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【発明の名称】 化粧板の製造方法
【発明者】 【氏名】大山 靖

【氏名】秋山 明功

【氏名】寺田 泰人

【氏名】伊東 達哉

【要約】 【課題】優れた意匠性および強度を有するとともに、生産性のよい化粧板を製造する。

【構成】天然木質材2の早材部5の表面2aをブラッシング処理により除去することで、0.1mm以上0.4mm以下の深さの凹部7を有する浮造り加工を施す。天然木質材2の表面2a全体にブラスト処理をする。活性エネルギー線硬化特性および湿気硬化特性を兼ね備えた含浸樹脂8を表面に塗布する。活性エネルギー線硬化特性および湿気硬化特性を兼ね備えた着色充填樹脂9を表面2aに塗布し、少なくとも凹部7内に充填させる。活性エネルギー線10を照射する。少なくとも凹部7内に着色充填樹脂9が残るように天然木質材2の表面2a側を均一に研削する。最後に、天然木質材2の表面2a側に透明性樹脂塗膜11を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表面が天然木質材からなる化粧板の製造方法であって、
上記天然木質材を構成する早材部と晩材部のうち早材部の表面をブラッシング処理により除去することで、0.1mm以上でかつ0.4mm以下の深さの凹部を有する浮造り加工を施す浮造り加工工程と、
上記浮造り加工された天然木質材の表面全体をブラスト処理によりブラスト処理をするブラスト処理工程と、
上記ブラスト処理された天然木質材の表面全体に、活性エネルギー線硬化特性および湿気硬化特性を兼ね備えた含浸樹脂を塗布する含浸樹脂塗布工程と、
上記含浸樹脂が塗布された天然木質材の表面側に、活性エネルギー線硬化特性および湿気硬化特性を兼ね備えた着色充填樹脂を少なくとも上記凹部内に充填されるように塗布する着色充填樹脂塗布工程と、
上記含浸樹脂および着色充填樹脂を硬化させるために上記天然木質材の表面側に活性エネルギー線を照射する照射硬化工程と、
少なくとも上記凹部内に上記着色充填樹脂が残るように上記天然木質材の表面側を均一に研削する研削工程と、
上記研削後の天然木質材の表面側に透明性樹脂塗料を塗布し硬化させて、透明性樹脂塗膜を形成する樹脂塗膜形成工程と、
を含む化粧板の製造方法。
【請求項2】
請求項1の化粧板の製造方法において、
上記ブラスト処理工程におけるブラスト処理に使用されるブラスト用研磨材は、粒径が90μm以上でかつ150μm以下となるようにふるい法により調整されたものである化粧材の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2の化粧板の製造方法において、
上記含浸樹脂塗布工程における上記含浸樹脂は、ビスアシルフォスフィンオキサイドを0.1質量%以上でかつ1.5質量%以下含むか、またはモノアシルフォスフィンオキサイドを0.5質量%以上でかつ5.0質量%以下含むものであり、
上記照射硬化工程における上記活性エネルギー線は、350nm以上でかつ400nm以下の領域に波長のピークを持つ紫外線である化粧板の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つの化粧板の製造方法において、
上記含浸樹脂塗布工程と上記着色充填樹脂塗布工程との間に、上記含浸樹脂を硬化させるために活性エネルギー線を照射する含浸樹脂硬化工程をさらに含む化粧板の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つの化粧板の製造方法において、
上記着色充填樹脂塗布工程では、上記上記天然木質材の表面に上記凹部以外の部分をも覆うように上記着色充填樹脂を塗布し、
上記研削工程では、上記天然木質材の表面側全体に上記着色充填樹脂が残るように研削する化粧板の製造方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1つの化粧板の製造方法において、
上記研削工程では、上記天然木質材の表面の上記晩材部まで研削する化粧板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、意匠性に優れた化粧板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、化粧板として、いわゆるWPCと称される製造方法により製造される化粧板が知られている。WPCにより製造された化粧板は、優れた意匠性を有するとともに、強度に優れることから、高級化粧材として普及している。WPCは、乾燥させた天然木質材に樹脂を含浸させて硬化させた後、合板や、木質繊維板等の基板に接着し、次いで、合成樹脂塗料等により表面塗装することにより、化粧板を得る方法である。WPCでは、天然木質材への樹脂の含浸ムラをなくすために、減圧と加圧とを繰り返して天然木質材に樹脂を注入する。一般的には、着色された樹脂が使用されて、天然木質材の空隙部に充填される。このとき、天然木質材を構成する早材部と晩材部とのうち、密度の低い早材部には、多くの樹脂が含浸し、密度の高い晩材部には、空隙が少ないため、あまり樹脂が含浸されない。このため、本来は色の薄い早材部に、着色充填樹脂が多く含浸されるので、早材部と晩材部との色の濃淡が反転するという特徴がある。
【0003】
一方、上記WPCによる製造方法では、樹脂の注入は、一般的にバッチ式で行われるため、製造に手間と時間とがかかり、生産性が悪いという問題があった。
【0004】
