トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 化粧材補修方法及びその化粧材補修方法により補修がなされて製造された化粧材並びに化粧材補修装置
【発明者】 【氏名】石木 茂

【氏名】中本 彰一

【氏名】春名 基全

【氏名】伊藤 毅

【氏名】井口 雅之

【要約】 【課題】表面に凹凸を有した模様が施された化粧材の不良箇所を、その不良箇所以外の部分との違和感を生じさせることなくインクジェット塗装により補修できるようにする。

【解決手段】化粧材の表面を撮像する撮像ステップS100と、撮像して得られた画像デー33bタと模様データ32aとを比較して不良箇所を特定する不良箇所特定ステップS101と、特定された不良箇所に施されるべき模様と塗装厚とを基準データに基づいて決定して、補修データを生成する補修データ生成ステップS103と、補修データに基づいて特定された不良箇所にインクジェット塗装を行う塗装ステップS104とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め記憶された基準データに基づいて基材表面に凹凸を有した模様が施された化粧材の不良箇所を補修する化粧材補修方法であって、
前記基準データは、模様データと、模様の位置に対応した塗装厚データとを有しており、
化粧材の表面を撮像する撮像ステップと、撮像して得られた撮像データと前記模様データとを比較して不良箇所を特定する不良箇所特定ステップと、前記特定された不良箇所に施されるべき模様と塗装厚とを前記基準データに基づいて決定して、補修データを生成する補修データ生成ステップと、該補修データに基づいて前記特定された不良箇所にインクジェット塗装を行う塗装ステップとを備えたことを特徴とする化粧材補修方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記塗装ステップは、前記補修データで指定された塗装厚に応じて、インクの液滴量を異ならせている化粧材補修装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記塗装ステップは、前記補修データで指定された塗装厚に応じて、塗装回数を異ならせている化粧材補修装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記模様は、木目模様である化粧材補修方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
前記塗装ステップの後に、さらに保護層を表面に形成する保護層形成ステップを備えた化粧材補修方法。
【請求項6】
基材の表面に凹凸を有した模様が施された模様に不良箇所がある化粧材に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧材補修方法により、補修がなされて製造された化粧材。
【請求項7】
記憶手段に予め記憶された基準データに基づいて基材の表面に凹凸を有した模様が施された化粧材の不良箇所を補修する化粧材補修装置であって、
前記基準データは、模様データと、前記模様の位置に対応した塗装厚データとを有しており、
化粧材の表面を撮像する撮像手段と、撮像して得られた撮像データと前記模様データとを比較して不良箇所を特定する不良箇所特定手段と、前記特定された不良箇所に施されるべき模様と塗装厚とを前記基準データに基づいて決定して、補修データを生成する補修データ生成手段と、該補修データに基づいて前記特定された不良箇所にインクを噴射するインクジェット塗装噴射手段とを備えたことを特徴とする化粧材補修装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、予め記憶された基準データに基づいて基材の表面に凹凸を有した模様が施された化粧材の不良箇所を補修する化粧材補修方法、及びその化粧材補修方法により補修がなされて製造された化粧材並びに化粧材補修装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内外で使用される建築材料として、木質材が多く用いられている。
このような木質材は、表面の木目模様等の美しさから天然の木質材が多く用いられているが、天然の木質材には、その表面に入皮、節、ヤニ壺、シミ等の欠陥が木質材の生育中や加工時に発生することがある。
【0003】
下記特許文献1では、このような問題を解決すべく、木質材の欠陥補修装置が提案されている。
この欠陥補修装置は、被補修材の表面を撮像するライン型CCDカメラと、被補修材の欠陥部に補修剤(木質材の基材色に対応する色彩の塗料や漂白剤)を塗布するインクジェット式プリンタと、CCDカメラからの撮像データに基づき、インクの噴射を制御する制御ユニットとを備えている。
