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機能性材料 - 特開2008−179109 | j-tokkyo
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【発明の名称】 機能性材料
【発明者】 【氏名】春名 基全

【氏名】石木 茂

【氏名】中本 彰一

【氏名】伊藤 毅

【氏名】井口 雅之

【要約】 【課題】建築材料の表面部の所望の部位に、低コストで機能性が付与でき、かつ、機能性の発揮を長期に持続し得る機能性材料を提供する。

【解決手段】機能性材料10は、建築材料11の表面部11aに、溶解剤吐出装置21から吐出された溶解剤35により、複数の微細穴11bを形成し、該微細穴に、インクジェット塗装噴射装置25により、機能剤含有溶液14aを充填して、表面処理されている構成としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築材料の表面部に、溶解剤吐出装置から吐出された溶解剤により、複数の微細穴を形成し、該微細穴に、インクジェット塗装噴射装置により、機能剤含有溶液を充填して、表面処理されていることを特徴とする機能性材料。
【請求項2】
請求項1において、
前記溶解剤は、酸性またはアルカリ性溶液であることを特徴とする機能性材料。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記機能剤含有溶液に含有される機能剤は、防腐剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、撥水剤、親水剤、光触媒のうちの少なくとも1つであることを特徴とする機能性材料。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記機能剤含有溶液には、着色剤が添加されていることを特徴とする機能性材料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性材料に関し、詳しくは、建築材料の表面部に表面処理を施して機能性を付与した機能性材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内外で使用される建築材料として、抗菌性や防カビ性、防汚性等を付与した機能性材料が多く用いられている。
このような機能性材料は、抗菌剤や防カビ剤などの機能剤を、樹脂製の材料等では、材料自体に混合して成型が行われたり、あるいは種々の基材や建築材料に表面処理として、機能剤を含有した塗料を塗装したりすることにより、機能性が付与されていた。
前者のように、材料自体に機能剤を混合する処理では、機能剤が表面部に一部しか露出せず、材料内部に混合された機能剤の性能の発揮がなされず、混合した機能剤に無駄が生じ、コスト高となる問題があった。
後者の基材や建築材料の表面に機能剤を含有した塗料を塗装する表面処理では、建築材料の表面へ直接塗装するため、含有した機能剤の性能が十分に発揮されるものではあるが、建築材料の表面の一部のみに機能性を付与したい場合にも、一部への塗装では、建築材料表面の色調等が崩れ、意匠性に乏しくなるため、建築材料表面の全面に塗装する必要があり、コスト高となる問題があった。
【0003】
また、特許文献1では、種々の基材に抗菌性能を付与するために使用される化粧シートが提案されている。
このものは、熱可塑性樹脂シート、印刷層、接着層、エチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)フィルムをこの順に積層して、表面層となる該EVOHフィルム表面に、エンボス加工を施してエンボス模様を形成し、該エンボス模様の凹部に、ワイピング加工により、抗菌剤を添加したインキを充填して、化粧シートに抗菌性を付与したものである。
【特許文献1】特開平10−119197号公報(図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の化粧シートは、該化粧シートを種々の基材表面に貼着することで、種々の基材に抗菌性能を付与することができるものではある。しかしながら、抗菌剤を添加したインキを、前記エンボス模様の凹部に、ワイピング加工により、充填する構成としているため、該凹部以外にもインキが塗布されて、拭き取り作業が必要となる。このため、インキの無駄が生じ、また拭き取りの作業工程が必要となる。
