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アルデヒド類捕集剤 - 特開2008−162238 | j-tokkyo
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【発明の名称】 アルデヒド類捕集剤
【発明者】 【氏名】石本 健一

【氏名】堅田 保

【氏名】白井 幸児

【氏名】池田 誉司

【要約】 【課題】熱圧工程前の木質材料或いは接着剤に添加できる固体状態のアルデヒド類捕集剤でありながら、これを用いて製造された木質板の曲げ強さの低下を減少することができ、かつ外観の優れた木質板が製造できるアルデヒド類捕集剤を提供すること。

【解決手段】常温で固体のアルデヒド類捕集用化合物と木粉とを含有するアルデヒド類捕集剤とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質材料中またはホルムアルデヒド系接着剤中のどちらか一方または両方に添加、分散して使用するアルデヒド類捕集剤であって、前記アルデヒド類捕集剤は、1種類以上の常温で固体のアルデヒド類捕集用化合物と1種類以上の木粉とを含有する、常温で粉末のアルデヒド類捕集剤。
【請求項2】
前記アルデヒド類捕集用化合物は、加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する請求項1記載のアルデヒド類捕集剤。
【請求項3】
アルデヒド類捕集剤が、更に1種類以上の撥水性化合物を含有する請求項1または2記載のアルデヒド類捕集剤。
【請求項4】
木質材料中またはホルムアルデヒド系接着剤中のどちらか一方または両方に、請求項1〜3のいずれかの項に記載されたアルデヒド類捕集剤を添加し、その後、熱圧成形する工程を少なくとも有する木質板の製造方法。
【請求項5】
少なくともホルムアルデヒド系接着剤と、請求項1〜3のいずれかの項に記載されたアルデヒド類捕集剤とを添加された木質材料が、熱圧接着されてなる木質板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルムアルデヒド系接着剤から発生するホルムアルデヒド等のアルデヒド類を捕集するアルデヒド類捕集剤、前記アルデヒド類捕集剤を含有するホルムアルデヒド系接着剤、更には、これらを用いて製造される木質板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーティクルボード、合板、木質繊維板等の木質板の製造には、ホルムアルデヒド系接着剤を接着剤として使用することが一般的に行われている。この場合、木質板から、前記ホルムアルデヒド系接着剤に起因する遊離したホルムアルデヒドが大気中に放出され、環境や健康に害を与える問題がある。
【0003】
従来、この問題の解決手段として、ホルムアルデヒドと反応してこれを捕集するいわゆるホルムアルデヒド捕集剤として、尿素、亜硫酸塩、ヒドラジド類を木質材料表面に塗布することが行われている(特許文献1、特許文献2参照)。この場合、ホルムアルデヒド捕集剤は通常水等に希釈して、スプレー塗工、ロール塗工等で塗布される。木質板は、ホルムアルデヒド捕集剤を塗布後、積み重ねて保管され、出荷される。
【特許文献1】特開平11−240002号公報
【特許文献2】特開2002−331504号公報
【0004】
ところで、木質板は、アルデヒド捕集剤を塗布後、表面美観を向上する為及び所要の寸法とする為に表面を薄く研磨して出荷されるのが通常であるが、表面研磨を行った場合、特に研磨厚が大きい場合には木質板表面に存在するアルデヒド類捕集剤も少なくなり、その結果、上記手段ではホルムアルデヒド補捉能が低下或いはなくなってしまうという問題が生じる。この問題を解決する手段として、木質材料中に亜硫酸ナトリウムや尿素をホルムアルデヒド捕集成分として添加してホルムアルデヒド放散量を低減する方法が提案されている(特許文献3)。
【特許文献3】特開平10−119010号公報
【0005】
しかしながら、特許文献3記載の方法では、ホルムアルデヒド捕集成分である亜硫酸ナトリウムや尿素は、接着前の木質材料や接着剤に添加して使用するものであるから、接着前にホルムアルデヒド系接着剤の接着成分であるホルムアルデヒドと反応し、接着剤としての接着力を弱めてしまっていた。このため、製造された木質板の曲げ強さが若干低下するという問題があった。
【0006】
更に、前記亜硫酸ナトリウムや尿素が、固体であることから、木質板製造後に、添加した固体の亜硫酸ナトリウムなどが白斑として浮き出てしまい、木質板の外観上問題が生じる場合もあるという問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明では、熱圧工程前の木質材料や接着剤に添加できる固体状態のアルデヒド類捕集剤でありながら、これを用いて製造された木質板の曲げ強さの低下を低減することができ、かつ外観の優れた木質板を製造できるアルデヒド類捕集剤の提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、木質材料中或いはホルムアルデヒド系接着剤中に添加、分散して使用する本発明のアルデヒド類捕集剤は、
常温で粉末であって、かつ1種類以上の常温で固体のアルデヒド類捕集用化合物と1種類以上の木粉とを含有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアルデヒド類捕集剤は、熱圧工程前に木質材料に添加できるので、これを用いて製造された木質板は、表面研磨の有無に拘わらず高いアルデヒド類捕集効果を発揮できるものでありながら、木質板の曲げ強さ、なかでも湿潤時の曲げ強さの低下を抑えることができる。
【0010】
また、本発明のアルデヒド類捕集剤に添加された木粉は、アルデヒド類捕集用化合物など他の成分を外観上マスキングする。このため、本発明のアルデヒド類捕集剤として、白斑の発生しやすい種類のアルデヒド類捕集用化合物や、平均粒子径の大きなアルデヒド類捕集用化合物を用いた場合でも、製造された木質板においては、白斑の発生を抑えることができ、外観に優れた木質板を製造することができる。
