ強固に一体化できる接着剤の選択、ならびに、複雑な三次元形状のグリップ材部表面に、皺や亀裂などを生じることなく、しかも従前までよりも効率的に練り付け可能とする突板化粧シートの製造技術の開発などが、新たな課題となっていた。
【0009】
(発明の目的)
そこで、この発明は、製造工数を増加させることなく、練り付け作業中の突板化粧シートに皺や亀裂などが発生するのを防止すると共に、各種耐久テストに耐えるグリップパーツを製造可能とし、高品質、高付加価値の自動車用ステアリングを提供可能とする新たな製造技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規なステアリング用突板化粧シートの製造方法、および、新規なステアリング用グリップパーツの製造方法、ならびに、新規な自動車用ステアリングの製造方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のステアリング用突板化粧シートの製造方法は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、天然木をスライスした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板裏面に不織布等の繊維シート補強層を積層状に圧着、一体化した後、同突板表面に天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料からなる弾性樹脂補強層を積層状に一体化し、該突板の表裏面を繊維シート補強層と弾性樹脂補強層とによって挟み込むサンドイッチ構造としてから、半裁型グリップ材部表面の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とする如く突板厚み方向に打ち抜き加工するようにした構成を要旨とするステアリング用突板化粧シートの製造方法である。
【0011】
この発明のステアリング用突板化粧シートの製造方法を、より具体的に示すと、天然木をスライスした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板裏面に、不織布等の繊維シート補強層を積層状に熱熔着、一体化した後、同突板表面に天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料からなる弾性樹脂補強層を、積層状に一体化、乾燥し、該突板の表裏面を繊維シート補強層と弾性樹脂補強層とによって挟み込むサンドイッチ構造としてから、半裁型グリップ材部表面の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とする如く突板厚み方向に打ち抜き加工するようにしたステアリング用突板化粧シートの製造方法となる。
【0012】
(関連する発明1)
上記した、ステアリング用突板化粧シートの製造方法に関連し、この発明には、それを利用したステアリング用グリップパーツの製造方法も包含している。
即ち、剛性に秀れたPU,PA,PC,PBT,変性PPE,GF・PET等合成樹脂素材の何れかから半裁型グリップ材部を成型する一方、天然木をスライスした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板裏面に不織布等の繊維シート補強層を積層状に圧着、一体化した後、同突板表面に天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料からなる弾性樹脂補強層を積層状に一体化し、該突板の表裏面を繊維シート補強層と弾性樹脂補強層とによって挟み込むサンドイッチ構造としてから、当該半裁型グリップ材部表面の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とする如く突板厚み方向に打ち抜き加工して突板化粧シートを製作すると共に、該半裁型グリップ材部表面に、当該突板化粧シート裏面の繊維シート補強層を、シアノアクリレート系、水性高分子・イソシアネート系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系の何れかの接着剤を介して接合、プレス成型、真空成型または圧空成型の何れかによって密着状に一体化した上、突板化粧シートの半裁型グリップ材部表面から食み出した余剰縁部を除去するようにした、この発明による上記したステアリング用突板化粧シートを使用するステアリング用グリップパーツの製造方法である。
【0013】
(関連する発明2)
さらにこの発明には、上記したステアリング用突板化粧シートの製造方法、および、ステアリング用グリップパーツの製造方法に関連する、自動車用ステアリングの製造方法を包含している。
