トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 水分・揮発性物質の低減方法及び低減装置
【発明者】 【氏名】湯浅 崇

【氏名】嶋田 和之

【氏名】山口 英輝

【氏名】小出 実

【要約】 【課題】木材の急速乾燥が可能であるだけでなく、シックハウスの原因になり得る成分の除去が可能な、木材からの水分及び/又は揮発性物質の低減方法及び低減装置を提供する。

【解決手段】前記木材を処理室に設置する工程と、セラミックを使用した赤外線ヒーターを用いて、前記木材の雰囲気の湿度及び温度を制御する工程と、前記木材の雰囲気の気流を制御する工程と、前記木材の雰囲気の気流を揮発性物質が吸収及び/又は吸着される部材に接触させる工程と、を備える木材から水分及び/又は揮発性物質を減少させる低減方法を提供する。また、木材を収納する収納手段と、前記木材を加熱するセラミックを用いた赤外線加熱手段と、処理室内を加湿する加湿手段と、前記木材の雰囲気の少なくとも一部を移動させる気流を生成する気流生成手段と、を備える低減装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材から水分及び/又は揮発性物質を低減させることが可能な方法であって、
前記木材を処理室に設置する工程と、
セラミックを使用した赤外線ヒーターを用いて、前記木材の雰囲気の湿度及び温度を制御する工程と、
前記木材の雰囲気の気流を制御する工程と、
前記木材の雰囲気の気流を揮発性物質が吸収及び/又は吸着される部材に接触させる工程と、を備える低減方法。
【請求項2】
加湿のためにナノバブル水を用いることを特徴とする請求項1記載の低減方法。
【請求項3】
前記木材の雰囲気の温度は、80℃以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の低減方法。
【請求項4】
更に、処理室からの排気を浄化する処理工程を含み、
前記木材からの水分及び/又は揮発性物質の低減を移動中に行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の低減方法。
【請求項5】
木材を収納する収納手段と、前記木材を加熱するセラミックを用いた赤外線加熱手段と、処理室内を加湿する加湿手段と、前記木材の雰囲気の少なくとも一部を移動させる気流を生成する気流生成手段と、を備える水分及び/又は揮発性物質の低減装置。
【請求項6】
前記木材の雰囲気の少なくとも一部を含む気流と接触する揮発性物質吸収・吸着手段を更に備えることを特徴とする請求項5記載の水分及び/又は揮発性物質の低減装置。
【請求項7】
前記加湿手段は、ナノバブル水を用いて加湿することを特徴とする請求項5又は6記載の水分及び/又は揮発性物質の低減装置。
【請求項8】
更に、排気浄化手段を備えることを特徴とする請求項5から7いずれか記載の水分及び/又は揮発性物質の低減装置。
【請求項9】
更に、移動手段を備え、移動中に前記木材からの水分及び/又は揮発性物質を低減できる請求項8記載の水分及び/又は揮発性物質の低減装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、生材料や加工品から水分及び/又は揮発性物質を減少させる方法(低減方法)及び減少させる装置(低減装置)に関する。特に、木材の乾燥や、揮発性有機化合物の減少に効果のある低減方法及び低減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に木材は、生材料である木材を乾燥した後に使用される。従来、このような木材を乾燥する方法としては、一般蒸気式、高温蒸気式、或いは、高周波・蒸気複合式の乾燥方法が採用されている。例えば、乾燥室内に導人した生の木材を蒸気で強制的に蒸した後、この乾燥室内の温度を上げ乾燥、除水する方法等である。
【0003】
また、赤外線ヒーターを用いて、生の木材を乾燥するための方法として、被乾燥物である生の木材に向けて赤外線を放射する赤外線ヒーターを設けた木材乾燥装置も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、蒸気式乾燥方法では、木材の乾燥に長時間を要し、そのため、極めて効率が悪い。また、乾燥時に切断した木材の寸法や形状が変化しやすく、割れ、捩れ、あるいは、直線部に曲がりや反りが生じ、木材の歩留りが悪くなるなどの問題点がある。
【0005】
赤外線ヒーターを使用する乾燥方法では、木材の中心部までムラなく加熱され、活性化されて蒸発するため、中心部の水分が抜けやすく、そして木材の蒸発時に、その内部と表面とから水がほぼ均等に蒸発し、乾燥する。このため、短時間で木材を均一に乾燥することができ、しかも木材の割れや変形も比較的少なく、乾燥歩留まりの向上が計れる。
【0006】
しかし、急激な乾燥がなされると、木材の乾燥プロセスの中で、引っ張り、収縮、膨張が起こり、木材の割れや変形を起こすことがある。そこで、木材を加熱乾燥する赤外線ヒーターと共に、乾燥室内に噴霧散水ノズルを設け、この噴霧散水ノズルで乾燥室内の加湿条件を調整可能とした乾燥装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平9−314513号公報
【特許文献2】特開2002−67007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一般的な赤外線ヒーターでは、更に、急速な乾燥を行うことが難しく、また、水分は低減できても、シックハウスの原因になり得る成分(例えば、揮発性有機化合物(VOC))の低減が必ずしも十分とはいえない。
【0008】
そこで、木材の急速乾燥が可能であるだけでなく、シックハウスの原因になり得る成分の除去が可能な、木材からの水分及び/又は揮発性物質の低減方法及び低減装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の低減方法は、木材から水分及び/又は揮発性物質を減少させることが可能であって、前記木材を処理室に設置する工程と、セラミックを使用した赤外線ヒーターを用いて、前記木材の雰囲気の湿度及び温度を制御する工程と、前記木材の雰囲気の気流を制御する工程と、前記木材の雰囲気の気流を揮発性物質が吸収及び/又は吸着される部材に接触させる工程と、を備える。