そこで、この問題を改善するために、例えば、特許文献1〜特許文献3に示されるように、生産性よく、WPCにより製造された場合と同等の意匠性および強度を有する化粧板を得る方法が提案されている。
【0005】
特許文献1の製造方法は、表面の早材部に凹部を形成する、いわゆる浮造り加工を、ブラッシングにより施し、この表面に着色剤を塗布してこれを乾燥させた後、シーラー剤を塗布し、さらに樹脂を塗布した後に塗装仕上げを行う方法である。
【0006】
また、特許文献2の製造方法は、ブラッシングにより天然木質材の表面に浮造り加工を施した後、早材部に樹脂を浸透させ、次に、晩材部の表面をサンディングし、最後に仕上げ塗装を施す方法である。
【0007】
また、特許文献3の製造方法は、ホースのノズルからサンドブラスト用の細かい硬質粒子を噴出させ、天然木質材の表面にこの粒子を衝突させることで、浮造り加工を施す方法である。
【特許文献1】特公昭58−84709号公報
【特許文献2】特開平5−77210号公報
【特許文献3】特開昭53−69803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1の方法では、天然木質材に樹脂が含浸しないよう、浮造り加工後の表面にシーラー剤を塗布した後、樹脂を充填している。このため、この化粧板を長期にわたり使用すると、凹部の樹脂がシーラー層において層間剥離してしまうという問題がある。
【0009】
また、上記特許文献2の方法によると、晩材部には樹脂がほとんど含浸しておらず、ブラッシング処理を施しただけで、早材部に樹脂を塗布しているので、樹脂の含浸ムラによる化粧板表面の化粧ムラが生じてしまうとともに、ブラッシングによりケバが生じ、化粧板の意匠性が劣ってしまうという問題がある。
【0010】
また、上記特許文献3の方法は、サンドブラストにより浮造り加工を施すと、時間がかかり非常に効率が悪いという問題がある。また、時間を早めるために、ノズルからの粒子の噴出速度を上げたり、大きくて硬い粒子を使用したりすると、晩材部まで研削されてしまい、効果的に浮造り加工を施すことができないという問題がある。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、化粧板の製造方法に工夫を加えることにより、WPCにより製造された場合と同等の意匠性および強度を有するとともに、生産性のよい化粧板を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の本発明に係る化粧板の製造方法は、少なくとも表面が天然木質材からなる化粧板の製造方法であって、上記天然木質材を構成する早材部と晩材部のうち早材部の表面をブラッシング処理により除去することで、0.1mm以上でかつ0.4mm以下の深さの凹部を有する浮造り加工を施す浮造り加工工程と、上記浮造り加工された天然木質材の表面全体をブラスト処理によりブラスト処理するブラスト処理工程と、上記ブラスト処理された天然木質材の表面全体に、活性エネルギー線硬化特性および湿気硬化特性を兼ね備えた含浸樹脂を塗布する含浸樹脂塗布工程と、上記含浸樹脂が塗布された天然木質材の表面側に、活性エネルギー線硬化特性および湿気硬化特性を兼ね備えた着色充填樹脂を少なくとも上記凹部内に充填されるように塗布する着色充填樹脂塗布工程と、上記含浸樹脂および着色充填樹脂を硬化させるために上記天然木質材の表面側に活性エネルギー線を照射する照射硬化工程と、少なくとも上記凹部内に上記着色充填樹脂が残るように上記天然木質材の表面側を均一に研削する研削工程と、上記研削後の天然木質材の表面側に透明性樹脂塗料を塗布し硬化させて、透明性樹脂塗膜を形成する樹脂塗膜形成工程と、を含む。
【0013】
すなわち、浮造り加工工程では、早材部をブラッシング処理により0.1mm以上でかつ0.4mm以下の深さの凹部とする。早材部は、春から秋までの時期に成長する部分であり、成長が早いため、組織が粗であり柔らかい部分である。晩材部は、秋から冬までの時期に成長する部分であり、成長が遅いため、組織は緻密で硬い部分である。ブラッシング処理とは、回転する細いナイロンワイヤーや金属ワイヤー等で表面の早材部を掻き取る処理である。凹部の深さを0.1mm以上でかつ0.4mm以下の範囲で形成して、平均的な深さが、0.2mm以上でかつ0.3mm以下となるようにすることで、意匠性に優れた化粧板となる。
【0014】
そして、ブラスト処理工程では、天然木質材の表面全体を研削する。ブラスト処理とは、硬質で微細なブラスト用研磨材を天然木質材の表面に衝突させて、早材部および晩材部に微細な傷をつける処理である。
【0015】
そして、含浸樹脂塗布工程では、天然木質材の表面全体に、含浸樹脂を塗布して浸透させる。そのとき、上記ブラスト処理工程により、天然木質材の表面全体に微細な傷がつけられ、樹脂の含浸性が高くなっているので、含浸樹脂が浸透しやすい。
【0016】
そして、樹脂塗布工程では、上記含浸樹脂が浸透した天然木質材の表面のうち少なくとも凹部内に充填するように、着色充填樹脂を塗布する。
【0017】
次に、照射硬化工程では、含浸樹脂および着色充填樹脂を硬化させるために活性エネルギー線を照射する。含浸樹脂および着色充填樹脂は、ともに、活性エネルギー線硬化特性および湿気硬化特性を兼ね備えている。このため、0.3mm〜0.4mm程度の深さに形成された凹部内の底部に充填された樹脂が活性エネルギー線の照射により瞬時に硬化するだけでなく、凹部の深い部分に活性エネルギー線が届きにくい場合でも、湿気硬化により密着不良が抑制される。
