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木質板 - 特開2008−238598 | j-tokkyo
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【発明の名称】 木質板
【発明者】 【氏名】前田 直彦

【要約】 【課題】自然の木質感を有し、薄単板においても、うづくり加工によっての立体感の発現が可能とされ、しかも耐摩耗性、耐クラック性も向上させることができる、新しい木質板を提供する。

【解決手段】木質基材の表面から三次元ラダー構造を有するシリコーン系樹脂等の靱性を有する樹脂が塗布含浸されている木質板とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質基材の表面から靱性を有する樹脂が塗布含浸されていることを特徴とする木質板。
【請求項2】
靱性を有する樹脂は、三次元ラダー構造を持つシリコーン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の木質板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の木質板において、表面上塗り塗料がさらに塗布されていることを特徴とする木質板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、床材やカウンター、扉等の建材に有用な木質板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の本物志向、自然志向、健康志向の高まりから、自然感や素材感のある建材が求められている。木材は木目の美しさや手触りの良さ、適度な強度、加工性の良さなどから突き板貼りや無垢材として建具や家具用に古来から広く使われており、最近では、表面にうづくり加工を施し、より凹凸感や立体感を出して木質感や触感を強調し、さらに艶消し塗装で仕上げた建材も見られる。
【0003】
なお、ここで、うづくり加工とは以下のとおりのものである。すなわち、ススキの根を乾燥させて束ね、ひもで固く巻いた用具を「うづくり」というが、これで木材の表面を擦ると、比重の小さい早材部は削られるが、比重の大きな晩材部はほとんど削られないため、表面に凹凸が形成される。このような加工法をうづくり加工といい、実際にはワイヤブラシ等でブラッシングをする方法で行われる。
【0004】
しかしながら、このような建材においては、外観や質感は良好なものの、表面が摩耗しやすい、割れが生じやすいといった問題があり、特に、0.15〜0.6mm程度の厚さにスライスされた薄い単板においては、ブラッシング処理を行うと摩耗や割れ、クラックがより発生しやすくなる。そこで、このような問題を解決するために、UV硬化塗料による塗装や、湿気硬化型ウレタン系樹脂を塗装することがこれまでにも考えられている(たとえば特許文献1−2参照)。
【0005】
しかしながら、従来の塗装による対策のいずれの場合にも、表面の塗膜を厚くせざるをえず、結局は外観、質感が犠牲になり、特に床材においては滑りやすい、冷たさを感じるといった問題があった。
【特許文献1】特開2002−326210号公報
【特許文献2】特開2004−276368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のとおりの背景から、従来の問題点を解消し、自然の木質感を有し、薄単板においても、うづくり加工によっての立体感の発現が可能とされ、しかも耐摩耗性、耐クラック性も向上させることのできる、新しい木質板を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の木質板は以下のことを特徴としている。
【0008】
第1:木質基材の表面から靱性を有する樹脂が塗布含浸されている。
【0009】
第2:上記の靱性を有する樹脂は、三次元ラダー構造を持つシリコーン系樹脂である。
【0010】
第3:上記の木質板において、表面上塗り塗料がさらに塗布されている。
【発明の効果】
【0011】
上記第1の発明によれば、木質基材の表面部には靱性を有する樹脂が塗布含浸されていることから、従来の問題点を解消し、自然の木質感を有し、薄単板においても、うづくり加工によっての立体感の発現が可能とされ、しかも耐摩耗性、耐クラック性も向上させることができる。
【0012】
また、三次元ラダー構造を有するシリコーン系樹脂を上記の靱性を有する樹脂として使用する第2の発明によれば、上記の効果はより確実に、安定して、顕著なものとして実現される。
【0013】
さらに上塗り塗料を塗布する第3の発明によれば、上記の効果に加えて、耐汚染性、耐候性等の表面保護効果や艶、色合いの調整効果等をも付与することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
本発明の木質材においては、木質基材の表面から靱性を有する樹脂が塗布含浸されるが、この場合の樹脂における「靱性」については、塗膜の破壊に要するエネルギーが大きく、粘り強い性質を示している。
【0016】
一般に塗膜の破壊に要するエネルギーは、塗膜の応力−ひずみ曲線下の面積で評価されるが、本発明での靱性を有する樹脂については、これを木質基材に塗布含浸した後の性能評価として以下のことを満たすものとして考慮される。
(A)官能評価において、無塗装の木材に近い外観を示しており、艶消し調でテカテカした光沢がなく、塗膜も薄く、木材表面の凹凸(道管)が残っていること。
(B)耐摩耗性が、JASフローリング摩耗A試験に準拠して総荷重1kg、500回 転後の凹みの深さが0.12mm以下であること。
(C)耐クラック性が、JAS特殊合板、寒熱繰り返し試験Bに準拠して、80℃雰囲 気にて2時間放置、−20℃雰囲気にて2時間放置を1サイクルとして、2サイクル繰り返した後でもクラックの発生がないこと。
【0017】
上記のとおりの本発明での靱性を有する樹脂としてはその種類は各種であってよいが、代表的で好適なものとしては、三次元ラダー構造を持つシリコーン系樹脂が挙げられる。
【0018】
ここでラダー(ladder)構造とは、ラダーポリマー、はしご形重合体の分子構造として知られているものである。シリコーン系樹脂については、一般に2官能単位(R2−Si−X2:Rは有機基、Xは官能基)、3官能単位(R−Si−X3)や、4官能単位(Si−X4)を組み合わせて構成されているが、本発明での三次元ラダー構造を有するシリコーン系樹脂は、3官能単位のみで構成されるものであって、はしご状の構造を持つものである。このものは、一般式では、たとえば次式
【0019】
【化1】


