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【発明の名称】 Mタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤
【発明者】 【氏名】堅田 保

【氏名】石本 健一

【氏名】白井 幸児

【氏名】池田 誉司

【要約】 【課題】木質材料とメラミン系接着剤を用いて木質板を製造する際に、木質材料中或いはメラミン系接着剤中に添加、分散して使用するMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤において、尿素系接着剤を用いた場合と同等のホルムアルデヒド捕集能を有するアルデヒド類捕集剤を提供すること。

【解決手段】加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有し、かつ平均粒子径が0.6mm以上である常温で固体のアルデヒド類捕集用化合物を一種類以上含有する常温で粉末のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質材料中或いはメラミン系接着剤中に添加、分散して使用するMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤であって、
前記アルデヒド類捕集剤は、常温で平均粒子径が0.6mm以上の粉末であり、常温で固体のアルデヒド類捕集用化合物を少なくとも一種類以上含有し、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する
ことを特徴とするMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤。
【請求項2】
前記アルデヒド類捕集用化合物のうち、加温により発生する前記酸性ガスが、1種または2種以上の硫黄酸化物ガスであることを特徴とする請求項1記載のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤。
【請求項3】
前記アルデヒド類捕集用化合物のうち、加温により発生する前記酸性ガスが、亜硫酸ガスであることを特徴とする請求項1記載のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤。
【請求項4】
前記アルデヒド類捕集用化合物に加えて、更に1種または2種以上の常温で固体の撥水性化合物を含有する請求項1〜3のいずれかの項に記載されたMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの項に記載されたMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤を少なくとも含有するメラミン系接着剤。
【請求項6】
木質材料に、メラミン系接着剤及び請求項1〜4のいずれかの項に記載されたMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤を添加し、その後、熱圧成形する工程を少なくとも有する木質板の製造方法。
【請求項7】
前記メラミン系接着剤における接着成分のホルムアルデヒド比が2.4以下である請求項6記載の木質板の製造方法。
【請求項8】
少なくともメラミン系接着剤と、請求項1〜4のいずれかの項に記載されたMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤とを添加された木質材料、または少なくとも請求項5記載のメラミン系接着剤が添加された木質材料が、熱圧接着されてなる木質板。
【請求項9】
請求項6或いは7記載の製造方法で製造された木質板、または請求項8記載の木質板の少なくとも一方の表面及び/または化粧シートの片面に、接着剤を塗布し、60℃〜160℃の温度で化粧シートを貼付ける化粧シート貼付木質板の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の化粧シート貼付木質板の製造方法にて得られる化粧シート貼付木質板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、メラミン系接着剤から発生するホルムアルデヒド等のアルデヒド類を効果的に捕集するMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤、前記Mタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤を含有するメラミン系接着剤、更には、これらを用いて製造される木質板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーティクルボード、合板、木質繊維板等の木質板の製造には、ホルムアルデヒド系接着剤を接着剤として使用することが一般的に行われている。この場合、木質板から、前記ホルムアルデヒド系接着剤に起因する遊離したホルムアルデヒドが大気中に放出され、環境や健康に害を与える問題がある。
【0003】
従来、この問題の解決手段として、ホルムアルデヒドと反応してこれを捕集するいわゆるホルムアルデヒド捕集剤として、尿素、亜硫酸塩、ヒドラジド類を木質材料表面に塗布することが行われている(特許文献1、特許文献2参照)。この場合、ホルムアルデヒド捕集剤は通常水等に希釈して、スプレー塗工、ロール塗工等で塗布される。木質板は、ホルムアルデヒド捕集剤を塗布後、積み重ねて保管され、出荷される。
【特許文献1】特開平11−240002号公報
【特許文献2】特開2002−331504号公報
【0004】
ところで、木質板は、アルデヒド捕集剤を塗布後、表面美観を向上する為及び所要の寸法とする為に表面を薄く研磨して出荷されるのが通常であるが、表面研磨を行った場合、特に研磨厚が大きい場合には木質板表面に存在するアルデヒド類捕集剤も少なくなり、その結果、上記手段ではホルムアルデヒド補捉能が低下或いはなくなってしまうという問題が生じる。この問題を解決する手段として、木質材料中に亜硫酸ナトリウムや尿素をホルムアルデヒド捕集成分として添加してホルムアルデヒド放散量を低減する方法が提案されている(特許文献3)。
【特許文献3】特開平10−119010号公報
【0005】
しかしながら、特許文献3記載の方法では、ホルムアルデヒド捕集成分である亜硫酸ナトリウムや尿素が固体であることから、ホルムアルデヒドとの反応は、固体−気体反応となる。このため、ホルムアルデヒドは、当該ホルムアルデヒド捕集成分の粒子表面で捕集されることになる。すなわち、木質板中に捕集剤が点在するフィルター状となってしまうので、遊離ホルムアルデヒドを十分捕集しきれない。特に、近年JIS法が改正され、ホルムアルデヒド放出量の制限が厳しくなったことを鑑みれば、上記手段では、使用制限を受けないF☆☆☆☆評価の木質板とするにはホルムアルデヒド捕集能が不十分である。
【0006】
そこで、アルデヒド類捕集剤として、常温で粉末であって、かつ加温により、亜硫酸ガスのような、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する固体のアルデヒド類捕集用化合物を必須成分として含むアルデヒド類捕集剤を用いることで、熱圧工程などにおける加熱で、ガス状での反応を生じさせることにより、優れたアルデヒド類捕集性能が得られることが分かった。
【0007】
ところでホルムアルデヒド系接着剤は、一般に、尿素系接着剤(U系接着剤)、メラミン系接着剤(M系接着剤)、フェノール系接着剤(P系接着剤)に大別され、これらの接着剤を用いて作製したパーティクルボードなどは、それぞれUタイプ、Mタイプ、Pタイプなどと呼ばれている。このうち上記アルデヒド類捕集剤を用いて作製した木質板のアルデヒド類捕集効果は、UタイプやPタイプと比較すると、Mタイプでその効果が若干劣ることが分かった。これは、Mタイプに用いられるメラミン系接着剤に含まれるメラミン(単体、誘導体、樹脂など)が熱圧工程において反応性が悪いために生じるものと考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明では、常温で粉末であって、かつ加温により、亜硫酸ガスのような、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する固体のアルデヒド類捕集用化合物を含むアルデヒド類捕集剤において、メラミン系接着剤においても、メラミン系以外のホルムアルデヒド系接着剤の場合と同等のアルデヒド類捕集能を有するMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤では、常温で平均粒子径が0.6mm以上の粉末であり、常温で固体のアルデヒド類捕集用化合物を少なくとも一種類以上含有し、前記アルデヒド類捕集用化合物は、加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤は、加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有するアルデヒド類捕集用化合物を含有する常温で粉末であるアルデヒド類捕集剤が他のホルムアルデヒド系接着剤に対して発揮するアルデヒド捕集能と同等の効果をメラミン系接着剤でも発揮させることができる。
これによりメラミン系接着剤を使用した木質板においても、高いF☆☆☆☆評価を得ることができるようになった。これを使用して製造されるパーティクルボード、MDF、合板等の木質板は、高捕集率でアルデヒド類を捕集することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(Mタイプ木質板)
本発明のアルデヒド類捕集剤は、Mタイプ木質板の作製においても好適なアルデヒド類捕集効果を奏するものである。本発明にいうMタイプ木質板の「Mタイプ」とは、一般にパーティクルボードなどの木質板を区分する方法のうち、接着剤による区分で用いられる記号であり、ユリア・メラミン共縮重合系接着剤またはこれと性能が同等以上の接着剤で作製されているもののことである(非特許文献1、2参照)。
【非特許文献1】日本工業規格 JIS A 5905:2003
【非特許文献2】日本工業規格 JIS A 5908:2003
【0012】
したがって、本発明にいう「Mタイプ木質板」とは、上記Mタイプの繊維板、パーティクルボードなど、M系接着剤(ユリア・メラミン共縮重合系接着剤)またはこれと性能が同等以上の接着剤を用いて作製された木質板一般をいうものとする。なお、本発明にいう木質板の詳細については後述する。
【0013】
(メラミン系接着剤)
本発明のアルデヒド類捕集剤は、Mタイプ木質板の作製において、ホルムアルデヒド系接着剤の中でメラミン系接着剤を用いた場合にも好適なアルデヒド類捕集効果を奏するものである。
ホルムアルデヒド系接着剤とはホルムアルデヒドを成分として含有する接着剤全般を指し、例えば尿素やメラミン、フェノールとホルムアルデヒドを成分とした接着剤が挙げられる。このうち、尿素系接着剤とメラミン系接着剤は、木質板の製造に好んで用いられる。また、これらホルムアルデヒド系接着剤とホルムアルデヒド系以外の接着剤(例えばイソシアネート系接着剤)と併用して使用することもある。
【0014】
本発明にいうメラミン系接着剤とはユリア・メラミン共縮重合系接着剤を含め、メラミン化合物或いはメラミン系樹脂、またはその両者が必須成分として含まれている接着剤のことをいうものとする。このメラミン化合物は重合されたものであっても、されていないものであっても良い。熱圧工程において反応性が悪いと考えられるメラミン化合物が含まれている接着剤であれば、本発明の効果も発揮されると考えられるからである。
【0015】
メラミン系樹脂とは、メラミン化合物を必須として含んで重合された樹脂であり、メラミン樹脂、ユリア・メラミン樹脂、メラミン・フェノール共縮合樹脂等を挙げることができ、これらの1種または、2種以上を混合して用いることができる。中でも、メラミン系接着剤としては、メラミン樹脂、ユリア・メラミン樹脂、及びメラミン・フェノール共縮合樹脂の場合、接着力が高く、好ましく用いられている。
【0016】
メラミン化合物としては、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等、これらの1種または2種以上を混合して用いることが出来る。
【0017】
中でも、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、及びヘキサメチロールメラミンがメラミン系接着剤の成分として好ましく用いられており、更には、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、及びトリメチロールメラミンが好ましく用いられている。
【0018】
メラミン系接着剤において、Mタイプ木質板としての強度を確保するためには、ホルムアルデヒドと反応する成分中のメラミン化合物の総含有割合は、固形分で10重量%以上であることが好ましい。
また、メラミン系接着剤とメラミン系以外の接着剤、例えば尿素系接着剤を混合して接着剤として使用することもできるが、かかる混合した接着剤においても、混合接着剤全量に対するメラミン化合物の総含有量が固形分で10重量%以上であることが好ましい。
【0019】
また、本発明で用いるメラミン系接着剤は、ホルムアルデヒドモル比が2.4以下である場合に、本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤添加によって、効果的なアルデヒド類捕集能を発揮する。なお、ホルムアルデヒドモル比とは、一般に、接着剤の接着成分のうち、ホルムアルデヒド以外の成分のモル数を1としたときの、ホルムアルデヒドのモル数の割合をいう。
一方、ホルムアルデヒドモル比が0.8よりも低い値であると、生じる樹脂の架橋密度が不十分となり、一般的に接着剤としての接着効果に劣るため、通常使用されていない。
【0020】
またメラミン系接着剤は、上記樹脂成分だけで使用される場合は少なく、前もって、或いは使用直前に、水やワックスエマルジョンなどが適宜添加される。本発明にて使用されるメラミン系接着剤においても、水やワックスエマルジョンなどが含まれているものであっても良い。
【0021】
(Mタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤)
本発明は、木質材料とメラミン系接着剤を用いて木質板を製造するに際して、該木質材料中或いは該メラミン系接着剤中に添加または分散して使用するMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤についてのものであり、その性状は常温で粉末である。なお、常温の語は、一般的な意味あいで用いるものあるが、厳密に定義すれば、25℃を指す。
【0022】
また本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤粉末においては、メラミン系接着剤使用時に好適なアルデヒド類捕集能を付与するため、構成する粒子の平均粒子径は0.6mm以上とする。更には平均粒子径が1mm以上であることが好ましい。
一方、粒子平均径が3mmを超える場合、Mタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤の製造効率が落ちることに加え、アルデヒド類捕集能も却って若干低下するので好ましくない。さらに、平均粒子径が5mmを超えるような塊の集合体の場合、もはや粉末とはいえず、木質材料中の均一分散が困難となるので適当ではない。
【0023】
〔平均粒子径の測定方法〕
本発明のアルデヒド類捕集剤(アルデヒド類捕集用化合物の他、必要に応じて撥水性化合物や流動性改善剤などが添加された混合物粉末)の平均粒子径は、分級操作によって測定するものとする。
【0024】
具体的には、分級操作は、被測定物について、目開き4000μm、2830μm、2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、及び150μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行う。この分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の4000μmの篩の上から100g/回のサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定することにより行う。
受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、次式(数1)により被測定物の平均粒子径(重量50%)が求められる。
【0025】
【数1】



