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【発明の名称】 積層木材及び積層木材の製造方法
【発明者】 【氏名】村尾 泰行

【要約】 【課題】変形や収縮に伴う寸法変化を低減できると共に、工程数を減じて簡易に製造することができる積層木材、及び、該積層木材の製造方法を提供する。

【解決手段】積層木材10は、繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第一木材1が、幅方向に接着剤層を介することなく列設された第一木材層11と、第一木材層11と厚さ方向に積層され、繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第二木材2が、その長手方向を第一木材1の長手方向と直交させると共に、幅方向に接着剤層を介することなく列設された第二木材層12と、第一木材層11と第二木材層12との間に設けられた接着剤層3とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第一木材が、幅方向に接着剤層を介することなく列設された第一木材層と、
該第一木材層と厚さ方向に積層され、繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第二木材が、その長手方向を前記第一木材の長手方向と直交させると共に、幅方向に接着剤層を介することなく列設された第二木材層と、
該第二木材層と前記第一木材層との間に設けられた接着剤層と
を具備することを特徴とする積層木材。
【請求項2】
繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第一木材を、接着剤を塗布することなく幅方向に列設する第一木材列設工程と、
繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第二木材の表裏面のみに接着剤を塗布し、前記第一木材の上に長手方向を前記第一木材の長手方向と直交させて幅方向に列設する第二木材接着列設工程と、
複数の前記第一木材を、接着剤を塗布することなく前記第二木材の上に長手方向を前記第二木材の長手方向と直交させて幅方向に列設する第一木材接着列設工程と、
積重された前記第一木材及び前記第二木材を厚さ方向に圧締する圧締工程と
を具備することを特徴とする積層木材の製造方法。
【請求項3】
平板状の第一表面材を設置する第一表面材設置工程と、
繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第一木材の表裏面のみに接着剤を塗布し、前記表面材の上に幅方向に列設する芯材第一層形成工程と、
繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第二木材を、接着剤を塗布することなく前記第一木材の上に長手方向を前記第一木材の長手方向と直交させて幅方向に列設する芯材第二層形成工程と、
複数の前記第一木材の表裏面のみに接着剤を塗布し、前記第二木材の上に長手方向を前記第二木材の長手方向と直交させて幅方向に列設する芯材第三層形成工程と、
前記芯材第三層の上に平板状の第二表面材を載置する第二表面材層形成工程と、
積重された前記第一表面材、前記第一木材、前記第二木材、及び前記第二表面材を厚さ方向に圧締する圧締工程と
を具備することを特徴とする積層木材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、積層木材及び該積層木材の製造方法に関するものであり、特に、ひき板または小角材が幅方向に集成され、かつ、厚さ方向に積層された積層木材、及び、該積層木材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のひき板または小角材が繊維方向に平行に接着積層された集成材が、扉や壁等の芯材として、階段部材、窓枠、床縁等の造作材として、床、柱、桁、梁等の構造材として、或いは、家具の材料等として使用されている。
【0003】
このような集成材は、ムクの木材に比べて割れ、反り、歪み等が生じ難く、収縮に伴う寸法変化が小さい、ひき板や小角材を形成する段階で節などの欠陥部分を切除することができる、原木の径や長さに制限されないサイズの集成材を製造できる、希少なムクの木材に比べてコストを抑えることができる等の、種々の利点を有する。
