トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 複合基材
【発明者】 【氏名】蓑田 哲宏

【要約】 【課題】基材として表面平滑性に優れ、表面硬さにも優れ、長手方向及び幅方向の反りが発生しにくく、また、床材基材として用いた場合、施工後、隣接する床材間の継ぎ目に目隙が発生しにくく、寸法安定性にも優れた木質の複合基材を安価に提供する。

【構成】中比重繊維板を厚さ方向に分割した薄板を木質板の表面に積層接着して得られた複合基材であって、前記薄板と木質板との間に硬質の補強層が設けられ、複合基材の裏面側に所定深さの条溝が設けられ、前記条溝は溝天面が補強層の下面近傍にまで達する深さとし、複合基材の長手方向に略平行した方向及び長手方向に略直交した方向の少なくともいずれか片方の方向に設けるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中比重繊維板を厚さ方向に分割した薄板を木質板の表面に積層接着して得られた複合基材であって、該複合基材の裏面側に所定深さの条溝が設けられていることを特徴とする複合基材。
【請求項2】
前記薄板は硬質層側を外側にして積層接着され、前記条溝は複合基材の長手方向に略平行した方向及び長手方向に略直交した方向の少なくともいずれか一方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の複合基材。
【請求項3】
前記薄板と木質板との間に硬質の補強層が設けられ、前記条溝の深さが木質板の厚みの80%以上で、条溝の天面が補強層の下面近傍にまで達していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合基材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は木質の複合基材に関し、詳しくは木質板の表面に中比重繊維板の薄板を積層接着して得られた木質の複合基材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、床材等の基材として合板等の木質板を基材としたものが一般的によく用いられてきた。また、基材の表面平滑性等を考慮して中比重繊維板の単体を基材とすることも多々あった。また、中比重繊維板は木質板に比べて表面平滑性及び表面硬さに優れ、その反面、吸湿、放湿による寸法変化が大きく、そのことによって反りが発生したり、例えば床板として使用された場合、隣接床板との間に目隙が発生するといった問題点もあった。
【0003】
そこで、中比重繊維板と木質板とを積層接着し複合基材を得ることが従来から種々試みられ、木質板と中比重繊維板との複合基材として、例えば、図5に示すように、厚み約3mm程度の中比重繊維板12の片面を接着適性を考慮して研磨紙で研磨し表面を適度に粗くし、研磨した面を木質板13の表面と接するようにして積層接着された複合基材11があった。この場合の中比重繊維板12は木質板13の表面側に片面貼りであった。
【0004】
上記従来型の複合基材11の場合、合板等の木質板13と中比重繊維板12とでは、乾燥収縮率、吸湿膨張率が異なり、しかも中比重繊維板12を片面貼りしているので、例えば、住宅内の床材の基材として用いた場合、床下地や床上からの吸湿、乾燥を長期間繰り返していると、上反り(基材の中央部が上に凸となる向きの反り)、又は逆反り(基材の中央部が下に凸となる向きの反り)が発生するといった問題点があった。
【0005】
また、中比重繊維板12の表裏面に近い層は高密度層となっており、所謂、硬質層が形成されている。また、厚み方向の中心部の層は比較的低密度の層となっており、所謂、軟質層が形成されている。中比重繊維板12の高密度層は積層接着時の接着剤が浸透しにくく、ややもすれば、接着不良の原因となる。そこで、中比重繊維板12の接着適性を考慮すると、中比重繊維板12の片面を研磨して比較的密度が低く、粗い層(軟質層)を露出させて接着性を良くすることが必要とされる。このため、中比重繊維板12の研磨した面を木質板13の表面と接するようにして積層接着することが行われてきたのである。しかし、このように、厚み約3mm程度の中比重繊維板12の片面を研磨することは、そのための専用機械として、薄物専用サンダーが必要となり、しかも薄物板の研磨は製造技術的に高度な技術水準を要するものであった。また、床暖房用床材の基材として使用した場合、中比重繊維板12は加熱によって乾燥収縮し易く、表面の中比重繊維板12の箇所で目隙が生じ易いといった問題点もあった。
