トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 建築用構造材
【発明者】 【氏名】植村 敏正

【氏名】片岡 秀夫

【氏名】樋口 孝紀

【氏名】永井 真吾

【氏名】辻本 直子

【要約】 【課題】特に小屋組架構における斜材との接合部位等に好適に利用することができ、かつ強度面でも有利な集成材からなる建築用構造材を提供する。

【構成】本発明の建築用構造材11は、内層から中間層、外層、最外層にかけて、ひき板の等級が段階的に高くなるように積層された対称異等級構成部2の少なくとも片側の最外層に、他部材との接合形態に応じて切り欠き可能な加工層3を追加的に積層接着した集成材からなるものである。必要とされる断面性能は対称異等級構成部2によって担保されるので、加工層3は材せいに算入しない部分として扱うことが可能になり、他部材5との接合形態に応じて斜めに切り欠いたり、切除することができる。加工層3には、最外層よりも等級の低いひき板を利用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層から中間層、外層、最外層にかけて、ひき板の等級が段階的に高くなるように積層された対称異等級構成部の少なくとも片側の最外層に、他部材との接合形態に応じて切り欠き可能な加工層が積層接着された集成材からなる建築用構造材。
【請求項2】
加工層は、対称異等級構成部の最外層よりも等級の低いひき板からなることを特徴とする請求項1に記載の建築用構造材。
【請求項3】
加工層に、他の部材を嵌め込んで接合するための切り欠きが形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の建築用構造材。
【請求項4】
材長の略全体にわたって、加工層の断面が略三角形状、略台形状、または略五角形状に切除されたことを特徴とする請求項1または2に記載の建築用構造材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用構造材に関し、特に、等級の異なる複数種類のひき板を積層した異等級構成集成材からなる建築用構造材に関する。
【背景技術】
【0002】
天然森林資源の有効活用や、部材品質の均質化などの観点から、近年、木質構造の建築物において集成材が広く活用されるようになっている。集成材は、主として建築物の柱、梁、桁などの耐力部分に用いられる構造用集成材と、内部造作などの非耐力部分に用いられる造作用集成材とに大別されるが、構造用集成材については、その構成や強度等級基準などがJAS(非特許文献1)に規定されている。
【0003】
上記JASでは、等級の高いひき板と、等級の低いひき板とを張り合わせた異等級構成の集成材についても詳細な品質基準が規定されている。かかる異等級構成の集成材は、内層に強度等級の低いひき板を配置し、中間層から外層、最外層にかけて順次、強度等級が高くなるようにひき板を積層して、上下方向に対称的な断面構成とするのが一般的である。近年では、内層に、例えばスギやベイスギなどの比較的安価な低級樹種からなるひき板を配置し、最外層に、例えばベイマツやダフリカカラマツなどの高級樹種からなるひき板を配置して、異樹種構成とした集成材も提案されている。
【0004】
ところで、木造建築物の小屋組では、母屋、軒桁、棟木などの横架材に、垂木や隅木、谷木などの斜材を架け渡して接合することが多い。かかる接合部位においては、横架材の上面を斜材の勾配に合わせて斜めに切り欠き、その傾斜面に斜材を嵌め込む納まりが多用される。また、切り欠き加工の面倒や、切り欠きによる横架材の断面欠損を避けるため、例えば特許文献1に示すように、横架材の上面に、斜材の勾配に合わせた断面三角形状の敷板を取り付けて、その上に斜材を架け渡す納まりも提案されている。
【非特許文献1】「構造用集成材の日本農林規格」 平成8年1月29日 農林水産省告示 第111号
【特許文献1】特開平11−1988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような木造建築物の小屋組において、軒桁や棟木などの横架材に対称異等級構成の集成材を利用しようとした場合、その横架材に斜材を接合するための切り欠きを形成すると、最も強度の高い最外層が切り欠かれて、集成材の断面性能が損なわれてしまう。また、横架材の上面に断面三角形状の敷板等を取り付ける場合も、その取り付けに手間がかかり、施工性が低下する。
【0006】
そこで本発明は、特に小屋組架構における斜材との接合部位等に好適に利用することができ、かつ強度面でも有利な集成材からなる建築用構造材を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の建築用構造材は、内層から中間層、外層、最外層にかけて、ひき板の等級が段階的に高くなるように積層された対称異等級構成部の少なくとも片側の最外層に、他部材との接合形態に応じて切り欠き可能な加工層が積層接着された集成材からなるものである。
【0008】
「他部材との接合形態に応じて切り欠き可能」とは、必要とされる断面性能を担保するための材せいに算入しなくてもよい部分という意味である。したがって、かかる加工層は、対称異等級構成部の最外層を構成するひき板と同等程度のひき板であってもよいし、最外層よりも等級の高いひき板によって構成することもできる。加工層に等級の低いひき板を利用することにより、例えば国産スギをはじめとする安価な樹種を有効活用することができる。
【0009】
さらに本発明の建築用構造材は、上記加工層に、他の部材を嵌め込んで接合するための切り欠きが形成されたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の建築用構造材は、材長の略全体にわたって、上記加工層の断面が略三角形状、略台形状、または略五角形状に切除されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述のように構成される本発明の建築用構造材は、対称異等級構成部の最外層に加工層を追加的に積層接着した集成材からなるものであるから、必要とされる断面性能を対称異等級構成部によって担保し、加工層は材せいに算入しない部分として扱うことが可能になる。この加工層は、他部材との接合形態に応じて自由に切り欠き、あるいは切除することができる部位であるから、ここに等級の低い安価なひき板を利用して、部材コストを低減させることができる。