【0004】
従来の集成材には、ひき板または小角材が厚さ方向のみに接着集成されたものの他、更に幅方向にも接着集成されたものがあり、集成材のサイズの自由度がより高く、用途もより広い。このような厚さ方向及び幅方向に集成された集成材は、一般的には、まず複数のひき板または小角材を幅方向に接着して一つの層を形成し、必要に応じて加圧処理や鉋がけによって層の厚さを均一にし、そのようにして形成された層の複数を厚さ方向に接着し、更に全体を圧締するという工程を経て製造されている。
【0005】
上記の従来技術は、公然に実施されているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を、本願出願時においては知見していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の集成材は、ムクの木材に比べれば、反りや歪み等の変形の度合いや収縮に伴う寸法変化が抑制されてはいるものの、それらは依然として小さいものではなく、更なる改善が望まれていた。また、幅方向及び厚さ方向に集成する従来の集成材は、その製造に際し工程数が多く、労力や時間を要しコストが嵩むという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、変形や収縮に伴う寸法変化を低減できると共に、工程数を減じて簡易に製造することができる積層木材、及び、該積層木材の製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる積層木材は、「繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第一木材が、幅方向に接着剤層を介することなく列設された第一木材層と、該第一木材層と厚さ方向に積層され、繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第二木材が、その長手方向を前記第一木材の長手方向と直交させると共に、幅方向に接着剤層を介することなく列設された第二木材層と、該第二木材層と前記第一木材層との間に設けられた接着剤層とを」具備している。
【0009】
「第一木材」及び「第二木材」の木材種は特に限定されないが、例えば、スギ、ヒノキ、カラマツ等の針葉樹を使用することができる。また、「第一木材」及び「第二木材」は、同一種類の木材であっても、異なる種類の木材であっても構わない。
【0010】
ここで、第一木材の「長手方向」とは、「長尺角柱状」を構成する三次元の長さ成分のうち、最長の長さ成分を有する方向を指している。また、長手方向に直交する二つの方向の長さ成分のうち、何れを「厚さ」と称し、何れを「幅」と称するかについては、複数の第一木材において略同一の設定とした長さ成分を「厚さ」、残る一つの長さ成分を「幅」と称することとする。「厚さ」と「幅」における長さの長短は問わない。また、複数の第一木材については、「厚さ」が略同一であれば、他の長さ成分は必ずしも揃えられていなくても構わない。また、第二木材における「長手方向」、「厚さ」、「幅」の語の用い方は、上記の第一木材の場合と同様であるが、第一木材の厚さと第二木材の厚さとを、略同一の設定とする必要はない。なお、第一木材及び第二木材は、所定寸法の「長尺角柱状」に製材されるものであっても、フィンガージョイント等の手法により長手方向或いは幅方向に寸法調整されて所定寸法の長尺角柱状とされるものであっても構わない。
【0011】
「接着剤」としては、レゾルシノール系樹脂、水性高分子イソシアネート系樹脂、メラミン樹脂、ユリア系樹脂、フェノール系樹脂等の周知の接着剤を使用することができる。また、「幅方向に接着剤層を介することなく」とは、意図的に接着剤層が設けられていないことを意味するものであり、例えば、第一木材層と第二木材層との間に設けられた接着剤層の接着剤が、第一木材或いは第二木材の幅方向の間隙に、わずかに滲み出ることにより形成される接着剤層までを排除するものではない。
【0012】