【0018】
最後に、研削工程において、天然木質材の表面側を均一に研削し、樹脂塗膜形成工程において、透明性樹脂塗料を塗布して硬化させ、透明性樹脂塗膜を形成する。
【0019】
このように、ブラスト処理を施して、含浸性を高くした天然木質材の表面全体に含浸樹脂を塗布するので、天然木質材の内部にまで含浸樹脂を浸透させることができ、表面硬度に優れ、強度の高い化粧板となる。また、0.1mm以上でかつ0.4mm以下の深さに形成された凹部に着色充填樹脂を充填することで、意匠性に優れた化粧板となる。さらに、着色充填樹脂が活性エネルギー線硬化特性および湿気硬化特性を兼ね備えているため、着色充填樹脂の硬化が促進されることで、密着不良が抑制されるとともに、より表面硬度に優れた化粧板となる。そして、化粧板の製造が連続的になされるので、生産性がよい。
【0020】
第2の本発明に係る化粧板の製造方法は、上記ブラスト処理工程におけるブラスト処理に使用されるブラスト用研磨材は、粒径が90μm以上でかつ150μm以下となるようにふるい法により調整されたものである。
【0021】
上記の構成によると、ブラスト用研磨材の粒径を90μm以上でかつ150μm以下とすることにより、ブラスト処理によって天然木質材の表面に微細な傷をつけることができるとともに、その傷の大きさを含浸樹脂が浸透していきやすい大きさとすることができる。
【0022】
第3の本発明に係る化粧板の製造方法は、上記含浸樹脂塗布工程における上記含浸樹脂は、ビスアシルフォスフィンオキサイドを0.1質量%以上でかつ1.5質量%以下含むか、またはモノアシルフォスフィンオキサイドを0.5質量%以上でかつ5.0質量%以下含むものであり、上記照射硬化工程における上記活性エネルギー線は、350nm以上でかつ400nm以下の領域に波長のピークを持つ紫外線である。
【0023】
上記の構成によると、含浸樹脂に、光重合開始剤として、ビスアシルフォスフィンオキサイドまたはモノアシルフォスフィンオキサイドを添加している。ビスアシルフォスフィンオキサイドまたはモノアシルフォスフィンオキサイドは、紫外線に対する反応性に優れ、特に、紫外線の波長の400nm近辺に吸収極大を持つ。この光重合開始材が添加された含浸樹脂に、350nm以上でかつ400nm以下の領域に波長のピークを持つ紫外線を照射することで、硬化が促進され、含浸樹脂の天然木質材への密着性がより向上し、表面硬度に優れた化粧板となる。
【0024】
第4の本発明に係る化粧板の製造方法は、上記含浸樹脂塗布工程と上記着色充填樹脂塗布工程との間に、上記含浸樹脂を硬化させるために、活性エネルギー線を照射する含浸樹脂硬化工程をさらに含む。
【0025】
上記の構成によると、着色充填樹脂を塗布する前に、活性エネルギー線を照射して含浸樹脂の硬化を促進する。そして、充分に含浸樹脂が天然木質材へ密着した後、着色充填樹脂を塗布し、活性エネルギー線を再び照射することによって、着色充填樹脂を硬化させ、着色充填樹脂の天然木質材への密着性を向上させることができる。
【0026】
第5の本発明に係る化粧板の製造方法は、上記着色充填樹脂塗布工程では、上記天然木質材の表面に上記凹部以外の部分をも覆うように上記着色充填樹脂を塗布し、上記研削工程では、上記天然木質材の表面側全体に上記着色充填樹脂が残るように研削する。
【0027】
上記の構成によると、晩材部の上方を含めた天然木質材の表面側全体に着色充填樹脂を塗布し、この着色充填樹脂が全面に残るように研削する。このため、天然木質材の表面側全体が着色充填樹脂で覆われた化粧板が得られ、化粧板の仕上がりが自然なものとなる。
【0028】
第6の本発明に係る化粧板の製造方法は、上記研削工程では、上記天然木質材の表面の上記晩材部まで研削する。
【0029】
上記の構成によると、天然木質材の表面の晩材部を研削するので、早材部の凹部に着色充填樹脂が充填された部分が強調され、晩材部が露出する部分とのコントラストが明瞭になり、いわゆる目立ちのはっきりとした化粧板の仕上がりとなる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、優れた意匠性および強度を有するとともに、生産性のよい化粧板を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
[第1の実施形態]
【0032】
以下、本発明の第1の実施形態に係る化粧板の製造方法について、図1に基づいて詳細に説明する。
【0033】
(天然木質材)
化粧板1の表面材としての天然木質材2は、松、ツガ、ヒノキ等の針葉樹や、ナラ、タモ等の広葉樹を用いることができる。
【0034】
天然木質材2の断面は、図1(a)に示すように、早材部5と晩材部6とが交互にあって、木目を構成している。早材部5は、春から秋までの時期に成長する部分であり、成長が早いため、組織が粗で柔らかい部分である。晩材部6は、秋から春までの時期に成長する部分であり、成長が遅いため、組織は緻密で硬い部分である。
【0035】
化粧板1は、天然木質材2のみで構成してもよいし、天然木質材2を基板3に張り付けて構成してもよい。基板3は、合板、集成材、MDF、パーティクルボード等の木質ボード、石膏ボードまたは火山性ガラス質複層板等の無機ボード等、およびこれらを複合させたボードを用いる。
【0036】
(浮造り加工工程)