即ち、剛性に秀れたPU,PA,PC,PBT,変性PPE,GF・PET等合成樹脂素材の何れかから、ステアリング芯金に装着可能な周方向断面概略U字型の円弧状とした半裁型グリップ材部を複数、成型する一方、天然木をスライスした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板裏面に不織布等の繊維シート補強層を積層状に圧着、一体化した後、同突板表面に天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料からなる弾性樹脂補強層を積層状に一体化し、該突板の表裏面を繊維シート補強層と弾性樹脂補強層とによって挟み込むサンドイッチ構造としてから、当該半裁型グリップ材部表面の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とする如く、突板厚み方向に打ち抜き加工して複数枚の突板化粧シートを製作すると共に、各半裁型グリップ材部表面に、当該突板化粧シート裏面の繊維シート補強層を、シアノアクリレート系、水性高分子・イソシアネート系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系の何れかの接着剤を介して接合、プレス成型、真空成型または圧空成型の何れかにより、密着状に一体化した上、突板化粧シートの半裁型グリップ材部表面から食み出した余剰縁部を除去して複数個のグリップパーツを得た後、ステアリング芯金の一または複数の所定範囲を、当該接着剤を介して前後一対のグリップパーツで挟み込み、互いに周方向断面概略U字型の端縁同士を接合、プレスして一体化するようにした自動車用ステアリングの製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、この発明のステアリング用突板化粧シートの製造方法によれば、天然木をスライスした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板の表裏面を、夫々弾性樹脂補強層と繊維シート補強層とによって挟み込むサンドイッチ構造としてから、半裁型グリップ材部表面の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とする如く突板厚み方向に打ち抜き加工するようにし、突板裏面を繊維シート補強層によって補強し、且つ突板表面を弾性樹脂補強層によって被覆、保護することができ、従前までの練り付け技術であれば、複雑な表面形状のステアリング用グリップ材部に、柔軟性に乏しい突板を、皺や亀裂などを生じることなく密着状に練り付けることは非常に困難なものとなっていたが、これを実現容易にし、滑らかで緻密な表面仕上がりを得ることができ、しかも、弾性樹脂補強層を形成するための天然樹脂製または合成樹脂樹製塗料による塗装工程が、突板表面への全塗装工程の下塗り、および/または中塗り工程を兼ねるものとなり、ステアリング製造行程全体の合計工数を増加させずに、突板の当該サンドイッチ構造による裏面補強と、表面被覆、保護とを実現化することでき、ステアリングの湾曲円筒曲面や指掛け用の凹凸形状にも柔軟に適合可能となり、練り付け作業の作業効率と良品率とを格段に高め、稀少価値の高い天然杢を無駄なく効率的に利用できるという秀れた効果を発揮できる。
【0015】
加えて、当該突板裏面に対して不織布等の繊維シート補強層を積層状となし、熱熔着によって一体化する製造方法としたので、接着剤の硬化時間を大幅に短縮して製造コストを削減できると共に、より強固な一体構造を得ることが可能となり、さらに耐久性に秀れたステアリング用突板化粧シートを提供することができる。
【0016】
そして、この発明に包含されているステアリング用グリップパーツの製造方法によると、剛性に秀れたPU,PA,PC,PBT,変性PPE,GF・PET等、ABS系樹脂以外の合成樹脂素材の何れかから半裁型グリップ材部を成型した後、この発明のステアリング用突板化粧シートの製造方法によって製造され、十分に裏面補強、表面保護された突板化粧シートの裏面の繊維シート補強層を、シアノアクリレート系、水性高分子・イソシアネート系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系の何れかの接着剤を介して接合、プレス成型、真空成型または圧空成型の何れかによって密着状に一体化するようにし、従来までの集成材やABS系樹脂成型品からなる同形状のグリップ材部に比較して突板化粧シートの伸縮による影響や、温度、湿度変化などの環境変化の繰り返し、および、衝撃力や連続荷重、繰り返し荷重などによる割れ、伸縮、捩れといった変形、破損の発生を確実に防止することができ、しかも、同半裁型グリップ材部表面および突板化粧シート繊維シート補強層の接着に最も適した接着剤を選択、使用して、突板化粧シートの半裁型グリップ材部表面への密着強度を高め、従来品に比較して耐久性と信頼性とを大幅に向上させたステアリング用グリップパーツの量産化を実現可能とすることができる上、突板化粧シートを練り付けた後に、半裁型グリップ材部表面から食み出した同突板化粧シートの余剰縁部を除去するようにし、貼着位置のズレを防止することを目的に、やや大きめに製造された突板化粧シートの余剰縁部を正確且つ効率的に除去することができるようになり、これによってさらに良品率を、向上させることができるという秀れた特徴を得ることができる。