また、第一木材層及び第二木材層が厚さ方向に積層される層数は、特に限定されず、偶数層であっても奇数層であっても良い。例えば、第一木材層、第二木材層、第一木材層の順に積層された木材三層構造、第一木材層、第二木材層、第一木材層、第二木材層の順に積層された木材四層構造とすることができる。加えて、積層された第一木材層及び第二木材層の厚さ方向の最外側の一方の表面、或いは両方の表面に、更に平板状の表面材が接着剤層を介して設けられている構成とすることもできる。なお、「木材三層構造」、「木材四層構造」のように称する際の層数は、第一木材及び第二木材により構成される層の数であり、接着剤層は層の数として計数していない。
【0013】
従って、本発明によれば、それぞれ長尺角柱状の第一木材及び第二木材が、長手方向を直交させて積層されているため、第一木材層及び第二木材層のそれぞれにおいて第一木材同士、第二木材同士が幅方向に接着されていなくても、第一木材層と第二木材層との間に設けられる接着剤層によって、厚さ方向の集成と幅方向の接着がなされる構成となっている。これにより、複数のひき板または小角材を、まず幅方向に接着して一つの層を形成し、形成された層の複数を厚さ方向に接着して製造される従来の集成材に比べ、構成が簡易であり、少ない工程数で容易に製造することが可能な積層木材となる。
【0014】
また、仮に、従来の集成材と同様に、第一木材層と第二木材層との間だけではなく、第一木材同士、第二木材同士の幅方向の境界にも接着剤層が設けられている場合は、個々の木材の変形や収縮が隣接する木材に影響する。すなわち、個々の第一木材及び第二木材の変形や収縮の総和が、集成材全体としての変形や収縮として表れる。これに対し、本発明では、第一木材同士、第二木材同士が幅方向に接着されていないため、個々の第一木材及び第二木材に変形や収縮が生じても、それが隣接する木材に影響し難く、隣接する木材間の僅かな間隙で吸収され緩和される。これにより、積層木材全体としての変形や収縮を、従来の集成材より低減することが可能となる。
【0015】
更に、本発明では、繊維方向を長手方向に略一致させた第一木材及び第二木材が、それぞれの長手方向が直交するように積層されていることにより、第一木材及び第二木材のそれぞれの繊維方向が直交している。ここで、木材の乾燥による収縮率は、繊維方向では小さいが、繊維方向に直交する方向ではより大きい。従って、本発明では、第一木材及び第二木材の一方が繊維方向に直交する方向に乾燥収縮しようとする力が、その力の作用する方向に、収縮し難い繊維方向を一致させている他方の木材によって抑制され、積層木材全体としての収縮が抑制される。また、木材は、荷重による圧縮に対して、繊維方向で大きな強度を発揮する。従って、本発明の積層木材は、使用される際に荷重のかかる方向と、第一木材の長手方向及び第二木材の長手方向のどちらの方向が一致しても、大きな圧縮強度を発揮することができ、使用方向の自由度が高く、用途の広いものとなる。
【0016】
次に、本発明にかかる積層木材の製造方法は、「繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第一木材を、接着剤を塗布することなく幅方向に列設する第一木材列設工程と、繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第二木材の表裏面のみに接着剤を塗布し、前記第一木材の上に長手方向を前記第一木材の長手方向と直交させて幅方向に列設する第二木材接着列設工程と、複数の前記第一木材を、接着剤を塗布することなく前記第二木材の上に長手方向を前記第二木材の長手方向と直交させて幅方向に列設する第一木材接着列設工程と、積重された前記第一木材及び前記第二木材を厚さ方向に圧締する圧締工程とを」具備している。
【0017】
「表裏面」とは、厚さ方向に直交する一対の側面を指している。また、「表裏面のみに接着剤を塗布し」とは、「表裏面」を除く四側面に対しては意図的に接着剤を塗布しないという意で用いており、表裏面に塗布された接着剤が垂れる等により、上記四側面に付着する場合を排除するものではない。なお、接着剤の塗布は、スプレッダやエクストルーダ、刷毛、ローラ等、周知の適宜の方法により行うことができるが、例えば、相反する方向に回転する一対のローラにより構成される接着剤塗布装置を使用し、木材を一対のローラ間に通すことにより、「表裏面」に同時に接着剤を塗布することができる。
