トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 立体模様化粧材の製造方法
【発明者】 【氏名】川勝 四十六

【要約】 【課題】模様崩れを殆ど生じさせることなく立体感に富んだ地模様の化粧用材を高能率かつ安価に量産することができる高級な立体模様化粧材の合理的製造方法を提供する。

【解決手段】シート生地(若しくは突き板木目模様等の印刷シート生地、又は天然木目の木製突き板シート)への積層塗膜塗装加工と、積層塗膜シート生地の基材貼付加工と、エンボス加工と、エンボス加工によって塗料積層部に形成された凹凸の輪郭模様の凸状部分から所望の塗層色(又はシート生地の地色、地肌)を研ぎ出し、研ぎ出された塗層の色彩、あるいは研ぎ出された地肌により基材表面に立体模様を現出させるというという弾性バフによる研磨加工手段を採用した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の靱性を有するシート生地に、このシート生地とは色調を異にする合成樹脂系塗料を少なくとも一層以上塗布硬化させて塗膜層部を形成し、こうして塗膜層部が形成されたシート生地を基材表面に拡布状に貼着し、ついで、この基材表面に貼着されたシート生地の塗膜層部にエンボス加工を施して当該エンボス型の彫厚に応じた凹凸の輪郭模様を型付けし、然る後、凹凸の輪郭模様が形成された塗膜層部の凸状部分を、周囲が可撓性の研磨体で構成された弾性バフを回転接触させることにより徐々に磨滅させて、前記凹凸の輪郭模様の凸状部分を形成している塗膜層部の中から目安とする目標の塗膜色を研ぎ出すことによって、その研ぎ出された塗膜色の近辺も相応に研磨されて当該基材表面に色分け立体模様を現出させることを特徴とする立体模様化粧用材の製造方法。
【請求項2】
所要の靱性を有し、かつ、印刷模様の施されたシート生地の表面に、このシート生地の印刷色とは色調を異にする合成樹脂系塗料を少なくとも一層以上塗布硬化させて塗膜層部を形成し、こうして塗膜層部が形成されたシート生地を基材表面に拡布状に貼着し、ついで、この基材表面に貼着された生地の塗膜層部にエンボス加工を施して当該エンボス型の彫厚に応じた凹凸の輪郭模様を型付けし、しかる後、凹凸の輪郭模様が形成された塗膜層部の凸状部分を、周囲が可撓性の研磨体で構成された弾性バフを回転接触させることにより徐々に磨滅させて、前記凹凸の輪郭模様の凸状部分を形成している塗膜層部の中から目安とする目標の塗膜色、又はシート生地に施されている印刷模様輪郭の印刷模様を研ぎ出し、研ぎ出された塗膜近辺も相応に研磨され、又は研ぎ出された印刷模様の近辺を相応に研磨させて当該基材表面に色分け立体模様を現出させることを特徴とする立体模様化粧用材の製造方法。
【請求項3】
不織布又は紙などの靱性シートにて裏打ちされた木目模様を有する木製突き板シート、又は印刷木目を有する印刷突き板シートの表面に、これら突き板シートとは色調を異にする合成樹脂系塗料を少なくとも一層以上塗布硬化させて塗膜層部を形成し、こうして塗膜層部の形成された前記シート生地を基材表面に拡布状に貼着し、ついで、この基材表面に貼着された生地の塗膜層部にエンボス加工を施して当該基材表面に前記エンボス型の彫厚に応じた凹凸の輪郭模様を型付けし、しかる後、凹凸の輪郭模様が形成された塗膜層部の凸状部分を、周囲が可撓性の研磨体で構成された弾性バフを回転接触させることにより徐々に磨滅させて、前記凹凸の輪郭模様の凸状部分を形成している塗膜層部の中から目安とする目標の塗膜色、又は突き板シート生地の木地色を研ぎ出し、研ぎ出された塗膜の近辺も相応に研磨され、又は研ぎ出された木地色近辺も相応に研磨されて当該基材表面に色分け木目模様を立体的に現出させることを特徴とする立体模様化粧用材の製造方法。
【請求項4】
基材として、ミディアム・デンシティー・ファイバーボードを使用することを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載された立体模様化粧用材の製造方法。