【0017】
さらに、この発明に包含される自動車用ステアリングの製造方法によれば、同じくこの発明に包含されたステアリング用グリップパーツの製造方法により、この発明のステアリング用突板化粧シートの製造方法によって製造され板化粧シートが表面に練り付けられたグリップパーツを、ステアリング芯金に装着可能な周方向断面概略U字型の円弧状に形成し、該ステアリング芯金の一または複数の所定範囲を、当該接着剤を介して前後一対のグリップパーツで挟み込み、互いに周方向断面概略U字型の端縁同士を接合、プレスして一体化するようにしたことから、従来品に比較して格段に秀れた耐久性を有し、しかも職人技によって高級天然杢無垢材から仕上げられた超高級ステアリングと同等の外的美観や感触および質感を実現することができる上、従来品では極めて困難とされてきた各種耐久テストにも確実に合格する品質を確保でき、希少価値の高い高級天然木仕上げの自動車用ステアリングを、国内自動車メーカーおよび欧州高級車に流れていた富裕層ならびに新興富裕層を十分に満足させる価格性能比にて提供可能とし、高品質を安定維持する量産体制を実現可能とすることができるという革新的、効果を発揮するものとなる。
【0018】
さらに、半裁型グリップ材部の成型を、その後に行う前後一対のグリップパーツでステアリング芯金を挟み込み、プレスして接着するときに、グリップパーツ夫々の互いに接着する周方向断面概略U字型の端縁に、芋、斜め、相欠き、いすか、本実、雇実、蟻実など何れか一つの組み合わせとなる嵌合用歯合部を一体成型し、ステアリング芯金を挟み、前後一対に組み合わせられたグリップパーツ同士の接合面積を大幅に拡大し、結合強度を一段と高めて一層耐久強度に秀れた自動車用ステアリングを提供することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
ステアリング用突板化粧シートの製造方法に用いる天然木は、特に木目紋様が美しくて製材の加工中に希に産出される希少価値の高いものであり、例えるならば、クラロウォールナット、鳥眼杢(バーズアイメープル)、楠玉杢、牡丹杢、笹杢、バール杢、如鱗杢、孔雀杢、筍杢、鶉杢、リボン杢、玉杢、縮杢、縞杢、葡萄杢、虎斑、泡杢など、一般に杢と称されている素材であり、このような希少価値の高い天然木材部分を、1mm未満、望ましくは0.2〜0.5mm程の厚さにスライスした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板として採用することとなる。
【0020】
突板裏面に積層状とする繊維シート補強層は、該突板を半裁型グリップ材部の三次元曲面からなる表面形状に従って隙間無く密着させるよう積層させるときに、当該突板が、その弾性または塑性変形の許容限界に達して破損し、あるいは鋭角的に折損してしまうのを防止可能とするよう、同突板を裏面がわから連続的に補強すると共に、半裁型グリップ材部表面への接着力を高めるという機能を果たすものとなり、より具体的には、不織布、カーボン布、グラスウールや上質の和紙等を、接着剤などを用いて積層状に一体化したものとすべきであり、後述する実施例に示すように、突板裏面に熱硬化性の接着剤を介して不織布、カーボン布、グラスウールや上質の和紙等を積層し、熱熔着によって迅速に一体化、可能とするのが望ましい。
【0021】
突板表面に形成する弾性樹脂補強層は、該突板を半裁型グリップ材部の三次元曲面からなる表面形状に従って隙間無く密着させるよう積層させるときに、当該突板が、その弾性または塑性変形の許容限界に達して破損し、あるいは鋭角的に折曲げ変形してしまうのを防止可能とするよう同突板を表面がわから保護すると共に、半裁型グリップ材部に練り付けた後の最終的な仕上げ塗装(上塗り塗装)の下地を形成し、突板表面の光沢や艶、色の深みなどを醸成する工程の初段階を形成するという機能を果たし、半裁型グリップ材部の三次元曲面に沿って変形する突板表面に柔軟に追従し、白化などの変色や割れ、剥離などの破損を生じない程度に十分な弾性を有するものとしなければならず、天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料からなり、より高級感の有る深い色艶や光沢を求めるならば、後述する実施例に示すように、突板表面への着色、下塗り、中塗りといった段階的塗装手順に従うものとするのが望ましい。
