| 【発明の名称】 |
木材の加工方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 達哉
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| 【要約】 |
【課題】多様な木目模様を実現しつつも、成形が容易であり、強度の向上を図ることができる木材の加工方法を提供する。
【構成】大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で、曲面を含む形状をなす第1の木材と、平板状をなし、含まれる繊維成分の大部分が表面と略平行な方向を指向する第2の木材とを重ねて圧縮する。前記水蒸気雰囲気中で、前記第2の木材を変形してもよい。この変形の際、前記第2の木材に対し、前記第2の木材の板厚と直交する方向であって、前記第2の木材に含まれる繊維成分の大部分が指向する方向と略直交する方向へ圧縮力を加えればより好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 木材を圧縮することによって所定の3次元形状に加工する木材の加工方法であって、 大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で、曲面を含む形状をなす第1の木材と、平板状をなし、含まれる繊維成分の大部分が表面と略平行な方向を指向する第2の木材とを重ねて圧縮する圧縮工程を有することを特徴とする木材の加工方法。 【請求項2】 前記圧縮工程の前に、前記水蒸気雰囲気中で前記第2の木材を変形する変形工程を行うことを特徴とする請求項1記載の木材の加工方法。 【請求項3】 前記変形工程は、前記第2の木材に対し、前記第2の木材の板厚と直交する方向であって、前記第2の木材に含まれる繊維成分の大部分が指向する方向と略直交する方向へ圧縮力を加えることを特徴とする請求項2記載の木材の加工方法。 【請求項4】 前記第2の木材は柾目材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の木材の加工方法。 【請求項5】 前記第2の木材は板目材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の木材の加工方法。 【請求項6】 前記第1の木材は、周回して閉じた端面を有する皿状をなし、 前記圧縮工程は、前記第2の木材を前記第1の木材の前記皿状の窪んだ側の表面と対向するように重ねて圧縮することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の木材の加工方法。 【請求項7】 前記第1の木材が有する前記端面の外周を外縁とする平面の面積は、前記第2の木材の一つの表面の面積よりも小さいことを特徴とする請求項6記載の木材の加工方法。 【請求項8】 前記第2の木材は、平板状をなす複数の木材が積層されて成ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の木材の加工方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、木材を圧縮することによって所定の3次元形状に加工する木材の加工方法に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、自然素材である木材が注目されている。木材はさまざまな木目を有するため、原木から形取る箇所に応じて個体差が生じ、その個体差が製品ごとの個性となる。また、長期の使用によって生じる傷や色合いの変化自体も、独特の風合いとなって使用者に親しみを生じさせることがある。これらの理由により、合成樹脂や軽金属を用いた製品にはない、個性的で味わい深い製品を生み出すことのできる素材として木材が注目されており、その加工技術も飛躍的に進歩しつつある。 【0003】 従来、かかる木材の加工技術として、吸水軟化した1枚の木材を圧縮し、その木材を圧縮方向と略平行にスライスして板状の一次固定品を得た後、この一次固定品を加熱吸水させながら所定の3次元形状に成形する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、軟化処理した状態で圧縮した1枚の木材を仮固定し、この木材を型に入れて回復させることによって型成形する技術も知られている(例えば、特許文献2を参照)。これらの技術では、木材の個体差や種類、加工後の木材の強度やその用途などを含むさまざまな点を考慮して、木材の肉厚や圧縮率が決められる。 【0004】 【特許文献1】特許第3078452号公報 【特許文献2】特開平11−77619号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ところで、同じ形状であっても多様な木目模様を実現し、製品ごとの個体差を出すためには、例えば湾曲した表面を有するような形取りを行う必要も生じる。しかしながら、そのような形取りを行うと、圧縮によって変形する度合いが大きくなり、成形が困難になってしまうことが多かった。