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圧縮木製品 - 特開2008−168458 | j-tokkyo
トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 圧縮木製品
【発明者】 【氏名】鈴木 達哉

【氏名】中島 優子

【要約】 【課題】製品の一部に光に対しレンズ作用を有する部分を設ける場合であっても、部品点数および作業工数が少なくて済み、製造が容易な圧縮木製品を提供する。

【解決手段】所定の3次元形状に圧縮成形された木材の一部から成り、光に対しレンズ作用を有する光学要素部を備える。光学要素部の肉厚は、木材の他の部分の肉厚よりも薄い。また、光学要素部の一方の表面は、周囲の表面と滑らかに連なって一つの平面または曲面をなしていればより好ましい。光学要素部は、肉厚方向の圧縮率が0.75以上、より好ましくは0.80以上となるように圧縮することによって形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の3次元形状に圧縮成形された木材を用いて形成される圧縮木製品であって、
前記木材の一部から成り、光に対しレンズ作用を有する光学要素部を備えたことを特徴とする圧縮木製品。
【請求項2】
前記光学要素部の肉厚は、前記木材の他の部分の肉厚よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の圧縮木製品。
【請求項3】
前記光学要素部の一方の表面は、周囲の表面と滑らかに連なって一つの平面または曲面をなすことを特徴とする請求項1または2記載の圧縮木製品。
【請求項4】
前記光学要素部は、肉厚方向の圧縮率が0.75以上となるように圧縮することによって形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の圧縮木製品。
【請求項5】
前記光学要素部は、肉厚方向の圧縮率が0.80以上となるように圧縮することによって形成されたことを特徴とする請求項4記載の圧縮木製品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の3次元形状に圧縮成形された木材を用いて形成される圧縮木製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然素材である木材が注目されている。木材はさまざまな木目を有するため、原木から形取る箇所に応じて個体差が生じ、その個体差が製品ごとの個性となる。また、長期の使用によって生じる傷や色合いの変化自体も、独特の風合いとなって使用者に親しみを生じさせることがある。これらの理由により、合成樹脂や軽金属を用いた製品にはない、個性的で味わい深い製品を生み出すことのできる素材として木材が注目されており、その加工技術も飛躍的に進歩しつつある。
【0003】
従来、かかる木材の加工技術として、吸水軟化した1枚の木材を圧縮し、その木材を圧縮方向と略平行にスライスして板状の一次固定品を得た後、この一次固定品を加熱吸水させながら所定の3次元形状に成形する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、軟化処理した状態で圧縮した1枚の木材を仮固定し、この木材を型に入れて回復させることによって型成形する技術も知られている(例えば、特許文献2を参照)。これらの技術では、木材の個体差や種類、加工後の木材の強度やその用途などを含むさまざまな点を考慮して、木材の肉厚や圧縮率が決められる。
【0004】
【特許文献1】特許第3078462号公報
【特許文献2】特開平11−77619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の如く形成された木材の一部に光に対しレンズ作用を有する部分を設ける場合、該当する部分を切削して開口部を形成し、この形成した開口部にレンズ等の別部材を取り付けるのが一般的である。このような別部材を取り付ける際には、木材が傷ついたり、接着剤が表面に出たりして、木材を含む製品全体の美観を損ってしまうことがないように取り付けを行わなければならなかった。このため、部品点数が多い上に作業工数も多く、手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、製品の一部に光に対しレンズ作用を有する部分を設ける場合であっても、部品点数および作業工数が少なくて済み、製造が容易な圧縮木製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、所定の3次元形状に圧縮成形された木材を用いて形成される圧縮木製品であって、前記木材の一部から成り、光に対しレンズ作用を有する光学要素部を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、上記発明において、前記光学要素は、当該圧縮木製品の他の部分よりも肉厚が小さいとしてもよい。