【0022】
また、弾性樹脂補強層の形成は、突板裏面に繊維シート補強層を熱熔着する場合には、必ず繊維シート補強層の熱熔着工程を先に行い、その後に弾性樹脂補強層の塗装工程を行う必要があるが、通常の乾燥工程や光硬化樹脂製の接着剤などを用いた、弾性樹脂補強層に損傷を与える虞のない接着方法を採る場合には、突板表面に弾性樹脂補強層を形成した後に、同突板の裏面に繊維シート補強層を接着することが可能であり、突板表面への弾性樹脂補強層の形成と、突板裏面への繊維シート補強層の接着とを同時に行うことも不可能ではない。
【0023】
当該突板の表裏面を繊維シート補強層と弾性樹脂補強層とによって挟み込むサンドイッチ構造とした後に、半裁型グリップ材部表面の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とする如く、突板厚み方向に打ち抜き加工する工程へと進むが、当該突板の一枚から、トムソン刃物等によって多数個型取りするようにし、貴重な突板を無駄なく使用するのが望ましい。
【0024】
この発明に包含されるステアリング用グリップパーツの製造方法に用いる半裁型グリップ材部は、ステアリング芯金の一または複数の所定範囲に、前後がわから直接、またはスペーサーなどを介して包囲するよう装着可能とし、且つ、その表面に当該発明のステアリング用突板化粧シートの製造方法によって製造された突板化粧シートを練り付け可能とする機能を果たすものであり、より具体的には、ABS系樹脂以外の剛性に秀れたPU,PA,PC,PBT,変性PPE,GF・PET等合成樹脂素材の何れかを射出成型したものとすべきであり、後述する実施例に示すように、成型後から突板化粧シートを練り付ける工程に至る前段階までに離型剤を機械的または化学的に除去し、且つ、ステアリング芯金に装着するまでの何れかの段階に、パーティングラインを除去しておくよう製造しなければならない。
【0025】
この半裁型グリップ材部表面に当該突板化粧シートを練り付ける工程では、該半裁型グリップ材部の素材となったPU,PA,PC,PBT,変性PPE,GF・PET等の合成樹脂素材に対し、高い耐久性をもって接着可能なシアノアクリレート系、水性高分子・イソシアネート系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系の何れかの接着剤を使用しなければならず、しかも、その接着には、プレス成型、真空成型または圧空成型の何れかによって密着状に一体化すべきであり、突板化粧シートを保護する観点から、硬い金型への直接的な接触を避け、金型と突板化粧シートとの間に保護シートなどを介在させてプレス成型するか、または真空成型かあるいは圧空成型かの何れかによって練り付けするのが望ましく、それ以外の接着手段では、このような高度な練り付け作業を実現化することは極めて困難なものとなってしまう。
【0026】
突板化粧シートは、予め半裁型グリップ材部の練り付け対象となる表面範囲を僅かに超えた寸法、形状となるよう設定しておき、接着の工程を終えた後に半裁型グリップ材部表面から食み出した余剰縁部を除去するよう作業を行う必要があり、これは始めから半裁型グリップ材部の表面範囲に合致した形状、寸法に設定してしまうと、練り付け工程に非常な高精度を要するものとなり、しかも突板化粧シート自体が天然木材製のものであることから、不良発生率を勢い高めてしまうという事態を惹起する虞があるため、一見、非効率的のようであるが、始めにやや大きめに製造しておき、練り付け後に余剰部分の除去作業を行った方が、反って良品率を高める結果を得ることができる。
【0027】
この発明の自動車用ステアリングの製造方法に用いるステアリング芯金は、自動車用ステアリングの骨格を形成し、一体的強度を確保するという機能を果たすものであり、その一または複数の所定範囲の前後から、周方向断面概略U字型の円弧状とした一対の半裁型グリップ材部で挟み込むよう装着、一体化可能なものとしなければならず、より具体的には、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄など、十分な剛性を確保可能な各種金属製の棒またはパイプをプレス成型、熔接して組み立てたものや、鍛造または鋳造によるもの、あるいは、それらの組み合わせなどとすることができ、必要に応じて外側表面の一部または略全体にウレタンや天然ゴムなどの各種樹脂層を一体化、装着したものなど様々な素材、形状、寸法のものとすることが可能であり、ステアリングスポークが二芯ないし四芯型の何れかに設定することができる。
【0028】
