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木材の長期保存方法 - 特開2008−49691 | j-tokkyo
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【発明の名称】 木材の長期保存方法
【発明者】 【氏名】曽田 良

【要約】 【課題】日本の遺跡からは千年を超える長きに渡って地中で保存されてきた木炭が出土しており、木炭の長期保存性が証明されている。これと同じことを現代で行う木材の長期保存方法を提供する。

【構成】空気中のCOを吸収した植林木を炭化して水中に沈めることにより長期保存するが、その過程で木炭の吸着能を利用して水を浄化する。そして数百年後のいつか燃料が枯渇した場合は取り出して、エネルギー資源として改めて再利用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材の長期保存方法であって、
木材を炭化させて水中に沈めることにより保存することを特徴とする木材の長期保存方法。
【請求項2】
前記木材は、植林から所定期間経過した森林の樹木を伐採して得られた木材、または廃材であることを特徴とする請求項1に記載の木材の長期保存方法。
【請求項3】
比重が1を超えるように、前記木材を炭化させることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の木材の長期保存方法。
【請求項4】
前記炭化させた木材は、長期保存に耐える材料を用いた容器に入れて水中に堆積させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の木材の長期保存方法。
【請求項5】
前記容器は、焼却処分時に有害物質を出す材料を再利用することを特徴とする請求項4に記載の木材の長期保存方法。
【請求項6】
前記炭化させた木材の回収が容易な深度を持つ湖沼または海に沈めることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の木材の長期保存方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、木炭または竹炭または有機廃棄物を炭化し、それを廃坑や淡水湖の湖底で超長期にわたって保存することで、温暖化防止に貢献する対策を実行する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年地球温暖化の有効な対策として植林事業が注目されている。地球温暖化対策としての植林は、樹木が成長することによって樹木内に蓄積される炭素量を最大にするように植林事業計画を立案する必要があり、これには、植林地候補の現況を精度良く特定することが重要である。このため、植林候補地の現況の炭素蓄積量を精度良く把握し、この炭素蓄積量に基づいて、植林候補地を分類して植林をするべきか否かを決定する必要がある。
【非特許文献1】木炭と木酢液の新用途開発研究成果集(木材炭化成分多用途利用技術研究組合編)(1990)
【非特許文献2】Terminal Report on Carbon Fixing Forest Management Project in Indonesia;JICA(2005)
【非特許文献3】Global Forest Resources Assessment 2000;Main Report,FAO(2001)
【非特許文献4】「IPCC第3次評価報告書」(IPCC 2001)
【非特許文献5】Forest Products 2003(FAO)
【非特許文献6】「森林・林業基本計画」(林野庁2001)
【非特許文献7】「森林・林業白書(平成16年度)」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、樹木の二酸化炭素固定は数十年単位での吸収・固定は可能だが、100年単位の保存では、伐採や火災といった不確実なことが起こる可能性があり、安定して長期に炭素を固定しておくことが困難である場合がある。また長い年月が経過した森林は、樹木が老齢化して、二酸化炭素の吸収能力が低下してくるため、老齢化した樹木を伐採して、新たな植林を行う必要があるが、新たな植林を行うために伐採された老齢化樹木を建材に利用するなどして消費してしまうと、結果的に廃材になったときに焼却処分されてしまう可能性があり、樹木内に固定した炭素が再び大気中に排出されてしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、木材を安定的に長期に保存することができる木材の長期保存方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、木材の長期保存方法であって、木材を炭化させて水中に沈めることにより保存することを特徴とする。
【0006】
本発明は、前記木材は、植林から所定期間経過した森林の樹木を伐採して得られた木材、または廃材であることを特徴とする。
【0007】
本発明は、比重が1を超えるように、前記木材を炭化させることを特徴とする。
【0008】
本発明は、前記炭化させた木材は、長期保存に耐える材料を用いた容器に入れて水中に堆積させることを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記容器は、焼却処分時に有害物質を出す材料を再利用することを特徴とする。
【0010】