前記構成とされた欠陥補修装置は、CCDカメラで被補修材の表面を撮像して濃淡を示す撮像データを生成して制御ユニットで欠陥の有無を判定するとともに、その位置、形状、明度分布等を識別する態様とされている。
【0004】
また、前記欠陥補修装置は、前記のように判定して認定された補修対象欠陥を構成する判定単位領域を、その明度に応じて、3段階に識別して、これに対応させて補修剤のドットの大きさを「大」、「中」、「小」として、補修剤の塗布をインクジェット式プリンタにより行う態様としている。
これにより、必要以上に補修剤を塗布して木質材表面の正常部位との間に違和感を与えたりすることが防止され、自然な状態を保ちながら補修できるとされている。
【特許文献1】特開2003−225902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の欠陥補修装置では、補修対象欠陥の明度に応じて設定されたドットの大きさで補修剤の塗布量を制御する態様とされているため、明度が比較的高い補修対象欠陥を構成する判定単位領域では、ドットが小さくなるのでドットとドットとの間に隙間が形成され、自然な外観を損なうおそれがある。
【0006】
また、近年、天然木質材の高騰や環境問題等に起因して、安価な基材の表面に木目模様やその他の絵柄等を印刷して模様層を形成した意匠性の高い化粧材が多く提供されている。
このような化粧材においては、表面に印刷された木目模様などに傷や汚れ、印刷ミス等の不良箇所が生じると、基材表面や基材表面に施された下地等が露出してしまい外観上好ましくなく、商品としての価値が低下してしまう。
【0007】
さらに、化粧材には凹凸を有した木目模様などが施されたものがあり、そのような化粧材の傷に対しては、単に元の模様を塗布するだけでは周囲と違和感(特に手触り感の差異)を生じるおそれがあるため、塗装厚を考慮して補修する必要があるが、前記特許文献1の技術は、凹凸を有した模様が施された化粧材に対して塗装厚を考慮して補修することは提案されていない。
【0008】
本発明は、前記問題を解決するために提案されたもので、その目的は、予め記憶された基準データに基づいて基材の表面に凹凸を有した模様が施された化粧材の不良箇所を、その不良箇所以外の部分との違和感を生じさせることなくインクジェット塗装により補修できる化粧材補修方法と、その化粧材補修方法により補修がなされて製造された化粧材、さらに化粧材補修装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の化粧材補修方法は、予め記憶された基準データに基づいて基材表面に凹凸を有した模様が施された化粧材の不良箇所を補修する化粧材補修方法であって、基準データは、模様データと、模様の位置に対応した塗装厚データとを有しており、化粧材の表面を撮像する撮像ステップと、撮像して得られた撮像データと模様データとを比較して不良箇所を特定する不良箇所特定ステップと、特定された不良箇所に施されるべき模様と塗装厚とを基準データに基づいて決定して、補修データを生成する補修データ生成ステップと、補修データに基づいて特定された不良箇所にインクジェット塗装を行う塗装ステップとを備えたことを特徴とする。
ここに、前記不良箇所には、模様の塗装の一部が剥がれて下地が露出された傷が少なくとも含まれる。
【0010】
請求項2では、請求項1において、前記塗装ステップは、前記補修データで指定された塗装厚に応じて、インクの液滴量を異ならせている。
【0011】
請求項3では、請求項1または2において、前記塗装ステップは、前記補修データで指定された塗装厚に応じて、塗装回数を異ならせている。
【0012】
請求項4では、請求項1〜3のいずれか1項において、前記模様は、木目模様である。
【0013】
請求項5では、請求項1〜4のいずれか1項において、前記塗装ステップの後に、さらに保護層を表面に形成する保護層形成ステップを備えている。
【0014】
請求項6に記載の化粧材は、基材の表面に施された模様に不良箇所がある化粧材に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧材補修方法により、補修がなされて製造されたものである。
【0015】
