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【発明の名称】 コルク製品及びその製造方法
【発明者】 【氏名】八代 勝治

【要約】 【課題】優れた消臭効果を発揮することのできるコルク製品及びその製造方法を提供する。

【解決手段】コルク製品を構成するコルク基材11の表面には、二酸化チタンからなる光触媒粒子12が付着されている。コルク製品の製造方法は、二酸化チタンからなる光触媒粒子12が分散した水系分散液をコルク基材11に接触させることにより、その光触媒粒子12をコルク基材11に付着させる付着工程を含む。その付着工程に供する水系分散液には、ノニオン性界面活性剤が配合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルク基材の外面に二酸化チタンからなる光触媒粒子を付着させてなることを特徴とするコルク製品。
【請求項2】
前記コルク基材はシート状をなし、そのコルク基材の少なくとも片面に前記光触媒粒子が付着され、該光触媒粒子が付着している片面を上面として床に敷いて使用されることを特徴とする請求項1に記載のコルク製品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコルク製品の製造方法であって、前記光触媒粒子が分散した水系分散液を、前記コルク基材に接触させることにより、前記光触媒粒子を前記コルク基材に付着させる付着工程を含み、前記水系分散液にノニオン性界面活性剤を配合することを特徴とするコルク製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭効果を発揮するコルク製品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブナ科の樫の木(コルクガシ)の樹皮を原料とするコルクは、例えば弾力性、断熱性、遮音性、防火性等に優れることから、様々な用途に使用されている。コルクは、このような特徴に加えて、独特の風合いを有することから、例えば壁材、床材、玩具等のコルク製品としての利用価値が高い。また、コルクガシの樹皮は、数年経過すると再生するため、コルクは森林保護の観点からも優れた材料である。こうしたコルクを基材としたコルク製品としては、コルク基材の表面に樹脂シートを設けたコルク床材が挙げられる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−324400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コルク製品は、自然な風合いを有していることから、自然に近い快適な室内環境を提供することができる。ところで、ペットを飼育している家庭では、ペットの臭いが気になる場合がある。また、小さな子供が暮らす家庭では、子供の食べこぼし等による臭いが気になる場合がある。こうした臭いが生じると、清浄感が低下するため、快適な生活環境が得られ難くなる。
【0004】
本発明は、コルク製品は臭いの発生する環境の下で使用されるとともに、コルクの外面には樹皮の細胞等に基づく微細な凹凸が多数存在することに着目し、そうしたコルクを利用することで、優れた消臭効果が発揮されることを見出すことによりなされたものである。本発明の目的は、優れた消臭効果を発揮することのできるコルク製品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、コルク基材の外面に二酸化チタンからなる光触媒粒子を付着させてなることを要旨とする。
上記構成によれば、光触媒粒子に光が照射されると、その光触媒機能によって、臭いの元となる有機物が酸化分解される。そしてコルク基材の外面には、樹皮の細胞等に基づく微細な凹凸が多数存在するため、臭いの元となる有機物との接触面積が十分に確保され易い。また、コルク基材は、光触媒粒子の光触媒機能を阻害することなく、光触媒粒子の付着力も十分に得られる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコルク製品において、前記コルク基材はシート状をなし、そのコルク基材の少なくとも片面に前記光触媒粒子が付着され、該光触媒粒子が付着している片面を上面として床に敷いて使用されることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、有機物が付着することで臭いの発生源になり易い床において、有機物を効率的に酸化分解することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のコルク製品の製造方法であって、前記光触媒粒子が分散した水系分散液を、前記コルク基材に接触させることにより、前記光触媒粒子を前記コルク基材に付着させる付着工程を含み、前記水系分散液にノニオン性界面活性剤を配合することを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、コルク基材にはノニオン性界面活性剤の浸透作用によって水系分散媒が容易に浸透される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、消臭効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を床用のコルクマットに具体化した一実施形態について図1に基づいて詳細に説明する。