【0026】
(アルデヒド類捕集用化合物)
前記アルデヒド類捕集剤は、常温で固体のアルデヒド類捕集用化合物を少なくとも一種類以上含有するものであって、かつ前記アルデヒド類捕集用化合物は、加温によりアルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有するものである。
【0027】
具体的なアルデヒド類との反応性を有する酸性ガスとしては、硫黄酸化物ガスや硫化水素を挙げることができる。硫黄酸化物ガスとしては、代表的な亜硫酸ガスの他、SOガスなどを挙げることができる。なお亜硫酸ガスが発生する場合にはSOガスも副生として発生する場合がある。本発明のアルデヒド類捕集剤では、このように2種以上の硫黄酸化物ガスが混在して発生する場合でも、お互いが阻害要因とならず、両者ともアルデヒド類を捕集するので好ましく使用できる。
アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する化合物は、次のような加熱反応によって、亜硫酸ガスを代表とする硫黄酸化物ガスや硫化水素ガスを発生させる。加温により亜硫酸ガスを発生させる化合物として亜硫酸水素ナトリウム、加温により硫化水素ガスを発生させる化合物として硫化水素ナトリウムの場合を例にとって説明する。
2NaHSO →(加熱)→ NaSO+HO+SO
2NaHS →(加熱)→ NaS+HS↑
【0028】
上記反応によってアルデヒド類捕集用化合物から発生した酸性ガスが、熱圧工程でアルデヒド類を捕集する機構は、次のような化学反応を辿ることによるものと推測される。アルデヒド類としてホルムアルデヒドの場合を例にとって説明する。
(亜硫酸ガスの場合)
HCHO+SO+HO → HOCHSOH・・・不安定な酸を生成
HOCHSOH+NaSO → HOCHSONa+NaHSO
(硫化水素ガスの場合)
S+HOCHOH→HOCHSH+H
熱圧工程において、上記反応がガス状で反応するため、アルデヒド類が効果的に除去される。
【0029】
上記のような加温により亜硫酸ガスを発生させる性質を有するアルデヒド類捕集用化合物の例としては、上記の亜硫酸水素ナトリウムのような重亜硫酸塩類を挙げることができる。重亜硫酸塩類のうちでも、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜二チオン酸塩などが好ましい。前記塩の種類の例として考えられるものは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属塩や、モノエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩等がある。なお重亜硫酸塩類によっては、加温によって亜硫酸ガスとともに副生成物としてSOガスを発生する化合物もある。一方、加温により硫化水素ガスを発生させる性質を有するアルデヒド類捕集用化合物の例としては、硫化水素ナトリウム等の硫化水素塩等がある。
【0030】
本発明のアルデヒド類捕集剤には、少なくとも一種類のアルデヒド類捕集用化合物が含有されている必要があるが、二種類以上のアルデヒド類捕集用化合物を用いてもよい。また他の公知のアルデヒド類捕集能を有する化合物と併用して使用することもできる。なかでもアルデヒド類捕集能を有する化合物が亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムまたはヒドラジド類であれば、それぞれのアルデヒド類捕集能力を打ち消しあうことなく、相乗的な効果が生じ、臭気の除去能力が更に増加し、効果的に作用する。
【0031】
上記のように、他の化合物を含有する場合、前記アルデヒド類捕集用化合物の含有量は、アルデヒド類捕集剤全体量に対して5〜95重量%であることが好ましい。
【0032】
加温により酸性ガスを発生する性質を有する化合物という語を更に厳密に定義する必要があるならば、前記酸性ガスが亜硫酸ガスの場合においては、下記のように厳密に定義することができる。すなわち、前記アルデヒド類捕集用化合物からの亜硫酸ガス発生濃度が、140℃加熱時に500ppm以上の化合物であるか、または亜硫酸ガスを発生する化合物であってその分解開始温度が250℃以下、好ましくは200℃以下の化合物をいうものとする。亜硫酸ガスの発生濃度が小さすぎると、アルデヒド類捕集能が十分でないからである。また分解開始温度が高すぎる化合物は、熱圧工程で接着を行う際、200℃程度の温度であっても亜硫酸ガスを十分には発生しないと考えられるからである。その一方、加温により発生する亜硫酸ガス濃度が50%を超えるような化合物の場合、例え室温で固体であったとしても容易に分解しやすい化合物であり、臭気も強く、取り扱いが困難であるからあまり好ましくない。
【0033】
加温時の亜硫酸ガス発生濃度の測定方法はJISなどで確立された測定方法が存在しないので、下記に説明する方法で測定することとした。また熱分解開始温度の測定は下記の条件で行うものとする。
【0034】
<亜硫酸ガス濃度の測定>
試験装置・器具:JIS K 2234−1994に記載されている伝熱面腐食試験装置を使用する。但し、金属試験片に相当する部分はSUS304で作製し、熱板とする。
試験方法:ガラスセル上部より試料1.0gを入れて封入した後、金属試験片に相当する部分をヒーターで加温し目的の温度まで昇温する。目的の温度に達した後30分間温度を保持して試料より亜硫酸ガスを発生させた後、試験装置上部の栓を開け、ガス検知管により亜硫酸ガス濃度を測定する。尚、ガラスセルは内径40mm、全長530mmのものを使用する。また、ガス検知管はJIS K0804−1998に規定する(株)ガステック製検知管式ガス測定器(二酸化イオウ)を使用した。
【0035】
<熱分解開始温度>
TG(SEIKO社製 TG/DTA6200)により熱分解し、分解開始温度を外挿した。昇温条件は次のとおりである。
温度範囲30−300℃
昇温速度:10℃/分
【0036】
上記試験の結果は表1にまとめた。なお、亜硫酸水素ナトリウムについては、試料量0.1gの場合の濃度も補足的に測定した。表1のとおり、亜硫酸水素ナトリウム,亜硫酸水素カリウム,ピロ亜硫酸ナトリウム,ピロ亜硫酸カリウム,亜硫酸マグネシウム,亜硫酸亜鉛及び亜硫酸アルミニウムは、亜硫酸ガス発生濃度が、140℃加熱時に500ppm以上の化合物であるか、または亜硫酸ガスを発生する化合物であってその分解開始温度が250℃以下の化合物であることが確認された。一方、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸カルシウムは上記要件満たさず、本発明では酸性ガスを発生しない化合物といえることが確認された。
【0037】
【表1】



