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【発明の名称】 床材の製造方法
【発明者】 【氏名】古市 直

【氏名】久保田 智芳

【要約】 【課題】床板の製造時に幅方向に凹反りが発生することなく、フラットな床板を得ることができる床板の製造方法、および該方法によって得られる床板を提供する。

【解決手段】床基材Aの表面にツキ板Bを貼着してなる床材Cの製造方法であって、該床基材Aは合板1の上面に貼設するMDFの含水率を合板の下面に貼設するMDFの含水率より小さくし、加熱、加圧したとき、凸反り状となるように上面MDF2と合板と下面MDF3とをこの順に積層し、さらにこの床基材Aの上面MDF2の上に加熱、加圧したとき凹反り状となるように湿式ツキ板Bを貼着し、上記凸反りと凹反りとを相殺させて床材を製造する床材の製造方法、および該方法によって得られる床板C。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床基材の表面にツキ板を貼着してなる床材の製造方法であって、該床基材は合板の上面に貼設するMDFの含水率を合板の下面に貼設するMDFの含水率より小さくし、加熱、加圧したとき、凸反り状となるように上面MDFと合板と下面MDFとをこの順に積層し、さらにこの床基材の上面MDFの上に加熱、加圧したとき凹反り状となるように湿式ツキ板を貼着し、上記凸反りと凹反りとを相殺させて床材を製造する床材の製造方法。
【請求項2】
上記上面MDFの含水率が4〜10%であり、下面MDFの含水率が8〜12%である請求項1に記載の床材の製造方法。
【請求項3】
上記下面MDFの下にさらに防湿層が設けられた請求項1に記載の床材の製造方法。
【請求項4】
床基材の表面にツキ板を貼着してなる床材であって、該床基材は合板の上面に貼設するMDFの含水率を合板の下面に貼設するMDFの含水率より小さくし、加熱、加圧したとき、凸反り形状となるように上面MDFと合板と下面MDFとをこの順に積層し、さらにこの床基材の上面MDFの上に加熱、加圧したとき凹反り形状となるように湿式ツキ板を貼着し、上記凸反りと凹反りとを相殺して得られた床材。
【請求項5】
上記下面MDFの下にさらに防湿層が設けられた請求項4に記載の床材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、床材の製造方法に関する。さらに詳しくは、合板とMDFとからなる床基材の表面にツキ板を貼着して床材を製造する方法、および該方法によって得られた床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧床材としては、一般的には、基板として合板を用い、その表面に化粧紙やツキ板等の化粧シートを貼着してなるものが用いられてきた。上記合板は、天然木材を薄く剥ぎ取った単板を、繊維方向を互いに直交させて積層接着したものや、単板の繊維方向を同一方向として積層接着した平行合板が公用されており、安価で、強度もあり、寸法安定性に優れていることから建築用板材として大量に使用されてきた。
【0003】
しかしながら、近年、天然資源の枯渇が世界的な問題となり、合板の材料となる原木を伐採することが次第に困難になるとともに、原木の質が低下することによって、合板に使用するのに適した良質の単板を多量に安定的に得ることが困難となってきている。そこで、下記特許文献1には、合板の表面単板がサンダー等により研削して厚みを規制され、その上面に接着剤を介して木質繊維板が貼着された木質系基板が開示されている。
【0004】
そして、上記木質繊維板と合板とが複合された木質系基板は、表面が平滑で硬度が高く、曲げ強度に優れ、反りのない木質系床材の基板が得られるため、基板の表面に従来どおりの厚さの薄いツキ板などの化粧シートを貼着しても、見掛けと表面性能および強度に優れた床板が得られる旨、記載されている。
【0005】
ここに、木質繊維板とは松、杉、ヒノキ等の針葉樹材、または、ラワン、ケヤキ、ポプラ等の広葉樹材の原木や廃材を切削して得られる木材チップを常法により解繊して木質繊維を得、これを高温、高圧でプレスして得られる種々の比重を有するボードをいい、種々の用途に用いられている。とくに、密度が350〜800kg/m3のものを中密度繊維板(MDF)と呼び、建築材料分野において広く用いられている。