【0006】
上記問題点のうち、複合基材の反りを解決するために、中比重繊維板を木質板の両面に貼着した複合基材が用いられたが、中比重繊維板は、合板等の木質板に比べてコストが高く、また、中比重繊維板は薄くても約3mm程度の厚みがあり、約3mm程度の厚みのものを木質板の両面に使用するとコスト的にも不利なものとなっていた。また、厚み約3mmの中比重繊維板は厚みが大きすぎて、床暖房用床材の基材として用いられた場合、中比重繊維板表面の目隙が大きく発生し、その解消は極めて困難であった。
【0007】
そこで、中比重繊維板を表面に平行に二つ割りにし厚み約1.5mm程度の中比重繊維板を製造し、中比重繊維板の接着性の良い分割面(粗い面)を木質芯材と接着一体化した木質材の記載がある。(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平10−193309号公報(第1−3頁、第1、2図)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記、従来からある合板等の木質板そのものを基材としたものは、表面の平滑性に乏しく、また、表面固さに劣り、特に床材としての適性が不十分であった。また、基材の表面平滑性や表面硬さを考慮して中比重繊維板そのものを基材とすることもあったが、中比重繊維板は湿気等による含水率変動によって寸法変化が比較的大きく、床材の厚み変動、反り、目隙等が生じ易く、又、床材等に使用した場合、曲げ強度が不足するといった問題点があった。さらに、通常の合板に比べるとコスト高につくといった問題点もあった。
【0010】
そこで、それを解消するために、中比重繊維板と木質板との複合も上記のように種々考えられたが、中比重繊維板の片面貼りのものは複合基材とした場合の反りが生じ易く、両面貼りのものはコストアップが大きくなり経済性に乏しい。また、床暖房用床材として使用した場合、特に中比重繊維板の熱収縮が原因で寸法安定性に劣り、床暖房用床材の基材として目隙の問題点が解決されなかった。また、木質板と接着する側の中比重繊維板の表面が硬質層であると、接着不良の原因ともなっていた。
【0011】
また、上記特開平10−193309号公報に記載の複合基材の場合、中比重繊維板の接着性の良い分割面(粗い面、すなわち、低密度層である面)を木質芯材と接着した構成ゆえ、木質芯材との接着性は良好である。しかし、複合基材の表面裏面の外面側は中比重繊維板の非分割面が現れ、この面は硬質層で構成されている。この場合、複合基材の表面側は硬質層ゆえ硬く、例えば床材として好適であり、基材として負荷のかからない軽薄な表面化粧材等の貼着のみであれば、硬質層であっても、接着剤と表面化粧材の相性を適度に選定すれば、表面化粧材の接着にとって特に問題はない。しかし、裏面側は床下地材等へ接着剤等で張り付けることになるが、床下地材との接着箇所は負荷が大きくかかる場合が多く、中比重繊維板の硬質層は接着剤の浸透を妨げ、接着不良の原因となる恐れがある。それを回避するために複合基材の裏面側をサンダーで研磨する必要が生じるが、そのためのコストアップは免れない。
【0012】
また、上記、厚み約1.5mm程度の二つ割りの中比重繊維板のうち木質芯材の裏面側に貼着するものについて、木質芯材に張り合わせる前に硬質層側の面を研磨することも考えられるが、約1.5mm程度の中比重繊維板を研磨するには、それ専用のサンダーと高度な技術水準が必要となるといった問題点もあった。
【0013】
また、木質板の両面に厚み約1.5mm程度の中比重繊維板を積層接着することになるが、もとの木質板そのものに反りが発生していなければ、複合基材としたのち、反りが発生する恐れは、それほど大きくない。しかし、木質板そのものに反りが発生していた場合、複合基材としたのち、複合基材に反りが発生する恐れがあり、このことが大きな問題点であった。前記複合基材の芯材となる合板等の木質板そのものに反りがあると、中比重繊維板を積層接着した後の複合基材に反りが発生し易くなるばかりでなく、中比重繊維板との接着作業工程において、木質板の反りは製造作業性の低下と品質の低下と製造歩留まりの低下(製品不良率の増加)をきたす恐れが生じていた。