さらに、基材の表面に塗装や化粧シートを貼着する必要がない場合でも、機能剤が含有された塗料の塗装や、機能剤が混合された化粧シートを貼着する必要がありコスト高となる問題があった。
【0005】
本発明は、前記問題を解決するために提案されたもので、その目的は、建築材料の表面部の所望の部位に、低コストで機能性が付与でき、かつ、機能性の発揮を長期に持続し得る機能性材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の機能性材料は、建築材料の表面部に、溶解剤吐出装置から吐出された溶解剤により、複数の微細穴を形成し、該微細穴に、インクジェット塗装噴射装置により、機能剤含有溶液を充填して、表面処理されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2では、請求項1において、前記溶解剤は、酸性またはアルカリ性溶液であることを特徴とする。
【0008】
請求項3では、請求項1または2において、前記機能剤含有溶液に含有される機能剤は、防腐剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、撥水剤、親水剤、光触媒のうちの少なくとも1つであることを特徴とする。
【0009】
請求項4では、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記機能剤含有溶液には、着色剤が添加されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1乃至4に記載の本発明によれば、機能性材料は、溶解剤吐出装置から吐出した溶解剤により、建築材料の表面部を溶解させて複数の微細穴を形成し、その形成された微細穴に、インクジェット塗装噴射装置により、機能剤含有溶液を充填して、表面処理されているので、機能剤を材料自体に混合したり、基材表面全面に機能剤を含有した塗料を塗装したり、化粧シートに機能剤を塗布や混合して基材に貼着したりした従来のものと比べて、機能性が容易に付与される。
また、本発明の機能性材料は、形成された微細穴に、機能剤含有溶液をインクジェット塗装噴射装置により充填して、表面処理されているので、機能剤が基材内部にも混合されたものやワイピング加工等により機能性が付与されたものに比し、機能剤含有溶液に無駄が生じず、低コストとなる。
さらに、機能剤含有溶液をインクジェット塗装噴射装置により噴出する構成としているので、制御が容易であり、建築材料の所望の部位に機能性を付与することができる。すなわち、機能性を付与したい部位に、微細穴を形成して、該微細穴に機能剤含有溶液を充填することができるので、機能性を付与する必要がある箇所のみに限定して機能性を付与することができ、低コストなものとなる。
さらにまた、建築材料の表面部に形成した微細穴に、機能剤含有溶液を充填する構成としているので、種々の機能剤が有するそれぞれの性能を、長期に亘って持続させることができる。
【0011】
請求項2では、前記溶解剤を酸性またはアルカリ性溶液としているので、該溶液の濃度や吐出量を調整することで、微細穴の大きさを容易に調整することが可能となる。このため、その微細穴に充填される機能剤の量の調整も容易に行うことができる。
【0012】
請求項3では、前記機能剤含有溶液に含有する機能剤を、防腐剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、撥水剤、親水剤、光触媒のうちの少なくとも1つとしているので、機能性材料が使用される施工箇所に応じた機能剤を、選択的に含有させることで、市場性の高い機能性材料となる。
特に、前記したように、インクジェット塗装噴射装置により、機能剤含有溶液を充填して表面処理がなされるので、機能剤含有溶液の充填箇所を、細かく制御することが可能である。例えば、形成した複数の微細穴に、異なる性能を有する機能剤を含有した機能剤含有溶液を、交互に充填することも可能であり、施工箇所に応じて複数の機能性を付与した機能性材料とすることもできる。