図1に示すようにコルクマットは、シート状のコルク基材11の片面である表面に光触媒粒子12が付着されたものである。コルク基材11は、弾力性、断熱性、遮音性、防火性等に優れる素材であって、床材として好適である。このコルク基材11は、コルクガシの樹皮の粉砕物を樹脂バインダーで接合するとともにシート状に成形したものである。こうしたコルク基材11の表面には、樹皮の細胞や粉砕物の接合に基づく微細な凹凸が多数存在するため、光触媒粒子12の担体として好適である。すなわち、コルク基材11は微細な凹凸により表面積が広く、臭い成分との接触面積が十分に確保され易い。このようなコルク基材11の表面に光触媒粒子12を付着させることにより、光触媒としての機能を十分に発揮させることができる。なお、図1は、光触媒粒子12の大きさ等について誇張するとともに模式的に示した断面図であり、本実施形態のコルク基材11は厚さ2mmの平面四角形状に形成されている。
【0011】
光触媒粒子12は、酸化チタン(TiO)から構成されている。酸化チタンは、ルチル(rutile)型、アナタース(anatase、ドイツ語では「アナターゼ」という)型等、結晶構造に応じて分類されている。酸化チタンに光が照射されると、空気中の酸素、水分等と反応して、酸化チタンの表面には活性酸素、OHラジカル等が生成する。こうした活性酸素等が、悪臭物質を酸化分解することで、消臭効果を発揮する。酸化チタンの中でも、光触媒としての機能に優れることから、アナタース型の酸化チタンが好適である。また、酸化チタンは、通常、紫外光に対して光触媒機能を発揮する。こうした酸化チタン以外に、例えば微量の不純物を加える等して、可視光に対して光触媒機能を発揮するようにした酸化チタンから光触媒粒子12を構成してもよい。こうした光触媒粒子12は超微粒子であって、その平均粒径は、例えば数ナノメートルから数十ナノメートルの範囲が好適である。本実施形態の光触媒粒子12は、粒径2nm以下の超微粒子である。
【0012】
コルク基材11に対する光触媒粒子12の付着量は、例えば1〜10mg/mが好適である。この付着量が1mg/m未満の場合、光触媒の機能が十分に発揮されないおそれがある。一方、10mg/mを超えて付着させても光触媒の機能が高まり難く、不経済となる。
【0013】
本実施形態のコルク基材11の裏面には、緩衝材として合成樹脂発泡体13が積層されている。この合成樹脂発泡体13は、コルク基材11と同形状の外形を有するシート状をなしている。合成樹脂発泡体13を構成する合成樹脂としては、ポリオレフィン系合成樹脂、ポリ乳酸等の生分解性合成樹脂、ポリウレタン系合成樹脂等が挙げられる。本実施形態の合成樹脂発泡体13は、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)から形成されている。EVAは、ハロゲン元素を含まないため、燃焼時におけるダイオキシン類の発生を防止することが容易である。よって、EVA発泡体を緩衝材に用いることにより、環境適性に優れたコルクマットが提供される。なお、コルク基材11に対する合成樹脂発泡体13の積層は、接着剤を用いた接着、合成樹脂の熱融着等を利用することができる。
【0014】
次に、コルクマットの製造方法について説明する。本実施形態のコルクマットの製造方法は、光触媒粒子12が分散した水系分散液を、コルク基材11に接触させることにより、光触媒粒子12をコルク基材11に付着させる付着工程を含む。分散液には、コルク基材11に対する水系分散液の浸透性を高めるためのノニオン性界面活性剤が配合されている。
【0015】
水系分散液の分散媒は、水、及び水とアルコールとの混合液が挙げられる。分散媒の中でも、取り扱いが容易であるとともに、コルク基材11に対して悪影響を与え難いという観点から水が好ましい。水としては、蒸留水、イオン交換水、逆浸透水等が挙げられる。こうした水の中でも、光触媒粒子12の凝集の要因となる不純物の含有量が極めて少ないことから、逆浸透水を用いることが最も好ましい。逆浸透水は、高沸点及び低沸点のいずれの不純物も除去されているため、光触媒粒子12の分散安定性を高めることができる。
【0016】
水系分散液中の光触媒粒子12の濃度は、光触媒粒子12の分散性を確保するとともに光触媒粒子12を効率的に付着させるという観点から、0.1〜10質量%程度であることが好ましい。
【0017】