本発明は、前記炭化させた木材の回収が容易な深度を持つ湖沼または海に沈めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、木材を炭化させて水中に沈めることにより木材を保存するようにしたため、樹木内に固定した炭素を長期に保存することが可能となり、地球温暖化防止の効果を高めることができるともに、木炭の吸着能を利用して水(湖水や海水)の浄化することが可能になるという効果が得られる。また、比重が1を超えるように、木材を炭化させるようにしたため、木炭の状態で容易に水中に沈めることができる。また、炭化させた木材は、長期保存に耐える材料を用いた容器に入れて水中に堆積させるようにしたため、沈めた木炭の保存管理を容易に行うことが可能となる。また、木炭を入れる容器は、焼却処分時に有害物質を出す材料を再利用するようにしたため、焼却処分時にダイオキシン系有害物質を発生させることなく材料の有効利用が可能となる。また、炭化させた木材の回収が容易な深度を持つ湖沼に沈めるようにしたため、未来において燃料が枯渇した場合に容易に取り出して改めて利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による木材の長期保存方法を説明する。
<木材の保存形態>
木材を炭化させて木炭として保存する。竹炭を含む木炭は歴史的にみて非常に長く保存可能と見られ、これまでに数々の遺跡に出土し、数百年〜千年以上の保存性は明らかであり、木材を炭化させて木炭として保存するのが安定的に長期保存するのに適している。炭化させる対象の木材は、植林から所定期間経過した森林の樹木を伐採して得られた木材、または廃材を用いる。老齢化した樹木は、二酸化炭素吸収能力が低下してくるため、積極的に伐採し、この伐採した木材を炭化させる対象とすることが望ましい。伐採した後の森林には、新たに植林を行うことにより二酸化炭素吸収能力を高めることができる。また、建材などに利用された後に廃棄処分となる廃材を積極的に炭化させて、廃材が焼却されることにより、再び大気中に炭素を放出してしまうことを防止する。特に、植林できる場所には限りがあるが、既に植林された森林の樹齢を管理して、二酸化炭素吸収能力が低下した樹木を伐採して木炭とし、新たな植林を行なえば、既に森林になっている場所においても二酸化炭素の吸収能力を維持することが可能となる。
【0013】
<保存場所>
空気中で保存する場合は廃坑などが利用可能である。この場合、火災からの保護が課題であるが、例えばスプリンクラー等の防火技術の応用は容易である。しかし、設備費用と、万一の火災のリスクを考えると、水中での保存が最も適当であると考えられる。水中保存は、後述する長期にわたる大量の保存が必要なことから、琵琶湖等の大きい淡水湖の湖底や海底などに堆積させることが有望である。また、堆積させる湖底や海底の深度は、木炭を必要とする場合に、容易に取り出すことができるように、取り出しやすい深度の湖底や海底を選択することが望ましい。
【0014】
<保存方法>
水中保存の場合、長期の保存にも耐える塩ビ(塩化ビニル樹脂)の再利用品などの素材の容器または袋に木炭を入れて、場所を決めて水中に沈める。塩ビ製品の再利用は、焼却処分時に発生するダイオキシン系有害物質削減の意義からも大きい。また、木炭の比重は、木炭の製造方法によって異なるため、比重が1を超える木炭とすることが望ましい。ただし、比重が1より小さい木炭であっても木材を長期保存できるという利点は変わらないため、このような木炭の場合は、塩ビの容器等に入れて、おもりを付けて水中に沈めればよい。おもりを付けた場合、湖底や海底における保存場所が変化せず安定して保存することが可能となる。
【0015】
<木炭の物性>
木炭には焼成温度により収量や性質に差がある。焼成温度ごとの特性を図1に示す。図1において、木炭収率は、木炭重量/炭化前木材重量である。これらはラボの試験結果だが、実際の炭焼窯などで自燃により炭化する場合は焼成温度400〜1000℃、木炭収率は経験的に20%、炭素含有率85〜90%程度といわれている。インドネシアでのJICAプロジェクトで行った熱帯材を用いた調査では、ドラム缶を用いた炭化方法で、木炭収率23.6%、炭素含有率86.3%、現場での製造コスト76.3US$/トン(=9,000円/トン)であった。すなわち、木材1m(乾燥重0.5トン)から約0.1トン(乾燥木材重量の20%)の木炭がとれる計算になる。この量は、0.1トン×炭素含有率85%×44÷12=0.3トンのCOとなる。
【0016】
<吸着能利用>
木炭を水中に沈めることにより、木炭の吸着能を利用して水(湖水や海水)の浄化を期待できる。木炭は多孔質であり、高温(800℃以上)で焼かれた木炭の表面積は400m/gといわれている。吸着機能を利用し有害物質等を吸着し、長期保存すべき木炭と、有害物質を吸着せずそのまま保存に供する木炭を区別し保存することが肝要である。
【0017】
<国内での木炭の生産>
(1)住民参加型のCO削減
日本国民は一般的に森林に親しみを感じているが、近年都市に住む子供達にとっては森林・林業は遠い世界となってしまった。すでに子供たちの環境教育に炭作りを取り入れているところも多いので、森林への親しみを育成するとともに、木がCOを吸収して木材となり、それを炭化して目に見える炭素にして千年保存するという、子供達自らできる温暖化対策を教育することが望ましい。出来た炭は、炭素固定または水浄化を目的とする自治体や国が買い上げる。また現在林内に放棄されている間伐材も遠くへ運ぶ必要なく、現場で簡易な装置で炭化が可能である。
(2)企業参加
企業の製造した、または購入した木炭を自治体または政府が買い上げ、その木炭の炭素と同等量のCO量を削減量としてカウントする木炭製造保存促進策を採ることが出来る。食品工業廃棄物(ジュース・ビール絞りかすなど)等有機性廃棄物の炭化物も対象となる。