【0018】
「圧締工程」は、周知のコールドプレス機、ホットプレス機を使用して行うことができ、高周波による接着剤の硬化処理を併用しても良い。また、トルクレンチを使用してネジクランプを締結する方法により行うこともできる。なお、圧締する圧力は、木材の種類、厚さ、接着剤の種類、圧締温度、積層数等を考慮して、適宜設定することができる。
【0019】
本発明は、いわば、厚さ方向に積層される複数の木材層につき、一つおきに接着剤を表裏面に塗布して積層する方法であり、第二木材接着列設工程及び第一木材接着列設工程を複数具備することもできる。例えば、第二木材接着列設工程及び第一木材接着列設工程を同一回数付加すれば、第一木材により構成される層と第二木材により構成される層を、五層、七層等の合わせて奇数層有する積層木材が製造される。例えば、本発明の製造方法を、第一木材列設工程、第二木材接着列設工程、第一木材接着列設工程、第二木材接着列設工程、第一木材接着列設工程、及び圧締工程の順に構成させることにより、木材五層構造の積層木材を製造することができる。
【0020】
本発明によれば、接着剤を塗布する工程は、第二木材接着列設工程のみであり、第一木材及び第二木材をそれぞれ幅方向に列設し、厚さ方向に積層した状態で、全体を厚さ方向に圧締するという簡易な方法で、積層木材を製造することができる。これにより、複数のひき板または小角材を幅方向に接着して一つの層を形成し、必要に応じてプレスや鉋がけによって層の厚さを均一にし、そのようにして形成された層の複数を厚さ方向に接着し、更に全体を圧締するという、従来の集成材の製造方法に比べて、極めて簡易な方法で、労力、時間、経費を削減して、上述のような優れた作用効果を奏する積層木材を製造することができる。
【0021】
また、本発明にかかる積層木材の製造方法は、「平板状の第一表面材を設置する第一表面材設置工程と、繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第一木材の表裏面のみに接着剤を塗布し、前記表面材の上に幅方向に列設する芯材第一層形成工程と、繊維方向を長手方向に略一致させ厚さが略同一の複数の長尺角柱状の第二木材を、接着剤を塗布することなく前記第一木材の上に長手方向を前記第一木材の長手方向と直交させて幅方向に列設する芯材第二層形成工程と、複数の前記第一木材の表裏面のみに接着剤を塗布し、前記第二木材の上に長手方向を前記第二木材の長手方向と直交させて幅方向に列設する芯材第三層形成工程と、前記芯材第三層の上に平板状の第二表面材を載置する第二表面材層形成工程と、積重された前記第一表面材、前記第一木材、前記第二木材、及び前記第二表面材を厚さ方向に圧締する圧締工程とを」具備する。
【0022】
「第一表面材」及び「第二表面材」は、かつらむきのように木材を切削加工したロータリー単板、木材を鉋引き等により切削加工したスライス単板、単板を繊維方向を平行にして積層した単板積層材、単板を繊維方向を交差させて積層した合板、台板の表面に木目や柄をプリント加工した合成樹脂や紙布類を貼着した特殊合板等を使用することができる。なお、木製の表面材を使用する場合、木材の種類は第一木材や第二木材と同一であっても異なっていても構わない。また、第一表面材と第二表面材の種類は、同一であっても異なっていても構わない。
【0023】
芯材第二層形成工程及び芯材第三層形成工程は、複数具備することもでき、例えば、両工程を同一回数付加すれば、第一木材により構成される層と第二木材により構成される層の合わせて奇数層からなる芯材が、一対の表面材の間に挟み込まれた構成の積層木材を製造することができる。
【0024】