【0010】
また、本発明の低減装置は、木材を収納する収納手段と、前記木材を加熱するセラミックを用いた赤外線加熱手段と、処理室内を加湿する加湿手段と、前記木材の雰囲気の少なくとも一部を移動させる気流を生成する気流生成手段と、を備える。
【0011】
より具体的には、以下のものを提供する。
【0012】
(1)木材から水分及び/又は揮発性物質を低減させることが可能な方法であって、前記木材を処理室に設置する工程と、セラミックを使用した赤外線ヒーターを用いて、前記木材の雰囲気の湿度及び温度を制御する工程と、前記木材の雰囲気の気流を制御する工程と、前記木材の雰囲気の気流を揮発性物質が吸収及び/又は吸着される部材に接触させる工程と、を備える低減方法。
【0013】
ここで、木材とは、生木を含んでよく、生木を切り出した製材等を含むことができる。更に、生木、製材等の木材を材料とした家具を含んでもよい。この家具には、釘、蝶つがい、その他の木材以外の構成物が含まれていてもよい。揮発性物質としては、有機化合物(以下「揮発性有機化合物」又は「VOC」という)を含んでよく、例えば、シックハウスに関するものとして、厚生労働省が挙げている13物質を含んでよい。ここで、以下赤外線という言葉を用いるが、これは、セラミックスにより放射される電磁波であって、その波長が、1.0〜50μmの範囲の近赤外線、遠赤外線、超遠赤外線を含むものである。また、上記セラミックとしては、例えば、炭酸バリウム、酸化チタン及び酸化アルミニウムからなる混合物を、粘土をバインダーとして約1000℃〜約1500℃の範囲の温度で焼成されるセラミック成型体を例示することができる。また、特開平8ー217421号公報等に記載されているような、炭酸バリウム、酸化チタン及び酸化アルミニウムからなる混合物を、粘土をバインダーとして、約1000℃から約1500℃の範囲で焼成されるセラミックス成形体を含んでよい。
【0014】
また、ここで利用できるセラミックは、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、燐(P)、珪素(Si)、チタン(Ti)、硼素(B)から選ばれる少なくとも1以上の元素を比較的多く含むことができる。更に、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、ランタン(La)、リチウム(Li)、イットリウム(Y)から選ばれる少なくとも1以上の元素を含むことができる。
【0015】
(2)加湿のためにナノバブル水を用いることを特徴とする上記(1)記載の低減方法。
【0016】
ここで、ナノバブル水とは、ナノバブルを含む水をいう。例えば、特開2003−334548号公報や特開2004−121962号公報に提案されるナノバブル発生方法により、水中で、電気分解装置により発生する酸素やオゾンの気泡を電気分解装置の底部に設けられた超音波発生装置からの超音波振動で圧壊し、微細化し、ナノバブルを発生させたときの水は、ナノバブル水に含まれてよい。より好ましくは、高圧水を噴射して超微細気泡を発生させる超微細気泡発生方法において、高圧水の噴射により形成される1又は複数の噴射線が小領域内を通過するときにその小領域内で超微細気泡が発生したときの該超微細気泡を含む水を含む。例えば、特願2006−209041に記載される処理により生成する水を含んでよい。また、水以外の流体を含むことを必ずしも妨げない。このときの高圧水は、噴射前にイオン化処理を施すことがより好ましい。また、イオン化処理された気体が高圧水に含まれるとより好ましい。更に、該イオン化処理された気体が酸素を含むとより好ましい。
【0017】
(3)前記木材の雰囲気の温度は、80℃以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の低減方法。
【0018】
上記雰囲気温度は、より好ましくは、60℃以下である。また、40℃以上に昇温することがより好ましい。また、この処理における湿度は、相対湿度で、30〜80%が好ましい。
【0019】
(4)更に、処理室からの排気を浄化する処理工程を含み、前記木材からの水分及び/又は揮発性物質の低減を移動中に行うことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか記載の低減方法。
【0020】
(5)木材を収納する収納手段と、前記木材を加熱するセラミックを用いた赤外線加熱手段と、処理室内を加湿する加湿手段と、前記木材の雰囲気の少なくとも一部を移動させる気流を生成する気流生成手段と、を備える水分及び/又は揮発性物質の低減装置。
【0021】
ここで、収納手段は、収容手段を含んでよく、また、所定の実質的に閉じられた空間を囲う囲堯手段を含んでよい。例えば、ある程度雰囲気を閉じこめることが可能な部屋や室を含んでよい。室の一例となる処理室は、例えば、木材の乾燥装置においては、乾燥室を含んでよい。密閉構造である必要はないが、不必要な外気の流入・流出を防止可能に構成されることが好ましい。処理室内には、室内の気体の循環装置や不必要なもの(例えば、パーティクルや揮発性物質)を除去若しくは低減可能なフィルタを備えることができる。また、赤外線加熱手段は、赤外線加熱ヒーターを含んでよい。更に、加湿手段は、湿度を増すことができる装置を含んでよく、例えば、蒸気を用いた加湿器や、微粒状の水を用いた加湿器や、噴霧装置を含む加湿器を含んでよい。また、気流生成手段は、気体の流れである気流を生じさせる若しくは発生させる手段を含んでよい。例えば、ファンやポンプのような要素部品を含む装置を含んでよい。更に、気流の量、向き、速度、密度、その他の特性を調整できる装置を含んでもよい。
【0022】
(6)前記木材の雰囲気の少なくとも一部を含む気流と接触する揮発性物質吸収・吸着手段を更に備えることを特徴とする上記(5)記載の水分及び/又は揮発性物質の低減装置。
【0023】
気流と接触するとは、気流中の物質又はエネルギーを交換可能な状態になることを意味してよく、例えば、気流に当たることを含んでよい。揮発性物質吸収・吸着手段は、揮発性物質を物理的に、化学的に、及び/又はその他の態様で揮発性物質を取り入れることができる物質、部材、装置等を意味してよい。取り入れるとは、気流中の揮発性物質の量が減少することを生じさせることを意味することができる。このような手段としては、特定の物質、フィルタ、複数の要素からなる装置等を含むことができる。例えば、揮発性物質を溶解する溶媒中をくぐらせる装置等を含んでよい。木材固定装置においては、処理される木材と、該木材の所定の形状を規定する形状規定部材(処理中に変形し難い部材)と、これらを固定する固定部材とを含む。また、処理される木材間に好ましい間隔を設けるための桟木を含んでもよい。