【0012】
このような建築用構造材を、集成材の製造工程において加工層まで一体的に積層接着し、加工層には必要に応じて工場でのプレカット加工を施せば、施工現場において他部材を接合する際の施工性も格段に向上する。とくに、小屋組用の横架材として利用する場合には、その上面に加工層を配して小屋組の勾配に合わせた斜め加工を施すことにより、垂木や屋根パネル等との接合が容易かつ強固になり、小屋組全体の剛性増大に大きく寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の第一実施例にかかる建築用構造材10の断面構成を示す。この建築用構造材10の対称異等級構成部2は、中立軸側から順に、等級がL90のひき板、L110のひき板、L140のひき板を、合計5層となるように積層した構成となっている。そして、最外層となるL140のひき板の上側に、等級がL90のひき板を2層、追加的に積層して、この2層が加工層3となされている。
【0015】
ここで、「L」で表されるひき板の等級とは、等級区分機によって測定されたひき板の曲げヤング係数に応じて定められるJASの品質評価値であって、L50からL200まで12段階に区分され、数値が大きいほどひき板の曲げ強度が高いことを表す。対称異等級構成の集成材については、積層された集成材全体としての強度等級は、最外層のひき板の等級によって決まるが、例示の集成材では、5層からなる対称異等級構成部2の最外層に配置されたL140のひき板によって断面性能が担保されるので、2層の加工層3は材せいに算入されない付加的な部分と見做すことができ、この加工層2への自由な加工が可能になる。
【0016】
なお、前述のJASには、集成材の各層について、内層とは積層方向の両外側から1/4以上離れた部分、中間層とは両外側から1/8以上離れ1/4以内の部分、外層とは両外側から1/16以上離れ1/8以内の部分、最外層とは両外側から1/16以内の部分をいうものと定義されている(図4参照)。しかし、ひき板の積層枚数や厚さ、材全体の断面寸法などは様々であるから、本発明では内層、中間層、外層、最外層という区分は相対的な位置関係を示す目安的なものと位置づけ、中間層及び外層の有無や層数、各層の厚みについては特に厳密には規定しない。
【0017】
また、加工層3は、2層に限らず、1層または3層以上のひき板を積層したものでもよい。加工層3が2層以上であるとき、その加工層3を構成するひき板の等級は、異なる等級の組み合わせであってもよい。
【0018】
また、本発明において、各層を構成するひき板は、1枚のひき材からなるもの、2枚以上のひき材を幅はぎや縦継ぎによって張り合わせたもののいずれであってもよい。
【実施例2】
【0019】
図2は本発明の第二実施例にかかる建築用構造材11を示す。この建築用構造材11は、図1に示した建築用構造材10における加工層3に、垂木等の斜材5を接合するための斜めの切り欠き4をプレカットしたものである。このような建築用構造材11を利用すれば、施工現場における切り欠き加工の面倒を解消でき、また、切り欠き4の断面欠損による強度低下の懸念もなくなる。
【0020】
なお、切り欠き4の形状は、接合される相手側部材との納まりに応じ、加工層3の厚さの範囲内で任意に設定することができる。積層面と平行な溝形の切り欠きも、もちろん可能である。また、建築用構造材11の使用部位によっては、加工層3を対称異等級構成部2の下側に配置することもありえる。例えば、建物軸組の梁材として使用し、その下側に下層階の間柱や筋交いを接合するための切り欠きを設ける場合などである。さらに、加工層3を対称異等級構成部2の上下両側に設けることも可能である。また、この建築用構造材は、横架材としてではなく、柱等の直立材として利用することもできる。
【実施例3】
【0021】
図3は本発明の第三実施例にかかる建築用構造材12を示す。この建築用構造材12の対称異等級構成部2は、中立軸側から順に、等級がL90のひき板、L110のひき板、L125のひき板、L140のひき板を、合計9層となるように積層した構成となっている。そして、最外層となるL140のひき板の上側に、等級がL90のひき板を2層、追加的に積層して加工層3となし、さらに、この加工層3を、その断面における対角線にそって、材長の略全体にわたり三角形状に切除したものである。このような建築用構造材12を、例えば小屋組の桁材として利用すれば、施工現場で上面に敷板を取り付けるような手間は不要になる。また、垂木や屋根パネルを支持する加工層3と、部材の断面性能を担保する対称異等級構成部2との一体性が高いので、敷板を後付けする構造に比べると、垂木や屋根パネル等を釘やビスで接合した際の接合強度も高く、小屋組全体の剛性を増大させることができる。
【0022】
加工層3の一部を切除した断面形状の例としては、図示のような三角形状だけでなく、最上面の一部を残して角部を斜めに切除した台形状、側面の一部も残した五角形状、左右両側に斜め勾配をつけた山形三角形状や山形五角形状なども可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施例に係る建築用構造材の断面図である。
【図2】本発明の第二実施例に係る建築用構造材の斜視図である。
【図3】本発明の第三実施例に係る建築用構造材の断面図である。
【図4】JASに規定された集成材の層別構成を示す参考断面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 建築用構造材
11 建築用構造材
12 建築用構造材
2 対称異等級構成部
3 加工層
4 切り欠き
【出願人】 【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
【出願日】 平成18年7月12日(2006.7.12)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗


【公開番号】 特開2008−18613(P2008−18613A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−192063(P2006−192063)