【0011】
特に、アルデヒド類捕集用化合物に撥水性化合物を被覆させた粒子を含有するアルデヒド類捕集剤においては、前記撥水性化合物が媒介となってアルデヒド類捕集用化合物が偏在して粗大粒子を形成し、木質板表面に肉眼で観察できるような大きな白斑の原因となっていたにも拘わらず、かかる粗大粒子を完全に取り除くことは困難であった。しかし前記木粉の外観上のマスキング効果によって、製造した木質板に意図せず粗大粒子が残存しても、木質板表面の白斑にはならないようにすることができる。
【0012】
また、本発明のアルデヒド類捕集剤のうち、加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する前記アルデヒド類捕集用化合物を含有するアルデヒド類捕集剤であれば、アルデヒド類を捕集する反応は、ガス状反応になるため、高いアルデヒド類捕集効果を発揮できる。このため、製造された木質板は、使用制限を受けないJIS規定のF☆☆☆☆評価の木質板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(ホルムアルデヒド系接着剤)
本発明のアルデヒド類捕集剤は、木質板の作製において、使用時にアルデヒド類を放出しながら接着が行われるホルムアルデヒド系接着剤を使用する場合に、前記接着剤とともに用いると好適なアルデヒド類捕集効果を奏するものである。
ホルムアルデヒド系接着剤とはホルムアルデヒドを成分として含有する接着剤全般を指し、代表的なホルムアルデヒド系接着剤としては、尿素とホルムアルデヒドを主成分とする尿素系接着剤(U系接着剤)、メラミン、尿素及びホルムアルデヒドを主成分とするメラミン系接着剤(M系接着剤)、フェノールとホルムアルデヒドを主成分とするフェノール系接着剤(P系接着剤)を挙げることができる。これらのホルムアルデヒド系接着剤は、木質板の製造に好んで用いられる。また、これらホルムアルデヒド系接着剤とホルムアルデヒド系以外の接着剤(例えばイソシアネート系接着剤)と併用して使用することもある。
【0014】
(アルデヒド類捕集剤)
本発明は、木質材料とホルムアルデヒド系接着剤を用いて木質板を製造するに際して、該木質材料中或いは該ホルムアルデヒド系接着剤中に添加または分散して使用するアルデヒド類捕集剤についてのものであり、その性状は常温で粉末である。なお、常温の語は、一般的な意味あいで用いるものあるが、厳密に定義すれば、25℃を指す。
【0015】
〔平均粒子径〕
また本発明のアルデヒド類捕集剤粉末においては、効率のよいアルデヒド類捕集能を付与し、また本発明のアルデヒド類捕集剤粉末を用いて製造した木質板の外観を向上させるため、前記粉末の平均粒子径は3mm以下が好ましい。一方、平均粒子径があまりに小さすぎると、粉末として取り扱いづらくなるだけでなく、アルデヒド捕集能が却って悪くなったり、凝集が発生し却って外観上の問題を発生させたりする可能性があるため、20μm以上、更に好ましくは50μm以上であることが好ましい。
【0016】
〔平均粒子径の測定方法〕
本発明のアルデヒド類捕集剤(アルデヒド類捕集用化合物の他、必要に応じて撥水性化合物や流動性改善剤などが添加された混合物粉末)の平均粒子径は、分級操作とレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置とによって測定するものとする。
まず分級操作で平均粒子径を測定し、その平均粒子径が250μm以上の粉末の場合、当該粉末の平均粒子径の値は、その分級操作での測定値を採用し、一方、分級操作による平均粒子径が250μm未満粉末の場合は、更にレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で平均粒子径を測定し、そのレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置の測定値を採用する。
【0017】
具体的には、分級操作は、被測定物について、目開き4000μm、2830μm、2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、及び150μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行う。この分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の4000μmの篩の上から100g/回のサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定することにより行う。
受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、次式(数1)により被測定物の平均粒子径(重量50%)が求められる。
【0018】
【数1】



【0019】
一方、レーザー回折/散乱式粒度分布測定は、被測定物を東日コンピューターアプリケーションズ(株)製の粒度分布測定装置「LDSA−1400A」を用いて測定するものとする。具体的には、焦点距離300mmで乾式分散装置を用いて、レーザー電源をオンにして、レーザー光が安定した後、自動焦点合わせを行う。平均粒子径は、乾式分散装置でサンプル粉末を連続的に吸引させながら、バックグラウンドと測定時との透過率比が0.5〜0.9の領域に調整しながら測定する。測定結果を体積基準で多重散乱補正処理して得られた平均粒子径を、本発明において、分級操作における平均粒子径が250μm未満の場合の平均粒子径とする。
【0020】
(アルデヒド類捕集用化合物)
アルデヒド類捕集用化合物としては、アルデヒド類と反応する公知のアルデヒド類捕集能を有する化合物であれば足りる。好ましいアルデヒド類捕集化合物の例としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩類、尿素類、ヒドラジド類等を挙げることができる。また、二種類以上のアルデヒド類捕集用化合物を用いてもよい。
