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【発明の名称】 木質板の接合方法
【発明者】 【氏名】関 行雄

【氏名】舘 正夫

【要約】 【課題】木質板の端面同士を接合して大型木質板を生産するのに好適な木質板の接合方法を提供する。

【解決手段】一方の木質板1aの上面を切削定規面として、一側縁部を角度α1で斜めに切断する上面側の一側縁部切断工程と、下面を切削定規面として、一側縁部を該一側縁部を角度α2で斜めに切断する下面側の一側縁部切断工程とにより、断面略横V字状の突条からなる雄接合部を形成するとともに、他方の木質板の上面を切削定規面として、該上面側の他側縁部をその内部にかけて角度α1で斜めに切削して切り込みを入れる上面側の他側縁部切り込み工程と、他方の木質板の下面を切削定規面として、該下面側の他側縁部をその内部にかけて角度α2で斜めに切削して切り込みを入れる下面側の他側縁部切り込み工程とで切断することにより、他方の木質板の他側端面に、断面略横V字状の条溝からなる雌接合部を形成し、上記雄接合部と上記雌接合部とを接合一体化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の木質板の上面を切削定規面として、該上面側の一側縁部を、一側端面の中央から上面側寄りの央部所定位置P1を通過するように傾斜角度α1で斜めに切削して切断する上面側の一側縁部切断工程と、一方の木質板の下面を切削定規面として、該下面側の一側縁部を一側端面の中央から下面側寄りの央部所定位置P2を通過するように傾斜角度α2で斜めに切削して切断する下面側の一側縁部切断工程とにより、上記一方の木質板の一側端面にP1−P2を底面とする断面略横V字状の突条からなる雄接合部を形成するとともに、他方の木質板の上面を切削定規面として、該上面側の他側縁部を、その内部の中央から上面側寄りの央部所定位置Q1に少なくとも至るように傾斜角度α1で切削して切り込みを入れる上面側の他側縁部切り込み工程と、他方の木質板の下面を切削定規面として、該下面側の他側縁部をその内部の中央から下面側寄りの央部所定位置Q2に少なくとも至るように傾斜角度α2で斜めに切削して切り込みを入れる下面側の他側縁部切り込み工程とで切断することにより、他方の木質板の他側端面に断面略横V字状の条溝からなる雌接合部を形成し、次いで上記一方の木質板の一側端面に形成した雄接合部と上記他方の木質板の他側端面に形成した雌接合部とを接合一体化することを特徴とする木質板の接合方法。
【請求項2】
一方の木質板の上面から上面側寄りの央部所定位置P1までの垂直距離と、一方の木質板の下面から下面側寄りの央部所定位置P2までの垂直距離が等しく、他方の木質板の上面から上面側寄りの央部所定位置Q1までの垂直距離と、他方の木質板の下面から下面側寄りの央部所定位置Q2までの垂直距離が等しいことを特徴とする請求項1に記載の木質板の接合方法。
【請求項3】
雄接合部の断面略横V字状の突条の底面と、雌接合部の断面略横V字状の条溝の底部との間に間隙が形成されるように接合一体化することを特徴とする請求項1又は2に記載の木質板の接合方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、特に木質板の端面同士を接合して大版や長尺等の大型木質板を生産するのに好適な木質板の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、合板、LVL等の木質板の接合構造として、特許文献1の図2(g)や特許文献2の第1図に示されるような、断面略横V字状の雌雄の接合端面同士を接合するものは良く知られている。
【0003】
そして、このような断面略横V字状の雌雄の接合端面は、木質板の上下面のいずれか一方の面を切削定規面として位置決めされた鋸やカッター等の切削具を用いて切削されて形成されている。
【0004】
しかしながら、このような雌雄の接合端面を持つ木質板の当該接合端面同士を接着剤を介して接合一体化しようとした場合、その接合端面が上記上下面のいずれか一方の面を切削定規面として位置決めされた鋸やカッター等を用いて切削されているため、図4および図5に示すように、他方の面に木質板の厚み寸法のバラツキに起因する段差eを生じることがあった。
【0005】
このような段差eは、特に、例えばトラックの荷台や煽り板等に用いることができるような大版や長尺の厚みのある接合木質板を、複数の木質板の端面同士を接合して形成する場合に目立つことがあり、平滑さを要求される商品の仕上がり外観を著しく損ねたり、場合によっては接合された大版等大型の木質板の表面を多大な手間をかけて研削したりしなければならない等の不具合を生じることがあった。