【0014】
また、複合基材表面側の目隙については、中比重繊維板を約1.5mm程度にしても、中比重繊維板の薄板とまではいえず、なかなか解消し難いものであった。中比重繊維板の厚みは厚くても約1mm程度以下の、中比重繊維板の薄板でないと床暖房用床材の基材とした場合の目隙解消には、なかなかつながらないのが現状であった。
【0015】
本発明の目的とするところは、基材として表面平滑性に優れ、表面硬さにも優れ、反り、目隙が発生しにくく、寸法安定性にも優れた木質の複合基材を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の複合基材は、中比重繊維板を厚さ方向に分割した薄板を木質板の表面に積層接着して得られた複合基材であって、該複合基材の裏面側に所定深さの条溝が設けられていることを特徴としている。
【0017】
このような構成を有する請求項1に記載の複合基材によれば、中比重繊維板の薄板を木質板の表面に積層接着した構成であるので、表面平滑性及び表面硬さに優れたものとなる。また、複合基材の裏面側に所定深さの条溝が設けられているので、中比重繊維板の片面貼りにも関わらず、前記条溝の働きで、反りにくいものとなる。また、前記条溝の働きで目隙に対しても有効に防止できる。前記条溝の有効な深さ寸法は合板等木質板の厚みの2/3以上が好ましい。
【0018】
請求項2に記載の複合基材は請求項1に記載の複合基材において、前記薄板は硬質層側を外側にして積層接着され、前記条溝は複合基材の長手方向に略平行した方向及び長手方向に略直交した方向の少なくともいずれか一方に設けられていることを特徴としている。
【0019】
このような構成を有する請求項2に記載の複合基材によれば、中比重繊維板の薄板の硬質層側を外側にして積層接着されており、従って、中比重繊維板の分割面、すなわち密度が低く粗い面(軟質層側)を木質板と接するようにして積層接着されているので、木質板との接着面において、接着剤の浸透性が良好で、接着不良の恐れがない。また、複合基材の裏面側に設けられた前記条溝は、複合基材の長手方向に略平行した方向か、又は、長手方向に略直交した方向か、又は、長手方向に略平行した方向及び長手方向に略直交した方向の両方に設けられているので、反り防止の観点から見て、よりいっそう好適である。
【0020】
請求項3に記載の複合基材は請求項1又は請求項2に記載の複合基材において、前記薄板と木質板との間に硬質の補強層が設けられ、前記条溝の深さが木質板の厚みの80%以上で、条溝の天面が補強層の下面近傍にまで達していることを特徴としている。
【0021】
このような構成を有する請求項3に記載の複合基材によれば、前記薄板と木質板との間に硬質の補強層が設けられているので、複合基材裏面側から形成される前記条溝の溝深さを極めて深くしても、表面側からの負荷による表面化粧材等の割れの恐れがない。従って、複合基材の反り防止や目隙防止にとって最適な深さ、すなわち、木質板の厚みの80%以上の溝深さとし、裏面側から切り込む条溝の天面が、補強層の下面近傍にまで達する程度に深くしても、表面側からの負荷によって、表面側から割れが発生する恐れがない。従って、複合基材裏面の条溝の深さを十分に深くすることが可能で、複合基材の反り防止や目隙防止と、表面側からの負荷による表面化粧材等の割れ防止の両立をはかることが可能となり、複合基材として、よりいっそう好適である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、中比重繊維板の薄板を木質板の表面に積層接着した構成であるので、表面平滑性及び表面硬さに優れたものとなる。また、複合基材の裏面側に所定深さの条溝が設けられているので、中比重繊維板の片面貼りにも関わらず、前記条溝の働きで、反りにくいものとなる。また、前記条溝の働きで目隙に対しても有効に防止できる。前記条溝の有効な深さ寸法は合板等木質板の厚みの2/3以上が好ましい。