従って、本発明によれば、極めて簡易な方法で、芯材と表面材とを一体成形することができる。すなわち、従来、集成材による芯材に表面材層を設ける場合は、ひき板等を接着し、積層し、圧締して、予め芯材を製造した上で、更に、厚さ方向の両外側面に接着剤を塗布し、表面材を貼り付け、再度圧締するという製造方法が行われていた。これに対し、本発明では、接着剤を塗布する工程は、芯材第一層形成工程及び芯材第三層形成工程のみであり、第一表面材、第一木材、第二木材、及び第二表面材を全て積層した状態で圧締工程が行われる。これにより、変形や収縮が抑制された芯材の両外側に表面材が接着された積層木材を、極めて簡易な一体成形で製造することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明の効果として、変形や収縮に伴う寸法変化を低減できると共に、工程数を減じて簡易に製造することができる積層木材、及び、該積層木材の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の最良の一実施形態である積層木材、及び、該積層木材の製造方法について、図1乃至図6に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の積層木材の斜視図であり、図2は図1の積層木材の製造方法を示す工程図であり、図3は他の実施形態の積層木材の斜視図であり、図4は図3の積層木材の製造方法を示す工程図であり、図5(a)(b)は他の実施形態の積層木材の構成を説明する断面図であり、図6は他の実施形態の積層木材の斜視図である。なお、図1乃至図6は、各構成の寸法比を正確に表示したものではない。また、図1及び図3では、簡略化のため、第一木材1及び第二木材2の繊維方向の木目のみを図示し、繊維方向に直交する木目の図示を省略している。ここで、図示した木目は単に繊維方向を示すものであり、柾目であっても板目であっても構わない。
【0027】
本実施形態の積層木材10は、図1に示すように、第一木材1及び第二木材2によって主に構成されている。ここで、第一木材1及び第二木材2は、それぞれ繊維方向を長手方向に略一致させた長尺角柱状に形成されている。また、複数の第一木材1の厚さは略同一であり、複数の第二木材2の厚さも略同一に設定されている。そして、積層木材10は、第一木材1が幅方向に接着剤層を介することなく列設された第一木材層11と、第一木材層11と厚さ方向に積層され、第二木材2が長手方向を第一木材1の長手方向と直交させると共に、幅方向に接着剤層を介することなく列設された第二木材層12と、第一木材層11と第二木材層12との間に設けられた接着剤層3とを具備している。
【0028】
また、本実施形態では、第二木材層12と厚さ方向に、第一木材層11とは反対側に積層され、第一木材1が、長手方向を第二木材2の長手方向と直交させると共に、幅方向に接着剤層3を介することなく列設された第一木材層13を更に具備し、第一木材層13と第二木材層12との間にも接着剤層3が設けられている。すなわち、本実施形態の積層木材10は、第一木材層11、第二木材層12、及び第一木材層13が、接着剤層3を介して厚さ方向に積層された木材三層構造となっている。
【0029】
より詳細に説明すると、第一木材1及び第二木材2は、それぞれスギ、ヒノキ、カラマツ等の針葉樹の木材によって形成されている。また、本実施形態では、複数の第一木材1は全て略同一寸法に設定され、複数の第二木材2も全て略同一寸法に設定されている。更に、本実施形態では、第一木材1の厚さは第二木材2の厚さと略同一に設定されている。
【0030】
次に、積層木材10の製造方法について、図2を用いて説明する。まず、所定の厚さ、幅、長さの複数の第一木材1及び第二木材2を用意する。これらの第一木材1及び第二木材2は、含水率8〜12%程度に乾燥処理されていることが望ましい。
【0031】
最初に、水平な作業面上で、第一木材1を接着剤を塗布することなく幅方向に列設する(第一木材列設工程S1)。これらの第一木材1により第一木材層11が形成されることとなるが、この段階では、個々の第一木材1は未だ互いに固定されていない状態である。
【0032】
次に、相対する方向に回転する一対のローラに接着剤を保持させた接着剤塗布装置を使用し、その一対のローラ間に第二木材2を通し、表裏面のみに接着剤を塗布する(工程S2a)。そして、接着剤が表裏面に塗布された第二木材2を、既に列設されている第一木材1の上に幅方向に列設する(工程S2b)。このとき、第一木材1及び第二木材2のそれぞれの長手方向を直交させることで、第二木材2の裏面との接着によって第一木材1が幅方向が列設された状態が固定されて第一木材層11が形成されると共に、第一木材1との接着によって第二木材2が幅方向が列設された状態が固定されて第二木材層12が形成される。そして、同時に、第一木材層11及び第二木材層12が、接着剤層3を介して厚さ方向に接着される。なお、工程2aと工程2bを合わせた工程が、本発明の第二木材接着列設工程に相当する。