この発明に包含されるステアリング用グリップパーツの製造方法によって複数個のグリップパーツを得た後、ステアリング芯金の一または複数の所定範囲を、接着剤を介して前後一対のグリップパーツで挟み込み、互いに周方向断面概略U字型の端縁同士を接合、プレスして一体化する工程では、当該接着剤を、該半裁型グリップ材部の樹脂素材に適したシアノアクリレート系、水性高分子・イソシアネート系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系の何れかとしなければならず、それ以外の接着剤では耐久性を悪化させてしまう虞を生じるものとなり、また、ステアリング芯金の所定範囲を、接着剤を介して前後一対のグリップパーツで挟み込み、互いのU字型の端縁同士を接合、プレスして一体化しなければ、半裁型グリップ材部同士の端縁同士間に不要な隙間や、ズレを生じる虞があり、プレス用工具またはプレス機による加圧が不可欠となる。
【0029】
さらに、耐久性を高めた自動車用ステアリングを製造しようとする場合には、半裁型グリップ材部の樹脂成型の段階にあるときに、その後に行う前後一対のグリップパーツでステアリング芯金を挟み込み、プレスして接着する場合に、グリップパーツ夫々の互いに接着する周方向断面概略U字型の端縁に、芋、斜め、相欠き、いすか、雇実、蟻実、または後述する実施例に示す本実などの何れか一つの組み合わせによる嵌合用歯合部を一体成型しておき、グリップパーツ同士を接着するときに双方を嵌合させて一体化するのが望ましい。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0030】
図1のステアリング用グリップパーツの製造方法を含む自動車用ステアリングの製造方法のフローチャート、図2のステアリング用突板化粧シートの製造方法のフローチャート、図3の突板裏面に圧着される繊維シート補強層の斜視図、図4の表面に弾性樹脂補強層が積層状に一体化される突板の斜視図、図5の突板から打ち抜かれた突板化粧シートの平面図、図6のステアリング芯金に装着される半裁型グリップ材部の斜視図、および図7の自動車用ステアリングの斜視図に示される事例は、剛性に秀れたPU,PA,PC,PBT,変性PPE,GF・PET等合成樹脂素材の何れかから、ステアリング芯金11に装着可能な周方向断面概略U字型の円弧状とした半裁型グリップ材部21,21を複数、成型Bする一方、天然木をスライスbした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板4裏面42に不織布等の繊維シート補強層5を積層状に圧着、一体化cした後、同突板4表面42に天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料からなる弾性樹脂補強層6を積層状に一体化dし、該突板4の表裏面42,43を繊維シート補強層5と弾性樹脂補強層6とによって挟み込むサンドイッチ構造としてから、当該半裁型グリップ材部21表面22の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とするように突板4厚み方向に打ち抜き加工fして複数枚の突板化粧シート3を製作すると共に、各半裁型グリップ材部21,21表面22,22に、当該突板化粧シート3,3裏面42の繊維シート補強層5を、シアノアクリレート系、水性高分子・イソシアネート系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系の何れかの接着剤を介して接合、プレス成型、真空成型または圧空成型の何れかにより、密着状に一体化Dした上、突板化粧シート3の半裁型グリップ材部21,21表面22,22から食み出した余剰縁部を除去Eして複数個のグリップパーツ2,2を得た後、ステアリング芯金11の一または複数の所定範囲を、当該接着剤を介して前後一対のグリップパーツ2,2で挟み込み、互いに周方向断面概略U字型の端縁同士を接合、プレスして一体化Fするようにした、この発明の自動車用ステアリングの製造方法における代表的な一実施例を示すものである。
【0031】
当該自動車用ステアリングの製造方法は、図1および図2中に示すように、ステアリング用突板化粧シートの製造方法と、ステアリング用グリップパーツの製造方法とを含み、図1中のスタートAによって作業が開始されることとなり、半裁型グリップ材部21の製造Bは、剛性に秀れたPU,PA,PC,PBT,変性PPE,GF・PETの中の何れかの合成樹脂素材から、ステアリング芯金11に装着可能な周方向断面概略U字型の円弧状とし、さらに、後に行う前後一対のグリップパーツ2,2でステアリング芯金11を挟み込み、プレスして接着するときに、グリップパーツ2,2夫々の互いに接着する周方向断面概略U字型の端縁に、本実の組み合わせとなる、図6中に示すような嵌合用歯合部23の本実凸24,24を一体成型したもの、および同本実凹25,25を一体成型したもの、夫々の半裁型グリップ材部21,21,……の複数個を射出成型し、薬品、サンドブラスト、サンドペーパーなどによって十分に離型剤を除去して置く。