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、中比重繊維板の薄板の硬質層側を外側にして積層接着されており、従って、中比重繊維板の分割面、すなわち密度が低く粗い面(軟質層側)を木質板と接するようにして積層接着されているので、木質板との接着面において、接着剤の浸透性が良好で、接着不良の恐れがない。また、複合基材の裏面側に設けられた前記条溝は、複合基材の長手方向に略平行した方向か、又は、長手方向に略直交した方向か、又は、長手方向に略平行した方向及び長手方向に略直交した方向の両方に設けられているので、反り防止の観点から見て、よりいっそう好適である。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、前記薄板と木質板との間に硬質の補強層が設けられているので、前記条溝の深さを木質板の厚みの80%以上とし、条溝の天面が補強層の下面近傍にまで達する程度にまで極めて深くしても、表面側からの負荷による表面化粧材等の割れの恐れがない。従って、複合基材の反り防止や目隙防止にとって最適な深さ、すなわち、木質板の厚みの80%以上の溝深さとすることができる。従って、複合基材裏面の条溝の深さを十分に深くすることが可能で、複合基材の反り防止や目隙防止と、表面側からの負荷による表面化粧材等の割れ防止の両立をはかることが可能となり、複合基材として、よりいっそう好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の一実施形態の詳細を図面に従って説明する。図1は本発明の複合基材の断面図で(イ)は複合基材の長手方向の断面図を示し、(ロ)は複合基材の短手方向の断面図を示す。図2は本発明の複合基材に用いる中比重繊維板の分割を示す模式図、図3は本発明の複合基材の裏面を示す平面図である。(イ)は複合基材の短手方向に条溝を形成した例を示す。(ロ)は複合基材の長手方向に条溝を形成した例を示す。(ハ)は複合基材の短手方向、長手方向の両方向に条溝を形成した例を示す。図4は本発明の複合基材の要部拡大断面図である。
【0026】
図1〜図4において本発明の複合基材1の一実施形態の詳細を述べる。本発明の複合基材1は中比重繊維板Mの薄板2を木質板3の表面に積層接着して構成されている。中比重繊維板Mはその厚みとして最も薄いもので約3mm程度であり、厚み方向に密度が異なった層で構成されている。すなわち、表面及び裏面の両面に密度が高い硬質層Kが形成されており、厚み方向の略中央部が密度の低い軟質層Nが形成されており、表面側から、硬質層K、軟質層N、硬質層Kがこの順で構成されている。
【0027】
前記中比重繊維板Mは本例では、その厚み方向に二分割され2枚の中比重繊維板の薄板2が作製されている。元の分割前の中比重繊維板Mの表裏両面(非分割面)は硬質層Kが形成されており、元の分割前の中比重繊維板Mの厚み方向の略中央部(分割面)は軟質層Nが形成されている。従って、前記薄板2は片面が前記非分割面の硬質層Kからなり、他方の面が前記分割面の軟質層Nからなる構成を有している。
【0028】
合板等の木質板3の表面に中比重繊維板Mの薄板2を張り合わせて複合基材1とすることの意味は、中比重繊維板Mの表面平滑性及び表面硬さといった利点を生かし、合わせて、合板等の木質板3の寸法安定性及び反りにくさといった利点をも合わせ持った複合基材1とすることにある。
【0029】
中比重繊維板Mは合板等の木質板3に比較して吸湿、乾燥時の寸法変化が大きく、このことが、従来は、中比重繊維板と木質板とを単に複合させただけの基材とした場合、反りの発生や、例えば床材の基材として用いた際、施工後の隣接床板との間の目隙の発生の原因となっていた。従って、本発明のように、木質板3の表面に張り合わせる中比重繊維板Mの薄板2の厚みは、なるべく薄い方が複合基材1となった後の反りや目隙にとって有利に働く。
【0030】
