トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 基材に貼り合わせた木質繊維板の表面を平滑化する方法および突き板貼り化粧板
【発明者】 【氏名】中村 清誠

【氏名】赤枝 幸一

【要約】 【課題】木質繊維板2の表面が合板基材3側の凹凸の影響を受けることなく平滑化した複合基材10を製造する。

【構成】刃体23を備えた切削工具20を用い、切削工具20を、合板基材3側への押し付け力が木質繊維板2に生じないように保持した状態で、木質繊維板2の表面に平行方向に移動して、木質繊維板2の表面の削り落としを行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に木質繊維板を貼り合わせてなる複合基材における前記木質繊維板の表面を平滑化する方法であって、工具として刃体を備えた切削工具を用い、該切削工具を基材側への押し付け力が木質繊維板に生じないように保持し、かつ刃体を木質繊維板の表面に平行方向に移動して、木質繊維板の表面の削り落としを行うことを特徴とする表面平滑化方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表面平滑化方法によって製造された複合基材の木質繊維板の表面に突き板を貼着した突き板貼り化粧板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の表面に木質繊維板を貼り合わせてなる複合基材における前記木質繊維板の表面を平滑化する方法と、該複合基材を持つ突き板貼り化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
合板等を基材とし、その上に厚さ0.2〜0.3mm程度の薄突きの意匠用突き板を貼り合わせた床材等の化粧板は知られている。この形態の化粧板では、基材表面の凹凸がその上に貼り付けた意匠用突き板にまで影響を及ぼす場合がある。基材表面に生じる凹凸の要因としては、例えば針葉樹合板の場合、針葉樹材に多く見られる早晩材の硬さの違いによるものや、節、節穴によるものなどがある。突き板表面に基材表面の凹凸の影響が現れると、突き板表面を塗装したときに、凹凸に沿って表面色に濃淡が現れる等の不都合が起こりやすい。
【0003】
それに対処するために、合板基材と表面化粧材(突き板)との間に中質繊維板を挟み込むようにした木質化粧板が提案されている(特許文献1)。この木質化粧板では、表面化粧材の表面性状を中質繊維板に依存できるので、基材となる合板材料にラワン材や針葉樹材のような安価な材料を使用できるという利点がある。
【0004】
【特許文献1】実開平5−96282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される、基材の表面に木質繊維板を貼り合わせてなる複合基材の木質繊維板側に表面化粧材を貼り付けた形態の化粧板において、表面化粧材を貼着する前工程として、木質繊維板表面を表面化粧材を貼ることが可能なレベルにまで平滑化する作業が必要となる。本発明者らは、前記平滑化作業に多くたずさわってきているが、平滑化作業後の木質繊維板表面に、依然として凹凸が残る場合があることを経験している。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、前記した複合基材の木質繊維板に対して平滑化作業を行った後に、当該木質繊維板表面に凹凸が残らないようにした改良された表面平滑化方法を提供することを目的とする。また、そのようにして平滑化された複合基材を持つ化粧板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、平滑化作業後の木質繊維板表面に依然として凹凸が残る理由を知るべく多くの実験を行うことにより、次のような知見を得た。すなわち、従来の表面研削は、図5に示すように、ワイドベルトサンダーのように、表面にサンドペーパーを巻き付けた研削用の鉄ロールやプラスチックロール1を、被削物である木質繊維板2に上から力Fで押し付けた状態で行っているが、この方法では、図5aに示すように、被削物の土台となる部分、すなわち合板基材3の表面に、凹凸、抜け節などの欠損部位あるいは圧力が均等にかからない部位4が存在すると、その部位4が被削物である木質繊維板2の逃げ場となるために、周囲に比べて研削量が少なくなり、その結果、図5bに示すように、研削後の木質繊維板2の表面に凹凸2aが復帰して生じ、ひいてはその上に貼る突き板の表面性にも影響を及ぼすことを知見した。
【0008】