【0020】
式中のRは有機基であって、たとえば代表的には置換基を有していてもよい炭素数1〜18の炭化水素基である。たとえば、メチル、エチル、i−プロピル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、i−オクチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル等の炭化水素基が例示される。
【0021】
これらは市販品として、あるいは合成によって入手可能である。そして、これらの三次元ラダー構造を有する本発明のシリコーン系樹脂は、直鎖構造のシリコーン系樹脂とは異なり、その構造から機械的強度に優れ、耐摩耗性、耐クラック性を向上させることができる。しかも木質基材表面への含浸によっても木質感を損なうことはない。
【0022】
また、本発明では、以上のシリコーン系樹脂には、全体量の40%未満の割合においてウレタン系樹脂を併用してもよい。この場合のウレタン系樹脂については、ポリオールとイソシアネートからなる2液型や湿気硬化タイプの1液型等があげられる。分子内部にウレタン結合(−NHCOO−)を有するため、分子内で水素結合が起こり、靱性が上がる。樹脂構造にベンゼン環等の環構造があれば、その性能はより向上し、耐摩耗性が上がる。
【0023】
また、ウレタン系樹脂による上塗り塗装を行う場合には密着性をより向上させることになる。ただ、全体量の40%を超えて用いる場合には、本発明の効果は得られにくくなる。
【0024】
木質基材表面へのシリコーン系樹脂等の靱性を有する樹脂の塗布含浸は、必要に応じてアルコール等の分散媒により希釈された、あるいは市販品としての樹脂液を用い、ロールコーターやスプレーコーター等により行うことができる。樹脂を低粘度、低分子量の樹脂にすることで塗布による含浸が容易となる。生産性も良好である。特に平面形状の場合は、ロールコーターとリバースコーターの組み合わせにより、押し込み含浸、表面掻き取りが行われることで、突き板により深く含浸することができ、さらに表面に樹脂が残らないようにできるため、有効な方法である。
【0025】
従来の釜を用いた減圧・加圧による注入では、大掛かりな設備が必要になり、製造もバッチ式で時間がかかり、小ロットへの対応も困難である。また樹脂が入り過ぎると、プラスチック感が出て、木質感が損なわれることがある。
【0026】
樹脂の塗布量についてはその種類にもよるが、三次元ラダー構造を有するシリコーン系樹脂の場合には、たとえば固形分濃度10〜30%の塗料組成として、5〜20g/尺2を目安とすることができる。
【0027】
本発明の木質材においては、以上のようにして靱性を有する樹脂を塗布含浸した後に、表面に上塗り塗料を塗布してもよい。たとえば上塗り用のウレタン塗料やアクリル塗料等を用いることができる。これらは本発明の木質材の耐磨耗性や耐クラッチ性にはほとんど影響を与えないものであって、表面の艶調整や耐汚染性、耐候性向上のために上塗りに用いられる。
【0028】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
厚さ12mmの合板表面に、厚さ0.2mmのオーク突き板を酢酸ビニル系接着剤を用いて、熱圧プレスにて貼り合わせた。次いで、その表面をワイヤブラシでブラッシングして、うづくり加工をした。