【0013】
請求項4では、前記機能剤含有溶液に、着色剤を添加しているので、建築材料の表面部に機能性を付与することができるとともに、着色も可能となる。
特に、前記したように、インクジェット塗装噴射装置により、機能剤含有溶液を充填して表面処理がなされるので、例えば、微細穴を密に形成することで、複雑かつ細かい模様などを印刷することも可能となる。
また、着色剤を、建築材料の表面部と同色のものとすれば、前記機能剤含有溶液が、前記微細穴に充填されても、外観が損なわれることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1乃至図3は、本発明に係る機能性材料の実施形態の一例を示し、図1(a)は、同実施形態に係る機能性材料の形成工程の一工程を示す概略断面図、(b)は、機能性材料の一例を示す概略断面図、図2は、同実施形態に係る機能性材料の形成工程を説明するための概略平面図、図3(a)、(b)、(c)は、同実施形態に係る機能性材料の形成工程の他の工程をそれぞれ示す概略断面図である。
【0015】
本実施形態の機能性材料10は、図1(b)に示すように、板状に形成された建築材料11の表面部11aに形成された複数の微細穴11bに、後記するように機能剤含有部14bを形成して構成されている。
建築材料11として、本実施形態では、集成材、合板、パーティクルボード、木質繊維板などの木質系基材12に、樹脂製化粧シート層13を貼着した化粧板11を用いているが、大きさや種類は特に限定されず、建築物の内装建材、外装建材として従来から汎用されている、例えば、他の木質系材料、樹脂材料などにも本実施形態の適用が可能である。
他の木質系材料としては、少なくとも表面層が木質系であれば良く、無垢の木材、集成材、合板、パーティクルボード、木質繊維板等にも適用が可能である。あるいはこれらを基材として、または樹脂製のものを基材として、その表面に、木質単板などの化粧層を貼着したもの等にも適用可能である。
また、樹脂材料としては、少なくとも表面層が樹脂系であれば良く、プラスチック等の合成樹脂等にも適用可能である。
さらに、形状も図例のような板状のものに限られず、角柱状、円柱状、円錐状等の様々な形状の建築材料にも適用可能である。
また、機能性材料10が用いられる施工箇所としては、内装及び外装に使用可能であり、例えば、扉、床、階段、框、柱、手摺り、棚、キッチンパネル、天井、各種家具のキャビネットや天板、内壁等に好適である。
【0016】
図2では、機能性材料10を形成するための各種装置を概略的に示しており、20は建築材料11が載置される基台、21は溶解剤吐出装置、31は乾燥装置、25はインクジェット塗装噴射装置、30は各装置を操作制御するための制御装置、29は各装置と制御装置30とを結ぶ信号線である。
基台20は、建築材料11の形状や大きさに合わせて形成されており、搬送ラインの一部をなし、後記するように機能性材料10が形成されると、例えば、ベルトコンベアなどの搬送手段(不図示)により、機能性材料10が次工程に向けて搬送される構成としている。
【0017】
溶解剤吐出装置21は、基台20に隣接して配設された装置本体21aと、装置本体21aに連結され、吐出ノズルヘッド23を案内する吐出ノズルヘッド案内棹22とを有し、装置全体が基台20に載置された建築材料11に対して、白抜矢印Y方向(建築材料11の長手方向)に移動可能に構成されている。
吐出ノズルヘッド案内棹22は、基台20を挟んで装置本体21aに対して対向配置された案内棹支持部24と、装置本体21aとにより支持されている。
吐出ノズルヘッド23は、吐出ノズルヘッド案内棹22に沿って、白抜矢印X方向(建築材料11の幅方向)に移動可能に構成されており、裏面には、溶解剤として酸性またはアルカリ性溶液35を吐出する複数の吐出ノズル23a(図3(b)参照)を有している。
吐出ノズルヘッド23には、本実施形態では、4つの吐出ノズル23aが白抜矢印X方向に沿って一列に配設されている。
【0018】
