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【発明の名称】 竹繊維の取出し方法
【発明者】 【氏名】藤井 透

【氏名】田中 達也

【氏名】平田 和男

【要約】 【課題】連続的な抽出プロセスにより、工業用材料として使用可能な竹繊維を低コストに得る。

【解決手段】チップ化された竹材を、破砕軟化装置3内に設けたスクリュの回転により吐出孔の側に向けて破砕を生じながら加圧移送する。加圧状態の竹材を吐出孔から破砕軟化装置3外に押し出し、竹材内の水分を気化膨張させることで竹材を軟化させる。破砕軟化処理がなされた竹材は、水槽4内で加水攪拌された後、ディスクリファイナ5へと搬送される。フィーダを通じてディスクリファイナ5内部に供給された軟化竹材と水との混合物をスクリュで一対のリファイニングプレートの間に導入し、解繊処理を施す。これにより、所望サイズの竹繊維を含む竹繊維の集合体を得る。これら解繊工程を経て解繊された竹繊維の集合体を、乾燥機6を用いて乾燥する。乾燥処理がなされた竹繊維をトロンメル(篩選別機)7で篩分別し、所定の繊維長範囲に属する竹繊維を選別抽出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹材を破砕するのと同時に細孔に向けて圧送し、細孔から竹材を連続的に大気中に押し出して竹材に含まれる水分を気化膨張させ、竹材の軟化を図る破砕軟化工程と、
破砕軟化工程を経た竹材に解繊処理を施す解繊工程とを経て竹繊維を抽出する竹繊維の取出し方法。
【請求項2】
破砕軟化工程を経た竹材を水槽に供給し、水槽中の竹材混合液を解繊工程に移送する請求項1記載の竹繊維の取出し方法。
【請求項3】
解繊工程を経た竹材混合液を解繊工程に再度供給可能とした請求項2記載の竹繊維の取出し方法。
【請求項4】
解繊工程により得られた竹繊維の集合体を篩選別して、竹繊維の選別抽出を行う篩選別工程をさらに設けた請求項1記載の竹繊維の取出し方法。
【請求項5】
各工程間の移送を含めた一連の処理工程を連続的に実施する請求項1〜4の何れかに記載の竹繊維の取出し方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の方法で取出された竹繊維。
【請求項7】
請求項6記載の竹繊維を含有する竹繊維含有樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、竹繊維の取出し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷に対する問題が重視されるに伴い、資源循環が比較的容易な天然繊維に注目が集まっている。その中でも、特に、竹繊維は、国内外を問わず豊富に存在し、かつ成長が早い天然資源である点、および優れた機械的特性を有する点から、工業用材料としての利用が提案、検討されている。
【0003】
上述の利用例として、ガラス繊維に代えて竹繊維を補強材に使用した竹繊維含有樹脂組成物が特開平11−147211号公報(特許文献1)や特開2002−210838号公報(特許文献2)などに記載されている。
【0004】
このように、竹繊維はその優れた機械的特性から工業用材料としての利用が望まれている一方で、特有の木質構造を有する点で他の天然繊維、例えばジュートやケナフなどと比べて繊維の取出しが困難である。そのため、このことが工業用材料としての利用の障害となっているのが実情である。
【0005】
このような竹構造の特殊性に鑑み、例えば爆砕処理(特許文献3)や、蒸煮処理(特許文献4)を利用した竹繊維の取出し方法が提案されている。
【特許文献1】特開平11−147211号公報
【特許文献2】特開2002−210838号公報
【特許文献3】特開2004−351733号公報
【特許文献4】特開2005−193405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの処理方法は何れも、昇温・昇圧を必要とするものであり、取出しに多大なエネルギーを必要とする。また、多数の複雑な設備が必要となることから、高コスト化が避け難い。
【0007】
併せて、これらの処理はその特性上、どうしても一括処理(いわゆるバッチ処理)を採らざるを得ない。そのため、作業効率が悪く、工業用の生産手法には適さない。
【0008】
