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【発明の名称】 合板の製造方法
【発明者】 【氏名】小林 純

【要約】 【課題】合板の製造において、単板の接着工程における冷圧時間の短縮と接着剤使用量の削減を実現し、効率的かつ経済的に合板を製造し得る方法を提供することを目的とする。

【構成】複数の単板同士を接着して合板を製造するに当り、単板の接着面に接着剤組成物を塗布し、重ね合わせた後、加圧下で振動数5〜2000Hz程度の振動を付与し、しかるのち、必要に応じて、冷圧及び熱圧を行うことにより、効率的かつ経済的に合板を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単板同士を接着して合板を製造するに当り、単板の接着面に接着剤組成物を塗布して積層して冷圧し、該冷圧処理時に振動を付与し、しかるのち、必要に応じて、冷圧及び熱圧を行うことを特徴とする合板の製造方法。
【請求項2】
振動を5秒以上付与することを特徴とする請求項1記載の合板の製造方法。
【請求項3】
振動数5〜2000Hzの振動を付与することを特徴とする請求項2記載の合板の製造方法。
【請求項4】
振動付与時に積層体に加える圧力を0.05〜20kgf/cmとすることを特徴とする請求項3記載の合板の製造方法。
【請求項5】
振動下での冷圧処理後、さらに、5〜40kgf/cmで非振動下で冷圧し、その後、圧力5〜40kgf/cm、温度90〜150℃で熱圧することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の合板の製造方法。
【請求項6】
接着剤組成物として、接着剤樹脂100重量部当り5〜40重量部の小麦粉を配合した組成物を使用することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の合板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は合板の製造方法に関する。さらに詳しくは、複数の単板同士を接着して合板を製造するに当り、単板の接着面に接着剤組成物を塗布し、重ね合わせた後、冷圧下に振動を付与し、しかるのち、必要に応じ、さらに冷圧及び熱圧を行うことにより、接着工程における冷圧時間の短縮と接着剤使用量の削減を実現できる合板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合板の製造に際し、単板の接着面に接着剤を塗布し、接着面が相対するように重ね合わせた積層状態で冷圧した後、熱圧することにより合板を製造することはよく知られており、その改良法として、いろんな提案がなされている。
【0003】
例えば、特開平5−39470号公報(特許文献1)には、針葉樹材製単板の吸脱水時の寸法変化を抑制しかつ、接着性よく接合一体化して針葉樹材製合板を得る目的で、ホルムアルデヒド系接着剤にポリアルキレングリコール・アクリレート化合物を2〜20重量%配合した接着剤組成物を、針葉樹材製単板を1以上含む単板に塗布し、冷圧および熱圧の2段プレス法で硬化して接着一体化した合板とする方法が記載されている。また、特開平6−106502号公報(特許文献2)には、超高含水率の木材生単板を乾燥工程を経ることなく、そのまま積層接着して性能の優れた合板とする、いわゆる湿式方式の有利な方法として、含水率が30重量%以上、特に90±10重量%の木材生単板に、NCO基含量が12〜22重量%の一液性湿気硬化型ウレタン系接着剤を塗布し、積層して該接着剤の発泡と硬化を冷圧下で行い、得られた合板を100℃以上で熱圧処理する方法が提案されている。さらに、特開2001−191301号公報(特許文献3)には、水性高分子イソシアネート系接着剤を用いて合板を製造する際、十分な接着強度を得ることができる合板の製造方法として、単板に水性高分子イソシアネート系接着剤を塗布した後、単板を堆積した状態で放置し、複数枚の単板を接着させる堆積工程と、接着した複数枚の単板を圧締する圧締工程とを行い、その際、用いる単板の含水率を5%〜20%、単板の堆積時間を1分〜12分にするとともに、圧締工程においては、常温で単板を圧力690kPa(7kgf/cm)以上で10分以上圧締する冷圧工程と、110℃〜115℃で短時間単板を圧締する熱圧工程とを実施する方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、従来知られている方法では、十分な強さをもつ合板を得るには、いずれも冷圧の時間を長くとり、かつ接着剤の量も十分にする必要があるため、生産性が悪く、生産コストも高くなっていた。