前記中比重繊維板Mの薄板2の厚みは元の中比重繊維板Mの厚みが3mmの場合、二分割後の厚み寸法は約1.5mmとなる。しかし、上述したように、複合基材とした際の、反りや寸法変化や目隙を考慮すると、木質板3の表面に張り合わせる中比重繊維板Mの薄板2の厚みは、なるべく薄い方がよい。上記約1.5mmより薄くするには、通常は、二分割して約1.5mm厚さとなった中比重繊維板Mの薄板2の軟質層N側をサンダーにて研磨することになる。中比重繊維板Mの薄板2をサンディングすること、すなわち、薄物のサンディングは製造技術的にも難しいものであるが、それ専用の研磨装置を用意すれば可能である。また、薄物サンディング以外の方法となると、中比重繊維板Mの厚み方向の分割を二分割でなく、例えば、三分割し、中央の薄板は別用途に使用するか、又は複合基材1の木質板3の裏面側に裏貼り用中比重繊維板として使用し、前記三分割の表面層の薄板及び裏面層の薄板を木質板3の表面に張り合わせる薄板2として用いればよい。また、厚みが約0.5mmよりも薄くなると強度的に弱くなるので、中比重繊維板Mの薄板2の厚みは約0.5〜1.0mm程度が好適である。
【0031】
前記中比重繊維板Mの厚さ方向の分割は本例で示す二分割に限定されるものでなく、三分割、四分割、又はそれ以上であっても良いものとする。但し、七分割以上にすると、分割後の中比重繊維板Mの薄板2が薄くなりすぎて、強度的に弱くなり、薄板製造が極めて困難になる。製造時の安定性を考慮すれば、本例で示す二分割又は三分割〜四分割程度が好適である。本例で示す二分割の場合、中比重繊維板Mを二分割し薄板2を2枚得ることが可能となる。
【0032】
このようにして作製された中比重繊維板Mの薄板2を合板等の木質板3の表面に張り合わせる。本発明では片面貼りでよい。このとき前記薄板2の硬質層K側を外側にして軟質層N側を木質板3側にして積層接着して張り合わせる。
【0033】
中比重繊維板Mを厚み方向に分割(本例では厚み方向に二分割)する方法としては、スライサーの刃物(図示せず)を水平方向に設置し、分割前の中比重繊維板Mを水平にして送りロール(図示せず)等で挟持し、その長手方向に強制的に前進送りさせ、前記スライサーの刃物で厚み方向に切削し分割する。この時、分割面に多少の凹凸が生じ易くなるが、刃物の先端角度、刃物のバイアス角を好適に設定すれば切削抵抗が小さくて済み、分割面の大きな凹凸(図示せず)が軽減し微細な凹凸(図示せず)が主となる。この微細な凹凸は、複合基材1となった場合の表面としては適さないが、木質板3と張り合わせる面としては好適である。すなわち、合板等の木質板3の表面に接着剤で張り付ける場合、前記微細な凹凸が有った方が接着剤が浸透し易く接着適性に優れたものとなる。
【0034】
また、木質板3と中比重繊維板Mの薄板2との積層接着の際の接着剤として、常温硬化型の、ウレタン樹脂系接着剤、アクリル変性ウレタン樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、ユリアメラミン共縮合樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤等が好適なものとして例示できる。また、積層接着条件は、一例として、接着剤塗布量はウエットで約150〜300g/m程度、圧締作業はコールドプレスを用い、圧締圧力は約8.0〜12.0kg/cm程度、圧締温度は常温で、圧締時間は接着剤にもよるが、通常約12〜24時間程度である。圧締完了後、常温で約24時間以上養生し積層接着作業が完了する。しかし、上記接着条件に限定されるものではない。また、上記のような常温圧締でなく、加熱圧締であっても、勿論よいものとする。例えば熱硬化性合成樹脂等からなる接着剤を適切に選定し、それに合った接着条件を設定すればよい。
【0035】
このようにして、複合基材1が作製された後、複合基材1の木質板3の裏面側に所定深さの条溝Jを形成し本発明の複合基材1が完成する。条溝Jの形成方法は、一例として、溝加工機としてグルーバー又はテノーナー等を用い、横軸の回転式カッターで切削する方法がある。このとき、条溝Jの本数に合わせてカッター刃を取り付けるとよい。また、複合基材を中比重繊維板側を下側にして、木質板3の側を上に向けて、木質板3の側から(上側から)前記カッター刃で切削するとよい。すなわち、複合基材1の厚みは製造時に若干のバラツキがあり、必ずしも一定ではない。条溝Jを形成する場合、かなり深く切り込むことななるので、複合基材1の厚み誤差が大きいと木質板3を下側にして下側から切り込むと、前記厚み誤差が原因で、複合基材1の表面(中比重繊維板の薄板2の表面)と条溝Jの天面Tとの距離が一定せず、条溝Jの天面Tが中比重繊維板Mの薄板2の層にまで切り込んでしまう恐れがある。また、中比重繊維板Mの薄板2と木質板3との間に補強層Sを設けた場合は前記補強層Sまで切り込んでしまう恐れがある。従って、前記したように、複合基材を中比重繊維板側を下側にして、木質板3の側を上に向けて、木質板3の側から(上側から)前記カッター刃で切削するとよい。このようにすることで、複合基材1の表面(中比重繊維板の薄板2の表面)と条溝Jの天面Tとの距離が一定となり複合基材1の品質が安定する。