【0038】
(流動性改善剤)
本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤には、生産時及び製品保管時における下記撥水性化合物粒子同士の固着防止、及び粉末としての安息角低下、すなわち製品使用時の製品流動性向上のため、流動性改善剤を含有することが好ましい。
具体的な流動性改善剤としては、炭酸化合物、ケイ酸化合物、金属石鹸類がある。炭酸化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩が挙げられる。ケイ酸化合物としては、非晶質シリカ(ホワイトカーボン)を挙げることができ、またケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムなどのケイ酸塩が挙げることができ、更に天然または合成ゼオライト、ベントナイトやタルク等のアルミノケイ酸塩も挙げることができる。金属石鹸類としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
なかでもホワイトカーボン、ゼオライト、ステアリン酸カルシウム、タルク或いはベントナイトが好ましい。より効果的に流動性向上効果が得られるからである。これら化合物は、単独でも使用できるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0039】
前記流動性改善剤の含有割合は、Mタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤全体量に対し、0.3〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜5重量%である。含有割合が小さすぎると、粒子同士の固着を効果的に防ぐことができない。一方、割合が多すぎても、目的とする効果は向上せず、かえって高コストとなる。
【0040】
(撥水性化合物)
上記構成のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤は、アルデヒド類捕集用化合物として、亜硫酸水素ナトリウムやピロ亜硫酸ナトリウムのような吸水性の大きな化合物を含むものであるので、これをアルデヒド類捕集成分として添加した木質材料で作成した木質板は吸水膨張しやすいという欠点がある。そこで上記構成のアルデヒド類捕集剤に、撥水性化合物を更に加えることにより、これを用いて製造した木質板の吸水膨張を抑制することができる。
【0041】
本発明で用いることのできる撥水性化合物は、撥水性を有する化合物のうち、常温で固体状であれば公知のものが使用できる。好ましい撥水性化合物の具体例としては、ワックス類やシリコーン類、ろう、高級脂肪酸の金属塩等が挙げられる。
【0042】
ワックス類としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスに代表される天然ワックスや、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、α―オレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成脂肪酸エステルに代表される合成ワックスが挙げられる。またこれら天然ワックスや合成ワックスを酸化した酸化ワックス、水添化した硬化油脂(例えば牛脂硬化油やカスターワックスなど)及び変性したワックス誘導体なども挙げられる。更にはオレフィンと無水マレイン酸からなるワックス、オレフィンとアクリル酸からなるワックス、酢酸ビニルからなるワックスまたは高級アルコール、脂肪酸アマイド、ポリエーテルなどのワックスも使用できる。
【0043】
シリコーン類としては、例えばジメチルシリコーンオイルの変性体が挙げられ、高級脂肪酸の金属塩としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムが挙げられる。
【0044】
これらの中でも、融点が40℃〜140℃の撥水性化合物が好ましく、融点が50℃〜120℃の撥水性化合物がより好ましい。木質板製造時の熱圧により溶融して木質材料全体に分散した後に固化するため、防水効果が得やすい為である。好ましい具体例としては、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスの天然ワックスや、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、牛脂硬化油、パーム硬化油、カスターワックス等などの硬化油脂が挙げられる。これらは、単独でも使用できるが2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0045】
下記製造方法によってMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤の製造を行う場合、撥水性化合物は、一旦溶融させるため、撥水性化合物は常温で固体であれば足り、その形状は問わない。ただし、下記製造方法によらずに、混合添加することも可能である。混合添加する場合の撥水性化合物の性状は、粉末状であって、粒子径は、3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。粒子径が大きいと木質材料中にまんべんなく分散させることが難しくなり、また木質板表面に白斑として残留しやすくなるからである。
【0046】
前記撥水性化合物をMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤中に含有させて使用する場合、その割合は、Mタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤全体量に対し5〜80重量%であることが好ましく、10〜60重量%であることがより好ましい。割合が小さすぎると木質板の吸水膨張を十分に防ぐことができず、一方、割合が多すぎるとMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤本来の効果であるアルデヒド類捕集能を低下させてしまうからである。撥水性化合物をMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤に含有させるには、後述のアルデヒド類捕集用化合物など他の成分とともに、公知の方法で混合すれば足りる。
【0047】
なお、本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤において、前記固体のアルデヒド類捕集用化合物と前記固体の撥水性化合物を機械的に混合するのではなく、前記撥水性化合物を加熱し、溶融させた上で、前記アルデヒド類捕集用化合物と混合し、冷却を行うと、前記アルデヒド類捕集用化合物の表面の一部または全部が、前記撥水性化合物によって被覆される。前記アルデヒド類捕集用化合物を被覆した前記撥水性化合物は、上記の木質板にした際の吸水膨張を抑える効果に加えて、本発明のアルデヒド類捕集剤とメラミン系接着剤とを木質材料に添加した場合、前記木質材料が熱圧成型工程に供されるまでの間、メラミン系接着剤と前記アルデヒド類捕集用化合物とが接触して、前記接着性能が低下することを防ぐ。その一方、熱圧成型時には、前記撥水性化合物が溶融液化してアルデヒド類捕集用化合物を放出するので、熱圧成型後の木質板からのホルムアルデヒドの放散を効果的に抑制することができる。
【0048】
(その他の添加剤)
本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤組成物中には、上記化合物の他に、必要に応じて、酸化防止剤、防腐剤、防錆剤の他、製造工程上必要な薬剤を含有させることもできる。
【0049】
また未反応の前記酸性ガスを消去させるため、尿素のような加温により塩基性ガスを発生する性質を有する化合物を含有させることもできるし、また酸化カルシウムや水酸化アルミニウムのような塩基性化合物を含有させることもできる。
【0050】
(製造方法)
上記本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤は、以下の(1)〜(5)の工程を少なくとも経ることで、収率良く製造することができる。
(1) 撥水性化合物を溶融する工程
(2) 前記(1)工程後、アルデヒド類捕集用化合物を攪拌混合しながら、溶融した前記撥水性化合物を該撥水性化合物の融点よりも1〜20℃高い温度の状態にて、滴下或いは噴霧する工程
(3) 前記(2)工程にて得られた混合物を、攪拌混合しながら冷却する工程
(4) 前記(3)工程にて、前記混合物が、前記撥水性化合物の融点よりも10〜50℃低い温度まで冷却された時点で、更に流動性改善剤を添加する工程
(5) 前記(4)工程にて得られた混合物を篩い分けして粉末状アルデヒド類捕集剤を得る整粒工程
【0051】
((1)
工程)
