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【発明の名称】 木製容器の製造方法及び装置
【発明者】 【氏名】北島 繁人

【要約】 【課題】肉薄木片から成る木製シートにより木製容器を製造するための方法及び装置を提供する。

【解決手段】雄型(14)と雌型(15)の間で木製シート(6)の周縁領域(6p)を除く中央領域(6c)を加熱加圧することにより、底壁(2a)と周壁(3a)を備えるが該周壁(3a)の開口縁から上方に延びる未成形の周縁部(4a)を備えた容器中間製品(1a)を成形する第1成形工程と、次いで、両型の間で前記中間製品(1a)の全体を加熱加圧し、前記周壁(3)の外側で周縁部(4a)を下向き円弧状に変形することにより廻り縁(4)を成形し、底壁(2)と周壁(3)と廻り縁(4)を備えた木製容器(1)を成形する第2成形工程とから成る構成である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形装置(13)の開閉駆動される雄型(14)と雌型(15)の間で木製シート(6)を加圧加熱することにより、底壁(2)と周壁(3)を備えた上部開口状のトレーであって周壁(3)の開口縁から外側で下向きに延びる断面円弧状の廻り縁(4)を備えた木製容器(1)を製造する方法において、
雄型(14)と雌型(15)を閉じることにより、両型の間で前記木製シート(6)の周縁領域(6p)を除く中央領域(6c)を加熱加圧することにより、底壁(2a)と周壁(3a)を備えるが該周壁(3a)の開口縁から上方に延びる未成形の周縁部(4a)を備えた容器中間製品(1a)を成形する第1成形工程と、
次いで、雄型(14)と雌型(15)を更に閉じることにより、両型の間で前記中間製品(1a)の全体を加熱加圧し、前記周壁(3)の外側で周縁部(4a)を下向き円弧状に変形することにより廻り縁(4)を成形し、底壁(2)と周壁(3)と廻り縁(4)を備えた木製容器(1)を成形する第2成形工程と、
から成ることを特徴とする木製容器の製造方法。
【請求項2】
第2成形工程において廻り縁(4)を成形する間、雄型(14)と雌型(15)の間で中間製品(1a)の底壁(2a)と周壁(3a)を強く締着し、木質を固く絞めつけることにより底壁(2a)と周壁(3a)の歪みを矯正することを特徴とする請求項1に記載の木製容器の製造方法。
【請求項3】
成形装置(13)の開閉駆動される雄型(14)と雌型(15)の間で木製シート(6)を加圧加熱することにより、底壁(2)と周壁(3)を備えた上部開口状のトレーであって周壁(3)の開口縁から外側で下向きに延びる断面円弧状の廻り縁(4)を備えた木製容器(1)を製造する方法において、
雄型(14)と雌型(15)を完全に閉じた型締めに至らない状態まで閉じることにより、閉じられた雄型(14)の凸部(20)と雌型(15)の凹部(16)の間で前記木製シート(6)の周縁領域(6p)を除く中央領域(6c)を加熱加圧することにより、底壁(2a)と周壁(3a)を備えるが該周壁(3a)の開口縁から上方に延びる未成形の周縁部(4a)を備えた容器中間製品(1a)を成形する第1成形工程と、
次いで、雄型(14)と雌型(15)を型締め状態まで閉じることにより、雄型(14)の凸部(20)と雌型(15)の凹部(16)の間で前記中間製品(1a)の底壁(2a)と周壁(3a)を再び強く締着することにより木質を固く絞めつけられた底壁(2)と周壁(3)を成形すると共に、閉じられた雄型(14)の凹曲部(23)と雌型(15)の突隆部(17)の間で前記中間製品(1a)の周縁部(4a)を前記周壁(3)の外側で下向き円弧状に変形することにより廻り縁(4)を成形し、底壁(2)と周壁(3)と廻り縁(4)を備えた木製容器(1)を成形する第2成形工程と、
から成ることを特徴とする木製容器の製造方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の木製容器の製造方法における成形装置であり、
前記雌型(15)は、容器(1)の底壁(2)及び周壁(3)の外側表面に対応する形状に形成された凹部(16)と、容器(1)の廻り縁(4)の下側表面に対応する形状に形成されると共に前記凹部(16)の開口縁から断面円弧状で外向きに延びる突隆部(17)を備え、