ノニオン性界面活性剤は、分散媒をコルク基材11に浸透させるために配合される。ここで、コルクの成分は、スベリン、リグニン、セルロース、タンニン等であり、こうした成分のうち、スベリンはコルク基材11の撥水性に寄与している。ノニオン性界面活性剤は、撥水性を有するコルク基材11に対して、分散媒を浸透させる浸透剤として作用する結果、光触媒粒子12はコルク基材11の表面に効率的に付着される。特に、逆浸透水を分散媒とした水系分散液にノニオン性界面活性剤を配合した場合、光触媒粒子12の凝集は逆浸透水によって抑制されるとともに、分散媒はノニオン性界面活性剤によってコルク基材11に速やかに浸透される。その結果、光触媒粒子12が均一に分散した状態で付着したコルクマットを得ることができる。
【0018】
ノニオン性界面活性剤としては、コルクの浸透剤としての機能に優れるという観点から、エーテル型のノニオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが最も好ましい。ノニオン性界面活性剤の配合量は、水系分散液中において好ましくは0.1〜1質量%、より好ましくは0.2〜0.8質量%である。ノニオン性界面活性剤の配合量が0.1質量%未満であると、コルク基材11に対する浸透性が十分に得られないおそれがある。一方、1質量%を超えて配合しても浸透力が向上し難いため、不経済となる。また、1質量%を超えて配合した場合、光触媒粒子12に付着したノニオン性界面活性剤が光触媒粒子12の酸化力によって分解されるまでに時間を要することになり、その結果、上述した光触媒粒子12の消臭効果が十分に発揮されるまでに時間を要するおそれがある。
【0019】
水系分散液には、その他の成分として安定剤、酸化防止剤等を含有させることもできる。
水系分散液をコルク基材11に接触させる方法としては、散布、浸漬、塗布等が挙げられる。これらの方法の中でも、光触媒粒子12をより均一に付着させるとともに、付着量を調整することが容易であるという観点から、水系分散液を散布する方法が好適である。水系分散液の散布には、エアスプレー等のスプレーを使用することが好適である。
【0020】
付着工程の後には、分散媒を乾燥させる乾燥工程が実施される。この乾燥工程ではコルク基材11を常温で放置してもよいし、コルク基材11の表面を加熱してもよい。
なお、コルク基材11にEVA発泡体を接着した後に付着工程を実施してもよいし、付着工程及び乾燥工程を実施した後に、EVA発泡体を接着してもよい。
【0021】
本実施形態のコルクマットは、光触媒粒子12が付着した表面を上面として、床に敷いて使用される。床としては、例えば居間、台所、廊下、トイレ、脱衣所等の床が挙げられる。このコルクマットに光が照射されると、光触媒粒子12の光触媒機能によって、臭いの元となる有機物が分解される。この結果、コルクマットは優れた消臭機能を発揮する。臭いの元となる有機物としては、例えばアンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、イソ吉草酸、酢酸等が挙げられる。また、コルクマットの光触媒粒子12は、コルク基材11の有する特性(弾力性、断熱性、遮音性、防火性等)を阻害するものではなく、コルク基材11の表面自体の風合いについても、変化を与えることはない。このように本実施形態のコルクマットによれば、コルクの特性を発揮させることができるとともに消臭効果も得られるため、快適な環境が提供される。
【0022】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)コルク基材11の表面には、酸化チタンからなる光触媒粒子12が付着されている。コルク基材11の表面には、樹皮の細胞等に基づく微細な凹凸が多数存在するため、上述した光触媒粒子12の担体として好適である。すなわち、コルク基材11は、光触媒粒子12の光触媒機能を阻害せず、光触媒粒子12の付着力も十分に得られる。そして光触媒粒子12に光が照射されると、その光触媒機能によって、光触媒粒子12の周囲に存在する臭いの元となる有機物が酸化分解される。このため、本実施形態のコルクマットは、優れた消臭効果を発揮することができる。従って、こうしたコルクマットを使用することで、快適な室内環境を得ることができる。特に、ペットを飼育している家庭、小さな子供が暮らす家庭においては、臭いが気になることが多いため、そうした家庭におけるコルクマットの使用は最適である。
【0023】
(2)コルクマットは、床に敷いて使用されるため、有機物が付着することで臭いの発生源になり易い床において、有機物を効率的に酸化分解することができる。従って、コルクマットの消臭効果を効率的に発揮させることができる。
【0024】
(3)また、コルクマットには、合成樹脂発泡体13が積層されているため、緩衝性が高められる結果、階下への騒音が気になるマンションにおける使用に最適である。
(4)コルクマットの製造方法では、分散液にノニオン性界面活性剤を配合している。こうしたノニオン性界面活性剤は、コルク基材11へ分散液を浸透させる浸透剤として作用する。このため、コルク基材11に対して、光触媒粒子12を均一に分散した状態で、付着させることが容易である。