【0033】
次に、第二木材層12の上に、長手方向を第二木材2の長手方向と直交させつつ、第一木材1を幅方向に列設する(第一木材接着列設工程S3)。これにより、第二木材2の表面(おもて面)に塗布されている接着剤によって、第一木材1が幅方向に列設された状態が固定され、第一木材層13が形成される。
【0034】
このようにして、第一木材層11、第二木材層12、及び第一木材層13が厚さ方向に積層された状態となる。本実施形態では、第一木材1及び第二木材2の更なる積層は行わないため(ステップS4においてYES)、続いて、厚さ方向に全体を圧締する(圧締工程S5)。本実施形態では、コールドプレス機により、約0.98MPa(約10kgf/cm)の圧力で約40分、圧締している。なお、工程S1から工程S3までを経た積層状態のものを複数作製しておき、まとめて圧締工程S5に供することもできる。また、圧締工程S5の後、接着状態を安定させる養生工程を適宜設けることもできる。
【0035】
以上の工程により、第一木材層11、第二木材層12、及び第一木材層13の木材三層構造を有する積層木材10が製造される。このようにして製造された積層木材10は、製造された状態の大きな断面積のまま、扉や壁等の芯材として用いることができる。或いは、適宜の寸法に切断して、扉の框材、床縁等の造作材、桁や梁等の構造材として使用することができる。また、積層木材10の厚さ方向の最外側の少なくとも一方の表面に接着剤を塗布し、化粧用の表面材を貼着して使用することもできる。
【0036】
以上のように、本実施形態の積層木材10及びその製造方法によれば、長尺角柱状の第一木材1及び第二木材2が、長手方向を直交させて積層されることにより、第一木材層11及び第二木材層12のそれぞれにおいて、第一木材1同士、第二木材2同士が幅方向に接着されていなくても、第一木材層11と第二木材層12との間に設けられる接着剤層3によって、厚さ方向の接着と同時に幅方向の列設状態を固定することができる。これにより、厚さ方向に積層される各木材層を、ひき板等を幅方向に接着して予め集成し、必要に応じて層の厚さを均一にするための加圧処理や鉋がけを行い、その上で各層を厚さ方向に接着し、最後に圧締して製造される従来の集成材に比べ、極めて簡易な製造方法で、労力、時間、経費を削減して、積層木材10を製造することができる。
【0037】
また、第一木材1同士、第二木材2同士が幅方向に接着されていないため、個々の第一木材1及び第二木材2に変形や収縮が生じても、隣接する木材にその影響が及び難く、積層木材10全体としての変形や収縮を低減することが可能となる。
【0038】
更に、第一木材1の繊維方向と第二木材2の繊維方向が直交するように積層されることにより、第一木材1及び第二木材2の一方が繊維方向に乾燥収縮しようとする力が、その力の作用する方向に収縮し難い繊維方向を一致させている他方の木材によって抑制され、積層木材10全体としての収縮を抑制することができる。
【0039】
特に、本実施形態では、第一木材1の厚さと第二木材2の厚さとを略同一の設定としているため、第一木材1及び第二木材2の界面で、一方が繊維方向に直交する方向に収縮しようとする力に対して、他方が抗する力が拮抗し、積層木材10全体としての収縮が有効に抑制される。
【0040】
また、積層木材10は、直交する二つの方向について、それぞれ繊維方向を一致させている層を有するため、何れの方向に対しても強い圧縮強度を発揮することができ、使用方向の自由度が高く、用途が広いものとなる。
【0041】
更に、わが国では、京都議定書による二酸化炭素排出削減約束6%のうち、3.9%を森林の二酸化炭素吸収機能及び貯蔵機能により確保することを目標としており、健全な森林の育成や適切な維持管理が、緊急の課題となっている。そのため、今後は、国内の森林の間伐、伐採により生じた国内木材を、積極的かつ多量に使用することがますます求められると予想される。従って、本実施形態の積層木材10及びその製造方法は、国内の森林面積の大きな割合を占めるスギ、ヒノキ、カラマツ等の間伐材などを有効に活用することができる点で、極めて有意である。
【0042】