【0021】
亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属塩や、モノエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩及びこれらの複塩等が挙げられるが、なかでも、アルデヒド類捕集性能をもち、低コストである点より、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウムが好適である。本発明ではこれらの亜硫酸塩類のうち1種類または2種類以上を併用して使用することも出来る。
【0022】
重亜硫酸塩類としては、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜二チオン酸塩が挙げられる。前記塩の種類は、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属塩や、モノエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。このうち、ナトリウム塩、カリウム塩などが好ましい。本発明ではこれらの重亜硫酸塩類のうち1種類または2種類以上を併用して使用することも出来る。
【0023】
尿素類としては、尿素及び尿素結合を有する化合物が例示され、例えば、メチル尿素、エチル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、グアニル尿素、アセチル尿素、チオ尿素の他、エチレン尿素、アラントイン等の環状尿素縮合体や、ビウレットなどの尿素二量体などの非環状尿素縮合体などが挙げられる。本発明ではこれら尿素類のうち1種或いは2種以上を併用して使用することもできる。これらのうち好ましい例としては、尿素、エチレン尿素、チオ尿素が挙げられ、なかでも価格等から尿素が好ましい。
【0024】
ヒドラジド類としては、分子中に1個のヒドラジド基を有するモノヒドラジド化合物、分子中に2個のヒドラジド基を有するジヒドラジド化合物、分子中に3個以上のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物を挙げることができる。モノヒドラジド化合物の具体例としては、ラウリル酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド等のアルキルヒドラジド化合物が挙げられる。ジヒドラジド化合物の具体例としては、カルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン2酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ダイマー酸ジヒドラジド等の2塩基酸ジヒドラジドが挙げられる。ポリヒドラジド化合物の具体例としては、ポリアクリル酸ヒドラジド等を例示できる。これらのなかでも、2塩基酸ジヒドラジド化合物が好ましく、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン2酸ジヒドラジドがより好ましく、価格や入手のし易さからアジピン酸ジヒドラジドがさらに好ましい。本発明ではこれらヒドラジド類のうち1種或いは2種以上を併用して使用することもできる。
【0025】
かかるアルデヒド類捕集用化合物のなかでも、常温では固体であるが、加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有するものが好ましい。このような性質を有する化合物であれば、熱圧成型工程において、アルデヒド類捕集能を有する酸性ガスが発生し、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類とガス状での反応を生じることによりアルデヒド類を除去するため、固体−気体反応でアルデヒド類を除去する他のアルデヒド類捕集能を有する化合物を用いた場合よりも高いアルデヒド類捕集能を発揮できるからである。
【0026】
具体的なアルデヒド類との反応性を有する酸性ガスとしては、硫黄酸化物ガスや硫化水素を挙げることができる。硫黄酸化物ガスとしては、代表的な亜硫酸ガスの他、SOガスなどを挙げることができる。なお亜硫酸ガスが発生する場合にはSOガスも副生として発生する場合がある。本発明のアルデヒド類捕集剤では、このように2種以上の硫黄酸化物ガスが混在して発生する場合でも、お互いが阻害要因とならず、両者ともアルデヒド類を捕集するので好ましく使用できる。
アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する化合物は、次のような加熱反応によって、亜硫酸ガスを代表とする硫黄酸化物ガスや硫化水素ガスを発生させる。加温により亜硫酸ガスを発生させる化合物として亜硫酸水素ナトリウム、加温により硫化水素ガスを発生させる化合物として硫化水素ナトリウムの場合を例にとって説明する。
2NaHSO →(加熱)→ NaSO+HO+SO
2NaHS →(加熱)→ NaS+HS↑
【0027】
上記反応によってアルデヒド類捕集用化合物から発生した酸性ガスが、熱圧工程でアルデヒド類を捕集する機構は、次のような化学反応を辿ることによるものと推測される。アルデヒド類としてホルムアルデヒドの場合を例にとって説明する。
(亜硫酸ガスの場合)
HCHO+SO+HO → HOCHSOH・・・不安定な酸を生成
HOCHSOH+NaSO → HOCHSONa+NaHSO
(硫化水素ガスの場合)
S+HOCHOH→HOCHSH+H
熱圧工程において、上記反応がガス状で反応するため、アルデヒド類が効果的に除去される。
【0028】