【請求項5】
基材として、火山性ガラス質複層板を用いることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載された立体模様化粧用材の製造方法。
【請求項6】
基材として、発泡合成樹脂板を用いることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載された立体模様化粧用材の製造方法。
【請求項7】
エンボス加工により型付け形成された塗膜層部の凸状部分を、砥粒付き弾性研磨体によって研ぎ出し加工することを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載された立体模様化粧用材の製造方法。
【請求項8】
弾性バフとして、研磨布材を回転コァ軸の周囲に放射状に植設したフラップバフを使用することを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載された立体模様化粧用材の製造
方法。
【請求項9】
エンボス加工により塗膜層部に型付け形成された凹凸の輪郭模様の凸状部を研磨することにより、研ぎ出された塗膜、シート生地の印刷模様、又は木目模様の上に透明又は半透明の樹脂を塗装することを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載の立体模様化粧用材の製造方法。
【請求項10】
エンボス加工により塗膜層部に型付け形成された凹凸の輪郭模様の凸状部を研磨することにより研ぎ出された塗膜の色彩、シート生地の印刷模様、又は木目模様に対し、ポリッシング処理を施すことを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載の立体模様化粧用材の製造方法。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、立体模様化粧材の製造方法に関し、更に詳しくは、模様崩れのない立体感に富んだ地模様の高級な化粧用材を工業的に量産することができる新方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
立体模様を有する化粧材については、嘗て、本件発明者は、素地シートに所定形状サイズの切取開口部を形成し、この切取開口部と合同形状に裁断された異種の素地シートの切片から成る少なくとも一種類の象嵌素型をピッタリ嵌込んで接着させた象嵌模様シートを平面状又は曲面状の基体表面に接着することにより、精巧で高級な材質感に富んだ象嵌模様のインレイ化粧材を製造する方法を提案し、既に特許を受けている(特許文献1)。
【0003】
先に本件発明者の提案した「インレイ化粧材の製造方法」によれば、なるほど、高級な材質感に富んだ斬新な意匠効果のインレイ化粧材を得ることが可能とはなった(特許文献1=段落[0049]〜[0051]参照)のではあるが、象嵌素型の作製、作製した象嵌素型の素地シートの切取開口部への嵌込みに特別な装置を用いなければならないため製造コストが高くならざるを得ず、そのうえ生産性も上がらないという難点があった。
【0004】
また一方、象嵌調の化粧板を製造する他の技術としては、板状基材の表面に象嵌の基調色の着色層を形成し、次に透明性の優れた凸模様層をスクリーン印刷で形成し、更に全表面に着色塗料層を2層以上形成した後、前記凸模様層が露出するまで研磨し全面に透明なトップコートを塗布するという「象嵌調化粧板の製造方法」も提案されている(特許文献2=請求項1参照)。
【0005】
この方法によれば、象嵌模様の背景となる基調色を自由に選ぶことができるとともに、その上に形成される凸模様層にはスクリーン印刷法を利用するので、化粧板全体としてのデザインの自由度は相当に高い。
【0006】
ところが、上記特許文献2記載の象嵌化粧板の製造方法にあっては、次のような問題があった。
