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【発明の名称】 浮造り床材
【発明者】 【氏名】丸尾 克行

【要約】 【課題】基材として南洋材合板や針葉樹合板のように表層部が柔らかい木質系基材10を用い、その上に針葉樹ツキ板30を積層した浮造り床材1aにおいて、針葉樹ツキ板30の耐傷性、耐凹み性および耐クラック性を向上させるとともに、見た目に違和感を起こすことなくかつ環境負荷にも優しい浮造り床材1aを提供する。

【解決手段】浮造り床材1aは、南洋材合板または針葉樹合板のような表層部が柔らかい合板基材である木質系基材10と、木質系基材10の表面に積層された比重の高い平滑面を有する表層岩盤層21を持つ木質繊維板20と、木質繊維板20の表面に積層された浮造り加工が施された針葉樹ツキ板30とを備える。木質繊維板20は好ましくは厚さ方向に半裁した高比重木質繊維板であり、木質繊維本体部22を木質系基材10側とし、表層岩盤層21を針葉樹ツキ板30側として積層する。浮造り加工に際して、木質繊維板20の表層岩盤層21の全部または少なくとも一部が残存するようにして、ブラッシング研削を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表層部が柔らかい木質系基材と、前記木質系基材の表面に比重の高い平滑面を有する表層岩盤層が表面側にくるようにして積層された木質繊維板と、前記木質繊維板の表面に積層された浮造り加工が施された針葉樹ツキ板とを備えることを特徴とする浮造り床材。
【請求項2】
前記木質繊維板が高比重木質繊維板であることを特徴とする請求項1に記載の浮造り床材。
【請求項3】
前記針葉樹ツキ板はその早材部分がすべてブラッシング研削され、さらに前記木質繊維板は表層岩盤層の少なくとも一部が残存していることを特徴とする請求項1または2に記載の浮造り床材。
【請求項4】
請求項3に記載の浮造り床材であって、浮造り加工した針葉樹ツキ板の表面に仕上げ塗装が施されていることを特徴とする浮造り床材。
【請求項5】
前記木質繊維板が厚さ方向に2分割した薄物木質繊維板であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の浮造り床材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は床材に関し、特に、表面の化粧ツキ板に浮造り加工が施されている浮造り床材に関する。
【背景技術】
【0002】
合板等である木質系基材の表面に、例えば針葉樹系のツキ板を積層し、該ツキ板の表面をブラシによりブラッシングして、晩材部分を残し早材部分を研削することによって、ツキ板表面に凹凸を形成するようにした浮造り床材は知られている(特許文献1参照)。ツキ板表面にこのような浮造り加工を施すことにより、自然の木目を生かした立体感のある床材とすることができる。
【0003】
ツキ板に浮造り加工を施すときに、十分に注意を払ってブラッシングを行わないと、早材部分の厚さが薄くなりすぎあるいは完全になくなってしまい、合板等である木質系基材が上から見えてしまうことが起こる。また、基材が南洋材合板または針葉樹合板のような場合には、基材の表層部が柔らかいために、浮造りしたツキ板に、床材に必要とされる耐傷性や、耐凹み性、耐クラック性が得られない場合がある。その不都合を解決する浮造り床材として、特許文献2には、基材とツキ板(木質薄単板)との間に、繊維強化されかつ任意に着色された樹脂強化層を配置した床材が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−326210号公報
【特許文献2】特開2003−266409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の浮造り床材は、樹脂強化層の存在によって、表面層であるツキ板の耐傷性や耐凹み性あるいは耐クラック性は満足したものとなる。しかし、樹脂層であることから、それが上から見えた場合に、任意に着色されているとしても、木質系材料とは異なる印象を見る者に与えるのを避けがたい。また、樹脂材料という異種材料を含むため、床材を焼却等により廃棄処理するときに、環境負荷を低減する目的から樹脂強化層を木質系材料から分別する作業が必要となる。