吐出ノズル23aから建築材料11の表面部11aに向けて吐出される酸性またはアルカリ性溶液35は、建築材料11の表面部11aの物性に応じて、適宜選択可能であるが、酸性またはアルカリ性溶液35の吐出により表面部11aが溶解されて、直径が20μm〜2mm程度の微細穴11bを形成し得る強酸または強アルカリ性溶液とすることが好ましく、例えば、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム等を水等の溶媒で希釈した溶液が挙げられる。
また、溶解剤としては、酸性またはアルカリ性溶液35に限らず、酸性またはアルカリ性の粉粒物等、建築材料11の表面部11aを溶解させて、直径が20μm〜2mm程度の微細穴11bを形成し得るものであればよい。
吐出ノズル23aから酸性またはアルカリ性溶液35を吐出する態様としては、後記する噴出ノズル27a同様、インクジェットのノズル駆動方式としている。これにより、後記するように、細かい制御を容易に行うことが可能となり、所望の微細穴11bを形成し易いものとなる。
尚、吐出ノズル23aの吐出口の口径については、後記する。
【0019】
乾燥装置31は、基台20に隣接して配設された装置本体32と、基台20を挟んで装置本体32に対して対向配置された支持部33と、装置本体32と支持部33とに支持架設された乾燥部34とを有し、装置全体が基台20に載置された建築材料11に対して、白抜矢印Y方向に移動可能に構成されている。
乾燥部34は、その裏面に、白抜矢印Y方向に沿って細長に形成され、下方に開口する温風吹出口34aを有している。
【0020】
インクジェット塗装噴射装置25は、基台20に隣接して配設された装置本体25aと、装置本体25aに連結され、ノズルヘッド27を案内するノズルヘッド案内棹26とを有し、装置全体が基台20に載置された建築材料11に対して、白抜矢印Y方向に移動可能に構成されている。
ノズルヘッド案内棹26は、基台20を挟んで装置本体25aに対して対向配置された案内棹支持部28と、装置本体25aとにより支持されている。
ノズルヘッド27は、ノズルヘッド案内棹26に沿って、白抜矢印X方向に移動可能に構成されており、裏面には、後記する機能剤含有溶液14aを噴出する複数の噴出ノズル27a(図1(a)参照)を有している。
ノズルヘッド27には、本実施形態では、図1(a)に示すように、4つの噴出ノズル27aが白抜矢印X方向に沿って一列に配設されており、すなわち、前記複数の吐出ノズル23aと同数かつ、それぞれの噴出ノズル27aの配設間隔も該複数の吐出ノズル23aと同様に構成されている。
【0021】
前記した吐出ノズル23aの吐出口の口径、及び、噴出ノズル27aの噴出口の口径は、形成する微細穴11bの直径に応じて適宜選択可能であるが、5μm〜500μm程度が好ましく、あるいは、酸性またはアルカリ性溶液35が吐出されて、及び後記する機能剤含有溶液14aが噴出されて、着弾した際のドット径が、それぞれ10μm〜1mm程度となるような口径とすることが好ましい。
尚、噴出ノズル27aから後記する機能剤含有溶液14aを噴出するためのインクジェットのノズル駆動方式は、特に限定されず、微細穴11bの径や建築材料11の表面層11aの物性、後記する機能剤含有溶液14aの物性等に応じて、適宜公知のものが選択可能であり、ドロップオンデマンドピエゾ方式、ドロップオンデマンドバルブ方式、コンティニュアス帯電偏向方式など任意のものが適用可能である。
【0022】
機能剤含有溶液14aは、例えば、樹脂、溶剤、硬化剤、添加剤等に、後記する機能剤を混合した溶液であり、公知のインクジェット用インク、例えば、メチルエチルケトンやエタノール、アセトンなどを溶剤とする速乾性インク、オイルベースの油性インク、紫外線を照射して硬化させるUV硬化インク、水性インクなどが適用可能であるが、含有する機能剤の性能を阻害しない構成とし、少なくとも耐候性、耐水性のあるものとすることが好ましい。
また、機能剤含有溶液14aは、前記したインクジェットのノズル駆動方式や建築材料11の表面部11aの物性、例えば、浸透性等に応じて、前記した各構成素材を適宜選択することが好ましく、微細穴11bに含浸せず乾燥固化した際に微細穴11bに固定化されるものとすることが好ましく、アクリル系、メタクリル系、ウレタン系、フッ素系等の樹脂が含有されたものとすることが好ましい。