請求項7に記載の化粧材補修装置は、記憶手段に予め記憶された基準データに基づいて基材の表面に凹凸を有した模様が施された化粧材の不良箇所を補修する化粧材補修装置であって、基準データは、模様データと、模様の位置に対応した塗装厚データとを有しており、化粧材の表面を撮像する撮像手段と、撮像して得られた撮像データと模様データとを比較して不良箇所を特定する不良箇所特定手段と、特定された不良箇所に施されるべき模様と塗装厚とを基準データに基づいて決定して、補修データを生成する補修データ生成手段と、補修データに基づいて特定された不良箇所にインクを噴射するインクジェット塗装噴射手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜7に記載の本発明によれば、予め記憶された模様データと塗装厚データに基づいて補修データを生成しているため、化粧材が有している模様をその模様に凹凸を含めて再現でき、補修した箇所とその周囲の模様パターンとの間に違和感が生じず、化粧材表面の補修を高精度で行える。
また、インクジェット塗装により前記不良箇所に塗装を行うので、小さい不良箇所も高精度で補修できる。さらに、インクジェット塗装は、従来のペイント塗装などと比べて制御が容易であるので、不良箇所以外へのインクの塗布も制御でき、インクの無駄が生じないため、低コストで化粧材表面の補修が行える。
【0017】
請求項2では、補修データで指定された塗装厚に応じて、インクの液滴量を異ならせているので、効率よく元の模様の塗装厚に補修できる。
【0018】
請求項3では、補修データで指定された塗装厚に応じて、塗装回数を異ならせているので、微妙な塗装厚調整が可能で、精度の高い補修ができる。
【0019】
請求項4では、前記模様を木目模様としているので、天然木調の自然な外観を阻害することなく、補修が可能となる。
【0020】
請求項5では、不良箇所にインクジェット塗装をした後に、さらに保護層が形成されるので、化粧材の表面が保護され傷などが生じることを低減できる。
【0021】
請求項6に記載の化粧材は、前記した請求項1〜3に記載の化粧材補修方法により補修がなされて製造されているので、不良箇所のない意匠性に優れた化粧材となる。
【0022】
請求項7に記載の化粧材補修装置は、インクジェット塗装噴射手段により前記不良箇所にインクを噴射して塗装を行うので、小さい不良箇所も高精度で補修できる。さらに、インクジェット塗装噴射手段は、制御が容易であるので、不良箇所以外へのインクの塗布も制御でき、インクの無駄が生じないため、低コストで化粧材表面の補修が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図6は、本発明に係る化粧材補修方法及びその化粧材補修方法により補修がなされて製造された化粧材並びに化粧材補修装置の実施形態の一例を示し、図1は、同実施形態に係る化粧材補修方法の一例を示すフローチャート、図2は、同実施形態に係る化粧材補修方法を実行する化粧材補修装置の一例を示すブロック図、図3は、同実施形態に係る化粧材補修装置による化粧材補修方法の工程を説明するための概略平面図、図4は、同実施形態に係る化粧材補修方法により補修される化粧材を示し、(a)は、同実施形態で補修される前の化粧材の概略平面図、(b)は概略断面図、図5は、同実施形態で補修された後の化粧材を示し、(a)は、同実施形態で補修される前の化粧材の概略平面図、(b)は概略断面図、図6は、同実施形態に係る化粧材補修方法により補修された化粧材を示す概略断面図である。
なお、図4、図5では、不良箇所13a及び補修箇所(補修層)13bを二点鎖線で表しており、図4では、木目模様層13が剥がれ、インク受理層12が露出して不良箇所13aが生じた例を示している。
【0024】
本実施形態の化粧材補修方法により補修される化粧材10は、集成材、合板、パーティクルボード、木質繊維板などの木質系基材11の表面に、インクジェット塗装装置(不図示)から噴射されるインクを定着させるための白地のインク受理層12を形成し、さらに、その上に予め記憶された模様データに基づいて、インクカラーが選択され、インクジェット塗装装置(不図示)により木目模様層13が形成された板状のものである(図4〜図6参照)。
【0025】
なお、本実施形態に適用可能な化粧材10としては、図例の板状のものに限られず、大きさや種類、形状は特に限定されない。例えば、建築物の内装建材、外装建材として従来から汎用されている、他の木質系材料、樹脂材料を基材としてその表面に予め記憶された模様データに基づいて模様が施されたものにも適用が可能である。
また、各基材の表面に前記したインク受理層以外の下地層などを施したり、基材表面隠蔽処理をしたりして表面処理を施した後に、インクジェット塗装装置により模様層を形成するものであってもよい。
さらに、模様データは、天然銘木を撮影して得たものや人工的に作成した擬似木目等の木目模様に限らず、他の絵柄模様等であってもよい。