前記雄型(14)は、雄型本体(18)と、該雄型本体(18)から前記雌型(15)に向けて進退移動可能な移動型(19)とから構成され、
前記移動型(19)は、前記雄型本体(18)から突出するように弾発手段(22)により付勢されると共に前記底壁(2)及び周壁(3)の内側表面に対応する形状の凸部(20)を備え、
前記雄型本体(18)は、前記廻り縁(4)の上側表面に対応する形状の凹曲部(23)を設け、前記移動型(19)が完全に後退したとき該凹曲部(23)を前記凸部(20)の周縁と合致するように構成されており、
雄型(14)と雌型(15)を型締めに至らない状態まで閉じ、雄型(14)の凹曲部(23)と雌型(15)の突隆部(17)を離間した状態で、移動型(19)を弾発手段(22)に抗して後退させ、該移動型(19)の凸部(20)と雌型(15)の凹部(16)の間で前記木製シート(6)の周縁領域(6p)を除く中央領域(6c)を加熱加圧することにより前記第1成形工程を実施し、
雄型(14)と雌型(15)を型締め状態まで閉じ、雄型(14)の完全後退した移動型(19)の凹曲部(23)と雌型(15)の突隆部(17)の間で前記木製シート(6)の周縁領域(6p)を加熱加圧することにより前記第2成形工程を実施するように構成して成ることを特徴とする木製容器の製造装置。
【請求項5】
雌型(15)から凹部(16)に向けて進退自在かつ進出方向に付勢された支持手段(24)を設け、進出状態とされた支持手段(24)の先端を突隆部(17)の高さ位置に臨ませており、
木製シート(6)を突隆部(17)に載せたとき、該木製シート(6)の中央領域(6c)の下面を前記支持手段(24)の先端で支持し、雄型(14)と雌型(15)を閉じることにより前記木製シート(6)を凹部(16)に押し込んだとき、該木製シート(6)の下面を支持した状態で前記支持手段(24)を凹部(16)から後退させるように構成して成ることを特徴とする請求項4に記載の木製容器の製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、肉薄木片から成る木製シートにより木製容器を製造するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、生鮮食品等を包装して販売するための容器は、発泡プラスチックシートを成形したトレー状の容器が一般的である。通常は白色であるが、高級感を出すために木目模様を印刷したフィルムを表面にラミネートした容器も提供されている。
【0003】
この点に関し、プラスチック製の容器は廃棄物処理の問題があるので、出来るだけ焼却可能な木製容器を普及させることが望ましい。しかも、木製容器は、吸湿性等に優れているので、生鮮食品の包装容器に頗る適している。このため、既に木製容器が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3397750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の木製容器は、1枚の肉薄木片とされた単板を上下金型により加熱加圧成形することにより、底壁と周壁を備えた木製容器を成形する方法を提案している。
【0005】
ところで、生鮮食品等を包装するための容器は、底壁と周壁を備えるだけでなく、周壁の開口縁から下向きに延びる断面円弧状の廻り縁を設けている。食品等を包装した状態で容器の周囲をフィルムでラッピングするというニーズに応えるためである。
【0006】
ところが、このような容器を木製シートにより成形する際に、木製シートを上下金型で加圧加熱することにより、底壁と周壁のみならず廻り縁を同時成形する場合は、木製シートが底壁の方向と廻り縁の方向との相反する両方向に引っ張られながら変形するため、成形割れを発生する確率が高くなるという問題がある。
【0007】
また、木製シートを上下金型で加圧加熱することにより成形した容器は、底壁と周壁に捩れ等の歪みを生じ得るという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記問題を解決し、木製シートを雄型と雌型の間で加圧加熱することにより、底壁と周壁を備えた上部開口状のトレーであって、前記周壁の開口縁から下向きに延びる断面円弧状の廻り縁を備えた木製容器を製造する方法及び装置を提供することを目的とする。
