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【発明の名称】 切断機
【発明者】 【氏名】三瓶 智昭

【要約】 【課題】太い被切断物やその束に対する供給ローラの羽根の食込み性を向上させることができる切断機を得る。

【解決手段】本切断機では、供給ローラ12の羽根24は、回転軸20への接続部25における回転軸20の外周部の接線方向に延在しており、先端側が接続部25よりも回転軸20の回転方向前方側に配置されている。このため、回転軸20の上側から下側へ向けて回転する羽根24が供給樋18の底壁部18Bと平行になった状態における羽根24と底壁部18Bとの間の距離L1を大きく設定することができる。したがって、太い木材Mに対する羽根24の食込み性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断物を切断する切断処理部と、
前記切断処理部に接続され、内部に被切断物が供給される供給樋と、
前記供給樋の底壁部の上方に設けられて回転駆動される回転軸、及び、前記回転軸の外周部から前記回転軸の径方向外側へ延伸する羽根を有し、前記供給樋内に供給された被切断物を前記羽根の先端部と前記底壁部との間で挟持しながら前記切断処理部へと供給する供給ローラと、
を備え、かつ、前記供給ローラの前記羽根は、前記回転軸への接続部よりも前記回転軸の回転方向前方側に先端部が配置されていることを特徴とする切断機。
【請求項2】
前記羽根は、前記接続部における前記回転軸外周部の接線方向に延在していることを特徴とする請求項1に記載の切断機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、藁や枝等の被切断物を切断するための切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹木の剪定枝等を切断(破砕)するためにチッパーと呼ばれる切断機が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このようなチッパーは、被切断物を切断処理部へと供給するための供給樋を備えており、供給樋の内部には掻込輪(供給ローラ)が設けられている。このような供給ローラは、回転駆動される回転軸と、回転軸の外周部に放射状に固定された複数枚の羽根とを備えている。これらの羽根は、回転軸の径方向へ延伸されている。また、回転軸は、上下方向に移動可能とされると共に、下側へ向けて付勢されており、供給ローラは、通常は供給樋の底壁部に接近して配置されている。
【0003】
上記構成のチッパーでは、供給樋内に被切断物が供給されると、供給ローラの羽根の先端部が被切断物の端部の上側に食込むと共に、供給ローラが被切断物の太さに応じて上方へ移動される。そして、被切断物は、供給ローラの羽根の先端部と供給樋の底壁部との間で挟持されながら、供給ローラの回転速度に応じた一定の速度で切断処理部へと送り込まれるようになっている。
【特許文献1】実開昭63−180207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記チッパーの供給ローラでは、基本的に、回転軸の上側から下側へ向けて回転する羽根の先端部が供給樋の底壁部に対して平行になった状態で、この羽根の下側に被切断物が供給されていれば、更に羽根が回転することで、羽根の先端部が被切断物に食込むようになっている。このため、供給樋に供給される被切断物やその束の太さが、上記平行状態の羽根から底壁部までの距離(回転軸の軸心から底壁部までの距離と略同等)よりも太い場合には、羽根の先端部が被切断物に食込まないことがある。しかもこの場合、回転軸の上側から上記平行な位置へ向けて回転する羽根によって被切断物が押し戻されることがあり、供給樋への被切断物の供給が困難になることがある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、太い被切断物やその束に対する供給ローラの羽根の食込み性を向上させることができる切断機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る切断機は、被切断物を切断する切断処理部と、前記切断処理部に接続され、内部に被切断物が供給される供給樋と、前記供給樋の底壁部の上方に設けられて回転駆動される回転軸、及び、前記回転軸の外周部から前記回転軸の径方向外側へ延伸する羽根を有し、前記供給樋内に供給された被切断物を前記羽根の先端部と前記底壁部との間で挟持しながら前記切断処理部へと供給する供給ローラと、を備え、かつ、前記供給ローラの前記羽根は、前記回転軸への接続部よりも前記回転軸の回転方向前方側に先端部が配置されていることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の切断機では、供給ローラの羽根は、回転軸への接続部よりも回転軸の回転方向前方側に先端部が配置されている。