【0026】
前記のように木目模様層12が形成された後に、化粧材10の表面に、図4(a)に示すように不良箇所13aが生じた場合は、図1に示す各ステップを実行することで補修がなされる(なお、各種データについては後述する図2を参照)。
すなわち、予め記憶された模様データ32aに基づいて模様が施された化粧材10の表面を撮像する(ステップ100)。次いで、撮像して得られた化粧材10の表面の撮像画像データ33bと、基準データ32Aに含まれる模様データ32aとを比較して不良箇所13aを特定する(ステップ101)。不良箇所は、パターンマッチングなどの画像処理方法により模様パターンの欠落が抽出されて特定される。
【0027】
次いで、特定した不良箇所13aに施されるべき模様とその塗装厚を、基準データ32Aに含まれる模様データ32aと塗装厚データ32bとに基づいて決定し、補修データ33cを生成する(ステップ102)。ここに、補修データ33cに含まれる模様データは、模様パターンと色相情報を少なくとも含んでいる。最後に、生成された補修データ33cに基づいて、特定した不良箇所13aにインクジェット塗装を行う(ステップ103)が、必要に応じて不良箇所13aに塗装を行った後に化粧材10の表面に保護層を形成する(ステップ104)。
【0028】
前記各ステップは、化粧材10の製造工程において実行されることが好ましく、例えば、ステップ100の前に、木目模様層13が形成された化粧材10を、不良箇所13aの発生の有無に応じて良品と不良品とに選別して、不良箇所13aがある不良品の場合にのみ前記化粧材補修方法により補修がなされるようにしてもよい。
【0029】
また、化粧材10の表面に塗装を施して木目模様層13を形成する際は、インクジェット塗装以外のグラビア印刷など他の印刷方法により形成してもよい。この場合は、グラビア印刷などに使用された模様データを基準データとし、これと化粧材10の表面を撮像して得た撮像画像データとを対比させて不良箇所を抽出し、さらにインクジェット塗装による補修に必要なインクカラーを選択して補修データを生成する。
【0030】
次に図2及び図3をも参照して、前記した化粧材補修方法を実行する化粧材補修装置の一例を説明する。
図例の化粧材補修装置Aは、不良品としてベルトコンベアなどの搬送手段(不図示)により搬送されてきた不良箇所13aがある化粧材10を載置する基台20と、化粧材10の表面を撮像する撮像手段を構成するCCDカラーラインセンサユニット21と、不良箇所13aに塗装を行うインクジェット塗装噴射ユニット25と、これら各ユニットの駆動制御、模様データ32a等の記憶、不良箇所13aの特定、補修データ33cの生成等を行う制御ユニット30とを有している。
【0031】
基台20は、化粧材10の形状や大きさに合わせて形成されている。また、基台20は、化粧材製造ラインの一部をなし、前記したように木目模様層13が形成された化粧材10の不良品選別後の下流側に位置している。さらに、化粧材10の補修がなされると、例えば、ベルトコンベアなどの搬送手段(不図示)により、化粧材10を次工程に向けて搬送する構成としている。
【0032】
CCDカラーラインセンサユニット21は、基台20に隣接して配設された装置本体22と、基台20を挟んで装置本体22に対して対向配置された支持部23と、装置本体22及び支持部23に支持架設された撮像部24とを有し、少なくとも撮像部24が基台20に載置された化粧材10に対して、白抜矢印Y方向に移動可能な構成とされている。
撮像部24は、CCDカラーラインセンサ24a、化粧材10の表面をCCDカラーラインセンサ24aの撮像部位に応じて均一に照射するLEDあるいはラインガイドなどからなる光源24b、レンズやミラーなどの光学系(不図示)を備えている。
【0033】
CCDカラーラインセンサ24aは、基台20に載置された化粧材10の幅方向(白抜矢印X方向)を、一度の撮像により1ラインずつ順次撮像可能な構成とされている。
また、撮像部24は、サーボモータやステッピングモータなどの撮像部駆動手段22aにより、ライン毎の撮像ピッチに応じて、化粧材10の表面全体の撮像が可能なように駆動制御がなされる。
なお、撮像手段としては、CCDカラーラインセンサユニット21に限られず、化粧材の表面全体を撮像し、撮像画像データを得られるものであればどのようなものでもよく、例えば、CCDエリアセンサ、CISセンサ、3CCDカラーラインセンサ、CCDモノクロラインセンサ、TDIカラーラインセンサなどを適用してもよい。
【0034】