また、木材の表面が湾曲するような形取りを行った場合、その木材の繊維成分の長さが短い箇所が生じやすく、加工後に十分な強度を得ることができない場合があった。 【0006】 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、多様な木目模様を実現しつつも、成形が容易であり、強度の向上を図ることができる木材の加工方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、木材を圧縮することによって所定の3次元形状に加工する木材の加工方法であって、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で、曲面を含む形状をなす第1の木材と、平板状をなし、含まれる繊維成分の大部分が表面と略平行な方向を指向する第2の木材とを重ねて圧縮する圧縮工程を有することを特徴とする。 【0008】 また、上記発明において、前記圧縮工程の前に、前記水蒸気雰囲気中で前記第2の木材を変形する変形工程を行ってもよい。 【0009】 また、上記発明において、前記変形工程は、前記第2の木材に対し、前記第2の木材の板厚と直交する方向であって、前記第2の木材に含まれる繊維成分の大部分が指向する方向と略直交する方向へ圧縮力を加えることを特徴とする。 【0010】 また、上記発明において、前記第2の木材は柾目材であるとしてもよい。 【0011】 また、上記発明において、前記第2の木材は板目材であるとしてもよい。 【0012】 また、上記発明において、周回して閉じた端面を有する皿状をなし、前記圧縮工程は、前記第2の木材を前記第1の木材の前記皿状の窪んだ側の表面と対向するように重ねて圧縮してもよい。 【0013】 また、上記発明において、前記第1の木材が有する前記端面の外周を外縁とする平面の面積は、前記第2の木材の一つの表面の面積よりも小さいこととしてもよい。 【0014】 また、上記発明において、前記第2の木材は、平板状をなす複数の木材が積層されて成るとしてもよい。 【発明の効果】 【0015】 本発明によれば、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で、曲面を含む形状をなす第1の木材と、平板状をなし、含まれる繊維成分の大部分が表面と略平行な方向を指向する第2の木材とを重ねて圧縮することにより、多様な木目模様を実現しつつも、成形が容易であり、強度の向上を図ることができる木材の加工方法を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以後、「実施の形態」と称する)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面はあくまでも模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。 【0017】 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法においては、まず、所定の形状をなす2枚の木材を原木から形取る(形取工程)。図1は、この形取工程の概要を模式的に示す図である。形取工程では、原木である無圧縮状態の無垢材10(木目Gを有する)から、皿状をなす木材11(第1の木材)と、平板状をなす木材12(第2の木材)とを切削等によって形取る。木材11および12は、後述する圧縮工程によって減少する分の容積を予め加えた容積を有している。なお、ここでいう「皿状」とは、椀状、シェル状、箱状、船形状等の曲面を含む3次元的な形状を意味するものとする。 【0018】 木材11は、図1にも示すように、側面の曲率が該当箇所の木目Gの曲率よりも概ね大きくなるように形取った板目材である。図2は、木材11のA−A線断面の形状と、この断面における繊維成分の概要を示す図である。図2に示すように、木材11は、略円弧状に湾曲した断面形状を有しており、その繊維成分は、皿の底部に相当する最も窪んだ部分(図2の中央部)を通る接線と平行な方向(図2の水平方向)を指向している。また、繊維成分の長さは、木材11の周回して閉じた端面11tの付近の繊維成分が最も短く(繊維成分f3で例示)、端面11tから木材11の皿の底部付近(図2の中央部付近)に近づくにつれて繊維成分の長さが徐々に長くなり(繊維成分f2で例示)、木材11の皿の底部付近で繊維成分の長さが最も長くなる(繊維成分f1で例示)。このため、木材11は、繊維成分の長さにバラツキがあるため、その木材11の強度は場所によって顕著に異なり、端面11tの付近で最も強度が低い。 【0019】 これに対して、木材12は、図1にも示すように、木目が長手方向と概ね平行となるように形取った柾目材である。図3は、木材12のB−B線断面の形状と、この断面における繊維成分の概要を示す図である。図3に示すように、木材12の繊維成分は、図3に示す二つの繊維成分f4およびf5のように、その大部分が木材12の長手方向と略平行な方向を指向し、その繊維成分の長さも場所によらずに略一様である。