【0006】
【特許文献1】特開平10−95002号
【特許文献2】実開昭54−74771号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、斯かる従来の問題に鑑みなされたもので、接合する木質板に多少の厚みのバラツキがあっても、その接合部に生じる段差eの大きさを半減させることができて外観が良く、また強度や、歩留まりにも優れた木質板の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願請求項1の発明の木質板の接合方法は、一方の木質板の上面を切削定規面として、該上面側の一側縁部を、一側端面の中央から上面側寄りの央部所定位置P1を通過するように傾斜角度α1で斜めに切削して切断する上面側の一側縁部切断工程と、一方の木質板の下面を切削定規面として、該下面側の一側縁部を一側端面の中央から下面側寄りの央部所定位置P2を通過するように傾斜角度α2で斜めに切削して切断する下面側の一側縁部切断工程とにより、上記一方の木質板の一側端面にP1−P2を底面とする断面略横V字状の突条からなる雄接合部を形成するとともに、他方の木質板の上面を切削定規面として、該上面側の他側縁部を、その内部の中央から上面側寄りの央部所定位置Q1に少なくとも至るように傾斜角度α1で切削して切り込みを入れる上面側の他側縁部切り込み工程と、他方の木質板の下面を切削定規面として、該下面側の他側縁部をその内部の中央から下面側寄りの央部所定位置Q2に少なくとも至るように傾斜角度α2で斜めに切削して切り込みを入れる下面側の他側縁部切り込み工程とで切断することにより、他方の木質板の他側端面に断面略横V字状の条溝からなる雌接合部を形成し、次いで上記一方の木質板の一側端面に形成した雄接合部と上記他方の木質板の他側端面に形成した雌接合部とを接合一体化することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明の木質板の接合方法は、請求項1の発明において、一方の木質板の上面から上面側寄りの央部所定位置P1までの垂直距離と、一方の木質板の下面から下面側寄りの央部所定位置P2までの垂直距離が等しく、他方の木質板の上面から上面側寄りの央部所定位置Q1までの垂直距離と、他方の木質板の下面から下面側寄りの央部所定位置Q2までの垂直距離が等しいことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明の木質板の接合方法は、請求項1又は2の発明において、雄接合部の断面略横V字状の突条の底面と、雌接合部の断面略横V字状の条溝の底部との間に間隙が形成されるように接合一体化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明の木質板の接合方法によると、断面略横V字状の雌雄の接合部を接合するものであるので、通常用いられるフィンガージョイント方式の接合に較べて接合幅を広く取ることができ接合部の強度を強くすることができる。
【0012】
また、断面略横V字状の雌雄の接合部を、上下面の一方の面を切削定規面として一方の面側の側縁部を例えば上から下に斜めに切断する又は斜めに切り込みを入れるとともに、他方の面を切削定規面として他方の面側の側縁部を例えば下から上に切断する又は斜めに切り込みを入れて切断することにより形成するというように上下両面を切削定規面として形成しているので、接合する木質板の厚みが多少異なっていても、各木質板の上下面間の中心位置でその厚みバラツキが配分されるため、上面又は下面に生じる段差eを半減させることができる。そして、このため、段差が目立たず外観がよく、また、多大な手間を要して段差eを研削する必要も少なく、また研削するにしてもその手間を半減させることができる。
【0013】
更に、断面略横V字状の雄接合部の形状を底面が形成される形状にしているので雌雄の接合部の底部同士が衝突することなく嵌め込みを確実容易に行なうことができる。
【0014】
請求項2の発明の木質板の接合方法によると、請求項1の発明において雌雄の接合部を上下面からの垂直距離が等しくなる位置に形成することができるので、接合を一層安定して強固に行なうことができる。
【0015】
請求項3の発明の木質板の接合方法によると、雄接合部の底面と雌接合部の底部との間に間隙が形成されるように接合一体化することができるので、通常のスカーフジョイントや横V字状ジョイントで接合する場合に較べて間隙の寸法分歩留まりを良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図1〜図3の図面に基づき説明する。尚、本発明は本実施例の記載内容に限られるものではない。