【0023】
機能剤含有溶液14aに含有される機能剤は、防腐剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、撥水剤、親水剤、光触媒が挙げられ、これらのうちの1種が含有されたものとしてもよく、また2種以上が含有されたものとしてもよい。防腐剤としてはパラベン、ソルビン酸が挙げられる。抗菌剤及び消臭剤としては銀が挙げられる。防虫剤としてはパラジクロロベンゼン、ナフタリンが挙げられる。撥水剤としてはフッ素系フィラー、シリコーンが挙げられ、親水剤としてはシリカゾルが挙げられる。光触媒としては酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、三酸化タングステン、酸化第ニ鉄、三酸化ビスマス、酸化スズ等が挙げられる。
【0024】
このような機能剤は、その物性に応じて、前記した溶剤に溶解して液体となるものでもよく、溶剤に分散される粒子でもよい。また、その配合量は、機能剤によって異なるが、0.1重量%〜20重量%とすれば良い。
尚、粒子を溶剤に分散させる場合は、用いられる粒子としてその粒子径が数nm〜数μmのものが好ましく、沈殿等が生じないよう適宜、公知の分散媒を混合することが好ましい。
また、機能剤含有溶液14aの前記した各構成素材の混合比は、建築材料11の物性や施工箇所、樹脂や溶剤、機能剤の物性に応じて適宜選択可能である。
さらに、機能剤含有溶液14aに、更に染料、顔料等の着色剤を添加する構成としてもよい。これによれば、建築材料11の表面部11aに機能性を付与することができるとともに、着色も可能となる。特に、インクジェット塗装噴射装置25により、機能剤含有溶液14aを充填して表面処理がなされるので、例えば、微細穴11bを密に形成することで、複雑かつ細かい模様などを建築材料11の表面に印刷することができる。
また、機能剤含有溶液14aに着色剤を添加する場合においては、建築材料11の表面部11aの色に合わせた着色剤を添加しても良い。これによれば、微細穴11bに充填された機能剤含有溶液14aにより形成される機能剤含有部14bが目立ち難くなり、よって、機能性材料10の外観を損なわず、意匠性に優れたものとなる。
【0025】
次に、機能性材料10の形成工程について説明する。
まず、基台20の上に建築材料11を載置し(図3(a)参照)、溶解剤吐出装置21を駆動し、吐出ノズルヘッド23をX−Y移動させ、前記した酸性またはアルカリ性溶液35を、建築材料11の表面部11aの所望の部位、すなわち、微細穴11bを形成したい部位に向けて、吐出ノズル23aから吐出させる(図3(b)参照)。
建築材料11の表面部11aは、吐出された酸性またはアルカリ性溶液35により溶解されて、微細穴11bが形成される。
尚、この際、建築材料11の全面に、一定の間隔で微細穴11bを形成してもよいが、機能性材料10の施工箇所に応じて、機能性を付与したい所望の部位にのみ微細穴11bを形成する構成としてもよい。
また、この際、制御装置30のメモリ等に予め記憶されたプログラムに基づいて溶解剤吐出装置21を制御する構成としてもよく、あるいは、制御装置30を操作し所望の部位に複数の微細穴11bを形成し、その微細穴形成データをメモリ等に記憶する構成としてもよい。
【0026】
さらに、吐出ノズル23aから吐出する酸性またはアルカリ性溶液35の濃度及び液滴数は、前記したように、微細穴11bの直径が20μm〜2mm程度となるように、適宜設定することが好ましい。
さらにまた、微細穴11bとしては、その直径が例えば、20μm〜500μm程度とすることが好ましい。20μm以上とすることで、充填された機能剤の固定化がなされて、その性能を長期に発揮することができる。また、500μm以下とすることで、機能剤含有溶液14aが充填されなかった場合にも、建築材料11の表面に変化を与えず、見栄えを害するおそれもほぼない。
【0027】
また、酸性またはアルカリ性溶液35を吐出して、表面部11bを溶解させ、微細穴11bが形成された後、建築材料11の表面を水等で洗浄することが好ましい。あるいは、中和剤を吐出や散布して中和させ、更に洗浄を行う態様としてもよい。