【0009】
また、上記発明において、前記光学要素部の一方の表面は、周囲の表面と滑らかに連なって一つの平面または曲面をなすとしてもよい。
【0010】
また、上記発明において、前記光学要素部は、肉厚方向の圧縮率が0.75以上となるように圧縮することによって形成されたこととしてもよい。
【0011】
また、上記発明において、前記光学要素部は、肉厚方向の圧縮率が0.80以上となるように圧縮することによって形成されたこととしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る圧縮木製品によれば、所定の3次元形状に圧縮成形された木材の一部から成り、光に対しレンズ作用を有する光学要素部を備えたことにより、製品の一部に光に対しレンズ作用を有する部分を設ける場合であっても、その部分に別部材を用いる必要がなくなる。したがって、部品点数および作業工数が少なくて済み、製造が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以後、「実施の形態」と称する)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面はあくまでも模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の一適用例を示す図であり、具体的には、本実施の形態1に係る圧縮木製品から形成されるカバー部材によって外装されたデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。同図に示すデジタルカメラ100は、撮像レンズを含む撮像部101、フラッシュ102、およびシャッターボタン103を備え、二つのカバー部材1および2によって外装されて成る。このデジタルカメラ100の内部には、撮像処理等に関する駆動制御を行う制御回路、CCDやCMOS等の固体撮像素子、音声の入出力を行うマイクロフォンやスピーカ、制御回路の制御のもと各機能部材を駆動する駆動回路等が設けられている。
【0015】
図2は、デジタルカメラ100の前面側(撮影時の被写体側)を外装するカバー部材1の概略構成を示す斜視図である。また、図3は図2のA−A線断面図である。これらの図に示す圧縮木製品としてのカバー部材1は、略長方形の表面をなす平板状の主板部1aと、主板部1aの長手方向に沿うとともに主板部1aに対して所定の角度をなして延出する二つの側板部1bと、主板部1aの短手方向に沿うとともに主板部1aに対して所定の角度をなして延出する二つの側板部1cとを備え、全体として略椀状をなす。
【0016】
主板部1aには、他の部分よりも肉厚が小さく、光に対しレンズ作用を有する光学要素部11、撮像部101を表出する円筒形状の開口部12、およびフラッシュ102を表出する直方体形状の開口部13が形成されている。また、側板部1bには、半円筒形状の切り欠き14が設けられている。なお、ここでいう「光に対しレンズ作用を有する」とは、光を屈折させることによって光の拡散や収束などを実現する性質を有することを意味している。
【0017】
光学要素部11は、内側面(図3で上方に位置する側面)が凸の球面または非球面の表面形状をなす一方、外側面が主板部1aの外側面と段差なく滑らかに連なっている。この意味で、光学要素部11は、周囲の表面と滑らかに連なって一つの曲面(カバー部材1の外側面)をなしている。また、光学要素部11の内側面と主板部1aの内側面との間には、円錐台の側面形状をなす斜面15が介在している。斜面15は、主板部1aの肉厚方向と垂直な断面が円形をなしており、その円形断面の径は、主板部1aの内側面から光学要素部11に近づくにしたがって徐々に小さくなっていく。光学要素部11は、木材としての性質が失われる程度まで圧縮されており、カバー部材1の他の部分とは異なり、光を透過する性質を有している。さらに、光学要素部11は、その一方の表面(本実施の形態1では内側面)が凸の球面または非球面の形状をなすため、光に対し凸レンズと同様の作用を示す。
【0018】
光学要素部11の内側には、セルフタイマー用のLED(Light Emitting Diode;図示せず)が配置されており、そのLEDの点滅が、光学要素部11を介してデジタルカメラ100の外部に透過されるようになっている。
