トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 フロア用複合基材およびフロア材
【発明者】 【氏名】赤枝 幸一

【氏名】中村 清誠

【氏名】井上 聡子

【要約】 【課題】フロア材の複合基材における合板基材として、従来のラワン材に替えて、吸水力の高い人工林材の単板を積層した合板を用いても、吸水した水の染み出しによるフロア材の表面意匠性の低下が生じないようにする。

【解決手段】吸水力の高い人工林材の単板を積層した合板基材1と、その表面に貼着した木質繊維板3との間に、樹脂フィルムのような水分の通導を遮断する薄層2を設ける。そのフロア用複合基材4における木質繊維板3の上に薄手の突板のような表面化粧層5を積層してフロア材6とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工林材の単板を積層した合板基材と、その表面に貼着した木質繊維板との間に、水分の通導を遮断する薄層が設けられていることを特徴とするフロア用複合基材。
【請求項2】
水分の通導を遮断する薄層が樹脂フィルムによる層であることを特徴とする請求項1に記載のフロア用複合基材。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフロア用複合基材の木質繊維板の上に化粧層を積層してなるフロア材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フロア用複合基材とそれを用いたフロア材に関する。
【背景技術】
【0002】
フロア材の合板基材として従来からラワン合板が用いられている。近年、原木事情の悪化等によりラワンの入手が困難になってきており、代替え合板として、人工林材により製造される合板をフロア材の合板基材として用いることが検討されている。しかし、人工林材により製造される合板の中には、ラワン材と比べて吸水力が高く、また表面平滑性も劣っているものが存在する。
【0003】
一方、従来から、木材やフロア材が吸水するのを防止するために、その木口面に耐水性のワックスやパラフィン等を塗りつけることが行われており(例えば、特許文献1,特許文献2等参照)、その手段を採用することにより、人工林材により製造される合板を合板基材として用いるフロア材において、合板基材が吸水するのを抑制することができる。また、表面平滑性を向上させるために、合板基材の表面に中質繊維板(MDF)を貼着し、その上に化粧材を張り付けるようにしたフロア材も知られている(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−297262号公報
【特許文献2】特開2000−274054号公報
【特許文献3】特開2006−181823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人工林材により製造される合板基材の表面平滑性を向上させるために、合板表面に中質繊維板を貼着して複合基材とした場合、合板基材が吸水した水分が貼着した中質繊維板の表面に染み出ることがある。中質繊維板の表面に薄手の突板を化粧層として積層してフロア材とするような場合、その染み出しを突板で隠蔽することができず、フロア施工後に、フロア表面の意匠性を低下させる一因となる。
【0006】
耐水性のワックスやパラフィン等を合板基材の木口面等に塗り付けて、合板基材の吸水力を低下させ、合板基材の表面に貼着した中質繊維板に水が染み出るのを抑制することができる。しかし、フロア材の場合、フロア施工時に、各フロア材は接着剤を用いて床下地に貼り付けられるが、接着剤として水性接着剤を用いるときに、接着剤が付きにくくなり、充分な接着強度が得られないという問題が起こる。また、フロア材の木口面等へワックス等を塗布する作業は、一連のフロア製造工程への追加工程となり、作業効率の低下を招く。
【0007】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、人工林材の単板を積層した合板基材の表面に木質繊維板を貼着したフロア用複合基材において、木質繊維板表面への水の染み出しを抑制し、フロア表面の意匠性の低下を生じさせないようにしたフロア用複合基材およびフロア材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるフロア用複合基材は、人工林材の単板を積層した合板基材と、その表面に貼着した木質繊維板との間に、水分の通導を遮断する薄層が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
上記のフロア用複合基材では、合板基材が例えば木口面から吸水したとしても、吸水した水の木質繊維板への移動は、水分の通導を遮断する薄層により阻止されるので、貼着した木質繊維板に水の染み出しによる汚染が生じない。そのために、吸水力の高い人工林材の単板を積層した合板基材を、フロア材の基材として支障なく用いることができる。
【0010】
本発明によるフロア用複合基材において、合板用の単板を得るための人工林材の樹種に制限はなく、任意の人工林材を適宜用いることができる。一例として、バーチ材が挙げられる。合板基材の層数も任意であり、3プライ合板、5プライ合板、7プライ合板等であってよい。
【0011】
貼着する木質繊維板は、厚さ0.3mm〜5.0mm程度の中質繊維板(MDF)が好ましいが、他に、硬質繊維板のような木質繊維板であってもよい。0.3mm未満の木質繊維板は、充分な表面平滑性が得られない場合があり、好ましくない。5.0mmを超える木質繊維板は、表面平滑性を得るという目的からはオーバースペックであり、コスト高となる。
【0012】
本発明によるフロア用複合基材において、水分の通導を遮断する薄層は、水分の通導を遮断する機能を持つことを条件に任意の薄層であってよく、樹脂フィルムや金属板、あるいは、PURやホットメルト樹脂、等を用いることができる。処理のしやすさから、樹脂フィルムによる薄層であることは好適であり(請求項2)、樹脂フィルムの例としては、厚さ50μm〜500μm程度の、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、あるいはポリプロピレン(PP)フィルム等のポリオレフィン系フィルムが挙げられる。