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、基材として南洋材合板や針葉樹合板のように表層部が柔らかい木質系基材を用い、その上に針葉樹ツキ板を積層した浮造り床材において、針葉樹ツキ板の耐傷性、耐凹み性および耐クラック性を向上させるとともに、見た目に違和感を起こすことなくかつ環境負荷にも優しい浮造り床材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による浮造り床材は、表層部が柔らかい木質系基材と、前記木質系基材の表面に比重の高い平滑面を有する表層岩盤層が表面側にくるようにして積層された木質繊維板と、前記木質繊維板の表面に積層された浮造り加工が施された針葉樹ツキ板とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記の浮造り床材では、木質系基材と針葉樹ツキ板との間に、木質繊維板がその比重の高い平滑面を有する表層岩盤層が表面側にくるようにして存在するので、木質系基材が南洋材合板または針葉樹合板のような軟質な材料からなるものであっても、針葉樹ツキ板の早材部分は、上記木質繊維板の表層岩盤層である硬い部分により支えられることとなり、針葉樹ツキ板の耐傷性や耐凹み性、耐クラック性は確保される。また、針葉樹ツキ板に浮造り加工が施されて早材部分が薄くなっても、薄い部分を通して見えるのは木質繊維板であり、同じ木質材料であることから、見る者に大きな違和感を抱かせない。さらに、焼却等により浮造り床材を廃棄処理するときも、すべての材料は同じ木質系材料であり基本的に異種材料を含まないので、格別の分別処理を必要としない。
【0009】
本発明の浮造り床材において、前記木質繊維板には、解繊した植物繊維を接着剤の存在下で熱圧成形して作られるものであれば、従来知られた任意の木質繊維板を用いることができる。好ましくは、比重が0.8〜1.2程度である高比重木質繊維板(HDF、ハードボードとも呼ばれる)であり、それにより、その上に積層する針葉樹ツキ板の一層安定した耐傷性や耐凹み性、耐クラック性が確保される。
【0010】
本発明による浮造り床材において、木質繊維板の表面に針葉樹ツキ板を積層し、ブラシによりブラッシングして浮造り加工を行うときに、針葉樹ツキ板の早材部分の一部のみをブラッシング研削するようにしてもよく、早材部分のすべてをブラッシング研削してもよい。いずれの場合も、ブラッシングによる切削が前記木質繊維板の表層岩盤層を完全に切削せず、少なくとも一部を残層として存在するようにすることがきわめて望ましい。それにより、針葉樹ツキ板の耐傷性や耐凹み性、耐クラック性は一層確実なものとなる。さらに、木質繊維板の柔らかい部分は表層岩盤層に覆われているので、塗装時の斑が現れることもない。
【0011】
本発明による浮造り床材において、好ましくは、前記木質繊維板には厚さ方向に2分割した薄物木質繊維板が用いられ、その分割面を木質系基材側として積層される。木質系基材に対して木質繊維板は接着剤により積層一体化されるが、厚さ方向に2分割した木質繊維板の分割面側を木質系基材側として接着積層することにより、高い接着性が得られる。また、経験上、木質繊維板の厚さは、0.5mm〜1.0mm程度で十分であり、それ以上厚いものはオーバースペックとなりコスト高を招くが、厚さ方向に2分割した木質繊維板を用いることにより、0.5mm〜1.0mm程度の薄い木質繊維板を容易に入手することができるのでコストも低減する。
【0012】
必要に応じて、浮造り加工されたツキ板の表面には、例えば透明または半透明なトップコート層のような仕上げ塗装が施される。また、使用する針葉樹ツキ板の厚さに制限はないが、通常、0.3mm〜1.0mm程度である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基材として南洋材合板や針葉樹合板のように表層部が柔らかい木質系基材を用いる場合でも、針葉樹ツキ板の耐傷性、耐凹み性および耐クラック性を向上させた浮造り床材を得ることができる。また、見た目に塗装時の斑等による違和感を起こすことなくかつ環境負荷にも優しい浮造り床材を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施の形態に基づき説明する。図1aは浮造り加工を行う前の床材の模式的断面図であり、図1bは浮造り加工後の床材の模式的断面図である。また、図1cは表面仕上げ塗装を行った場合での浮造り床材の模式的断面図である。