本発明の(1)工程は、アルデヒド類捕集用化合物に撥水性化合物を滴下或いは噴霧するために、該撥水性化合物を溶融する工程である。溶融に用いるヒーターは公知のヒーターを用いることができる。
【0052】
((2)
工程)
本発明の製造方法の(2)工程は、前記(1)工程で溶融した撥水性化合物をアルデヒド類捕集用化合物に滴下或いは噴霧する工程であるが、このときの滴下或いは噴霧温度は、該撥水性化合物の融点よりも1〜20℃高い温度とする。例えば、撥水性化合物として融点55℃のパラフィンワックスを用いた場合の滴下或いは噴霧する温度は、56〜75℃とする。更に、撥水性化合物の融点よりも5〜10℃高い温度で滴下或いは噴霧を行うことがより好ましい。滴下或いは噴霧時の温度が低すぎると、撥水性化合物が固化して配管詰まりを起こしやすくなる。一方、滴下或いは噴霧時の温度が高すぎると、造粒機内の温度が上昇するので冷却時間が長くなり余分なエネルギーロスになるとともに、製造機の壁への付着が多くなる。
【0053】
なお、上記のように滴下或いは噴霧する際、温度を一定範囲に制御するためには、滴下或いは噴霧する撥水性化合物の貯蔵されたタンクから溶融した撥水性化合物を噴霧或いは滴下する噴霧ノズル或いは滴下口までの系統部の温度を制御することが好ましい。本工程で該撥水性化合物の滴下或いは噴霧時の温度範囲をコントロールしつつ、該撥水性化合物をアルデヒド類捕集用化合物に滴下或いは噴霧、なかでも噴霧することで、アルデヒド類捕集用化合物粒子表面に前記撥水性化合物が被覆された複合粒子の発生する確率が増え、接着性低下防止効果のより大きい粉末状アルデヒド類捕集剤とすることができる。成分の偏りが少ないアルデヒド類捕集剤とするため、被添加・噴霧成分であるアルデヒド類捕集用化合物を攪拌しながら滴下或いは噴霧を行うことが好ましい。
【0054】
((3)
工程)
本発明の製造方法の(3) 工程は、前記(2)工程にて得られた混合物を、攪拌混合しながら冷却する工程である。冷却により、溶融していた撥水性化合物は再び固化する。
【0055】
(攪拌)
前記(2) 工程及び(3) 工程における攪拌の処理条件としては、下記式(i)で定義される攪拌フルード数Frが0.1以上5.0未満となる条件で行うことが好ましい。
Fr=V/[(R×g)0.5] (i)
なお、(i)式中、Vは攪拌翼の先端の周速[m/s]を、Rは攪拌翼の回転半径[m]を、gは重力加速度[m/s2])を表す。攪拌フルード数Frを上記範囲に制御することで、粘性のある撥水性化合物を選択した場合でも、アルデヒド類捕集用化合物に均一に添加できる。撥水性化合物噴霧時のフルード数Frが小さすぎると、粒子の凝集を起こし、粗大粒子を生成しやすくなる。また造粒機の壁への付着が生じ、負荷が過大となり易くなり、好ましくない。一方、フルード数Frが大きすぎる、すなわち攪拌速度が速すぎると、攪拌による摩擦熱により造粒機の内温が上昇するため、冷却時間が長くなり、エネルギーロスとなるので好ましくない。
【0056】
((4)
工程)
本発明の製造方法の(4) 工程は、前記(3)工程にて、前記混合物が、前記撥水性化合物の融点よりも10〜50℃低い温度まで冷却された時点で、流動性改善剤を添加する工程である。例えば、撥水性化合物として融点55℃のパラフィンワックスを用いた場合は、前記混合物が、5〜45℃まで冷却された時点で流動性改善剤を添加する。更に前記混合物が、前記撥水性化合物の融点よりも20〜30℃低い温度まで冷却された時点で、流動性改善剤を添加することが、より好ましい。
【0057】
流動性改善剤の添加を前記(3)工程による冷却前に添加してしまうと、流動性改善剤が前記混合物内部に取り込まれ、流動性と固着防止性の向上に寄与しなくなる。従って、流動性改善剤は、前記混合物中の撥水性化合物が固化する(3)工程後に添加する。
【0058】
((5)
工程)
本発明の製造方法の(5)工程は、前記(4)工程にて得られた混合物を篩い分けして粉末状アルデヒド類捕集剤を得る整粒工程である。本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤では、平均粒子径が0.6m以上になるように、平均粒子径の測定方法の欄で述べた篩と受け皿を用いて分級操作を行うことが好ましいが、平均粒子径が0.6m以上の粉末が得られるのであれは、他の篩い目の大きさの篩いにて篩い分けることももちろん可能である。篩い分けの前に(4)工程で得られたアルデヒド類捕集剤を粉砕し、または篩い分け上に残った粉末を粉砕して、再び篩い分けすることも可能である。
【0059】
(造粒方法、装置)
上記(1)〜(4)の工程は、攪拌型造粒法、転動造粒法、押し出し造粒法、破砕型造粒法、噴霧乾燥造粒法にて行うことができ、具体的な装置としては、ハイスピードミキサー、ヘンシェルミキサー、ニューグラマシン、シュギミキサー、レディーゲミキサー、プロシェアミキサー、リボンミキサー、スパルタンミキサー、パグミキサー、タービュライザー(以上、攪拌造粒法)水平円筒型混合機(転動造粒法)、混練押出機、横型連続式のニーダー、密閉式の圧密化処理装置(以上、混練押出法)、向流式噴霧乾燥塔(噴霧乾燥造粒法)などを用いて行うとことができる。
【0060】
上記(5)工程の整粒(篩い分け)は、上述のとおりロータップ型篩振盪機によることが好ましいが、その他のオシレーター、振動ふるいなどを用いて行うこともできる。また粉末の粉砕を行う際には、パワーミル、ハンマーミル、ピンミルなどを用いて行うことができる。
【0061】
(木質板)
木質材料に、メラミン系接着剤と本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤とを添加し、熱圧工程にて接着して得られる木質板としては、例えばパーティクルボード(PB)、OSB、木質繊維板(例えばMDF)、合板などがある。パーティクルボード(PB)の場合、木質原料を一般的にはチップ状にし、粉砕後、篩い分けして使用する。OSBの場合、木質材料を切削し、ストランドにして使用する。MDFの場合、木質材料を一般的にはチップ状にし、解繊して使用する。合板の場合は、木材を薄く切削した板(単板、ベニヤ)を使用する。
【0062】
木質材料の原料としては、針葉樹、広葉樹、木質廃材(建築解体材、家具・製材端材、廃棄パレット、梱包廃材、コンクリート型枠、鋸屑等)や、サトウキビ、ヤシ殻等を解繊して得られるバガス、一年草のケナフ、綿の茎等を使用することができる。また前記原料に、ガラス繊維、有機高分子繊維を混合してもよい。
【0063】
(木質板の製造方法)
メラミン系接着剤を用いて木質板を製造するには、一般に木質材料にメラミン系接着剤を添加した上(接着剤添加工程)、圧力を与えながら加熱することにより木質材料を接着する工程(熱圧工程)を経る。本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤を用いて木質板を製造する際には、前記接着剤添加工程に先立って、メラミン系接着剤中に含有させて使用することもできるし、接着剤添付前若しくは後或いは同時に、接着される木質材料側に添加させて使用することもできる。
【0064】
具体的な製造例を挙げると、例えばパーティクルボード(以下PBと略す)を製造する場合、比較的細かく粉砕した木質材料を表裏層用として使用し、比較的粗く粉砕した木質材料を芯層用として使用する。表裏層用木質材料中にメラミン系接着剤をスプレー添加した後、上記Mタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤を添加し、ブレンダーを5秒〜10分程度使用して、木質材料中に均一分散させる。芯層用も同様に接着剤、前記アルデヒド類捕集剤を添加する。表裏層に添加するアルデヒド類捕集剤と芯層に添加するアルデヒド捕集剤のうち、少なくとも一方が、本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤であれば相当なアルデヒド捕集能を得ることができるが、両方の層に本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤を添加することがより好ましい。
Mタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤の添加順序は、メラミン系接着剤に直接添加する或いは、メラミン系接着剤の添加前でも後でも或いは同時でも特に限定されないが、メラミン系接着剤添加前後に或いは同時に木質材料中にMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤を添加する方が工程上望ましい。
【0065】
その後、表層−芯層−裏層に積層して加熱する。加熱の際には一般的に圧力を与えながらの加熱(熱圧)を行う。熱圧により木質材料は接着され、木質板となる。
【0066】
本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤を使用した場合、当該熱圧成型工程において、メラミン系接着剤からアルデヒド類が放出されるタイミングと、アルデヒド類捕集能を有する酸性ガスが発生するタイミングがほぼ一致するため、発生するアルデヒド類を効率よく捕集することができるものと考えられる。