以上の事情に鑑み、本発明では、連続的な抽出プロセスにより、工業用材料として使用可能な竹繊維を低コストに得ることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、竹材を破砕するのと同時に細孔に向けて圧送し、細孔から竹材を連続的に大気中に押し出して竹材に含まれる水分を気化膨張させ、竹材の軟化を図る破砕軟化工程と、破砕軟化工程を経た竹材に解繊処理を施す解繊工程とを経て竹繊維を抽出する竹繊維の取出し方法を提供する。
【0010】
なお、本発明における「竹材」には、伐採した状態の竹をある程度細分化したものであれば全て含まれ、特にその形態は問わない。例えば、伐裁したままの円筒状の生竹を短冊状や細片状に細分化したものが竹材に該当する。また、本発明における「竹繊維」には、最小構成単位である単繊維の他、複数の単繊維が集合して成る繊維束が含まれる。
【0011】
このように、本発明は、加圧した竹材を細孔を通じて大気中に押し出すことで減圧を図り、竹材内部の水分を気化膨張させる点を特徴の1つとする。竹材、特に繊維組織はその内部に多くの水分を含有することから、竹材内部の水分を気化膨張させることで繊維の周囲を覆うリグニンが破壊され、竹材の破砕を生じる。また、併せて竹繊維間の結着状態が緩和あるいは解消されることで竹材の軟化が生じ、次工程における解繊工程において繊維の解きほぐしが容易となる。また、竹材を加圧することで、適度に竹材が細分化されることで、細孔からの押出しを容易にしている。以上の作用より、繊維組織をできるだけ破断することなく繊維を解きほぐすことができ、繊維長の揃った均質な竹繊維を取出すことが可能となる。
【0012】
併せて、本発明は、竹材を細孔に向けて加圧移送する点、および細孔から竹材を連続的に大気中に押し出す点を特徴の1つとする。かかる工程によれば、竹材の破砕および軟化処理を、竹材の移送と同時にかつ定量的に行うことができるので、従来に比べて竹材を連続的かつ低エネルギーに処理することが可能となる。これにより、個々の工程間における作業の無駄を省き、かつ人的負担を極力減らして、大量生産を可能としつつも、取出し時間の短縮、および取出しコスト(製造コスト)の低減化を図ることが可能となる。
【0013】
また、上述のようにして竹材の破砕軟化を図った後、当該竹材を水槽に供給し、水槽中の竹材混合液を解繊工程に移送するようにすることも可能である。このように、竹材を、水等との混合液の状態で解繊工程に移送することで、例えばポンプ等により、かかる移送を連続的かつ定量的に行うことができる。また、竹材に解繊力を付与する際、摩擦力等による過熱で竹材(竹繊維)が劣化するのを防ぐことができる。
【0014】
さらには、これら各工程間の移送を含めた一連の処理工程を連続的に実施するようにすれば、原材料の供給から最終的な生産物(竹繊維)の生成までに要する時間の短縮につながり、更なる生産性の向上およびトータルコストの削減を図ることが可能となる。具体的には、上述のように、破砕軟化工程を経て水槽に供給した竹材を、ポンプを用いて解繊工程に移送することで、破砕軟化工程と解繊工程との間で連続的な竹材の移送を実施することが可能となる。また、この際、各工程の連続的な処理を実現するため、例えば解繊工程を、ディスクリファイナを用いて実施するようにすることが好ましい。
【0015】
また、解繊工程を経た竹材混合液を、解繊工程に再度供給可能とした構成を採ることも可能である。このように、竹材に対して複数回の解繊処理を可能とすることで、より漏れなく均質な竹繊維の解きほぐしが可能となる。また、複数回の処理が可能となることで、一回の解繊処理で竹材に付与する解繊力が過度とならずに済む点でも好適である。また、この場合もポンプ等を用いて溶液状の竹材を解繊工程に移送することで、複数回の解繊処理を連続的に実施することができる。
【0016】
上述のようにして解繊した後、解繊により得られた竹繊維の集合体を篩選別して、所定寸法の竹繊維を選別抽出する繊維選別工程をさらに設けるのがよい。かかる工程を経ることで、容易に所定寸法範囲の竹繊維を抽出することができ、これにより用途に応じた適正な寸法を有する、あるいは寸法の揃った竹繊維を抽出することができる。また、この場合には、移送する竹材の状態(粉状)に合わせて、例えばブロアを用いて解繊済みの竹材(竹繊維)を篩選別工程へと移送するようにすることで、解繊工程から篩選別工程にかけての連続的な処理を実現することができる。
【0017】