【0024】
(7)前記加湿手段は、ナノバブル水を用いて加湿することを特徴とする上記(5)又は(6)記載の水分及び/又は揮発性物質の低減装置。
【0025】
(8)更に、排気浄化手段を備えることを特徴とする上記(5)から(7)いずれか記載の水分及び/又は揮発性物質の低減装置。
【0026】
(9)更に、移動手段を備え、移動中に前記木材からの水分及び/又は揮発性物質を低減できる上記(8)記載の水分及び/又は揮発性物質の低減装置。
【発明の効果】
【0027】
木材の乾燥を素早く行うことができ、乾燥に必要な消費エネルギーが少ない乾燥装置を提供できる。また、水分の乾燥のみならず、VOCの低減も同時に可能である。更に、乾燥中の木材の変形を最小限に抑えることができ、割れ等の発生が極めて少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に本発明の実施例について、図面に基づいてより詳しく説明するが、実施例は説明のための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0029】
図1は、本発明の実施例である木材の乾燥システムの概略模式図である。木材の乾燥システム100は、ローカルの処理システムと、遠隔統合監視装置160と、これらをつなぐ通信ネットワーク150とから構成される。ローカルの処理システムは、加湿、加熱、換気、浄化ユニットからなるメイン処理部と、付加工程に用いられる加水槽ユニットと、分析や制御を行う分析・コントロールルームとからなる。ここでコントローラのコントロールパラメータ設定やセンサーのモニター用PCは、遠隔統合監視が行える構成も可能となっている。
【0030】
メイン処理部には、乾燥処理ユニットを構成する処理室110と、循環気体(ファン117で吸引された処理室110内の気体)に加湿処理し処理室110につながったダクトを通して処理室110へ放出する加湿処理ユニット118及びその電源118aと、処理室110からファン122により排気された気体を処理する浄化ユニット124と、が含まれる。処理室110には、床に赤外線ヒーター128が所定のセラミックと共に配置され、その上に配置された処理対象となる木材126の雰囲気及びその木材126自体を加熱する。赤外線ヒーター128では、波長が1〜50μmのいわゆる赤外線を放出することができ、通常のヒーターや赤外線ヒーターに比べて、木材126のより深部にまで熱を伝えることができる。特に、所定のセラミックを用いているので、より深部への伝熱及び均熱化が可能である。処理室110の天井には、ファン120i、120eが対になって備えられ、一方(図中左側)120iが、処理室110内の気体をダクト650を通して吸引し、図示しないフィルタにより不必要なパーティクルや揮発性有機化合物の低減を行う。他方(図中右側)120eは、ダクト(図示せず)を経由して送気されるこの気体を、再び、処理室110内にダクト652を通して還流させると共に、処理室内の雰囲気気体の攪拌することができる。この処理室110内には、センサー111が備えられ、発生するVOCの濃度、温度、湿度等を分析・コントロールルーム内のコンピュータ144へと送ることができる。
【0031】
加湿処理ユニット118が配置される前室には、外気を取り入れる給気用のファン116が備えられる。電源118aは、この前室の外側に配置される。
【0032】
排気された気体を処理する浄化ユニット124では、人体や環境にとって好ましくない気体を除去する。
【0033】
加水槽ユニットには、ナノバブル槽130が配置されるナノバブル処理室と、このナノバブル槽130内にナノバブル水134を供給するナノバブル処理ユニット138及びその電源138aが含まれる。ナノバブル処理ユニット138については、後述する浄化ユニットの説明において、簡単に説明する。ナノバブル槽130のナノバブル水134中には、木材136が浸漬され、通常の水が浸透できる深さよりも深い木材136の深部にまでナノバブル水が浸透する。十分に浸漬された木材136は、ナノバブル槽130より取り出され、処理室110内に木材126と同様に配置され、同様に処理される。このナノバブル水浸漬処理は、オプションとして行うことができる処理である。ナノバブル槽130内には、センサー132が配置され、計測したナノバブル水の温度、pH等の諸性状を分析・コントロールルーム内のコンピュータ144へと送ることができる。
【0034】
分析・コントロールルームには、主に、処理室110での処理(温度や湿度を自在に変化させること等)を制御するシーケンサー142が備えられ、各センサー111、132から送られてくる信号を処理するコンピュータ144とデータ通信を行って、ローカルの処理システム全体が効率良く機能している。コンピュータ144からは、各種データを通信ネットワーク150を経由して、遠隔統合監視装置160へと送信すると共に、遠隔統合監視装置160から送られてくる命令信号を、同じく通信ネットワーク150を経由して受信する。この命令信号に従って、コンピュータ144は、ローカルの処理システム全体を制御することができる。
【0035】
図2に、ローカルの処理システム全体の機能図を示す。コンピュータ144及びシーケンサー142は、自動制御機能を持つコントローラ144fとして機能する。また、コンピュータ144は、VOC監視機能145fを有する。自動制御機能を持つコントローラ144fによって、ナノバブル水を用いた加湿機能118f、赤外線を放出するセラミックによる加熱機能128f、給気、換気、排気等を行う換気(吸着)機能121f、ナノバブル水等によるナノバブル処理を行う浄化機能124f、そして、付加的に行うことができるナノバブル水による加湿機能131fが制御される。
【0036】