上記のような加温により亜硫酸ガスを発生させる性質を有するアルデヒド類捕集用化合物の例としては、上記の亜硫酸水素ナトリウムのような重亜硫酸塩類を挙げることができる。重亜硫酸塩類のうちでも、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜二チオン酸塩などが好ましい。前記塩の種類の例として考えられるものは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属塩や、モノエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩等がある。なお重亜硫酸塩類によっては、加温によって亜硫酸ガスとともに副生成物としてSOガスを発生する化合物もある。一方、加温により硫化水素ガスを発生させる性質を有するアルデヒド類捕集用化合物の例としては、上記のとおり、硫化水素ナトリウム等の硫化水素塩等がある。
【0029】
加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する化合物という語を更に厳密に定義する必要があるならば、前記酸性ガスが亜硫酸ガスの場合においては、下記のように厳密に定義することができる。すなわち、前記アルデヒド類捕集用化合物からの亜硫酸ガス発生濃度が、140℃加熱時に500ppm以上の化合物であるか、または亜硫酸ガスを発生する化合物であってその分解開始温度が250℃以下、好ましくは200℃以下の化合物をいうものとする。亜硫酸ガスの発生濃度が小さすぎると、アルデヒド類捕集能が十分でないからである。また分解開始温度が高すぎる化合物は、熱圧工程で接着を行う際、200℃程度の温度であっても亜硫酸ガスを十分には発生しないと考えられるからである。その一方、加温により発生する亜硫酸ガス濃度が50%を超えるような化合物の場合、例え室温で固体であったとしても容易に分解しやすい化合物であり、臭気も強く、取り扱いが困難であるからあまり好ましくない。
【0030】
加温時の亜硫酸ガス発生濃度の測定方法はJISなどで確立された測定方法が存在しないので、下記に説明する方法で測定することとした。また熱分解開始温度の測定は下記の条件で行うものとする。
【0031】
〔亜硫酸ガス濃度の測定方法〕
試験装置・器具:JIS K 2234−1994に記載されている伝熱面腐食試験装置を使用する。但し、金属試験片に相当する部分はSUS304で作製し、熱板とする。
試験方法:ガラスセル上部より試料1.0gを入れて封入した後、金属試験片に相当する部分をヒーターで加温し目的の温度まで昇温する。目的の温度に達した後30分間温度を保持して試料より亜硫酸ガスを発生させた後、試験装置上部の栓を開け、ガス検知管により亜硫酸ガス濃度を測定する。尚、ガラスセルは内径40mm、全長530mmのものを使用する。また、ガス検知管はJIS K0804−1998に規定する(株)ガステック製検知管式ガス測定器(二酸化イオウ)を使用した。
【0032】
〔熱分解開始温度〕
TG(SEIKO社製 TG/DTA6200)により熱分解し、分解開始温度を外挿した。昇温条件は次のとおりである。
温度範囲30−300℃
昇温速度:10℃/分
【0033】
上記試験の結果は表1にまとめた。なお、亜硫酸水素ナトリウムについては、試料量0.1gの場合の濃度も補足的に測定した。表1のとおり、亜硫酸水素ナトリウム,亜硫酸水素カリウム,ピロ亜硫酸ナトリウム,ピロ亜硫酸カリウム,亜硫酸マグネシウム,亜硫酸亜鉛及び亜硫酸アルミニウムは、亜硫酸ガス発生濃度が、140℃加熱時に500ppm以上の化合物であるか、または亜硫酸ガスを発生する化合物であってその分解開始温度が250℃以下の化合物であることが確認された。一方、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸カルシウムは上記要件満たさず、本発明では酸性ガスを発生しない化合物といえることが確認された。
【0034】
【表1】



【0035】
なお、アルデヒド捕集剤に調整される前のアルデヒド類捕集用化合物の原料における平均粒子径は、様々なものが使用可能である。平均粒子径が大きすぎる粉末原料については、公知の手段で粉砕すれば、本発明のアルデヒド類捕集用化合物として使用することができる。
【0036】
表2には、本発明においてアルデヒド類捕集化合物として使用できる化合物のうち、市販されているものの平均粒子径を示した。また、表2には、前記市販品をダルトン社製パワーミル「P−02S」を用いて粉砕した粉砕品の平均粒子径も併せて示した。なお、粉砕条件は次のとおりである。
表2のうち、無水重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムについては、目開き500μmのスクリーンを取り付けた前記パワーミルを2回通過させ、表2記載の各粉砕品を得た。また表2記載の尿素とエチレン尿素については、目開き500μmのスクリーンを取り付けた前記パワーミルを1回通過させて、各粉砕品を得た。
【0037】
【表2】



【0038】
(木粉)
本発明で用いる木粉とは、一般に木材を砕いたときに生じる粉体をいうものである。木材となる樹木の種類は問わず、広葉樹からの木粉であっても針葉樹からの木粉であっても良い。また廃木材からのものであっても良く、種類の異なる樹木からの木粉が混合されているものであっても良い。
前記木粉を含有する本発明のアルデヒド類捕集剤であれば、これを用いて製造した木質板の、前記木粉を添加しない前記アルデヒド類捕集用化合物と比較して、曲げ強度、特に湿潤時における曲げ強度について低下の度合いが小さい。
更に前記木粉は、製造された木質板において、前記アルデヒド類捕集用化合物の外観上のマスキング効果を発揮するので、本発明のアルデヒド類捕集剤を用いて木質板を作製すると、外観の優れた木質板を得ることができる。
前記木粉の好ましい含有量は、アルデヒド類捕集剤全体量に対して0.5〜60重量%である。
【0039】
(添加物)
本発明のアルデヒド類捕集剤では、前記アルデヒド類捕集用化合物と木粉の添加が必須となるが、その他有用な化合物を更に添加することもできる。なかでも、前記アルデヒド類捕集用化合物は、後述の撥水性化合物、流動性改善剤とともに用いることが好ましい。このように他の化合物を含有する場合、前記アルデヒド類捕集用化合物の含有量は、木質材料への全添加量に対して5〜99重量%であることが好ましい。
【0040】
〔撥水性化合物〕