上述の方法および機構により得られた竹繊維は、非常に細かく解繊され、かつその繊維長が揃った均質なものである。よって、この竹繊維を補強材として有効に利用することができ、例えば竹繊維を含有してなる竹繊維含有樹脂組成物としての提供が可能となる。この場合、例えば竹繊維と樹脂との混合物をペレット状に射出成形したものを提供するのがよい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、連続的な抽出プロセスにより、工業用材料として使用可能な竹繊維を低コストに得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る竹繊維の取出し機構を概念的に示す。同図に示す取出し機構は、繊維取出しの対象となる竹を切断するための切断機1、切断機1によって切断された竹材をチップ状に破砕するための二軸破砕機2、二軸破砕機2により破砕化されたチップ状の竹材を破砕および軟化させるための破砕軟化装置3、軟化した竹材に対して連続的な解繊処理を施すためのディスクリファイナ5、解繊された竹繊維の集合体を乾燥させるための乾燥機6、および、乾燥がなされた竹繊維の集合体を篩分別するためのトロンメル7を主な構成要素として備える。
【0021】
また、図1中、符号4は、破砕軟化装置3から排出された竹材に水を加え、この水との混合物をモータ等で攪拌するための水槽を示している。また、同図中、符号8は、ディスクリファイナ5によって解繊処理がなされた竹繊維の集合体を受入れ、加水と共に攪拌混合を行うための水槽を示している。よって、水槽4で加水混合がなされた竹材と水との混合物はポンプにより次工程に係るディスクリファイナ5へと搬送される。また、解繊処理後の竹繊維の集合体がディスクリファイナ5から水槽8に移送された場合、かかる竹繊維の集合体を水槽8で加水混合した後、再びポンプによりディスクリファイナ5へと移送できるように構成されている。
【0022】
次に、破砕軟化装置3の構成について説明する。
【0023】
図2は、竹繊維の取出し機構を構成する破砕軟化装置3の含軸断面図を示している。同図に示すように、破砕軟化装置3は、ケーシング31と、ケーシング31の内部に回転自在に配設されたスクリュ32と、ケーシング31の前方側端部(竹材の加圧移送前方側の端部)に取り付けられた蓋部材33と、蓋部材33に開設された複数の吐出孔(細孔)34と、スクリュ32の前方側端部に取り付けられ、スクリュ32と一体的に回転するカッター35と、ケーシング31の内周に固定されるせん断刃部材36とを主に有する。ケーシング31の後方側(吐出孔34とは反対の側)には、チップ状の竹材をケーシング31内に供給するためのホッパ37が設けられ、ケーシング31とホッパ37との間に設けた供給口38を介してケーシング31内に竹材が導入されるようになっている。
【0024】
カッター35は、蓋部材33の内面に接触もしくは近接するように配置されており、スクリュ32の回転軸と一体に回転するようになっている。また、蓋部材33の中心には、スクリュ32の回転軸を支持する軸受部材が設けられている。スクリュ32の回転軸はその後方側で適宜の駆動手段(油圧モータなど)により回転駆動されるよう構成されている。ケーシング31の内周に固定された複数のせん断刃部材36は、ケーシング31の長手方向に沿って配設されている。これら複数のせん断刃部材36と、ケーシング31の内部に配設されたスクリュ32の羽根との間には、二軸破砕機2を経て投入された竹材を挟み、かつせん断破砕できる程度のすき間が形成されている。
【0025】
次に、解繊装置としてのディスクリファイナ5の構成を説明する。
【0026】
ディスクリファイナ5は、図3に示すように、ケーシング51と、ケーシング51の一部上側に開口し、竹材を内部に導入するためのフィーダ52と、フィーダ52を通じて内部に導入された竹材を移送するためのスクリュ53と、スクリュ53の移送側前方に配される一対のリファイニングプレート54、55とを主に備える。
【0027】
一対のリファイニングプレート54、55のうち、回転側のリファイニングプレート54は図示しない駆動機構により連結軸56を介して連結され、かかる駆動機構の回転駆動に伴い連結軸56を中心に回転するように構成されている。また、固定側のリファイニングプレート55は、回転側のリファイニングプレート54と対向する位置に配され、ケーシング51に固定されている。各リファイングプレート54、55の対向面54a、55aには、刃面を構成する複数の突起要素が形成されている。図4はその一例で、複数の帯状の突起を有する回転側リファイニングプレート54の対向面54a(あるいは固定側リファイニングプレート55の対向面55a)を示している。