したがって、木材12の繊維成分の大部分が指向する方向の強度は場所によらず一様である。また、個々の繊維成分の長さが木材11の繊維成分の長さよりも長いので、少なくとも木材12の繊維成分の大部分が指向する方向の強度は、木材11の任意の方向の強度よりも高い。ここでいう「大部分」とは、全体に対して占める割合がそれ以外の部分よりも顕著に大きい部分のことであり、少なくとも全体の50%より大きく、全体の70〜80%より大きければさらに好ましい。 【0020】 なお、長方形をなす木材12の一つの表面の面積は、木材11が有する端面11tの外周を外縁とする平面の面積よりも大きい。これにより、後述する圧縮工程の間、木材11の端面11tが木材12の表面に当接した状態を保つことができ、端面11tを適確に圧縮することができる。 【0021】 木材11および12の原材料である無垢材10は、ヒノキ、ヒバ、桐、杉、松、桜、欅、黒檀、紫檀、竹、チーク、マホガニー、ローズウッドなどの中から、加工した木材の用途等に応じて最適なものを選択すればよい。また、木材11と木材12とは異なる種類の無垢材10から形取ってもよい。 【0022】 次に、木材11および12を大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で所定時間放置し、水分を過剰に吸収させることによって十分に軟化させる(軟化工程)。ここでいう高温高圧とは、温度が100〜230℃、より好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは180〜200℃程度であり、圧力が0.1〜3.0MPa(メガパスカル)、より好ましくは0.45〜2.5MPa、さらに好ましくは1.0〜1.6MPa程度の状態を指す。なお、上述した水蒸気雰囲気中で木材11および12を放置して軟化させる代わりに、例えばマイクロウェーブの如き高周波の電磁波によって木材11および12を加熱して軟化させてもよい。 【0023】 続いて、上述した軟化工程で十分に軟化した木材11および12を圧縮する(圧縮工程)、図4は、この圧縮工程の概要を示す図である。同図に示すように、木材11および12を圧縮する際には、木材12を木材11の窪んだ側の表面と対向するように重ね、一対の金型51および61によって一括して挟持し、所定の圧縮力を加える。図4で木材12の上方から圧縮力を加える金型51は、木材12の表面に当接する凸部52を備えたコア金型である。これに対し、図4で木材11の下方から圧縮力を加える金型61は、木材11の外側面を嵌入する凹部62を備えたキャビティ金型である。 【0024】 この圧縮工程では、軟化工程と同じ水蒸気雰囲気中で木材11および12を圧縮する。具体的には、金型51および61の少なくとも一方を他方に対して移動することによって木材11および12を挟持し、木材11および12を徐々に所定の3次元形状へ変形させる。以下では、説明の便宜上、金型51を下降させて金型61へ近づけていく場合を説明する。 【0025】 図5は、金型51が木材12に当接し始めた状態、すなわち木材11および12に金型51および61からの圧力が加わり始めた状態を示す図であり、図4に示す木材11および12、ならびに金型51および61のC−C線断面に相当する縦断面を示す図である。また、図6は、図5に示す状態から金型51をさらに下降させた状態を示す図である。なお、図5と同じ状態を図4のD−D線断面で見たときの図は、寸法や若干の形状の違いなどを除いて図5と同様である。また、図6と同じ状態を図4のD−D線断面で見たときの図も、寸法や若干の形状の違いなどを除いて図6と同様である。 【0026】 図5に示す状態から図6に示す状態へ遷移する過程で、木材11は、最初に皿の最も窪んだ部分の外側面が凹部62の中央部に当接し、その中央部から周辺部へ凹部62との接触面積を増やしながら徐々に変形していく。他方、木材12は、図5に示す状態から図6に示す状態へ遷移する過程で、凸部52に接触していない部分(周縁部分)が徐々に凸部52の方に近づくように変形していき、凸部52との接触面積を増やしていく。 【0027】 木材12の一つの表面の面積は、木材11が有する端面11tの外周を外縁とする平面の面積よりも大きいので、木材11が変形している最中、木材11の端面11tは木材12の下面に対して摺動しながら木材12からの圧縮力を受け続ける。このようにして木材12が木材11の端面11tを押圧しつづけることにより、圧縮工程の際に木材11が肉厚方向と直交する方向に伸張するのを抑制することができる。したがって、木材11の圧縮前後の形状変化が大きい場合であっても、圧縮時に木材11に過度の引張力が作用することがなくなり、適切な圧縮力に基づいた木材11の変形を実現することができる。その結果、圧縮によって木材11に割れ等が生じるのを防ぐことが可能となり、木材11および12を加工する際の歩留まりを向上させることができる。 【0028】 なお、木材11および12の種類によっては、摺動抵抗が許容範囲を超えて大きくなってしまう恐れもある。このような場合には、木材11の端面11tおよび/または木材12の下面にロウなどの潤滑剤を塗布し、摺動抵抗を小さくするようにしてもよい。 