a.印刷後のインキの乾燥に時間を要するため量産性に制約があること。
b.スクリーン孔版枠を使用するために連続模様を表現するのに不向き。
d.スクリーン印刷により形成した凸模様およびその周囲全体を着色塗料により2層以上 塗込めてから凸模様が露出するまで当該被覆塗料層を研磨除去して凸模様を露出させ ねばならないため廃棄塗料インク量が大きく、デッドコストが嵩む。
【0007】
【特許文献1】特許第3532058号公報
【特許文献2】特許第2527205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、立体模様を有する化粧用材を従来の技術を用いて製造しようとすると前述のごとき難点があったことに鑑みて為されたものであって、その解決しようとする技術的課題は、模様崩れを殆ど生じさせることなく立体感に富んだ地模様の化粧用材を高能率かつ安価に量産することができる高級な立体模様化粧材の合理的製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が上記技術的課題を解決するために採用した手段を説明すれば、次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、上記課題を解決のため、所要の靱性を有するシート生地に、このシート生地とは色調を異にする合成樹脂系塗料を少なくとも一層以上塗布硬化させて塗膜層部を形成し、こうして塗膜層部が形成されたシート生地を基材表面に拡布状に貼着し、ついで、この基材表面に貼着されたシート生地の塗膜層部にエンボス加工を施して当該エンボス型の彫厚に応じた凹凸の輪郭模様を型付けし、然る後、凹凸の輪郭模様が形成された塗膜層部の凸状部分を、周囲が可撓性の研磨体で構成された弾性バフを回転接触させることにより徐々に磨滅させて、前記凹凸の輪郭模様の凸状部分を形成している塗膜層部の中から所望の塗膜色を研ぎ出し、研ぎ出された塗膜の色彩により基材表面に色分け立体模様を
現出させるという加工手段を施すことによって立体模様化粧用材を製造するようにした点に特徴がある(以下、「第1発明方法」と略称)。
【0011】
また、本発明は、上記課題解決のため、所要の靱性を有し、かつ、印刷模様の施されたシート生地の表面に、このシート生地の印刷色とは色調を異にする合成樹脂系塗料を少なくとも一層以上塗布硬化させて塗膜層部を形成し、こうして塗膜層部が形成されたシート
生地を基材表面に拡布状に貼着し、ついで、この基材表面に貼着された生地の塗膜層部にエンボス加工を施して当該エンボス型の彫厚に応じた凹凸の輪郭模様を型付けし、しかる後、凹凸の輪郭模様が形成された塗膜層部の凸状部分を、周囲が可撓性の研磨体で構成された弾性バフを回転接触させることにより徐々に磨滅させて、前記凹凸の輪郭模様の凸状部分を形成している塗膜層部の中から所望の塗膜色、又はシート生地に施されている印刷模様輪郭の印刷模様を研ぎ出し、研ぎ出された塗膜の色彩、又は研ぎ出された印刷模様により基材表面に色分け立体模様を現出させるという加工手段を施すことによって立体模様化粧用材を製造するようにした点に特徴がある(以下、「第2発明方法」と略称)。
【0012】
さらに、本発明が上記課題解決のため、不織布又は紙などの靱性シートにて裏打ちされた木目模様を有する木製突き板シート、又は印刷木目を有する印刷突き板シートの表面に、これら突き板シートとは色調を異にする合成樹脂系塗料を少なくとも一層以上塗布硬化させて塗膜層部を形成し、こうして塗膜層部の形成された前記シート生地を基材表面に拡布状に貼着し、ついで、この基材表面に貼着された生地の塗膜層部にエンボス加工を施して当該基材表面に前記エンボス型の彫厚に応じた凹凸の輪郭模様を型付けし、しかる後、凹凸の輪郭模様が形成された塗膜層部の凸状部分を、周囲が可撓性の研磨体で構成された弾性バフを回転接触させることにより徐々に磨滅させて、前記凹凸の輪郭模様の凸状部分を形成している塗膜層部の中から所望の塗膜色、又は突き板シート生地の木目色を研ぎ出し、研ぎ出された塗膜の色彩、又は研ぎ出された木目模様により基材表面に色分け木目模様を立体的に現出させるという加工手段を施すことによって立体模様化粧用材を製造するようにした点に特徴がある(以下、「第3発明方法」と略称)。