【0032】
また、図1中の突板化粧シート3の製造は、図2のステアリング用突板化粧シートの製造方法に従って製造するものであり、同図2中のスタートaに始まってクラロウォールナット、バーズアイメープル、楠玉杢などの天然木の木目の美しい所謂杢と称される稀少部分を、以後の加工に最も適する0.2〜0.5mmの厚さにスライスして突板4を製造bし、この突板4の裏面42の全面に亘り、熱硬化性樹脂系の接着剤を介して、図3中に示すよう、不織布、カーボン布またはグラスウールの何れかからなる繊維シート補強層5を積層し、ヒーター機能を有するプレス機によって板厚方向に加圧すると共に、熱熔着することによって強固に一体化cした後、図4中に示すように、ロールコーター7によって突板4表面41の全面に亘り、天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料であって、杢の紋様に深みを得るための着色、および艶を得る透明樹脂塗料による下塗りを施し、十分に乾燥させた後に、図示しないカーテンフローコーターによって透明感と塗装層の厚みとを得る中塗りを行い、弾性樹脂補強層6を形成dして十分に乾燥させ、水研磨eしてからトムソン刃物などを用いて突板4厚み方向に打ち抜き加工fし、半裁型グリップ材部21表面22形状を平面状に展開した形状、寸法より僅かに大きな、図5中に示す所定巾、円弧帯状であって表裏面41,42を繊維シート補強層5と弾性樹脂補強層6とによって挟み込んでサンドイッチ構造とした突板化粧シート3,3,……の複数枚を製作gする。
【0033】
こうして製造した半裁型グリップ材部21および突板化粧シート3は、図1中に示すように、半裁型グリップ材部21表面22に、当該突板化粧シート3裏面42の繊維シート補強層5を、シアノアクリレート系、水性高分子・イソシアネート系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系の何れかの接着剤によって位置合わせ接合、図示しない真空プレス機を用いて真空成型することにより、密着状に一体化するよう緻密に練り付Dし、十分に接着剤が硬化した後に、半裁型グリップ材部21の表面22形状から食み出した突板化粧シート3の周囲縁部を、図示しない専用の治工具類やカット機械などを用いて切除すると共に、半裁型グリップ材部21それ自体のパーティングラインを除去Eして、図6中に示す、グリップパーツ2,2,……を得る。
【0034】
アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄などの中の何れかの金属製棒またはパイプ、ならびに金属板をプレス成型および熔接して組み立てたステアリング芯金11の四本スポークの上下がわとなる二箇所夫々の範囲に、図6中に示すように、半裁型グリップ材部21と同一の合成樹脂からなるスペーサー8,8を、シアノアクリレート系、水性高分子・イソシアネート系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系の何れかの接着剤を介して接着一体化し、さらにそれらスペーサー8,8の外側を、同じ接着剤を介して、前後一対のグリップパーツ2,2で挟み込み、互いの周方向断面概略U字型の端縁に形成された嵌合用歯合部23の本実凸24と本実凹25とを嵌合させるよう接合して図示しない専用雄雌型間に装着、プレスして強固に一体化Fさせる。
【0035】
ステアリング芯金11に一体化したグリップパーツ2,2は、その表面を形成する突板化粧シート3,3以外の箇所を適宜マスキングして弾性樹脂補強層6の表面研磨処理を行った後、図1に示すように、タッチアップ塗装を行い、さらに吹きつけ塗装による色合わせ、および、デッピングによる上塗りを施した後に十分に乾燥させ、上塗り研磨Gを行った上、目視による検査Hを行い、僅かなムラなどが発見されたときには、再度、タッチアップ塗装、吹きつけ塗装またはデッピングによる上塗りの何れかの段階Gから、再度修整を加えて再検査Hを受け、良品Jとなったもののみが出荷されることとなり、その後に、図示しないエアバック装置その外のスイッチ類などの装着や、本革張り工程などの様々な工程を経て、図7中に示すような、自動車用ステアリング1の完成へと至る。
【0036】
(実施例の作用)
