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木質系材料の保存処理方法 - 特開2008−162099 | j-tokkyo
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【発明の名称】 木質系材料の保存処理方法
【発明者】 【氏名】園部 宝積

【氏名】土屋 春樹

【要約】 【課題】寸法変化の少ない木質系材料とする木質系材料の保存処理方法を低コストで提供する。

【解決手段】(イ)木質系材料の表面に木材保存薬液を塗布して木質系材料の表面に木材保存薬液を保持させる工程、(ロ)この表面に木材保存薬液を保持させた木質系材料を密閉容器に入れる工程、(ハ)前記密閉容器中において前記木質系材料に減圧処理及び/又は空気加圧処理を施す工程、及び、(ニ)この減圧処理及び/又は空気加圧処理を施した木質系材料を大気圧に戻して該木質系材料への前記木材保存薬液の浸潤を大きく進行させる工程、を順次有しているものとする。前記木材保存薬液は、好ましくは、木材保存剤と該木材保存剤を溶解する有機溶剤とで構成されたものである。そして、前記有機溶剤は、例えば、植物油及び/又はトルエン、スチレン、キシレン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒドをほとんど含有しない石油類で構成されているものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)木質系材料の表面に木材保存薬液を塗布して木質系材料の表面に木材保存薬液を保持させる工程、(ロ)この表面に木材保存薬液を保持させた木質系材料を密閉容器に入れる工程、(ハ)前記密閉容器中において前記木質系材料に減圧処理及び/又は空気加圧処理を施す工程、及び、(ニ)この減圧処理及び/又は空気加圧処理を施した木質系材料を大気圧に戻して該木質系材料への前記木材保存薬液の浸潤を大きく進行させる工程、を順次有することを特徴とする木質系材料の保存処理方法。
【請求項2】
前記減圧処理における減圧度が50KPa以上であり、そして、前記空気加圧処理における空気加圧の圧力が50KPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の木質系材料の保存処理方法。
【請求項3】
前記木材保存薬液が、木材保存剤と該木材保存剤を溶解する有機溶剤とで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の木質系材料の保存処理方法。
【請求項4】
前記木材保存剤が、シプロコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、第四級アンモニウム塩、銅化合物、及び、亜鉛化合物から選ばれる少なくとも1種の防腐剤、或いは、エトフェンプロックス、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、及び、ビフェントリンから選ばれる少なくとも1種の防蟻剤であることを特徴とする請求項3に記載の木質系材料の保存処理方法。
【請求項5】
前記有機溶剤が、植物油及び/又はトルエン、スチレン、キシレン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒドをほとんど含有しない第4類第2石油類、第4類第3石油類又は第4類第4石油類で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の木質系材料の保存処理方法。
【請求項6】
前記木質系材料が、表面に刺傷などによる凹みが設けられた木質系材料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の木質系材料の保存処理方法。
【請求項7】
前記刺傷などによる凹みが、木材保存薬液を木質系材料の表面積1m2 あたり100g/m2 以上保持できる隙間を有していることを特徴とする請求項6に記載の木質系材料の保存処理方法。
【請求項8】
前記木質系材料の表面に保持される木材保存薬液の保持量が500g/m2 以下であることを特徴とする請求項1に記載の木質系材料の保存処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、針葉樹構造用製材の日本農林規格(以下、「JAS」という。)の保存処理K3に規定される浸潤度に適合させることができる木質系材料の保存処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、JASの保存処理K3相当の浸潤度を得るためには、水溶性薬剤の加圧注入方法が行われていた。この水溶性薬剤の加圧注入方法では、溶媒として水が用いられるので、水溶性薬剤の注入された木材製品は、含水率が高くなって木材の寸法を変化させるという問題があった。
【0003】
また、先端が開口部面積2.5〜15mm2 を有する平面で鋼材にて木材の表面を圧縮して、木材の表面に上記開口面積を有すると共に、深さが3〜15mmの微小孔を穿設し、次いで、沸点が200℃以上の有機溶剤を10重量%以上含有する木材の殺虫剤及び/又は殺菌剤の処理溶液を上記木材に含浸させる技術(特許文献1を参照。)が提案されている。そして、かかる技術を製材に適用して、JASの保存処理K3相当の品質を得ようとする試みがなされた。しかしながら、この技術は、特殊な形状の刺傷が必要であること、油剤に特殊な組成が要求されること、規定の浸潤を得るために多くの有機溶剤の塗布量が必要であること、等のために、処理コストが高くなり、実用性に乏しという問題があった。