【特許文献1】特開平11−229596号公報(第1〜3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の木質系基板に、例えば、天然木からスライスされたツキ板をホットプレスして化粧床板を得ようとすると、加熱により、ツキ板中に含まれる水分が蒸発して収縮し、幅方向の両端が反り上がって下方に凹んだ凹反りの床板となり、生産時の品質管理が困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決して、床板の製造時に幅方向の上記凹反りが発生することなく、フラットな床板を作業性よく得ることが可能な床板の製造方法、およびそれによって得られた床板を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明においては、つぎのような技術的手段を講じている。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、床基材の表面にツキ板を貼着してなる床材の製造方法であって、該床基材は合板の上面に貼設するMDFの含水率を合板の下面に貼設するMDFの含水率より小さくし、加熱、加圧したとき、凸反り状となるように上面MDFと合板と下面MDFとをこの順に積層し、さらにこの床基材の上面MDFの上に加熱、加圧したとき凹反り状となるように湿式ツキ板を貼着し、上記凸反りと凹反りとを相殺させて床材を製造する床材の製造方法が提供される。
【0009】
上面MDFと合板、および合板と下面MDFとは接着剤により貼着されるが、用いられる接着剤としては、水溶性樹脂以外の接着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂系、エチレン/ビニルアセテート樹脂系、尿素樹脂系、ウレタン樹脂系等のエマルジョン型接着剤が安全であり、臭気もないため好ましく用いられる。通常、上記上面MDFと合板と下面MDFとは接着剤を塗布した後、加圧、加熱し、いわゆるホットプレスにより、積層し、一体化される。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明に加えて、上記上面MDFの含水率が4〜10%であり、下面MDFの含水率が8〜12%であることが好ましい。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明に加えて、上記下面MDFの下にさらに防湿層が設けられる。上記防湿層としては、とくに限定されず、熱可塑性合成樹脂シートを単独で用いてもよく、また、紙層と複合して用いてもよい。例えば、熱可塑性合成樹脂シートとしては、ポリエチレンシートやウレタンシートが用いられ、また、ポリエチレンシートやウレタンシートを芯層にしてその表裏にクラフト紙を積層して用いてもよい。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、床基材の表面にツキ板を貼着してなる床材であって、該床基材は合板の上面に貼設するMDFの含水率を合板の下面に貼設するMDFの含水率より小さくし、加熱、加圧したとき、凸反り形状となるように上面MDFと合板と下面MDFとをこの順に積層し、さらにこの床基材の上面MDFの上に加熱、加圧したとき凹反り形状となるように湿式ツキ板を貼着し、上記凸反りと凹反りとを相殺して得られた床材が提供される。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明に加えて、上記下面MDFの下にさらに防湿層が設けられた床材が提供される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明にかかる床材の製造方法は上記のとおりであり、床基材を上面MDFと合板と下面MDFとから形成するとともに、上面MDFの含水率を下面MDFの含水率より小さくし、加熱、加圧したとき、凸反り状となるように積層し、さらにこの床基材の上面MDFの上に加熱、加圧したとき凹反り状となるように湿式ツキ板を貼着して床板を製造するため、上記凸反りと凹反りとが相殺されてフラットな床材を製造することができる。
【0015】
請求項2に記載の床材の製造方法は上記のとおりであり、請求項1の床材の製造方法の有する効果に加え、上記した上面MDFの含水率が4〜10%であり、下面MDFの含水率が8〜12%であるため、上面MDFの含水率が下面MDFの含水率よりも小さい範囲で、上面MDFと下面MDFの含水率を調節することにより、床基材の凸反りの度合いを調節することができる。その結果、上面MDFの上に貼設する湿式ツキ板の含水率に合わせて床基材の凸反り度合を調節し、ホットプレスすることにより、フラットな床面を得ることができる。
【0016】
請求項3に記載の床材の製造方法は上記のとおりであり、請求項1の床材の製造方法の有する効果に加え、下面MDFの下にさらに防湿層が設けられ、コンクリート下地へ直貼り施工した場合等、下地から放出される水分が下面MDFに吸収されるのを防ぐ。また、下面MDFから水分が放出することを防ぎ、寸法精度に優れ、層間剥離が生じない床材を作業性よく製造できる。
【0017】
請求項4に記載の床材は上記のとおりであり、床基材を上面MDFと合板と下面MDFとから形成するとともに、上面MDFの含水率を下面MDFの含水率より小さくし、加熱、加圧したとき、凸反り状となるように積層し、さらにこの床基材の上面MDFの上に加熱、加圧したとき凹反り状となるように湿式ツキ板が貼着された床板であるため、上記凸反りと凹反りとが相殺されたフラットな面を有する床材を得ることができる。
【0018】