熱圧工程の温度や時間は、一般的には作成する木質板の品質と生産性により適宜決定されるものであるが、本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤を使用する場合、前記効果を発揮させるために、熱圧成型温度を100~300℃とすることが好ましく、140〜250℃とすることがより好ましい。温度が低すぎると酸性ガスの発生量が少なく、ホルムアルデヒド等を十分に捕集できなくなる。逆に温度が高すぎると木質板表面が焦げる等して品質が低下してしまう。また熱圧成型時間は60秒以上とすることが好ましく、90秒以上とすることがより好ましい。成型時間が短かすぎると木質板内部の温度が上昇しにくく、本アルデヒド類捕集剤の効果も低減してしまう。熱圧成型時の木質板内部温度は厚さ方向の中心部分で60℃以上とすることが好ましく、80℃以上がより好ましい。また100℃以上とすることがさらに好ましい。
なお木質繊維板(MDF)や他の木質板を製造する場合も、同様にして上記Mタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤を添加して木質板を製造することができる。
【0067】
木質板製造におけるMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤の木質材料中への添加量は0.1〜20.0重量%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1.0〜7.0重量%である。添加量が0.1重量%より少ないと、目的とする捕集能が得られず、20.0重量%より多いと、木質板の表面美観が低下し、製品としての価値が損なわれ、生産コストのアップにも繋がる為である。
【0068】
なお、本発明の木質板製造方法によれば、アルデヒド類放出が抑制された木質板を得ることができるが、上記工程を経て得られた木質板に対し、更にアルデヒド類捕集能力のある化合物を水溶液として塗布することもできる。
【0069】
(化粧シート貼付木質板の製造方法)
上記工程を経て得られる木質板は、化粧シート貼付け用の木質板として好適な性質を有する。化粧シート貼付木質板は、内装用途などで多く用いられるものである。化粧シート貼付木質板は、木質板表面に接着剤を塗布するか、化粧シートの表面に接着剤を塗布した後、両者を貼り付けることにより製造される。このとき化粧シートの貼り付けは一般的に加熱圧着により行われるが、この際、木質板は、再度加熱され木質板内部に残留しているホルムアルデヒド或いは接着剤の加水分解等に起因するホルムアルデヒドが発生し、木質板からのホルムアルデヒド放散量が増加することが問題視されていた。
【0070】
この点、上記工程を経て得られる木質板であれば、木質板製造時に添加した本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤が木質板内部に残存しており、該Mタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤が、化粧シート貼付けの際の加熱とともに、再びアルデヒド類捕集能を発揮するため、アルデヒド類放出を低減することができる。
【0071】
化粧シートの種類としては、例えば紙系化粧シート、プラスチック系化粧シート、木質系化粧シート等がある。また化粧シート貼り付けに使用する接着剤は特に限定はなく、ホルムアルデヒド系接着剤を用いることもでき、ホルムアルデヒドを含有しないアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂或いはジアリルフタレート樹脂などの樹脂も接着剤として使用されている。化粧シートは、木質板の片面に貼り付けることもできるし、両面に貼り付けることもできる。また接着剤は木質板表面に塗布しても良いし、化粧シートの裏面に塗布しても良く、また接着面の両方に塗布しても良い。
【0072】
化粧シート貼り付け時の工程温度は60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上である。またアルデヒド類捕集効果の面からは、上限温度に特段の制限はないが、化粧シート貼付けの場合、熱による化粧シートの変色等の不具合が発生する場合もあるので、かかる観点からは160℃以下が好ましく、更には140℃以下であることがより好ましい。貼り付け工程の時間は、使用する接着剤が硬化するまでの時間であり、通常10秒〜20分である。この化粧シート貼り付け時に発生するホルムアルデヒド放出量は、前記に記載した木質板熱圧成形時に比べると低いので、工程温度が60℃と比較的低温であっても、また化粧シートを貼り付ける接着剤がメラミン系以外の接着剤であっても、木質板に残留している本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤によって、十分なホルムアルデヒド類放出低減効果を発揮できる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。各例中、特に言及しない限り、部および%は質量基準である。
【0074】
(実施例1)
〔アルデヒド類捕集剤の調整〕
ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製 平均粒子径190μm)59部を入れ、融点59℃の牛脂硬化油 (IHT−59 ミヨシ油脂製)40部を溶融して、前記無水重亜硫酸ナトリウムに70℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが1.1の造粒条件にて造粒を行った。次に、前記粉体の温度が40℃になるまで、攪拌フルード数Frが1.1の攪拌条件を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(40℃)に達したことを確認後、ホワイトカーボン カープレックス#67(DLS JAPAN製)1部を添加した。最後に、パワーミルP−02S((株)ダルトン製)において、最大粒子径を最大3mmに設定し、粉砕、整粒を行い、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0075】
上記操作で得られたアルデヒド類捕集剤を目開き4000μm、2830μm、2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、及び150μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行い、4000μm〜1400μmに分級されたアルデヒド類捕集剤を実施例1のアルデヒド類捕集剤とした。実施例1のアルデヒド類捕集剤の平均粒子径は、2.8mmであった。
【0076】
〔メラミン系接着剤の調製〕
撹拌機、還流コンデンサー、および温度計を備えた反応容器に、37%ホルムアルデヒド水溶液1000部を入れ、pHを8.0に調整した後、尿素370部を加え、85℃で1時間反応させた。その後pHを5.8に再調整し、15分間反応させ、更にpHを7.5に調整した後、尿素43部、粉末メラミン103部を添加し30分反応させた。その後冷却し、不揮発分を57%に調整してホルムアルデヒドモル比1.6の接着剤を作製した。これに40%ワックスエマルション、硬化剤として塩化アンモニウム、及び水をそれぞれ40部、1部、3部、7部の割合で混合し、実施例1で使用するメラミン系接着剤を得た。
【0077】
〔木質材料への添加〕
木片等の木質原料をフレーカーで粉砕し、目開き寸法1.7mmの篩で篩い分けをして、篩下の木質材料を表裏層用木質材料、篩上の木質材料を芯層用木質材料とした。篩い分けした木質材料は90℃の熱風乾燥機中で乾燥し、水分を3%以下とした。
【0078】
前記操作によって乾燥された木質材料100部に対して前記メラミン系接着剤を固形分換算で11部スプレー塗工し、均一混合した。その後更に、実施例1のアルデヒド類捕集剤を5.5部添加して混合した。前記操作を繰り返して、メラミン系接着剤とアルデヒド類捕集剤とが添加された表裏層用および芯層用の木質材料を得た。次に、30cm角の型枠に裏層用木質材料250部、芯層用木質材料650部、表層用材料250部を順次敷き詰め、220℃の熱板に挟み30kgf/cmの圧力で200秒間熱圧し、実施例1の木質板とした。
【0079】
〔評価:アルデヒド類捕集効果〕
前記で得られた実施例1の木質板のホルムアルデヒド放散量は、パーティクルボード(JIS A 5908:2003)及び建築用ボード類のホルムアルデヒド放散量の試験方法(JIS A 1460:2001)に準じてデシケーター法により捕集し測定した。測定された放散量を次の評価基準に従って評価した。
◎ 0.3mg/L未満
○ 0.3mg/L以上,1mg/L未満
△ 1mg/L以上,2mg/L未満
× 2mg/L以上
上記結果を表2にまとめた。
【0080】
【表2】