上記構成のアルデヒド類捕集剤は、アルデヒド類捕集用化合物として、亜硫酸水素ナトリウムやピロ亜硫酸ナトリウムのような吸水性の大きな化合物を含む場合もあるので、これをアルデヒド類捕集成分として添加した木質材料で作成した木質板は吸水膨張しやすいという欠点がある。そこで上記構成のアルデヒド類捕集剤に、撥水性化合物を更に加えることにより、これを用いて製造した木質板の吸水膨張を抑制することができる。
【0041】
本発明で用いることのできる撥水性化合物は、撥水性を有する化合物のうち、常温で固体状であれば公知のものが使用できる。好ましい撥水性化合物の具体例としては、ワックス類やシリコーン類、ろう、高級脂肪酸の金属塩等が挙げられる。
【0042】
ワックス類としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスに代表される天然ワックスや、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、α―オレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成脂肪酸エステルに代表される合成ワックスが挙げられる。またこれら天然ワックスや合成ワックスを酸化した酸化ワックス、水添化した硬化油脂(例えば牛脂硬化油やカスターワックスなど)及び変性したワックス誘導体なども挙げられる。更にはオレフィンと無水マレイン酸からなるワックス、オレフィンとアクリル酸からなるワックス、酢酸ビニルからなるワックスまたは高級アルコール、脂肪酸アマイド、ポリエーテルなどのワックスも使用できる。
【0043】
シリコーン類としては、例えばジメチルシリコーンオイルの変性体が挙げられ、高級脂肪酸の金属塩としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムが挙げられる。
【0044】
これらの中でも、融点が40℃〜140℃の撥水性化合物が好ましく、融点が50℃〜120℃の撥水性化合物がより好ましい。木質板製造時の熱圧により溶融して木質材料全体に分散した後に固化するため、防水効果が得やすい為である。好ましい具体例としては、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスの天然ワックスや、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、牛脂硬化油、パーム硬化油、カスターワックス等などの硬化油脂が挙げられる。これらは、単独でも使用できるが2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0045】
下記製造方法によってアルデヒド類捕集剤の製造を行う場合、撥水性化合物は、一旦溶融させるため、撥水性化合物は常温で固体であれば足り、その形状は問わない。ただし、下記製造方法によらずに、混合添加することも可能である。混合添加する場合の撥水性化合物の性状は、粉末状であって、粒子径は、3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。粒子径が大きいと木質材料中にまんべんなく分散させることが難しくなるからである。
【0046】
前記撥水性化合物をアルデヒド類捕集剤中に含有させて使用する場合、その割合は、アルデヒド類捕集剤全体量に対し5〜80重量%であることが好ましく、10〜60重量%であることがより好ましい。割合が小さすぎると木質板の吸水膨張を十分に防ぐことができず、一方、割合が多すぎるとアルデヒド類捕集剤本来の効果であるアルデヒド類捕集能を低下させてしまうからである。撥水性化合物をアルデヒド類捕集剤に含有させるには、後述のアルデヒド類捕集用化合物など他の成分とともに、公知の方法で混合すれば足りる。
【0047】
なお、本発明のアルデヒド類捕集剤において、前記固体のアルデヒド類捕集用化合物と前記固体の撥水性化合物を機械的に混合するのではなく、前記撥水性化合物を加熱し、溶融させた上で、前記アルデヒド類捕集用化合物と混合し、冷却を行うと、前記アルデヒド類捕集用化合物の表面の一部または全部が、前記撥水性化合物によって被覆される。前記アルデヒド類捕集用化合物を被覆した前記撥水性化合物は、上記の木質板にした際の吸水膨張を抑える効果に加えて、本発明のアルデヒド類捕集剤とホルムアルデヒド系接着剤とを木質材料に添加した場合、前記木質材料が熱圧成型工程に供されるまでの間、ホルムアルデヒド系接着剤と前記アルデヒド類捕集用化合物とが接触して、前記接着性能が低下することを防ぐ。その一方、熱圧成型時には、前記撥水性化合物が溶融液化してアルデヒド類捕集用化合物を放出するので、熱圧成型後の木質板からのホルムアルデヒドの放散を効果的に抑制することができる。
【0048】
〔流動性改善剤〕
本発明のアルデヒド類捕集剤には、生産時及び製品保管時における下記撥水性化合物粒子同士の固着防止、及び粉末としての安息角低下、すなわち製品使用時の製品流動性向上のため、流動性改善剤を含有することが好ましい。
具体的な流動性改善剤としては、炭酸化合物、ケイ酸化合物、金属石鹸類がある。炭酸化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩が挙げられる。ケイ酸化合物としては、非晶質シリカ(ホワイトカーボン)を挙げることができ、またケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムなどのケイ酸塩が挙げることができ、更に天然または合成ゼオライト、ベントナイトやタルク等のアルミノケイ酸塩も挙げることができる。金属石鹸類としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
なかでもホワイトカーボン、ゼオライト、ステアリン酸カルシウム、タルク或いはベントナイトが好ましい。より効果的に流動性向上効果が得られるからである。これら化合物は、単独でも使用できるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0049】