【0028】
また、この図示例では、回転側のリファイニングプレート54の両対向側に2枚の固定側リファイニングプレート55、55が配設されている。そのため、竹材は、スクリュ53側のリファイニングプレート55の中心に設けた孔により、一対のリファイニングプレート54、55間のすき間57に供給されるようになっている。また、ケーシング51の一部下側には、一対のリファイニングプレート54、55により解繊処理を受けた竹材を排出するための排出部58が形成されている。
【0029】
なお、この図示例では、1枚の回転側リファイニングプレート54に、2枚の固定側リファイニングプレート55を対向配置した場合を例示したが、もちろんこれに限る必要はない。固定側のリファイニングプレート55は1枚でも構わない。あるいは、対向する一対のリファイニングプレートを共に回転駆動させる構成を採ることも可能である。
【0030】
以下、上記構成の竹繊維取出し機構を使用した竹繊維の取出し方法の一例を説明する。
【0031】
まず、二軸破砕機2に導入可能な大きさの竹材を用意する。この竹材は、例えば伐採した生竹を切断機1で適当な長さに切断し、さらに縦割りすることで短冊状に得たものである。
【0032】
(A)チップ化工程
上述のようにして得た竹材を二軸破砕機2に供給し、竹材をチップ状に破砕する。破砕処理によりチップ化された竹材は、例えばベルトコンベア、あるいはスクリュ型移送機により、次工程に係る破砕軟化装置3に移送される。なお、チップ化可能な竹材の大きさは、二軸破砕機2の破砕能力によることから、使用する二軸破砕機2の能力に合わせた大きさの竹材を用意するのがよい。
【0033】
(B)破砕軟化工程
チップ化工程(A)にてチップ化された竹材を破砕軟化装置3に供給し、破砕軟化処理を施す。この実施形態では、供給口38を介してホッパ37からケーシング31内に投入されたチップ状の竹材を、スクリュ32の回転により当該装置前方(吐出孔34の側)に向けて押し込む。かかる動作により、竹材は加圧されつつ吐出孔34の側に向けて移送される。また、スクリュ32の回転により竹材同士が擦り合わされて破砕化すると共に、擦り合わせによる摩擦熱等により竹材が加熱されることで、破砕化を容易にしている。
【0034】
この実施形態に係る破砕軟化装置3においては、図2に示すように、スクリュ32の羽根のピッチが前方(吐出孔34の側)に向かうほど狭くなっているので、竹材への加圧効果、および竹材同士の擦り合わせによる破砕効果が一層高まる。また、スクリュ32の回転により、ケーシング31の内側に固定したせん断刃部材36とスクリュ32との間で竹材をせん断破砕することで、竹材の破砕化が一層推し進められる。
【0035】
このようにして加圧され、破砕された竹材をスクリュ32の押出し側先端に設けた吐出孔34から大気中に押し出すことで、竹材が減圧され、その内部に含まれる水分が気化膨張する。これにより、繊維組織を覆うリグニン等の木質構造が破壊されると共に、繊維間の結着状態が緩和あるいは解消され、竹材の軟化が図られる。なお、この実施形態では、スクリュ32と一体に回転するカッター35で押出し直前の竹材を切断することにより、吐出孔34の目詰まりを防止するようになっている。
【0036】
破砕軟化工程(B)で得られる竹材は、人力で容易に変形可能な程度で、かつ容易に繊維にほぐすことができる程度の軟らかさとなる。また、その大きさは、チップ化工程(A)で処理後の竹材(チップ材)より小さく、かつ取出すべき竹繊維よりも大きい(太い)ものが大半である。例えば、吐出孔34の孔径がφ30mmの場合の破砕軟化処理で得られた竹材は、主に径1mm〜8mm、全長10mm〜40mmの大きさであった。図5に、一例に係る破砕軟化処理を施した後の竹材の写真を示す。
【0037】
上述のようにして破砕軟化処理が施された竹材は、水槽4に供給され、この水槽4内で加水攪拌された後、次工程に使用されるディスクリファイナ5へと搬送される。
【0038】
(C)解繊工程