【0004】
また、ベイマツ等の難注入性樹種に対して抗菌活性を有する第四級アンモニウム塩とポリアルキレングリコールとを含み且つpHを8以下とした水性薬液が満たされた薬液注入容器内にベイマツ等の木材片を入れた後、薬液注入容器内の圧力を0.08MPaまで減圧して少なくとも30分間保持する第1工程と、薬液注入容器内の圧力を1.2MPaまで加圧して少なくとも2時間保持する第2工程とを含む加圧含浸手段を組み合わせて、ベイマツ等の木材に水性薬液を注入する技術(特許文献2を参照。)が提案されている。しかしながら、この技術も、溶媒として水が用いられるので、水性薬液が満たされた状態でベイマツ等の木材に水性薬液を注入することとなって、水性薬液を大量に必要とすることとなり、そのために、木材の寸法が変化する欠点と共に、処理コストが高くなるという問題があった。
【特許文献1】特開平11−156812号公報
【特許文献2】特許2764112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0006】
即ち、本発明は、木質系材料の表面に木材保存薬液を保持させる程度の少ない量の木材保存薬液を用いて、JASのK3に定める浸潤度の基準を満足すると共に、寸法変化のほとんどない木質系材料とする木質系材料の保存処理方法を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明は、(イ)木質系材料の表面に木材保存薬液を塗布して木質系材料の表面に木材保存薬液を保持させる工程、(ロ)この表面に木材保存薬液を保持させた木質系材料を密閉容器に入れる工程、(ハ)前記密閉容器中において前記木質系材料に減圧処理及び/又は空気加圧処理を施す工程、及び、(ニ)この減圧処理及び/又は空気加圧処理を施した木質系材料を大気圧に戻して該木質系材料への前記木材保存薬液の浸潤を大きく進行させる工程、を順次有することを特徴とする木質系材料の保存処理方法である。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記減圧処理における減圧度が50KPa 以上であり、そして、前記空気加圧処理における空気加圧の圧力が50KPa 以上であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記木材保存薬液が、木材保存剤と該木材保存剤を溶解する有機溶剤とで構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載された発明において、前記木材保存剤が、シプロコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、第四級アンモニウム塩、銅化合物、及び、亜鉛化合物から選ばれる少なくとも1種の防腐剤、或いは、エトフェンプロックス、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、及び、ビフェントリンから選ばれる少なくとも1種の防蟻剤であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載された発明は、請求項3に記載された発明において、前記有機溶剤が、植物油及び/又はトルエン、スチレン、キシレン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒドをほとんど含有しない第4類第2石油類、第4類第3石油類又は第4類第4石油類で構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載された発明において、前記木質系材料が、表面に刺傷による凹みが設けられた木質系材料であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7に記載された発明は、請求項6に記載された発明において、前記刺傷などによる凹みが、木材保存薬液を木質系材料の表面積1m2 あたり100g/m2 以上保持できる隙間を有していることを特徴とするものである。
【0014】
請求項8に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記木質系材料の表面に保持される木材保存薬液の保持量が500g/m2 以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された本発明によれば、(イ)木質系材料の表面に木材保存薬液を塗布して木質系材料の表面に木材保存薬液を保持させる工程、(ロ)この表面に木材保存薬液を保持させた木質系材料を密閉容器に入れる工程、(ハ)前記密閉容器中において前記木質系材料に減圧処理及び/又は空気加圧処理を施す工程、及び、(ニ)この減圧処理及び/又は空気加圧処理を施した木質系材料を大気圧に戻して該木質系材料への前記木材保存薬液の浸潤を大きく進行させる工程、を順次有しているので、木質系材料の表面全体に木材保存薬液を保持させる程度の少ない量の木材保存薬液を用いて、JASのK3に定める浸潤度の基準を満足させることができると共に、寸法変化のほとんどない木質系材料とすることができる木質系材料の保存処理方法を低コストで提供することができる。