【0013】
本発明は、また、上記のフロア用複合基材の木質繊維板の上に化粧層を積層してなるフロア材も開示する(請求項3)。前記のように本発明によるフロア用複合基材は、ベースとなる合板基材が吸水しても、その水が貼着した木質繊維板に染み出ることがないので、化粧層として、例えば薄付き化粧単板を貼り付けるような場合でも、その表面意匠性が損なわれることはなく、施工後のフロア表面は高い意匠性を長期にわたり維持することができる。
【0014】
また、本発明によるフロア材は、吸水しても表面意匠性を損なうことはないので、フロア施工時に、吸水を防止するために木口面に耐水性のワックス等を塗布する等の手段を講じる必要はない。そのために、ワックス塗布という余分な作業工程を無くすことができ、かつ水性接着剤を用いて強固に床下地に接着することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フロア材の複合基材における合板基材として、従来のラワン材に替えて人工林材の単板を積層した合板を、表面意匠性を低下させることなく用いることが可能となり、環境保全の要請にも答えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を実施の形態により説明する。図1は本発明によるフロア用複合基材およびフロア材の一例を示す概略図である。
【0017】
図において、1は例えばバーチ材である吸水力の高い人工林材の単板を5層に積層した5プライ合板であり、その表面に水分の通導を遮断する薄層2が積層され、該薄層の上に例えば中質繊維板である木質繊維板3が貼着されることにより、本発明でいうフロア用複合基材4とされている。前記薄層2は、例えば、厚さ100μm程度の両面にコロナ放電処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が用いられ、例えば変性酢酸ビニル系樹脂を塗布し冷圧して、合板基材1の表面に積層される。木質繊維板3の厚さは例えば1.0mm程度であり、例えば変性酢酸ビニル系樹脂を塗布し冷圧して、前記水分の通導を遮断する薄層2の表面に積層される。
【0018】
上記のような積層構造を持つフロア用複合基材4の前記木質繊維板3の表面に、例えば尿素メラミン樹脂および変性酢酸ビニル樹脂との混合樹脂を塗布し、例えば薄手の突板を表面化粧層5として熱圧着することにより、本発明でいうフロア材6とされる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明がこの実施例のものに限らないことは当然である。
[実施例]
試験用合板として、長さ300mm、幅300mm、厚さ12mmの、バーチ材の単板からなる5プライ合板を用いた。合板の表面に、厚さ100μmの両面にコロナ放電処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを、変性酢酸ビニル系樹脂を塗布し冷圧して積層した。その上に、厚さ1.0mmの中質繊維板を変性酢酸ビニル系樹脂を塗布し冷圧して積層した。そのようにして得たフロア用複合基材の前記中質繊維板の上に、厚さ0.3mmであるナラ材の突板を、尿素メラミン樹脂および変性酢酸ビニル樹脂との混合樹脂を塗布し熱圧着して積層し、試験用フロア材とした。
10個の試験用フロア材を、20℃温水24時間浸漬する吸水試験を行い、突板表面の変化を目視により観察した。試験用フロア材の4つの周辺から中央に向かって、平均10mm程度の水の染み出しによる色彩の変化が観察された。
【0020】
[比較例]
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを配置しない点を除き、実施例と同じようにして試験用フロア材を作り、その10個について実施例1と同様の吸水試験を行って、突板表面の変化を目視により観察した。試験後のフロア材には、合板甲板面の繊維方向に沿う形で、試料の両端部より試料内部に向かって平均50mm程度にわたる水の染み出しによる色彩の変化が観察された。
【0021】
[評価]
木口面からの吸水に起因する突板表面の変化は、本発明による試験用フロア材では比較例のものよりも1/5程度に小さくなっており、本発明による試験用フロア材において、合板基材とその表面に貼着した木質繊維板との間に、水分の通導を遮断する薄層(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムによる層)を設けた効果が確認される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるフロア用複合基材およびフロア材の一例を示す概略図。
【符号の説明】
【0023】
1…人工林材の単板を5層に積層した5プライ合板(合板基材)、2…水分の通導を遮断する薄層、3…木質繊維板、4…フロア用複合基材、5…表面化粧層、6…フロア材
【出願人】 【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
【出願日】 平成19年3月20日(2007.3.20)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔

【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男

【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康


【公開番号】 特開2008−230029(P2008−230029A)
【公開日】 平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願番号】 特願2007−72378(P2007−72378)