このように、微細穴11b形成後に洗浄を行う場合は、洗浄後に、図3(c)に示すように、前記した乾燥装置31を駆動し、建築材料11の表面を乾燥させることが好ましい。
尚、中和剤としては、吐出した酸性またはアルカリ性溶液35に応じて適宜選択可能であり、例えば、酸性溶液を吐出して微細穴11bを形成した場合は、弱アルカリ性の重曹を散布する。あるいは、アルカリ性溶液を吐出して微細穴11bを形成した場合は、弱酸性の酢酸溶液を吐出する等が挙げられる。
【0028】
前記したように微細穴11bを建築材料11の表面部11aに形成した後は、インクジェット塗装噴射装置25を駆動し、各噴出ノズル27aが複数の微細穴11bの上方に位置するようにノズルヘッド27をX−Y移動させ、機能剤含有溶液14aを噴出して、複数の微細穴11bに機能剤含有溶液14aを充填する(図1(a)参照)。
このノズルヘッド27の移動制御は、制御装置30のメモリ等に予め記憶されたプログラムに基づいて制御する構成としてもよく、あるいは、前記のように微細穴11bの形成の際に制御装置30に記憶された微細穴形成データに基づいて、制御する構成としてもよい。さらには、距離センサーや光学センサー等により形成された微細穴11bを検知して、ノズルヘッド27を移動制御する構成としてもよい。
【0029】
前記したように微細穴11bに充填された機能剤含有溶液14aは、乾燥固化して図1(b)に示すように、建築材料11の表面部11aに機能剤含有部14bが形成されて、機能性材料10が形成される。
尚、噴出ノズル27aから噴出する機能剤含有溶液14aの液滴数は、微細穴11bの大きさや液滴の大きさに応じて、適宜設定することが好ましく、該液滴が乾燥固化して機能剤含有部14bが形成された際に、微細穴11bを略閉塞し、建築材料11の微細穴11bが形成されていない他の表面と平滑になるような量に設定することが好ましい。
【0030】
また、前記のように機能剤含有部14bを形成する際には、機能性材料10の施工箇所に応じた機能剤含有溶液14aを適用することが好ましく、例えば、キッチンや洗面化粧台などの水廻りに施工される場合は、抗菌剤や撥水剤が含有されたものとすることが好ましい。
さらに、複数の機能性を建築材料11の表面部11aに付与したい場合には、形成した複数の微細穴11bに、異なる性能を有した機能剤を含有した機能剤含有溶液14aを、交互に充填する構成としてもよい。
さらにまた、機能性を付与したい部位にのみ機能剤含有部14bを形成する構成としてもよく、例えば、玄関扉の外周縁近傍部位、キッチンキャビネットや柱の床面近傍の裾部のみ等に防虫剤が含有された機能剤含有部14bを形成する構成としてもよい。
特に、本実施形態では、機能剤含有溶液14aをインクジェット塗装噴射装置25により噴出する構成としているので、制御が容易であり、建築材料11の所望の部位に機能性を付与することができる。すなわち、機能性を付与したい部位に、微細穴11bを形成して、微細穴11bに機能剤含有溶液14aを充填することができるので、機能性を付与する必要がある箇所のみに限定して機能性を付与することができ、低コストなものとなる。
【0031】
以上のように本実施形態では、機能性材料10は、建築材料11の表面部11aに形成された微細穴11bに、インクジェット塗装噴射装置25により、機能剤含有溶液14aを充填して、表面処理されるので、機能剤を材料自体に混合したり、基材表面全面に機能剤を含有した塗料を塗装したり、化粧シートに機能剤を塗布や混合して基材に貼着したりした従来のものと比べて、容易に機能性が付与される。
また、機能性材料10は、形成された微細穴11bに、機能剤含有溶液14aをインクジェット塗装噴射装置25により充填して、表面処理されているので、機能剤が基材内部にも混合されたものやワイピング加工等により機能性が付与されたものに比し、機能剤含有溶液12aに無駄が生じず、低コストとなる。
【0032】
さらに、建築材料11の表面部11aに形成した微細穴11bに、機能剤含有溶液14aを充填する構成としているので、種々の機能剤が有するそれぞれの性能を、長期に亘って持続させることができる。
さらにまた、表面に塗装や化粧シートを貼着する必要がない建築材料の表面にも、前記したように表面処理を施すことで、機能性を付与することができる。