【0016】
請求項2に記載された本発明によれば、前記減圧処理における減圧度が50KPa 以上であり、そして、前記空気加圧処理における空気加圧の圧力が50KPa 以上であるので、寸法変化のいっそう少ない木質系材料とすることができる。
【0017】
請求項3に記載された本発明によれば、前記木材保存薬液が、木材保存剤と該木材保存剤を溶解する有機溶剤とで構成されているので、寸法変化のいっそう少ない木質系材料とすることができる。
【0018】
請求項4に記載された本発明によれば、前記木材保存剤が、シプロコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、第四級アンモニウム塩、銅化合物、及び、亜鉛化合物から選ばれる少なくとも1種の防腐剤、或いは、エトフェンプロックス、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、及び、ビフェントリンから選ばれる少なくとも1種の防蟻剤であるので、少ない量の木質系材料吸収量であっても、優れた防腐効果又は防蟻効果を発揮することができる。
【0019】
請求項5に記載された本発明によれば、前記有機溶剤が、植物油及び/又はトルエン、スチレン、キシレン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒドをほとんど含有しない第4類第2石油類、第4類第3石油類又は第4類第4石油類で構成されているので、木質系材料に吸収されても木質系材料を膨潤させることがなく、また、揮発成分の危険性が少ない。
【0020】
請求項6に記載された本発明によれば、前記木質系材料が、表面に刺傷などによる凹みが設けられた木質系材料であるので、木材保存薬液が木質系材料に浸潤しやすくなる。
【0021】
請求項7に記載された本発明によれば、前記刺傷による凹みが、木材保存薬液を木質系材料の表面積1m2 あたり100g/m2 以上保持できる隙間を有しているので、木材保存薬液が木質系材料にいっそう浸潤しやすくなる。
【0022】
請求項8に記載された本発明によれば、前記木質系材料の表面に保持される木材保存薬液の保持量が500g/m2 以下であるので、従来の加圧注入処理で必要とされる量、及び、請求項1に記載された発明によらない方法で必要とされる量よりも少ない量の木材保存薬液で木質系材料に木材保存薬液を浸潤させることができ、そのために、処理コストを下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の木質系材料の保存処理方法は、(イ)木質系材料の表面に木材保存薬液を塗布して木質系材料の表面に木材保存薬液を保持させる工程、(ロ)この表面に木材保存薬液を保持させた木質系材料を密閉容器に入れる工程、(ハ)前記密閉容器中において前記木質系材料に減圧処理及び/又は空気加圧処理を施す工程、及び、(ニ)この減圧処理及び/又は空気加圧処理を施した木質系材料を大気圧に戻して該木質系材料への前記木材保存薬液の浸潤を大きく進行させる工程、を順次有している。本発明において木材保存処理される木質系材料は、好ましくは、製材、集成材、LVL等の木材を原料とする腐朽菌により劣化を生ずる水質系材料であるが、本発明の目的に反しない限り、これら以外の水質系材料であってもかまわない。これらの木質系材料は、好ましくは、乾燥材である。また、前記木材保存薬液は、好ましくは、刷毛による塗布、スプレ−による塗布、及び、浸漬による塗布、によって塗布されるが、本発明の目的に反しない限り、これら以外の塗布手段によって塗布されてもかまわない。
【0024】
このように、(イ)木質系材料の表面に木材保存薬液を塗布して木質系材料の表面に木材保存薬液を保持させる工程、(ロ)この表面に木材保存薬液を保持させた木質系材料を密閉容器に入れる工程、(ハ)前記密閉容器中において前記木質系材料に減圧処理及び/又は空気加圧処理を施す工程、及び、(ニ)この減圧処理及び/又は空気加圧処理を施した木質系材料を大気圧に戻して該木質系材料への前記木材保存薬液の浸潤を大きく進行させる工程、を順次有していると、木質系材料の表面全体に木材保存薬液を保持させる程度の少ない量の木材保存薬液を用いて、JASのK3に定める浸潤度の基準を満足させることができると共に、寸法変化のほとんどない木質系材料とすることができる木質系材料の保存処理方法を低コストで提供することができる。
【0025】
前記減圧処理における減圧度は、好ましくは、50KPa以上であり、そして、前記空気加圧処理における空気加圧の圧力は、好ましくは、50KPa以上である。このように、前記減圧処理における減圧度が50Kpa以上であり、そして、前記空気加圧処理における空気加圧の圧力が50Kpa以上であると、木材保存薬液がいっそう木質系材料に浸潤しやすくなる。
【0026】
本発明においては、前記木材保存薬液は、好ましくは、木材保存剤と該木材保存剤を溶解する有機溶剤とで構成されている。このように、前記木材保存薬液が、木材保存剤と該木材保存剤を溶解する有機溶剤とで構成されているので、寸法変化のいっそう少ない木質系材料とすることができる。