このため、回転軸の上側から下側へ向けて回転する羽根の先端部が供給樋の底壁部と平行になった状態における羽根の先端部と底壁部との間の距離を大きく設定することができる。したがって、太い被切断物やその束に対する供給ローラの羽根の食込み性を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る切断機は、請求項1に記載の切断機において、前記羽根は、前記接続部における前記回転軸外周部の接線方向に延在していることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の切断機では、供給ローラの羽根は、回転軸の上側から下側へ向けて回転する際に、回転軸の軸心よりも回転軸の半径分だけ底壁部から離れた位置で底壁部に対して平行になる。したがって、当該平行状態における羽根の先端部と底壁部との間の距離を大きく設定することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明に係る切断機では、太い被切断物やその束に対する供給ローラの羽根の食込み性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1には、本発明の実施形態に係る枝用切断機としての定置式のチッパー10の構成が縦断面図にて示されている。また、図2及び図3には、このチッパー10の部分的な構成が縦断面図にて示されている。
【0012】
なお、説明の都合上、図1〜図3では、装置上方向を矢印UPで示し、装置前方向を矢印FRで示してある。
【0013】
チッパー10は、中空の機体14を備えており、機体14の内部には、ドラム状に形成されて切断処理部を構成する切断室16が設けられている。切断室16の装置後方側は開口しており、この開口部分には供給樋18が接続されている。
【0014】
供給樋18は、切断室16側へ向けて下向きに傾斜する底壁部18Bを備えており、底壁部18Bの上方には、切断室16の近傍において供給ローラ12が設けられている。
【0015】
図2に示されるように、供給ローラ12は、供給樋18の底壁部18Bの上方に配置された回転軸20を備えている。回転軸20は、機体14の幅方向(図1〜図3では紙面に垂直な方向)を軸方向として配置されており、機体14の両側壁に揺動可能に取り付けられた図示しない一対の揺動アームに回転可能に軸支されている。これにより、回転軸20は機体14に対して上下方向に移動可能とされている。また、回転軸20は、図示しない付勢部材の付勢力によって底壁部18B側へ付勢されており、通常は上下方向の移動範囲の最下端の位置(図2に示される位置、以下「下限位置」という)に配置されている。
【0016】
この回転軸20は、図示しない駆動力伝達機構を介して機体14の下部に配置されたエンジン22に接続されており、エンジン22が駆動されると、回転軸20が図1〜図3の矢印A方向へ回転されるようになっている。
【0017】
回転軸20の外周部には、長尺な矩形平板状に形成された複数枚(本実施形態では6枚)の羽根24が取り付けられている。これらの羽根24は、長手方向が回転軸20の軸線方向に沿う状態で配置されると共に、回転軸20の周方向に沿って等間隔に配置されており、幅方向一端部(基端部)が回転軸20の外周部に固定されている。なお、各羽根24の幅方向他端部(先端部)には、鋸歯が形成されている。
【0018】
各羽根24は、回転軸20の外周部から回転軸20の径方向外側へ延伸(突出)しており、回転軸20への接続部25における回転軸20の外周部の接線方向に延在している。そして、各羽根24の先端側は、接続部25よりも回転軸20の回転方向前方側、すなわち接続部25における回転軸20の半径方向(回転軸20外周部の法線V)よりも回転軸20の回転方向前方側に配置されている。なお、上記接続部25は、各羽根24において、回転軸20に接する部分と回転軸20から離れた部分との境界部分のことである。
【0019】
さらに、回転軸20の軸線方向両側には、円盤状に形成された一対の側板32が設けられている(なお、図1〜図3では一方の側板32だけが図示されている)。各側板32の軸心部には、回転軸20が貫通しており、各側板32は、回転軸20に対して同軸的かつ一体的に固定されている。これらの側板32には、各羽根24の長手方向端部が一体的に結合されている。