【0009】
そこで、本発明方法が第1の手段として構成したところは、成形装置(13)の開閉駆動される雄型(14)と雌型(15)の間で木製シート(6)を加圧加熱することにより、底壁(2)と周壁(3)を備えた上部開口状のトレーであって周壁(3)の開口縁から外側で下向きに延びる断面円弧状の廻り縁(4)を備えた木製容器(1)を製造する方法において、雄型(14)と雌型(15)を閉じることにより、両型の間で前記木製シート(6)の周縁領域(6p)を除く中央領域(6c)を加熱加圧することにより、底壁(2a)と周壁(3a)を備えるが該周壁(3a)の開口縁から上方に延びる未成形の周縁部(4a)を備えた容器中間製品(1a)を成形する第1成形工程と、次いで、雄型(14)と雌型(15)を更に閉じることにより、両型の間で前記中間製品(1a)の全体を加熱加圧し、前記周壁(3)の外側で周縁部(4a)を下向き円弧状に変形することにより廻り縁(4)を成形し、底壁(2)と周壁(3)と廻り縁(4)を備えた木製容器(1)を成形する第2成形工程と、から成る点にある。
【0010】
前記第2成形工程において廻り縁(4)を成形する間、雄型(14)と雌型(15)の間で中間製品(1a)の底壁(2a)と周壁(3a)を強く締着し、木質を固く絞めつけることにより、底壁(2a)と周壁(3a)の歪みが矯正される。
【0011】
更に、本発明方法が第2の手段として構成したところは、成形装置(13)の開閉駆動される雄型(14)と雌型(15)の間で木製シート(6)を加圧加熱することにより、底壁(2)と周壁(3)を備えた上部開口状のトレーであって周壁(3)の開口縁から外側で下向きに延びる断面円弧状の廻り縁(4)を備えた木製容器(1)を製造する方法において、雄型(14)と雌型(15)を完全に閉じた型締めに至らない状態まで閉じることにより、閉じられた雄型(14)の凸部(20)と雌型(15)の凹部(16)の間で前記木製シート(6)の周縁領域(6p)を除く中央領域(6c)を加熱加圧することにより、底壁(2a)と周壁(3a)を備えるが該周壁(3a)の開口縁から上方に延びる未成形の周縁部(4a)を備えた容器中間製品(1a)を成形する第1成形工程と、次いで、雄型(14)と雌型(15)を型締め状態まで閉じることにより、雄型(14)の凸部(20)と雌型(15)の凹部(16)の間で前記中間製品(1a)の底壁(2a)と周壁(3a)を再び強く締着することにより木質を固く絞めつけられた底壁(2)と周壁(3)を成形すると共に、閉じられた雄型(14)の凹曲部(23)と雌型(15)の突隆部(17)の間で前記中間製品(1a)の周縁部(4a)を前記周壁(3)の外側で下向き円弧状に変形することにより廻り縁(4)を成形し、底壁(2)と周壁(3)と廻り縁(4)を備えた木製容器(1)を成形する第2成形工程と、から成る点にある。
【0012】
また、本発明装置が手段として構成したところは、上述のような木製容器の製造方法を実施するための成形装置であり、前記雌型(15)は、容器(1)の底壁(2)及び周壁(3)の外側表面に対応する形状に形成された凹部(16)と、容器(1)の廻り縁(4)の下側表面に対応する形状に形成されると共に前記凹部(16)の開口縁から断面円弧状で外向きに延びる突隆部(17)を備え、前記雄型(14)は、雄型本体(18)と、該雄型本体(18)から前記雌型(15)に向けて進退移動可能な移動型(19)とから構成され、前記移動型(19)は、前記雄型本体(18)から突出するように弾発手段(22)により付勢されると共に前記底壁(2)及び周壁(3)の内側表面に対応する形状の凸部(20)を備え、前記雄型本体(18)は、前記廻り縁(4)の上側表面に対応する形状の凹曲部(23)を設け、前記移動型(19)が完全に後退したとき該凹曲部(23)を前記凸部(20)の周縁と合致するように構成されており、雄型(14)と雌型(15)を型締めに至らない状態まで閉じ、雄型(14)の凹曲部(23)と雌型(15)の突隆部(17)を離間した状態で、移動型(19)を弾発手段(22)に抗して後退させ、該移動型(19)の凸部(20)と雌型(15)の凹部(16)の間で前記木製シート(6)の周縁領域(6p)を除く中央領域(6c)を加熱加圧することにより前記第1成形工程を実施し、雄型(14)と雌型(15)を型締め状態まで閉じ、雄型(14)の完全後退した移動型(19)の凹曲部(23)と雌型(15)の突隆部(17)の間で前記木製シート(6)の周縁領域(6p)を加熱加圧することにより前記第2成形工程を実施するように構成して成る点にある。