【0013】
そこで、本発明が採用した技術手段について、注釈しておくと、次のとおりである。
(1) 第1発明方法において、「所要の靱性を有するシート生地」としては、エンボス加 工の際に破れない程度の強度を有していることが必要であり、合成樹脂フィルム、 紙、不織布、織物地、編物地などの可撓性面状材を採用することができる。
(2) 第2発明方法において、「印刷の施されたシート生地」としては、グラビア印刷、 凸版印刷その他周知の印刷法によって所要の模様が印刷された合成樹脂フィルム、 紙、布帛(不織布、織物地、編物地)など種々の可撓性シート状物を用いるものと する。
(3) 第3発明において、「不織布様シートに裏打ちされた木目模様の木製突き板、又は 印刷木目を有する印刷突き板」としては、ナラ、ケヤキ、桜、ラワン、ローズウッ ド、ウォールナットなどの天然銘木を薄くスライスした天然木目模様の突き板や、 積層一体化された木材の薄板を貫層方向にスライスして当該積層薄板の断層面が呈 する木目模様の人工突き板、あるいは前記銘木の木目を写真製版して上記(1)の合 成樹脂シートなどに印刷した人工突き板を用いることができる。
(4) また第1〜第3発明方法において、シート生地の表面に塗布して硬化させ塗膜層部 を形成する塗料としては、付着力が強くて撓み性の良好なアルキド樹脂塗料や、ポ リウレタン樹脂を主剤とするウレタン塗料など従来周知の合成樹脂系塗料を種々選 択することができる。
(5) 次いで、第1〜第3発明方法において、基材としては、建材、建具用材、家具用材 として必要とされる剛性と靱性とを有しておれば足りる。もっとも、表面に貼着した シート生地や突き板シート上に形成した塗料積層部に対して後述のエンボス加工に際 しては、熱圧加工することもあるので、ある程度の耐熱性を有していることがよく、 例えば、通常の木材の他、MDF(medium density fiber board)の如き木材繊維板材 、発泡合成樹脂板材、火山性ガラス質複層板材など従来建築材料や建具・家具の材料 として使用されているものを採択するものとする。
(6) シート生地Sを拡布状に貼着した基材にエンボス加工を施すに際しては、基材の材 質によっては常温下での冷間押圧(圧延加工、型打ち加工、プレス加工)も可能で はあるが、好ましくは、エンボスの凹凸差が大きくなるように基材と塗料積層部の 双方が可塑化する程度の温度で加熱して熱圧成形するものとする。
(7) 表面のシート生地にエンボス加工が施された基材における形成された凸状部を研磨 するに際しては、一般的なバフ研磨を適用することが可能であるが、好ましくは、 フラップホィールに弾性研磨体を装着して、その周囲に炭化珪素系の砥粒を含む
不織布を巻き付けて凸状部部分を回転研磨するものとし、そうすると必要な箇所を 適切に研磨することが可能である。
(8) 基材表面のシート生地上の塗膜層部に形成された凹凸状の模様輪郭の凸状部分を
磨滅させることによって露出された塗膜の色彩、もしくはシート生地の印刷模様、 または木目模様の上には、透明又は半透明の樹脂5を塗装してトップコートを施す か、あるいはポリッシング処理を施して光沢を付与するものとする。
【発明の効果】
【0014】
本件請求項1・2に係る第1および第2発明方法によれば、シート生地(又は印刷シート生地)への塗膜塗装加工と、塗膜シート生地の基材への貼付加工と、エンボス加工と、エンボス加工によって塗膜層部に形成された凹凸の輪郭模様の凸状部分から所望の塗膜色(又はシート生地に施されている印刷模様輪郭の印刷模様)を研ぎ出し、研ぎ出された塗膜の色彩、あるいは研ぎ出された印刷模様により基材表面に色分け立体模様を現出させるというという弾性バフによる研磨加工手段を採用したので、立体感に富んだ色分け立体模様の化粧用材を殆ど模様崩れを殆ど生じさせることなく、高能率かつ安価に量産することが可能になった。