【0029】 引き続き圧縮工程について説明する。図6に示す状態から金型51を金型61へさらに近づけていくと、木材11の下面は金型61の凹部62の表面と密着した状態になる一方、木材12の上面は金型51の凸部52の表面と密着した状態となる。図7は、この密着した状態を示す図であって、圧縮による木材11および12の変形がほぼ完了した状態を示す図である。図7に示すように、木材11および12は、金型51および61から圧縮力を受けることにより、金型51と金型61との隙間に相当する3次元形状に変形する。この変形の過程で、木材11および12は、一方の木材の硬い部分が他方の木材の軟らかい部分に食い込むことによって一体化する。なお、木材11および12の種類や形状によっては、圧縮工程を行う前に、木材11と木材12との間に適当な接着剤を塗布しておいてもよい。なお、図7と同じ状態を図4のD−D線断面で見たときの図は、寸法や若干の形状の違いなどを除いて図7と同様である。 【0030】 図7に示す状態で木材11および12に対して所定時間(1〜数十分、より好ましくは5〜10分程度)圧縮力を加えた後、上記水蒸気雰囲気を解いて木材11および12を乾燥させ、金型51と金型61を離間させて圧縮を解除する。圧縮後の木材11および12の各肉厚は、圧縮前の肉厚の30〜50%程度となる。換言すると、この圧縮工程における木材11および12の圧縮率(圧縮による木材の肉厚の減少分ΔRとその木材の圧縮前の肉厚Rの比の値ΔR/R)は、0.50〜0.70程度である。 【0031】 なお、金型51および61の少なくとも一方を他方に対して移動する際には、適当な駆動手段を用いて金型51および/または61を電気的に移動させることにより、木材11および12に加わる圧縮力を調整するようにすればよい。また、金型51と金型61とをねじで連結し、このねじを手動または自動で締めることによって金型51を金型61に対して上下動させるようにしてもよい。 【0032】 以上説明した圧縮工程の後、一体化した木材11および12を所定の3次元形状に整形する(整形工程)。圧縮工程が終了した時点では、木材12の端部が木材11の端面11tを覆うだけでなく、木材11の外縁よりも外周方向へはみ出している(図7を参照)。このため、整形工程では、そのはみ出した部分を切削等によって削除したりすることにより、木材11および12の整形を行う。 【0033】 図8は、以上説明した木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の構成を模式的に示す斜視図である。また、図9は図8のE−E線断面図である。これら二つの図に示す圧縮木製品1は底面が平らな皿状をなしており、その底面として略長方形状の表面をなす主板部1aと、主板部1a表面の長手方向に略平行な2辺の各々からその主板部1aに対して所定の角度をなして延出する二つの側板部1bと、主板部1a表面の短手方向に略平行な2辺の各々からその主板部1aに対して所定の角度をなして延出する二つの側板部1cとを備える。この圧縮木製品1の肉厚はほぼ均一である。なお、図8のF−F線断面図は、寸法や若干の形状の違いなどを除いて図9(図8のE−E線断面図)と同様である。 【0034】 本実施の形態では、木材11の肉厚と木材12の肉厚とは等しい場合を図示しているが、両木材の肉厚の関係はこれに限定されるわけではなく、木材11および12の材質や必要な強度などに応じて適宜定めればよい。 【0035】 図10は、圧縮木製品1の一適用例を示す図であり、具体的には、圧縮木製品1から形成されるカバー部材によって外装されたデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。同図に示すデジタルカメラ100は、撮像レンズを含む撮像部101と、フラッシュ102と、シャッターボタン103とを備え、二つのカバー部材2および3によって外装されて成る。デジタルカメラ100の内部には、撮像処理等に関する駆動制御を行う制御回路、CCDやCMOS等の固体撮像素子、音声の入出力を行うマイクロフォンやスピーカ、および制御回路の制御のもと各機能部材を駆動する駆動回路を含み、デジタルカメラ100の機能を実現する各種電子的部材および光学的部材が収納されている(図示せず)。 【0036】 図11は、デジタルカメラ100の外装体をなすカバー部材2および3の概略構成を示す斜視図である。このうち、デジタルカメラ100の背面側を外装するカバー部材2は、圧縮木製品1の主板部1a、ならびに側板部1bおよび1cにそれぞれ対応する主板部2a、ならびに側板部2bおよび2cを備える。主板部2aには、画像情報や文字情報を表示するために液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイ等を用いて実現される表示部(図示せず)を表出する直方体形状の開口部201が形成されている。また、カバー部材2の側板部2bには、半円筒形状をなす切り欠き202が形成されている。 