まず、図1(b)に示すように、天然木質材2の表面2aの早材部5を除去することで凹部7を形成する、いわゆる浮造り加工を施す。WPCにより製造した場合と同等の、優れた意匠性の化粧板1を得るためには、凹部7の深さは、0.2mm以上でかつ0.3mm以下程度が好ましい。しかし、天然木質材2には、均一な凹部7を形成することが困難である。したがって、凹部7の深さを0.1mm以上0.4mm以下の範囲で形成し、平均的な深さが、0.2mm以上0.3mm以下となるようにする。
【0037】
凹部7が0.5mm以上の深さに形成されると、その分だけ樹脂が必要であるにもかかわらず、凹部7の深さが0.4mm以下である場合と化粧板の外観に変わりがない。さらに、凹部7を0.5mm以上の深さに形成すると、樹脂を塗布したとき、凹部7の底部に充填された樹脂が硬化しにくくなり、樹脂の表面が皮膜状に硬化してしまう場合がある。このため、その後に天然木質材2の表面を研削したときに、着色充填樹脂9の一部が剥がれてしまう場合がある。また、前述の通り、圧力をかけずに多量の樹脂を熱硬化させると発泡の原因となり、意匠的に好ましくない。したがって、凹部7の深さは、0.1mm以上0.4mm以下であることが好ましい。
【0038】
凹部7の深さを0.1mm以上でかつ0.4mm以下とするため、天然木質材2の厚さは、0.3mm以上でかつ1.0mm以下程度が好ましい。
【0039】
凹部7の形成は、天然木質材2の表面2aにブラッシング処理を施して行う。ブラッシング処理は、回転する細い金属ワイヤー12等で表面2aの早材部5を掻き取る手法である。ゴムローラーを使用して早材部5を圧密して凹部7を形成する方法では、長期間化粧板を使用すると、湿気等により圧密部がスプリングバックを起こして膨れる場合がある。したがって、ブラッシング処理により凹部7を形成することが好ましい。
【0040】
(ブラスト処理工程)
次に、図1(c)に示すように、天然木質材2の表面2a全体にブラスト処理をする。ブラスト処理は、微細な粒子である硬質のブラスト用研磨材13を表面2aに衝突させて、早材部5および晩材部6の表面に微細な傷15をつける手法である。ブラスト用研磨材13としては、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ケイ素質等の無機質粒子、アルミナ質等の金属粒子、胡桃や桃の種を細かく砕いた硬質有機粒子、あるいはドライアイスを細かく粉砕したドライアイス粒子等が用いられる。
【0041】
このとき、ブラスト用研磨材13の粒径は、90μm以上でかつ150μm以下となるようにふるい法により調整されたものであることが好ましい。これにより、ブラスト処理によって天然木質材2の表面2aに微細な傷15をつけることができるとともに、後述する含浸樹脂8が浸透していきやすい傷15の大きさとすることができる。
【0042】
ふるい法では、3段〜5段程度でふるい分けを行う。1段目のふるいの目開きの径を約180μm、2段目のふるいの目開きの径を約150μm、最終段のふるい目の目開きの径を約90μmに設定する。このことで、90μm以上でかつ150μm以下の粒径のブラスト用研磨材13が全体の約70%以上含まれるように調整されている。これ以外には、研磨材が扁平形状や鋭角な形状であるものや、ふるいきれなかった、粒径が90μm以下の研磨材が含まれている。
【0043】
このように調整されたブラスト用研磨材13を上記浮造り加工された天然木質材2の表面2aに衝突させる。ブラスト用研磨材13は、ノズル14から自然落下させてもよいし、圧力を加えて、ノズル14から噴射させてもよい。ノズル14は、天然木質材2の表面2a上方の任意の位置に、複数本配置し、天然木質材2の表面2a全体にブラスト処理が施されるようにする。
【0044】
ブラッシング処理により凹部7を形成した後は、天然木質材2の表面2aにケバが生じて荒れた状態となっており、このままでは、化粧板1の意匠性が劣ってしまう。しかし、上記ブラスト処理によって、ブラッシングにより生じたケバを除去するとともに、天然木質材2の表面2a全体に微細な傷15をつける。
【0045】
なお、ブラスト処理を行っても、天然木質材2の表面2aにケバが残る部分があるので、好ましくは、表面に微細な研磨材が接着されたナイロンブラシ(例えば、グリッドサンダー等)を使用し、ブラスト処理の前工程又は後工程にて表面2aのケバを取り除くとよい。
【0046】
(樹脂塗布工程)
ここで、本発明の第1の実施形態に係る化粧板1の製造方法においては、含浸樹脂8と着色充填樹脂9の2つの樹脂を用いて塗布する。
【0047】
これらの含浸樹脂8および着色充填樹脂9は、ともに、活性エネルギー線硬化特性と湿気硬化特性とを兼ね備えている。このため、活性エネルギー線硬化特性のみを有する樹脂と比べると、活性エネルギー線の照射により瞬時に樹脂を硬化させることができる。
【0048】
樹脂8,9は、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーやポリマーを単独、またはこれらを複数混合させたものに、反応性モノマーを加えたものを主成分とする。さらに、樹脂8,9は、主成分に対して、ポリイソシアネートを1質量%以上でかつ15質量%以下添加されてなる。
【0049】
樹脂8,9に用いるオリゴマー、ポリマーおよび反応性モノマーは、活性エネルギー線硬化特性を有する樹脂として一般的に用いられるものでよい。樹脂8,9に用いる反応性モノマーの例として以下のものが挙げられる。
【0050】