インクジェット塗装噴射ユニット25は、基台20に隣接して配設された装置本体26と、装置本体26に連結されノズルヘッド29を案内するノズルヘッド案内棹28とを有し、少なくともノズルヘッド案内棹28が基台20に載置された化粧材10に対して、白抜矢印Y方向に移動可能な構成とされている。
ノズルヘッド案内棹28は、基台20を挟んで装置本体26に対して対向配置された案内棹支持部27と、装置本体26とにより支持されている。
ノズルヘッド29は、ノズルヘッド案内棹28に沿って、白抜矢印X方向に移動可能に構成されており、裏面には、不良箇所13aに塗装するための複数のインクを噴射する複数の噴射ノズル(不図示)を有している。また、後述するように、不良箇所13aに対して白地のインク受理層12を形成するためのインク受理層用溶液を噴射する噴射ノズルが備えられている。
ノズルヘッド29の移動は、ノズルヘッド駆動手段26aによりなされ、後述する不良箇所13aに応じて細かい制御がなされる。
すなわち、ノズルヘッド29は、ノズルヘッド駆動手段26a及びノズルヘッド案内棹28により、化粧材10に対してX−Y方向に駆動制御がなされる。
【0035】
前記のように、基台20に載置された化粧材10に対して、撮像部24及びノズルヘッド29が移動する構成としているため、後述する不良箇所13aの特定及び不良箇所13aへの塗装の際の位置決めを、化粧材10をX−Y移動させるのに比べて、確実かつ容易にできる。
なお、噴射ノズルからインクを噴射するためのインクジェットのノズル駆動方式は、特に限定されず、適宜公知のものが選択可能であり、ドロップオンデマンドピエゾ方式、ドロップオンデマンドバルブ方式、コンティニュアス帯電偏向方式など任意のものが適用可能である。
【0036】
また、インクは、例えば、樹脂、溶剤、硬化剤、添加剤等に、基本色を構成する顔料を混合した溶液であり、前記したノズル駆動方式や化粧材10の表面や表面に形成された受理層等に応じて、公知の産業用インクジェットインクの適用が可能である。例えば、メチルエチルケトンやエタノール、アセトンなどを溶剤とする速乾性インク、オイルベースの油性インク、紫外線を照射して硬化させるUV硬化インク、水性インクなどで少なくとも耐候性、耐水性のあるものとすることが好ましい。
特に、模様パターンの塗装厚を再現すべくインクジェットにより重ね塗装を行うようにするためには、速乾性インク、UV硬化インクなどを使用して、効率のよいインク噴射を行うことが望ましい。
さらに、本実施形態のように、白地のインク受理層12が形成されている場合は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン等のインクが適用されるが、インク受理層の色が異なる場合やインク受理層を形成する必要がない基材の場合は、そのインク受理層の色や基材の表面色に応じて、適宜インクカラーの選択が可能である。
【0037】
制御ユニット30は、制御演算手段を構成するCPU31、各種プログラムや基準データ32Aを記憶する記憶手段32、各種画像データや補修に使用される後述する補修データ33cを格納するメモリ33などを有し、不良箇所特定手段及び補修データ生成手段を構成する。
【0038】
次に、前記のように構成された化粧材補修装置Aにより実行される化粧材補修方法の具体的態様例について説明する。
まず、CCDカラーラインセンサユニット21を駆動して基台20の上に載置された化粧材10の表面を撮像する。
この際、前記したように撮像部24は、化粧材10に対してY方向に移動走査し、順次ライン毎に撮像して化粧材10の表面全体を撮像する。撮像された画像はA/D変換部22aでデジタル画像に変換され、撮像画像データ33bとしてメモリ33に格納される。
【0039】
CPU31は、記憶手段32に格納されている基準データ32Aに含まれる模様データ32aを読み出して模様データ33aとしてメモリ33に格納し、画像処理プログラムにより、その模様データ33aとメモリ33に格納された撮像画像データ33bとを比較して、不良箇所13aを特定する。
ここで、模様データ33aと撮像画像データ33bとの比較は、公知の画像処理技術の適用が可能である。例えば、パターンマッチングにより模様データ33aと撮像画像データ33bとの位置合わせを行った上で、それらの差分を算出して、その差分結果が一定値(閾値)以上、あるいは一定値(閾値)以下の箇所を不良箇所として抽出し特定するようにしてもよい。
【0040】
この際、RGBのデジタルデータに変換してカラー抽出によるカラー処理、カラー濃淡処理や、微小なノイズを検出しないように膨張や収縮などのフィルタ処理を施すようにしてもよい。