【0037】 他方、デジタルカメラ100の前面側を外装するカバー部材3は、圧縮木製品1の主板部1a、ならびに側板部1bおよび1cにそれぞれ対応する主板部3a、ならびに側板部3bおよび3cを備える。主板部3aには、撮像部101を表出する円筒形状の開口部301およびフラッシュ102を表出する直方体形状の開口部302が形成されている。また、このカバー部材3の側板部3bには、カバー部材2の切り欠き202と組み合わさってシャッターボタン103を表出する開口部231をなす半円筒形状の切り欠き303が形成されている。 【0038】 カバー部材2および3がそれぞれ有する開口部や切り欠きは、上述した整形工程の一環として切削または穿孔等によって形成すればよい。なお、ファインダを取り付けたり、操作指示入力ボタンを表出したりするための開口部や切り欠きをさらに設けてもよい。また、外部機器との接続用インタフェース(DC入力端子やUSB接続端子等を含む)を表出する開口部をさらに設けてもよい。加えて、デジタルカメラ100の内部に設けられるスピーカが発生する音声を外部に出力するために複数の小さい孔部から成る音声出力用孔部をさらに設けてもよい。 【0039】 なお、圧縮木製品1を外装体として適用可能な電子機器としては、デジタルカメラ100の他にも、携帯電話、PHSまたはPDA等の携帯型通信端末、携帯型オーディオ装置、ICレコーダ、携帯型テレビ、携帯型ラジオ、各種家電製品のリモコン、デジタルビデオなどがある。これらの携帯用小型電子機器に適用する場合の圧縮木製品1の肉厚としては、1.6〜2.0mm程度が好適である。 【0040】 以上説明した本発明の一実施の形態によれば、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で、曲面を含む形状をなす第1の木材と、平板状をなし、含まれる繊維成分の大部分が表面と略平行な方向を指向する第2の木材とを重ねて圧縮することにより、多様な木目模様を実現しつつも、成形が容易であり、強度の向上を図ることができる木材の加工方法を提供することができる。 【0041】 また、本実施の形態によれば、平板状をなす第2の木材を、皿状をなす第1の木材の窪んだ側の表面と対向するように重ねて圧縮することにより、第2の木材が第1の木材を裏打ちする効果を得ることができるため、第2の木材によって第1の木材の強度不足を適確に補うことが可能となる。 【0042】 さらに、本実施の形態によれば、皿状をなす第1の木材の周回して閉じた端面の外周を外縁とする平面の面積を、第2の木材の一つの表面の面積よりも小さくすることにより、第2の木材の一方の表面が、第1の木材の端面と当接した状態を保持しつつ両木材を圧縮することができるので、第1の木材の割れ等を防止することができ、成形を容易にするとともに、歩留まりを向上させることができる。 【0043】 ここまで、本発明を実施するための最良の形態を説明してきたが、本発明は、上述した一実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、平板状の第2の木材が柾目材である場合には、軟化工程で軟化した第2の木材に対し、圧縮工程の前に、軟化工程と同じ水蒸気雰囲気中で第2の木材の繊維成分が指向する方向と略直交する方向に圧縮力を加えて変形しておいてもよい。図12は、第2の木材である木材12に対する変形工程の一例としての前圧縮工程の概要を示す図である。木材12の繊維成分の大部分が、その長手方向に平行な方向を指向している。そこで、木材12の短手方向と平行な方向すなわち木材12の繊維成分の大部分が指向する方向と略直交する方向に圧縮力を加えることによって繊維の間隔を縮小する。 【0044】 上述した前圧縮工程を行うことにより、木材11(第1の木材)と重ねて圧縮工程を行う際に、木材12は繊維の間隔を元に戻そうとして短手方向へ自然に伸長していくため、木材12の図5等における下面と木材11の端面11tとが摺動する際の摺動抵抗を低減することができ、木材11の端面11tと木材12の下面との変形時の摺動をよりスムーズに行わせることができるので、圧縮の際の木材11および12の割れ防止の観点から見ても一段と好ましい。 【0045】 さらに、上述した前圧縮工程によって生じる木材12が元に戻ろうと伸長する作用は、圧縮工程において木材12が金型51や61の表面形状に倣って変形する際、その変形により外側湾曲面となる部分に働く大きな引張応力を必然的に担うことになる。したがって、木材12の当該部分に過剰な引張応力が作用することがなく、木材12の割れを防止する効果を得ることができる。 【0046】 なお、前圧縮工程を行う場合には、無垢材10から木材12を形取る代わりに、木材12を含む長い平板を形取ってもよい。この場合には、軟化工程と前圧縮工程とを行った後、長い平板を切削することによって複数の木材12を形成すればよい。 【0047】 また、本発明において、圧縮工程だけで第2の木材を平板の状態から異形の3次元形状に変形することが難しい場合には、軟化工程と同じ水蒸気雰囲気中で第2の木材を所定の形状に変形した後、第1の木材と重ねることによって圧縮工程を行うようにしてもよい(変形工程の第2例)。