また、本実施形態では、溶解剤として酸性またはアルカリ性溶液35を用いているので、該溶液の濃度や吐出量を調整することで、微細穴11bの大きさを容易に調整することが可能となる。このため、その微細穴11bに充填される機能剤の量の調整も容易に行うことができる。
さらに、前記したように、溶解剤吐出装置21の各吐出ノズル23aと、インクジェット塗装噴射装置25の各噴出ノズル27aとを同数とし、それぞれの配設間隔も同幅となるような構成としているので、簡易な制御で、容易に形成された微細穴11bに向けて機能剤含有溶液14aを噴出させることができる。
【0033】
尚、本実施形態では、建築材料11として、木質系基材12に樹脂製化粧シート層13を貼着した化粧板11、すなわち、表面層が樹脂系のものを用いているが、前記したように、表面層が木質系のものとしてもよい。塗装や合成樹脂製の化粧シートを貼着することにより機能性を付与する従来のものでは、無垢の木材特有の質感や肌触り、香り等が損なわれるが、表面層を木質系とした建築材料に本発明を適用すれば、無垢の木材特有の質感等を損なうことなく、表面部11aに機能性を付与した機能性材料10となる。
【0034】
また、本実施形態では、溶解剤吐出装置21の吐出ノズルヘッド23及びインクジェット塗装噴射装置25のノズルヘッド27を建築材料11に対して、X−Y移動させる構成としているが、建築材料11をX−Y移動させる構成としてもよく、あるいは、建築材料11をY方向に移動可能に構成するとともに、吐出ノズルヘッド23及びノズルヘッド27を建築材料11に対してX方向に移動可能に構成してもよい。
さらに、吐出ノズルヘッド23の吐出ノズル23a、ノズルヘッド27の噴出ノズル27aの個数や形状等は、図例のものに限られず、各装置の構成、微細穴の形状や大きさ等に応じて適宜選択可能である。
さらにまた、本実施形態では、1つの基台20にて、微細穴11bの形成、乾燥、機能剤含有部14bの形成を行っているが、各工程を複数の基台に亘って、搬送して行う態様としてもよいことは言うまでもない。
【0035】
また、微細穴11bを形成した後、機能剤含有溶液14aを充填する前に、機能剤を微細穴11bに容易に固定化させるための接着層を形成する構成としてもよい。
さらに、前記機能剤含有部14bの機能性を阻害しない限りにおいて、表面部11aに機能剤含有部14bを形成後に、例えば、通気性のある化粧シートを、更に表面に貼着する構成としてもよい。
さらにまた、微細穴11bを比較的大きく形成し、乾燥固化した機能剤含有部14bが表面に突出している場合は、スクレーパーなどで表面を平滑処理する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る機能性材料の実施形態の一例を示し、(a)は、機能性材料の形成工程の一工程を示す概略断面図、(b)は、機能性材料の一例を示す概略断面図である。
【図2】同実施形態に係る機能性材料の形成工程を説明するための概略平面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は、同実施形態に係る機能性材料の形成工程の他の工程をそれぞれ示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 機能性材料
11 化粧板(建築材料)
11a 表面部(建築材料)
11b 微細穴
12 木質系基材(建築材料)
13 樹脂製化粧シート層(建築材料)
14a 機能剤含有溶液
21 溶解剤吐出装置
25 インクジェット塗装噴射装置
35 酸性またはアルカリ性溶液(溶解剤)
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成19年1月26日(2007.1.26)
【代理人】 【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行


【公開番号】 特開2008−179109(P2008−179109A)
【公開日】 平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願番号】 特願2007−15985(P2007−15985)