【0017】
図1の(a)〜(c)は、一方の木質板1aの一側端面に、底面2aを有する断面略横V字状の突条からなる雄接合部2を形成する方法を示し、図2の(a)〜(c)は、他方の木質板1bの他側端面に、底面3aを有する断面略横V字状の条溝からなる雌接合部3を形成する方法を示す。また図3は、一方の木質板1aの一側端面に形成した雄接合部2と他方の木質板1bの他側端面に形成した雌接合部3とを嵌合接着して、木質板1a、1bを接合一体化した状態を示す。
【0018】
図1の(a)より、4および5は、一方の木質板1aの上面を切削定規面とするための装置である。そして、4は、上記木質板1aの上面位置を固定するための上面位置固定具であり、ロール体、プレート体、ブロック体等からなる。また、5は上記木質板1aの下面を押し上げて、その上面を上記上面位置固定具4に押し付け固定するための押し上げ具であり、昇降可能なロール体、プレート体、ブロック体等からなる。6は、上記木質板1aの上面側の一側縁部を、上面を切削定規面として所定の角度α1で斜めに切断するようにセットされた鋸等の切削具である。
【0019】
図1の(a)より、先ず上記木質板1aの下面を押し上げ具5により押し上げて木質板1aの上面を上面位置固定具4に押し付けることにより、上記木質板1aの位置を固定する。次いで、この一方の木質板1aの上面を切削定規面として、その上面側の一側縁部を、一側端面の中央から上面側寄りで上面からの垂直距離がpである所定位置P1を通過するように、鋸等の切削具6により傾斜角度α1で斜めに切削して切断する。
【0020】
図1の(b)より、4’および5’は、一方の木質板1aの下面を切削定規面とするための装置である。そして、4’は、上記木質板1aの下面位置を固定するための下面位置固定具であり、ロール体、プレート体、ブロック体等からなる。また、5’は上記木質板1aの上面を押圧して、その下面を上記下面位置固定具4’に押し付け固定するための押圧具であり、昇降可能なロール体、プレート体、ブロック体等からなる。6’は、上記木質板1aの下面側の一側縁部を、下面を切削定規面として所定の角度で斜め上方に切断するようにセットされた鋸等の切削具である。
【0021】
図1の(b)より、先ず上記木質板1aの上面を押圧具5’により押圧してその下面を下面位置固定具4’に押し付けることにより、上記木質板1aの位置を固定する。次いで、この一方の木質板1aの下面を切削定規面として、その下面側の一側縁部を、一側端面の中央から下面側寄りで下面からの垂直距離がpである所定位置P2を通過するように、鋸等の切削具6’により傾斜角度α2で斜めに切削して切断する。ここにおいて、鋸6、6’の傾斜角度α1とα2とは、木質板1aの水平中心線に対して反転させた関係の、α1=α2の角度となるようにしてある。
【0022】
このようにして、一方の木質板1aの上下両面の一側縁部を、図1の(a)、および図1の(b)のようにそれぞれ斜めに切削して切断することにより、図1の(c)に示すようにP1−P2を底面2aを有する断面略横V字状の突条からなる雄接合部2に形成する。
【0023】
次に、図2の(a)より、4および5は、他方の木質板1bの上面を切削定規面とするための装置である。そして、4は、上記木質板1bの上面位置を固定するための上面位置固定具であり、ロール体、プレート体、ブロック体等からなる。また、5は上記木質板1bの下面を押し上げて、木質板1bの上面を上記上面位置固定具4に押し付け固定するための押し上げ具であり、昇降可能なロール体、プレート体、ブロック体等からなる。7は、上記木質板1bの上面側の他側縁部を上面を切削定規面として所定の角度α1で斜めに切り込みを入れるようにセットされた鋸等の切削具である。
【0024】
図2の(a)より、先ず上記木質板1bの下面を押し上げ具5により押し上げて木質板1bの上面を上面位置固定具4に押し付けることにより、上記木質板1bの位置を固定する。次いで、この他方の木質板1bの上面を切削定規面として、その上面側の他側縁部を、その内部の中央から上面側寄りで上面からの垂直距離がqである所定位置Q1に到るように、鋸等の切削具7により傾斜角度α1で斜めに切削して切り込みを入れる。
【0025】
次に図2の(b)より、4’および5’は、他方の木質板1bの下面を切削定規面とするための装置である。そして、4’は、上記木質板1bの下面位置を固定するための下面位置固定具であり、ロール体、プレート体、ブロック体等からなる。また、5’は上記木質板1bの上面を押圧して、その下面を上記下面位置固定具4’に押し付け固定するための押圧具であり、昇降可能なロール体、プレート体、ブロック体等からなる。7’は、上記木質板1bの下面側の他側縁部を、下面を切削定規面として所定の角度で斜め上方に切断するようにセットされた鋸等の切削具である。