例えば、カラー濃淡処理により画素毎にRGBの濃淡がそれぞれ256階調の輝度値で現され、模様データ33aの輝度値と、撮像画像データ33bの輝度値とを比較することにより行うようにしてもよい。その場合、詳述は省略するが、データの対応する部分における輝度値の平均値、標準偏差、最大値や最小値を計算し、濃淡の比較を行って不良箇所13aを抽出するようにしてもよい。
以上のように、不良箇所13aは、撮像画像データ33bを少なくとも基準データ32Aに含まれる模様データ32aと比較して特定されるが、撮像画像データ33bが3次元情報を含んでいる場合には、基準データ32Aに含まれる塗装厚データ32bを加味して不良箇所13aを抽出するようにしてもよい。
【0041】
不良箇所13aは以上のような種々の方式で特定され得るが、本実施形態は、記憶された塗装厚データ32bに基づいて元の塗装厚に再現、補修することを可能とした構成であるため、少なくともインク受理層12が露出していることを不良箇所13aとして特定することが望ましい。
【0042】
次いで、前記のように特定された不良箇所13aに施されるべき模様を、基準データ32Aに含まれる模様データ32aと塗装厚データ32bとに基づいて決定し、補修データ33cを生成する。
この塗装厚データ32bは、模様データ32aの模様位置毎に対応したものが記憶されており、例えば図4に示すように、木目に沿って所定間隔毎に木目を切断する仮想切断線Lを想定して、その仮想切断線Lを所定単位に細分化した塗装厚をひも付けるように記憶すればよい。
したがって、補修データ33cは1つの不良箇所13aに対応して、模様データと塗装厚データとの組み合わせよりなるが、前記のように座標等により定まる所定単位毎に塗装厚を定めるとすれば、1つの不良箇所13aに対して、複数の塗装厚データがひも付けられる。
また、補修データ33cの模様データには、特定された不良箇所13aの模様パターン、位置や形状、画素毎の明度、彩度、色相などの情報、補修に使用するインクカラーの組み合わせが含まれる。
【0043】
さらに、インク受理層12が剥がされて基材11の表面層が露出していることを検出して不良箇所13aに特定した場合には、補修データ33cに、塗装厚データ32bによる塗装厚と、インク受理層12の(予め記憶した)塗装厚とを含ませることもできる。また、汚れを検出して不良箇所13aに特定した場合には、塗装厚データ32bによらず、最小の噴射厚を補修データ33cの塗装厚としてもよい。
なお、不良箇所13aがインク受理層12の露出以外による場合は、補修データ33cには、インク受理層12を形成するための情報がさらに含まれる。
【0044】
次いで、メモリ33に格納された補修データ33cに基づいて、インクジェット塗装噴射ユニット25を駆動し、特定した不良箇所13aにノズルヘッド駆動手段26aによりノズルヘッド29を駆動制御し、各噴射ノズルからインクを噴射して塗装を行う。
この際、前記したように、不良箇所13aがインク受理層12の露出以外による場合は、インク受理層12を形成した後に、さらに、木目模様層13を形成するためのインクを噴射して塗装を行う。
【0045】
不良箇所13aは、位置によって塗装すべき厚が異なるため、不良箇所13a毎に、あるいは細分化された所定単位毎にインクの噴射の程度も異ならせている。噴射の程度は、厚によって1回に噴射する液滴量を異ならせてもよいし、厚によって塗装回数を異ならせて重ね噴射を可能としてもよい。
この重ね噴射の回数は、補修データ33cに含まれる塗装厚データによって定まる。例えば、1回の噴射により形成できる塗装厚を予め定義、記憶しておき、不良箇所13a毎に、あるいは所定単位毎に、塗装厚/1回の噴射厚で塗装回数を算出して、その回数分インク噴射を行うようにすればよい。
液滴量を異ならせる方式としては、種々の液滴量に対応した複数の噴射ノズルを設けてもよいし、同一位置での噴射時間の長さを可変させるようにインクジェット塗装噴射ユニット25を制御してもよい。
【0046】
インクジェット塗装噴射ユニット25により塗装された不良箇所13aは、予め記憶された塗装厚データ32bをも加味して補修データ33cが生成されるため、図4(a)、(b)に示すように凹凸を有した模様層13が剥がれた場合でも、図5(a)、(b)に示すように、模様とその厚について不良箇所13aの周囲と違和感なく再現できる。
もちろん、模様パターンそのものについても、施されるべき模様、すなわち図例では、木目模様や導管模様に合った色、濃淡で塗装がなされるので、自然な外観を損なうことなく意匠性に優れた化粧材10となる。つまり、不良箇所13aには、施されるべき模様が補修データ33cに基づき補修層13bが形成されるので、高精度で補修を行うことができる。
【0047】