【特許文献1】 特開平5−39470号公報
【特許文献2】 特開平6−106502号公報
【特許文献3】 特開2001−191301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、合板の製造において、単板の接着工程における冷圧時間の短縮と接着剤使用量の削減を実現し、効率的かつ経済的に合板を製造し得る方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、接着工程における冷圧時に、機械的な振動を与えることにより、冷圧時間の短縮化と接着剤使用量の削減化が実現されることを見出し、かかる新知見に基づき研究を重ねた結果、本発明を完成した。
【0007】
かくして、本発明によれば、以下のごとき合板の製造方法が提供される。
(1)複数の単板同士を接着して合板を製造するに当り、単板の接着面に接着剤組成物を塗布して積層して冷圧し、該冷圧処理時に振動を付与し、しかるのち、必要に応じて、冷圧及び熱圧を行うことを特徴とする合板の製造方法。
(2)振動を5秒以上付与することを特徴とする上記(1)に記載の合板の製造方法。
(3)振動数5〜2000Hzの振動を付与することを特徴とする上記(2)に記載の合板の製造方法。
(4)振動付与時に積層体に加える圧力を0.05〜20kgf/cmとすることを特徴とする上記(3)記載の合板の製造方法。
(5)振動下での冷圧処理後、さらに、5〜40kgf/cmで非振動下で冷圧し、その後、圧力5〜40kgf/cm、温度90〜150℃で熱圧することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の合板の製造方法。
(6)接着剤組成物として、接着剤樹脂100重量部当り5〜40重量部の小麦粉を配合した組成物を使用することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の合板の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明方法によれば、合板製造時の接着剤使用量の削減と作業時間短縮が実現できる。したがって、工場などの合板生産ラインでは大きな経済的利益が期待できるとともに、環境への負荷の低減も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<材料となる単板について>
本発明において合板製造の主材料として使用する単板の木材の種類や厚さは、特に制限されないが、通常、ラワン、スギ、ヒノキ、ブナなどの木材からなる単板であって、ほぼ木材の長さ方向に木材繊維が配列しているものが好ましい。また、単板は十分乾燥したものが良く、水分率が5〜15%程度のものが好ましい。単板の厚さは、0.2〜7mm程度のものが好ましい。
【0010】
<接着剤組成物について>
本発明では、接着剤組成物として、合成樹脂接着剤に小麦粉を配合したものが用いられる。合成樹脂接着剤としては、例えば、フェノール樹脂接着剤、メラミン・ユリア共縮合樹脂接着剤、ユリヤ樹脂接着剤、ウレタン系樹脂接着剤、エポキシ系樹脂接着剤、アクリル系樹脂接着剤、ビニル系樹脂接着剤などが用いられる。また、合板の用途によっては非ホルムアルデヒド系接着剤(例えば、水性高分子イソシアネート接着剤)も使用可能である。本発明では、接着剤組成物として、合成樹脂接着剤に小麦粉を配合したものが用いられる。
【0011】
合板製造時に小麦粉を配合した接着剤を使用すること自体は、従来から知られているが(例えば、特公開平5−287252号公報、特開平10−119007号公報、特開平10−286806号公報など参照)、本発明では、通常よりも多量の小麦粉を配合した接着剤組成物を使用すると効果が大きい。具体的には、接着剤樹脂100重量部に対して小麦粉を5〜40重量部、特に12〜30重量部、配合して高粘度としたものが効果的であり、なかでも接着剤樹脂100重量部に対して小麦粉20〜30重量部配合したものが好適に使用される。本発明で使用する接着剤組成物には、必要に応じて、これ以外の成分を含むことができる。
