トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 耐白蟻成膜の形成方法
【発明者】 【氏名】真子 孝

【要約】 【課題】人体に害を及ぼすことなく、木材や発泡ウレタン材の白蟻による食害を防止すること。

【解決手段】本発明では、アモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物を主成分とする耐白蟻成膜剤を用いて、木材又は発泡ウレタン材の表面にセラミックス硬化膜を形成することにした。特に、耐白蟻成膜剤に、ジョードメチル−p−トリルスルフォン、シリカアルミナに酸化銀を担持したコロイド、パープルオロアルキル化合物を主成分とする界面活性剤を添加することにした。さらに、セラミックス硬化膜の表面に酸化チタンを主成分とする被膜を形成することにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物を主成分とし、木材又は発泡ウレタン材の表面にセラミックス硬化膜を形成することを特徴とする耐白蟻成膜剤。
【請求項2】
ジョードメチル−p−トリルスルフォンを添加したことを特徴とする請求項1に記載の耐白蟻成膜剤。
【請求項3】
シリカアルミナに酸化銀を担持したコロイドを添加したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐白蟻成膜剤。
【請求項4】
パープルオロアルキル化合物を主成分とする界面活性剤を添加したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の耐白蟻成膜剤。
【請求項5】
木材又は発泡ウレタン材の表面にアモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物を主成分とするセラミックス硬化膜を形成することを特徴とする耐白蟻成膜の形成方法。
【請求項6】
前記セラミックス硬化膜の表面に酸化チタンを主成分とする被膜を形成することを特徴とする請求項5に記載の耐白蟻成膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、木材又は発泡ウレタン材の白蟻による食害を防止するための耐白蟻成膜剤及び耐白蟻成膜の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、木造建築家屋では、木材の白蟻による食害を未然に防止するために、種々の防蟻剤が広く利用されている。
【0003】
この防蟻剤としては、有機リン系やビレスロイド系のケミカル防蟻剤、ヒバ油や木酢液を用いた天然素材からなる防蟻剤、シリカコロイドを主成分とし加熱処理して得られたアルカリ金属珪酸塩からなる無機質ワニスが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】実開平1−91504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記ケミカル防蟻剤にあっては、有機物を含有するために、化学物質過敏症によって健康を害してしまうおそれがあった。
【0006】
また、上記天然素材からなる防蟻剤にあっては、耐久性が低く、長期間にわたって白蟻からの食害を防止することができないおそれがあり、また、自然界に存在する発癌性物質を含有するために、安全性の低いものであった。
【0007】
さらに、上記無機質ワニスにあっては、シリカコロイドを用いて加熱処理する必要があるために、製造コストが高くなり、また、表面の膜の硬度が低く、白蟻の食害に対する効果が低いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、アモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物を主成分とし、木材又は発泡ウレタン材の表面にセラミックス硬化膜を形成することを特徴とする耐白蟻成膜剤を提供するものである。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る耐白蟻成膜剤に、ジョードメチル−p−トリルスルフォンを添加したことを特徴とする耐白蟻成膜剤を提供するものである。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る耐白蟻成膜剤に、シリカアルミナに酸化銀を担持したコロイドを添加したことを特徴とする耐白蟻成膜剤を提供するものである。