【0019】
デジタルカメラ100の背面側(撮影時の撮影者側)を外装するカバー部材2は、カバー部材1と略同形をなす。このカバー部材2にも、デジタルカメラ100の内部から必要な部材を表出させるための開口部や切り欠きが適宜形成される。例えば、デジタルカメラ100を組み立てたときにカバー部材1の切り欠き14と対向する位置には、切り欠き14と同じ半円筒形状の切り欠きが設けられており、この切り欠きがカバー部材1の切り欠き14と組み合わさってシャッターボタン103を表出する開口部を形成する。
【0020】
なお、カバー部材1または2には、上述した開口部や切り欠き以外にも、ファインダ取付用の開口部や、操作指示信号の入力を受け付ける入力キー表出用の開口部を設けてもよいし、外部機器との接続用インタフェース(DC入力端子やUSB接続端子等を含む)を表出する開口部または切り欠きを設けてもよい。さらに、カバー部材1または2には、デジタルカメラ100内部のスピーカが発生する音声を出力する音声出力用孔部を設けてもよい。
【0021】
次に、カバー部材1の製造方法を説明する。まず、カバー部材1の原材料となる木材を、原木である無圧縮状態の無垢材から形取る(形取工程)。この際には、形取る木材の容積が、後述する圧縮工程によって減少する分の容積を予め加えた分の容積となるようにする。無垢材としては、ヒノキ、ヒバ、桐、杉、松、桜、欅、黒檀、紫檀、竹、チーク、マホガニー、ローズウッドなどの中から最適なものを選択すればよい。本実施の形態1では、カバー部材1の形状に近い略椀状をなすように木材を形取った場合を想定しているが、平板状に形取った木材を用いてカバー部材1を製造することも可能である。
【0022】
また、無垢材から形取る木材として、柾目材、板目材、追柾材、木口材などの中から最適なものを選択して用いることが可能である。この点に鑑みて、添付図面で木材を記載する際には、木目を省略して記載している。
【0023】
この後、形取った木材を大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で所定時間放置し、水分を過剰に吸収させることによって木材を十分に軟化させる(軟化工程)。ここでいう高温高圧とは、温度が100〜230℃、より好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは180〜200℃程度であり、圧力が0.1〜3.0MPa(メガパスカル)、より好ましくは0.45〜2.5MPa、さらに好ましくは1.0〜1.6MPa程度の状態を指す。なお、上述した水蒸気雰囲気中で木材を放置して軟化させる代わりに、例えばマイクロウェーブの如き高周波の電磁波によって木材を加熱して軟化させてもよい。
【0024】
続いて、軟化工程によって十分に軟化した木材を、軟化工程と同じ水蒸気雰囲気中で圧縮する(圧縮工程)。図4は、この圧縮工程の概要を示す図である。同図において、カバー部材1に近い略椀状をなすように形取られ、上記の如く軟化された木材10(主板部10aと、それぞれ2つの側板部10b,10cとを有する)は、一対の金型81および91によって挟持され、圧縮力が加えられる。以下、金型81および91の各構成を説明する。
【0025】
まず、図4で木材10の上方から圧縮力を加える金型81は、木材10の主板部10aから側板部10bおよび10cへ各々湾曲した曲面の内側面に嵌合する形状をなす凸部82を有する。図5は、凸部82の構成を示す斜視図であり、図4に示す金型81の左右方向(y軸方向)を回転軸として180度回転し、図の上下を逆転させた図である。このため、図5のB−B線(突起部83をx軸方向と平行に通過)は、図4のB−B線と同じである。図5に示すように、凸部82の底面には、円錐台状の突起部83が設けられている。突起部83の先端には、光学要素部11の形状に対応する窪み83aが形成されている。また、突起部83の側面の形状は、斜面15の形状に対応している。
【0026】
図6は、図4のB−B線断面図である。木材10の内側面のうち、主板部10aから側板部10cへ湾曲した曲面10acの内側面の曲率半径をRIとし、凸部82のうち曲面10acに当接する曲面の曲率半径をRAとすると、この2つの曲率半径の間には、RI>RAという関係がある。
【0027】
次に、図4で木材10の下方から圧縮力を加える金型91の構成を説明する。金型91は、木材10の主板部10aから側板部10bおよび10cへ各々湾曲した曲面の外側面を嵌入する凹部92を有する。木材10の外側面のうち、曲面10acの外側面の曲率半径をROとし、凹部92のうち曲面10acの外側面に当接する曲面の曲率半径をRBとすると、この2つの曲率半径の間には、RO>RBという関係がある。