本発明は上記の知見に基づくものであり、基材の表面に木質繊維板を貼り合わせてなる複合基材における前記木質繊維板の表面を平滑化する方法であって、工具として刃体を備えた切削工具を用い、該切削工具を基材側への押し付け力が木質繊維板に生じないように保持し、かつ刃体を木質繊維板の表面に平行方向に移動して、木質繊維板の表面の削り落としを行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の表面平滑化方法によって製造された複合基材の木質繊維板の表面に突き板を貼着した突き板貼り化粧板をも開示する。
【0010】
本発明による表面平滑化方法では、表面を平滑化しようとする木質繊維板には、基材側への押し付け力が作用しないので、被削物の土台となる基材の表面に、欠損部位あるいは圧力が均等にかからない部位が存在していても、表面の削り落とし作業時に、その部位に木質繊維板が逃げ込むことはない。そのために、木質繊維板の表面は刃体の移動方向に沿って削り落とされた平滑な状態がそのまま維持され、平滑化作業後に凹凸が復帰形成されることはない。
【0011】
本発明の方法において、削り落としに使用する刃体を備えた切削工具の形態は任意である。例として、回転軸線に垂直な水平面内に複数の刃体を有する形態のもの、回転する円筒体の周面に複数の刃体を有する形態のもの、薄板状の刃体を備え該刃体が切削面に平行に単に移動する形態のもの等が挙げられる。いずれの切削工具を用いる場合でも、その刃体を木質繊維板の表面に平行な方向に移動して、表面の削り落としを行う。
【0012】
本発明の方法において、切削対象物となる複合基材を構成する基材はどのようなものであってもよい。例として、針葉樹合板やラワン合板のような合板材、単板積層材あるいは集積材等が挙げられる。木質繊維板も従来の化粧板(床材等)で用いられている厚さ0.5〜3mm程度の木質繊維板をそのまま用いることができ、例として、MDF(中質繊維板)、HB(硬質繊維板)等が挙げられる。
【0013】
本発明の方法により表面が平滑化された複合基材の木質繊維板表面に厚さ0.2〜0.3mm程度の薄突きの突き板等の表面化粧材を貼り付けることにより床材あるいは化粧板とされるが、木質繊維板表面の表面は、土台となる基材の表面性状に左右されない、凹凸のない平滑面とされており、表面化粧材に表面塗装を施したときに、木質繊維板表面の凹凸に起因する濃淡が現れるようなことはない。
【発明の効果】
【0014】
本発明による表面平滑化方法を採用することにより、木質繊維板の表面が基材側の影響を受けることなく平滑化した複合基材が得られる。また、複合基材の基材表面の凹凸に起因する濃淡が表面色に現れない突き板貼り化粧板が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は本発明による表面平滑化方法を説明するための模式図、図2は本発明の方法で使用する切削工具の一例を模式的に示す斜視図、図3と図4は本発明による表面平滑化方法の他の形態を説明するための模式図である。
【0016】
図1において、10は複合基材であり、この例では、適宜の合板基材3と、その表面に貼り合わせた木質繊維板2であるMDFとからなる。合板基材3は針葉樹合板であり、表層3aには、抜け節などの欠損部位4が存在している。この表層3aに貼り合わせた木質繊維板2の表面を、切削工具20を用いて平滑化する。この例において、切削工具20は、回転軸線Yを中心に回転する回転円盤21と、回転円盤21に垂直な回転軸22とを備え、回転円盤21の下面には適宜の切削刃体23が形成されている。また、図示しないが、切削工具20はバランスウエイトを設ける等の適宜の手段によって、切削時に、切削工具20の加重が被削物(ここでは、木質繊維板2)にかからないようにされている。
【0017】
表面平滑化処理を行うに際し、切削工具20を、その回転軸線Yが複合基材10が配置される面方向Pに垂直方向となるようにして設置する。そして、複合基材10と切削工具20のいずれか一方または双方を回転軸線Yの方向に移動して、木質繊維板2に対する切削工具20の刃体23の位置決め(レベル合わせ)を行う。その状態で、回転円盤21に回転を与え、切削工具20を木質繊維板2と平行な方向、すなわち複合基材10が配置される面方向Pに移動する。それにより、図1aに示すように、木質繊維板2の表面の削り落とし作業が開始し、削り落とし作業後の木質繊維板2の表面は平滑面となる。なお、削り落としに当たっては、切削工具20を固定し、複合基材10を面方向Pに移動してもよく、双方を面方向Pに移動させてもよい。
【0018】