【0013】
この際、雌型(15)から凹部(16)に向けて進退自在かつ進出方向に付勢された支持手段(24)を設け、進出状態とされた支持手段(24)の先端を突隆部(17)の高さ位置に臨ませており、木製シート(6)を突隆部(17)に載せたとき、該木製シート(6)の中央領域(6c)の下面を前記支持手段(24)の先端で支持し、雄型(14)と雌型(15)を閉じることにより前記木製シート(6)を凹部(16)に押し込んだとき、該木製シート(6)の下面を支持した状態で前記支持手段(24)を凹部(16)から後退させるように構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、周壁3の開口縁から外側で下向きに延びる断面円弧状の廻り縁4を備えた木製容器1を好適に製造できる方法が提供される。このように容器に廻り縁4を形成することは、食品等を包装した状態で容器の周囲をフィルムでラッピングする必要性から根強いニーズがあるが、本発明のような木製シート6から容器を成形する際に、木製シート6を上下金型により底壁2と周壁3のみならず廻り縁4を同時に加圧成形する場合は、木製シート6が底壁2の方向と廻り縁4の方向との相反する両方向に引っ張られながら変形するため、成形割れを発生する確率が高くなる。
【0015】
この点に関して、本発明は、第1成形工程と第2成形工程による2段階の成形工程を構成している。先ず、第1成形工程で、木製シート6により底壁a2と周壁3aを成形するが、周壁3aの開口縁には未成形の周縁部4aを備えた容器中間製品1aを成形する。次いで、第2成形工程により、容器中間製品1aを再び加圧成形することにより、前記周縁部4aを断面円弧状となるように成形し、廻り縁4を備えた容器完成品1を得る。
【0016】
従って、廻り縁4を備えた木製容器1を成形するに際して、成形割れが発生する確率は極めて低く、歩留りも極めて良い。
【0017】
しかも、本発明によれば、第2成形工程は、単に廻り縁4を成形するだけでなく、同時に容器中間製品1aの底壁2a及び周壁3aを再び挟着する。これにより、第1成形工程で成形された底壁2a及び周壁3aを再び強く締着するので、木質が固く絞め付けられ、強度を向上する。また、万一、第1成形工程で成形した容器中間製品1aが底壁2a又は周壁3aに捩れ等の歪みを生じている場合でも、第2成形工程で歪みが矯正されるので、歪みのない高強度の木製容器1を提供できる。
【0018】
そして、本発明によれば、1つの成形装置により、上述のような第1成形工程と第2成形工程を好適に実施できる装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
【0020】
<木製容器の実施形態>
図1において、木製容器1は、底壁2と周壁3を備えた上部開口状の浅底又は深底のトレーとして例示されており、周壁3の開口縁から外側で下向きに延びる断面円弧状の廻り縁4を備えている。尚、底壁2の中央部には、僅かに浮き上がる膨隆部5を備え、生鮮食品等の水分を膨隆部5の周囲に滞留させるように考慮されている。
【0021】
木製容器1の素材は、肉薄木片により形成された多数の木製シートから選択した損傷部を有する不良シート6aと損傷部を有しない良質シート6bの2枚を1組として、上下に重ね合わせた不良シート6aと良質シート6bとから成る木製シート6により構成されており、該木製シート6を上下金型により加圧成形することにより、1組の不良シート6aと良質シート6bを一体に接着されると共に、前述のような形態の木製容器として成形されている。従って、木製容器1は、全体が木製とされているので焼却可能であり、廃棄処分が容易である。しかも、吸湿性等に優れているので、生鮮食品の包装容器に頗る適している。
【0022】