接着剤組成物の単板への塗布は、接着面にほぼ均一に接着剤組成物が塗布される方法であれば、はけ塗り、ローラーコート、スプレーコート、その他適宜の塗布方法を採用することができる。接着剤組成物の塗布量(非水成分の量)は接着面積1m当り約200〜400gが適当である。
【0012】
<振動冷圧について>
本発明では、接着面に接着剤組成物をほぼ均一に塗布した単板を積層して単板同士の接着を行わせるが、この際、振動冷圧を行うことを最大の特徴とする。振動冷圧を行うには、冷圧時に機械的に所定時間だけ振動を与えることができる装置を使用することが必要であり、例えば、後述する図1に示すような振動冷圧装置を使用する。
振動の方向は、積層した単板の厚み方向(垂直方向)でもよく平面方向(水平方向)でもよいが、水平方向の方がより効果的である。振動数は5〜2000Hzの範囲がよく、なかでも10〜500Hzが好ましい。
振動冷圧における圧締圧力は0.05〜20kgf/cm、特に0.1〜10kgf/cmが好適であり、振動時間は5秒以上、特に20秒〜120秒、が好適である。そのときの温度は室温でよい。
【0013】
<付加的な非振動冷圧について>
振動冷圧の後、非振動状態で付加的な冷圧を行ってもよく、多くの場合、その方が好ましい。このときの圧締圧力は5〜30kgf/cm、冷圧時間は0.1〜300秒が適当である。
【0014】
<熱圧について>
本発明では、接着剤樹脂の種類によっては、冷圧後、さらに、熱圧を行うことが好ましい。熱圧時の圧締圧力は6〜40kgf/cm、温度は90〜150℃、熱圧時間は30〜200秒が好適である。
【0015】
<合板製造工程について>
以上の如き、本発明方法によれば、十分な強さを持つ合板が短時間で製造することが可能となる。すなわち、冷圧時に振動を加えることにより、従来に比べ、冷圧時間が大幅に短縮される。たとえば、冷圧は最低でも10分、通常は15〜20分を必要としたが、本発明では振動冷圧とその後の付加的な非振動冷圧の合計時間が5分で十分である。また、合成樹脂接着剤の量も従来の70〜80%に減らしても十分な強度の合板が得られる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明方法に従って、接着工程における冷圧時間の短縮と接着剤使用量の削減を目的に振動冷圧装置を試作し、これを用いて製造した合板の接着力を測定し、振動冷圧による冷圧時間の短縮効果・接着剤使用量削減効果(同じ接着力を得るために必要な接着剤量を比較)を確認した実験例について詳述する。ただし、本発明の範囲は、これらの実験例によって限定されるものではない。なお、以下の実験例で単に「部」とあるのは、特にことわらない限り、重量部を意味する。
【0017】
[実施例1〜2、比較例1]
(単板及び接着剤組成物)
実験に供する単板として、(株)新潟合板振興で製造されたレッドメランチ単板(30×30cm)を用い、心板用は2mm厚、表板用は1mm厚のものを使用した。
接着剤の合成樹脂としては、メラミン・ユリア共縮合樹脂接着剤(オーシカ製、大鹿レヂンPWP−65)を使用した。標準の配合比では前記樹脂100部に対し、小麦粉15部、水5部、塩化アンモニウム1部を配合するが、本実験では粘度をあげる目的で小麦粉の量を多くし、小麦粉の量を前記標準の1.5倍に増量して上記合成樹脂100部に対し22.5部の割合で配合し、接着剤組成物とした。
【0018】
(振動冷圧装置)
単板の接着をおこなう振動冷圧装置として、図1に示すように鉄板(厚さ:3mm)の一方の端に小型モーターを取り付け、反対側にはモーターと同重量の重りを取り付けた。これを重ねたゴムマットの上に乗せ、荷重をかけられるように万能試験機に設置した。マットの高さは加重時にモーターが万能試験機に触れないように設定した。モーターは動バランスを崩すため回転部分に重りを取り付けた。この装置では、積層した単板に上から荷重をかけながら、水平方向(面内で)に微振動を与えるようにした。
【0019】
(合板の製造)
心板となる2mm厚のレッドメランチ単板表面に前記の接着剤組成物15gを均一に塗布し、木材の繊維配列方向を直交させるように1mm厚の表板を重ね合わせた。該心板のもう一方の面についても同様に行った。