【0028】
以上の構成を有する一対の金型81および91によって木材10を挟持、圧縮する際には、適当な駆動手段を用いて金型81および/または91を電気的に移動させ、木材10に加わる圧縮力を調整する。なお、金型81と金型91とをねじで連結し、このねじを手動または自動で締めることによって金型81を金型91に対して上下動させるようにしてもよい。
【0029】
図7は、金型81および91によって木材10を挟持、圧縮している状態を示す図であり、木材10の変形がほぼ完了した状態を示す縦断面図である。図7に示すように、木材10は、圧縮によって金型81と金型91との隙間に相当する3次元形状に変形する。この際、主板部10aのうち突起部83が当接している部分は、他の部分よりも高い圧縮率で圧縮される。本実施の形態1では、突起部83によって圧縮される部分、すなわち光学要素部11となる部分の圧縮率(圧縮による肉厚の減少分ΔRと圧縮前の肉厚Rとの比の値ΔR/R)は、0.75以上、より好ましくは0.80以上である。この結果、当該部分の圧縮後の比重は1.4程度となり、一般的な木材細胞壁実質部の比重である1.5に近い値をとるようになる。
【0030】
木材は、上述したような高温高圧の水蒸気雰囲気中において比重が1.5に近くなるまで圧縮されると、変質を起こして木材としての性質が消失し、例えば木目などが消滅して流動化現象を生じることが知られている(例えば、北澤、北村、渋谷、小島著、「圧密限界近くまで圧密されたスギ圧縮木材の永久固定現象」、日本木材加工技術協会第21回年次大会要旨集(2003)を参照)。このように変質を生じた木材は実質的に樹脂となり、圧縮によってべっ甲の如き色合いを有しつつも、光を透過する性質を有するようになる。したがって、従来のように透明性を有する別部材を用いることなく、一体の木材の中で光を透過することが可能な部分を形成することができる。
【0031】
図7に示す状態で所定時間(1〜数十分、より好ましくは5〜10分程度)放置した後、上記水蒸気雰囲気を解いて木材10を乾燥させ、金型81と金型91を離間させて圧縮を解除する。この結果、木材10の形状が固定され、カバー部材1の原型が完成する。圧縮工程により、主板部10aの肉厚は、光学要素部11および斜面15を除いてほぼ均一となる。光学要素部11および斜面15を除く主板部10aの肉厚方向の圧縮率は、0.40〜0.70程度、より好ましくは0.50〜0.70程度である。
【0032】
ここで、具体的な数値例を挙げる。圧縮前の主板部10aの肉厚を3.2mmとし、圧縮後の主板部1aの肉厚を1.6mmとすると、光学要素部11および斜面15を除いた主板部の圧縮率は0.50となる。これに対して、光学要素部11の最大肉厚を0.80mmとすると、光学要素部11の圧縮率は、0.75以上となる。斜面15の圧縮率は、少なくとも主板部1aの圧縮率以上であり、主板部1aの内側面から光学要素部11に近づくにしたがって徐々に大きくなり、その値は0.50〜0.75程度の間で変化する。なお、形取工程において、光学要素部11となる部分の木材の肉厚を他の部分の肉厚よりも小さく形取り、この薄肉部分に対して、圧縮率が0.75以上、より好ましくは0.80以上となるような圧縮を行うようにしてもよい。
【0033】
上述した圧縮工程の後、木材10に切削、研磨、つや出し等の処理を施すことにより、木材10を所定の3次元形状に整形する(整形工程)。これにより、圧縮木製品としてのカバー部材1が完成する。
【0034】
以上説明した本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品によれば、所定の3次元形状に圧縮成形された木材の一部から成り、光に対しレンズ作用を有する光学要素部を備えたことにより、製品の一部に光に対しレンズ作用を有する部分を設ける場合であっても、その部分に別部材を用いる必要がなくなる。したがって、製品の一部に光に対しレンズ作用を有する部分を設ける場合であっても、部品点数および作業工数が少なくて済み、製造が容易である。
【0035】
また、本実施の形態1によれば、光学要素部の一方の表面が周囲の表面と滑らかに連なって一つの曲面をなしているため、利用者は、光学要素部内部のLEDが発光しない限り、光学要素部の存在を気にしないで済む。さらに、光学要素部を別部材で製造する場合のように、部材間の隙間に水分や粉塵等が侵入することがなくなる。
【0036】