軟化した状態の竹材に対して、ディスクリファイナ5で解繊処理を施す。この実施形態では、水槽4にて加水混合した竹材をディスクリファイナ5に投入することで、湿式の解繊処理を施す。具体的には、フィーダ52から供給された竹材をスクリュ53によりリファイニングプレート54、55間のすき間57に連続的に供給し、リファイニングプレート54の回転により、竹材に解繊力を付与する。かかる処理により、竹材が擦り潰されてさらに細分化すると共に、細分化した竹材中の繊維組織部分がプレート54、55の回転せん断力を受ける。これにより繊維を解きほぐし、所望サイズの竹繊維を含む竹繊維の集合体を得る。これら竹繊維は、すき間57と連通する排出部58から排出され、次工程に係る乾燥機6へと移送される。
【0039】
また、竹材を、水槽4にて水と混合した状態でディスクリファイナ5に投入することで、いわゆる湿式状態での解繊処理を行うこととなるため、乾式に比べて繊維の破断が抑えられ、かつ、その解きほぐしがスムーズに行われる。もちろん、水と混合した状態の竹材に解繊処理を施すことで、竹材に解繊力を付与する際、摩擦力等による過熱で竹材(竹繊維)が劣化するのを防ぐ作用もある。
【0040】
なお、この実施形態に係る取出し機構においては、解繊処理後の竹繊維の集合体を、ディスクリファイナ5と乾燥機6との間に設けた切換弁により水槽8へ移送し、水槽8で加水混合された後、再びポンプによりディスクリファイナ5へと移送可能なように構成されている。従い、かかる工程を経ることで、上述の解繊処理を同一対象物に対して複数回実施することが可能となる。複数回の処理が可能となることで、リファイニングプレート54、55の回転数を過度に高めずに済む。
【0041】
(D)乾燥工程
解繊工程(C)を経て解繊された竹繊維の集合体を、乾燥機6を用いて乾燥する。かかる処理により、竹繊維中の水分が取り除かれると共に、繊維組織を覆うリグニンの大部分が水と共に除去され、繊維部分を主とする竹繊維の集合体を得る。乾燥処理がなされた竹繊維は、ブロアー等で次工程に係るトロンメル(篩選別機)7に移送される。なお、ここで用いる乾燥機6には、繊維自体を劣化させる恐れがない限りにおいて、種々の既存の乾燥、脱水手段を用いることができる。もちろん、自然乾燥により乾燥、脱水を図ることも可能である。
【0042】
(E)篩選別工程
乾燥工程(D)で得られた竹繊維の集合体に対して、トロンメル7により篩分別を行う。具体的には、投入口側から排出口側に向けてメッシュの異なる複数サイズの篩分けを順次実施し、互いに異なる複数の繊維長範囲に属する竹繊維を抽出する。従って、この中から適宜所望サイズの竹繊維を選択、使用することが可能となる。
【0043】
よって、例えば竹繊維を補強材として使用する場合には、上記工程(A)〜(E)を経て得た竹繊維と樹脂とを射出成形機のホッパーに投入し、これを射出成形することで、ペレット状の竹繊維含有樹脂組成物を得ることも可能である。
【0044】
このように、破砕軟化装置3では、竹材内部に含まれる水分の気化膨張を図ることで、繊維組織を覆うリグニンを破壊することができる。そのため、次工程(解繊工程)における繊維の解きほぐしが容易となる。また、破砕軟化した竹材に対してディスクリファイナ5による解繊処理を施すことで、繊維組織をできるだけ破断させることなく繊維を解きほぐすことができる。これにより繊維長の揃った竹繊維を得ることが可能となる。
【0045】
また、上述の破砕軟化処理を、スクリュ32により竹材を吐出孔34に向けて加圧移送し、かつ吐出孔34から竹材を連続的に大気中に押し出して実施することで、竹材の破砕および軟化処理を、竹材の移送と同時にかつ定量的に行うことができる。そのため、昇温や昇圧が必要で、かつ当該処理に多くの時間が必要となる従来の爆砕処理や蒸煮処理に比べて、連続的かつ低エネルギーに竹繊維の取出しを行うことができる。
【0046】
また、この実施形態では、二軸破砕機2にて破砕処理を受けチップ化された竹材を、ベルトコンベア、あるいはスクリュ型移送機により破砕軟化装置3に移送し、かつ、破砕軟化処理後の竹材を水槽に供給し、水中に混合拡散させた竹材を、ポンプによりディスクリファイナ5へと連続的に移送し、移送された竹材に対してスクリュ53およびリファイニングプレート54、55の回転を伴って解繊処理を施し、さらに、解繊後、乾燥処理を施した竹繊維を、ブロアー等でトロンメル7に移送する構成とした。このような取出工程ラインを構成することで、竹材のチップ化から破砕軟化処理、解繊処理、さらには篩選別に到る一連の処理工程を連続的かつ定量的に行うことができる。よって、竹繊維の生産性(抽出効率)をさらに向上させ、取出しコストの一層の低減化を実現することができる。