次に、処理室110内での処理について、加湿、加熱、循環&低減、浄化運転タイムチャートに基づき説明する。このチャートで横軸は時間を示しており、左側から順に開始時、運転期間、終了時となっている。開始時においては、加湿機能118f及び加熱機能128fが共にスイッチが入っており(ON)、加熱及び加湿が所定の運転モードに従って行われる。このとき、給気も換気もされないが(OFF)、定常運転に入る前に加熱及び加湿等により発生したガス等を排出するために排気される(ON)。しかしながら、特に有害なガスの発生は殆どないため、浄化機能124fは、用いられない(OFF)。
【0037】
定常運転期間においては、所定の運転モードに従って加熱及び加湿が行われ(ON)、給気は行われないが、換気が行われる(ON)。しかしながら、排気は行われず(OFF)、浄化機能124fも用いられない(OFF)。
【0038】
終了時には、加熱及び加湿が行われず(OFF)、給気が行われ(ON)、排気が行われる(ON)。それに伴い浄化機能124fが作動する(ON)。
【0039】
図3は、木材乾燥工程を示すフローチャートである。木材乾燥工程は、まず、素材検査Aが行われ、検査に合格しないものは、是正措置Gが行われた後に、合格したものと共に、VOC低減及び乾燥工程Bにおいて処理がなされる。この処理の後に、工程検査Cを行い、この検査に合格しないものは、是正措置Hが行われて、合格したものと共に、次の加工工程Dにおいて、塗装、乾燥、仕上げ処理が行われる。その後、製品検査Eが行われ、検査に合格しないものは、是正措置Iが行われて、合格したものと共に、次の梱包・出荷工程Fにおいて、梱包されて出荷される。
【0040】
図4は、図1の乾燥処理ユニットの別の実施例を模式的に示している。図4(a)は、天井を透明にしたときの上面図であり、図4(b)は、左側壁を透明にして見たときの側面図である。図4(c)は、この実施例の制御等を模式的に示す図である。
【0041】
図4(a)において、処理室52a内には、左右の壁に沿ってセラミックを用いた赤外線ヒーター58aが配置され、中に搬入される処理用の木材(図示せず)を加熱することができる。この処理室52aの壁には、左右それぞれ2つずつ温湿度センサー111a(上面図では図示を省略)が備えられている。また、処理室52aの奥側(図中左側)には、前室が設けられ、その中に制御盤が備えられている。その天井には、給気用のファン619aが備えられている。図4(b)に示すファン619aにおいて、ファンの羽部を挟んだ上下に揮発性物質、特に揮発性有機物を吸着可能な素材からなるフィルタが設けられている。これにより、外気(空気)を浄化して、揮発性物質が少ない新鮮な外気を供給する給気用ファン619aにより取り入れることができる。処理室52aの天井には、4つのファン620a、620b、620c、620dが時計回りに配置されている。各ファンの基本構造はファン619aと同じであり、同様にフィルタ632が設けられている。
【0042】
処理室52a内の気体(空気)は、左右の側壁の上方にほぼ水平に配置されたダクト627に開けられた開口(図4(a)に破線で表示)と、側壁の開口(図4(a)に破線で表示)とをつないだ側壁厚さを実質的な長さとする6つの四角の筒を通して、ダクト627及びエルボーを通して、更に、天井の上を側壁側からファン620dへと延びるダクト624を通して、天井のファン620d(右側では620a)によって吸引される。吸引された気体は、天井に側壁とほぼ平行に延びるダクト625を通って、送風用のファン620cへと送られる。ファン620cによって天井の上を側壁側へと延びるダクト626へと送られ、更に側壁の外側に沿って、ほぼ鉛直に延びるダクト628を通る。ダンパー630aにより、流量を調整されて、定常運転中は、前室側に向かってほぼ水平に延びるダクト629へと送られ、やはりダクトの開口と側壁の開口とをつないだ側壁厚さを実質的な長さとする6つの四角の筒を通して、処理室52a内に送られる。これにより、処理室52a内には、処理される木材の下方から気流が吹き付け、上方へと流れ、上方の側壁の穴から気流が吸い込まれるという気流の流れができる。そのため、木材の周りの雰囲気が攪拌されて気流と共に、処理室52a外へと運ばれる。
【0043】
一方、定常運転を停止し、排気する場合は、ダンパー630aにより、流量を調整されて、排気ダクト630へと気体が送られ、更に、ダンパー120cにより流量が調整されて、排気ファン122aにより系外に排気される。排気ファン122aの外気側にはフィルタ122bが配置され、同様に、揮発性の有機物を吸着する。ここでは、左側の空気の流れが説明されたが、同様に右側の雰囲気空気もファン620a、620bやダクト621、622、623を用いて循環・換気される。このとき、処理室は機密性が高いので、排気時には、自動的に給気制御を行うことが、より好ましい。
【0044】
図4(b)に示すように、セラミックを用いた赤外線ヒーター58aは、処理室52aの側壁一面に配置されている。側壁に固定されたチューブ上の発熱体82が、放熱板84へと熱を送り、放熱板84に密着されたセラミック(図示せず)から赤外線を放出し、材木や雰囲気空気を温める。温湿度センサー111aは、処理室52aの外側にも配置され、外気との温度や湿度の違いがモニターされる。排気用のダンパー120cや排気用のファン122aは、ダクトを介して接続され、処理室52aの外側の下方に配置される。
【0045】
図4(c)は、各装置の制御を図解する。温湿度センサーから送られてくる信号は、シリアル通信RS−485を介して送信され、コントローラに送られる。それぞれのヒーターに加えられる交流電圧の位相角はスイッチング素子によって変化させられ、電力供給が制御される。この制御は、インターフェース(I/F)回路を介してコントローラにより行われる。また、ダンパーによる給気及び排気のための開閉制御、及び、排気ファン制御も同様にインターフェース(I/F)回路を介してコントローラにより行われる。また、VOCセンサーからの信号もコントローラに送られ、コントローラからは、これらの信号がイーサネット(登録商標)等のネットワーク通信を介して管理用コンピュータに送られ、制御条件を演算し、コントローラに送信することや、各種データを収集することができる。また、イーサネット等のネットワーク通信を介して更に外部のコンピュータに接続することも可能である。
【0046】