その後、前記のごとく心板の両面に表板を重ね合わせた積層体を、振動冷圧装置(図1参照)に供給し、まず、常温下で一定時間振動を付与した。振動数は約80Hz、圧締圧力は0.1kgf/cmとし、振動時間を0秒(振動無し、比較例)、20秒(実施例1)、40秒(実施例2)の3条件として実験を行った。振動冷圧後、さらに振動冷圧と合わせた冷圧時間が合計5分となるように圧締圧力6kgf/cmにて非振動状態で冷圧を行なった。
その後、圧締温度120℃、圧締圧力10kgf/cmで1分40秒間熱圧を行った。
【0020】
(合板の接着強さの測定)
それぞれ得られた合板について、接着強さの測定を行った。ここでは、常態接着力試験を行い、最大破壊荷重を測定し、接着強さ及び木部破断率(目分量で10%ごとに読みとる)の平均値を求めた。この試験は普通合板の日本農林規格に示された試験要領に準じて行った。
それぞれの振動条件で作製した合板から接着力試験のための試験片(寸法:25mm×80mm)を作製し、open type5枚とclose type5枚の計10枚について、一枚の合板ごとの常態接着力試験を行った。
この際、常態接着力試験の接着強さは以下の式で求めた。
【0021】
【数1】


【0022】
また、木部破断率は以下のようにして求めた。すなわち、試験片の接着面積(25×13mm)を10等分したグリッドを書いた比較用のシートと比べて目視で判断した。
【0023】
(常態接着力試験の測定結果)
常態接着力試験の結果を表1に示す。表1の実験データはいずれも測定した10枚の平均値である。日本農林規格で定められたラワンを用いた合板の接着強さの平均値は7kgf/cmであるが、振動冷圧40秒の合板は作製した3枚全てこの平均値以上であった。
【0024】
【表1】


【0025】
図2に振動時間ごとの接着強さの平均値を示す。
図2に示すように、振動時間0秒と20秒では最初の1枚目に作成した合板の接着力が強く、2枚目、3枚目では接着力が下がっていた。しかし、振動時間を40秒にしたときの合板は逆の結果で、後から作成した合板のほうが先に作成した合板よりも強い接着力を示した。
その理由として、接着剤組成物は水分を含むので、該組成物を調製してから塗布するまでの時間が長いほど粘度が上がることが考えられる。そのため、振動時間0秒および20秒では接着剤の高まる粘度に対して振動時間が短いので接着力は弱まるが、振動時間が40秒では振動によって粘度の高まった接着剤組成物の接着力の低下を補うだけでなく、むしろ高粘度化した接着剤組成物の接着力を高めることができると考えられる。したがって、合板の製造過程で一定時間以上の振動冷圧を行うことで、より粘度の高い接着剤の使用が可能になり、その際の接着力も上がると考えられる。
【0026】
また、木部破断率についても、常態接着力と同様な結果が得られた。つまり振動冷圧により接着剤が単板材料により効果的に浸透したと考えられる。
【0027】
以上のように、従来の冷圧条件はおよそ圧締圧力10kgf/cm、冷圧時間15〜20分であるが、今回の実験では、圧締圧力6kgf/cm、冷圧時間5分で振動冷圧を行って、日本農林規格の定める接着強さの標準値以上の合板を製造することが可能であることが確認された。また、接着剤使用量の削減効果についても標準の糊液配合比よりも小麦粉の割合を増したため、全体の配合量からみた樹脂量は削減され、コストも下げられた。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、従来よりも短時間で合板の製造が可能となり、必要な樹脂接着剤の量を減らすこともできるので、各種の合板製造において有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】 本発明方法を実施するための振動冷圧装置の例を示す側面説明図
【図2】 振動冷圧時間(0秒、20秒、40秒)ごとの接着強さ(常態接着力)を示すグラフ
【符号の説明】
1 コール板
2 積層した単板
3 モーター
4 重り
5 ゴムマット
6 鉄板
【出願人】 【識別番号】598096991
【氏名又は名称】学校法人東京農業大学
【出願日】 平成18年8月11日(2006.8.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−44330(P2008−44330A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−242120(P2006−242120)