単官能モノマーの例としては、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート、2−ヒドロキシルプロピルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、イソボロニルアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート等が挙げられる。
【0051】
2官能モノマーの例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタアクリレート、ポリプロピレンジアクリレート、ポリプロピレンジメタアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタアクリレート等が挙げられる。
【0052】
3官能モノマーの例として、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート等が挙げられる。
【0053】
4官能以上のモノマーの例としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0054】
また、樹脂8,9には、イソシアネート系化合物が添加されることが好ましい。このイソシアネート系化合物は、空気中の湿気を吸収し、樹脂8,9の湿気硬化に寄与する。このため、樹脂8,9の天然木質材2への密着性をより向上させることができる。
【0055】
イソシアネート系化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等のイソシアネートモノマー、並びにこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、トリメチロールプロパンのアダクト体等のポリイソシアネート誘導体、並びにこれらイソシアネートモノマーまたはポリイソシアネート誘導体のブロック体等が挙げられる。さらには、イソシアネート系化合物は、無黄変型または難黄変型のものを用いることが好ましい。これらのイソシアネート系化合物を単独で、またはこれらを複数混合して用いる。
【0056】
樹脂8,9には、さらに、一般的に用いられる錫化合物や、亜鉛化合物、アミン化合物等の触媒を添加してもよい。
【0057】
そして、具体的には以下の2つの樹脂塗布工程において、上記含浸樹脂8及び着色充填樹脂9を塗布する。
【0058】
(含浸樹脂塗布工程)
図1(d)に示すように、上記の含浸樹脂8をブラスト処理された天然木質材2の表面2a全体に塗布する。含浸樹脂8は、スポンジロールコーターやナチュラルリバースコーター、フローコーター等を使用して塗布する。このように、ブラスト処理を施して微細な傷15をつけ、含浸性を高くした天然木質材2の表面2a全体に含浸樹脂8を塗布するので、天然木質材2の内部にまで含浸樹脂8を浸透させることができ、表面硬度に優れ、強度の高い化粧板1を得ることができる。
【0059】
また、早材部5だけでなく、晩材部6も含めた表面2a全体にブラスト処理が施されているので、表面2a全体に満遍なく含浸樹脂8が含浸し、含浸ムラを抑制することができる。
【0060】
また、天然木質材2の表面2aにシーラー層を形成せずに、直接含浸樹脂8を塗布している。このため、シーラー材を塗布し、乾燥させる等の手間と時間とが不要であるので、生産性を向上させることができるだけでなく、長期の使用による層間剥離をおこしにくい。
【0061】
含浸樹脂8は、低粘度でかつ含浸性の高い樹脂であることが好ましい。具体的には、含浸樹脂8は、天然木質材2の表面2aに塗布されたとき、その粘度が100Pa・s以下であることが好ましい。このように、含浸樹脂8を低粘度のものとすることで、含浸性をより高めることができる。なお、含浸樹脂8は、上述したモノマーにより希釈したり加熱したりすることで、上記の粘度となるように調整する。また、例えば、予め天然木質材2の表面2aの温度が40°〜50°となるように天然木質材2を加熱し、この表面2aの温度よりも10°〜20°低い温度にした含浸樹脂8を塗布することで、この含浸樹脂8の含浸性をより向上させることができる。
【0062】
次に、図1(e)に示すように、含浸樹脂8を硬化又は半硬化させるために、天然木質材2の表面2a側から活性エネルギー線10を照射する。活性エネルギー線10には、紫外線または電子線が用いられる。
【0063】
活性エネルギー線10が紫外線である場合、含浸樹脂8に、光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、一般的に用いられるラジカル反応型のアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンジル系、ベンゾイン系等のカルボニル化合物、テトラアルキルチウラムモノサルファイド、チオキサンソン等のイオウ化合物を単独、またはこれらを複数混合して用いてもよい。しかし、含浸樹脂8の硬化を促進するためには、上記一般的な光重合開始剤よりも紫外線に対して反応性に優れたものが好ましい。
【0064】
具体的には、光重合開始剤として、含浸樹脂8は、ビスアシルフォスフィンオキサイドを0.1質量%以上1.5質量%以下含むものか、モノアシルフォスフィンオキサイドを0.5質量%以上5.0質量%以下含むものであることが好ましい。ビスアシルフォスフィンオキサイドまたはモノアシルフォスフィンオキサイドは、紫外線の波長領域が350nm〜400nm近辺である長波長に吸収極大がある。したがって、紫外線を発光する光源として、350nm以上400nm以下の長波長領域に発光スペクトルを持つ発光方式を用いることにより、含浸樹脂8をより効果的に硬化させることができる。具体的には、放電灯方式のメタルハライドランプ、無電極方式のDバルブ、Vバルブ、Qバルブ、Mバルブ、パルスUV方式等を使用する。