【0047】
また、この実施形態に係る破砕軟化装置3であれば、スクリュ32との間で、せん断刃部材36による破砕力を竹材に付与することができるので、比較的大きいチップ材に対しても、十分なせん断破砕効果が得られ、適当なサイズの軟化竹材を生成することが可能となる。そのため、チップ状の竹材を得るための二軸破砕機2として、破砕能の小さなもので済み、竹繊維の取出しに要するコストをさらに減じることができる。
【0048】
また、上述のように、竹繊維を補強材として樹脂に配合してなる竹繊維含有樹脂組成物を成形する際、樹脂の種類によっては、竹繊維に含まれる水分で加水分解を生じるものがあるため、竹繊維のベース樹脂として使用できる樹脂が限定される場合がある。これに対して、上述のようにして得られた竹繊維であれば、繊維が長いまま残り、かつ非常に細かく解繊されているため、従来の方法で得られるものと比べて、単位体積当りの表面積が大きい。そのため、乾燥が短時間で済み、また、繊維内部に水分を極力残さないようにすることができる。従って、加水分解を生じやすい樹脂(例えばポリ乳酸など)であっても、樹脂の劣化の恐れなく竹繊維のベース樹脂として使用することができる。
【0049】
なお、上記例示の破砕軟化装置3を用いる場合、被処理物(竹材)の出口となる吐出孔34の孔径は、押出しによる竹材の減圧効果や、細分化の程度に影響を与えるものである。そのため、粉末状など過度に竹材を微細化することなく、かつ適度に破砕軟化が生じ得る程度の孔径とすることが肝要である。もちろん、竹材の微細化の程度は、スクリュ32の回転数や回転トルクなどによっても影響を受けるため、これらを加味して吐出孔34の孔径を定めることが肝要である。好適な範囲の一例として、スクリュの回転数が150rpmの場合、吐出孔34の孔径をφ15mm以上φ35mm以下の範囲に設定する場合を提示することができる。
【0050】
また、本発明では、竹がその内部に水分を豊富に含有する点を利用して破砕軟化処理を行っているが、竹であっても、その年齢によって内部に含まれる水分が異なる(若いほど水分が多い)。また、採取から繊維の取出しに到る過程によって、内部に含まれる水分が減少する可能性がある。かかる場合には、破砕軟化装置3に導水管39を設置して、必要に応じてケーシング31内に水を導入できるようにしておくことで、竹材の含水率のばらつきが、取出した竹繊維のサイズ等に及ぼす影響(悪影響)を小さくすることができる。
【0051】
また、この実施形態のように、ディスクリファイナ5を用いて竹材の解繊処理を行う場合、一対のリファイニングプレート54、55の対向間隔(すき間57の寸法)を適正に定めることが重要となる。解繊処理により得られる竹繊維のサイズやそのばらつきに大きく影響するためである。ここで、好適な範囲の一例として、回転側リファイニングプレート54の回転数を1500rpm以上3000rpm以下の範囲とし、かつプレート54、55の対向間隔(すき間57寸法)を0.1mm以上0.5mm以下に設定する場合を提示することができる。
【0052】
なお、図2や図3に開示の、破砕軟化装置3やディスクリファイナ5の構成は、あくまでも例示に過ぎず、本発明の作用および効果を得ることができる範囲内において種々の変更が可能である。
【実施例】
【0053】
本発明に係る取出し方法、すなわち破砕軟化工程(B)および解繊工程(C)とを含む竹繊維の取出し方法を実施し、その際に得られた竹繊維の繊維長分布を評価した。また、比較として、せん断破砕後、ディスクリファイナを用いて微細化を行う方法を実施し、その際に得られた竹繊維の繊維長分布を評価した。
【0054】
<本発明品>
具体的には、本発明に係る方法として、上記(A)〜(E)の工程を経て取出した竹繊維を、本発明に係る方法で得た竹繊維とした。ここで、工程(B)における破砕軟化装置には、神鋼造機(株)製 SE−15を用いた。また、この際のスクリュの回転数を150rpmとした。ここで、本実施例では、吐出孔の孔径を異ならせ(φ22mm、φ30mmの2種類)、また破砕軟化処理後の竹材に2種類の篩選別(10mmオーバー、10mmアンダー3.5mmオーバー)を行うことで、4種類の試験条件を設定し、それぞれについてサンプルを得た(本発明品1〜4)。各サンプル(竹繊維)の取出し時条件は以下の通りである。
本発明品1:吐出孔径φ22mm、篩10mmオーバー
本発明品2:吐出孔径φ22mm、篩10mmアンダー3.5mmオーバー