不良箇所13aへの塗装がなされた後は、図6に示すように保護層14が形成されて、化粧材10の製造がなされる。保護層14は、施された模様を阻害することがないように透明の保護シートや保護フィルムの貼着により形成、あるいは、透明樹脂塗料(例えば、ウレタン、エポキシなど)などの塗装による保護塗膜により形成される。
このように、不良箇所13aへの塗装の後に、保護層14を形成することで、化粧材10の表面が保護され傷等が生じることを低減できる。
なお、保護層14は、化粧材補修装置Aにより形成されてもよいし、別工程として形成されてもよい。
また、保護層14を別途、形成することなく、化粧材の表面に模様を塗装する際及び前記した補修の際に噴射するインクに、耐候性のあるアクリル系、メタクリル系、ウレタン系、フッ素系等の樹脂を含有させて、塗装による模様層が保護層を兼ねるようにしてもよい。
【0048】
以上のように本実施形態に係る化粧材補修装置A及び化粧材補修方法によれば、予め記憶された模様データ32aと化粧材10の表面を撮像して得た撮像画像データ33bとを比較して化粧材表面の不良箇所13aを特定して、その不良箇所13aに、模様データ32aと塗装厚データ32bとに基づいて決定した補修データ33cに基づいて塗装を行うので、補修箇所13bとその周囲の模様パターンとの間に違和感が生じず、化粧材表面の補修を高精度で行える。塗装厚も考慮しているので、手触り感も違和感なく再現できる。
特に、本実施形態の化粧材10のように表面に木目模様層13が形成された化粧材10の天然木調の自然な凹凸感を有した外観を阻害することなく、補修が可能となる。
【0049】
また、インクジェット塗装噴射ユニット25により不良箇所13aに塗装を行うので、小さい不良箇所も高精度で補修できる。さらに、インクジェット塗装噴射ユニット25は、制御が容易であるので、不良箇所以外へのインクの塗布も制御でき、インクの無駄が生じないため、低コストで化粧材表面の補修が行える。
特に、インクジェット塗装噴射ユニット25により不良箇所13aに塗装を行う構成であるため、重ね塗装や、液滴量を異ならせた塗装が容易に行え、そのような塗装により、凹凸を有した模様に対して、精度が高く、効率のよい補修が実現できる。
さらに、本実施形態では、化粧材補修装置Aが化粧材製造ラインの一部をなし、前記したように模様が施された化粧材10の不良品選別後の下流側に位置しているので、化粧材製造ライン内の補修ライン上で補修が可能となり、生産性が向上する。
【0050】
さらにまた、前記したように化粧材10の表面にインクジェット塗装装置(不図示)により木目模様層13を形成することで、不良箇所13aへの塗装による補修箇所13bの形成の際にも、補修箇所13bと、それ以外の箇所の木目模様層13との光沢や色合いが同様のものとなり違和感が生じず、より高精度な補修が可能となる。
さらに、インクジェット塗装装置で木目模様層13を形成する際に使用する模様データ32aと塗装厚データ32bとを、補修の際の補修データとして使用することができるので、容易かつ確実に補修を行える。
【0051】
なお、本実施形態では、CCDカラーラインセンサユニット21の撮像部24及びインクジェット塗装噴射ユニット25のノズルヘッド29を化粧材10に対して、X−Y移動させる構成としているが、化粧材10をX−Y移動させる構成としてもよく、あるいは、化粧材10をY方向に移動可能に構成するとともに、ノズルヘッド29を化粧材10に対してX方向に移動可能に構成してもよい。
また、本実施形態では、1つの基台20にて、CCDカラーラインセンサユニット21による化粧材10の撮像、インクジェット塗装噴射ユニット25による不良箇所13aへの塗装を行っているが、各工程を複数の基台にわたって、搬送して行う態様としてもよい。
【0052】
次いで、本発明の他の実施形態について、図7〜図9を参照しながら説明する。図7は、同実施形態に係る化粧材補修方法の一例を示すフローチャート、図8は、同実施形態に係る化粧材補修方法を実行する化粧材補修装置の一例を示すブロック図、図9(a)〜(c)は、補修態様を説明するための概略断面図である。
同実施形態は、特定した不良箇所13aの(傷などの)深さを計測して、計測した深さに応じて高精度の補修をできるようにしたものである。
すなわち、同実施形態の化粧材補修方法においては、不良箇所13aの深さを計測するステップ(S202)と、インク受理層12までをも削り取られた傷に対して実行すべき下地塗装ステップ(S204)とをさらに含んでいる。つまり、本実施形態では、化粧材10の表面の撮像(S200)、撮像画像データと記憶された模様データとの比較による不良箇所13aの特定(S201)、不良箇所13aの深さの計測(S202)、補修データの生成(S203)、下地塗装(S204)、補修データに基づくインクジェット塗装(S205)、保護層形成(S206)を順次実行する。