この際、図1(B)(C)に示すように、木製容器1は、内側壁を前記良質シート6bにより形成され、外側壁を前記不良シート6aにより形成されている。従って、不良シート6aは、図1(C)に例示するように、節やひび割れ等の損傷部7を含んでいるが、外側壁に位置しているので容器の機能に支障を生じることはない。そして、容器の内側壁を良質シート6bにより形成しているので、容器に包装した生鮮食品等の水分が外部に漏れるようなことはない。
【0023】
図1(C)に示すように、木製シート6を構成する不良シート6a及び良質シート6bのそれぞれは、外側の表面を平滑面に形成されているが、接合面を粗面8に形成されており、該粗面8に木質中のリグニンを浸出させることにより形成された接着膜9を形成し、該接着膜9により接着一体化されている。
【0024】
<木製シートの実施形態>
(スライス工程)
図2(A)に示すように、良質の木材10bを肉薄木片となるようにスライスすることにより、多数の良質シート6bを形成する。この際、良質シート6bは、表面を平滑面に形成される反面、裏面を毛羽立ち状の粗面に形成される。尚、良質シート6bの表面に木目が美麗に表れるように木材10bのスライス方向が設定されている。
本発明において、例えば節やひび割れ等の損傷部7を含む不良の木材10aは、廃棄せずに有効利用される。即ち、図2(B)に示すように、不良の木材10aを肉薄木片となるようにスライスすることにより、多数の不良シート6aを形成する。この際、不良シート6aは、表面を平滑面に形成される反面、裏面を毛羽立ち状の粗面に形成される。尚、不良シート6aの表面に木目が美麗に表れるように木材10aのスライス方向が設定されている。
【0025】
(伸展工程)
スライス切断により得られたシート6a、6bは、スライス装置に起因して弓形に歪んでいるときは、図2(C)に示すように、伸展装置11により、一対の押圧ローラ(図示せず)で歪みを矯正する。
【0026】
(乾燥工程)
次いで、シート6a、6bは、図2(D)に示すように、乾燥装置12により、木質中の水分を減少させられる。上述のように、天然目の含水率を100%としたとき、シート6a、6bの木質中に残存する水分の含水率が約10〜約20%、好ましくは約15%となるように乾燥される。尚、乾燥を短時間で行うためには、乾燥装置12に加熱手段を設けるのが好ましく、シート6a、6bを走行させるジグザグ状の経路を所定の長さに設定し、加熱手段の加熱力とシートの走行時間を決定することにより、前述のような限定された含水率となるように乾燥することが可能である。
【0027】
<製造方法と製造装置の実施形態>
(第1成形工程)
前述の工程を経た多数のシートは、不良シート6aと良質シート6bの2枚を1組として選択され、相互に粗面を接合させるように上下に重ね合わせることにより木製シート6を構成した状態で、図3に示すような成形装置13により加熱加圧成形され、容器中間製品を製造する。尚、前述の乾燥工程を省略する場合、或いは、乾燥工程を行う場合でも必要に応じて、木製シート6を構成する不良シート6aと良質シート6bの粗面とされた接合面の少なくとも一方に、澱粉を主剤とする粉粒体を散布することができる。粉粒体は、例えば小麦粉を使用すれば良く、その散布量は少量で足りる。
【0028】
成形装置13により成形される容器中間製品1aは、図4に示すように、底壁2aと周壁3aを備えるが、周壁3aの開口縁から外側に延びる未成形の周縁部4aを備えたものとされ、好ましくは、底壁2aの中央部に僅かに浮き上がる膨隆部5aを備える。
【0029】
図3に示すように、成形装置13は、上型として示す雄金型14と、下型として示す雌型15とから構成され、両型14、15を開閉する駆動装置(図示省略)を備えている。雌型15は、前述した容器中間製品1aの膨隆部5aを含む底壁2aと周壁3aの外側の形状に沿う凹部16を有すると共に、該凹部16の開口縁から外側に連なる断面円弧状の突隆部17を形成している。これに対して、雄型14は、雄型本体18から雌型15に向けて進退自在に設けられた移動型19を有しており、該移動型19の表面に、前述した容器中間製品1aの膨隆部5aを含む底壁2aと周壁3aの内側の形状に沿う凸部20を有している。移動型19は、案内手段21により雄型本体18に進退移動自在に案内され、バネ22aを備えた弾発手段22により常時は雄型本体18から突出するように構成されている。移動型19は、凸部20により容器中間製品1aの周壁3aを開口縁の近傍部まで同時に成形するように構成されている。これに対して、雄型本体18は、移動型19の凸部20に連なる凹曲部23を形成している。