【0015】
また、本件請求項3に係る第3発明方法によれば、木目模様の木製突き板シート(又は印刷木目を有する印刷突き板シート)への塗膜塗装加工と、塗膜シート生地の基材への貼付加工と、エンボス加工と、エンボス加工によって塗膜層部に形成さた凹凸の輪郭模様の凸状部分から所望の塗層色(又は突き板シート生地の前記天然木目、木層木目、又は印刷の木目)を研ぎ出し、研ぎ出された塗膜の色彩、又は研ぎ出された天然木目、木層木目もしくは印刷の木目により基材表面に色分け木目模様を立体的に現出させるという加工手段を採用したので、恰も、漆工芸による木目塗りを施したように奥行きと高級感のある立体模様の化粧用材を殆ど模様崩れを殆ど生じさせることなく、高能率かつ安価に量産することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明者が実際に本発明を適用して実施した実施例を挙げて、更に詳しく本発明方法説明するものとする。
【実施例】
【0017】
[実施例1]
和紙(60g/m2)にSBR樹脂 (styrene butadiene rubber) を含浸させて茶色のシート生地を作製した。
【0018】
そして、このシート生地の表面には、ロールコーターにより塗料を重ね塗りして下地塗層と上地塗層とから成る二層の塗膜層部を形成する。ちなみに、前記下地塗層として塗布された塗料は、ポリウレタン樹脂を主剤とし、これに酸化アルミニウム(♯400)を5w%添加して調製したものであり、これを20g/m2の量で均等に塗布した。他方、前記上地塗層として塗布された塗料は、ポリウレタン樹脂を主剤とし、これにブラウン系着色顔料を2w%添加して調製し、これを10g/m2の量で均等に塗布した。こうして、塗膜層部が形成されたシート生地は、基材である火山性ガラス質複層板(厚さ=6mm、幅=470mm、長さ=2450mm)上にエチレン酢酸ビニール系接着剤を介し拡布状に皺のない状態に面着した。
【0019】
上記のようにシート生地を貼着した火山性ガラス質複層板の基材は、プレス面に円弧形の波紋が連続するが如き鋸歯状の凹凸の彫刻模様が刻設された熱圧平板金型(電熱ヒータ内蔵)を用いて加熱プレスによりエンボス加工を施す。この平板金型には、型面のセンターラインから両側にわたり波紋形の彫刻模様が凹凸状に刻設されており、当該平板金型は前記鋸歯状の彫刻模様が基材表面のシート生地上を押圧して塗膜層部を適宜に軟化させて前記波紋形の彫刻模様が前記基材表面のシート生地上を押圧し塗膜層部と共に基材を適宜に軟化させて、プレス面の鋸歯状の彫刻模様をシート生地と基材に減り込ませる。本実施例では、凹凸型の凹凸差は0.8 mmであり、130 ℃の温度下で20 kg/cm2の圧力により60 sec間押圧した。
【0020】
次いで、熱圧平板金型によりエンボス加工の施された上記加工基材は、シート生地に
おける塗膜層部における凸状部を、研磨布材を回転コァ軸の周囲に放射状に植設したフラップバフにより緩衝的に研磨することによって前記凸状部を形成している塗膜層部の中に隠れている目的の色彩の塗層が露出するまで研磨する。すると、所々に深層研磨が生じて、
茶色のシート生地色が露出する。本実施例1においては、布帛製フラップ(不織布)を回転コァの周囲に放射状に植設してフラップホィールとなし、かつ、各フラップには幅方向にスリットを小幅に刻み込んで炭化珪素系の砥粒を含ませたバフ盤(柳瀬株式会社製)を周速1000m/min で回転させながら10m/minで移動させて凸状部分を研磨し目安とする目標の塗膜色を研ぎ出したところ、その研ぎ出された塗膜色の近辺も相応に研磨されて模様崩れの全くないアンチークな円弧形の鋸歯状の波紋が連続した立体模様の化粧用材が得られた(図1の写真参照)。