【0081】
(実施例2〜4、比較例1:平均粒子径の影響)
実施例1のアルデヒド類捕集剤とは、成分配合を表2中記載のものとし、さらに、選択する分級範囲の異なる範囲を選択した点において相違するアルデヒド類捕集剤を実施例2〜4、比較例1のアルデヒド類捕集剤とした。なお各実施例、比較例で選択した粉砕時の分級範囲は次のとおりであり、各平均粒子径は、表2記載のとおりである。
実施例2 4000μm〜1400μm
実施例3 2830μm〜1000μm
実施例4 710μm〜 500μm
比較例1 250μm〜 150μm
【0082】
また各実施例、比較例のアルデヒド類捕集剤を用いて、実施例1記載と同様の方法にて、実施例2〜4、比較例1の木質板を作製し、実施例1記載と同様の方法で評価を行った。評価結果はまとめて表2に示した。
【0083】
(参考例1〜3)
参考例1、2としてホルムアルデヒド系接着剤が尿素系接着剤(ホルムアルデヒド比1.3)とした場合の平均粒子径の依存性を示した。
【0084】
〔尿素系接着剤の調製〕
攪拌機、還流コンデンサー、および温度計を備えた反応容器に、37%ホルムアルデヒド水溶液1000部を入れ、pHを8.0に調整した後、尿素370部加え、85℃で1時間反応させた。その後pHを5.8に再調整し、15分間反応させ、さらにpHを7.5に調整した後、追加尿素200部を添加し30分反応させた。その後冷却し、不揮発分を57%に調整してホルムアルデヒドモル比1.3の尿素系接着剤を調整した。これに55%ワックスエマルション、硬化剤として塩化アンモニウム、及び水をそれぞれ20部、1部、0.5部、2部の割合で混合して使用した。アルデヒド類捕集剤の調製、木質板の作製および評価は実施例1と同様である。
また参考例3には、アルデヒド類捕集剤を添加しない場合を示した。
参考例1〜3については、表3にまとめて示した。
【0085】
【表3】