(3)行政支援
国はまず、京都議定書で認められていない、収穫後の木材の扱いとして、木炭の製造と保存を国連のしかるべき機関に提案し、木炭の有効性を訴え、国際的に認めさせる必要がある。その後、国民参加型の温暖化対策事業として推進し、木炭を水浄化材として適正価格で買い上げるか、収集保存の見返りとして、納入された木炭に相当するCO量を納入者の削減量としてカウントするなどの施策が必要である。
【0018】
<途上国での木炭の生産>
日照が多く降雨量の豊富な熱帯地域は木炭製造の有力な場所である。FAOによれば1990年以降、途上国では毎年1,030万haの森林が消失している。また、1980年以降空気中に排出されたCO量の1/4は森林破壊からもたらされたものといわれている。このような劣化した森林のある地域で、植林木を炭化し保存する事業を立ち上げる。この方法が最も効率がよい。すなわち、100年以上の単位のCO吸収・固定を考えた場合、生きた樹木内に固定するだけでは伐採・火災のリスクがあるので、伐採し炭化して保存し、跡地は再植林を繰り返す方が長期的には効率がよい。これには途上国の植林を促進し、周辺産業の育成に貢献できる副次的効果がある。
【0019】
<技術・経済支援>
炭化に適した樹種の植林技術支援、経済的支援、木炭製造技術の導入を行い、効率的な製炭を指導する。木炭製造は基本的に高価な設備は不要で、誰でも可能であるが、高効率の製炭技術は日本の技術が群を抜いているので、簡易設備投資、技術の導入はODAで支援する方がよい。日本まで遠く不経済の場合は、木炭製造当該国で利用、保存してもよいが、一定の取り決めが必要である。
【0020】
<輸入価格>
現在流通している木炭価格は、炭素含有率が高い木炭でCIF価格は25,000円/トン程度である。CO固定コストからすると25,000円÷3トン=8,333円/トン=70US$/トンCOである。このコストは日本の製造業のCO排出削減コストよりずっと小さい。
【0021】
<品質管理>
焼成時の温度が300℃以下のものは炭化度が低く揮発分が多い。このような木炭は安いが、空気中の保管・輸送では発火の可能性があるので、輸入する木炭は製造時の品質管理が重要である。
【0022】
<木炭の貯蔵目標量;京都議定書の削減目標>
本発明が現実に可能かどうか確認するために、木炭製造の可能量と費用を試算した。目標量を、政府が京都議定書で国際公約した目標値(1990年の排出量の−6%)を達成するため、既排出量(1990年の+14%)から政府努力目標の−6%を差し引いた−8%分を木炭製造で削減した場合を試算した。−8%分をCO重量に換算すると約9千万トンである。これを木炭量にすると3千万トン(容積にして約6千万m)である。2003年の全世界の木炭生産量は約4千300万トンであったので、3千万トンの木炭製造は荒唐無稽な話ではない。
【0023】
<必要木材量>
必要木材量は3億mである。日本の森林成長量は年間89百万mであるので明らかに不足する。3億mの成長量を確保できる植林地は降雨量の豊富な熱帯地域しかない。熱帯早生樹の成長量は約30m/ha/年であるので、およそ1千万haの植林地が必要である。この面積は日本の人工林面積と同じで、途上国の森林減少面積のわずか1年分である。これらの地域の木材生産目的の土地で植林する。1千万haの土地で熱帯早生樹を植林するとすれば、7年で植林〜育林〜伐採を繰り返すので、毎年150万ha植林する。7年目には、200m/ha×150万ha=3億mの木材が生産される。植林〜伐採〜炭化〜再植林の工程は他からのエネルギーをほとんど投入する必要はなくサステナブルであり、きわめて環境に優しい方法であると言える。
【0024】
このように、木材を炭化させて水中に沈めることにより木材を保存するようにしたため、樹木内に固定した炭素を長期に保存することが可能となり、地球温暖化防止の効果を高めることができるともに、木炭の吸着能を利用して水(湖水や海水)の浄化することが可能になる。また、比重が1を超えるように、木材を炭化させるようにしたため、木炭の状態で容易に水中に沈めることができる。また、炭化させた木材は、長期保存に耐える材料を用いた容器に入れて水中に堆積させるようにしたため、沈めた木炭の保存管理を容易に行うことが可能となる。また、木炭を入れる容器は、焼却処分時に有害物質を出す材料を再利用するようにしたため、焼却処分時にダイオキシン系有害物質を発生させることなく材料の有効利用が可能となる。また、炭化させた木材の回収が容易な深度を持つ湖沼に沈めるようにしたため、未来において燃料が枯渇した場合に容易に取り出して改めて利用することが可能となる。また、炭化させる木材は、植林から所定期間経過した森林の樹木を伐採して得られた木材、または廃材としたため、一度樹木内に固定した端子を再び大気中に放出されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】木炭の物性を示す図である。
【出願人】 【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
【出願日】 平成18年12月12日(2006.12.12)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦


【公開番号】 特開2008−49691(P2008−49691A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−334545(P2006−334545)