前記流動性改善剤の含有割合は、アルデヒド類捕集剤全体量に対し、0.3〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜5重量%である。含有割合が小さすぎると、粒子同士の固着を効果的に防ぐことができない。一方、割合が多すぎても、目的とする効果は向上せず、かえって高コストとなる。
【0050】
〔その他の添加物〕
本発明の木質板の製造法では、上記添加物の他にも、必要に応じて、更に酸化防止剤、防腐剤、着色剤、防錆剤の他、製造工程上必要な薬剤を添加することもできる。例えば、残存した亜硫酸ガスを消去させるため、尿素のような加温により塩基性ガスを発生する性質を有する化合物を含有させることもできるし、また酸化カルシウムや水酸化アルミニウムのような塩基性化合物を添加することもできる。
【0051】
(製造方法)
〔撥水性化合物を被覆させない場合〕
本発明のアルデヒド類捕集剤のうち、アルデヒド捕集用化合物に撥水性化合物を被服させない場合は、アルデヒド捕集用化合物、木粉及びその他の添加物を公知の方法によって攪拌混合すれば、本発明のアルデヒド類捕集剤とすることができる。
【0052】
〔撥水性化合物を被覆させる場合〕
上記本発明のアルデヒド類捕集剤のうち、アルデヒド類捕集用化合物の表面に撥水性化合物を被覆した粒子を含有するものは、以下の(1)〜(5)の工程を少なくとも経ることで、収率良く製造することができる。
(1) 撥水性化合物を溶融する工程
(2) 前記(1)工程後、少なくともアルデヒド類捕集用化合物と木粉を攪拌混合しながら、溶融した前記撥水性化合物を該撥水性化合物の融点よりも1〜20℃高い温度の状態にて、滴下或いは噴霧する工程
(3) 前記(2)工程にて得られた混合物を、攪拌混合しながら冷却する工程
(4) 前記(3)工程にて、前記混合物が、前記撥水性化合物の融点よりも10〜50℃低い温度まで冷却された時点で、更に流動性改善剤を添加する工程
(5) 前記(4)工程にて得られた混合物を篩い分けして粉末状アルデヒド類捕集剤を得る整粒工程
【0053】
((1) 工程)
本発明の(1)工程は、アルデヒド類捕集用化合物に撥水性化合物を滴下或いは噴霧するために、該撥水性化合物を溶融する工程である。溶融に用いるヒーターは公知のヒーターを用いることができる。
【0054】
((2) 工程)
本発明の製造方法の(2)工程は、前記(1)工程で溶融した撥水性化合物を少なくともアルデヒド類捕集用化合物と木粉を含有する混合物に滴下或いは噴霧する工程であるが、このときの滴下或いは噴霧温度は、該撥水性化合物の融点よりも1〜20℃高い温度とする。例えば、撥水性化合物として融点55℃のパラフィンワックスを用いた場合の滴下或いは噴霧する温度は、56〜75℃とする。更に、撥水性化合物の融点よりも5〜10℃高い温度で滴下或いは噴霧を行うことがより好ましい。滴下或いは噴霧時の温度が低すぎると、撥水性化合物が固化して配管詰まりを起こしやすくなる。一方、滴下或いは噴霧時の温度が高すぎると、造粒機内の温度が上昇するので冷却時間が長くなり余分なエネルギーロスになるとともに、製造機の壁への付着が多くなる。
【0055】
なお、上記のように滴下或いは噴霧する際、温度を一定範囲に制御するためには、滴下或いは噴霧する撥水性化合物の貯蔵されたタンクから溶融した撥水性化合物を噴霧或いは滴下する噴霧ノズル或いは滴下口までの系統部の温度を制御することが好ましい。本工程で該撥水性化合物の滴下或いは噴霧時の温度範囲をコントロールしつつ、該撥水性化合物をアルデヒド類捕集用化合物に滴下或いは噴霧、なかでも噴霧することで、アルデヒド類捕集用化合物などを含む混合物の各粒子表面に前記撥水性化合物が被覆された複合粒子の発生する確率が増え、接着性低下防止効果のより大きい粉末状アルデヒド類捕集剤とすることができる。成分の偏りが少ないアルデヒド類捕集剤とするため、被添加・噴霧成分であるアルデヒド類捕集用化合物を攪拌しながら滴下或いは噴霧を行うことが好ましい。
【0056】
((3) 工程)
本発明の製造方法の(3) 工程は、前記(2)工程にて得られた混合物を、攪拌混合しながら冷却する工程である。冷却により、溶融していた撥水性化合物は再び固化する。
【0057】
(攪拌)
前記(2) 工程及び(3) 工程における攪拌の処理条件としては、下記式(i)で定義される攪拌フルード数Frが0.1以上5.0未満となる条件で行うことが好ましい。
Fr=V/[(R×g)0.5] (i)
なお、(i)式中、Vは攪拌翼の先端の周速[m/s]を、Rは攪拌翼の回転半径[m]を、gは重力加速度[m/s2])を表す。攪拌フルード数Frを上記範囲に制御することで、粘性のある撥水性化合物を選択した場合でも、アルデヒド類捕集用化合物に均一に添加できる。撥水性化合物噴霧時のフルード数Frが小さすぎると、粒子の凝集を起こし、粗大粒子を生成しやすくなる。また造粒機の壁への付着が生じ、負荷が過大となり易くなり、好ましくない。一方、フルード数Frが大きすぎる、すなわち攪拌速度が速すぎると、攪拌による摩擦熱により造粒機の内温が上昇するため、冷却時間が長くなり、エネルギーロスとなるので好ましくない。
【0058】
((4) 工程)
本発明の製造方法の(4) 工程は、前記(3)工程にて、前記混合物が、前記撥水性化合物の融点よりも10〜50℃低い温度まで冷却された時点で、流動性改善剤を添加する工程である。例えば、撥水性化合物として融点55℃のパラフィンワックスを用いた場合は、前記混合物が、5〜45℃まで冷却された時点で流動性改善剤を添加する。更に前記混合物が、前記撥水性化合物の融点よりも20〜30℃低い温度まで冷却された時点で、流動性改善剤を添加することが、より好ましい。
【0059】
流動性改善剤の添加を前記(3)工程による冷却前に添加してしまうと、流動性改善剤が前記混合物内部に取り込まれ、粒子の最表面が流動性改善剤によって被覆された状態にならず、流動性向上に寄与しなくなる。従って、流動性改善剤は、前記混合物中の撥水性化合物が固化する(3)工程後に添加する。更に流動性改善剤を添加する温度範囲を一定の範囲に限定することで、粒子径の小さい粒子をワンパスで得やすくなる。なお、流動性改善剤を含有しない場合は、当該(4) 工程が省略される。