【0065】
また、活性エネルギー線10が紫外線である場合、含浸樹脂8には、増感剤や、光安定剤、紫外線吸収剤、貯蔵安定剤等の助剤を添加してもよい。また、含浸樹脂8に染料、顔料等を加えて着色を行ってもよい。
【0066】
(着色充填樹脂塗布工程)
次に、図1(f)に示すように、上記着色充填樹脂9を天然木質材2の表面2aに塗布する。着色充填樹脂9は、含浸樹脂8と同様に、スポンジロールコーター、ゴムロールコーター、リバースコーター等を使用して塗布する。このとき、少なくとも、早材部5の凹部7内に着色充填樹脂9が充填されるようにする。
【0067】
着色充填樹脂9は、上述したように、活性エネルギー線硬化特性と湿気硬化特性とを兼ね備えているので、凹部7の深い部分に活性エネルギー線が届きにくい場合でも、湿気硬化することで密着不良を抑制することができる。
【0068】
着色充填樹脂9の着色は、染料または顔料により行う。透明感を維持するためには、染料が適しており、透明感を保ちながらもより隠蔽性を上げるためには、顔料が適している。これらの染料または顔料は、着色充填樹脂9に対して0.1質量%以上でかつ1.0質量%以下添加される。
【0069】
(照射硬化工程)
次に、図1(g)に示すように、含浸樹脂8および着色充填樹脂9を硬化又は半硬化させるために、天然木質材2の表面2a側から活性エネルギー線10を再び照射する。この場合も活性エネルギー線10には、紫外線または電子線が用いられる。
【0070】
本発明の第1の実施形態に係る化粧板の製造方法においては、意匠性を向上させるために、凹部7は0.1mm〜0.4mmの深さに形成される。凹部7の深さが0.3mm〜0.4mm程度の部分では、活性エネルギー線硬化特性のみを有する樹脂を充填した場合、活性エネルギー線10が凹部7の底部にある樹脂まで届きにくく、樹脂が充分に硬化しないため、密着不良を起こしてしまう場合がある。しかし、本発明においては、含浸樹脂8および着色充填樹脂9は、活性エネルギー線硬化特性と湿気硬化特性とを兼ね備えているため、活性エネルギー線10が充分でなくても、照射工程後の経時の湿気硬化により、凹部7の底部にある含浸樹脂8および着色充填樹脂9の硬化が促進される。
【0071】
活性エネルギー線10が紫外線である場合、着色充填樹脂9にも、上述した光重合開始剤を添加することが好ましい。また、着色充填樹脂9にも、増感剤や、光安定剤、紫外線吸収剤、貯蔵安定剤等の助剤を添加してもよい。
【0072】
(研削工程)
次に、図1(h)に示すように、天然木質材2の表面2a側を研削し、表面2a側を均一にする。このとき、早材部5の凹部7内にに充填された着色充填樹脂9をすべて研削してしまわないように、少なくとも凹部7に着色充填樹脂9が残るように研削する。着色充填樹脂9が充分に硬化しているため、研削により、着色充填樹脂9の一部が剥がれてしまうことなく、化粧板の意匠性が損なわれない。
【0073】
(樹脂塗膜形成工程)
次に、図1(i)に示すように、天然木質材2の表面2a側に透明性樹脂塗料を塗布してこれを硬化させ、透明性樹脂塗膜11を形成する。天然木質材2の表面2a側には、含浸樹脂8が内部にまで含浸しているため、表面硬度に優れ、強度の高い化粧板1とすることができるので、透明性樹脂塗膜11は、強化塗装のような厚膜塗装を行わなくてもよい。100μm未満の厚さの薄い塗膜でもよい。ただし、意匠性を向上させるために、150μm〜250μmの厚膜塗装を行ってもよい。
【0074】
なお、本発明の第1の実施形態においては、含浸樹脂8の塗布後に活性エネルギー線10を照射したが、必ずしもこの照射を行わなくてもよい。ただし、含浸樹脂8を充分に硬化させるためには、この照射を行うことが好ましい。
【0075】
(第1の実施形態の効果)
ブラッシングにより凹部7を形成する浮造り加工を施し、この上にシーラー層を形成せずに、ブラスト処理を施す。このブラスト処理によって微細な傷を形成し、含浸性を高くした天然木質材2の表面2a全体に、低粘度で含浸性の高い含浸樹脂を塗布することによって、天然木質材2の内部にまで含浸樹脂8を浸透させることができる。このため、最後に厚い塗膜を形成しなくても、表面硬度に優れ、強度の高い化粧板1を得ることができる。
【0076】
また、0.1mm以上でかつ0.4mm以下の深さに形成された早材部5の凹部7に着色充填樹脂9を充填することで、意匠性に優れた化粧板1を製造することができる。
【0077】
さらに、0.3mm以上でかつ0.4mm以下程度の深さの凹部7においても、着色充填樹脂9が活性エネルギー線硬化特性および湿気硬化特性を兼ね備えているため、凹部7の底部にある着色充填樹脂9も硬化が促進されるので、密着不良が抑制され、表面硬度に優れた化粧板1を得ることができる。
【0078】
すなわち、本発明の第1の実施形態に係る製造方法により製造した化粧板1は、WPCにより製造された場合と同等の意匠性および強度を有するものとすることができる。そして、化粧板1を連続的に生産することができるので、化粧板1の生産性がよい。
[第2の実施形態]
【0079】
次に、本発明の第2の実施形態に係る化粧板の製造方法について、図2に基づいて詳細に説明する。なお、図1と同じ構成要素については同じ符号を付し、第1の実施形態と同じ部分については、その詳細な説明は省略する。