以上のとおり、この発明に包含される自動車用ステアリングの製造方法は、この発明のステアリング用突板化粧シートの製造方法、および、この発明に包含されるステアリング用グリップパーツの製造方法によって実現可能となるものであって、図1に示す自動車用ステアリングの製造方法に従い、剛性に秀れたPU,PA,PC,PBT,変性PPE,GF・PET等合成樹脂素材の何れかから、ステアリング芯金に装着可能な周方向断面概略U字型の円弧状とした半裁型グリップ材部を複数成型Bし、従来までの集成材からなるグリップ材部の製造工程に比較してその製造工数を大幅に削減し、且つより均質で安定した品質と、ABS系樹脂成型品からなるものよりも高い耐久強度とを得ることが可能となり、しかも周方向断面概略U字型の端縁に、図6中に示したような、嵌合用歯合部23の本実凸24,24を形成したものと、同本実凹25,25を形成したものとを夫々成型するようにし、成型後に本実凸24,24や本実凹25,25を加工する必要がなく、製造工数を増加させずに結合強度アップを図る。
【0037】
また、図1中にCで示す、ステアリング用突板化粧シートの製造方法は、図2に示すように、天然木をスライスbした杢目、板目、柾目、玉杢目等の突板4裏面42に、不織布等の繊維シート補強層5を積層状に熱熔着、一体化cした後、同突板4表面41に天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料からなる弾性樹脂補強層6を積層状に一体化d、乾燥し、半裁型グリップ材部21表面22の平面形に合わせた所定巾、円弧帯状とする如く突板4厚み方向に打ち抜き加工fして突板化粧シート3を得るようにし、柔軟性に乏しく脆い突板4の表裏面41,42を繊維シート補強層5と弾性樹脂補強層6とによってサンドイッチ構造とし、図1のDに示す、半裁型グリップ材部21表面22に密着させるよう練り付ける工程中に皺や亀裂、割れなどを発生することなく、複雑な曲面形状に追従可能とするよう耐久強度高めるものとする。
【0038】
そして、図1中のDに示す突板化粧シート3の練り付け工程は、真空成型を行うことにより、同突板化粧シート3の表面41弾性樹脂補強層6に、硬質な金型との接触による圧迫痕や擦り傷などの損傷を発生せず、グリップパーツ2の仕上がりに重要な美しい突板4表面41を確実に保護し、しかも半裁型グリップ材部21表面22と突板化粧シート3裏面42との間に空気が進入して気泡や浮き上がり、および位置ズレ、不完全な貼着などといった不具合の発生を防止し、さらに、これに続く半裁型グリップ材部21表面22から食み出した突板化粧シート3の余剰縁部の切除作業Eにより、グリップパーツ2,2をステアリング芯金11に装着、一体化したときに突板化粧シート3縁部同士の干渉による皺や剥がれ、浮き上がり、欠け落ちなどの様々な損傷の発生を防止し、精緻で美しい仕上がりが得られ、また、この作業の後に、半裁型グリップ材部21それ自体のパーティングラインの除去作業Eを行い、ステアリング芯金11にグリップパーツ2,2を一体化Fするときに、該ステアリング芯金11への装着精度、ならびに、グリップパーツ2,2同士の結合精度を高め、より効率的な作業によって緻密な組み立て仕上がりを得るようにする。
【0039】
当該表裏がわ一対をなすグリップパーツ2,2の各半裁型グリップ材部21,21に、図6中に示すような嵌合用歯合部23の本実凸24または本実凹25を形成したものとし、グリップパーツ2,2同士およびスペーサー8を含むステアリング芯金11との結合精度、ならびに結合強度を格段に高め、続いて行うグリップパーツ2,2表面22,22の弾性樹脂補強層6,6への上塗り塗装および研磨仕上げGにより、図1中のD〜Fに示した各行程に亘り、突板化粧シート3表面41を保護してきた弾性樹脂補強層6を塗装ベース層としてタッチアップや吹き付け、デッピングなどの各塗装段階を経て、触感に秀れる厚い樹脂皮膜層を形成すると共に、美術工芸品にも匹敵し得る深い色艶と、突板4の杢の紋様を際立たせる透明な光沢とを与え、天然木の高級感溢れる仕上がりを得ることとなり、同図1中のHに示す検査工程によって人の目による丹念な点検、細視を行い、仕上がりが不十分な場合には、同図1中の矢印NGに示すよう上塗り塗装および研磨の工程Gを再度、実施して厳格な検査Hに合格OKしたもののみを、良品として出荷Jすることとし、不良品が外部や市場に流出するのを確実に阻止することとする。
【0040】
(実施例の効果)