図5は、本発明のまた別の実施例を示す概略模式図である。この処理システムは、制御・監視部1と、乾燥処理ユニット10とから構成される。制御・監視部1は、オペレータPが操作するコントロールパラメータ設定手段2と、この設定手段2からの信号を受信し、コントロールパラメータを記憶するコントロールパラメータ記憶手段3と、コントロールパラメータ記憶手段3及びモニターパラメータ測定手段6からの信号を受信するモニター結果編集手段4と、編集された信号を受信しモニター結果を表示するモニター結果表示手段5と、乾燥処理ユニット10から送られてくる信号並びにコントロールパラメータ設定手段2及びコントロールパラメータ記憶手段3から送られてくる信号を受信するモニターパラメータ測定手段6と、このモニターパラメータ測定手段6及びコントロールパラメータ記憶手段3から送られてくる信号を受信し調整信号を計算するコントロールパラメータ計算手段7と、コントロールパラメータ記憶手段3及びモニターパラメータ測定手段6及びコントロールパラメータ計算手段7から送られてくる信号を受信し乾燥処理ユニット10へ調整信号を送るコントロールパラメータ調整手段8とから構成される。
【0047】
乾燥処理ユニット10は、壁12によって囲堯され仕切られる処理室、及び、壁19aを隔てた加湿ユニット18が配置される前室とから主に構成される。処理室には、底床にヒーター28が原材料である木材26の長手方向に並んで5ユニット配置され、それぞれのユニットには赤外線源としてのセラミック部材30が配置されている。この乾燥室の天井には、4つのファン20a、20b、20c、20d、及びこれらのファンの間をつなぐダクトが配置され、乾燥室内の雰囲気ガスの循環を行っている。即ち、給気ファン20a、20dによって、側壁12の上方にほぼ水平に延びるダクト642の開口(側壁の開口に通じる)から処理室内のガスが給気され、図示しないフィルタにより、発生したVOC等のガスを吸着し、ダクト644を通って、送風ファン20b、20cへと送る。送風ファン20b、20cは、送られてきた気体をほぼ鉛直に下方に延びるダクト648及び右側で図5では見えない対称に備えられるダクトを通して送り、エルボー650を介して側壁下方にほぼ水平に延びるダクト652及び右側で図5では見えない対称に備えられるダクトを通して送り、それぞれ、開口(側壁の開口に通じる)を通して、処理室内に送風する。これにより、処理室内には、下から吹き込まれた気流と、上方で側壁の開口へと吸い込まれる気流が生じて、処理室内の気流の循環・換気が行われる。尚、吸引された気流は、フィルタにより揮発性有機物が吸着処理され、処理室に吹き込まれるので、揮発性有機物の処理室内濃度を低く抑えることができる。また換気(吸着)及び排気方法は、壁面に設けられた複数の排気口からダクト経由して、換気(吸着)ファンに集合させて、排気ダクトで浄化ユニットに通気も可能な構成となっている。
【0048】
換気ユニット22は、処理室内のガスを排気し、ダクト23を介して浄化ユニット24へと送る。浄化ユニット24では、後述するナノバブル水による浄化が行われ、VOC等の有害なガスは安全に除去処理される。
【0049】
前室には、乾燥処理ユニット10を制御するコントローラ14が配置され、また天井には、給気用のファンが配置される。前室の左側には、メンテナンス用のドア部13があり、コントローラ14や加湿ユニットのメンテナンスが容易に行える構造となっている。
【0050】
図6は、図5の乾燥処理ユニット10をトラック等のような移動手段に配置した例を模式的に示す図である。移動式VOC低減装置200は、トラック212の横開き可能な覆いがかぶせてある荷台に乾燥処理ユニットを乗せたような構成をしている。この覆いは、換気用の排気口216aが備えられている。乾燥処理ユニットは、側壁によって囲堯され仕切られる処理室、及び、壁を隔てた加湿ユニット218が配置される前室とから主に構成される。処理室には、底床にヒーター228が原材料である木材226の長手方向に並んで5ユニット配置され、それぞれのユニットには赤外線源としてのセラミック部材230が配置されている。この乾燥室の天井には、4つのファン220a、220b、220c、220d、及びこれらのファンの間をつなぐダクトが配置され、乾燥室内の雰囲気ガスの循環を行っている。即ち、給気ファン220a、220dから処理室内のガスが給気され、図示しないフィルタにより、発生したVOC等のガスを吸着し、ダクトを通って、送風ファン220b、220cへと送る。送風ファン220b、220cは、吸着処理後の送られてきたガスを処理室に吹き込み、処理室内のガスの循環を行う。
【0051】
換気ユニット222は、処理室内のガスを排気し、ダクトを介して浄化ユニット224へと送る。浄化ユニット224では、後述するナノバブル水による浄化が行われ、VOC等の有害なガスは安全に除去処理され、その他のガスが浄化ユニット224から排出されて、排気口216aから排出される。
【0052】
前室には、乾燥処理ユニットを制御するコントローラ214が配置され、また天井には、給気用のファンが配置される。その他の制御装置等は、トラック212の運転席内に設けることができる。
【0053】
このように移動式のVOC低減装置では、生木を製材する製材所から、家具等を加工・組立する工場まで、運送する間に、木材226を乾燥し、VOCを低減しておくことができ、極めて生産性に優れる。これは、主に、コンパクトな処理室と、排気中の有害ガスを容易に除去できる小型の浄化ユニット224と、によってなし得るものである。従来は、排気中の有害ガスを効果的に除去できる小型の装置が無かったため、このような移動式VOC低減装置を作ることができなかったのである。この浄化ユニットの詳細については、後述する。
【0054】
図7は、本発明の別の実施例における処理室を模式的に示す図である。壁52により囲まれた処理室の両側面に沿って、赤外線を放出するヒーターが設けられている。このヒーターは、ほぼ水平に側壁の内側に沿って延びる円筒形のヒーター82(第1の熱源)が、8本それぞれ平行に上から下へと並んでいる。このヒーター82は、例えば、電熱式のヒーターであってもよく、また、熱媒体が通過して熱を運ぶような伝熱パイプであってもよい。各円筒形のヒーター82には、その内側に垂直に立った放熱板84が密着しており、第1の熱源である円筒形のヒーター82からの熱を吸収する。各放熱板84は、並んで配置され、間に所定の隙間を開けながら、熱を放出する壁を実質的に形成する。この放熱板84は、例えば、熱伝導性に優れるアルミニウムによって形成されてよく、また、放熱板84の表面は、耐食性の向上と、熱放出の効率性のために、アルマイト処理が行われてよい。この放熱板84は、第2の熱源となるが、その上に、所定のセラミック86が貼り付けられ、赤外線を放出する。この赤外線は、被加熱部材の深部にまで熱を伝えることができるので、芯から温まったり、芯から揮発性の有機物質等が表面へと排出され易くなる。