【0030】
また、雌型15は、凹部16に向けて支持手段24を設けており、該支持手段24は、先端を前記突隆部17の高さ位置に臨ませる進退自在なロッド24aと、該ロッド24aを常時凹部16に進出するように付勢するバネ24bにより構成されている。
【0031】
更に、雌型15は、突隆部17の外周側に調節板25を着脱自在に設けており、該調節板25の周囲に位置して位置決め手段26を設けている。位置決め手段26は、図4に示すように突隆部17の外周に臨む位置と、図示鎖線で示す型外の位置との間を往復移動するように構成されている。
【0032】
尚、雄型本体18と雌型15の型面の間に排気手段27が設けられている。この排気手段27は、図例のように型面の間に設ける他、少なくとも一方の型面に連通するように形成した溝又は孔により構成しても良い。
【0033】
ところで、図3に示すように、木製シート6は、成形装置13の上下金型に介装するに際し、良質シート6bを雄型14に対面させ、不良シート6aを雌型15に対面させた状態でセットされる。尚、2枚1組のシート6a、6bは、相互に木目を交差させた状態で重ね合わせるのが好ましい。そこで、木製シート6を雌型15の突隆部17に載せると、該木製シート6の周縁が位置決め手段26により拘束されるので、金型に対する適切な位置決めが行われる。この際、木製シート6の中央領域6cは、下方から支持手段24により支持されているので、薄い木製シート6が下向きに撓むことはない。この状態で、位置決め手段26を型外に退避させながら、図4に示すように、両金型14、15を閉じることにより、木製シート6が加熱加圧され、上述のような容器中間製品1aが成形される。
【0034】
雄型14と雌型15を閉じると、弾発手段22により突出された移動型19の凸部20が木製シート6を雌型15の凹部16に向けて押し込み変形させながら成形を行う。両金型が閉じるに従い、移動型19は、弾発手段22のスプリング22aに抗して案内手段21により後退させられる。そして、凸部20により押圧される木製シート6は、支持手段24のロッド24aをバネ24bに抗して後退させることにより、該シート6の下面をロッド24aの先端で支持されながら、凹部16に押し込まれる。
【0035】
そこで、雄型14と雌型15は、完全に閉じた型締め状態ではなく、図4に示すようにやや開いた状態で第1成形工程を実施し、付勢手段22のバネ22aの力により、木製シート6の周縁領域6pを除く中央領域6cを加熱加圧することにより、容器中間製品1aの底壁2aと周壁3aを成形する。即ち、このとき、雄型14の凹曲部23と雌型15の突隆部17は相互に離間しており、従って、周縁部4aは未成形のままとされる。このように、第1成形工程は、底壁2aと周壁3だけを成形するので、木製シート6に大きな応力を生じさせることがなく、歪みや割れを発生しない。
【0036】
第1成形工程は、数秒間、例えば2〜3秒ほど実施され、この間、容器中間製品1aは、加熱加圧されるので、木製シート6の木質中のリグニンと水分が蒸気となって接合面に浸出され、接合面を一体化するように相互に接着する。また、上述のように接合面に澱粉の粉粒体を散布している場合は、蒸気により糊状となり、接合面に均一に行き渡り接着する。尚、このとき発生する蒸気は、排気手段27を介して金型外に排出される。
【0037】
(第2成形工程)
次いで、成形装置13は、図5に示すように、雄型14と雌型15が型締め状態となるまで閉じられ、容器中間製品1aを再び加圧成形する第2成形工程を実施し、これにより完成品としての木製容器1を製造する。
【0038】
この状態で、雌型15の突隆部17と雄型14の凹曲部23が相互に衝合されるので、第1成形工程で未成形のままとされていた周縁部4aを下向き円弧状に変形し、これにより廻り縁4が成形される。
【0039】