前記のように、合板基材3の表層3aに抜け節などの欠損部位4が存在している場合でも、木質繊維板2には切削工具20を合板基材3側への押し付け力が作用しないので、従来のように、木質繊維板2が欠損部位4内に逃げ込むことはなく、削り落とし加工後の木質繊維板2の表面は、図1bに示すように、削り落とし時の平坦な状態がそのまま維持される。
【0019】
上記の切削工具20において、回転円盤21の下面に設ける切削刃体23の形状は任意であり制限はないが、好ましくは図2に示すように中心から放射方向に伸びる複数本の切削刃体23を持つ形態のものは好適であり、その際に、刃の部分を回転方向後方に向けて傾斜した姿勢とすることにより、削り落とし後の平滑性をより向上させることができる。
【0020】
図3は本発明による表面平滑化方法の他の形態を模式的に示している。ここでは、切削工具20Aとして、その回転軸線Xが、複合基材10が配置される面方向Pに平行な方向である回転円筒体24を有し、該回転円筒体24の周面に切削刃体23が形成されている形態のものを用いている。そして、この場合も、切削工具20Aは、切削工具20はバランスウエイトを設ける等の適宜の手段により、切削時に、切削工具20の加重が被削物(ここでは、木質繊維板2)にかからないようにされている。
【0021】
この切削工具20Aを用いる場合でも、木質繊維板2に対する切削工具20Aの刃体23の位置決め(レベル合わせ)を行った後、回転円筒体24に回転を与えて、回転円筒体24をその回転軸線Xを複合基材10が配置される面方向Pと平行な方向に移動させることにより、図1に示したと同様に、木質繊維板2の表面削り落とし作業が進行し、処理後の木質繊維板2の表面は平滑面となる。
【0022】
図4は本発明による表面平滑化方法のさらに他の形態を模式的に示す。ここでは、切削工具20Bとして、先端に切削刃体23の付いた薄板状の刃物25を用いる。この刃物25を、図4に示すように、複合基材10が配置される面方向Pと平行な姿勢とし、木質繊維板2に対する刃物25の位置決め(レベル合わせ)を行った後、刃物25を複合基材10に向けて面方向Pに移動するか、複合基材10を刃物25に向けて面方向Pに移動する。それにより、木質繊維板2の表面は切削刃体23により削り落とされて平滑化される。この場合でも、切削工具20B(刃物25)を複合基材10側への押し付け力が木質繊維板2には作用しないので、上記した他の態様の場合と同様、合板基材3の表層3aに抜け節などの欠損部位4が存在している場合でも、木質繊維板2が欠損部位4内に逃げ込むことはなく、削り落とし加工後の木質繊維板2の表面は、削り落とし時の平坦な状態がそのまま維持される。
【0023】
図示しないが、上記のようにして複合基材10の表面が平滑化された木質繊維板2の上に、定法により厚さ0.2〜0.3mm程度の薄突きの突き板を貼着することにより突き板貼り化粧板となる。この化粧板は、木質繊維板の表面が平滑面であることから、これまでのように、表面色に木質繊維板2の表面凹凸に起因する濃淡が現れることはなく、床材等として有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による表面平滑化方法を説明するための模式図であり、図1aは処理途中の状態を、図1bは平滑化処理後の状態を示している。
【図2】本発明の方法で使用する切削工具の一例を模式的に示す斜視図。
【図3】本発明による表面平滑化方法の他の形態を説明するための模式図。
【図4】本発明による表面平滑化方法のさらに他の形態を説明するための模式図。
【図5】従来法による表面平滑化方法を説明するための模式図であり、図5aは処理途中の状態を、図5bは平滑化処理後の状態を示している。
【符号の説明】
【0025】
10…複合基材、2…木質繊維板(MDF)、3…合板基材、3a…合板基材の表層、4…欠損部位、20、20A,20B…切削工具、21…回転円盤、22…回転軸、23…切削刃体、24…回転円筒体、25…薄板状の刃物、X…回転軸線、Y…回転軸線、P…複合基材が配置される面方向
【出願人】 【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔

【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男

【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康


【公開番号】 特開2008−6727(P2008−6727A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180015(P2006−180015)