【0055】
壁52により囲まれた処理室の四隅には、三角柱形状をした配水管61がほぼ鉛直に備えられている。配水管61は、各コーナーにその三角形の直角部を向けて、収納効率が向上するようにされている。この配水管61の直角部に対抗する斜辺により構成される斜面には、噴霧ノズル60a、60b、60c、60dが設けられている。このようにすることにより、噴霧ノズル60a、60b、60c、60dが容易に処理室の中央に向かって水を噴霧することが可能となる。
【0056】
処理室の床には、一対のレール74aが、処理室の入り口から奥へとほぼ平行に延びており、このレール74aの上を転がる車輪を付けた原料木材を乗せたカート(図示せず)が処理室の奥まで押し込まれる。処理室の入り口には、カートが入り易いように、スロープ部材74cが設けられ、その上に一対のレール74bが備えられている。
【0057】
図8は、上述してきた浄化ユニットの一例を模式的に示す。浄化ユニットは、ナノバブル水を溜める槽501と、高圧ポンプ412やイオン化処理部414を含む処理部411とから構成される。高圧ポンプ412は、槽501に溜められた水500に吸入口が入れられたパイプ422aにより、水を吸い上げ、また、高圧ポンプ412内でオーバーフローした水を槽501に戻すパイプ422bが接続されている。高圧ポンプ412で加圧された水は、パイプ424を介して、イオン化処理部414に導入され、更に、パイプ424を介して、槽501に溜められた水500に入れられた噴射手段である高圧インジェクタ428から高圧で噴射される。
【0058】
この高圧インジェクタ428は、比較的太いパイプであるメインパイプと、そのメインパイプの周りをほぼ同心円状に囲む外管であるジャケットパイプと、該ジャケットパイプの内側とメインパイプの外側の間の空間である室内に高圧流体を送り込むパイプと、送り込まれた高圧流体をメインパイプの内側にある水に噴射する1又は複数の噴射ノズルと、から構成される。噴射ノズルが複数設けられた場合は、メインパイプの中心軸線に向ってほぼ対向するように噴射ノズルは備えられている。噴射ノズルの噴射孔の径は、約0.2から約2mmから適宜選択される大きさであり、長さは約20から約50mmである。このような高圧水の噴射によりナノバブルが発生する。
【0059】
このようにして得られたナノバブルを含む水(以下「ナノバブル水」という)500に、換気ユニット22、222等から送られている排気ガスが、管423aを通して、ナノバブル水500中に潜らせると、VOC等の有害なガスはナノバブル水500中に溶解若しくは分散するため、ナノバブル水500の水位より高い位置に開口部がある管423bから排出される処理ガスには、有害なガスが含まれない。
【0060】
図9は、本発明の更に別の実施例であって、図7の実施例と同様、側壁52の内側に沿ってヒーターを配置したものを模式的に示すものである。図9(a)は天井を取り払った上面図であり、図9(b)は右側の側壁をそれに付けられた部材と共に取り払った側面図であり、図9(c)は正面の入り口59や壁及びそれに付けられた部材を取り払った正面図である。
【0061】
上面図において、グラスウールのような断熱材を挟んだ側壁52に囲まれた処理室内の空間には、後述するように原料木材56がカートに束ねられて、ほぼ中央に配置される。上面視で矩形の処理室の四隅には、時計回りに噴霧用の水が通る配水管61a、61b、61c、61dがほぼ鉛直に配置され、各配水管61a、61b、61c、61dには、上部、中央部、下部に3つの噴霧ノズル60a[60a1、60a2、60a3]、60b[60b1、60b2、60b3]、60c[60c1、60c2、60c3]、60d[60d1、60d2、60d3]、がそれぞれ対角線方向内向きに配置される。また、左右の側壁52の内側面には、赤外線を放出するヒーター58が配置され、原料木材56を直接及び間接的に加熱することができる。原料木材56を束ねて積んでいるカートには、車輪72が備えられており、この車輪は、車輪の幅方向において、真ん中で窪んだ凹形状をしており、真ん中が膨らんだ凸形状をしているレール74(処理室の床面に一対にほぼ平行に備えられているが)とかみ合い、位置ずれがおきないように工夫がされている。
【0062】
図10は、カートに束ねられている原料木材56をより詳しく図解する。図11は、カートの上面から見た上面図であり、図10は、図11のAA断面図に相当する。原材料木材は、例えば、厚さ約10mmで、幅が約100mmで、長さが約4000mmであるような場合、図10及び11に示すようにカート上に固定される。即ち、各板材60は、カートの奥行き方向に延びて、間に直交する桟木62を挟み、鉄板64と底板57との間にそれぞれ9段重ねられる。鉄板64は、2列隣合わせとなる9段の板材60を1組として、底板57との間に挟みこみ、ねじ68、留め金66、及びナット70によって締め付けられ、固定される。この締め付けは、バー69によって行われる。桟木62は、上面図でも分かるように、2列に渡って差し込まれ、板材60間に適度な間隔を保つ。本実施例においては、カートの幅方向に板材60が8列、若しくは、2列1組の締め付けセットが4組配置される。このような板材60の固定により、乾燥中に板材60が歪んだり、曲がったりすることを防止することができる。ここで用いる桟木62は、側面視で上に頂部を持つ二等辺三角形形状をしている。
【0063】
図12は、原料木材56がカートに束ねられている別の実施例を正面図において図解する。この実施例では、板材60は、幅広であるため、2本の桟木62が1組となって、板材60の長手方向に延び(即ちほぼ平行に延び)、やはり、2列1組で、鉄板64と底板57との間に、ねじ68、留め金66、及びナット70によって締め付けられている。この実施例では、カートの幅方向に板材60が4列、若しくは、2列1組の締め付けセットが2組配置される。桟木62は、上述するように、三角柱形状をしており、断面等では上に頂部を持つ二等辺三角形形状を呈する。
【0064】