なお、上記では、積層木材10が木材三層構造である場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、第一木材列設工程S1、第二木材接着列設工程S2a、S2b、第一木材接着列設工程S3を経た後、更に厚さ方向に積層することとし(ステップS4においてNO)、工程S2aに戻って第二木材接着列設工程S2a、S2b及び第一木材接着列設工程S3を同一回数付加することにより、五層、七層等の奇数層からなる積層木材を製造することができる。例えば、第一木材列設工程S1、第二木材接着列設工程S2a、S2b、第一木材接着列設工程S3、第二木材接着列設工程S2a、S2b、第一木材接着列設工程S3、圧締工程S5の順に製造を行うことにより、図5(a)に示すように、第一木材層21、第二木材層22、第一木材層23、第二木材層24、及び第一木材層25からなる木材五層構造の積層木材20を製造することができる。
【0043】
次に、厚さ方向の両外側に更に表面材層が設けられた積層木材30、及びその製造方法について説明する。本実施形態の積層木材30は、図3に示すように、積層木材10と同一の構成を有する木材三層構造の芯材39と、厚さ方向の最外の両側に、接着剤層3を介して積層された一対の平板状の表面材51,52とを具備している。
【0044】
なお、本実施形態では、積層木材30を扉材として適用する場合を例示する。ここで、第一木材1及び第二木材2は、上記と同様に、共に繊維方向を長手方向に略一致させた長尺角柱状であるが、一般的な扉の寸法の規格に合わせて寸法を設定することができる。例えば、扉の厚さは通常30〜40mmであるため、第一木材1及び第二木材2の厚さをそれぞれ7〜12mm、表面材の厚さを2〜5mmに設定することができる。もちろん、このような寸法に限定されるものではなく、積層木材30の用途等に応じて適宜の寸法設定とすることができる。
【0045】
積層木材30の製造方法を、図4を用いて説明する。まず、水平な作業面に平板状の表面材51を設置する(第一表面材設置工程T11)。次に、上記のローラ型の接着剤塗布装置を使用して、第一木材1の表裏面のみに接着剤を塗布し(工程T12a)、その第一木材1を表面材51の上に幅方向に列設する(工程T12b)。以上により、表面材51との接着によって第一木材1が幅方向に列設された状態が固定されて芯材第一層31が形成されると同時に、表面材51による第一表面材層36と芯材第一層31とが接着される。なお、工程12aと工程12bとを合わせた工程が、本発明の芯材第一層形成工程に相当する。
【0046】
次に、芯材第一層31の上に、第二木材2を、長手方向を第一木材1の長手方向と直交させつつ幅方向に列設する。これにより、芯材第一層31の第一木材1のおもて面に塗布されている接着剤によって、第二木材2が幅方向に列設された状態が固定され、芯材第二層32が形成される(芯材第二層形成工程T13)。
【0047】
更に、第一木材1の表裏面のみに接着剤を塗布し(工程T14a)、芯材第二層32の上に、長手方向を第二木材2の長手方向と直交させて幅方向に列設する(工程T14b)。これにより、第二木材2との接着によって第一木材1が幅方向が列設された状態が固定されて芯材第三層33が形成され、同時に、芯材第二層32及び芯材第三層33が厚さ方向に接着される。なお、工程14aと工程14bを合わせた工程が、本発明の芯材第三層形成工程に相当する。
【0048】
以上により、芯材39を構成する芯材第一層31、芯材第二層32、及び芯材第三層33が、表面材51上に積層された状態となる。本実施形態は、更なる第一木材1及び第二木材2の積層は行わないため(ステップT15においてYES)、続いて、もう一枚の表面材52を芯材第三層33の上に載置する。これにより、第一木材1のおもて面に塗布されている接着剤によって表面材52が接着され、第二表面材層37が形成される(第二表面材層形成工程T16)。
【0049】
そして、第一表面材層36、芯材第一層31、芯材第二層32、芯材第三層33、及び第二表面材層37が厚さ方向に積層された状態で、全体を厚さ方向に圧締する(圧締工程T17)。このようにして、第一表面材層36、芯材第一層31、芯材第二層32、芯材第三層33、及び第二表面材層37が接着剤層3を介して厚さ方向に接着積層され、芯材39を構成する芯材第一層31、芯材第二層32、及び芯材第三層3のそれぞれでは、第一木材1或いは第二木材2が幅方向には接着されていない積層木材30が製造される。