【0060】
((5) 工程)
本発明の製造方法の(5)工程は、前記(4)工程にて得られた混合物を篩い分けして粉末状アルデヒド類捕集剤を得る整粒工程である。本工程で、本発明のアルデヒド類捕集剤の平均粒子径が3mm以下になるように、整粒することが好ましい。また篩い分け上に残った粉末を粉砕して、再び整粒することも可能である。
【0061】
(造粒方法、装置)
上記(1)〜(4)の工程は、攪拌型造粒法、転動造粒法、押し出し造粒法、破砕型造粒法、噴霧乾燥造粒法にて行うことができ、具体的な装置としては、ハイスピードミキサー、ヘンシェルミキサー、ニューグラマシン、シュギミキサー、レディーゲミキサー、プロシェアミキサー、リボンミキサー、スパルタンミキサー、パグミキサー、タービュライザー(以上、攪拌造粒法)水平円筒型混合機(転動造粒法)、混練押出機、横型連続式のニーダー、密閉式の圧密化処理装置(以上、混練押出法)、向流式噴霧乾燥塔(噴霧乾燥造粒法)などを用いて行うとことができる。
【0062】
上記(5)工程の整粒(篩い分け)は、上述のとおりロータップ型篩振盪機によることが好ましいが、その他のオシレーター、振動ふるいなどを用いて行うこともできる。また粉末の粉砕を行う際には、パワーミル、ハンマーミル、ピンミル、気流式粉砕機などを用いて行うことができる。気流式粉砕機の具体的装置は、ウイングミル、ジェットミル、ゼプロス、セレンミラー、ドリームミルなどが挙げられる。
【0063】
(木質板)
木質材料に、ホルムアルデヒド系接着剤と本発明のアルデヒド類捕集剤とを添加し、熱圧工程にて接着して得られる木質板としては、例えばパーティクルボード(PB)、OSB、木質繊維板(例えばMDF)、合板などがある。パーティクルボード(PB)の場合、木質原料を一般的にはチップ状にし、粉砕後、篩い分けして使用する。OSBの場合、木質材料を切削し、ストランドにして使用する。MDFの場合、木質材料を一般的にはチップ状にし、解繊して使用する。合板の場合は、木材を薄く切削した板(単板、ベニヤ)を使用する。
【0064】
木質材料の原料としては、針葉樹、広葉樹、木質廃材(建築解体材、家具・製材端材、廃棄パレット、梱包廃材、コンクリート型枠、鋸屑等)や、サトウキビ、ヤシ殻等を解繊して得られるバガス、一年草のケナフ、綿の茎等を使用することができる。また前記木質材料に、ガラス繊維、有機高分子繊維を混合してもよい。
【0065】
(木質板の製造方法)
ホルムアルデヒド系接着剤を用いて木質板を製造するには、一般に木質材料にホルムアルデヒド系接着剤を添加した上(接着剤添加工程)、圧力を与えながら加熱することにより木質材料を接着する工程(熱圧工程)を経る。本発明のアルデヒド類捕集剤を用いて木質板を製造する際には、前記接着剤添加工程に先立って、ホルムアルデヒド系接着剤中に含有させて使用することもできるし、接着剤添付前若しくは後或いは同時に、接着される木質材料側に添加させて使用することもできる。
【0066】
具体的な製造例を挙げると、例えばパーティクルボード(以下PBと略す)を製造する場合、比較的細かく粉砕した木質材料を表裏層用として使用し、比較的粗く粉砕した木質材料を芯層用として使用する。表裏層用木質材料中にホルムアルデヒド系接着剤をスプレー添加した後、上記アルデヒド類捕集剤を添加し、ブレンダーで5秒〜10分程度混合して、木質材料中に均一分散させる。芯層用も同様に接着剤、前記アルデヒド類捕集剤を添加する。表裏層に添加するアルデヒド類捕集剤と芯層に添加するアルデヒド捕集剤のうち、少なくとも一方が、本発明のアルデヒド類捕集剤であれば相当なアルデヒド捕集能を得ることができるが、両方の層に本発明のアルデヒド類捕集剤を添加することがより好ましい。
アルデヒド類捕集剤の添加順序は、ホルムアルデヒド系接着剤に直接添加する或いは、ホルムアルデヒド系接着剤の添加前でも後でも或いは同時でも特に限定されないが、ホルムアルデヒド系接着剤添加前後に或いは同時に木質材料中にアルデヒド類捕集剤を添加する方が工程上望ましい。
【0067】
その後、表層−芯層−裏層に積層して加熱する。加熱の際には一般的に圧力を与えながらの加熱(熱圧)を行う。熱圧により木質材料は接着され、木質板となる。
【0068】
本発明のアルデヒド類捕集剤を使用した場合、当該熱圧成型工程において、ホルムアルデヒド系接着剤からアルデヒド類が放出されるタイミングと、アルデヒド類捕集能を有する酸性ガスが発生するタイミングがほぼ一致するため、発生するアルデヒド類を効率よく捕集することができる。
熱圧工程の温度や時間は、一般的には作成する木質板の品質と生産性により適宜決定されるものであるが、本発明のアルデヒド類捕集剤を使用する場合、前記効果を発揮させるために、熱圧成型温度を100〜300℃とすることが好ましく、140〜250℃とすることがより好ましい。温度が低すぎると酸性ガスの発生量が少なく、ホルムアルデヒド等を十分に捕集できなくなる。逆に温度が高すぎると木質板表面が焦げる等して品質が低下してしまう。また熱圧成型時間は60秒以上とすることが好ましく、90秒以上とすることがより好ましい。成型時間が短かすぎると木質板内部の温度が上昇しにくく、本アルデヒド類捕集剤の効果も低減してしまう。熱圧成型時の木質板内部温度は厚さ方向の中心部分で60℃以上とすることが好ましく、80℃以上がより好ましい。また100℃以上とすることがさらに好ましい。
なお木質繊維板(MDF)や他の木質板を製造する場合も、同様にして上記アルデヒド類捕集剤を添加して木質板を製造することができる。
【0069】
木質板製造におけるアルデヒド類捕集剤の木質材料中への添加量は0.1〜20.0重量%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1.0〜7.0重量%である。添加量が0.1重量%より少ないと、目的とする捕集能が得られず、20.0重量%より多くても目的とする性能は向上せず、かえって生産コストのアップにも繋がる為である。
【0070】