図13は、赤外線を放出するヒーター58について詳しく図解する。壁52は、板厚保方向にグラスウール等の断熱材80を含み、内側面に、円筒形のヒーター82を配置する。これは、ほぼ水平に側壁の内側に沿って延びる円筒形のヒーター82(第1の熱源)であり、例えば、電熱式のヒーターや、熱媒体を通す伝熱パイプである。各円筒形のヒーター82には、その内側に垂直に立った放熱板84(第2の熱源)がつなぎ部材を介して密着しており、第1の熱源である円筒形のヒーター82からの熱を吸収する。各放熱板84は、並んで配置され、間に所定の隙間を開けながら、熱を放出する壁を実質的に形成する。この放熱板84は、例えば、熱伝導性に優れるアルミニウムによって形成されてよく、また、放熱板84の表面は、耐食性の向上と、熱放出の効率性のために、アルマイト処理が行われてよい。この放熱板84の上に、所定のセラミック86(第3の熱源)が貼り付けられ、赤外線を放出する。熱は一般に温度の高いものから低いものへと流れるため、第1、第2、第3の熱源の順に温度が高くなる。セラミック86から放射される赤外線は、木材56の雰囲気を暖めるだけでなく、木材56を放射エネルギーにより直接加熱する。赤外線が放射されるので、木材56の深部にまで伝熱される。
【0065】
これまで、木材の乾燥においては、もっぱら水分の残留量や、乾燥に伴う木材の歪み、曲り、割れ等が課題とされてきた。しかしながら、生木の中には、意外にもシックハウスの原因となり得る揮発性の有機化合物(VOC)が含まれており、これを除くことが、新たな課題であることを本発明者らは見出した。このような有機化合物の例としては、厚生労働省が室内指針値を挙げている13物質がある。これらの物質の内特に、ホルムアルデヒド等は、法律による義務や罰則が規定されている。これらの13物質を、それぞれの室内指針値と共に以下の表1にまとめる。
【0066】
【表1】


【0067】
これらの指針値は、建材として住宅に用いられた場合の室内におけるデータであるので、指針値自体は、比較の対象とすることは難しい。そこで、市販されている秋田杉(乾燥処理されたもの)と、本発明の実施例の処理装置で処理した杉材を、同様に分析し、VOCを定量した。具体的な測定方法を以下に述べる。
【0068】
対象となる木材を20リットルのチャンバー内に、ホルダー内に保持して入れた。このチャンバー内の温度及び湿度をコントロールし、24時間後に測定分析を行った。このときの測定対象化合物は、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドであり、抽出後、高速液体クロマトグラフにより分離・分析を行った。用いたカラムは、Wakosil DNPH4.6φ×250mmで、カラム温度を40℃とし、10μlの試料を注入し、移動相組成にはエタノールと水の混合物を用い、流量は1ml/minであった。測定対象物を検出する波長は、360nmであった。また、その他の化合物(ベンゼン、トルエン、メチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、p−ジクロロベンゼン、酢酸ブチル、酢酸エチル、αーピレン、リモネン)については、抽出後、ガスクロマトグラフ質量分析計により分離・分析を行った。用いたカラムは、Supelcowax10 (長さ60m、内径0.32mm、膜厚0.5μm)であった。カラム温度は、50℃(10分)→(5℃/分)→150℃(10分)→220℃(8分)とした。注入モードは、パストスプリットレスであり、注入量は1μlであり、注入口温度は、220℃であった。インターフェース温度は、250℃であった。検出器は質量分析器であり、検出モードはSIMで、イオン化電圧は、1.7kVであった。
【0069】
以下の表2及び表3にそれぞれ本発明の実施例の装置及び方法を用いて処理した杉材の測定結果と、市販の処理材である秋田杉の測定結果をまとめる。
【0070】
【表2】


【0071】
【表3】


【0072】
これらの表から、本発明の実施例の装置及び方法を用いて処理した杉材のVOCの量は、市販の秋田杉よりも少なく、本発明のVOC除去若しくは低減効果が顕著であることが分かる。
【0073】
次に、本発明の実施例の装置及び方法を用いて処理したパーティクルボードのVOC量を処理前もののVOC量と対比して表4にまとめる。
【0074】
【表4】


【0075】
この表から明らかなように、パーティクルボードのような、生木ではなく、木材を加工した建材にたいしても、同様に、本発明の実施例の装置及び方法を用いた処理が、効果的にVOCを低減していることが分かる。
【0076】
次に、図5の装置を用いて、木材を用いた家具を処理したときの、処理室の温度等の測定データを、発生するVOC濃度と対比させながら、所定時間測定し記録した。その結果を表5にまとめる。この表の左側コラムは、測定時刻を記し、右へと順に、外部気温(℃)、外部湿度(相対湿度%)、外部VOC濃度(ppm)、炉内(処理室内)温度(℃)、炉内(処理室内)湿度(相対湿度%)、排気VOC濃度(ppm)、そして、備考を記す。備考欄には、本実験の操作が簡単に記載されている。
【0077】
【表5】


【0078】
この表において、処理室内の温度は、22℃から約50℃(詳細には52℃)の範囲にコントロールされ、湿度は、最初80%以上と高いが、その後、20%以下に低下させられている。このように、比較的低温で処理することができるので、木材を用いた家具への負担は、比較的軽くなると期待される。
【0079】
この表のVOC濃度(PPM)を縦軸に、横軸(Hr)には時間を取ってプロットしたのが、図14のグラフである。図中、水平な太い実線は、厚生労働省による指針値である。このグラフから分かるように、約20時間ほどで、排気されるVOC濃度は室内指針値を下回り、本発明の実施例の装置及び方法により効果的に、かつ、短時間でVOC除去若しくは低減処理を施すことができることが分かる。ここでのVOC濃度は、雰囲気の総揮発性物質(トータルVOC又は、ホルムアルデヒド)を測定するVOCセンサーの測定値である。
表5の備考欄のコメントとグラフの吹き出しの意味は、下記のとおりである。
【0080】
[凡例]
・ヒーターON 加熱ON
・ヒーターOFF 加熱OFF
・バキュームON 換気ON
・バキュームOFF 換気OFF
・〜後計測 切り替え直後(20秒以内)のVOC濃度の測定