【0086】
(実施例5〜14:ホルムアルデヒドモル比の影響)
〔アルデヒド類捕集剤の調整〕
ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製 平均粒子径190μm)82部を入れ、融点59℃の牛脂硬化油 IHT−59(ミヨシ油脂社製)17部を溶融して、前記無水重亜硫酸ナトリウムに70℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが1.1の造粒条件にて造粒を行った。次に、前記粉体の温度が40℃になるまで、攪拌フルード数Frが1.1の攪拌条件を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(40℃)に達したことを確認後、ホワイトカーボン カープレックス#67(DLS JAPAN製)1部を添加した。最後に、パワーミルP−02S((株)ダルトン製)において、最大粒子径を最大3mmに設定し、粉砕、整粒を行い、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0087】
上記操作で得られたアルデヒド類捕集剤を目開き4000μm、2830μm、2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、及び150μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行い、710μm〜500μmに分級されたアルデヒド類捕集剤を実施例5〜9のアルデヒド類捕集剤とし、一方、4000μm〜1400μmに分級されたアルデヒド類捕集剤を実施例10〜14のアルデヒド類捕集剤とした。実施例5〜9のアルデヒド類捕集剤の平均粒子径は、0.6mmであり、実施例10〜14のアルデヒド類捕集剤の平均粒子径は、2.8mmであった。
【0088】
〔メラミン系接着剤の調製〕
撹拌機、還流コンデンサー、および温度計を備えた反応容器に、37%ホルムアルデヒド水溶液1000部を入れ、pHを8.0に調整した後、尿素を表4記載の(A)の量を加え、85℃で表4記載の時間(D)反応させた。その後pHを5.8に再調整し、15分間反応させ、更にpHを7.5に調整した後、尿素を表4記載の(B)の量、粉末メラミンを表4記載の(C)の量を添加し30分反応させた。その後冷却し、不揮発分を57%に調整することで、ホルムアルデヒドモル比を調整した接着接着剤成分を作製し、これに40%ワックスエマルション、硬化剤として塩化アンモニウム、及び水をそれぞれ40部、1部、3部、7部の割合で混合し、実施例5〜14のメラミン系接着剤をそれぞれ得た。
【0089】
【表4】