【0036】
また、前記条溝Jの形成方法は、上記のような回転式カッター刃による切削であってもよいし、また、NCルーター、ハンドルーター等のルーターピットを利用して条溝Jを形成してもよい。また、回転式カッター刃、ルーターピット以外の方法で溝形成しても勿論よいものとする。
【0037】
前記条溝Jの形態は図3の(イ)、(ロ)、(ハ)に示すように複合基材1の短手方向の条溝J1のみを設ける構成、長手方向の条溝J2のみを設ける構成、短手方向の条溝J1及び長手方向の条溝J2の両方向の条溝Jを設ける構成のいずれかがよい。前記短手方向の条溝J1は複合基材1の長手方向の曲げ剛性を低下させ、主として複合基材1の長手方向の反りや目隙を軽減する働きがある。また、前記長手方向の条溝J2は複合基材1の幅方向の曲げ剛性を低下させ、主として複合基材1の幅方向の反りや目隙を軽減する働きがある。
【0038】
また、条溝Jの幅寸法は約1〜5mm程度、長さは複合基材の長さ又は幅寸法いっぱいに通しで設け、深さ寸法は合板等木質板3の厚みの2/3以上が好ましい。2/3以下であると、前記複合基材1の反りや目隙を軽減する働きが極端に低下する。また、表面の中比重繊維板の薄板2の厚みが約0.5〜1.0mm程度と極めて薄いので、前記条溝Jの深さが木質板3の厚みの約80%以上になると、例えば、床材の基材として用いた際、床材施工後、床材の上を人が歩行して足で踏みならした場合、人の体重による負荷によって床材の表面に割れが発生し易くなる。従って、反りや目隙を軽減可能で、しかも、床材の表面に割れが発生する恐れがない条溝Jの好適な深さ寸法は、木質板3の厚み寸法の約2/3倍〜約0.8倍程度までである。
【0039】
前記条溝Jの深さを木質板3の厚みの約80%以上にすると、前記反りや目隙軽減効果が著しく現れる。その代わりに床材上を人が歩行する際に床材の表面割れが発生する恐れが生じる。従って、条溝Jの深さを木質板3の厚みの80%以上とし、しかも、床材歩行時の表面割れを完全に防止する方法として、前記中比重繊維板Mの薄板2と木質板3との間に硬質の補強層Sを設けるとよい。このようにして、前記条溝Jの溝天面Tが前記補強層Sの下面近傍にまで達するようにし、条溝Jの溝深さを木質板3の厚みの80%以上となるようにして溝深さを十分に深くすれば、反りや目隙をほぼ完全に軽減することが可能である。しかも、前記補強層の働きで、歩行時床材の表面に割れが発生するのを十分に防止することも合わせて可能となる。しかし、あまり深く切り込んで条溝Jの天面Tが前記補強層Sに達してしまうと補強層Sが切断され機能を果たさなくなるので注意する必要がある。
【0040】
前記補強層Sは硬質でなるべく曲げ剛性の比較的大きな材料が好適である。例えば、厚みが約2mm〜3mm程度の硬質塩ビ樹脂板、硬質アクリル樹脂板、硬質のABS樹脂板、硬質のポリカーボネート樹脂板、硬質のポリエステル樹脂板、硬質のウレタン樹脂板等の合成樹脂板を好適なものとして例示できる。これら以外に、厚みが約1mm〜2mm程度のアルミ、ステンレス、鋼板等の金属製板も好適な材料として例示できる。上記のように曲げ剛性の大きな材料であれば、勿論これら以外の材料であってもよいものとする。
【0041】
前記曲げ剛性の大きな補強層Sとして、実際の床材を使用する場合を考えると、下記の基準が1つの目安となる。歩行する人の体重を約60kgとして安全率を約3倍にみると、床材にかかる負荷が約200kgとなる。例えば、床下地材としての根太(根太張り工法の場合)の施工ピッチが通常、約300mmであるので、300mmピッチで中央に集中荷重を200kgかけた際の中央の撓み量が約2mm以下であると、表面割れの危険性がないといえる。この基準を1つの目安として補強層Sを選定すればよい。
【0042】