なお、本発明の木質板製造方法によれば、アルデヒド類放出が抑制された木質板を得ることができるが、上記工程を経て得られた木質板に対し、更にアルデヒド類捕集能力のある化合物を水溶液として塗布することもできる。
【実施例】
【0071】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。各例中、特に言及しない限り、部および%は質量基準である。
【0072】
(実施例1)
〔アルデヒド類捕集剤の調整〕
ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製 平均粒子径190μm)55部と広葉樹の木粉(「LIGNOCEL HB120」(J.RETTENMAIER & SOHNE GMBH + CO製))14部を入れ、融点58℃の硬化パーム油(「IHP−58」ミヨシ油脂(株)製)30部を溶融して、前記無水重亜硫酸ナトリウムに70℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが1.1の造粒条件にて造粒を行った。次に、前記粉体の温度が40℃になるまで、攪拌フルード数Frが1.1の攪拌条件を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(40℃)に達したことを確認後、ホワイトカーボン カープレックス#67(DLS JAPAN製)1部を添加した。最後に、パワーミルP−02S((株)ダルトン製)において、粒子径を最大3mmに設定し、粉砕、整粒を行い、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0073】
上記操作で得られたアルデヒド類捕集剤を目開き4000μm、2830μm、2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、及び150μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行い、2830〜500μmに分級されたアルデヒド類捕集剤を実施例1のアルデヒド類捕集剤とした。実施例1のアルデヒド類捕集剤の平均粒子径は、1.1mmであった。
【0074】
〔接着剤の調製〕
ユリア・メラミン共縮重合系接着剤(不揮発分65%、ホルムアルデヒドモル比1.3)に、55%ワックスエマルション、硬化剤として硫酸アンモニウム、及び水をそれぞれ20部、1部、0.5部、5部の割合で混合し、実施例、比較例で用いる接着剤を調製した。
【0075】
〔木質材料への添加〕
木片等の木質原料をフレーカーで粉砕し、目開き寸法1.7mmの篩で篩い分けをして、篩下の木質材料を表裏層用木質材料、篩上の木質材料を芯層用木質材料とした。篩い分けした木質材料は90℃の熱風乾燥機中で乾燥し、水分を3%以下とした。
【0076】
前記操作によって乾燥された表裏層用木質材料100部に対して、調製した前記接着剤を30部スプレー塗工し、均一混合した。その後更に、実施例1のアルデヒド類捕集剤を2.5部添加して混合し、表裏層用の木質材料を得た。次に芯層用木質材料100部に対して、調製した前記接着剤を12部、実施例1のアルデヒド類捕集剤を1.5部に変更した以外は前記表裏層用の操作と同様の操作で、芯層用の木質材料を得た。
次に、30cm角の型枠に裏層用木質材料200部、芯層用木質材料750部、表層用材料200部、を順次敷き詰め、220℃の熱板に挟み30kgf/cmの圧力で200秒間熱圧し、実施例1の木質板とした。
【0077】
〔評価1:放散量〕
前記で得られた実施例1の木質板のホルムアルデヒド放散量は、パーティクルボード(JIS A 5908:2003)及び建築用ボード類のホルムアルデヒド放散量の試験方法(JIS A 1460:2001)に準じてデシケーター法により捕集し測定した。
【0078】
〔評価2:外観〕
外観試験は、熱圧成形後に得られた木質板の表面を目視で観察し、白斑の有無、大きさ、量などを調べて評価判断を行った。評価基準は次のとおりである。
◎:良好(白斑発見できず)
○:微細白斑僅かにあり
△:微細白斑多量にあり又は大き目の白斑わずかにあり
×:大きめの白斑多量にあり
【0079】
〔評価3:曲げ強さ〕
曲げ強さの試験は、JIS A 5908:2003の湿潤時曲げ強さA試験に準じて測定を行った。
【0080】
(比較例1〜2)
アルデヒド類捕集剤に木粉を加えなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で製造した比較例1の木質板とした。またアルデヒド類捕集剤を加えなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で製造した比較例2の木質板とした。
【0081】
以上、実施例1、比較例1〜2の結果を表3に示す。
【表3】



【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のアルデヒド類捕集剤、及び前記成分が添加されたホルムアルデヒド系接着剤は、木質材料をホルムアルデヒド系接着剤で接着する際に木質材料や接着剤に添加する添加剤や接着剤自身として産業上の利用性がある。また本発明の木質板の製造方法は、外観に優れ、ホルムアルデヒド放散の少なく外観の優れたパーティクルボード、合板、木質繊維板の製造方法として産業上の利用性がある。
【出願人】 【識別番号】390029458
【氏名又は名称】一方社油脂工業株式会社
【出願日】 平成19年1月5日(2007.1.5)
【代理人】 【識別番号】100104581
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 伊章

【識別番号】100136412
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 照久


【公開番号】 特開2008−162238(P2008−162238A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2007−298(P2007−298)