【0021】
[実施例2]
まず、和紙(60g/m2)にSBR樹脂 (styrene butadiene rubber) を含浸させてシート生地を作製する。この和紙の表面には、木色調のグラビア印刷してある。
【0022】
次に、このシート生地の表面には、ロールコーターにより塗料を重ね塗りして下地塗層と上地塗層とから成る二層の塗膜層部を形成する。本実施例でも上記実施例1と同様に、前記下地塗層として塗布した塗料は、ポリウレタン樹脂を主剤とし、これに酸化アルミニウム(♯400)を5w%添加して調製したものであり、これを20g/m2の量で均等に塗布した。他方、前記上地塗層として塗布された塗料は、ポリウレタン樹脂を主剤とし、これにブラウン系着色顔料を2w%添加して、これを10g/m2の割合で均等に塗布した。こうして、塗膜層部が形成されたシート生地は、基材であるMDF木材繊維板(厚さ=9mm、幅=1220mm、長さ=2440mm)上の表面にエチレン酢酸ビニール系接着剤を介し拡布状に皺のない状態に面着した。
【0023】
シート生地を貼着したMDF基材には、プレス面に寄せ木状の彫刻模様が施された熱圧平板金型(電熱ヒータ内蔵)を用い加熱プレスをして熱圧エンボス加工を施す。この際、前記基材表面のシート生地上を押圧することになるが、基材は適宜に加熱して塗膜層部を軟化させ、プレス面の彫刻模様をシート生地と基材にも減り込ませる。本実施例では、前記平板金型における凹凸型の凹凸差は0.8mmであり、130℃の温度下で20kg/cm2の圧力により60 sec間押圧した。
【0024】
かくして、熱圧平板金型により熱圧エンボス成形の施された上記加工基材は、熱圧平板金型によるホットプレスによる凹凸彫刻模様の減込み作用により刻捺されて基材上のシート生地面に寄せ木状の凹凸エンボスが形成される。そこで、寄せ木状の凹凸エンボスが形成された基材シート生地の凸状部を、塗膜層部における凸状部を、研磨布材を回転コァ軸の周囲に放射状に植設したフラップバフによって緩衝的に研磨することにより、前記凸状部を形成している塗膜層部の中に隠れている目的の色彩の塗層が露出するまで研磨する。すると、所々に深層研磨が生じて、和紙シート生地の木色調グラビア印刷部の色彩が露出する。そして、本実施例2では、布帛製フラップ(不織布)を回転コァの周囲に放射状に植設してフラップホィールとなし、かつ、各フラップには幅方向にスリットを小幅に刻み込んで炭化珪素系の砥粒を含ませたバフ盤(柳瀬株式会社製)を周速1000m/min で回転させながら10m/minで移動させて凸状部分を研磨し目安とする目標の塗膜色を研ぎ出したところ、その研ぎ出された塗膜色の近辺も相応に研磨されて正方形の木目板を千鳥状に寄せ張りしたような外観の整然とした感じの立体模様の化粧用材が得られた(図2の写真参照)。
【0025】
[実施例3]
実施例3では、突き板シートとして、天然木ニレの突き板を採用しており、その裏面は不織布によって裏打ちされている。
【0026】
このシート生地の表面には、実施例1と同様に、ロールコーターにより塗料が重ね塗りされて下地塗層と上地塗層とから成る二層の塗膜層部が形成されている。本実施例では前記下地塗層として塗布された塗料は、ポリウレタン樹脂を主剤とし、これに酸化アルミニウム(♯400)を5w%添加して調製したものである。また、下地塗層として使用した塗料の塗布量は、20g/m2である。他方、前記上地塗層として塗布された塗料は、ポリウレタン樹脂を主剤とし、これに朱色系着色顔料を2w%添加して調製されている。上地塗層として使用した塗料の塗布量は、10g/m2である。こうして、塗膜層部が形成されたシート
生地は、火山性ガラス質複層板(厚さ=6mm、幅=470mm、長さ=2450mm)を基材として、当該基材面に拡布状に皺なく貼着される。
【0027】