【0025】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・ コルクマットの平面形状は、四角形状の他に、三角形状、六角形状等に変更してもよい。
【0026】
・ 前記光触媒粒子12はコルク基材11の表面全体にわたって付着されていてもよいし、コルク基材11の表面の一部に付着されていてもよい。コルク基材11の表面全体にわたって光触媒粒子12を付着させることで、消臭効果をより効率的に発揮させることができる。
【0027】
・ 前記コルク基材11の裏面には、合成樹脂発泡体13が積層されているが、この合成樹脂発泡体13を積層せずにコルクマットを構成してもよい。この場合、コルク基材11の裏面に光触媒粒子12を付着させてもよい。このように構成すると、表面に付着した光触媒粒子12の性能が長期の使用によって低下した際に、コルクマットを裏返して使用することにより、再び優れた消臭効果を発揮させることができる。
【0028】
・ 前記コルク基材11以外のコルク基材に光触媒粒子12を付着させることで、床用のコルクマット以外のコルク製品に応用することもできる。床用のコルクマット以外のコルク製品としては、ランチョンマット、テーブルマット、壁材等が挙げられる。また、コルク積み木等のコルク玩具に適用することもできる。こうしたコルク製品であっても、優れた消臭効果を発揮させることができる。なお、コルク積み木に適用する場合には、ブロック状をなすコルク基材の外面の少なくとも一部に光触媒粒子12を付着させてもよいし、外面全体に付着させてもよい。
【実施例】
【0029】
次に、実施例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
粒径2nm以下の酸化チタン超微粒子を逆浸透水に分散した分散液(サンテクノ有限会社製、商品名「UV−Ti」、酸化チタン含有量1質量%)に対して、ノニオン性界面活性剤を配合した。まず、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(サンテクノ有限会社製、商品名「WN」)を逆浸透水に溶解した0.4質量%の溶液を調製した。その溶液80mLを、上記分散液1Lに対して配合した後、全量が20Lになるまで逆浸透水を加えて攪拌することにより、付着工程用の水系分散液を調製した。付着工程では、コンプレッサに接続されたハンドガンを用いて、付着工程用の水系分散液を厚さ2mmのコルク基材に、1m当たり10ccの割合でスプレーした。次いで、乾燥するまで放置することでコルクシートを作製した。得られたコルクシートについて、以下の消臭試験を実施した。
【0030】
<消臭試験>
コルクシートを10cm×10cmに裁断したものを試験片として、テドラーバッグ(容量5L)に入れ、そのテドラーバッグに試験用のガス3Lを注入した。そのテドラーバッグ内の試料表面に紫外線を照射した。なお、試験室の室温は20℃、紫外線強度は1mW/mである。紫外線照射開始から2時間後及び24時間後におけるテドラーバッグ内のガス濃度を測定した。このガス濃度測定を、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、硫化水素、及びメチルメルカプタンについて行った。なお、ガス濃度の測定は、イソ吉草酸はガスクロマトグラフィー法を用いるとともに、イソ吉草酸以外のガスは検知管法を用いた。この消臭試験の結果を図2及び図3に示している。図2及び図3の結果から明らかなように、いずれのガスについても24時間後には約90%減少している。この結果から、コルクシートは優れた消臭効果を発揮することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態のコルクマットを模式的に示す断面図。
【図2】アンモニア及び酢酸の消臭試験について、経過時間と減少率との関係を示すグラフ。
【図3】イソ吉草酸、硫化水素、及びメチルメルカプタンの消臭試験について、経過時間と減少率との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0032】
11…コルク基材、12…光触媒粒子。
【出願人】 【識別番号】501079200
【氏名又は名称】テラオ株式会社
【識別番号】591267659
【氏名又は名称】リンエイ株式会社
【出願日】 平成18年10月19日(2006.10.19)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣

【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠


【公開番号】 特開2008−100437(P2008−100437A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−285180(P2006−285180)