トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 木粉入り酢酸ビニルエマルジョン接着剤
【発明者】 【氏名】山村 憲司

【要約】 【課題】板と板の接合をする際生じる隙間を埋めたり、また板材の瑕疵、窪み穴等を埋めるのに、接着剤を注入するか、隙間や穴の形状と同じ木材片を加工し埋めているが、接着剤のみの注入の場合、美観を損ね、接着強度の低下、鉋がけの不調、さらには、その表面に塗装する場合も接着不良の問題を抱えているし、また木材片を埋める方法の場合は、加工形状に制約があったり、手間もかかる。

【構成】木材粉を接着剤に所定の割合で均等分散させた混合接着剤を使用することにより、板と板の接合時に生じる隙間を埋めるにも、板材の瑕疵を埋めたり、釘・木ねじ・ボルト等の頭の沈み込み跡穴を埋めたりするにも、木質の持つ利点を生かしつつ、手間もかからず、いかなる窪み形状もいとわずに修復できる。また、鉋がけも塗装も、木材と同じように出来る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木粉(1)を、適当な比率で、酢酸ビニルエマルジョン接着剤(2)等にあらかじめ比較的均等分散させて木材に近い保湿・吸水・乾燥の繰り返しを可能にした木粉入り接着剤。
【請求項2】
木片と木片を突き合わせた場合に、あるいは重ねた場合に生じる隙間を埋める際の接着強度は、厚いほど樹脂の動的粘弾性に依存し低下する傾向にあるが、酢酸ビニルエマルジョン接着剤(2)等に、木粉(1)を適当な比率であらかじめ分散させておくことによって隙間を埋めても強度が落ちない接着剤。
【請求項3】
木材を製材すると、節穴があらわれたり、切断時に虫食い部が表れたり、あるいは板加工時に真直性、平滑性等が損なわれたりする場合がある。資源の有効利用のためにそれらを使って木工組み立て品を作る場合、そのような加工木材の瑕疵を補うために、酢酸ビニル接着剤(2)等に、粒径、形状、木質を勘案した木粉(1)を適当な比率で分散させ、元の木材の風合いを回復させ、鉋加工、塗装膜(4)密着性保持等も可能ならしめることを目的とした、接着剤と隙間充填材の機能を併せ持った接着剤。
【請求項4】
檜、けや木、もみ、杉等指定木材木粉を比較的均等分散させた接着剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、木工製品用木材製材時に生じる木材の瑕疵や節穴及び寸法不具合を埋め合わせるため、木材の風合い・塗装特性・保湿性・吸水性等木材特質を残し、しかも接着強度を保持するために木粉を混ぜ合わせた酢酸ビニルエマルジョン接着剤に関する。
【技術背景】
【0002】
木材の瑕疵、穴及び寸法不具を埋め合わせるために、接着樹脂を空間容積分注入したり、瑕疵、穴、隙間埋め用木材片を作り、圧入もしくは木工用接着剤で止めている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
板面と板面の接着、板面と板断面との接着、板断面と板断面の突き合わせ接着等で、酢酸ビニルエマルジョン接着剤は有効なものとして多用されている。しかし、板材には、時として節穴や虫食い跡、腐食跡等瑕疵がある。また、釘や木ねじまたボルト締め等を沈み込ませて窪み穴状痕跡を残す場合がある。さらに製材時、設計の寸法通りに、また直角をはじめ角度通りに切断されない場合があるが、その材を使用して木工製品を組み立て作成するとき隙間が発生する。以上のような瑕疵、窪み穴、隙間等は、美観を損なったり、接着強度が落ちたりする。また、接着剤だけで穴、隙間を埋めたりすると、木材特有の保湿・吸水効果を損なったり、鉋がけ、塗装等に支障を来す。
【0004】
そこで、木材の瑕疵、窪み穴、隙間を補填・埋めるため、その空間寸法の木材片を作り、圧入するか、接着剤で止めている。
【0005】
隙間を埋めるための木材片が、完全に勘合するものなら問題はないが、木材片加工寸法の狂いによっては、隙間より木片が大きいため隙間を広げようとするテンションが働いたり、逆に木片が小さく、ギャップがあると、美観を損ね、隙間埋め材の目的を達さなくなる。また、接着剤だけで空間を埋めようとすると、美観を損ね、接着強度が落ち、鉋かけ、塗装膜との密着性等に問題が生じる。
【0006】
したがって、板と板の突き合わせ勘合部の隙間埋め、節穴、ねじ穴等穴埋め、虫食い部埋め等を本来の木質の利点を生かしながら、美観を損ねることなく隙間、穴、窪み等の修復材で、しかも接着力を保持する接着剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、これらの要求を合わせ持つ木粉入り接着剤で、なるべく小粒径に微粉砕した木粉を、酢酸ビニルエマルジョン接着剤等に、例えば両者の体積比を10対90とか、20対80とか、50対50とか、80対20とか、90対10にしつつも、比較的均等分散させる。
【0008】
木材の瑕疵、窪み穴、隙間を補填・埋めるため、その空間寸法に近似した木材片を作る作業は、その形状によっては不可能であったり、至難の業が要求されたり、大きさによってはかなりの器用さ求められる。しかし、木粉入り接着剤を使用するなら、例えば虫食い跡、腐食跡のような複雑な形状であろうと、狭い隙間であろうと、奥が広く木口が狭い逆テーパー状の穴であろうと、簡単に埋めることが出来る。
【0009】