【0030】
作製した基材表面に、三次元ラダー構造を持つシリコーン系樹脂(FJ803,グランデックス(株)製、固形分14%)をロールコーターを用いて、10g/尺2塗布含浸させた。
【0031】
その後、表面を#320で研摩し、上塗り用ウレタン塗料(SKウレタンフラット;キャピタルペイント(株)製)(固形分20%)を5g/尺2塗布して養生し、化粧板を作製した。
(実施例2)
実施例1において、三次元ラダー構造を持つシリコーン系樹脂(FJ803,グランデックス(株)製、固形分14%)をロールコーターを用いて、13g/尺2塗布含浸すること以外は、実施例1と同様にして、化粧板を作製した。
(実施例3)
実施例1において、脂肪酸をベースにしたポリエステルポリオールとイソシアネートを配合したウレタン系樹脂(SKウレタンシーラー、キャピタルペイント(株)製、固形分20%)を全体量の30%配合した塗料をスプレーコーターにて、12g/尺2塗布含浸すること以外は、実施例1と同様にして、化粧板を作製した。
(比較例1)
実施例1と同様にして、基材を作製した後に、通常のウレタン塗装を行った。すなわち、サンディングシーラー(固形分30%)を10g/尺2塗装して、養生した後、♯320で研摩を行い、その後、上塗り用ウレタン塗料(固形分20%)を5g/尺2塗装して、養生し、化粧板を作製した。
(評価)
実施例1〜3、比較例1について、外観評価とJASフローリング規格に基づく耐摩耗性試験、JAS特殊合板規格に基づく耐クラック試験を行った。
【0032】
その結果を表1に示した。
【0033】
また、処理後の木質板の断面を観察したところ、実施例1〜3の場合には、図1のように、オーク突き板1の表面部には樹脂の含浸層2の存在が確認され、表面に上塗りウレタン塗膜層3が配設されていたが、比較例1の場合には、図2のように、オーク突き板1には塗料は浸透せず、その表面上にウレタン塗装膜3が残るだけであった。
【0034】
以上の評価から、木質基材の表面から、三次元ラダー構造を持つシリコーン系樹脂やこれにウレタン径樹脂を含む靱性を有する樹脂を塗布含浸させることで、木質感を残しつつ、耐摩耗性、耐クラック性の大きい木質建材を得ることができる。厚さ0.2mm程度の薄単板を使っても、うづくり加工を施せば、さらに立体感が出て、樹脂含浸を行うことで耐摩耗性、耐クラック性が向上することが確認された。
【0035】
【表1】


【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例木質材の断面概要図である。
【図2】比較例木質材の断面概要図である。
【符号の説明】
【0037】
1 オーク突き板
2 樹脂含浸層
3 上塗りウレタン塗膜層
4 導管
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成19年3月27日(2007.3.27)
【代理人】 【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫


【公開番号】 特開2008−238598(P2008−238598A)
【公開日】 平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願番号】 特願2007−82865(P2007−82865)