トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 木材を磁性化処理する方法
【発明者】 【氏名】伊藤 氾之

【要約】 【課題】従来、木材を磁性化処理するため鉄イオン等を吸収させて鉄に還元するか、または酸化鉄に変化させる試みは木材の外観、および本体の組織をかなり破壊させてしまう等の不都合があった。

【構成】密閉容器内でメタンガス水溶液に鉄材と木材を浸漬させ、液を激しく撹拌または振動させると鉄材が溶出して木材内部に浸透、沈積する。この沈積物は原材料の鉄材と同様、磁性を有するため特別な処理をすることなく、また木材の外観、および木材本体の性質を損なうことなく木材を磁性化処理することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器に鉄材、木材およびこれらを十分に浸漬する量の水を収容し、さらにメタンガスを圧入しメタンガス水溶液を生成して、該水溶液を撹拌または振動させて鉄材を溶出させ、木材に吸収させ浸透、沈積させることを特徴とする木材を磁性化処理する方法。
【請求項2】
鉄材が金属鉄:Fe、酸化鉄:FeO、または四三酸化鉄:Feの少なくとも一種類の物質であることを特徴とする請求項1記載の木材を磁性化処理する方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は木材を磁性化処理する方法に関する。詳しくは密閉容器内でメタンガス水溶液に鉄材と木材を浸漬させ、液を激しく撹拌または振動させて鉄材を溶出させ、それが木材に吸収され、浸透、沈積する事を利用する木材を磁性化処理する方法に関する。ここで磁性化処理された木材とは、単純に木材が鉄材を吸収しているため永久磁石に吸引されるようになったものを云う。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄イオン等を木材に吸収させて、鉄に還元するか、または酸化鉄に変化させて磁性化処理する試みは木材の外観、および本体の組織をかなり破壊させてしまう等の不都合があった。
【0003】
本発明は天然ガス輸送管の凝縮水が鉄管を溶解する現象と、この溶出した鉄材が木材に吸収、沈積したものが磁性を有する事を利用する木材を磁性化処理する方法である。
【0004】
可燃性天然ガスの輸送管は管内の温度、圧力の変化等で凝縮水が生じる場合輸送管が鉄製であると往々にして腐食される(例えば特許文献1)。これは凝縮水に基づく天然ガス水溶液がガス流で激しく撹拌、振動すると鉄を溶解するようになるためであって、これは実験室で可燃性天然ガスの主成分であるメタンガスを用いた実験で確認できる。
【0005】
即ち、オートクレーブに水と鉄材を収容しメタンガスを圧入すると先ずメタンガス水溶液が容易に生成する。該水溶液を激しく撹拌すると鉄材が溶解するようになる。該水溶液に木材を浸すと鉄材が木材に吸収され浸透、沈積する。かくして木材に沈積した鉄材は磁性を有し、木材全体が永久磁石に吸引されるようになる。
【0006】
本発明は上記のように鉄材がイオン化ではなく別の形で溶解し、木材に吸収され磁性を有した状態で沈積する現象を利用した木材を磁性化処理する方法である。
【0007】
【特許文献1】 特開平 10−217208.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はメタンガス水溶液に鉄材と木材を共に入れ水溶液を激しく撹拌すると鉄材が溶出し木材に移動して浸透、沈積し、これが磁性を示す事を利用した木材を磁性化処理する方法である。
本発明は木材の外観その他の特性を損なわずに磁性化処理する方法を実現する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために密閉容器内でメタンガス水溶液に鉄材及び木材を浸潰して該水溶液を激しく撹拌すると鉄材を溶解し、これを木材が吸収することを利用した木材を磁性化処理する方法である。
【0010】
メタンガス水溶液を撹拌、振動させると鉄材を溶解するようになるがオートクレーブの場合は撹拌装置を使用する。一般の密閉容器では内部のメタンガス水溶液を取り出し外部ポンプで再圧入すること等で激しく循環または振動させることによっても鉄剤を溶解するようになる。
【0011】
鉄材を溶解しているメタンガス水溶液は無色で標準単極電位は検出されずイオン溶液ではないことがわかる。溶解度を蒸発乾固法で測定すると常温でいずれの鉄材(市販試薬一級の鉄:Fe、酸化鉄:FeO、および四三酸化鉄:Fe)の溶解度も高温、高圧、では短時間で速く溶解するが、常温、常圧、長時間に置き換える事ができ、それらを限定することはできないものであった。