【0020】
上記構成の供給ローラ12では、回転軸20が図1〜図3の矢印A方向に回転すると、羽根24及び側板32が、回転軸20と一体で図1〜図3の矢印A方向へ回転するようになっている。このため、供給樋18の内部に木材M(被切断物)が供給されると、回転する羽根24の先端部(鋸歯)が木材Mの端部の上側に食込むと共に、図3に示されるように、供給ローラ12が木材Mの太さに応じて上方へ移動される。そして、木材Mは、羽根24の先端部と供給樋18の底壁部18Bとの間で挟持されながら、供給ローラ12の回転速度に応じた一定の速度で切断室16へと強制的に送り込まれるようになっている。
【0021】
一方、図1に示されるように、切断室16の内部には、切断処理部を構成する切断機構36が設けられている。切断機構36は、機体14の幅方向(図1では紙面に垂直な方向)を軸方向として配置された主軸38を備えている。主軸38は、機体14の側壁に取り付けられた図示しない軸受によって回転可能に支持されており、図示しない駆動力伝達機構を介してエンジン22の駆動力が伝達されるようになっている。これにより、主軸38は、図1の矢印B方向へ回転する。
【0022】
主軸38には、複数(本実施形態では3枚)の円盤40が同軸的かつ並列的に取り付けられており、これら3枚の円盤40は、主軸38と一体で回転するようになっている。また、円盤40の外周部には、複数(本実施形態では4本)のハンマ軸42が取り付けられている。これらのハンマ軸42は、円盤40の周方向に沿って等間隔で、かつ、主軸38と平行な状態で配置されている。
【0023】
各ハンマ軸42には、それぞれ略矩形平板状に形成された複数のフリーハンマ44が並列的かつ回転自在に支持されている。このため、主軸38が回転すると、ハンマ軸42が主軸38周りを回転(旋回)すると共に、ハンマ軸42に回転自在に支持されたフリーハンマ44が、主軸38周りを旋回するようになっている。このため、前述したように供給ローラ12によって木材Mが切断室16に送り込まれると、フリーハンマ44が木材Mの端部に振り下ろされる。これにより、木材Mの端部は、機体14に固定された固定刃45との間で叩き砕かれて切断(破砕)され、細かい破砕片に分割される構成になっている。
【0024】
なお、図1において鎖線で示されているフリーハンマ44は、主軸38が停止しているときの状態が示されている。
【0025】
一方、切断室16の装置前方側には、排出口46が形成されており、排出口46には、破砕網48が取り付けられている。破砕網48は、円弧状に湾曲した板材であり、切断室16の内壁の一部を形成している。破砕網48には、木材Mの破砕片を切断室16から排出するための複数の排出孔50が形成されており、排出孔50を介して排出された破砕片(チップ)は、切断室16の装置前方側に接続された排出樋52を介して装置外部に排出されるようになっている。
【0026】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0027】
上記構成のチッパー10では、供給樋18の内部に木材Mが供給されると、下限位置で回転する供給ローラ12の羽根24の先端部(鋸歯)が、木材Mの端部の上側に食込むと共に、供給ローラ12が木材Mの太さに応じて上方へ移動される。そして、木材Mは、羽根24の先端部と供給樋18の底壁部18Bとの間で挟持されながら、供給ローラ12の回転速度に応じた一定の速度で切断室16へと強制的に送り込まれる。
【0028】
ここで、供給ローラ12の羽根24は、回転軸20への接続部25における回転軸20の外周部の接線方向に延在しており、先端側が接続部25よりも回転軸20の回転方向前方側に配置されている。このため、回転軸20の上側から下側へ向けて回転する羽根24が供給樋18の底壁部18Bと平行になった状態における羽根24と底壁部18Bとの間の距離L1を大きく設定することができる。したがって、太い木材Mに対する羽根24の食込み性を向上させることができる。
【0029】
すなわち、図4(従来例)に示される供給ローラ100のように、羽根24が回転軸20に対して放射状に取り付けられている場合、底壁部18Bに対して平行になった羽根24から底壁部18Bまでの距離L2よりも太い木材Mに対しては、羽根24の先端部が良好に食込まないことがある。この点、本実施形態では、上記平行状態の羽根24と底壁部18Bとの間の距離L1が、距離L2よりも大きく設定されているので、供給ローラ100と同じ径のままで、太い木材Mに対する羽根24の食込み性を向上させることができる。