本実施の形態1に係る圧縮木製品は、デジタルカメラ以外の携帯用小型電子機器の外装体としても適用可能である。具体的には、携帯電話、PHSまたはPDA等の携帯型通信端末、携帯型オーディオ装置、ICレコーダ、携帯型テレビ、携帯型ラジオ、各種家電製品のリモコン、デジタルビデオなどの外装体としても適用可能である。これらの電子機器に適用する場合の圧縮木製品の肉厚としては、1.6〜2.0mm程度が好適である。
【0037】
(実施の形態1の変形例)
図8は、本実施の形態1の第1変形例に係る圧縮木製品であるデジタルカメラ用のカバー部材の概略構成を示す断面図であり、図3に対応する図である。図8に示すカバー部材3は、カバー部材1と同様に略椀状をなし、主板部3aと、それぞれ2つの側板部3b,3cとを有する(側板部3bは図示せず)。
【0038】
また、カバー部材3には、カバー部材1と同様に開口部や切り欠きが形成されている。このうち、図8では、カバー部材1の開口部13と同様の形状をなし、フラッシュを表出する開口部33を図示している。
【0039】
主板部3aには、他の部分の肉厚よりも小さく、光に対しレンズ作用を有する性質を備えた光学要素部31が設けられている。光学要素部31は、内側面(図8で上方に位置する側面)が平面をなす一方、外側面が周囲の主板部1aよりも凸の球面または非球面の形状に突起して成る。光学要素部31は、木材としての性質が失われる程度にまで圧縮されており、光を透過する性質を有している。さらに、光学要素部31は、その一方の表面(本変形例では外側面)が凸の球面または非球面の形状をなすため、光に対し凸レンズと同様の作用を示す。
【0040】
光学要素部31の内側面と主板部3aの内側面との間には、円錐台の側面形状をなす斜面35が介在している。斜面35は、実施の形態1の斜面15と同様、主板部3aの肉厚方向と垂直な断面が円形をなしており、その円形断面の径は、主板部3aの内側面から光学要素部31に近づくにしたがって徐々に小さくなっていく。
【0041】
図9は、本実施の形態1の第2変形例に係る圧縮木製品であるデジタルカメラ用のカバー部材の概略構成を示す断面図である。同図に示すカバー部材4は、カバー部材1と同様に略椀状をなし、主板部4aと、それぞれ2つの側板部4b,4cとを有する(側板部4bは図示せず)。また、開口部や切り欠きも、カバー部材1と同様に形成されている(図9では、カバー部材1の開口部13と同様の形状をなし、フラッシュを表出する開口部43を図示)。
【0042】
主板部4aには、他の部分よりも肉厚が小さく、光に対しレンズ作用を有する性質を有する光学要素部41が設けられている。光学要素部41は、内側面(図9で上方に位置する側面)が平面をなす一方、外側面が凹の球面または非球面の形状に窪んだ形状をなしている。光学要素部41は、木材としての性質が失われる程度まで圧縮されており、光を透過する性質を有している。さらに、光学要素部41は、その一方の表面(本変形例では外側面)が凹の球面または非球面の形状をなすため、光に対し凹レンズと同様の作用を示す。
【0043】
カバー部材3,4の製造方法は、使用する金型形状の違いを除いて、カバー部材1の製造方法と同じである。
【0044】
以上説明した本実施の形態1の変形例に係る圧縮木製品によれば、所定の3次元形状に圧縮成形された木材の一部から成り、光に対しレンズ作用を有する光学要素部を備えたことにより、上述した実施の形態1と同様、製品の一部に光に対しレンズ作用を有する部分を設ける場合であっても、部品点数および作業工数が少なくて済み、製造が容易である。
【0045】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品である自動車のインストルメントパネルの構成を示す図である。同図に示すインストルメントパネル200は、メーターパネル300の周囲を取り囲むように設けられ、メーターパネル300の下面側に、圧縮成形された木材から成る木材パネル部5を有する。この木材パネル部5の中央部付近には、光に対しレンズ作用を有する性質を備えた光学要素部51が形成されている(図10では3個)。光学要素部51の裏側には、所定の情報を運転者に報知する際に点灯するLEDが設置されている。
【0046】
光学要素部51は、肉厚方向の圧縮率が0.75以上、より好ましくは0.80以上となるように圧縮することによって形成されたものである。光学要素部51の断面形状は、上記実施の形態1で説明した光学要素部11の断面形状と同様であり、図10に示す表面は、木材パネル部5の周囲の表面と段差なく滑らかに連なって、一つの平面または曲面をなす。また、木材パネル部5の裏側には、光学要素部51と木材パネル部5の裏側の表面との間に斜面(図示せず)が介在している。なお、木材パネル部5の光学要素部51以外の部分の肉厚方向の圧縮率は、0.40〜0.70程度、より好ましくは0.50〜0.70程度である。