隙間に樹脂分単体の接着剤を注入して空間を埋めると、美観を損なうだけでなく、接着強度も落ちる。しかし木粉を混ぜることによって、木質部パーセントが多くなり、木材本来の強度を確保しやすくなる。
【0010】
穴形状、隙間に沿って、接着剤が注入されるため、隙間を埋める際に空間が生じたり、逆に隙間を押し広げようとする強いテンションが働くことはなく、密着性、機密性を保つことが出来る。
【発明の効果】
【0011】
木粉入り接着剤を木材の穴、隙間等に注入すると、木粉の粒径、形状、対接着剤混合比によるものの、[図1]のごとく、木粉1と他の木粉1は接したり、接着剤2の表面層より突出することにより、保湿・吸水等木材の性質を保持した接着剤となる。
【0012】
しかも、樹脂分だけで隙間を埋める場合、硬化後、木材と樹脂との、てかり等の見かけ上の異質感が否めないが、木粉入り接着剤を使用することにより、その違和感がなくなり、むしろ、接合する二つの木材の一体感が生まれる。
【0013】
この場合、住宅・木工資材として多用される例えば檜、欅、もみ、杉等色調の異なる木材木粉を前もって木材別木粉入り接着剤として準備することにより、この美的効果は高まり、木材つなぎ目の一体感は増し加わる。
【0014】
加工木材の瑕疵、釘、ボルト、木ねじ(5)等を深くねじ込んだ穴の窪み等に接着剤を埋めて乾燥した後、鉋がけ仕上げをする場合が往々にしてある。樹脂分だけで埋めたところを鉋がけする場合、樹脂の堅さや粘りが鉋がけの仕上がり状態を悪くするが、木粉を適当な割合混ぜることにより、鉋がけの時違和感がなく、仕上がり面もよくなる。
【0015】
木工製品に塗装を施すことはよくある。その場合、接着樹脂と塗料の密着性に問題が生じ、塗料膜の密着不良や層間剥離が起こることがあり、塗膜乾燥時あるいは時の経過と共に塗料膜の浮き現象が起きる。しかし、木粉入り接着剤の場合、木質部の露出部(1)と塗料膜(4)の密着が、点接着とはいえ、高密度多点接着ゆえに面接着状になり、例え、接着樹脂と塗料とのなじみが悪くても密着性を期待出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0016】
檜、欅、もみ、杉等の木粉(おがくずの転用が可)を径0.5mm以下(長さは径に近いものでなくても、径が細ければ長くてもよい)に篩をかけ、乾燥後、酢酸ビニルエマルジョン接着剤と均等分散を意識して混ぜ合わせ、異種木材混合あるいは、木材別に容器に入れる。
【0017】
この際、酢酸ビニルエマルジョン接着剤単体のものより抽出圧を必要とするため、抽出ノズル径を勘案するか、ポンプ形式にする必要がある。
【0018】
前もって、木粉と接着剤を混合するか、使用時に混合するかは、使用環境・容器開封後の使用頻度、時間によって異なってくる。そのため場合によっては、木粉を主剤とし、酢酸ビニルエマルジョン接着剤を硬化剤として、使用時に混合比任意で混合するディスペンサー方式をとる必要もある。
【産業上の利用可能性】
【0019】
多様な加工木材・木工用機器・組み立て冶工具・止め金具・接着剤等に対するホームセンターの充実には、目を見張るものがある。しかし、それはいわゆる素人大工、日曜大工、定年大工等の家屋の改修、木工製品の自作熱の高まりという市場が拡大しているための受け皿として成長してきたのであろう。
しかし、悲しいかな素人は素人でしかあらず、経験の浅さもあって、いくらいろんな木工用道具をそろえ駆使しても、寸法間違い、切断角度の微妙なミス、不注意な打恨、否めない知識不足等々によって、いざ最終組み立て加工時になって、隙間が生じたり、気になる瑕疵が目につくことが多々生じてくる。
【0020】
これらを簡単に、しかも、美観を損なうことなく、修正・補正できるようにするのは、素人大工の切望するところであり、同時に素人にいろんな材料を提供している側の責任でもある。
【0021】
材料不備、もしくは素人大工の加工ミスを修正してくれる木粉入り接着剤は、特に色調の違う木質別混合接着剤は、出来上がりが美しく、施工方式が簡単であれば、素人大工にとってこんな朗報はない。
それ故に、木工用接着剤の新しい市場創造と同時に、市場規模も酢酸ビニルエマルジョン接着剤の数%ぐらいは獲得できるのではないかと期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】木粉入り接着剤の硬化後の一部を示した断面図である。
【図2】木粉入り接着剤の硬化後鉋がけをした表面を示した断面図である。
【図3】木材の突き合わせ部に生じた隙間を木粉入り接着剤が埋めている状態を示した断面図である。
【図4】木ねじの畝込み穴、木材のへこみを木粉入り接着剤で埋めた状態を示した断面図である。
【図5】木粉入り接着剤を埋めた表面に塗料膜を形成した状態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1. 木粉
2. 酢酸ビニルエマルジョン接着剤
3. 木材
4. 塗料膜
5. 木ねじ
【出願人】 【識別番号】503214737
【氏名又は名称】山村 憲司
【出願日】 平成18年8月17日(2006.8.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−44335(P2008−44335A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−250011(P2006−250011)