【0027】
本発明においては、前記木材保存剤は、好ましくは、シプロコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、第四級アンモニウム塩、銅化合物、及び、亜鉛化合物から選ばれる少なくとも1種の防腐剤、或いは、エトフェンプロックス、イミダクロプリド、クロチアニジン、及び、チアメトキサムから選ばれる少なくとも1種の防蟻剤である。このように、前記木材保存剤が、シプロコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾール、3−ヨードー2−プロピニルブチルカーバメート、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、銅化合物、及び、亜鉛化合物から選ばれる少なくとも1種の防腐剤、或いは、エトフェンプロックス、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、及び、ビフェントリンから選ばれる少なくとも1種の防蟻剤であるので、少ない量の木質系材料吸収量であっても、優れた防腐効果又は防蟻効果を発揮することができる。
【0028】
本発明においては、前記有機溶剤は、好ましくは、植物油及び/又はトルエン、スチレン、キシレン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒドをほとんど含有しない第4類第2石油類、第4類第3石油類又は第4類第4石油類で構成されている。このように、前記有機溶剤が、植物油及び/又はトルエン、スチレン、キシレン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒドをほとんど含有しない第4類第2石油類又は第4類第3石油類で構成されているので、木質系材料に吸収されても木質系材料を膨潤させることがなく、また、火気の危険性及び揮発成分の危険性が少ない。
【0029】
本発明においては、前記木質系材料は、好ましくは、表面に刺傷(インサイジング)などによる凹みが設けられた木質系材料である。このように、前記木質系材料が、表面に刺傷による凹みが設けられた木質系材料であると、木材保存薬液が木質系材料に浸潤しやすくなる。
【0030】
前記刺傷による凹みは、好ましくは、木材保存薬液を木質系材料の表面積1m2 あたり100g/m2 以上保持できる隙間を有したものである。このように、前記刺傷による凹みが、木材保存薬液を木質系材料の表面積1m2 あたり100g/m2 以上保持できる隙間を有していると、木材保存薬液が木質系材料にいっそう浸潤しやすくなる。
【0031】
本発明においては、前記木質系材料の表面に保持される木材保存薬液の保持量は、好ましくは、500g/m2 以下である。このように、前記木質系材料の表面に保持される木材保存薬液の保持量が500g/m2 以下であると、従来の加圧注入処理で必要とされる量よりも少ない量の木材保存薬液で木質系材料に木材保存薬液を浸潤させることができ、そのために、処理コストを下げることができる。
【0032】
(実施例1)
通常の住宅建築にも用いられる105mm×105mm×長さ4mのフィンガージョイントのない構造用集成材を長さ方向で2分割し、それらの片方毎に異なった2種類のインサイジングを施した後、長さ30cmに切断した後両木口をエポキシ樹脂でシールすることにより試験用材とした。前記2種類のインサイジングは、刃の根本の断面が3mm×13mmの紡錘形で先端部ではくさび形に尖っている深さ10mmのもの(以下「A型」という。)及び刃の根本から刃先までの断面がlmm×13mmの長方形で深さ10mmのもの(以下、「B型」という。)を使用した。刃数はいずれの種類も木材の材面1m2当たり約3500となるよう調製した。A型は繊維を押し広げて材表面にくぼみを作るものであり、B型は繊維を切断して刃の断面の穴を作るものである。そして、薬液には、シプロコナゾール0.4%、エトフェンプロックスO.55%及び少量の溶解助剤を用いた。また、薬液の浸潤部分を識別しやすくするために、灯油に溶解し呈色指示薬の塗布によって赤く呈色する有機酸亜鉛をトレーサーとして少量(亜鉛として1%)加えた。次に、前記試験用材に次に示す浸透増強操作を行った。即ち、前記試験用材の薬液保持量が最終的に平米当たり、200,300,400g及び500gとなるように、前記試験用材に前記薬液を塗布した。具体的には、空気加圧を含む操作では付着量と保持量は一致するが、減圧のみの操作では操作中に付着させた薬液の8%が密閉容器中に垂れ落ち、保持量は減少することが分かったので、減圧のみの操作を行うものの付着量は217gと326gと435gと543gとして最終的保持量が同等となるよう調整した。これを1時間放置した後、圧力容器内に入れて50KPaの空気圧を30分間行い、常温に戻して30分間静置し、続いて、50KPaの減圧を30分間行ってから圧力容器から取り出し、倉庫内で3日間放置して試験用材とした。このようにして得た試験用材の長さの中央部分を切断した後、その切断面に0.1%ジチゾン/クロロフォルム溶液を噴霧し、浸潤部分を赤色に呈色して浸潤度を測定した。前記浸透増強操作は、次の表1に示す操作番号1〜6の6通りとした。
【0033】
【表1】