【0080】
まず、第2の実施形態においては、図2(f)に示すように、着色充填樹脂9を天然木質材2の表面2a全体に塗布する点において、第1の実施形態と異なる。すなわち、着色充填樹脂9を凹部7に充填するのみならず、この凹部7以外の晩材部6部分をも覆うように着色充填樹脂9を塗布する。なお、図2(a)〜(e)および(g)に示す工程については、第1の実施形態と同じである。
【0081】
そして、図2(h)に示すように、晩材部6部分に着色充填樹脂9が残るように天然木質材2の表面2a側を研削し、表面2a側を均一にする。すなわち、天然木質材2の表面2a側全体を着色充填樹脂9が覆った状態となるように研削する。
【0082】
そして、図2(i)に示すように、表面全体が着色充填樹脂9で覆われた天然木質材2の表面2a側に透明性樹脂塗膜11を形成する。
【0083】
このように、本発明の第2の実施形態に係る化粧板の製造方法によって製造された化粧板1は、天然木質材2の表面2a側全体が着色充填樹脂9に覆われた仕上がりとなるので、自然な外観の化粧板1となる。
[第3の実施形態]
【0084】
次に、本発明の第3の実施形態に係る化粧板の製造方法について、図3に基づいて詳細に説明する。なお、図1および図2と同じ構成要素については同じ符号を付し、第1の実施形態と同じ部分については、その詳細な説明は省略する。
【0085】
第3の実施形態においては、図3(h)に示すように、天然木質材2の晩材部6の表面側に着色充填樹脂9が残らないように研削する点において、第1の実施形態と異なる。
【0086】
すなわち、凹部7に充填された着色充填樹脂9は残したまま、晩材部6上の着色充填樹脂9を削り、含浸樹脂8が含浸している晩材部6を露出させる。
【0087】
そして、図3(i)に示すように、着色充填樹脂9が充填された凹部7と露出した晩材部6とで構成された天然木質材2の表面2a側に透明性樹脂塗膜11を形成する。なお、図3(a)〜(g)に示す工程については、第1の実施形態と同じである。
【0088】
このように、本発明の第3の実施形態に係る化粧板の製造方法によって製造された化粧板1は、晩材部6が露出した部分に比べ、早材部5の凹部7の着色充填樹脂9が充填された部分が強調されて、色のコントラストが明瞭となり、いわゆる目立ちのはっきりとした化粧板1となる。
【0089】
なお、上述の実施形態は、本発明の例示であって、本発明はこの例に限定されるものではない。
【実施例】
【0090】
(実施例1)
天然木質材として、厚さ0.47mmの米ツガ板目単板を用いる。基板は、厚さ15mmの合板基材とする。これらの単板と合板基板とを酢酸ビニル系接着剤を用いて接着した。
【0091】
まず、ブラッシングにより単板の表面を削った。ブラッシングは、線径0.2mmの金属ワイヤーブラシを用いて行い、早材部を研削して凹部を形成した。凹部の深さは最大で0.4mmであった。
【0092】
次に、凹部を形成した単板の表面にブラスト処理を行った。ブラスト処理には、サンドブラスト用研磨材(フジガラスビーズ #150:(株)不二製作所製)を使用した。
【0093】
次に、含浸樹脂として、エポキシアクリレートを40質量部、トリプロピレンジアクリレートを30質量部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートを30質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートを20質量部、ポリオール10質量部、染料を0.5質量部、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを3質量部を配合した。
【0094】
単板の表面を赤外線ヒーターで照射し、単板の表面温度が45℃になるまで加熱した。ブラスト処理を行った単板の表面に、35℃に調整した上記含浸樹脂を塗布した。含浸樹脂は、軟質ゴムのナチュラルロールコーターによって、100g/m2塗布した。1分間養生した後、単板表面の余剰な含浸樹脂をナチュラルロールコーターによって掻き取った。このとき、単板中に含浸した含浸樹脂の量を測定すると、70g/m2であった。
【0095】
次に、着色充填樹脂として、エポキシアクリレートを60質量部、トリプロピレンジアクリレートを40質量部、アクリロイルモルフォリンを5質量部、染料0.7質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートを5質量部、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを3質量部およびビスアシルフォスフィンオキサイドを0.7質量部を配合した。
【0096】
そして、凹部に充填させながら、表面が平滑となるように、上記着色充填樹脂を塗布した。
【0097】
次に、単板の表面側に紫外線照射を行い、着色充填樹脂を硬化させた後、単板の表面側を凹部の着色充填樹脂を少し削る程度に全面面均一に研削した。
【0098】
研削した単板の表面側に、紫外線硬化型の透明性樹脂塗料により、下塗り、中塗り、上塗り塗装を行って85g/m2の透明性樹脂塗膜を形成した。
【0099】
その後、化粧板に単板の表面側から紫外線を照射し、塗料を硬化させた。
【0100】
上記のように製造された化粧板は、着色充填樹脂が充填された早材部の凹部部分と、晩材部との色のコントラストが強調された美麗な仕上がりとなった。さらに、この化粧板は、化粧材として充分な表面硬度を備えるものとなった。具体的には、鉛筆硬度試験(日本工業規格JIS K5400)において2Hの表面硬度となった。