【0047】
以上の構成を有する木材パネル部5を適用した場合、運転者は、通常の運転時に光学要素部51の存在を気にせずに運転操作を行うことができる。このため、光学要素部51の内部に設置されたLEDが点灯した時には、運転者の特別な注意を引くことができる。これらの点に鑑み、本実施の形態2においては、光学要素部51の裏側に設置したLEDを、例えば急停車や何らかの警告のように、通常の運転時にはほとんど点灯することがないような情報を報知するために適用するのが好ましい。
【0048】
本実施の形態2に係る圧縮木製品は、上記実施の形態1と同様、高温高圧の水蒸気雰囲気中で加工後の最終形状に応じた金型を用いることによって圧縮成形することができる。この点については、後述する実施の形態3および4についても同じことがいえる。
【0049】
以上説明した本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品によれば、所定の3次元形状に圧縮成形された木材の一部から成り、光に対しレンズ作用を有する光学要素部を備えたことにより、製品の一部に光に対しレンズ作用を有する部分を設ける場合であっても、その部分に別部材を用いる必要がない。したがって、上記実施の形態1と同様に、製品の一部に光に対しレンズ作用を有する部分を設ける場合であっても、部品点数および作業工数が少なくて済み、製造が容易となる。
【0050】
また、本実施の形態2によれば、光学要素部の一方の表面が周囲の表面と滑らかに連なって一つの曲面をなしているため、木材の木目の美しさを活かすことができ、意匠的にも優れた圧縮木製品を提供することができる。また、利用者は、光学要素部内部のLEDが発光しない限り、光学要素部の存在を気にしないで済む。
【0051】
なお、本実施の形態2においては、上記実施の形態1の変形例で説明した光学要素部31または41の断面と同様の断面形状をなす光学要素部を適用することも可能である。
【0052】
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3に係る圧縮木製品である自動車のハンドルの構成を示す図である。同図に示すハンドル400は、グリップの上部付近に、圧縮成形された木材から成る木材グリップ部6が設けられている。木材グリップ部6の中央部には、光に対しレンズ作用を有する性質を備えた光学要素部61が形成されている(図11では8個)。光学要素部61の裏側には、所定の情報を運転者に報知する際に点灯するLEDが設置されている。
【0053】
光学要素部61は、その表面が、周囲の表面と滑らかに連なって一つの曲面をなしている。また、光学要素部61の裏側は、凸の球面または非球面の形状に突起して成る。このような光学要素部61は、肉厚方向の圧縮率が0.75以上、より好ましくは0.80以上となるように圧縮することによって形成されたものである。なお、木材グリップ部6の光学要素部61以外の部分の肉厚方向の圧縮率は、0.40〜0.70程度、より好ましくは0.50〜0.70程度である。
【0054】
以上の構成を有する木材グリップ部6を適用する場合、ハンドル400を操作する際に、光学要素部61の裏側に設置されたLEDが頻繁に点灯するのでは、運転者が気を取られて運転に集中できなくなってしまうおそれがある。この点に鑑み、本実施の形態3においては、光学要素部61の裏側に設置されたLEDを、例えば急停車や何らかの警告のように、通常運転時にはほとんど点灯することがないような情報を報知するために適用するのが好ましい。
【0055】
以上説明した本発明の実施の形態3に係る圧縮木製品によれば、所定の3次元形状に圧縮成形された木材の一部から成り、光に対しレンズ作用を有する光学要素部をなすことにより、上記実施の形態1,2と同様に、製品の一部に光に対しレンズ作用を有する部分を設ける場合であっても、部品点数および作業工数が少なくて済み、製造が容易となる。
【0056】
また、本実施の形態3によれば、光学要素部の表面が周囲の表面と滑らかに連なって一つの曲面をなしているため、運転者が操作する際、手に違和感を感じずに済む。加えて、木材の木目の美しさを活かすことができ、意匠的にも優れた圧縮木製品を提供することができる。
【0057】
(実施の形態4)
図12は、本発明の実施の形態4に係る圧縮木製品であるドアノブの構成を示す図である。同図に示すドアノブ7は、圧縮成形された木材から成り、一端が開口端である中空円筒形状をなすとともに、閉端をなす円形の底面に、光に対しレンズ作用を有する性質を備えた光学要素部71が設けられている。