前記補強層Sは中比重繊維板Mの薄板2と木質板3との間に挟持し積層接着するとよい。積層接着剤は、例えば、ウレタン樹脂系接着剤、アクリル変成ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等を好適なものとして例示できる。接着作業条件等はそれぞれの接着剤に好適な接着作業条件を選定すればよい。
【0043】
上記のような構成を有するので、すなわち、中比重繊維板Mの薄板2を複合基材1の表面に積層接着した構成で、しかも、中比重繊維板Mの薄板2の硬質層Kが外側面として積層接着されているので、複合基材1として、その表面平滑性及び表面硬さに優れる。また、中比重繊維板Mの薄板2が表面のみの片面貼りであるが、木質板3の裏面に設けられた前記条溝Jの働きで、反りにくいものとなる。また、中比重繊維板Mを厚さ方向に分割した薄板2を用いているので、中比重繊維板としての厚みが薄く、従って、床暖房用床材の基材として用いても寸法安定性に優れ、目隙の発生を防止できる。また、中比重繊維板Mの薄板2の軟質層Nが前記木質板3と接するようにして積層接着されているので、接着不良の恐れがない。また、複合基材1としての裏面側が木質板3(例えば合板等)であるので、下地材(図示せず)との接着性にとっても好適である。
【0044】
また、前記条溝Jが反りや目隙防止にとって効果が発揮できる理由は以下のとおりである。先ず、反り防止効果については、木質板3の厚み方向の寸法の大半に溝形成加工によって条溝Jが設けられているので、複合基材1の曲げ剛性を極めて小さくすることができる。このように、材料の曲げ剛性を極端に小さくすれば、材料の反りを小さく抑えることができる。このようにして、短手方向の条溝J1によって床材の長手方向の反りが軽減される。また、長手方向の条溝J2によって床材の幅方向の反りが軽減される。
【0045】
次に、床材、特に床暖房用床材の基材として用いた場合の目隙防止効果については以下のとおりである。すなわち、先ず、短手方向の条溝J1の場合、条溝本数を増やせば増やすほど、隣接する条溝J1間の木質板3の寸法及び床材の短手端面と1本目の条溝J1間の木質板3の寸法が小さくなり、木質板3の吸湿、乾燥による寸法変化量が小さくなる。従って、床材長手方向に隣接する床材間の継ぎ目の目隙現象を小さく抑えることが可能となる。表面の中比重繊維板Mの薄板2については、厚みが約0.5mm〜1mmと極めて薄いので、目隙の発生にとってあまり問題とならない。
【0046】
また、長手方向の条溝J2の場合、条溝本数を増やせば増やすほど、隣接する条溝J2間の木質板3の寸法及び床材の長手端面と1本目の条溝J2間の木質板3の寸法が小さくなり、木質板3の吸湿、乾燥による寸法変化量が小さくなる。従って、床材幅方向(短手方向)に隣接する床材間の継ぎ目の目隙現象を小さく抑えることが可能となる。表面の中比重繊維板の薄板2については、厚みが約0.5mm〜1mmと極めて薄いので、目隙の発生にとってあまり問題とならない。
【0047】
複合基材1の反り防止や目隙防止にとって、上記条溝Jの有効な深さとしては合板等木質板3の厚みの2/3以上であることが好ましい。木質板3の厚みの約2/3〜約4/5程度が好ましい深さである。約4/5以上と深くなると、表面からの負荷によって表面割れが生じる恐れがある。また、反り防止や目隙防止にとって、最も効果が発揮される条溝Jの最適な深さ寸法は、木質板3の厚みの約80%以上である。すなわち、前記条溝Jの深さを木質板3の厚みの約80%以上にすると、前記反りや目隙軽減効果が著しく現れる。しかし、上記したように、条溝深さが80%以上と深くなりすぎると表面からの負荷によって表面割れが生じる恐れがあるので、条溝深さを木質板3の厚みの80%以上と深くする場合は、前記のような補強層Sを用いる必要がある。
【0048】
本発明の複合基材1を用いて作製された床材を一例に挙げると、複合基材1の寸法としては、長さ1818mm、幅303mm、厚み12.0mmの長方形の複合基材1を例示できる。また、床材に用いられる複合基材1の例として上記寸法に限定されるものではない。上記寸法の複合基材1の他、長さ909mm、幅151.5mm、厚み9.0mmの例もある。また、長さ1818mm、幅101mm、厚み15.0mmの例もある。また、長さ909mm、幅75mm、厚さ6.0mmの例もある。しかし、これらの寸法に限定されるものではない。