この第2成形工程は、単に廻り縁4を成形するだけでなく、同時に容器中間製品1aを再び挟着し、第1成形工程で成形された底壁2a及び周壁3aを再び強く締着する。従って、木質が固く絞め付けられ、強度を向上する。また、万一、第1成形工程で成形した容器中間製品1aが底壁2a又は周壁3aに捩れ等の歪みを生じている場合でも、第2成形工程で歪みが矯正される。
【0040】
第2成形工程において、容器中間製品1aの周縁部4aを容器完成品1の廻り縁4となるように成形する際、木質その他に起因して、周縁部4aに割れを生じる場合がある。このような割れは、廻り縁4の隆起が顕著になるほど(換言すれば隆起円弧の曲率半径が小さくなるほど)発生し易い。このため、成形装置13の雌型15は、突隆部17の外周側の隣接位置に調節板25を設けている。調節板25は、図6(A)に示すような比較的薄い肉厚T1(例えば厚さ2mm)の調節板25aと、図6(B)に示すような比較的厚い肉厚T2(例えば厚さ3mm)の調節板25bのように、肉厚の異なるものを複数種類準備するのが好ましい。尚、何れの調節板25も突隆部17の外側を囲む枠板状に形成され、雌型15の型面に着脱自在に載置される。
【0041】
従って、調節板25を取外した状態で第2成形工程を実施するとき、容器中間製品1aの周縁部4aから成形される廻り縁4は、その高さHが最も高く成形される。そこで、もしもその場合に廻り縁4が割れるようであれば、図6(A)に示す肉厚T1の薄い調節板25aを取付け、その状態で第2成形工程を実施する。これにより、周縁部4aから成形される廻り縁4は、調節板を設けない場合よりも低い高さH1となるように成形されるので、割れの問題が解消される。ところで、薄い調節板25aを設けても廻り縁4が割れるようであれば、薄い調節板25aに代えて、図6(B)に示すような肉厚T2(即ちT2>T1)とされた厚い調節板25bを取付け、その状態で第2成形工程を実施する。この場合、周縁部4aから成形される廻り縁4は、更に低い高さH2(即ちH2<H1)となるように成形されるので、割れの問題が解消される。
【0042】
尚、肉厚を異ならせた複数種類の調節板25a、25bは、前述のように選択した1枚を雌型15の型面に取付けても良いが、同種類の調節板又は異種類の調節板を複数枚重ねた状態で使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の1実施形態としての木製容器を示し(A)は容器の斜視図、(B)は縦断面図、(C)は木製シートの一部分の拡大断面図である。
【図2】本発明の製造方法における成形前の工程を示しており、(A)は良質シートのスライス工程を示す説明図、(B)は不良シートのスライス工程を示す説明図、(C)は伸展工程を示す説明図、(D)は乾燥工程を示す説明図である。
【図3】成形装置の1実施形態を示す断面図である。
【図4】成形装置により容器中間製品を成形する第1成形工程を示す断面図である。
【図5】成形装置により完成品としての木製容器を成形する第2成形工程を示す断面図である。
【図6】調節板を使用した成形方法を示しており、(A)は薄い調節板の使用例を示す拡大断面図、(B)は厚い調節板の使用例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 木製容器
2 底壁
3 周壁
4 廻り縁
1a 容器中間製品
2a 容器中間製品の底壁
3a 容器中間製品の周壁
4a 容器中間製品の廻り縁
6 木製シート
6a 不良シート
6b 良質シート
7 損傷部
8 粗面
9 接着膜
13 成形装置
14 雄型
15 雌型
16 凹部
17 突隆部
18 雄型本体
19 移動型
20 凸部
22 弾発手段
23 凹曲部
24 支持手段
25 調節板
【出願人】 【識別番号】506293258
【氏名又は名称】株式会社森林資源利用促進研究所
【出願日】 平成20年1月23日(2008.1.23)
【代理人】 【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二


【公開番号】 特開2008−168637(P2008−168637A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2008−12619(P2008−12619)