【0050】
以上のように、本実施形態の積層木材30及びその製造方法によれば、極めて簡易な方法で、芯材39と表面材51,52とを一体成形し、全体として変形や収縮が抑制された積層木材30を製造することができる。
【0051】
なお、上記では、芯材39が木材三層構造の場合を例示したが、これに限定されるものではなく、第一表面材形成工程T11、芯材第一層形成工程T12a,12b、芯材第二層形成工程T13、芯材第三層形成工程T14a,T14bを経た後、更に厚さ方向に積層することとし(ステップT15においてNO)、芯材第二層形成工程T13及び芯材第三層形成工程T14a,T14bを同一回数だけ付加することにより、五層、七層等の奇数層からなる芯材を有する積層木材を製造することができる。例えば、第一表面材設置工程T11、芯材第一層形成工程T12a,12b、芯材第二層形成工程T13、芯材第三層形成工程T14a,T14b、芯材第二層形成工程T13、芯材第三層形成工程T14a,T14b、第二表面材形成工程T16、圧締工程T17の順で製造工程を構成させることにより、図5(b)に示すように、芯材第一層41、芯材第二層42、芯材第三層43、芯材第二層44、及び芯材第三層45から構成される木材五層構造の芯材49が、第一表面材51(第一表面材層36)及び第二表面材52(第二表面材層37)で挟み込まれた構成の積層木材40を製造することができる。
【0052】
なお、上記のような構成の積層木材30,40においては、芯材第一層31,芯材第三層33,芯材第一層41、芯材第三層43及び芯材第三層45は本発明の第一木材層に相当し、芯材第二層32,芯材第二層42及び芯材第二層44は本発明の第二木材層に相当する。
【0053】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0054】
例えば、積層木材10,30については、図1及び図3を用いて、それぞれ第一木材層11,13、及び第一木材層31,33における第一木材1の幅方向の境界の位置が、幅方向に揃っている場合を例示したがこれに限定されない。例えば、図6に例示するように、第一木材層11における第一木材1の幅方向の境界の位置と、第一木材層13における第一木材1の幅方向の境界の位置とを、幅方向に互いにずらして列設することもできる。これにより、厚さ方向に作用する曲げ応力に対して、より剛性の高い積層木材50とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態の積層木材の斜視図である。
【図2】図1の積層木材の製造方法を示す工程図である。
【図3】他の実施形態の積層木材の斜視図である。
【図4】図3の積層木材の製造方法を示す工程図である。
【図5】他の実施形態の積層木材の構成を説明する断面図である。
【図6】他の実施形態の積層木材の斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1 第一木材
2 第二木材
3 接着剤層
10,30 積層木材
11,13 第一木材層
12 第二木材層
51 表面材(第一表面材)
52 表面材(第二表面材)
S1 第一木材列設工程
S2a,S2b 第二木材接着列設工程
S3 第一木材接着列設工程
S5,T17 圧締工程
T11 第一表面材設置工程
T12a,T12b 芯材第一層形成工程
T13 芯材第二層形成工程
T14a,T14b 芯材第三層形成工程
T16 第二表面材層形成工程
【出願人】 【識別番号】306038134
【氏名又は名称】富山建材株式会社
【出願日】 平成18年11月22日(2006.11.22)
【代理人】 【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次

【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代


【公開番号】 特開2008−126572(P2008−126572A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−315686(P2006−315686)