【0058】
光学要素部71は、その表面が、周囲の表面(底面部分)と滑らかに連なって一つの平面をなしている。また、光学要素部71の裏側は、凸の球面または非球面の形状に突起して成る。このような光学要素部71は、肉厚方向の圧縮率が0.75以上、より好ましくは0.80以上となるように圧縮することによって形成されたものである。なお、ドアノブ7の光学要素部71以外の部分の肉厚方向の圧縮率は、0.40〜0.70程度、より好ましくは0.50〜0.70程度である。
【0059】
ドアノブ7の内部には、LED等の電球が設けられている。この電球を点灯することにより、夜間等で周囲が暗い場合に、ドアノブ7の位置を周囲に明示することが可能となる。
【0060】
以上説明した本発明の実施の形態4によれば、上述した実施の形態1〜3と同様、製品の一部に光に対しレンズ作用を有する部分を設ける場合であっても、部品点数および作業工数が少なくて済み、製造が容易な圧縮木製品を提供することができる。
【0061】
なお、本実施の形態4においては、上記実施の形態1の変形例で説明した光学要素部31または41の断面と同様の断面形状をなす光学要素部を適用することも可能である。
【0062】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための最良の形態を実施の形態1〜4として詳述してきたが、本発明はそれら4つの実施の形態によってのみ限定されるべきではない。例えば、光学要素として、上記以外のレンズ形状をなすように圧縮成形してもよい。具体的には、光学要素の表面が、シリンドリカルレンズ、フレネルレンズ、非球面レンズ等と類似した表面形状をなすようにしてもよい。
【0063】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品を外装体として適用したデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品であるカバー部材の構成を示す斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品であるカバー部材の製造方法における圧縮工程の概要を示す説明図である。
【図5】木材の上方から圧縮力を加える金型の構成を示す斜視図である。
【図6】図4のB−B線断面図である。
【図7】圧縮工程において木材の変形がほぼ完了した状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1の第1変形例に係る圧縮木製品であるカバー部材の構成を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1の第2変形例に係る圧縮木製品であるカバー部材の構成を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品であるインストルメントパネルの要部の構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る圧縮木製品であるハンドルの構成を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係る圧縮木製品であるドアノブの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1,2,3,4 カバー部材(圧縮木製品)
1a,3a,4a,10a 主板部
1b,1c,3b,3c,4b,4c,10b,10c 側板部
5 木材パネル部
6 木材グリップ部
7 ドアノブ(圧縮木製品)
10 木材
10ac 曲面
11,31,41,51,61,71 光学要素部
12,13,33,43 開口部
14 切り欠き
15,35 斜面
81,91 金型
82 凸部
83 突起部
83a 窪み
92 凹部
100 デジタルカメラ
101 撮像部
102 フラッシュ
103 シャッターボタン
200 インストルメントパネル(圧縮木製品)
300 メーターパネル
400 ハンドル(圧縮木製品)
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
【出願日】 平成19年1月9日(2007.1.9)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明


【公開番号】 特開2008−168458(P2008−168458A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−1729(P2007−1729)