シート生地を貼着した上記基材には、プレス面に彫刻模様が施された熱圧平板金型(電熱ヒータ内蔵)を用いて加熱プレスによりエンボス加工を施す。この平板金型には、プレス面にニレの板目模様の凹凸の彫刻模様が刻設されてあって、当該平板金型は板目模様の凹凸彫刻模様が基材表面のシート生地上を押圧して塗膜層部を適宜に軟化させて、プレス面の前記彫刻模様をシート生地(天然木ニレの突き板)および基材を加圧する。これに
より、熱圧平板金型プレス面の前記板目模様の凹凸彫刻は上記天然木のニレ突き板と基材に減り込む。本実施例においては、熱圧平板金型における凹凸型の凹凸差は0.8mmであり、130℃の温度下で20kg/cm2の圧力にて60 sec間押圧した。
【0028】
次いで、エンボス加工の施された上記加工基材は、熱圧平板金型の凹凸彫刻模様が減込み作用により刻捺されて基材上のシート生地面にニレの板目模様の凹凸の彫刻模様が形成される。そこで、前記板目模様の凹凸彫刻模様が形成された基材上のシート生地の凸状部を、前記凸状部を形成している塗膜層部の中に隠れている目的の色彩の塗層が露出するまで研磨する。すると、所々に深層研磨が生じて、上記突き板を形成するニレの木地が部分的に露出する。本実施例3では、布帛製フラップ(不織布)を回転コァの周囲に放射状に植設してフラップホィールとなし、かつ、各フラップには幅方向にスリットを小幅に刻み込んで炭化珪素系の砥粒を含ませたバフ盤(柳瀬株式会社製)を周速1000m/min で回転させながら10m/minで移動させて凸状部分を研磨し目安とする目標の塗膜色を研ぎ出したところ、その研ぎ出された塗膜色の近辺も相応に研磨されて天然木の質感に富んだニレの板目模様の化粧用材が得られた(図3の写真参照)。
【0029】
本明細書および図面において具体的に例示する実施例は概ね以上のとおりであるが、本発明は前述の実施例に限定されるものでは決してなく、特許請求の範囲の記載内において種々の設計変更が可能であることは云うまでもなく、例えば、次に列挙する付加変更例は、当然に本発明の技術的範囲に属する。
(1) 前述の実施例1〜実施例3においては、塗膜層部は下地塗層と上地塗層との2層に よって形成したが、2層以上の様々な色彩の塗料層によって多重の塗料積層部を構成 することもできる。
(2) 凸状部を研磨削去したシート生地の印刷模様または木目模様の上に透明または半透 明のトップコートを施すこともあり、また、あるいはポリッシング処理を施して光沢 を強化することもできる。
(3) 前述の実施例1〜3においては、熱圧平板金型(電熱ヒータ内蔵)を用いてエンボ ス加工を施す適用例を挙げて説明しているけれども、エンボスロールによるエンボス 加工も勿論適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、立体感に富んだ地模様の化粧用材立体模様を殆ど模様崩れを殆ど生じさせることなく、高能率かつ安価に量産することができるので、本発明によって製造される化粧用材は、建築用として、さらに建具・家具用として、その産業上の利用価値は頗る大きい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、実施例1の方法により加工された円弧形の鋸歯状の波紋が連続した立体模様の化粧用材を撮影した写真である。
【図2】図2は、実施例2の方法により加工された正方形の木目板を千鳥状に寄せ張りしたような外観の立体模様の化粧用材を撮影した写真である。
【図3】図3は、実施例3の方法により加工されたニレ板目模様をなす立体模様の化粧用材を撮影した写真である。
【出願人】 【識別番号】593018219
【氏名又は名称】アーム工業株式会社
【出願日】 平成18年10月25日(2006.10.25)
【代理人】 【識別番号】100076484
【弁理士】
【氏名又は名称】戸川 公二


【公開番号】 特開2008−105256(P2008−105256A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−289954(P2006−289954)