本発明品3:吐出孔径φ30mm、篩10mmオーバー
本発明品4:吐出孔径φ30mm、篩10mmアンダー3.5mmオーバー
【0055】
なお、工程(C)におけるディスクリファイナには、本発明品1〜4何れの場合も、熊谷理機工業(株)製 KRK高濃度レファイナーを用いた。ここで、リファイニングプレートの回転数を2000rpm、リファイニングプレート間の対向間隔(クリアランス)を0.5mmとした。また、リファイニングプレートとして、図4に示す突起形状のもの(熊谷理機工業(株)製 レファイナプレート 12527)を使用した。加水混合比は、水10に対して竹材1の割合とした。
【0056】
また、篩選別工程(E)では、トロンメルとして、傾斜ドラム型のものを用いた。メッシュは、1.0mm、2.0mm、および3.5mmの三段階とし、30%以下に乾燥させた竹材(竹繊維の集合体)を投入することで、4つのグループ(1.0mmアンダー、2.0mmアンダー、3.5mmアンダー、3.5mmオーバー)に竹繊維を選別抽出した。
【0057】
<従来品>
比較のための取出し方法として、上記(A)工程、および(C)〜(E)の工程を経て取出した粒状竹材を、比較のための方法で得た竹繊維とした。この実施例では、せん断破砕後の竹材に2種類の篩選別(10mmアンダー3.5mmオーバー、3.5mmアンダー2.0mmオーバー)を行うことで、2種類のサンプルを得た(比較品1および2)。なお、解繊工程(C)における使用装置、およびその使用条件は、本発明に係る方法の場合と同じである。
【0058】
図6に試験結果を示す。同図における縦軸は、各抽出サンプル全体に対する各繊維長範囲に含まれる繊維の割合を示している。同図より、破砕軟化工程(B)と解繊工程(C)とを経て取出された竹繊維(本発明品1〜4)には、工業用材料としての使用に適した範囲(1mm以上3.5mm以下)の竹繊維が約50%あるいはそれ以上含まれることがわかった。これに対して、破砕軟化工程(B)を経ることなく取り出されたもの(比較品1および2)は、見かけ上、本発明品と同様の寸法であったが、竹材を単に微細化したものに過ぎないたいめ、非常に硬く、繊維の状態で取出すことはできなかった。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係る竹繊維の取出し機構を概念的に示す図である。
【図2】破砕軟化装置の一部断面図である。
【図3】ディスクリファイナの一部断面図である。
【図4】リファイニングプレートの刃面形状の一形態を表す正面図である。
【図5】破砕軟化処理後の竹材の一例を示す写真である。
【図6】取出された竹繊維の繊維長分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0060】
1 切断機
2 二軸破砕機
3 破砕軟化装置
4 水槽
5 ディスクリファイナ
6 乾燥機
7 トロンメル
31 ケーシング
32 スクリュ
34 吐出孔
35 カッター
36 せん断刃部材
37 ホッパ
53 スクリュ
54 リファイニングプレート(回転側)
55 リファイニングプレート(固定側)
57 すき間(クリアランス)
【出願人】 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
【識別番号】391037571
【氏名又は名称】神鋼造機株式会社
【出願日】 平成19年3月19日(2007.3.19)
【代理人】 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾

【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳

【識別番号】100101616
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 吉之

【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦

【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛


【公開番号】 特開2008−229933(P2008−229933A)
【公開日】 平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願番号】 特願2007−69903(P2007−69903)