【0034】
(実施例2)
A型のインサイジングを施した断面105mm×105mmベイツガ製材についても実施例1と同様に試験用材を作成し、そして、これらの試験用材に薬液保持量が最終的に平米当たり200gと400gと500gとなるよう塗布して浸透増強操作を行った。具体的には、空気加圧を含む操作では付着量と保持量は一致するが、減圧のみの操作では操作中に付着させた薬液の8%が密閉容器中に垂れ落ち、保持量は減少することが分かったので、減圧のみの操作を行うものの付着量は217gと435gと543gとして最終的保持量が同等となるよう調整した。実施例2の浸透増強操作の条件については、次の表2に示す。また、実施例2の減圧及び/又は空気加圧操作を行ったものについては、3日後に浸潤度の測定を行った。
【0035】
【表2】


【0036】
(比較例1)
実施例1の比較例としてインサイジングを施さない試験用材の薬液を100g/m2塗布したもの及びA型及びB型のインサイジングを施した試験材に薬液を200g/m2 、、300g/m2 、400g/m2 、及び、500g/m2 塗布したものを室温に保管して3日目と4週間目に切断し、断面の浸潤度を測定した。浸潤度測定までの期間を実施例1より長く取っているのは、室温保管の場合は保存中に徐々に浸潤が増加する可能性があるからである。
【0037】
(比較例2)
実施例2の比較例として、A型のインサイジングを施した断面105mm×105mmのベイツガ製材についても同様に試験用材を作成し、これに平米当たり200g、400g及び500gとなるよう薬液を塗布した後、この薬液を塗布した試験用材を室温で保管し、3日目と4週間目に切断した断面の薬液浸潤度を測定した。
【0038】
(実施例及び比較例の浸潤度測定結果)
効果の確認は、JASに準じて行った。即ち、JASの保存処理K3の浸潤度の判定は通常、切断面において材表面から10mm深さの部分の80%以上が合格の判定基準であるのでこれに従い判定した。判定は判定基準以上浸潤度を示したものを○とし、そして、判定基準以下の浸潤を示したものを×と表記した。実施例1の結果を次の表3,4に示し、そして、実施例1に対応する比較例1の結果を次の表5に示す。また、実施例2とこれに対応する比較例2の結果を次の表6に示す。
【0039】
【表3】


【0040】
【表4】


【0041】
【表5】


【0042】
【表6】


【0043】
以上、表3,4,6に示されているように、実施例における防腐・防蟻剤を塗布又はスプレー処理した処理木材を通常行われるように室温で保管する方法においては、4週間目に400g/m2 以上の薬液保持量としたもののみが合格するのに対して、減圧及び/又は空気加圧を組み合わせた本システムにおいては保持量が200g/m2 においても3日目に合格するという驚異的効果を上げている。溶剤そのものは防腐・防蟻効果はなく、防腐・防蟻剤の浸潤材としてのみ必要なものであり、できる限り少ないことがあらゆる面で好ましい。また、製造中の保管期間が短期間になることも経済効果として大きい。さらに、実施例で明らかなように、この浸透増強操作を行えば、インサイジング歯形の種類を選ぶ必要がなく、保持量を一定に維持してやればよい。刺傷しない木材においては100g/m2 の薬液保持量しかないが、本法により良好な浸潤度を得るための薬液保持量はおよそ200g/m2 以上なので、100g/m2 以上の保持量増加がある刺傷を行えばよいことになる。又、有機溶剤の選択においても長期間の自然浸透ではないので、溶剤の粘度、蒸気圧を選択したり、浸透助剤等を加えるなどの無駄を省くことができる。
【0044】
そして、本発明の細部についての説明を行うと、塗布後に減圧し大気圧に戻す操作において求める効果は得られるけれども、密閉容器中に薬剤がしたたり、これを回収し再利用する手間と、あらかじめ必要保持量に滴下する分量を多く付着させなければならない管理上の煩雑さがあるので、空気加圧を組み合わせた方法がより優れた方法である。減圧及び/又は空気加圧を施す条件は、実施例の条件全てにおいて良好であるので、特に限界はないが、50Kpa以上の減圧のみで効果が実証され、また、50〜200KPaの空気加圧を行った後に常圧に戻し、その後、50KPa以上の減圧を行い、再び大気圧とする操作においては、前記の効果の上に、密閉容器内への薬液のしたたりを防止する効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000180081
【氏名又は名称】株式会社ザイエンス
【出願日】 平成18年12月27日(2006.12.27)
【代理人】 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄

【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男

【識別番号】100075421
【弁理士】
【氏名又は名称】垣内 勇

【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄


【公開番号】 特開2008−162099(P2008−162099A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−353254(P2006−353254)