【0011】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1〜請求項3のいずれかに係る耐白蟻成膜剤に、パープルオロアルキル化合物を主成分とする界面活性剤を添加したことを特徴とする耐白蟻成膜剤を提供するものである。
【0012】
また、請求項5に係る本発明では、木材又は発泡ウレタン材の表面にアモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物を主成分とするセラミックス硬化膜を形成することを特徴とする耐白蟻成膜の形成方法を提供するものである。
【0013】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項5に係るセラミックス硬化膜の表面に酸化チタンを主成分とする被膜を形成することを特徴とする耐白蟻成膜の形成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0015】
すなわち、本発明では、木材又は発泡ウレタン材の表面にアモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物を主成分とするセラミックス硬化膜を形成することができ、木材又は発泡ウレタン材の表面を硬化させて白蟻による食害を未然に防止することができる。しかも、本発明では、蒸散成分を含有しておらず、人体に害を及ぼすことがなく、木材や発泡ウレタン材の表面に安全性の高い耐白蟻成膜を形成することができる。
【0016】
特に、ジョードメチル−p−トリルスルフォンを添加した場合には、成膜時に木材や発泡ウレタン材の内部にジョードメチル−p−トリルスルフォンを良好に含浸させることができ、カビの発生を防止して、耐白蟻成膜の耐久性を向上させることができる。
【0017】
また、シリカアルミナに酸化銀を担持したコロイドを添加した場合には、成膜時に木材や発泡ウレタン材の内部にシリカアルミナに酸化銀を担持したコロイドを良好に含浸させることができ、雑菌の繁殖を防止して、耐白蟻成膜の耐久性を向上させることができる。
【0018】
また、パープルオロアルキル化合物を主成分とする界面活性剤を添加した場合には、成膜時の均質性を高めることができるとともに、木材や発泡ウレタン材の内部への浸透性を向上させることができる。
【0019】
さらに、セラミックス硬化膜の表面に酸化チタンを主成分とする被膜を形成した場合には、耐白蟻効果をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る耐白蟻成膜剤は、アモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物を主成分とし、木材又は発泡ウレタン材の表面にセラミックス硬化膜を形成するものである。
【0021】
アモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物としては、無水珪酸(SiO2)と水酸化リチウム(Li2O)とを所定条件下で混合反応させてシリケート結合させたものが好適に用いられる。この場合、塗布性や膜硬度を考慮すると、モル比(SiO2/Li2O)が4.5〜7.5の範囲のものが特に好ましい。
【0022】
上記耐白蟻成膜剤には、ジョードメチル−p−トリルスルフォンを添加してもよい。この場合、塗布性や膜硬度を考慮すると、重量比で0.5%〜2%の割合で添加したものが特に好ましい。
【0023】
このように、ジョードメチル−p−トリルスルフォンを添加した場合には、成膜時にシリケート結合物との浸透性の相違によって木材や発泡ウレタン材の内部にジョードメチル−p−トリルスルフォンを良好に含浸させることができ、含水した木材や発泡ウレタン材の表面でカビが発生するのを防止して、木材や発泡ウレタン材の表面でのカビの発生に起因する膜硬度の低下を防止し、耐白蟻成膜の耐久性を向上させることができる。
【0024】
また、上記耐白蟻成膜剤には、シリカアルミナに酸化銀を担持したコロイドを添加してもよい。この場合、塗布性や膜硬度を考慮すると、100ppm〜300ppmの割合で添加したものが特に好ましい。
【0025】
このように、シリカアルミナに酸化銀を担持したコロイドを添加した場合には、成膜時にシリケート結合物との浸透性の相違によって木材や発泡ウレタン材の内部にシリカアルミナに酸化銀を担持したコロイドを良好に含浸させることができ、木材や発泡ウレタン材の表面での雑菌の繁殖を防止して、木材や発泡ウレタン材の表面での雑菌の繁殖に起因する膜硬度の低下を防止し、耐白蟻成膜の耐久性を向上させることができる。
【0026】
また、上記耐白蟻成膜剤には、パープルオロアルキル化合物を主成分とする界面活性剤を添加してもよい。この場合、塗布性や膜硬度を考慮すると、重量比で0.005%〜0.05%の割合で添加したものが特に好ましい。