【0090】
〔評価:アルデヒド類捕集効果〕
上記で得られた実施例5〜14のアルデヒド類捕集剤について、実施例1と同様の方法にて実施例5〜14の木質板を作製し、各木質板について、実施例1記載の方法で、アルデヒド類捕集効果の評価を行った。
これらの結果をまとめて表5,表6に示す。
アルデヒド類捕集効果
【0091】
【表5】



【0092】
【表6】



【0093】
(実施例15、16:撥水性化合物融点の影響)
〔アルデヒド類捕集剤の調整〕
ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製 平均粒子径190μm)82部を入れ、融点75℃(実施例15;HNP-9(日本精蝋社製))または融点55℃(実施例16:パーバン1320(エクソンモービル社製))のパラフィンワックス17部を溶融して、前記無水重亜硫酸ナトリウムにワックス成分の融点+10℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが1.1の造粒条件にて造粒を行った。次に、前記粉体の温度が40℃になるまで、攪拌フルード数Frが1.1の攪拌条件を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(40℃)に達したことを確認後、ホワイトカーボン カープレックス#67(DLS JAPAN製)1部を添加した。最後に、パワーミルP−02S((株)ダルトン製)において、最大粒子径を最大3mmに設定し、粉砕、整粒を行い、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0094】
上記操作で得られたアルデヒド類捕集剤を目開き4000μm、2830μm、2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、及び150μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行い、2830μm〜1000μmに分級されたアルデヒド類捕集剤を実施例15,16のアルデヒド類捕集剤とした。実施例15,16のアルデヒド類捕集剤の平均粒子径は、1.7mmであった。
【0095】
〔評価:アルデヒド類捕集効果〕
上記で得られた実施例15,16のアルデヒド類捕集剤について、実施例1と同様の方法にて実施例15,16の木質板を作製し、各木質板について、実施例1記載の方法で、アルデヒド類捕集効果の評価を行った。
これらの結果をまとめて表7に示す。なお、参考として平均粒子径が実施例15,16と同じである実施例3の結果についても再度掲載した。
【0096】
【表7】



【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明のMタイプ木質板用アルデヒド類捕集剤、及び前記成分が添加されたメラミン系接着剤は、木質材料をメラミン系接着剤で接着する際に木質材料や接着剤に添加する添加剤や接着剤自身として産業上の利用性がある。また本発明の木質板の製造方法は、ホルムアルデヒド放散の少ないパーティクルボード、合板、木質繊維板の製造方法として産業上の利用性がある。
【出願人】 【識別番号】390029458
【氏名又は名称】一方社油脂工業株式会社
【出願日】 平成18年12月22日(2006.12.22)
【代理人】 【識別番号】100104581
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 伊章

【識別番号】100136412
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 照久


【公開番号】 特開2008−155454(P2008−155454A)
【公開日】 平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願番号】 特願2006−345689(P2006−345689)