【0015】
図1aに示す床材1は、表層部が柔らかい木質系基材10と、その表面に積層された木質繊維板20と、木質繊維板20の表面に積層された針葉樹ツキ板30とを備える。木質系基材10に特に制限はなく、従来の床材で用いられている木質系基材を適宜用いることができる。一例として、南洋材合板または針葉樹合板のような表層部が柔らかい合板基材が挙げられる。
【0016】
木質繊維板20は、比重の高い平滑面を有する表層岩盤層21を持つことを条件に、その種類や厚さに特に制限はなく任意である。好ましくは、高比重木質繊維板(HDF)である。木質繊維板20をそのまま木質系基材10の上に接着積層してもよいが、この例では、木質繊維板20を厚さ方向に2分割して、厚さが0.5mm〜1.0mm程度の薄物木質繊維板としたものを用いており、その分割面(木質繊維本体部22側)を木質系基材10側とし、表層岩盤層21側を外側として、木質系基材10の表面に接着積層している。接着剤には、通常、公知の熱硬化性樹脂が用いられる。
【0017】
針葉樹ツキ板30は、この例では厚さは0.3mm〜1.0mm程度である。常套の熱硬化性樹脂やこの変性物のような接着剤を用いて、木質繊維板20の表層岩盤層21の上に接着積層されている。針葉樹ツキ板30は、図示のように、早材部分31と晩材部分32とを有している。
【0018】
図1aに示す床材1の前記針葉樹ツキ板30の表面を、従来知られた方法により、ブラシによるブラッシングを行い、針葉樹ツキ板30の表面にいわゆる浮造り加工を施す。それにより、図1bに示すように、晩材部分32を残して早材部分31はそのほとんどが研削され、針葉樹ツキ板30の表面は凹凸を有するようになる。なお、浮造り加工を施すときに、木質繊維板20の表層岩盤層21の全部または少なくとも一部が残層として存在するようにブラッシング研削を行う。
【0019】
浮造り加工後、必要な場合に、針葉樹ツキ板30の表面に所要の表面塗膜40を仕上げ塗装として形成することにより、図1cに示す本発明による浮造り床材1aが完成する。
【0020】
上記の浮造り床材1aでは、木質系基材10と針葉樹ツキ板30との間に木質繊維板20からなる層が存在しており、その木質繊維板20の比重の高い平滑面を有する表層岩盤層21の上に針葉樹ツキ板30が積層しているので、浮造り後の針葉樹ツキ板30には十分な耐傷性や耐凹み性、耐クラック性が確保される。また、この浮造り床材1aでは、木質繊維板20の柔らかい層22は表層岩盤層21に覆われているので、この仕上げ塗装時に、塗装斑が生じることもない。また、針葉樹ツキ板30の早材部分31が薄くなっても、薄い部分を通して見えるのは木質繊維板20であり、同じ木質材料であることから、見る者に大きな違和感を抱かせない。さらに、前記したように、焼却等により浮造り床材1aを廃棄処理するときも、すべての材料は同じ木質系材料であり基本的に異種材料を含まないので、格別の分別処理を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による薄造り床材を製造過程とともに示しており、図1aは浮造り加工を行う前の床材の模式的断面図、図1bは浮造り加工後の床材の模式的断面図、および図1cは表面塗装を行った場合での浮造り床材の模式的断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1a…本発明による浮造り床材、10…木質系基材、20…木質繊維板、21…表層岩盤層、22…木質繊維本体部、30…ツキ板、31…早材部分、32…晩材部分
【出願人】 【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
【出願日】 平成18年10月19日(2006.10.19)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔

【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男

【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康


【公開番号】 特開2008−100436(P2008−100436A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−285139(P2006−285139)