【0012】
オートクレーブの撹拌器の回転速度と鉄材の溶解度も相関関係は得られないが一例として回転速度を200rpmとしたとき、いずれの鉄材の溶解度も100〜150ppmであった。
【0013】
ブランクテストとしてメタンガスの代わりに不活性ガスであるアルゴンガスを用いた試験では鉄材の溶解は認められなかった。従って、メタンガス水溶液は鉄材を特殊な形態にして溶解るものと思われる。
【0014】
上記、メタンガス水溶液に溶解している鉄材は木材によく吸収される事が確認された。使用した木材は杉、檜、白樺、楢、楓等であったが一般にリグニンとセルロースで構成される木材全般に吸収されるものと思われる。
【0015】
木材の形状は長丸太、板状、大鋸屑等、任意な形状のものに使用できる。この水溶液に溶解している鉄材は木材に吸収されると即時に木材内部に沈着する。この状態の鉄材は原料鉄材と同様に磁性を有するものであり、木材全体が磁石に吸引されるものとなる。
【0016】
本発明のメタンガス水溶液に溶解している鉄材と木材へ沈積する鉄材の形態は詳らかではないが、磁性化処理された木材を燃焼させると木材の深部まで吸収されている事がわかる。燃焼後の鉄材は二三酸化鉄:Feになり磁性が消える。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上述したように、メタンガス水溶液に溶解している鉄材が「物が落下するが如く」自動的に木材中に浸透沈積する現象を利用した木材を磁性化処理する方法である。
【0018】
かくして鉄材を吸収した木材は木質部に鉄材を蓄積しているものとみられ表面上は何ら障害も受けず、磁性を有するが何ら木材としての本来の性質を失ってはいないものであり単純に磁石に吸引されるものとなり、本来の目的どおりの磁性化処理されるという効果を発揮するものであった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明はメタンガス水溶液に溶解している鉄材が木材に磁性を有した状態で移動、沈積する事を利用した木材を磁性化処理する方法である。この鉄材の溶出、溶液中の移動および木材中への沈積の動作が容易に行われるように装置を組立てる事が最良の形態である。
【0020】
密閉容器に鉄材及び磁性化処理を目的とする木材の原木または成型品を収容しこれらを浸漬する十分な量の水を入れ上部空間部の空気をメタンガスと置換し更にメタンガスを圧入できるようにする。内部の水を撹拌するか、外部ポンプで液を循環または振動を可能にする。加熱方法は外部加熱方式が便利である。
【0021】
本発明を効率よく稼働させるために、密閉容器1で鉄材を溶解し密閉容器2で鉄材を木材に浸透、沈積させるために用い、容器1と容器2間で水溶液を循環させる装置を用いる場合には容器1と容器2は共にメタンガスを封入可能としておく必要がある。
次に実施例を示すが、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0022】
SUS316製、500mlのオートクレーブに鉄材(市販試薬一級の鉄:Feの粉末)5gと水250mlを採り、5x5x20mmの木材(白樺)の一片を入れ封をした。
内部の空気をメタンガスと置換し、続けて圧入し内部圧力を5MPa(ゲージ圧)とした。オートクレーブの撹拌器の回転速度は200rpm,温度を100℃にして2時間保持した。常温まで冷やし木材を取出し水洗、乾燥させた。この木材は永久磁石に吸引されるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は磁性化処理した木材の提供であり、木材に信号を埋設することなどが容易であり通信事業、物資の輸送事業等に利用が可能である。
【0024】
本発明の磁性化処理した大鋸屑等を燃焼させると木材が鉄材の触媒作用を得て完全燃焼するので低温用の燃料材料となる。
【0025】
本発明の方法を応用し木材に鉄材以外の物質を吸収させて異質の木材を提供するする事が可能である。
【0026】
本発明で使用されるメタンガスは云わばその物理的性質を利用するのみで燃料や原料としての化学的な性質は保持されるので非常に有利である。
【出願人】 【識別番号】598173395
【氏名又は名称】伊藤 氾之
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−6798(P2008−6798A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−205346(P2006−205346)