第2の木材を変形する際には、その第2の木材に圧縮力を加えてもよいし、圧縮力を加えずに変形のみ行うようにしてもよい。加えて第2の木材を変形する際には、金型を用いて変形してもよいし、それ以外の適当な治具を用いて変形してもよい。 【0048】 さらに、本発明で適用する第1の木材は板目材以外でもよく、柾目材、追柾材、または木口材などでもよい。これに対して、第2の木材として、表面に沿った繊維成分を有する板目材を適用してもよい。また、第1の木材の表面は木材11のように長方形でなくてもよく、その外周が楕円等の曲線をなしていてもよい。このように、本発明において加工対象の木材を原木からどのように形取るかは、その木材を用いて加工された結果物としての圧縮木製品の用途や、その圧縮木製品に対して要求する強度の他、圧縮木製品に付与すべき木目模様を考慮した上で決定すればよい。 【0049】 加えて、本発明では、第1のおよび第2の木材のうち、少なくともいずれか一方の表面であって他方の木材と対向する表面を炭化してもよい。これにより、圧縮木製品に導電層を形成することができるため、電子機器の外装体として適用する場合には、その外装体に、外観に全く影響を与えることなく電磁波防止機能を具備させることができるのでより好ましい。 【0050】 なお、本発明では、第1の木材や第2の木材をそれぞれ1枚の木材によって構成する代わりに複数の木材によって構成してもよい。特に、第2の木材を複数の木材によって構成する場合には、複数の木材の繊維方向が互いに交差するように積層させることによって強度を均一化することができるので、より大きな補強効果を得ることができる。 【0051】 以上の説明からも明らかなように、本発明は、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。 【図面の簡単な説明】 【0052】 【図1】本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法における形取工程の概要を示す図である。 【図2】第1の木材の繊維成分の概要を示す図である。 【図3】第2の木材の繊維成分の概要を示す図である。 【図4】本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法の圧縮工程の概要を示す図である。 【図5】本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法の圧縮工程において圧縮を開始した時点の状態を示す図である。 【図6】本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法の圧縮工程において木材が変形している途中の状態を示す図である。 【図7】本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法の圧縮工程で木材において木材の変形がほぼ完了した状態を示す図である。 【図8】本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の構成を示す斜視図である。 【図9】図8のE−E線断面図である。 【図10】本発明の一実施の形態に係る圧縮木製品によって外装されたデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。 【図11】図10に示すデジタルカメラの外装体の構成を示す斜視図である。 【図12】第1の木材に対して行う変形工程としての前圧縮工程の概要を示す図である。 【符号の説明】 【0053】 1 圧縮木製品 1a、2a、3a 主板部 1b、1c、2b、2c、3b、3c 側板部 2、3 カバー部材 10 無垢材 11 木材(第1の木材) 11t 端面 12 木材(第2の木材) 31、41、42、341 開口部 32、43 切り欠き 51、61 金型 52 凸部 62 凹部 100 デジタルカメラ 101 撮像部 102 フラッシュ 103 シャッターボタン 201、231、301、302 開口部 G 木目
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000376 【氏名又は名称】オリンパス株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月19日(2006.7.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089118 【弁理士】 【氏名又は名称】酒井 宏明
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| 【公開番号】 |
特開2008−23784(P2008−23784A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月7日(2008.2.7) |
| 【出願番号】 |
特願2006−197180(P2006−197180) |
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