請求項5に記載の床材は上記のとおりであり、請求項4の床材の有する効果に加え、上記下面MDFの下にさらに防湿層が設けられているため、コンクリート下地へ直貼り施工した場合等、下地から放出される水分が下面MDFに吸収されることを防ぎ、また、下面MDFから水分が放出することを防ぐため、寸法精度に優れ、層間剥離が生じない床材とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、本発明にかかる床材の製造方法に用いる床基材について説明する。図1は、上記床基材Aを示す分解断面図である。図1に示すように、床基材Aは合板1を中心に、上面に貼設される上面MDF2と下面に貼設される下面MDF3とから構成されている。このとき、上面MDF2としては、その含水率が下面MDF3の含水率より小さいものが用いられる。
【0020】
すなわち、下面MDF3の含水率を上面MDF2の含水率よりも大とし、加熱、加圧したとき下面MDF3からの水分の蒸発量を大きくして、下面MDF3の収縮率が大きくなるようにする。図2は、図1に示す上面MDFと合板と下面MDFとを接着剤を用いて積層し、ホットプレスして一体化したときの状態を模式的に示す断面図である。図2に示されているように、下面MDFの収縮率が大きいため、床基材Aの両端は下がって上に凸状の凸反り状態となる。
【0021】
本発明の床材の製造方法においては、上記床基材Aにさらに湿式ツキ板Bを貼設する。湿式ツキ板Bは、含水率が大きいため、加熱、加圧したとき、水分が蒸発して両端が反り上がり凹反り状となる。図3は、図2に示した凸反り状態となる床基材Aの上面MDF2の上に上記湿式ツキ板Bを貼設する状態を模式的に示す断面図である。図3に示すように、床基材Aは凸反り状態となり、湿式ツキ板Bは凹反り状態となるため、両者を積層して一体化すると、凸反りと凹反りとは相殺され、フラットとすることができる。図4は、本発明にかかる床材の製造方法により得られたフラットな床材Cを示す断面図である。
【0022】
さらに、この床材Cを構成する下面MDF3の下に防湿層を設けてもよい。例えば、防湿層4として、ポリエチレンシート等の熱可塑性合成樹脂シートを設層することができる。図5は、床材Cの下面MDF3の下に防湿層4を設層した床材Dを示す断面図である。上記のように床材Cの裏面に防湿層4を設けることにより、マンション等、コンクリート下地へ直貼り施工した場合にコンクリートから放出される水分が下面MDF3に吸収されるのを押さ、下面MDF3の含水率が大きくなることを防ぐことができる。また、下面MDF3から水分が放出することを防ぎ、寸法精度に優れ、層間剥離が生じない床材Dを得ることができる。
【0023】
[実施例]
合板1の上面にウレタン樹脂系接着剤を塗布し、厚さ1.35mm、含水率4%の上面MDF2を接着するとともに、合板1の下面にウレタン樹脂系接着剤を塗布し、厚さ1.35mm、含水率8%の下面MDF3を接着した。その後、温度120〜130℃、圧力7〜10kg/cm2の温度、圧力条件下で2〜5分、ホットプレスし、全厚さが12mmの床基材Aを得た。
【0024】
ついで、上記床基材Aに厚さ0.2mm〜0.4mmの湿式ツキ板Bを上記と同様にして接着し、温度120〜130℃、圧力7〜10kg/cm2の温度、圧力条件下で1〜2分、ホットプレスし、床材Cを得た。床材Cの下面、すなわち、下面MDFの下にさらに防湿層4としてウレタンをバックシールし、床材Dを得て最終的な製品とした。得られた床材Dは、表面に天然木の木目模様のある、フラットなものであり、外観に優れ、また、寸法安定性のよいものであった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の床材の製造方法にかかる床基材を示す分解断面図である。
【図2】図1に示す上面MDF、合板、下面MDFをホットプレスし、一体化した状態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の床材の製造方法にかかる床基材の凸反りと湿式ツキ板の凹そりとを相殺する状態を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明にかかる床材を示す断面図である。
【図5】図4に示す床材の裏面に防湿層が設層された床材を示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
A 本発明の床材の製造方法にかかる床基材
B 本発明の床材の製造方法にかかる湿式ツキ板
C 本発明にかかる床材
D 裏面に防湿層が設けられた本発明にかかる床材
1 合板
2 上面MDF
3 下面MDF
4 防湿層
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年12月22日(2006.12.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−155431(P2008−155431A)
【公開日】 平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願番号】 特願2006−345195(P2006−345195)