【0101】
(実施例2)
天然木質材として、厚さ0.3mmの米マツ柾目単板を用いる。基板は、厚さ15mmの合板基材とする。これらの単板と合板基板とを酢酸ビニル系接着剤を用いて接着した。
【0102】
まず、ブラッシングにより単板の表面を削った。ブラッシングは、線径0.2mmの金属ワイヤーブラシを用いて行い、早材部を研削して凹部を形成した。凹部の深さは最大で、0.4mmであった。
【0103】
次に、凹部を形成した単板の表面にブラスト処理を行った。ブラスト処理には、サンドブラスト用研磨材(フジガラスビーズ #150:(株)不二製作所製)を使用した。
【0104】
次に、含浸樹脂として、ウレタンアクリレートを25質量部、エポキシアクリレートを35質量部、トリプロピレンジアクリレートを25質量部、アクリロイルモルフォリンを15質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートを20質量部、染料を0.5質量部、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを3質量部を配合した。
【0105】
単板の表面を赤外線ヒーターで照射し、単板の表面温度が45℃になるまで加熱した。ブラスト処理を行った単板の表面に、35℃に調整した上記含浸樹脂を塗布した。含浸樹脂は、軟質ゴムのナチュラルロールコーターによって、50g/m2塗布した。1分間の養生後には、全ての含浸樹脂が単板中に浸透していた。
【0106】
次に、含浸樹脂を浸透させた単板に着色充填樹脂を塗布した。着色充填樹脂は、実施例1と同じ樹脂を用いた。凹部に充填させながら、表面が平滑となるように着色充填樹脂を金属リバースコーターで塗布した。
【0107】
次に、単板の表面側に紫外線照射を行い、着色充填樹脂を硬化させた後、単板の表面側を凹部の着色充填樹脂を少し削る程度に全面面均一に研削した。
【0108】
研削した単板の表面側に、紫外線硬化型の透明性樹脂塗料により、下塗り、中塗り、上塗り塗装を行って70g/m2の透明性樹脂塗膜を形成した。
【0109】
その後、化粧板に単板の表面側から紫外線を照射し、塗料を硬化させた。
【0110】
上記のように製造された化粧板は、着色充填樹脂が充填された早材部の凹部部分と、晩材部との色のコントラストが強調された美麗な仕上がりとなった。さらに、この化粧板は、化粧材として充分な表面硬度を備えるものとなった。具体的には、鉛筆硬度試験(日本工業規格JIS K5400)において2Hの表面硬度となった。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上説明したように、本発明は、優れた意匠性および強度を有するとともに、生産性のよい化粧板の製造方法等について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る化粧板の製造工程を示す図である
【図2】本発明の第2の実施形態に係る化粧板の製造工程を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る化粧板の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
【0113】
1 化粧板
2 天然木質材
2a 表面
5 早材部
6 晩材部
7 凹部
8 含浸樹脂
9 着色充填樹脂
10 活性エネルギー線
11 透明性樹脂塗膜
【出願人】 【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
【出願日】 平成18年8月30日(2006.8.30)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘

【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏

【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久

【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二

【識別番号】100115059
【弁理士】
【氏名又は名称】今江 克実

【識別番号】100115691
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 篤史

【識別番号】100117581
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克也

【識別番号】100117710
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智雄

【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守

【識別番号】100124671
【弁理士】
【氏名又は名称】関 啓

【識別番号】100131060
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 靖也


【公開番号】 特開2008−55719(P2008−55719A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−234267(P2006−234267)