以上のような構成からなる実施例のステアリング用突板化粧シートの製造方法、およびステアリング用グリップパーツの製造方法を含む自動車用ステアリングの製造方法は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図1および図2中に示した、ステアリング用突板化粧シートの製造方法C(a〜g)の突板4表面41に、弾性樹脂補強層6を形成dする工程を、ロールコーター7を用いて天然樹脂製または合成樹脂樹製の塗料による、杢の紋様に深みを得るための着色および艶を得る透明樹脂塗料による下塗りを施し、十分に乾燥させた後に、図示しないカーテンフローコーターによって透明感と塗装層の厚みを得る中塗りを行うようにし、突板4の保護だけでなく、図1の上塗り塗装Gの品質を高めるよう表面を滑らかにし、上塗り用の塗料との密着強度を高めるものとなることから、製造工程C〜F中における突板化粧シート3の保護を実現化すると同時に、上塗り塗装G以降の外観、仕上がりの基礎となる肉厚なベース塗装層を形成し、製造工数を増加させることなく、従来の作業工程によって生産したものより一段と秀れた外観と耐久強度とを有する良品を効率的に量産、可能とすることができるという特徴が得られる。
【0041】
また、図1および図6に示すように、ステアリング芯金11にグリップパーツ2,2を一体化する工程で、ステアリング芯金11とグリップパーツ2,2との間に、半裁型グリップ材部21と同一の合成樹脂素材からなるスペーサー8,8を介在させるよう接着、一体化してあり、ステアリング芯金11とグリップパーツ2,2との間に隙間が発生するのを防ぎ、格段に強い一体感をもって結合することが可能となり、しかも接着剤を含む多層構造とすることによって万が一、一部に衝撃や過重による亀裂が発生しても一気に亀裂が広がって砕け散ってしまうような事態を確実に防止することができ、格段に耐久性と安全性とに秀れた自動車用ステアリング1を提供することができるという効果を発揮するものとなる。
【0042】
(結 び)
叙述の如く、この発明のステアリング用突板化粧シートの製造方法、および、ステアリング用グリップパーツの製造方法、ならびに、自動車用ステアリングの製造方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易であって、従前からの自動車用ステアリングの製造方法に比較して製造工数を削減し、遥かに経済的なものとすることができる上、外的美観を高め、耐久強度を格段に向上させることができ、稀少価値の高い杢を効率的に利用して高品質且つ耐久性に秀れた自動車用ステアリングの量産を模索する木工業界にとっても、欧州高級車に流れている富裕層ならびに新興富裕層の取り込みを目標に掲げる国内自動車メーカーや、天然木の深みのある色艶と高級感溢れる杢の繊細な紋様とをもった高級感溢れる自動車用ステアリングの提供を求めるユーザーからも高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図面は、この発明のステアリング用突板化粧シートの製造方法、および、ステアリング用グリップパーツの製造方法、ならびに、自動車用ステアリングの製造方法の技術的思想を具現化した代表的な一実施例を示すものである。
【図1】自動車用ステアリングの製造方法を示すフローチャートである。
【図2】ステアリング用突板化粧シートの製造方法を示すフローチャートである。
【図3】突板裏面に繊維シート補強層を一体化する状態を示す斜視図である。
【図4】突板裏面に弾性樹脂補強層を形成する状態を示す斜視図である。
【図5】突板化粧シートを示す平面図である。
【図6】ステアリング芯金に組み込むグリップパーツを示す斜視図である。
【図7】自動車用ステアリングを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 自動車用ステアリング
11 同 ステアリング芯金
2 グリップパーツ
21 同 半裁型グリップ材部
22 同 表面
23 同 嵌合用歯合部
24 同 本実凸
25 同 本実凹
3 突板化粧シート
4 突板
41 同 表面
42 同 裏面
5 繊維シート補強層
6 弾性樹脂補強層
7 ロールコーター
8 スペーサー
A スタート
B 半裁型グリップ材部の製造
C ステアリング用突板化粧シートの製造
a 同 スタート
b 同 突板の製造
c 同 繊維シート補強層の形成
d 同 弾性樹脂補強層の形成
e 同 弾性樹脂補強層の乾燥、研磨
f 同 突板化粧シートの打ち抜き
g 同 エンド
D 半裁型グリップ材部に突板化粧シートを練り付け
E 突板化粧シート食み出し部分の除去
F ステアリング芯金にグリップパーツを一体化
G 突板化粧シートの上塗りと研磨仕上げ
H 検査
J エンド
【出願人】 【識別番号】507097785
【氏名又は名称】株式会社 天童木工
【出願日】 平成19年3月26日(2007.3.26)
【代理人】 【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實


【公開番号】 特開2008−238494(P2008−238494A)
【公開日】 平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願番号】 特願2007−80356(P2007−80356)