【0026】
図2の(b)より、先ず上記木質板1bの上面を押圧具5’により押圧してその下面を下面位置固定具4’に押し付けることにより、上記木質板1bの位置を固定する。次いで、この一方の木質板1bの下面を切削定規面として、その下面側の他側縁部を、その内部の中央から下面側寄りで下面からの垂直距離がqである所定位置Q2に到るように、鋸等の切削具7’により傾斜角度α2で斜めに切削して切り込みを入れる。ここにおいて、鋸等の切削具7、7’の傾斜角度α1とα2は、前記雄接合部2を形成するために用いた鋸等の切削具6、6’の傾斜角度α1、α2と同じ傾斜角度に形成され、木質板1bの水平中心線に対して反転させた関係の、α1=α2の角度となるようにしてある。
【0027】
このようにして、他方の木質板1bの上面側および下面側の他側縁部に、図2の(a)、および図2の(b)に示したようにそれぞれ斜めに切り込みを入れて切断することにより、図2の(c)に示すようにQ1−Q2を底面状の底部3aとする断面略横V字状の条溝からなる雌接合部3に形成する。ここにおいて、底部3aは底面状である必要はなく鋭角状に形成しておくこともできる。
【0028】
次に、このようにして形成した一方の木質板1aの一側端面に形成された雄接合部2と、他方の木質板1bの他側端面に形成された雌接合部3とを接着剤を介して嵌合し、上下方向に加圧、或いは加熱加圧することで、図3に示すように接合一体化する。
【0029】
尚、本実施例では、一方の木質板1aが他方の木質板1bよりも少し厚みが大きい場合を示している。そしてこのように厚みのバラツキがあっても、そのバラツキは接合部8の厚み方向中央で配分されるので、接合部8の上下面に生じる段差を半減させることができるものである。また、木質板1aの雄接合部2の底部を底面2aに形成するとともに、この雄接合部2の底面2aと、他方の木質板1bの雌接合部3の底部3aとの間に隙間tを生じるようにしているので、両者の嵌合を確実且つ容易に行なうことができ、また隙間tの幅寸法分、歩留まりも良くすることができる。
【0030】
尚、上記本実施例では、図1の(a)において一方の木質板1aの上面側一側縁部を斜めに切断し、図1の(b)において一方の木質板1aの下面側一側縁部を斜めに切断し、図2の(a)において他方の木質板1bの上面側他側縁部に切り込みを入れ、図2の(b)において他方の木質板1bの下面側他側縁部に切り込みを入れる順で説明したが、本願発明はこのような説明の順序で行うものに限定されるものではなく、任意の順序で行なうことができるのは勿論である。
【0031】
また、本実施例では、一方の木質板1aの一側縁部に雄接合部2を形成し、他方の木質板1bの他側縁部に雌接合部3を形成した場合を例示したが、これに限るものではなく、例えば一方の木質板1aの一側縁部に雄接合部2を形成するとともにその他側縁部に雌接合部してもよく、また他方の木質板1bの他側縁部に雌接合部3を形成するとともにその一側縁部に雄接合部を形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の木質板の接合方法において、木質板1aの一側端面に断面略横V字状の雄接合部2を形成する方法を説明する部分断面図。
【図2】本発明の木質板の接合方法において、木質板1bの他側端面に断面略横V字状の雌接合部3を形成する方法を説明する部分断面図。
【図3】本発明の木質板の接合方法において、木質板1a、1b同士の接合状態を説明する部分断面図。
【図4】従来の木質板の接合方法において、木質板同士の接合状態を説明する部分断面図。
【図5】従来の木質板の接合方法において、木質板同士の別の接合状態を説明する部分断面図。
【符号の説明】
【0033】
1a、1b 木質板
2 雄接合部
2a 底面
3 雌接合部
3a 底部
4 上面位置固定具
4’ 下面位置固定具
5 押し上げ具
5’ 押圧具
6、6’、7、7’ 切削具
8 接合部
【出願人】 【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
【出願日】 平成18年10月19日(2006.10.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−100429(P2008−100429A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−284948(P2006−284948)