【0081】
[グラフの吹き出し]
・バキュームヒーターOFF 9時間 :換気OFF状態で計測の中断の時間を示す。
・ヒーターON 16時間 :加熱ON状態で計測の中断の時間を示す。
【0082】
以上の実施例を踏まえ、図15に本発明(又は本実施例)の効果を従来方式と対比してまとめる。従来方式では、電気炉乾燥、高周波乾燥、蒸気乾燥、薫煙乾燥等が用いられてきており、より詳細に比較するために、特に高周波乾燥を取り上げる。一方、本発明の実施例では、トータルVOC低減処理システム機能を備え、一次加工の乾燥工程とトータルVOC低減処理とを同時に行うことができる。これは、例えば、ナノバブル水による加湿制御、セラミック加熱ヒーターによる赤外線加熱、換気及び換気ガスからのVOC吸着、これらを統合的に制御する方法を用いており、極めて高い制御効率を達成することができた。尚、ここで、ナノバブル水の使用がなくても、セラミックを用いた赤外線加熱を用いることにより実用に耐えうる効果が得られることを明記しておく。
【0083】
高周波乾燥炉を用いて、杉の角材を乾燥した場合、消費電力は約411kwhかかり、乾燥時間は96時間かかるとされている。一方、本実施例では、杉板材を角材相当に変換して消費電力を見積もると、15kwhで、処理時間は48時間と、省エネ、時間短縮の効果が明確に現れている。これを更に年間の消費電力量で比べれば、莫大な差があり、本発明の大きな効果がより明らかとなる。
【0084】
但し、加熱は実験結果から4時間運転の場合、1時間加熱すれば、その後3時間程度の温度保持できる程度の機密性と温度保持が可能であるとの前提で、0.25制御効率とした。また(1)比較木材の厚さ等を考慮して乾燥時間の比較概算、(2)炉の管理温度範囲の比較及び(3)赤外線効果とバブル水による浸透能力の違いによる効率比の3つの合計効率(エネルギー消費換算係数)を15倍として概算したものである。
【0085】
図16に本発明の実施例のVOC等低減システム700を概念的に表すブロック図を示す。VOC等低減システム700は、ハード的には、揮発性物質の吸収・吸着手段704と、排気・浄化手段706と、収納手段708と、赤外線加熱手段710と、加湿手段712と、気流生成手段714とを備える。制御手段702は、収納手段708内に、原材料の例えば木材を設置する設置工程720を制御する。また、赤外線加熱手段710を制御し、温度制御工程722をコントロールし、更に、加湿手段712を制御して湿度制御工程724をコントロールすることができる。また、気流生成手段714を制御して、気流制御工程726をコントロールする。また、これらの手段を制御することにより、揮発性物質の吸収・吸着工程をコントロールし、更に、排気・浄化工程をコントロールする。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】木材の乾燥システムの概略模式図である。
【図2】ローカルの処理システム全体の機能図である。
【図3】木材乾燥工程を示すフローチャートである。
【図4】図1の乾燥処理ユニットの別の実施例を模式的に示す図である。
【図5】本発明のまた別の実施例である木材の乾燥システムを示す概略模式図である。
【図6】移動式VOC低減装置を模式的に示す図である。
【図7】本発明の別の実施例における処理室を模式的に示す図である。
【図8】浄化ユニットの一例を模式的に示す図である。
【図9】図7の実施例と同様、側壁52の内側に沿ってヒーターを配置したものを模式的に示す図である。
【図10】木材がカートに束ねられて配置される様子を示す図である。
【図11】カートの上面から見た上面図である。
【図12】木材がカートに束ねられている別の実施例の正面図である。
【図13】赤外線を放出するヒーターに説明する図である。
【図14】VOC濃度を縦軸に、時間を横軸に取ってプロットした計測データのグラフである。
【図15】本発明の効果を従来方式と対比してまとめる図である。
【図16】本発明の実施例のシステムを概念的に表すブロック図である。
【符号の説明】
【0087】
1 制御・監視部
2 コントロールパラメータ設定手段
3 コントロールパラメータ記憶手段
4 モニター結果編集手段
5 モニター結果表示手段
6 モニターパラメータ測定手段
7 コントロールパラメータ計算手段
8 コントロールパラメータ調整手段
10 乾燥処理ユニット
12、52 壁
14 コントローラ
18、218 加湿ユニット
20a、120a 給気ファン
20b、120b 送風ファン
22、222 換気ユニット
24、124、224 浄化ユニット
26、56、126、136、226 木材
28、82 ヒーター
30 セラミック部材
52a、110 処理室
57 底板
58a、128 赤外線ヒーター
60 板材
60a、60b、60c、60d 噴霧ノズル
61、61a、61b、61c、61d 配水管
62 桟木
64 鉄板
66 留め金
70 ナット
84 放熱板
86 セラミック
100 乾燥システム
111 センサー
118 加湿処理ユニット
120b、120c ダンパー
121f 換気(吸着)機能
122a 排気用ファン
124f 浄化機能
128f 加熱機能
130 ナノバブル槽
131f 加水機能
132 センサー
134 ナノバブル水
138 ナノバブル処理ユニット
144 コンピュータ
144f コントローラ
145f 監視機能
150 通信ネットワーク
160 遠隔統合監視装置
200 移動式VOC低減装置
214 コントローラ
228 ヒーター
230 セラミック部材
412 高圧ポンプ
414 イオン化処理部
422a、422b、424 パイプ
423a、423b 管
428 高圧インジェクタ
500 ナノバブル水
501 ナノバブル槽
P オペレータ
【出願人】 【識別番号】505350651
【氏名又は名称】株式会社オプトクリエーション
【出願日】 平成18年10月26日(2006.10.26)
【代理人】 【識別番号】100111707
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 俊彦


【公開番号】 特開2008−105327(P2008−105327A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−291850(P2006−291850)