【0027】
また、上記耐白蟻成膜は、木材又は発泡ウレタン材の表面に刷毛塗りなどによる塗布又は真空加圧注入などによる含浸によりアモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物を主成分とするセラミックス硬化膜を形成することができる。この場合、膜硬度を考慮すると、平米当り50cc以上塗布することが特に好ましい。
【0028】
さらに、上記耐白蟻成膜は、セラミックス硬化膜の表面に酸化チタンを主成分とする被膜を形成してもよい。
【0029】
このように、上記耐白蟻成膜は、セラミックス硬化膜の表面に酸化チタンを主成分とする被膜を形成した場合には、膜硬度を向上させるとともに白蟻に対する忌避効果を向上させることができ、耐白蟻効果をより一層向上させることができる。
【0030】
そして、本発明では、木材又は発泡ウレタン材の表面にアモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物を主成分とするセラミックス硬化膜を形成することができ、木材又は発泡ウレタン材の表面を硬化させることができ、白蟻による食害を未然に防止することができる。
【0031】
しかも、本発明では、アモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物、ジョードメチル−p−トリルスルフォン、シリカアルミナに酸化銀を担持したコロイド、パープルオロアルキル化合物を主成分とする界面活性剤のいずれにも蒸散作用が無く、人体に害を及ぼすことがなく、木材や発泡ウレタン材の表面に安全性の高い耐白蟻成膜を形成することができる。
【0032】
以下に、本発明に係る耐白蟻成膜剤によって形成した耐白蟻成膜の実証試験の結果を示す。
【0033】
実証試験では、基材として10cm×20cmの杉板を用いた。
【0034】
また、実証試験では、耐白蟻成膜剤として、無水珪酸と水酸化リチウムをモル比(SiO2/Li2O)が7.5でシリケート結合させてアモルファスシリカとリチウムとのシリケート結合物を生成し、これにジョードメチル−p−トリルスルフォンを主成分とする防カビ剤を重量比で1%の割合で添加し、さらに、シリカアルミナに酸化銀を担持したコロイドを300ppmの割合で添加し、パープルオロアルキル化合物を主成分とする界面活性剤を重量比で0.02%の割合で添加したものを用いた。
【0035】
また、実証試験では、成膜方法として、基材の表面に刷毛塗りを施して、基材の表面に均等量塗布し、塗布後に常温にて乾燥させてセラミックス硬化膜を形成した。
【0036】
そして、何ら表面に耐白蟻成膜を形成していない無垢の基材をNo.1試料とし、表面に耐白蟻成膜を平米当り50ccの量を1回の刷毛塗りで施した基材をNo.2試料とし、No.2試料の表面にさらに酸化チタンを主成分とする塗布剤を平米当り50ccの量で塗布し常温乾燥させた基材をNo.3試料とし、表面に耐白蟻成膜を平米当り100ccの量を2回の刷毛塗りで施した基材をNo.4試料とし、No.4試料の表面にさらに酸化チタンを主成分とする塗布剤を平米当り50ccの量で塗布し常温乾燥させた基材をNo.5試料とし、これらNo.1試料〜No.5試料を白蟻の中でも特に強靭なイエシロアリが約20000匹存在する巣の近傍に載置して、1週間放置した。
【0037】
その結果、No.1試料では、重量が半減するまでに激しく食害されたのに対し、No.2試料では、3箇所のピンポイント状の食害箇所が見られ、No.3試料〜No.5試料では、全く食害箇所が見られなかった。
【0038】
なお、No.2試料では、拡大観察の結果、3箇所の食害箇所では基材の表面における凹凸の影響でセラミックス膜の膜厚が十分に確保されていなかったことがわかった。これは、No.4試料の結果から、重ね塗りなどによりセラミックス膜の膜厚を確保することで防止できる。
【0039】
以上の実証試験の結果からも、本発明による耐白蟻効果が実証された。
【出願人】 【識別番号】507119733
【氏名又は名称】株式会社デジック
【出願日】 平成19年4月11日(2007.4.11)
【代理人】 【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋


【公開番号】 特開2008−260196(P2008−260196A)
【公開日】 平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願番号】 特願2007−104182(P2007−104182)