【0053】
本実施形態では、化粧材補修装置Aは、不良箇所13aの深さを計測するために距離センサ40をさらに備えている。この距離センサ40は、化粧材10の表面より所定間隔に離間した所定の高さ位置に設置され、検出した不良箇所13aまでの距離を計測する。予めその所定の高さ位置からインク受理層12までの基準距離を計測しておき、CPU31が、計測した不良箇所13aまでの距離と、基準距離と、塗装厚データ32bとより、不良箇所13aの深さを算出し、その算出値を補修データの塗装厚として採用する。
なお、距離センサに代えて変位センサを使用してもよい。
また、インク受理層12の厚さを定義した下地厚データ32cを予め記憶しておき、計測した傷の深さがインク受理層12まで達していると判断した不良箇所13aに対しては、インク受理層用のデータ(インク色、厚)を含ませるように補修データを生成し、インク受理層12を再形成する下地塗装を実行する。
【0054】
この方法によれば、インク受理層12が露出されないような凹み不良なども、本来の凹凸となるように補修することができる。その場合の不良箇所13aは模様そのものが残存しているため、保護層形成に使用する透明インクで補修してもよい。
なお、化粧材10表面の凹みなど、模様が残存した不良箇所13aを検出するために、図1に示した画像処理に加えて、光の表面反射などを利用してもよい。
【0055】
補修対象である1枚の化粧材10に複数の不良箇所13aが特定された場合、それらの不良箇所13aが、例えば図9(a)に示すように、模様層13のみが剥がれている(傷がインク受理層12まで達していない)不良箇所13a(#1)、模様層13の一部が剥がれ一部が残存している不良箇所13a(#2)、模様層13とインク受理層12の両方が剥がれている不良箇所13a(#3)のいずれであっても、それぞれに対応した補修がなされ、模様インクによる補修層13b(#1)、透明インクによる補修層13b(#2)、インク受理層インクと模様インクとによる補修層13b(#3)とがそれぞれ形成される。
なお、図9(c)は、補修がなされた模様層13の上に保護層14を形成したものを示している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る化粧材補修方法の実施形態の一例を示すフローチャートである。
【図2】同実施形態に係る化粧材補修方法を実行する化粧材補修装置の一例を示すブロック図である。
【図3】同実施形態に係る化粧材補修装置による化粧材補修方法の工程を説明するための概略平面図である。
【図4】同実施形態に係る化粧材補修方法により補修される化粧材を示し、(a)は、同実施形態で補修される前の化粧材の概略平面図、(b)は概略断面図である。
【図5】同実施形態で補修された後の化粧材を示し、(a)は、同実施形態で補修される前の化粧材の概略平面図、(b)は概略断面図である。
【図6】同実施形態に係る化粧材補修方法により補修された化粧材を示す概略断面図である。
【図7】本発明に係る化粧材補修方法の他の実施形態の一例を示すフローチャートである。
【図8】同実施形態に係る化粧材補修方法を実行する化粧材補修装置の一例を示すブロック図である。
【図9】同実施形態に係る化粧材補修方法を説明するための図であり、(a)は補修される前、(b)は補修された後、(c)は保護層を形成した後のそれぞれ概略断面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 化粧材
11 基材
12 インク受理層
13 模様層
13a 不良箇所
13b 補修箇所、補修層
14 保護層
21 CCDカラーラインセンサユニット(撮像手段)
25 インクジェット塗装噴射ユニット(インクジェット塗装噴射手段)
30 制御ユニット(不良箇所特定手段、補修データ生成手段)
32A 基準データ
32a 模様データ
32b 塗装厚データ
33b 撮像画像データ(撮像データ)
33c 補修データ
A 化粧材補修装置
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成19年2月22日(2007.2.22)
【代理人】 【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行


【公開番号】 特開2008−201073(P2008−201073A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−41985(P2007−41985)