【0030】
なお、図4に示される供給ローラ100の径(羽根24の先端の回転軌跡の半径)を大きくした場合でも、太い木材Mに対する羽根24の食込み性を向上させることができる。しかしながらこの場合、装置の全体構成が大型化すると共に、羽根24の先端部が底壁部18Bに最も接近する位置からハンマ44の回転軌跡までの距離L3が長くなってしまう。この場合、供給ローラ100によって押え付けておける木材Mの最低長さ寸法が長くなってしまうため、長いまま切断されずに排出されてしまう木材M(チップ)の割合が多くなってしまう。
【0031】
この点、本実施形態では、供給ローラ12の径を大きくしなくても、太い木材Mに対する羽根24の食込み性を向上させることができるので、長いまま切断されずに排出されてしまうチップの割合が増加することがない。
【0032】
なお、上記実施形態では、供給ローラ12が、平板状に形成された6枚の羽根24を備えた構成にしたが、本発明はこれに限らず、羽根の数や形状は適宜変更することができる。
【0033】
また、上記実施形態では、供給ローラ12の羽根24が、回転軸20への接続部25における回転軸20の外周部の接線方向に延在された構成にしたが、本発明はこれに限らず、供給ローラの羽根は、回転軸への接続部よりも回転軸の回転方向前方側に先端部が配置されていればよく、例えば図5に示されるような構成にしてもよい。
【0034】
図5に示される供給ローラ60では、羽根24が幅方向中間部で屈曲されており、回転軸20への接続部25よりも回転軸20の回転方向前方側に先端側が配置されている。この供給ローラ60においても、回転軸20の上側から下側へ向けて回転する羽根24の先端側が供給樋18の底壁部18Bと平行になった状態における羽根24の先端側と底壁部18Bとの間の距離を大きく設定することができる。したがって、上記実施形態と基本的に同様の作用効果を奏する。
【0035】
さらに、上記実施形態では、供給ローラ12の羽根24の先端部に、鋸歯が形成された構成にしたが、本発明はこれに限らず、羽根24の先端部に、ナイフ状の刃が形成された構成にしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態において、供給樋18の底壁部18Bにおける供給ローラ12と対向する位置に、回転可能なローラを設ける構成にしてもよい。この場合、木材M(被切断物)は、供給ローラ12と上記ローラとの間で挟持されながら、切断室16へと供給される構成になる。
【0037】
また、上記実施形態では、主軸38周りに回転する複数のフリーハンマ44によって被切断物を切断するチッパー10(切断機)に対して本発明が適用された場合について説明したが、本発明は、主軸周りに回転する回転刃(ナイフ状の刃が形成されたもの)によって被切断物(草藁や小枝等)を切断する切断機(所謂カッター)に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係るチッパーの構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の一部を拡大した断面図である。
【図3】供給樋の底壁部と供給ローラとの間で木材が挟持された状態を示す図2に対応する断面図である。
【図4】従来の供給ローラ及びその周辺部材の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態の変形例に係る供給ローラ及びその周辺部材の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 チッパー(藁枝用切断機)
12 供給ローラ
16 切断室(切断処理部)
18 供給樋
18B 底壁部
20 回転軸
24 羽根
36 切断機構(切断処理部)
M 木材(被切断物)
【出願人】 【識別番号】000144898
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
【出願日】 平成19年4月27日(2007.4.27)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−273054(P2008−273054A)
【公開日】 平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願番号】 特願2007−120006(P2007−120006)