【0049】
本発明の複合基材1の木質板3は一実施例として合板等で構成されている。前記合板は木質単板(図示せず)が奇数枚、その繊維方向を略直交させて積層接着されて作製された合板である。木質単板の枚数が奇数枚で、その繊維方向が互いに略直交しているので、吸湿時、乾燥時、寸法変化が極めて小さく、又、反りの発生が抑制される。このようにして作製された木質板3の表面側に中比重繊維板Mの薄板2が硬質層Kを外側にし軟質層Nを木質板3側にして積層接着されている。また、木質板3の裏面側に前記条溝Jが短手方向、長手方向、または短手方向と長手方向の両方向に設けられている。
【0050】
前記木質単板(図示せず)は3枚、5枚、7枚程度が好適である。9枚以上と多くなりすぎると接着剤使用量が多くなり、また、積層接着に手間が多くかかり、コストアップになる。また、前記木質単板の材質は、ラワン、カポール、セラヤ、メラピ、ジョンコン等の南洋材の他、ラジアータパイン等の針葉樹材が好適なものとして例示できる。しかし、これらの樹種に限定されるものではない。
【0051】
複合基材1が完成後、その表面側の中比重繊維板Mの薄板2の硬質層Kの面に表面化粧材(図示せず)が貼着される。床材基材として用いた場合は、複合基材1の四側面のうち対向する二側面又は四側面のいずれかに凸部(図示せず)及びそれに嵌合する凹部(図示せず)が形成され床材が作製される。
【0052】
前記表面化粧材(図示せず)として、熱可塑性合成樹脂シート、天然銘木の突板等からなる化粧材を好適なものとして例示できる。例えば、軟質の塩ビ樹脂シート、オレフィン樹脂シート等を好適なものとして例示できる。化粧材の厚みは樹脂シートの場合、約0.1〜0.3mm程度のものが好適である。熱可塑性合成樹脂シートと中比重繊維板Mの薄板2の硬質層Kを接着する場合、接着剤として、ビニル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂等と接着適性の良好なものを選定すればよい。例えば、酢酸ビニル樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤等を好適なものとして例示できる。ラミネーター等を用いて貼着すればよい。接着条件は、それぞれの接着剤に合った接着条件を適宜選定すればよい。また、天然銘木の突板の場合、化粧材の厚みは約0.2mm〜1.0mm程度のものが好適である。貼着する時の接着剤として、木質材料と接着適性のよいものを選定すればよい。例えば、酢酸ビニル樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、ユリアメラミン共縮合樹脂系接着剤等を好適なものとして例示できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の複合基材の断面図。(イ)長手方向断面図。(ロ)短手方向断面図。
【図2】本発明の中比重繊維板の分割を示す模式図。
【図3】本発明の複合基材の裏面を示す平面図。(イ)短手方向に条溝を形成した例を示す。(ロ)長手方向に条溝を形成した例を示す。(ハ)短手方向、長手方向の両方向に条溝を形成した例を示す。
【図4】本発明の複合基材の要部拡大断面図。
【図5】従来の複合基材の断面図。
【符号の説明】
【0054】
1 複合基材
M 中比重繊維板
2 薄板
K 硬質層
N 軟質層
3 木質板
J 条溝
J1 短手方向の条溝
J2 長手方向の条溝
T 条溝の天面
S 補強層
11 従来の複合基材
12 中比重繊維板
13 木質板
【出願人】 【識別番号】398051497
【氏名又は名称】株式会社パル
【出願日】 平成18年9月13日(2006.9.13)
【代理人】 【識別番号】100074572
【弁理士】
【氏名又は名称】河澄 和夫

【識別番号】100126169
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 淳子


【公開番号】 特開2008−68486(P2008−68486A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−248136(P2006−248136)